JP4130503B2 - 電子透かし埋込み装置 - Google Patents
電子透かし埋込み装置 Download PDFInfo
- Publication number
- JP4130503B2 JP4130503B2 JP34001998A JP34001998A JP4130503B2 JP 4130503 B2 JP4130503 B2 JP 4130503B2 JP 34001998 A JP34001998 A JP 34001998A JP 34001998 A JP34001998 A JP 34001998A JP 4130503 B2 JP4130503 B2 JP 4130503B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- pixel value
- variation
- frequency component
- embedding
- embedded
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Images
Classifications
-
- G—PHYSICS
- G06—COMPUTING; CALCULATING OR COUNTING
- G06T—IMAGE DATA PROCESSING OR GENERATION, IN GENERAL
- G06T1/00—General purpose image data processing
- G06T1/0021—Image watermarking
-
- H—ELECTRICITY
- H04—ELECTRIC COMMUNICATION TECHNIQUE
- H04N—PICTORIAL COMMUNICATION, e.g. TELEVISION
- H04N1/00—Scanning, transmission or reproduction of documents or the like, e.g. facsimile transmission; Details thereof
- H04N1/32—Circuits or arrangements for control or supervision between transmitter and receiver or between image input and image output device, e.g. between a still-image camera and its memory or between a still-image camera and a printer device
- H04N1/32101—Display, printing, storage or transmission of additional information, e.g. ID code, date and time or title
- H04N1/32144—Display, printing, storage or transmission of additional information, e.g. ID code, date and time or title embedded in the image data, i.e. enclosed or integrated in the image, e.g. watermark, super-imposed logo or stamp
- H04N1/32149—Methods relating to embedding, encoding, decoding, detection or retrieval operations
- H04N1/32154—Transform domain methods
-
- H—ELECTRICITY
- H04—ELECTRIC COMMUNICATION TECHNIQUE
- H04N—PICTORIAL COMMUNICATION, e.g. TELEVISION
- H04N1/00—Scanning, transmission or reproduction of documents or the like, e.g. facsimile transmission; Details thereof
- H04N1/32—Circuits or arrangements for control or supervision between transmitter and receiver or between image input and image output device, e.g. between a still-image camera and its memory or between a still-image camera and a printer device
- H04N1/32101—Display, printing, storage or transmission of additional information, e.g. ID code, date and time or title
- H04N1/32144—Display, printing, storage or transmission of additional information, e.g. ID code, date and time or title embedded in the image data, i.e. enclosed or integrated in the image, e.g. watermark, super-imposed logo or stamp
- H04N1/32149—Methods relating to embedding, encoding, decoding, detection or retrieval operations
- H04N1/32154—Transform domain methods
- H04N1/32187—Transform domain methods with selective or adaptive application of the additional information, e.g. in selected frequency coefficients
-
- G—PHYSICS
- G06—COMPUTING; CALCULATING OR COUNTING
- G06T—IMAGE DATA PROCESSING OR GENERATION, IN GENERAL
- G06T2201/00—General purpose image data processing
- G06T2201/005—Image watermarking
- G06T2201/0052—Embedding of the watermark in the frequency domain
-
- H—ELECTRICITY
- H04—ELECTRIC COMMUNICATION TECHNIQUE
- H04N—PICTORIAL COMMUNICATION, e.g. TELEVISION
- H04N2201/00—Indexing scheme relating to scanning, transmission or reproduction of documents or the like, and to details thereof
- H04N2201/32—Circuits or arrangements for control or supervision between transmitter and receiver or between image input and image output device, e.g. between a still-image camera and its memory or between a still-image camera and a printer device
- H04N2201/3201—Display, printing, storage or transmission of additional information, e.g. ID code, date and time or title
