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JP4251011B2 - 携帯用電気切断機 - Google Patents

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JP4251011B2
JP4251011B2 JP2003130822A JP2003130822A JP4251011B2 JP 4251011 B2 JP4251011 B2 JP 4251011B2 JP 2003130822 A JP2003130822 A JP 2003130822A JP 2003130822 A JP2003130822 A JP 2003130822A JP 4251011 B2 JP4251011 B2 JP 4251011B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、モータの冷却を行なうファンのファン風をハウジングからソーカバーの鋸刃収納部内に排出する構成をした携帯用電気切断機(以下、携帯用電気丸鋸として説明する)に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の携帯用電気丸鋸の一例として、実用新案登録第2607480号に記載されているように、モータを収納するハウジングと、モータにより回転駆動される鋸刃と、ハウジングに取付けられ、鋸刃外周のほぼ上側半分を覆うことが可能な形状をし、鋸刃の一部を収納する鋸刃収納部を有したソーカバーと、ハウジングと連結され、被切断材上を摺動可能な底面を持つベースと、モータにより回転駆動され、回転時に発生するファン風によってモータの冷却を行うためのファンとを有し、ファンと鋸刃収納部との間のソーカバーの壁面にファン風を鋸刃収納部側へと排出するファン風排出口及びファン風排出口を区画形成する複数の隔壁を設けた構成の携帯用電気丸鋸がある。
【特許文献1】
実用新案登録第26907480号公報
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
携帯用電気丸鋸を用いて木材等の被切断材を切断する際には、被切断材上に予め描いたケガキ線に沿うように切断を行なうことにより切断精度の向上を図るようにしているが、ベースの切断方向前方部に設けた鋸刃刃先の切断方向の延長線上に位置し、鋸刃の位置を指し示すガイドピースをケガキ線に合わせることによって間接的に鋸刃刃先とケガキ線との位置関係を確認しながら切断を行なう手段と、切断される直前の被切断材上のケガキ線と鋸刃刃先との位置関係を直接的に確認しながら切断作業を行う手段とが一般的に行なわれている。
【0004】
しかしながら、被切断材の切断時に大量に発生する切粉が被切断材上に堆積することにより、ケガキ線が見え難くなってしまう場合があり、ケガキ線と鋸刃刃先との位置関係が確認し難く、切断精度の低下を招くと共に、作業性が低下してしまう場合があった。
【0005】
切粉が被切断材上に堆積する理由としては、切断作業中に発生した切粉が舞い上がることにより被切断材上に堆積することが挙げられるが、集塵機等を用いて切断作業時に切粉が舞い上がることを防止しながら切断作業を行う場合であっても、他の切断作業や他の工具による種々の作業時等に被切断材上に切粉や粉塵等が堆積してしまいケガキ線が見え難くなってしまうこと等がある。
【0006】
このような場合、切断作業前に被切断材上の切粉を拭き取る、もしくは吹き飛ばす等して被切断材上のケガキ線を確認し易くする必要があり、作業性が低下してしまうと共に、作業中においては作業を一時中断する必要等があり、切断精度の低下及び作業性の低下を招く恐れがあった。
【0007】
なお、上記した従来の携帯用電気丸鋸は、ファン風排出口を区画形成する複数の隔壁がファンの回転軸線を中心として放射状に延びると共に、ファンの回転軸線と平行に延びる面を有する構成となっているが、ファン風排出口を介して鋸刃収納部内に排出されたファン風は、ファン風排出口を通過する際にファンの回転軸線方向に沿って排出されるよう方向性が出され、鋸刃収納部内の鋸刃側面もしくは、通常時にはベース下面よりも下方に突出する鋸刃の外周を覆うように構成され切断作業時には鋸刃収納部内に収納されるように回動可能に設けられたセーフティーカバーの側面に衝突し、その後鋸刃あるいはセーフティーカバーの側面に沿うように拡散する。拡散されたファン風は、ソーカバーの内壁と鋸刃あるいはセーフティーカバーとの間を介してソーカバーの外部へと排出されるが、ファン風が鋸刃あるいはセーフティーカバーの側面に対してほぼ直角に衝突するため、衝突後ファン風は広範囲に渡ってほぼ均一に拡散し、また、鋸刃の回転によって生じる鋸刃収納部内の空気の流れによってファン風は比較的切断方向後方より排出されることもあり、ファン風を利用してケガキ線上に切粉が堆積することを抑制する効果はない。
【0008】
また、ファンは遠心ファンが用いられ、遠心ファンの回転により遠心ファンの半径方向外側に向かって吐き出されたファン風は、ファン風はハウジングの内壁に沿って、ほぼ旋回しながらファン風排出口を通り鋸刃収納部内に排出されるものであるが、ファン風排出口内におけるファン排出風及びファン風排出口から排出されるファン排出風の風量及び風速は、ファンの回転軸を中心とした半径方向外側において大きく、半径方向内側においては小さくなってしまうものであった。このため、半径方向外側における騒音の発生が問題となり、これを解消するためにファンを小型化する、あるいはモータの回転数を減少させる等した場合には、風量不足となりモータの冷却性能が低下してしまうものであった。
【0009】
本発明の目的は、上記欠点を解消するために、ベースの開口部とベースの切断方向前方端部とを連通する溝部を設けると共に、ベース上面に溝部上方部と非溝部上方部とに渡って延びる補強リブを設けることにより達成される。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、 前記ベースの前記開口部と前記ベースの切断方向前方端部とを連通する溝部と、前記ベース上面に前記溝部上方部と非溝部上方部とに渡って延び、前記溝部上方に突設された突出部を設けると共に、