- H04N2201/3225—Display, printing, storage or transmission of additional information, e.g. ID code, date and time or title of data relating to an image, a page or a document
- H04N2201/3233—Display, printing, storage or transmission of additional information, e.g. ID code, date and time or title of data relating to an image, a page or a document of authentication information, e.g. digital signature, watermark
-
- H—ELECTRICITY
- H04—ELECTRIC COMMUNICATION TECHNIQUE
- H04N—PICTORIAL COMMUNICATION, e.g. TELEVISION
- H04N2201/00—Indexing scheme relating to scanning, transmission or reproduction of documents or the like, and to details thereof
- H04N2201/32—Circuits or arrangements for control or supervision between transmitter and receiver or between image input and image output device, e.g. between a still-image camera and its memory or between a still-image camera and a printer device
- H04N2201/3201—Display, printing, storage or transmission of additional information, e.g. ID code, date and time or title
- H04N2201/3269—Display, printing, storage or transmission of additional information, e.g. ID code, date and time or title of machine readable codes or marks, e.g. bar codes or glyphs
- H04N2201/327—Display, printing, storage or transmission of additional information, e.g. ID code, date and time or title of machine readable codes or marks, e.g. bar codes or glyphs which are undetectable to the naked eye, e.g. embedded codes
Landscapes
- Engineering & Computer Science (AREA)
- Multimedia (AREA)
- Signal Processing (AREA)
- Physics & Mathematics (AREA)
- General Physics & Mathematics (AREA)
- Theoretical Computer Science (AREA)
- Editing Of Facsimile Originals (AREA)
- Image Processing (AREA)
- Signal Processing For Digital Recording And Reproducing (AREA)
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、画像等に代表されるデジタル著作物データに対して、そのデータの著作権者や利用者の識別情報、著作権者の権利情報、そのデータの利用条件、その利用時に必要な秘密情報などの情報(以下、透かし情報と称する)を、知覚が容易でない状態となるように埋込むのに好適な電子透かし埋込み装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、画像(静止画、動画)や音声、音楽、設計データ、CG(コンピュータグラフィック)データ、テキストデータ等のデジタル著作物の著作権に対する関心が高まっている。このデジタル著作物を保護する技術の1つとして、電子透かし技術が知られている。
【0003】
電子透かし技術は、デジタル著作物に対して、そのデータの著作権者や利用者の識別情報、著作権者の権利情報、そのデータの利用条件、その利用時に必要な秘密情報などの透かし情報(watermark:WM)を知覚が容易でない状態となるように埋込み、つまり隠し持たせることで、著作権保護や利用制御を行うことを主要な目的としている。
【0004】
この種の目的のため、電子透かし技術には、特に次のような性質を満たすことが要求される。
(1)ロバスト性
透かし情報を著作物から取り去ることが難しく、各種のデータ操作(フィルタ処理、データの圧縮・伸張、D/A変換、A/D変換等)の下でも透かし情報が失われにくい。意図的なデータの改ざんを施し無理に透かし情報を取り去ろうとすると、データの品質が著しく劣化する。
(2)知覚的な非顕現性
透かし情報を埋め込んだ著作物は元の著作物と同じように知覚される。
この他に、透かし情報の埋込みが効率的に行える埋込みの効率性、透かし情報の検出が効率的に行える検出の効率性等も要求される。
【0005】
さて、電子透かし技術における透かし情報の埋込み方式の代表的なものに、画像データへの透かし情報埋込みを例にとると、画像データを周波数成分に変換し、特定の周波数成分に透かし情報を埋め込む方式がある。
【0006】
図20は、この画像データへの透かし情報埋込みを行う従来の電子透かし埋込み装置200のブロック構成を示す。
ここでは、透かし情報の埋込みの対象となる画素値空間の画像データに対して、直交変換部201により、DFT(離散フーリエ変換)、DCT(離散コサイン変換)、ウェーブレット変換、アダマール変換などの直交変換を行い、周波数空間の画像データを構成する周波数成分値データを取得する。
【0007】
次に、電子透かし埋込み部202により、周波数空間の画像データ中のある特定の周波数成分にピークを持つようなノイズの形で透かし情報(WM)を埋込む。この電子透かし埋込み部202での透かし情報の埋込みは次のように行われる。
【0008】
まず、周波数空間の画像データを構成する周波数成分値データをもとに、埋込み周波数成分選択部202aにより、透かし情報の埋込みに適した周波数成分、例えば、上に述べた透かし情報をノイズとして埋め込む例においては、ピークをとる周波数成分が選択される。周波数成分値変分決定部202bは、この周波数成分値の変分を決定する。周波数成分変更部202cは、周波数空間の画像データを構成する周波数成分値を、周波数成分値変分決定部202bにて決定された変分だけ変更することで、透かし情報が埋込まれた画像の周波数成分値データを生成する。
【0009】
次に、電子透かし埋込み部202によって透かし情報が埋め込まれた周波数空間の画像データに対して、直交変換部201が先に行った直交変換の逆変換を逆直交変換部203にて施し、透かし情報が埋め込まれた画素値空間での画像データを得る。
【0010】
こうして、図20の電子透かし埋込み装置200により埋込まれた透かし情報は、画素値空間で見た画像データでは、画像全体に分散された形で埋込まれているため、各種の操作に対してロバストである。また、透かし情報を埋込んだ周波数成分が中間的な周波数以上の周波数成分であるならば、画像データのLSBの情報を失わせるような低周波数通過フィルタによっても透かし情報が失われることがない。
【0011】
しかし、図20の構成では、直交変換による周波数変換を2度施す必要があるため処理が重い。そこで、通常は、まず1枚の画像を複数のブロックに分割する。例えば、ある画像の水平方向、垂直方向の画素数をそれぞれW、Hとすると、これを水平方向、垂直方向の画素数がそれぞれw、hである矩形状のブロックに分割する。画像中の画素の位置が、画像の左上端に位置する画素を原点として、画素数で数えて、第x番目の列、第y番目の行に位置するとき、その画素の位置を(x,y)で表すことにする。ある画素が、i*w≦x<(i+1)*w、h*h≦y<(j+1)*hを満たすならば、その画素は、水平方向に第i番目、垂直方向に第j番目の位置にあるブロックに属する。画像を分割して得られたブロックのすべて、或いは、その一部に対し、個々のブロックに対する周波数変換を施し透かし情報を埋め込む。
【0012】
透かし情報の埋込みに直交変換を利用した場合、埋込みの演算量は処理ブロックサイズの2乗のオーダとなり、ブロックサイズが大きくなると演算量が著しく増大する。このため、例えば動画に適用するには専用ハードウェアが必要となる。
【0013】
図21は、図20の電子透かし埋込み装置200により透かし情報が埋め込まれた画像データから当該透かし情報を検出する従来の電子透かし検出装置210のブロック構成を示す。
【0014】
ここでは、透かし情報が埋め込まれた画素値空間の画像データに対して直交変換部211にて直交変換を行うことで、周波数空間の画像データを構成する周波数成分値データに変換する。次に電子透かし検出部212にて、その周波数成分値データからある特定の周波数成分にピークを持つ透かし情報を検出する。
【0015】
さて、透かし情報を各種の操作に対して失われにくいように埋込む方式として、スペクトル拡散の手法を利用して、データ中の広い領域に拡散させて埋込む方式がある。
【0016】
図22は、PN(疑似乱数)系列によるスペクトル拡散の手法を利用した画像データへの透かし情報埋込みを行う従来の電子透かし埋込み装置220のブロック構成を示す。
【0017】
ここではまず、透かし情報の埋込みの対象となる画像の画素値空間中における各点の画素値に対して、PN系列生成部220Fで生成されるPN系列と呼ばれる{−1,1}に値をとる疑似乱数を、スペクトル拡散部220Aにより乗じる直接拡散方式によるスペクトル拡散(Spread Spectrum:SS)を施す。そして、このスペクトル拡散が施された画素値空間中における各点の画素値に対して、直交変換部220BにてDCT変換等の直交変換を行うことで、周波数空間のスペクトル拡散画像データを構成する周波数成分値データを取得する。
【0018】
次に、電子透かし埋込み部220Cにより、周波数空間のスペクトル拡散画像データ中のある特定の周波数成分にピークを持つようなノイズの形で透かし情報を埋込む。次に、この透かし情報が埋め込まれた周波数空間のスペクトル拡散画像データに対して、先に直交変換部220Bが行った直交変換の逆変換を逆直交変換部220Dにて施すことで、透かし情報が埋め込まれた画素値空間でのスペクトル拡散画像データを得る。そして、透かし情報が埋め込まれた画素値空間でのスペクトル拡散画像データに対して、先にスペクトル拡散部220Aが行ったスペクトル拡散の逆拡散をスペクトル逆拡散部220Eにて行うことで、透かし情報が埋め込まれた画素値空間での画像データを取得する。
【0019】
このように、PN系列によるスペクトル拡散と直交変換を行った後で透かし情報を埋込む方式では、PN系列によるスペクトル拡散を行っているので、透かし情報を埋込む周波数成分は必ずしも中間的な周波数成分である必要はない。透かし情報がピークの形で埋込まれているならば、スペクトル逆拡散は透かし情報を幅広い周波数成分に薄く分散させる効果を持つ。
【0020】
これらのような透かし情報の埋込みは、A/D(アナログ/ディジタル)変換とD/A(デジタルアナログ)変換やデータ圧縮と伸張によるデータ操作に対しても有効である可能性がある。ただし、A/D変換とD/A変換、データ圧縮と伸張は、画像データに与える影響が大きいので、透かし情報の埋込みは、なるべく広い領域に拡散させることによって行うことが望ましい。
【0021】
図23は、図22の電子透かし埋込み装置220により透かし情報が埋め込まれた画像データから当該透かし情報を検出する従来の電子透かし検出装置230のブロック構成を示す。
【0022】
ここでは、透かし情報が埋め込まれた画素値空間の画像データに対して、PN系列生成部234で生成されるPN系列を用いて、スペクトル拡散部231にてスペクトル拡散を施す。そして、このスペクトル拡散が施された画素値空間中における各点の画素値に対して、直交変換部232にてDCT変換等の直交変換を行うことで、周波数空間のスペクトル拡散画像データを構成する周波数成分値データを取得する。次に電子透かし検出部233にて、その周波数成分値データからある特定の周波数成分にピークを持つ透かし情報を検出する。
【0023】
また従来より、パッチワーク法による透かし情報の埋込みという手法が提案されている。図24に、この手法を適用する従来の電子透かし埋込み装置のブロック構成を示す。
【0024】
図24の電子透かし埋込み装置240では、まず、画素値対生成部241により、透かし情報の埋込みの対象となる画像の画素値データからランダムに2画素を対<(ax,ay),(bx,by)>として選び出す。
【0025】
次に、例えば透かし情報として1を埋め込む場合には、第1成分変更部242により、対の最初(1番目)の成分、つまり第1成分(ax,ay)の画素値aに対して、1だけ増加させる操作を行う一方、第2成分変更部243により、対の2番目の成分、つまり第2成分(bx,by)の画素値bに対して、1だけ減少させる操作を行う。逆に、0を埋め込む場合には、第1成分変更部242により第1成分の画素値を1減少させ、第2成分変更部243により第2成分の画素値を1増加させる操作を行う。このような操作を、画素値対生成部241が重複しないようにランダムに選んだ複数の対に対して行う。
【0026】
その結果、画素数の個数が十分に多いならば、図25に示すように、各対の第1成分の画素値の分布と、各対の第2成分の画素値の分布には、統計的に意味のある差が生じることが期待される。
【0027】
図25は、図24の電子透かし埋込み装置240によりパッチワーク法を適用して透かし情報が埋め込まれた画像データから当該透かし情報を検出する従来の電子透かし検出装置のブロック構成を示す。
【0028】
図25の電子透かし検出装置250では、図24の電子透かし埋込み装置240にて画素値対生成部241が生成したのと同じ画素の対を、画素値対生成部261により生成する。そして、例えば、各対の第1成分の画素値の平均値を第1成分平均計算部262により算出し、各対の第2成分の画素値の平均値を第2成分平均計算部263により算出する。
【0029】
次に、平均比較部264にて、この2つの平均値を比較し、第1成分の画素値の平均値の方が大きい場合には、1が埋め込まれており、第2成分の画素値の平均値の方が大きい場合には、0が埋め込まれている判定することで、埋め込まれた透かし情報を検出(復元)する。
【0030】
【発明が解決しようとする課題】
上記した従来の電子透かし埋込み・検出技術では、各種操作に対して透かし情報が失われにくいという長所があるが、その反面、DCT変換等の直交変換を必要とするため、透かし情報の埋込みや検出にかかる計算量が大きいという短所もある。つまり、DCT変換等の直交変換はDFTの一種であって、その計算量は同じオーダである。理論的には、データ量Nのデータに対するDFTの計算量はO(N*logN)で与えられる。
【0031】
例えば、幅W高さHの静止画でおおまかな評価をしてみる。この静止画を幅w高さhのブロックに分割すると、1ブロック当りのDCT変換の計算量はO(w*log w*h*log h)で与えられる。ブロックの総数は、(W/w)*(H/h)であるから、総計算量は、
O((W/w)*(H/h)*w*log w*h*log h)
=O(W*H*log w*log h)となる。
【0032】
画像全体を1つのブロックとする場合と幅w高さhのブロックに分割する場合の計算の比は、
(logW*logH)/(log w*log h)
=logw W*logh H
となる。
【0033】
ここで、W=w*2q ,H=h*2r とすると、