前記鋸刃を挟むように前記ベース上の切断方向前後に配置された2つの傾斜支点を有し、該傾斜支点を支点として前記ハウジングと前記ベースとが相対回動可能で前記ベース底面に対する前記鋸刃側面の角度を調整可能な構成をすると共に、前記ベース上には前記傾斜支点を中心とした円弧状の長穴を有するベベルプレートが突設されており、該ベベルプレートにより傾斜位置を固定するようにした構成をし、
少なくとも1つの前記傾斜支点は前記突出部に保持され、前記突出部は前記ベベルプレートと連結されていることにより達成される。
【0013】
また、モータにより回転駆動され、回転時に発生するファン風によってモータの冷却を行うファンと、ファンと鋸刃収納部との間のソーカバーの壁面にファン風を鋸刃収納部へと排出するファン風排出口及びファン風排出口を区画形成する複数の隔壁とを設けた構成をし、少なくとも一部の隔壁の少なくとも鋸刃収納部側付近のファンの回転方向手前側の壁面を、鋸刃収納部に向かうに従ってファンの回転方向側に傾斜させた構成とすることが好ましい。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明携帯用電気丸鋸の一実施形態を図面を用いて説明する。
【0015】
図に示すように、本発明携帯用電気丸鋸は、モータ1を内蔵したハウジング2と、ハウジング2に一体もしくは別部材として連結して設けられ、モータ1の駆動を制御するスイッチ3aを有したハンドル3と、モータ1により回転駆動される鋸刃4と、ハウジング2に取付けられ、鋸刃4外周のほぼ上側半分を覆う形状をし、鋸刃4の外周及びモータ1側の側面の一部を収納する鋸刃収納部5aを有したソーカバー5と、ソーカバー5を介してハウジング2と連結され、被切断材上を摺動可能な底面6aを持ち、鋸刃5を底面6aより下方に突出可能な開口部6bを有するベース6と、モータ1の出力軸1aに回転固定して設けられ、モータ1の駆動により回転し、回転時に発生するファン風によってモータの冷却を行なうファン7とを有し、ファン7と鋸刃収納部5aとの間のソーカバー5の部分にファン風を鋸刃収納部5a側へと排出するファン風排出口5c及びファン風排出口5cを区画形成する複数の隔壁5dを設けた構成をしている。
【0016】
図6に示すようにモータ1を内部に支持・収納するハウジング2の一端面には、ハウジング2内部と外部とを連通させる空気吸入口2aが設けられている。ファン7はモータ1の出力軸1aに回転固定されており、モータ1が駆動することにより出力軸1aと共に回動する。ファン7が回動すると、空気吸入口2aよりハウジング2内部に空気(ファン風)が流入し、その空気はモータ1外周を通り、これによりモータ1が冷却される。このようにファン7はファン風によってモータ1の冷却を行うことを目的に設けられている。なお、ファン7の回転方向は、図2に示す時計回り方向である。
【0017】
モータ1の出力軸1aの一端側には、ピニオンギヤ8が一体もしくは別体として設けられており、そのピニオンギヤ8はソーカバー5に回動可能に保持されたギヤ9と噛合している。ギヤ9は同軸の駆動軸10に固定されており、この駆動軸10はギヤ9を挟むように配置された同軸上の軸受11、12によってソーカバー5に回動可能に保持されている。駆動軸10上には、駆動軸10に対して回転不能な一対の鋸刃固定部材13が取付けられており、鋸刃固定部材13間に鋸刃4を挾持固定することによって、モータ1の駆動時に出力軸1aの回転力がピニオンギヤ8、ギヤ9、駆動軸10及び鋸刃固定部材13を介して伝達され、鋸刃4による切断作業が可能となる。上記したピニオンギヤ8、ギヤ9によって出力軸1aの回転力が1段減速され、鋸刃4に伝達される。なお、鋸刃4の回転方向は図2に示す反時計回り方向である。
【0018】
携帯用電気丸鋸には、鋸刃収納部5a内において駆動軸10と同軸上で回動可能に保持され、鋸刃収納部5a内に収納可能で、鋸刃4外周のほぼ半分を覆う形状をしたセーフティーカバー17が設けられている。セーフティーカバー17は図示しないスプリング等の付勢手段によって付勢されており、図1に示すように大半部分がベース6の底面6aよりも下方に突出し鋸刃4外周が露出するのを防止する回動位置が初期状態となっている。切断作業時には、セーフティーカバー17の切断方向前方側端部(図2の右側)が被切断材の端部に当接し、その状態で携帯用電気丸鋸が切断方向に摺動することによってスプリングに抗して鋸刃収納部5a内に収納されるように回動し、ベース6の底面6aにおいて鋸刃4が露出する。被切断材上面に端面と連続しない切断加工を行う窓抜き作業等の場合には、作業者がレバー17aを操作することによってもセーフティーカバー17を回動させベース6の底面6aにおいて鋸刃4を露出させることができる。
【0019】
ソーカバー5は、図6及び図11に示すようにピニオンギヤ8を収納するピニオンギヤ収納部5eを有している。このピニオンギヤ収納部5eはほぼ円形形状をしており、ピニオンギヤ収納部5eのほぼ中心位置にピニオンギヤ8を位置させるために、ソーカバー5にはピニオンギヤ8を回転可能に支持する軸受14が圧入等により取付けられる。
【0020】
ソーカバー5は、図6に示すように端面がハウジング2端面とねじ15によって取付けられる。ソーカバー5は鋸刃収納部5aとハウジング2側の端面との間においてピニオンギヤ収納部5eを有すると共に、ギヤ9を収納する形状をしているが、この鋸刃収納部5aとハウジング2側の端面との間の部分がギヤケーシングとして機能している。
【0021】
このソーカバー5のギヤケーシング部分は少なくともギヤ9の幅寸法(出力軸1aの軸方向の寸法)以上の幅を持っているが、図に示すようにハウジング2内を流れモータ1を冷却し終えたファン風をハウジング2から鋸刃収納部5a内に排出するためのファン風排出口5cがピニオンギヤ8の半径方向外側に位置するよう設けられている。
【0022】
ファン風排出口5cは、ソーカバー5に一体あるいは別体として設けられた複数の隔壁5dによって区画形成されている。隔壁5dは図6に示すようにソーカバー5のギヤケーシング部分の幅寸法Lの1/3程度の幅寸法L1(出力軸1aの軸方向の寸法)を持っている。また、ファン風排出口5cの出力軸1aを中心とした半径方向の寸法は、ファン7の羽根部分の外周がファン風排出口5cの範囲内に位置するようになっている。
【0023】