logw W*logh H
=(1+q*logw 2)*(1+r*logh 2)
=(1+q2 *logW 2)*(1+r2 *logH 2)
となる。
【0034】
したがって、例えばW=H=1024=210,w=h=32=25 とすると、q=r=5,(1+q2 *logW 2)*(1+r2 *logH 2)=12.25となる。つまり、画像全体にDCT変換を施すよりも1辺がその1/32の大きさの小さなブロックサイズに分割してDCT変換を施す方が約12倍高速に処理できることになる。
【0035】
透かし情報をどれだけ広い領域に拡散して埋込むことができるかは、DCT変換等の直交変換の計算量とその透かし情報の埋込みや検出の処理に許されている時間に依存する。十分な時間をかけて透かし情報の埋込みや検出を行ってもよい場合には劾率性はあまり重要な要件ではなく、ロバスト性の観点からは、埋込みや検出時間が現実的な時間の範囲にあるならば、ブロックサイズをできるだけ大きくとる方が望ましい。
【0036】
しかしながら、透かし情報を利用制御、レーティングに利用する場合には、透かし情報の検出に大きな時間をかけることはできない。また、透かし情報をフィンガープリントに利用する場合には、透かしの埋込みに大きな時間をかけることができない。
【0037】
以上に述べたように、従来の電子透かし埋込み・検出技術は、ロバスト性や知覚的な非顕現性の観点からは、大きなブロックサイズ(例えば、512×512画素、720×480画素など)を選択して透かし情報を薄く広く分散させることが好ましいにも拘わらず、直交変換の計算コストの問題から透かし情報の埋込み・検出処理を十分に効率的に行うことができないため、透かし情報の埋込み・検出に効率性を求められるような応用の場合には、小さなブロックサイズ(例えほ、16×16画素、32×32画素など)を選択して透かし情報を埋込まざるを得ないという欠点があった。
【0038】
一方、従来のパッチワーク法による電子透かし埋込み・検出技術では、DCT変換等の直交変換を必要としないものの、透かし情報の埋め込み対象となる画像データが統計的に一様な性質を持っていないため、ランダムに選択(生成)される画素の対の個数が少ないと、対の第1成分と第2成分の統計的な分布の差異が、埋込み操作によるものか、それとも十分な個数の対を生成しなかったため偶然選択された対に統計的な差異が最初から存在したものかを判断する根拠がない。そのため従来は、埋込み操作後の各対の第1成分と第2成分の分布の間に、統計的に意味のある差が生じるように十分な個数の対を必要としており、埋込み時と検出時に生成される画素対の必要数を予め見積もることが困難であるという問題があった。
【0039】
本発明は上記事情を考慮してなされたものでその目的は、たとえ大きなブロックサイズを選択したとしても、透かし情報の埋込みを効率よく行うことができる電子透かし埋込み装置を提供することにある。
【0042】
【課題を解決するための手段】
本発明の電子透かし埋込み装置は、透かし情報を埋め込むべき周波数空間中の位置を周波数成分値に無関係に決定する埋込み位置選択手段と、この埋込み位置選択手段によって決定された各埋込み位置の周波数成分値の変分を決定する周波数成分値変分決定手段と、上記画像の画素値空間中の各点における画素値の変分を、上記埋込み位置選択手段によって決定された周波数空間中の埋込み位置、及び上記周波数成分値変分決定手段によって決定された周波数成分値の変分をもとに計算する画素値変分計算手段と、この画素値変分計算手段によって計算された画素値空間中の各点の画素値の変分に従い、上記画像の対応する画素値データを変更することで透かし情報の埋込みを行う画素値変換手段とを備えたことを特徴とする。
【0043】
このように、上記の構成においては、透かし情報の埋込みを、従来のように周波数空間で行うのではなくて、画素値空間で行うようにしている。そこで上記の構成では、画素値空間での透かし情報の埋込みのために画素値変分計算手段を設け、画素値空間中の各点における画素値の変分を、透かし情報を埋め込むべき位置(埋込み位置)と、その位置の周波数成分値の変分をもとに計算するようにしている。この画素値の変分を求める計算では、直交変換の行列要素を求める演算が必要となるが、その演算量は直交変換に比べて著しく少ない。
【0044】
ここで、透かし情報の埋込みの対象となる画像の画素値空間中の各点における画素値の変分Δf(x,y)は、周波数空間中の埋込み位置を(u,v)、周波数成分値の変分をΔF(u,v)とすると、直交変換の第1の行列要素A-1(x,u)及び直交変換の第2の行列要素A-1(y,v)の計算を行い、その計算結果を用いることで、
Δf(x,y)=A-1(x,u)・A-1(y,v)・ΔF(u,v)
の演算により簡単に算出可能である。
【0045】
このように上記の構成においては、透かし情報の埋込みを画素値空間で行うことにより、従来の電子透かし技術では必要であった、画素値空間から周波数空間への変換のための直交変換処理と、周波数空間での透かし情報埋込みの後に行われる周波数空間から画素値空間への変換のための逆変換処理(逆直交変換処理)、つまり膨大な演算量となる2回の直交変換処理を不要にし、透かし情報の埋込みの高速化を図ることが可能となる。
【0046】
但し、従来の電子透かし技術では、画素値空間から周波数空間への変換により得られる画像の周波数成分値データから、透かし情報の埋込み位置と周波数成分値の変分を決定することが可能であるのに対し、上記の構成においては埋込み位置と周波数成分値の変分を動的に決定することはできない。しかし上記の構成においては、従来必要であった2回の直交変換処理が不要であり、透かし情報の埋込み処理の単位となるブロックサイズを従来に比べて十分大きくとることができるため、透かし情報を広い領域に拡散して埋込むことが可能となり、透かし情報の埋込み位置を画像の周波数成分値データから決定しなくても問題とはならない。
【0047】
特に、上記の構成にスペクトル拡散方式を適用し、スペクトル拡散のため上記画像の画素値空間中の各点における画素値に乗じられる疑似乱数を生成する疑似乱数生成手段を設け、上記画像の画素値空間中の各点における画素値の変分を、上記埋込み位置選択手段によって決定された周波数空間中の埋込み位置、上記周波数成分値変分決定手段によって決定された周波数成分値の変分、及び当該疑似乱数生成手段によって生成された上記画像の画素値空間中の各点に対応する疑似乱数をもとに、上記画素値変分計算手段にて計算する構成を適用するならば、透かし情報の埋込み位置と周波数成分値の変分を画像の周波数成分値データに依存して動的に決定する必要性がより薄れるため、一層よい。
【0048】
このスペクトル拡散方式を適用する場合、透かし情報の埋込みの対象となる画像の画素値空間中の各点における画素値の変分Δf(x,y)は、埋込み位置を(u,v)、周波数成分値の変分をΔF(u,v)、疑似乱数をp(x,y)とすると、直交変換の第1の行列要素A-1(x,u)及び直交変換の第2の行列要素A-1(y,v)の計算を行い、その計算結果を用いることで、
Δf(x,y)=p(x,y)・A-1(x,u)
・A-1(y,v)・ΔF(u,v)
の演算により簡単に算出可能である。
【0049】
また、周波数成分値の変分についても、殆どの埋込み位置に対して、その位置の周波数成分値の絶対値より大きな値となる変分を予め決定することが可能であり、その場合には直交変換を行わないことは問題とならない。
【0050】
ここで、埋込み位置の決定には、例えば画像の周波数空間中の固定的な位置を埋込み位置とする手法、或いは利用者固有の情報から計算される位置を埋込み位置とする手法等が適用可能である。この他に、固定的な位置を埋込み位置とするのではなく、最初の数フレームの情報は固定だがそれ以降は、その固定フレームで読み出した情報に基づき埋込み位置を決定する手法(これは、最初の数フレームには、予め決められた固定の埋込み位置を埋込み位置として透かし情報が埋め込まれており、それらのフレームの透かし情報自身に従ってある決められた計算をすることによって、それ以降のフレームにおける埋込み位置を計算することができる手法である)、利用者固有の情報から計算される位置を埋込み位置とする手法、埋込む位置を透かし情報以外の手段で渡す手法(これは、透かし情報の埋め込み位置の計算方法が予めきめられており、透かし情報の埋込みの際に用いられた、その計算に必要なデータを、画像データに埋め込まれた透かし情報としてではなく、画像データとは別のデータとして電子透かし検出装置に伝え、電子透かし検出装置では受け取ったデータから埋込み位置の計算を行い埋込み位置を決定する手法である)、埋込み位置を乱数で生成する手法、利用者毎にその乱数の系列が異なるようにする手法、などが適用可能である。