ファン7の半径方向外側に向けて吹き出されたファン風はハウジング2内に設けられたファンガイド19によってハウジング2の内壁に沿って、ほぼ旋回しながらファン風排出口5cを通り鋸刃収納部5a内に排出されるが、ファン風はファン風排出口5cを通る際にソーカバー5の隔壁5dに衝突し、これによって排出速度が低減され、ファン風による騒音の発生を低減するようになっている。なお、複数の隔壁5dによってファン風排出口5cを区画形成する構成とすることにより、ファン風排出口5cの面積を確保しつつソーカバー5の強度を確保するようにしている。
【0024】
上記したようなソーカバー5は、図2に示すようにベース6の長手方向両端側付近において鋸刃4を挟むようにベース6と連結されている。
【0025】
ソーカバー5とベース6との切断方向前方側(図2の右側)における一方の連結部構造について説明する。ソーカバー5の切断方向前方側端部付近には、鋸刃4の回転軸方向にほぼ平行に延びた穴5f(図10、図11、図14参照)が設けられおり、この穴5fには回動軸部材20が挿入されている。この回動軸部材20はソーカバー5の前記穴5fを挟むように配置するほぼコ字形状(図4参照)をしたヒンジ保持部21に相対回転可能に保持されており、ヒンジ保持部21はベース6上に設けられベース6の上面に沿う方向に延びると共に鋸刃4の回転軸方向に直交する方向に延びた第1の傾斜支点を構成するピン22(図1、図5参照)によってベース6に回動可能に連結されている。
【0026】
ベース6の切断方向前方側端部付近には、上記したピン22が設けられていると共に、ピン22を中心とした円弧形状の長穴23aを有するベベルプレート23がベース6の切断方向前方端面とほぼ平行に延びるように突設されている。ヒンジ保持部21に取付けられ、ベベルプレート23の長穴23a内に配置されるボルト24を締付けることによって、ヒンジ保持部21をベベルプレート23を介してベース6に固定することができ、これによってピン22を支点として回動したヒンジ保持部21の回動状態を係止することができる。
【0027】
次にソーカバー5とベース6との切断方向後方側(図2の左側)における他方の連結部構造ついて説明する。ベース6の切断方向後方側端面付近には、ベース6の上面に沿う方向に延びると共に鋸刃4の回転軸方向に直交する方向に延びた第2の傾斜支点を構成するピン25(図7参照)が設けられている。ピン25とピン22は、両者を結ぶ仮想線がほぼ鋸刃4の長手方向に平行になるように配置されている。
【0028】
ピン25には、上方部分がソーカバー5の鋸刃収納部5a内に挿入され、ソーカバー5の鋸刃収納部5aの上側内壁にほぼ沿う形状をしたリンク26の下端付近が連結され、リンク26はピン25を支点として回動可能となっている。
【0029】
リンク26には長手方向に延びる長穴26aが設けられており、長穴26a内にはソーカバー5に取付けられたボルト27が配置し、このボルト27を締付けることによってリンク26とソーカバー5との相対移動を不能とすることができるようになっている。従って、ソーカバー5とベース6との一方の連結において、ソーカバー5とベース6とは回動軸部材20を支点として相対的に回動することができ、この回動によってベース6の底面からの鋸刃4の突出量、すなわち切り込み深さを変更することができるものであるが、この切込み深さ調整をボルト27の締付け操作によって制御することができ、ボルト27の操作によって切込み深さを調整することができる。
【0030】
図7に示すようにソーカバー5とベース6との他方の連結部においても、ベース6にはピン25を中心とした円弧形状の長穴28aを有するベベルプレート28がベース6の切断方向後方端面とほぼ平行に延びるように突設されており、リンク26にはベベルプレート28の長穴28a内に配置されるボルト29が取付けられており、ボルト29を締付けることによりベース6に対するリンク26の位置を固定することができる。
【0031】
上記したように第1の傾斜支点を構成するピン22と第2の傾斜支点を構成するピン25を介してソーカバー5とベース6とは連結されており、第1、第2の傾斜支点を支点としてソーカバー5とベース6とが相対的に回動することができ、この回動によって、ベース6の底面に対する鋸刃4の角度を傾斜させることができる。
【0032】
図18〜図20はピン22及びピン25を支点として鋸刃4の側面がベース6の底面6aに対して45度の角度を形成するようにベース6に対してソーカバー5を傾斜させた状態を示すもので、本実施形態で設定されている最大傾斜角度の45度に傾斜している。
【0033】
ヒンジ保持部21及びリンク26は、ベベルプレート23、28の長穴23a、28aの範囲内で傾斜回動可能となっており、ベベルプレート23、28の鋸刃4側の壁面に沿って傾斜回動する。ベベルプレート23、28の鋸刃4側の壁面は面精度を出すため、機械加工がなされており(特にベベルプレート23)、ヒンジ保持部21及びリンク26の一部分とほぼ当接する構成とすることによって、ソーカバー5とベース6とのピン22及びピン25を支点とした相対回動時の位置精度が出るようにしている。
【0034】
なお、本実施形態では、ベース6の切断方向前方側端部付近及び後方側端部付近の両方にベベルプレート23及びベベルプレート28を設けた構成としたが、これは傾斜時に本体に加わる荷重によって傾斜角度にずれが生じてしまうことを抑制するためであり、いずれか一方、特に切断方向前方端部側付近にのみベベルプレート23が設けられた構成であっても良い。
【0035】
通常傾斜角度時の支点となる傾斜支点は、傾斜切断時にベース6下面から鋸刃4が突出する位置が直角切断時と大幅に異ならないようにすると共に傾斜切断時の切込み深さをより多く得るために、鋸刃4の長手方向延長線上に近い位置に傾斜支点であるピン22及びピン25を設けた構成をしているが、これに対して、ハンドル3は鋸刃4から離れた個所に位置しており、このため、ハンドル3に加わった荷重がベース6に対してソーカバー5及びハウジング2が傾斜回動する方向に働いてしまう。このため不意に切込み深さが変更してしまうことを抑制すると共に、傾斜位置の精度を向上する目的でソーカバー5とベース6との切断方向前方側と後方側の両方の連結部にベベルプレート23、28を設けることが好ましい。
【0036】
次に本発明携帯用電気丸鋸を構成するベース6について以下説明する。
【0037】
図15に示すようにベース6の両端側付近には上述したベベルプレート23、28が設けられている。ベベルプレート23、28はベース6の両端側の側面に沿って延びていると共に、ベース6の底面6bに直交するようにベース6上面に突設している。
【0038】
上述したベース6とソーカバー5との連結部を構成するピン22、25はベース6に保持されるものであるが、切断方向前方側のピン22は図16に示す突出部30に設けられた保持穴31内において保持され、切断方向後方側のピン25は図17に示す突出部32に設けられた保持穴33内において保持される。この保持穴30と31とは中心軸が同一線上に位置するように形成され、これは鋸刃4の長手方向にほぼ平行となっている。なお、突出部30及び保持穴31をピン22の軸方向に2つ設け、保持穴31の間においてヒンジ保持部21と連結する構成とするとピン22の変形を抑制することができ、切断作業時等にハンドル3を介してソーカバー5に作業者からの押圧力が過大に加わったとしても、傾斜角度のずれ、切込み深さのずれの発生を抑制することができる。
【0039】
突出部30、32はベース6の上方に突出する形状をしているが、ベベルプレート23、28と連続して設けられている。
【0040】
図8及び図9に特に表されるようにベース6の底面6aの切断方向前方側には、開口部6bと連通し、切断方向前方側の端部まで延びた溝部6cが設けられている。この溝部6cは図8及び図9に示す状態において、鋸刃4の長手方向延長線上に位置し、鋸刃4の刃先の幅寸法よりも大きな幅寸法を有している。また、この溝部6cの幅寸法は、傾斜切断時においても鋸刃4側面とベース6の底面6aとが交差する線の延長線が溝部6cの範囲内に位置するようになっている(図18参照)。
【0041】
溝部6cの高さ寸法は、溝部6c周辺部分のベース6の厚さ寸法に対して約半分以下となっている。
【0042】
溝部6cの切断方向前方部分には、図1、図4、図5等に示すように鋸刃4の刃先位置を指し示すガイドピース16がベース6上面にねじ18によって取付けられる。このガイドピース16は、ベース6の底面6aに対する鋸刃4側面の角度が直角である時の鋸刃4の刃先を指し示すガイド部16aと、ベース6の底面6aに対する鋸刃4側面の角度が45度である時の鋸刃4の刃先を指し示すガイド部16bとを有する構成をしている。
【0043】
ガイドピース16は底面がベース6の溝部6cの上面とほぼ同一面となるよう形成されているが、ガイド部16a、16bは底面よりも下方に突出し、ベース6の底面6bまで延びる形状をしている。これによって、被切断材上に描かれたケガキ線に対するガイド部16aあるいは16bの位置を容易に合せることができるようにしている。
【0044】
溝部6cは鋸刃4の長手方向延長線上に形成されており、また上述したピン22においても鋸刃4の長手方向延長線に近い位置に設けられたものであるため、溝部6cが形成されるベース6の上面においてピン22が位置することとなる。ピン22を保持する保持穴31を形成する突出部30は図16に示されるように、溝部16cの上方部分及び非上方部分に渡って延びた形状をしている。これにより、切断作業時等にハンドル3を介してソーカバー5に作業者からの押圧力が過大に加わった際に、ピン22を介してベース6の特に溝部6c付近が変形してしまうことを抑制するようにしている。また、溝部16cの上方部分及び非上方部分に渡って延び突出部30と連続した補強リブ6eがベース6上方に突出して設けられており、これによっても溝部6c付近の強度向上を図っている。この補強リブ6eは、突出部30と独立して設けられても良い。
【0045】
なお、溝部6cと連通したベース6に設けられている穴6dは、突出部30の鋸刃4側の面の面精度を出す際に行った機械加工により形成されたものであるが、ベース6上面近傍においてピン22を保持する構成としたことによりベース6上面よりも下方に突出するヒンジ保持部21を収納する機能も有する。
【0046】
次に本発明携帯用電気丸鋸を構成するソーカバー5に設けられたファン風排出口5c、特にファン風排出口5cを区画形成する複数の隔壁5dについて以下説明する。
【0047】
なお、図23〜図27はそれぞれ図11のa−a線断面図、b−b線断面図、c−c線断面図、d−d線断面図、e−e線断面図であり、図28及び図29は図1に示す携帯用電気丸鋸より鋸刃を取外した状態を示す斜視図及び正面図、図30は図29に示す状態より一方の連結部である回動軸部材20を支点としてソーカバー5とベース6とを相対回転させた状態を示す正面図、図31及び図32は図29に示す状態よりセーフティーカバーを回動させた状態を示す正面図及び斜視図である。
【0048】
本実施形態では、ファン風排出口5cを区画形成する隔壁5dが7個設けられており、ファン風排出口5cはファン7の回転中心軸Oを中心として放射状に配置されている。隔壁5dはファン7の回転方向の順(図11に示す反時計回り方向)に隔壁5da1、5da2、5da3、5db、5dc1、5dc2、5dc3と配置されている。本実施形態のこれらの隔壁5dはソーカバー5と一体に形成されたものである。なお、隔壁5dは、隔壁5dによって区画形成されたファン風排出口とファン風排出口との間に配置される壁を指す。
【0049】
本実施形態の隔壁5dは、3つの種類に分かれる。1つはファン7の回転軸方向に沿って延びた隔壁5da1〜5da3であり、これらの隔壁5da1〜5da3はファン排出風をファン7の回転軸方向に沿って排出するよう機能する。隔壁5da1〜5da3は、ファン7の回転方向手前側に位置し、図29に示す状態の携帯用電気丸鋸の正面側より見た際には、ファン7の回転軸Oよりも、且つ鋸刃4の回転中心軸Pよりも切断方向後方側に位置する。
【0050】
もう1つは、ファン7の回転軸方向に沿って延びる減速部分5dc1a〜5dc3aと、減速部分5dc1a〜5dc3aに対して傾斜して延びるガイド部分5dc1b〜5dc3bを持つ隔壁5dc1〜5dc3であり、これらの隔壁5dc1〜5dc3はファン排出風を切断方向前方側(図29の右側)へ排出するよう機能する。減速部分5dc1a〜5dc3aは、ファン7側に形成され、ガイド部分5dc1b〜5dc3bは鋸刃収納部5a側に形成されている。隔壁5dc1〜5dc3は、隔壁5da1〜5da3よりもファン7の回転方向奥側に位置し、図29に示す状態の携帯用電気丸鋸の正面側より見た際には、ファン7の回転軸Oよりも、且つ鋸刃4の回転中心軸Pよりも切断方向前方側に位置する。