【0051】
また、周波数空間中の埋込み位置を1ブロックについて複数箇所決定する場合、その埋込み位置によっては、うなりが発生する可能性がある。そこで、埋込み位置選択手段に、複数の埋込み位置の間でうなりを生ずるか否かを判定する機能(うなり評価手段)を持たせ、埋込み位置の候補を生成する度に、この判定機能によってその候補の妥当性を判定し、不適切な候補と判定した場合には、当該候補を破棄し、適切な候補と判定した場合には、それを埋込み位置の組の要素として選択する構成とすることも可能である。そのためには、埋込み位置選択手段を、複数の埋込み位置の候補を生成する周波数生成手段と、この周波数生成手段によって生成された複数の埋込み位置の候補を入力として、当該各候補相互の周波数成分値の関係に基づいてうなりの程度を判定し、うなりの影響を回避可能な所定個数の埋込み位置の組を選択して出力するうなり判定手段とで構成とするよい。勿論、埋込み位置選択手段自身が、最初からうなりを生じない埋込み位置(つまり、透かしの周波数)を決定する構成とすることも可能である。
【0052】
また、周波数成分値の変分に関しては、複数の画像についての周波数成分値の頻度分布をもとに予め定められる変分を用いるとよい。この他に、画素値変換手段によって透かし情報が埋め込まれた画像をもとに当該透かし情報の埋込み位置の周波数成分値を算出し、その周波数成分値またはその周波数成分値から復元される透かし情報を上記周波数成分値変分決定手段にフィードバックする電子透かし検出手段を設け、この電子透かし検出手段によってフィードバックされる周波数成分値または透かし情報をもとに、周波数成分値の変分を適応的に変更する構成を適用するならば、なおよい。また、画素値変換手段と電子透かし検出手段との間に透かし情報が埋め込まれた画像を入力として、当該画像に対して予め予測されるデータ操作を施すフィルタリング手段を設け、このデータ操作が施された画像をもとに電子透かし検出手段にて透かし情報の埋込み位置の周波数成分値を算出し、その周波数成分値またはその周波数成分値から復元される透かし情報を周波数成分値変分決定手段にフィードバックする構成を適用するならば、更によい。
【0053】
また、上記埋込み位置選択手段によって決定された各埋込み位置の周波数成分値を、上記画像の画素値空間中の各点における画素値をもとに計算する周波数成分値計算手段を設け、この各埋込み位置の周波数成分値をもとに、上記周波数成分値変分決定手段が、当該各埋込み位置の周波数成分値の変分を決定する構成とすることも可能である。なお、スペクトル拡散方式を適用する場合には、上記埋込み位置選択手段によって決定された各埋込み位置の周波数成分値を、当該各埋込み位置、上記画像の画素値空間中の各点における画素値、及び疑似乱数生成手段によって生成された上記画像の画素値空間中の各点に対応する疑似乱数をもとに計算する周波数成分値計算手段を設け、この各埋込み位置の周波数成分値をもとに、上記周波数成分値変分決定手段が、当該各埋込み位置の周波数成分値の変分を決定する構成とすればよい。
【0054】
このように、埋込み位置の周波数成分値、つまり少数の点の周波数成分値を求めて周波数成分値の変分を決定することにより、各種の操作の下における周波数成分値の変化に関する一般的性質(例えば、どの周波数成分値の変化も、ある一定の範囲内に収まるという性質)についての情報を利用して、画像に与える知覚的な影響が小さくて済み、且つ埋込みによる周波数成分値の変分が小さな値で済むような設定が可能となる。
【0055】
次に本発明の電子透かし検出装置は、電子透かし埋込み装置によって透かし情報が埋め込まれた周波数空間中の位置を決定する埋込み位置選択手段と、上記透かし情報が埋め込まれた画像の画素値データ、及び上記決定された各埋込み位置をもとに、当該各埋込み位置の周波数成分値を計算する周波数成分値計算手段と、この周波数成分値計算手段によって計算された各埋込み位置の周波数成分値をもとに透かし情報を復元する透かし情報復元手段とを備えたことを特徴とする。
【0056】
このように、上記の構成においては、埋込み位置選択手段によって決定された各埋込み位置の周波数成分値を、透かし情報が埋め込まれた画像の画素値空間中の各点における画素値をもとに計算し、その埋込み位置の周波数成分値をもとに透かし情報を復元するようにしている。このため、従来のように透かし情報が埋め込まれた画像の画素値データを直交変換により画素値空間から周波数空間に変換して、周波数空間の画像データを構成する周波数成分値データを取得し、その周波数成分値データから透かし情報を検出するのと比べて、直交変換が不要な分、演算量が減少して高速処理が可能となる。
【0057】
ここで、周波数空間における透かし情報の埋込み位置(u,v)の周波数成分値F(u,v)は、透かし情報が埋め込まれた画像の画素値空間中の各点における画素値をf(x,y)とすると、直交変換の第1の行列要素A(u,x)及び直交変換の第2の行列要素A(v,y)の計算を行い、その計算結果を用いることで、
F(u,v)=Σx Σy A(u,x)・A(v,y)・f(x,y)
の演算により簡単に算出可能である。
【0058】
また、スペクトル拡散方式を適用して透かし情報が埋め込まれた画像を透かし情報検出の対象として扱う電子透かし検出装置では、透かし情報が埋め込まれた画像の画素値データ、埋込み位置選択手段によって決定された各埋込み位置、及びスペクトル拡散に用いられた疑似乱数系列をもとに、当該各埋込み位置の周波数成分値を周波数成分値計算手段にて計算する構成とすることで、高速処理が図れる。
【0059】
ここでは、周波数空間における透かし情報の埋込み位置(u,v)の周波数成分値F(u,v)は、透かし情報が埋め込まれた画像の画素値空間中の各点における画素値をf(x,y)、対応する疑似乱数をp(x,y)とすると、直交変換の第1の行列要素A(u,x)及び直交変換の第2の行列要素A(v,y)の計算を行い、その計算結果を用いることで、
F(u,v)=Σx Σy p(x,y)・A(u,x)
・A(v,y)・f(x,y)
の演算により簡単に算出可能である。
【0060】
ここで、上記の電子透かし埋込み装置の持つ電子透かし埋込み機能と、上記の電子透かし検出装置の持つ電子透かし検出機能の両方を備えた電子透かし埋込み・検出装置を構成することも可能である。このような電子透かし埋込み・検出装置では、両機能に共通の部分は共用する構成とすることで、構成の簡略化を図ることが可能となる。
【0061】
また本発明は、パッチワーク法による画像への透かし情報の埋込みを行う電子透かし埋込み装置において、透かし情報を埋め込むべき周波数空間中の位置の対を周波数成分値に無関係に決定する周波数成分対生成手段と、スペクトル拡散のため上記画像の画素値空間中の各点における画素値に乗じられる疑似乱数を生成する疑似乱数生成手段と、上記生成された疑似乱数を上記画像の画素値データに乗じてスペクトル拡散された画素値データを出力する直接拡散手段と、上記スペクトル拡散された画素値データに直交変換を施し、周波数成分値データを生成する直交変換手段と、上記周波数成分対生成手段によって生成された各埋込み位置の周波数成分の対の第1成分の、上記直交変換手段によって生成された周波数成分値を、透かし情報の値によって変更する第1成分変更手段と、上記周波数成分対生成手段によって生成された各埋込み位置の周波数成分の対の第2成分の、上記直交変換手段によって生成された周波数成分値を、透かし情報の値によって上記第1成分変更手段による変更とは逆方向に変更する第2成分変更手段と、これら第1成分変更手段及び第2成分変更手段によって変更を受けた周波数成分値データに対して逆直交変換を行って画素値データを出力する逆直交変換手段と、この逆直交変換手段から出力された画素値データに対して上記疑似乱数生成手段によって生成された疑似乱数を乗じる逆拡散を行って、透かし情報埋込み済みの画素値データを出力する逆拡散手段とを備えたことを特徴とする。