【0051】
更にもう1つの隔壁5dは、ファン7の回転方向で隔壁5da1〜5da3と隔壁5dc1〜5dc3との間に位置する隔壁5dbであり、この隔壁5dbはファン7の回転軸方向に沿って隔壁5dc1〜5dc3とほぼ同程度延びた減速部分5dbaと、減速部分5dbaに対して傾斜して延びるガイド部分5dbbを持つものである。隔壁5dbは、図29に示す状態の携帯用電気丸鋸の正面側より見た際には、鋸刃4の回転中心軸Pのほぼ上方部分に位置する。
【0052】
上記した隔壁5db及び隔壁5dc1〜5dc3が持つ、ガイド部分5dbb及びガイド部分5dc1b〜5dc3bは、ファン7の回転方向手前側の壁面が減速部分5dba及び減速部分5dc1b〜5dc3bのファン7の回転方向手前側の壁面に対してほぼ45度の角度を持つように形成されており、そのガイド部分5dba及び5dc1b〜5dc3bは鋸刃収納部5a側端部に向かうに従って、減速部分5dba及び5dc1b〜5dc3bのファン7の回転方向手前側の壁面から離れるように延びた形状をしている。
【0053】
隔壁5da1〜5da3、隔壁5db及び隔壁5dc1〜5dc3の減速部分5dba及び5dc1b〜5dc3bは、図11に示すようにファン7の回転中心軸Oを中心とした放射方向に対して傾斜して設けられている。この傾斜方向は、隔壁5da1〜5da3、減速部分5dba及び5dc1b〜5dc3bの半径方向外側部分が内側部分に対してファン7の回転方向に反する方向に延びており、その傾斜角度(図10に示す角度θ)は45度となっている。
【0054】
ファン7の駆動時には、ファン排出風がファン風排出口5cを介してソーカバー5の鋸刃収納部5a内に排出されるが、このファン風排出口5cを通る際にファン排出風は旋回しながらファン風排出口5cに流入される。ファン風排出口5c内に流入したファン排出風は、隔壁5dのファン7の回転方向手前側の壁面に衝突し、これにより減速され、隔壁5dの壁面に沿って鋸刃収納部5a側に流れる。この際に、ファン排出風はファン7の回転軸Oをとして旋回しながら流入するが、上記したように隔壁5da1〜5da3、減速部分5dba及び5dc1a〜5dc3aが傾斜して形成されているため、隔壁5dの壁面に沿ってファン排出風は半径方向内側に向かいながら鋸刃収納部5a側に排出される。ファン7が遠心ファンであることにより、ファン排出風はハウジング2内のファンガイド19によってハウジング2内壁に沿いながらファン風排出口5c内に流入するが、このため従来の隔壁5dの形状ではファン風排出口5cより鋸刃収納部5a側に排出されるファン排出風は、半径方向外側の風量及び排出速度が大きく、半径方向内側の風量及び排出速度が小さくなってしまうものであった。本発明では、上記したような隔壁5dの形状を採用することにより、ファン風排出口5cより鋸刃収納部5a側に排出されるファン排出風を、半径方向外側では風量を小さく且つ排出速度を小さくすることができ、騒音の発生を低減することができる。また、半径方向内側においては、ファン排出風の風量を大きくすることができ、これによって全体的なファン風量を確保することができる。
【0055】
なお、上記効果を得るためには、隔壁5dのうちのファン7の回転方向手前側の壁面がファン7の回転中心軸Oを中心とした放射方向に対して、ファン7の回転方向に反する方向に傾斜していれば足りるものであるが、上記したように、隔壁5d全体あるいは隔壁5dのうちのファン7側の減速部分全体が傾斜した形状とする、すなわちファン7の回転方向奥側の壁面についても同様に傾斜した形状とすることによって、隔壁5d間の各ファン風排出口5cの風路面積を大きく確保することができるようにしている。
【0056】
隔壁5da1〜5da3及び隔壁5dbの減速部分5dbaのファン7の回転方向手前側の壁面(図23及び図24の下側の壁面)に衝突したファン排出風は、壁面に沿って隔壁5da1〜5da3及び隔壁5dbの減速面5dbaによって区画形成されるファン風排出口5cを通り、鋸刃収納部5a内に排出される。ファン排出風は鋸刃収納部5a内においてほぼセーフティーカバー17のファン7側の側面に衝突し、セーフティーカバー17の側面に沿うように拡散する。拡散されたファン排出風の一部は、鋸刃収納部5aとセーフティーカバー17との間を通り、ソーカバー5の切断方向後方側付近に排出されるが、図2、図3に示すように切込み深さが大きな時には、切断方向後方側(図2の左側)のベース6上面にファン排出風が排出され、この個所に切粉が堆積することを抑制することができる。
【0057】
隔壁5dc1〜5dc3の減速部分5dc1a〜5dc3aのファン7の回転方向手前側の壁面(図25〜図27の図示右側の壁面)に衝突したファン排出風は、壁面に沿ってファン風排出口5cを通り、減速部分5dc1a〜5dc3aと連続したガイド部分5dc1b〜5dc3bのファン7の回転方向手前側の壁面(図25〜図27の図示上側の壁面)にほぼ沿いながら鋸刃収納部5a内に排出される。
【0058】
なお、隔壁5dc1〜5dc3の減速部分5dc1a〜5dc3aとガイド部分5dc1b〜5dc3bのファン7の回転方向手前側の壁面の境目は、図に示すようにRではなく直線形状、すなわち角形状となっている。減速部分5dc1a〜5dc3aの面積を小さくすると、減速部分に衝突せずにファン風排出口5cより鋸刃収納部5a内に排出される風速の高いファン排出風が発生してしまい、騒音が発生してしまうという問題があるが、上記したような構成とすることによりこれを解消することができる。
【0059】
本実施形態では、図に示すように隔壁5dc1〜5dc3のガイド部分5dc1a〜5dc3aのファン7の回転方向奥側の壁面及び、隔壁5dbのガイド部分5dbbのファン7の回転方向奥側の壁面についても同様に傾斜した形状をしており、これによりファン風排出口5cの面積の確保を行うことができると共に、隔壁5db、5dc1〜5dc3間のファン風排出口5cの形状をファン7の回転軸方向に対して傾斜した形状とすることができ、よりガイド部分の形状に沿ってファン排出風が鋸刃収納部5a内に排出されるようにしている。
【0060】
隔壁5dc1〜5dc3のガイド部分5dc1a〜5dc3aに沿って鋸刃収納部5a内に排出されたファン排出風は、ファン7の回転中心軸Oから見て切断方向前方側の方向に排出されることとなり、鋸刃収納部5a内のセーフティーカバー17のファン7側の側面あるいは鋸刃4のファン7側の側面に傾斜した角度で衝突する。
【0061】
セーフティーカバー17の側面あるいは鋸刃4の側面に衝突したファン排出風は、側面に沿いながらその大部分はファン7の回転中心軸Oから見て回動軸部材20側への方向成分を持って流れる。
【0062】
このようにセーフティーカバー17の側面あるいは鋸刃4の側面に沿って流れたファン排出風の一部は、図2に示すように切込み深さが最大付近の状態では特にベース6の開口部6bの範囲内に向かって流れる。
【0063】
また、ソーカバー5の鋸刃収納部5a内の側壁の、ファン風排出口5cとソーカバー5の切断方向前方側下端との間には、鋸刃4側に向かって突出する段差5gが設けられている(図14、図28〜図32参照)。この段差5gは、図29及び図30に示す状態においてもその下端がベース6の開口部6bの切断方向前方側端部よりも切断方向後方側に位置する個所に設けられている。
【0064】
ファン排出風の一部は、この段差5gに衝突し、段差5gに沿ってソーカバー5下方に向かい、その後切断方向前方側に向かって流れ、ベース6の開口部6bの範囲内に向かって排出される。図30に示すように回動軸部材20を支点としてソーカバー5とベース6を相対的に回動させた際には、鋸刃4の側面に沿ってファン排出風が開口部6bの範囲内に排出される部分もあるが、段差5gの作用によってファン排出風が開口部6bの範囲内に排出される部分も多い。
【0065】
なお、図3、図4、図6に示すようにソーカバー5の鋸刃収納部5aのハウジング2(モータ1)側外壁に、ベース6の切断方向前方端部及び該端部よりも切断方向前方において鋸刃4の刃先位置を指し示すレーザー光を照射する照射装置34a、及び開口部6bの切断方向前方付近(特に鋸刃4の刃先部付近)において鋸刃4の刃先位置を指し示すレーザー光を照射する照射装置34bを持つレーザーユニット34が取付けられている。ソーカバー5の鋸刃収納部5aのハウジング2側外壁には、図4、図12に示すようにほぼ鋸刃4の側面と平行に延びた平面部5iaを有する凹部5iが設けられており、この平面部5iaには図11に示すように2個のねじ穴5ibが設けられている。レーザーユニット34は2個のLED34aaを有する照射装置34a部分が平面部5iaにほぼ面接触した状態でねじ35によって平面部5iaに取付けられる。レーザーユニット34はハンドル3に設けられた照射装置用スイッチ3b(図1参照)によって起動が制御されるものであり、携帯用電気丸鋸の電源を用いて起動可能となっている。
【0066】
照射装置34bは、図28〜図32に示すようにソーカバー5の下端よりベース6側に突出する形状をしており、レーザー光の照射方向が鋸刃4側面に対して傾斜する図示しないLEDを有しており、鋸刃4の刃先部付近を照射するようになっている。
【0067】
上記した構成とすることによって、レーザーユニット34の配置、特に比較的遠い個所となるベース6の切断方向前方端部付近及び該端部よりも切断方向前方位置においてレーザー光を照射する照射装置34bの配置については、位置精度が要求されるものであるが、これをレーザーユニット34の外形形状及びソーカバー5に形成した平面部5iaによって容易に位置決めを行うことができるようになり、組立性を向上させることができるようになる。
【0068】
本発明を構成するソーカバー5は、上記凹部5iの形成と同時に鋸刃収納部5a内のハウジング2(ファン7)側内壁に形成される段差5gを形成するものである。
【0069】
なお、図5、図18、図20に示すように照射装置34aのLED34aaの軸方向の延長線上に位置するヒンジ保持部21の一部には、LED34aaから照射されるレーザー光を妨げることが無いように凹部21aが設けられている。
【0070】
なお、図31及び図32に示すように切込み深さが最大付近でセーフティーカバー17がベース6の底面6aよりも下方に突出しないように回動した状態にあっては、すべてのファン風排出口5cのファン7の軸方向位置にセーフティーカバー17の側面が位置しないように傾斜面17bを設けた構成をしている。これによって、セーフティーカバー17の側面に衝突し側面に沿って排出されたファン排出風、及びファン風排出口5cから直接的に排出されたファン排出風がベース6の開口部6bに向かって流れ難くなることを抑制している。
【0071】
また、図31及び図32に示すようにすべてのファン風排出口5cのファン7の軸方向位置にセーフティーカバー17の側面が位置しない状態で、セーフティーカバー17の一部がソーカバー5の鋸刃収納部5a内の回動規制手段の機能を兼ね備えた段差5gと当接し、それ以上はセーフティーカバー17が図31に示す時計回り方向に回動しないようになっている。
【0072】
また、ファン風排出口5cを区画形成する複数の隔壁5dの一部の隔壁5db、5dc1〜5dc3は、上述したように鋸刃収納部5a側の端部が傾斜したものであるが、図10、図29及び図30に示すようにファン7の回転軸方向から見て隣り合う隔壁5dの間に隙間があるように形成されている。具体的には、ファン7の回転軸方向から見て、隔壁5dbのガイド部分5dbbの鋸刃収納部5a側の端面と、隔壁5dc1の減速部分5dc1aのファン7側の端面との間には隙間が設けられており、隔壁5dc2と隔壁5dc3との関係も同様である。このような構成とすることにより、ソーカバー5を型成形により形成することができるものである。
【0073】
また、ファン7の回転軸方向から見て、隔壁5db、5dc1、5dc2のガイド部分5dbb、5dc1b、5dc2bの鋸刃収納部5a側の端面と、隣り合う隔壁5dc1、5dc2、5dc3の減速部分5dc1a、5dc2a、5dc3aのファン7側の端面とがほぼ平行となるように形成されている。このため、ガイド部分5dbb、5dc1b、5dc2bと減速部分5dba、5dc1a、5dc2aとは半径方向内側と外側とで若干異なる角度で連結している(ガイド部分5dbb、5dc1b、5dc2bは連続した面で形成されている。)。このような構成とすることによって、隔壁5d間の面積を有効に使ってファン排出風をファン7の回転中心軸Oから見て切断方向前方側へと排出するためのファン風排出口5cの形状を形成することができる。