【0062】
このように、上記の構成においては、パッチワーク法を直接に画像の画素値データに適用するのではなく、一旦、画像の画素値データにPN系列の乱数値を乗じスペクトル拡散した上で、その結果の画像データを周波数変換し、その周波数変換された画像データに対して、周波数成分の対をランダムに生成してパッチワーク法を適用することに特徴がある。
【0063】
画像データに対してスペクトル拡散を行って周波数変換をして得られる周波数成分値データは、正規分布に近い統計的にほぼ一様な分布を持つ。したがって、ランダムに選択される埋込み位置の周波数成分の対の個数が少なくても、当該対の第1成分(一方の成分)及び第2成分(他方の成分)の、上記第1成分変更手段及び第2成分変更手段の変更操作後の周波数成分値の分布に、当該変更操作による統計的に意味のある差が生じ、意味のある透かし埋込みが可能となる。これにより、透かし情報の埋込み時に生成される画素対の必要数を予め見積もることが容易となる。
【0064】
また、上記した新たなパッチワーク法を適用して透かし情報が埋め込まれた画像の画素値データを入力して透かし情報を検出する本発明の電子透かし検出装置は、上記透かし情報が埋め込まれた周波数空間中の位置の対を周波数成分値に無関係に決定する周波数成分対生成手段と、スペクトル拡散のため上記画像の画素値空間中の各点における画素値に乗じられる疑似乱数を生成する疑似乱数生成手段と、上記生成された疑似乱数を上記画像の画素値データに乗じてスペクトル拡散された画素値データを出力する直接拡散手段と、上記スペクトル拡散された画素値データに直交変換を施し、周波数成分値データを生成する直交変換手段と、上記周波数成分対生成手段によって生成された各埋込み位置の周波数成分の対の第1成分の、上記直交変換手段によって生成された周波数成分値の平均値を計算する第1成分平均計算手段と、上記周波数成分対生成手段によって生成された各埋込み位置の周波数成分の対の第2成分の、上記直交変換手段によって生成された周波数成分値の平均値を計算する第2成分平均計算手段と、これら第1成分平均計算手段及び第2成分平均計算手段によって計算された2つの平均値を比較して、その比較結果をもとに上記透かし情報を復元する平均比較手段とを備えたことを特徴とする。
【0065】
このように、透かし情報が埋め込まれた画像の画素値データにPN系列の乱数値を乗じスペクトル拡散した上で、その結果の画像データを周波数変換し、その周波数変換された画像データに対して、透かし情報の埋込み位置の周波数成分の対の第1成分と第2成分のそれぞれの平均値を算出することにより、それぞれ正規分布に近い分布の平均値が求められることから、両平均値を比較することで、埋め込まれた透かし情報を高精度に復元(検出)でき、透かし情報の検出時に生成される画素対の必要数を予め見積もることが容易となる。
【0066】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態につき、画像データに対する透かし情報の埋込み・検出を例に図面を参照して説明する。
【0067】
[第1の実施形態]
図1は本発明の第1の実施形態に係る電子透かし埋込み装置の構成を示すブロック図である。
【0068】
同図において、電子透かし埋込み装置(WM埋込み装置)10は、透かし情報の埋込み対象である画像の画素値データを入力し、透かし情報を埋込んだ後に、透かし情報埋込み済みの画像の画素値データを出力する。この電子透かし埋込み装置10における入出力の形式は、画像全体やフレーム単位に一括して入出力してもよいし、ビットストリームとして連続的に入出力してもよい。この点は、後述する第2の実施形態における電子透かし埋込み装置30においても同様である。
【0069】
電子透かし埋込み装置10は、埋込み位置選択部11と、周波数成分値変分決定部12と、画素値変分計算部13と、画素値変換部14とから構成される。
【0070】
埋込み位置選択部11は、周波数成分値には依存せずに透かし情報を埋め込むべき周波数空間中の位置(埋込み位置)を決定する。以下では、埋込み位置(u,v)が1点であるとして説明するが、複数の点を埋込み位置とすることも可能である。その場合、埋込み位置選択部11は、周波数空間における埋込み位置(u,v)の組Sf を与える。
【0071】
埋込み位置選択部11は、透かし情報の埋込み位置を決定(選択)するのに、例えば画像の周波数空間中の固定的な位置を埋込み位置とする手法を適用する。この他、固定的な位置を埋込み位置とするのではなく、最初の数フレームの情報は固定だがそれ以降は、その固定フレームで読み出した情報に基づき埋込み位置を決定する手法、利用者固有の情報から計算される位置を埋込み位置とする手法、埋込む位置を透かし情報以外の手段で渡す手法、埋込み位置を乱数で生成する手法、利用者毎にその乱数の系列が異なるようにする手法、などが適用可能である。
【0072】
更に、埋込み位置選択部11において、複数位置に埋込まれた透かし情報の間のうなりを回避するように埋込み位置を決定してもよい。例えば、乱数で生成した複数の埋込み位置が画素値空間中の同一点や近傍点で極値を持つ場合には、透かし情報を埋込んでいることが視覚的に認識できることがある。特に、極値の重なりが1点ではなくて1次元的、或いは2次元的な広がりを持つ領域となる場合には、認識されやすい。そこで、埋込み位置選択部11に、複数の埋込み位置の間でこのようなうなりを生ずるか否かを判定する機能を持たせ、埋込み位置の候補を生成する度に、この判定機能によってその候補の妥当性を判定し、不適切な候補と判定した場合には、当該候補を破棄し、適切な候補と判定した場合には、それを埋込み位置の組Sf の要素として選択する構成を付加するようにしてもよい。
【0073】
このような埋込み位置選択部11の構成例を図2(a)に示す。ここでは、埋込み位置選択部11は、例えば乱数により決定される透かしの周波数の対を埋込み位置の候補として複数生成する周波数生成部111と、生成された複数の埋込み位置の候補を入力として、うなりの程度を判定し、うなりの影響を回避するような所定個数(N個)の埋込み位置の組Sf を選択して出力するうなり判定部112とから構成されている。
【0074】
ここで、埋込み位置選択部11を図2(a)のように構成した場合の、当該埋込み位置選択部11での具体的な動作を図2(b)のフローチャートを参照して説明する。
まず、うなり判定部112は、埋込み位置を表す変数iを初期値0に設定すると共に、埋込み位置(ui ,vi )の組Sf を格納するためのバッファ(リスト)を初期化する(ステップS1)。但し、(ui ,vi )=(0,0)は、候補としないものとする。
【0075】
この状態で、うなり判定部112は、周波数生成部111により、乱数によって決まる周波数の対からなる埋込み位置の候補を1つ生成させて、その埋込み位置候補を入力し、(ui ,vi )とする(ステップS2)。
【0076】
次にうなり判定部112は、埋込み位置候補(ui ,vi )についてうなりの程度を評価・判定するための比較対象とする埋込み位置を指す変数jを初期値0に設定する(ステップS3)。この変数jは、第j番目に選択された埋込み位置(Sf の第j番目の埋込み位置)を示す。
【0077】
次にうなり判定部112は、iとjとを比較し(ステップS4)、この例のようにj<iでないならば、その際の埋込み位置候補(ui ,vi )を埋込み位置として選択し、Sf の第j番目に設定する(ステップS5)。
【0078】
ここで、Sf に設定された埋込み位置候補の数がN個、つまりi=N−1に達していないならば(ステップS6)、うなり判定部112はiを1インクリメントする(ステップS7)。そして、うなり判定部112は、周波数生成部111により次の埋込み位置の候補を生成させて、その埋込み位置候補を入力し、(ui ,vi )とする(ステップS2)。
【0079】
次にうなり判定部112は、jを初期値0に設定し、当該jがiより小さいならば、ステップS2で入力した今回の埋込み位置候補(ui ,vi )が第j番目に選択された埋込み位置(ui ,vi )、つまり(uj ,vj )に対してうなりの影響を及ぼすか否かを判定する(ステップS8)。即ち、2つ以上の異なる周波数を持つ波(透かし)は、必ずうなりを生ずるため、うなり判定部112は、うなりを生ずる領域を小さな領域、小さな次元に抑えることを目的として、うなりの程度の判定を次のように行う。