【0074】
なお、ファン7の回転方向で隔壁5dc3の次には、隔壁5dc3との間にファン風排出口5cを区画形成するための壁5hが設けられているが、この壁5hのファン7の回転方向手前側の壁面は、隔壁5dと同様に傾斜しているものであると共に、隔壁5dc3のガイド部分5dc3bの鋸刃収納部5a側の端面は壁5hの壁面と平行となるように形成されている。
【0075】
上記したように隔壁5dの一部の隔壁5db及び5dc1〜5dc3に、鋸刃収納部5a側のファン7の回転方向手前側の壁面を、壁面の延長線がファン7の回転中心軸方向に対して交差するよう傾斜すると共に、鋸刃収納部5a側の端部に向かうに従ってファン7の回転中心軸から離間するように傾斜したガイド部分5dbb及び5dc1b〜5dc3bを設けたことにより、ファン排出風がベース6の開口部6bの範囲内に排出されるようになり、これによって切断時に鋸刃4の刃先とベース6の底面6aの延長線との交点(すなわち切断部)の周辺に切粉が堆積することを抑制することができるようになる。このため、切断部付近の視認性が向上し、切断部手前のケガキ線の視認性を向上することができ、作業性を向上させることができるようになる。
【0076】
また、ベース6の底面6aの切断方向前方には、開口部6bと連通しベース6の切断方向前方端部まで延びた溝部6cが設けられているが、上記したように開口部6bの範囲内に排出されたファン排出風が被切断材の上面に衝突し、上面に沿って溝部6c内に流れ込み、溝部6cを介してベース6の端部よりも切断方向前方側に吹き出される。これによって、ベース6よりも切断方向前方側の被切断材上に切粉が堆積することを抑制することができるようになる。特に、溝部6cが鋸刃4の長手方向の延長線上に位置するよう形成されていることにより、被切断材上面に描かれたケガキ線上をファン排出風が流れることになり、ケガキ線上に切粉が堆積することを抑制することができ、作業性を向上させることができる。
【0077】
なお、傾斜可能な携帯用電気丸鋸である場合、傾斜時においても鋸刃4の長手方向の延長線上に溝部6cが位置するよう溝部6cは幅寸法を持っているため、傾斜切断作業であっても同様に作業性を向上させることができるものである。
【0078】
なお、ベース6の切断方向前方端部付近に設けられたガイドピース16の底面が溝部6cの上面とほぼ同一面となるように形成されているため、溝部6c内に流れ込んだファン排出風をガイドピース16に阻害されることなくベース6端部よりも切断方向前方側に吹き出すことができるようになっている。
【0079】
また、隔壁5dの少なくともファン7側の部分(隔壁5da1〜5da3、の減速部分5dba及び5dc1b〜5dc3b)のファン7の回転方向手前側の壁面を、ファン7の回転中心軸Oを中心とした放射方向に対して半径方向外側部分が内側部分に対してファン7の回転方向に反する方向に傾斜した形状としたことにより、騒音の発生を抑制しつつファン7のファン排出風の風量を確保することができるようにしているが、これにより騒音を低減しつつ開口部6bの範囲内に排出されるファン排出風及び溝部6c内に流れ込むファン排出風の風量をより多くすることができる。
【0080】
また、ファン排出風を開口部6bの範囲内に排出するためにガイド部分5dbb及び5dc1b〜5dc3bを設けた隔壁5db及び5dc1〜5dc3に、減速部分5dba及び5dc1a〜5dc3aを設けたことにより、騒音の発生を抑制しつつ開口部6bの範囲内にファン排出風を排出することができるようになる。
【0081】
また、隔壁5dの少なくとも一部にファン7の回転軸方向に対して傾斜したガイド部分5dbb及び5dc1b〜5dc3bを設けたことにより、隔壁5dが持つソーカバー5の補強効果を向上させることができるものである。
【0082】
また、すべての隔壁5dのファン7側の部分をファン7の回転中心軸Oを中心とした放射方向に対して傾斜した形状とした構成とすることにより、上述したように騒音の発生を更に抑制することができると共にファン排出風の風量を確保することができるものであるが、隔壁5dの補強効果が低下してしまうものであるが、これを隔壁5dの少なくとも一部に鋸刃収納部5a側の端部付近においてファン7の回転軸方向に対して傾斜したガイド部分5dbb及び5dc1b〜5dc3bを設けた構成とすることにより、隔壁5dの補強効果を補うことができるものである。
【0083】
また、切断作業時に鋸刃4がロックした時等には、ギヤ9とピニオンギヤ8とが相互に離間する方向に軸受11、12、14を介してソーカバー5に負荷が働くが、図29に示すようにピニオンギヤ8と同軸であるファン7の回転中心軸Oを中心としてギヤ9と同軸である鋸刃4の回動中心軸Pの対象位置付近にガイド部分5dc1b〜5dc3bを有する隔壁5dc1〜5dc3が位置する構成となっているため、前記した負荷が加わり易い部分での隔壁5dによる補強効果を向上させることができソーカバー5の寿命を向上させることができる。
【0084】
また、本実施形態では、隔壁5dc1〜5dc3に減速部分5dc1a〜5dc3aを設けた構成としたが、ベース6の開口部6bの範囲内にファン排出風を排出する、あるいはベース6に設けられた溝部6cを介してベース6端部の切断方向前方側にファン排出風を排出する目的を達成するためには、隔壁5dc1〜5dc3はガイド部分5dc1b〜5dc3bのみから成る形状としても良い。
【0085】
また、ファン風排出口5cをファン7の回転中心軸Oを中心として放射状に配置した構成としたことにより、切込み深さを変えた際にもいずれかのファン風排出口5cより排出されたファン排出風が鋸刃4の側面あるいはセーフティーカバー17の側面に衝突し、側面に沿いながら開口部6bの範囲内に排出されるようになるため、切込み深さが異なる切断作業であっても作業性を向上させることができる。
【0086】
また、溝部6cの鋸刃4の回動軸方向の幅寸法を開口部6bよりも小さくし、溝部6c内に両側面が存在する形状としたことにより、溝部6c内に流れ込んだファン排出風が切断方向への方向性を持ちベース6の端部より切断方向前方に排出されるようになる。
【0087】
なお、開口部6bの範囲内に排出されたファン排出風が溝部6cを通りベース6の切断方向前方端部よりも前方側に排出される構成であれば、ベース6の底面6aに溝部6cを覆うような部材を設けた構成としても良い。
【0088】
なお、本実施形態では、ソーカバー5の一部とベース6とが連結され、ソーカバー5を介してハウジング2とベース6とが連結される構成としたが、本発明はこの構成に限られるものではなく、直接的にハウジング2とベース6とが連結する構成、あるいはハウジング2と相対移動不能な部材とベース6とが連結される構成であっても良い。
【0089】
【発明の効果】
上記したように本発明によれば、ベースの開口部とベースの切断方向前方端部とを連通する溝部を設けると共に、ベース上面に溝部上方部と非溝部上方部とに渡って延びる補強リブを設けた構成とすることにより、開口部内に流入されたファン排出風を溝部を介してベース端部より切断方向前方側に排出することができ、ベース端部よりも切断方向前方側における被切断材上に切粉が堆積してしまうことを抑制することができると共に、溝部を形成することにより低下してしまう溝部周りのベースの強度を向上させることができる携帯用電気丸鋸を提供することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明携帯用電気丸鋸の一実施形態を示す斜視図。
【図2】図1に示す携帯用電気丸鋸の正面図。
【図3】図1に示す携帯用電気丸鋸の背面図。
【図4】図1に示す携帯用電気丸鋸の平面図。
【図5】図1に示す携帯用電気丸鋸の右側面図。
【図6】図2のA−A線断面図。
【図7】図1に示す携帯用電気丸鋸の左側面図。
【図8】図1に示す携帯用電気丸鋸の底面図。
【図9】図1に示す携帯用電気丸鋸の底面斜視図。
【図10】本発明携帯用電気丸鋸を構成するソーカバーの一実施形態を示す正面図。
【図11】図10に示すソーカバーの背面図。
【図12】図10に示すソーカバーの平面図。
【図13】図10のB−B線断面図。
【図14】図12のC−C線断面図。
【図15】本発明携帯用電気丸鋸を構成するベースの一実施形態を示す正面図。
【図16】図15の右側面図。
【図17】図15の左側面図。
【図18】図1に示す携帯用電気丸鋸であって、鋸刃側面とベース底面との角度を傾斜させた状態(傾斜角度=45度)を示す右側面図。
【図19】図1に示す携帯用電気丸鋸であって、鋸刃側面とベース底面との角度を傾斜させた状態(傾斜角度=45度)を示す左側面図。
【図20】図1に示す携帯用電気丸鋸であって、鋸刃側面とベース底面との角度を傾斜させた状態(傾斜角度=45度)を示す斜視図。
【図21】図1に示す携帯用電気丸鋸であって、切込み深さを小さく設定した状態を示す正面図。
【図22】図1に示す携帯用電気丸鋸であって、切込み深さを小さく設定した状態を示す左側面図。
【図23】図11のa−a線断面図。
【図24】図11のb−b線断面図。
【図25】図11のc−c線断面図。
【図26】図11のd−d線断面図。
【図27】図11のe−e線断面図。
【図28】図1に示す携帯用電気丸鋸であって、鋸刃を取外した状態を示す斜視図。
【図29】図1に示す携帯用電気丸鋸であって、鋸刃を取外した状態を示す正面図。
【図30】図1に示す携帯用電気丸鋸であって、鋸刃を取外し、ソーカバー(本体)とベースとを回動軸部材を支点として相対回転させた状態を示す正面図。
【図31】図1に示す携帯用電気丸鋸であって、鋸刃を取外し、セーフティーカバーをその下端がベース底面よりも突出しない位置に回動させた状態を示す正面図。
【図32】図1に示す携帯用電気丸鋸であって、鋸刃を取外し、セーフティーカバーをその下端がベース底面よりも突出しない位置に回動させた状態を示す斜視図。
【符号の説明】
1はモータ、2はハウジング、3はハンドル、4は鋸刃、5はソーカバー、5aは鋸刃収納部、5cはファン風排出口、5dは隔壁、5eはeはピニオンギヤ収納部、5fは穴、5gは段差、5hは壁、5iは凹部、6はベース、6aはベース底面、6bは開口部、6cは溝部、7はファン、8はピニオンギヤ、9はギヤ、10は出力軸、11、12は軸受、13は鋸刃固定部材、14は軸受、15はねじ、16はガイドピース、17はセーフティーカバー、18はねじ、20は回動軸部材、21はヒンジ保持部、22はピン、23はベベルプレート、24はボルト、25はピン、26はリンク、27はボルト、28はベベルプレート、29はボルト、30は突出部、31は保持穴、32は突出部、33は保持穴、34はレーザーユニット、35はねじである。

Claims (2)

  1. モータを収納するハウジングと、前記モータにより回転駆動される鋸刃と、前記ハウジングに取付けられ、前記鋸刃外周のほぼ上側半分を覆う形状をし、前記鋸刃の一部を収納する鋸刃収納部を有したソーカバーと、前記ハウジングと連結され、被切断材上を摺動可能な底面を持ち、前記鋸刃を前記底面より下方に突出可能な開口部を有するベースとを有した携帯用電気切断機であって、
    前記ベースの前記開口部と前記ベースの切断方向前方端部とを連通する溝部と、前記ベース上面に前記溝部上方部と非溝部上方部とに渡って延び、前記溝部上方に突設された突出部を設けると共に、
    前記鋸刃を挟むように前記ベース上の切断方向前後に配置された2つの傾斜支点を有し、該傾斜支点を支点として前記ハウジングと前記ベースとが相対回動可能で前記ベース底面に対する前記鋸刃側面の角度を調整可能な構成をすると共に、前記ベース上には前記傾斜支点を中心とした円弧状の長穴を有するベベルプレートが突設されており、該ベベルプレートにより傾斜位置を固定するようにした構成をし、
    少なくとも1つの前記傾斜支点は前記突出部に保持され、前記突出部は前記ベベルプレートと連結されていることを特徴とする携帯用電気切断機。
  2. 前記モータにより回転駆動され、回転時に発生するファン風によって前記モータの冷却を行うファンと、該ファンと前記鋸刃収納部との間の前記ソーカバーの壁面にファン風を前記鋸刃収納部へと排出するファン風排出口及び該ファン風排出口を区画形成する複数の隔壁とを設けた構成をし、少なくとも一部の前記隔壁の少なくとも前記鋸刃収納部側付近の前記ファンの回転方向手前側の壁面を、前記鋸刃収納部に向かうに従って前記ファンの回転方向側に傾斜させたことを特徴とする請求項1記載の携帯用電気切断機。
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