【0080】
まず、2以上の周波数からなる周波数の組の間に整数比が成立する場合、それらの周波数の最小公倍数を周波数とする大きなうなりが発生する。例えば、2次元の広がりを持つ画像中において、2つの周波数の透かしの間に周波数が整数比を持っている場合、このうなりのピークは1次元状の広がりを持った格子模様状の領域を示す。そこで、うなり判定部112では、複数の周波数の間にこのような整数比、或いは近似的に整数比が成立するか否かを判定することで、うなりの程度の判定結果とするようにしている。
【0081】
具体的には、うなり判定部112は上記ステップS8において、埋込み位置候補(ui ,vi )の成分(周波数)と、第j番目に選択された埋込み位置(uj ,vj )の成分との間の次の関係
(ui*vj−vi*uj)/{|(ui,vi)|*|(uj,vj)|}
が、以下の判定条件
−ε<(ui*vj−vi*uj)/{|(ui,vi)|*|(uj,vj)|}<+ε
を満たすか否かにより、うなりの影響の有無を判定する。ここで、εは1≫εとなる正数であって、予め適当な数値を与えておけばよい。なお、|(u,v)|はベクトル(u,v)の大きさを表す。
【0082】
つまり、2つの周波数成分(ui ,vi )と(uj ,vj )がベクトルとして殆ど同じ方向を持つ場合には、うなりにより1次元または2次元のピークの領域が発生するので、このような関係にある周波数成分の組を排除するように上記の判定条件に従って判定する。
【0083】
さて、上記判定条件を満たす場合には、うなり判定部112は埋込み位置候補(ui ,vi )と埋込み位置(uj ,vj )との間で大きなうなりが発生するものと判定し、当該候補を選択せずに、ステップS2に戻る。そしてうなり判定部112は、周波数生成部111により次の埋込み位置の候補を生成させて、その埋込み位置候補を入力し、(ui ,vi )とし、ステップS3以降の処理を行う。
【0084】
これに対し、上記式を満たさない場合には、うなり判定部112は埋込み位置候補(ui ,vi )と埋込み位置(uj ,vj )との間で大きなうなりが発生しないものと判定し、変数jを1インクリメントする(ステップS9)。もし、この1インクリメント後のjの値がi以上となったならば、うなり判定部112は、今回の埋込み位置候補(ui ,vi )が、既に選択されている全ての埋込み位置(つまりi−1個の埋込み位置)に対してうなりの影響を及ぼさないことを確認できたと判断し、その埋込み位置候補(ui ,vi )を埋込み位置として選択し、Sf の第j番目に設定する(ステップS5)。一方、1インクリメント後のjの値が依然としてiより小さいならば、うなり判定部112は、今回の埋込み位置候補(ui ,vi )が、第j番目に選択された埋込み位置(ui ,vi )、つまり(uj ,vj )に対してうなりの影響を及ぼすか否かを判定するステップS8に進む。
【0085】
やがて、Sf に設定された埋込み位置の個数がN個になると(ステップS6)、うなり判定部112はそのSf の内容、つまりN個の埋込み位置の組を画素値変分計算部13に出力する(ステップS10)。
【0086】
このようにして、(埋込み位置選択部11内の)うなり判定部112が出力したN個の埋込み位置の組の各成分の間には、1次元、或いは2次元の広がりをもったピークを示すうなりは生じない。なお、図2(b)のフローチャートに従う手順は一例であり、要は、周波数生成部111によって逐次生成される埋込み位置候補の中から、その成分の間に大きなうなりを生じる虞のないN個の埋込み位置候補を埋込み位置として選択すればよい。
【0087】
以上は後述する第2の実施形態での埋込み位置選択部31において埋込み位置の組を出力する場合も同様である。
【0088】
周波数成分値変分決定部12は、埋込み位置選択部11が選択した各埋込み位置(u,v)の周波数成分値をどのような値に変更するかを決定する。ここでは、埋込む透かし情報を表現している変分値(埋込み強度λ)が決定(選択)される。この変分値の選択には、例えば透かし情報を2値表現して、ある決められた0を表す変分値と1を表わす変分値をその2値表現に従って選択する手法が適用可能である。埋込み強度λは、画像の周波数成分値の平均値や多数点の周波数成分値には依存しない形で与えることにより、その画像の周波数成分値を必要とせずに選択することができる。例えば、埋込み強度λとして典型的な周波数成分値よりも大きな値(正値)を設定しておき、1を表現する場合には埋込み強度λを変分として選択し、0を表現する場合には埋込み強度λの符号を代えた値を変分として選択することができる。この場合、透かし情報の検出において、周波数成分値が正値の場合には1が、負値の場合には0が埋込まれていたと判定することができる。
【0089】
図15は、埋込み強度λの適切な設定の仕方について周波数成分値F(u,v)の頻度分布を用いて説明するための図である。図中、頻度分布151はスペクトル拡散(SS)による透かし埋込みを適用しない場合、頻度分布152は後述する第2の実施形態におけるスペクトル拡散による透かし埋込みを適用した場合である。
【0090】
ここでは、殆どの埋込み位置(u,v)に対して、λ>|F(u,v)|であるようにλを設定する。周波数成分値の変分ΔF(u,v)=±λより、透かし情報の埋込み後は、周波数成分値は、F(u,v)+ΔF(u,v)=±λ+F(u,v)となり、1を埋込んだ場合には高い確率でλ+F(u,v)>0で正値をとる。これに対し、0を埋込んだ場合には高い確率で−λ+F(u,v)<0で負値をとる。
【0091】
この埋込み強度についてもまた、上記の埋込み位置と同様に、利用者の固有の情報を利用して、利用者毎に異なるように選択する手法を適用することが可能である。
【0092】
なお、複数の埋込み位置がある場合、周波数成分値変分決定部12は、Sf の各点に対応する埋込強度λの組Λを与えるように構成されていればよい。
以上は後述する第2の実施形態における周波数成分値変分決定部32においても同様である。
【0093】
さて、周波数成分値変分決定部12が埋込み位置(u,v)における周波数成分値の変分値をΔF(u,v)と決定すると、位置(u,v)の周波数成分値F(u,v)は、透かし情報埋込み後にF(u,v)+ΔF(u,v)となる。
【0094】
画素値変分計算部13は、透かし情報の埋込みの対象となる画像の画素値空間中の各点(x,y)における画素値の変分Δf(x,y)を、埋込み位置選択部11によって選択された周波数空間中の埋込み位置(u,v)と、周波数成分値変分決定部12によって決定された周波数成分値の変分ΔF(u,v)を入力として計算する。
【0095】
ここでは画素値変分計算部13は、次式(1)
Δf(x,y)=A-1(x,u)・A-1(y,v)・ΔF(u,v)…(1)
に従って画素値の変分Δf(x,y)を計算する。
【0096】
この計算を行う画素値変分計算部13の構成例を図3に示す。
図3の例では、画素値変分計算部13は、第1の行列要素計算部131と、第2の行列要素計算部132と、変分計算部133とから構成される。
【0097】
第1の行列要素計算部131は、埋込み位置選択部11によって選択された周波数空間中の埋込み位置(u,v)を逐次入力して、直交変換の第1の行列要素A-1(x,u)を計算する。一方、第2の行列要素計算部132は同じく周波数空間中の埋込み位置(u,v)を逐次入力して、直交変換の第2の行列要素A-1(y,v)を計算する。
【0098】
変分計算部133は、第1の行列要素計算部131及び第2の行列要素計算部132の計算結果と、周波数成分値変分決定部12によって決定された周波数成分値の変分ΔF(u,v)(=±λ)とを入力し、上記式(1)に従う計算を行うことで、周波数空間中の埋込み位置(u,v)に対応する画素値空間中の各点(x,y)における画素値の変分Δf(x,y)を求める。この変分計算部133によって求められた画素値空間中の各点(x,y)における画素値の変分Δf(x,y)は、画素値変分計算部13の出力として画素値変換部14に送られる。
【0099】
なお、埋込み位置選択部11によって選択される周波数空間中の埋込み位置が複数の場合には、その埋込み位置を(ui ,vi )とすると、各埋込み位置(ui ,vi )毎に、その埋込み位置(ui ,vi )に対応する画素値空間中の各点(x,y)における画素値の変分を求め、その点(x,y)における各埋込み位置(ui ,vi )毎の変分の総和、つまりΣi A-1(x,ui )・A-1(y,vi )・ΔF(ui ,vi )を、画素値の変分Δf(x,y)とすればよい。
【0100】
ところで、画素値が、例えば整数値のような離散的な値をとる場合、画素値の小さな変分は、整数値への丸めの誤差によりゼロとなってしまう。そのため画素値変分計算部13においては、分散して埋込んだ透かし情報までこの丸めの影響によって消されてしまわないように、整数値からのずれを画一的に切り捨てる代わりに、透かし情報が再現されるよう、確率的に、近接の整数値のいずれかにしてもよい。
【0101】
再び図1を参照すると、画素値変換部14は、画素値変分計算部13から送られる画素値空間中の各点(x,y)の画素値の変分Δf(x,y)に従い、画像データの変換を行う。
【0102】
以上に説明したように、本実施形態においては、透かし情報の埋込み処理(に必要な直交変換後の透かし情報の埋込み位置の決定や周波数成分値の変分の決定)が、図20に示した従来技術で必要とする直交変換・逆変換、更には図21に示した従来技術で必要とするスペクトル拡散・逆拡散の計算を行うことなく実現できる。したがって、本実施形態に係る電子透かし埋込み装置10を用いれば、入力画像がストリームデータとして与えられる場合でも、大きな(容量の)バッファを必要とせずに透かし情報を実時間で逐次埋込むことが可能となる。
【0103】
以上の説明では、画像のフレーム全体を1つのブロックとして扱い埋込みを行う場合について述べたが、フレームを複数のブロックに分割した場合のブロックに対して同様の埋込みを適用することも可能である。
【0104】
また、以上は、埋込み対象となるブロックが2次元のブロックである場合を例に説明したが、これに限るものではない。例えば、動画において、時間方向まで含めて埋込み領域とすることにより、ブロックを3次元に拡張することも可能である。
【0105】
これにより、1フレーム内の小さなブロックでは十分に分散させて透かし情報を埋込むことができない場合でも、複数のフレームに亘ることで、十分な画素点数を得ることによって、透かし情報を十分に分散させて埋込むことができる。また、フレームの間引きに強い形で透かし情報を埋込むことも可能である。
【0106】
ブロックを3次元に拡張した場合、大きなバッファに、時間方向に亘るブロックの画素値データを一旦格納してから周波数変換をすると、その処理のために時間的な遅延が生ずるとか、非常に重い処理になってしまうという問題が発生する虞がある。しかし本実施形態においては、入力されたストリームデータに逐次埋込みを行うことができるため、大きなバッファを必要とせず高速に透かし情報を埋込むことが可能である。
【0107】
また、その際、視覚的にブロック境界が認識されることを避けるため、ブロックの領域周辺において透かし情報の埋込みによる画素値の変分をフェードアウトするようにしてもよい。透かし情報はブロック全体に分散して埋込まれているので、ブロックの周辺部のフェードアウトによっても正しく検出することが可能である。
【0108】
3次元画像中のブロックは、フレーム毎の切片が異なる位置に配置されるようオフセットを持っていてもよい。また、そのオフセットはランダムに設定されてもよい。更に、適当な直交変換が定義できるならば、ブロックの形状は直方体である必要はない。また、ブロックが2次元ブロックの場合でも、それを1フレーム内に束縛された形で埋込む必要はなく、3次元画像中に自由に埋込めばよい。
【0109】
図4は本発明の第1の実施形態に係る電子透かし検出装置の構成を示すブロック図である。
同図において、電子透かし検出装置(WM検出装置)20は、図1の電子透かし埋込み装置10により透かし情報が埋め込まれた、透かし情報の検出対象である画像の画素値データを入力し、そこから透かし情報を検出して出力する。
【0110】
電子透かし検出装置20は、埋込み位置選択部21と、周波数成分値計算部22と、透かし情報復元部23とから構成される。
埋込み位置選択部21は、図1の電子透かし埋込み装置10中の埋込み位置選択部11と同様の機能を持ち、当該埋込み位置選択部11による埋込み時に選択した周波数空間中の埋込み位置(u,v)と同じ位置(u,v)を選択する。選択された埋込み位置(u,v)の情報は周波数成分値計算部22に渡される。
【0111】
周波数成分値計算部22は、埋込み位置選択部21により選択された周波数空間中の位置(u,v)の周波数成分値F(u,v)を、次式(2)
F(u,v)=Σx Σy A(u,x)・A(v,y)・f(x,y)…(2)
に従って計算する。ここで、A(u,x),A(v,y)は直交変換の行列要素である。
【0112】
この計算を行う周波数成分値計算部22の構成例を図5に示す。
図5の例では、周波数成分値計算部22は、第1の第1の行列要素計算部221と、第2の行列要素計算部222と、周波数成分値要素計算部223と、累積加算値記憶部224と、加算部225とから構成される。
【0113】
第1の行列要素計算部221は、埋込み位置選択部21によって選択された周波数空間中の埋込み位置(u,v)を逐次入力して、直交変換の第1の行列要素A(u,x)を計算する。一方、第2の行列要素計算部222は同じく周波数空間中の埋込み位置(u,v)を逐次入力して、直交変換の第2の行列要素A(v,y)を計算する。
【0114】
周波数成分値要素計算部223は、第1の行列要素計算部221及び第2の行列要素計算部222の計算結果を入力すると共に、周波数空間中の埋込み位置(u,v)に対応する画素値空間中の各点(x,y)の画素値f(x,y)を逐次入力し、その都度A(u,x)・A(v,y)・f(x,y)、つまり周波数成分値の要素を計算する。
【0115】
累積加算値記憶部224は、現時点までに周波数成分値要素計算部223によって計算されたA(u,x)・A(v,y)・f(x,y)の和(累積値)を記憶するのに用いられる。
【0116】
加算部225は、周波数成分値要素計算部223によってA(u,x)・A(v,y)・f(x,y)が計算される毎に、その計算結果とその時点における累積加算値記憶部224の内容とを加算し、その時点までに周波数成分値要素計算部223によって計算されているA(u,x)・A(v,y)・f(x,y)の和(累積値)を求める。累積加算値記憶部224の内容はこの加算部225の計算結果に更新される。
【0117】
このようにして、埋込み対象であるブロック中のすべての画素の画素値f(x,y)が入力し終え、その最後のf(x,y)についてのA(u,x)・A(v,y)・f(x,y)が周波数成分値要素計算部223にて計算され、その計算結果と累積加算値記憶部224の内容(初期値は0)とが加算部225にて加算されると、その加算結果Σx Σy A(u,x)・A(v,y)・f(x,y)が、埋込み位置選択部21によって選択された埋込み位置(u,v)の周波数成分値F(u,v)として周波数成分値計算部22から透かし情報復元部23に出力される。
【0118】
透かし情報復元部23は、周波数成分値計算部22から出力されるF(u,v)により、埋込まれていた透かし情報を復元する。この復元は、例えばF(u,v)>0ならば1が、F(u,v)<0ならば0が、それぞれ埋込まれていたと推定することで実現可能である。
【0119】
[第2の実施形態]
図6は本発明の第2の実施形態に係る電子透かし埋込み装置の構成を示すブロック図である。
【0120】
同図において、電子透かし埋込み装置(WM埋込み装置)30は、透かし情報(WM)の埋込み対象である画像の画素値データを入力し、透かし情報を埋込んだ後に、透かし情報埋込み済みの画像の画素値データを出力する。この電子透かし埋込み装置30の特徴は、前記第1の実施形態における図1の電子透かし埋込み装置10と異なって、PN系列によるスペクトル拡散を利用した透かし情報の埋込みを行う構成を適用する点にある。
【0121】
電子透かし埋込み装置30は、埋込み位置選択部31と、周波数成分値変分決定部32と、画素値変分計算部33と、画素値変換部34と、PN系列生成部35とから構成される。
【0122】
埋込み位置選択部31は図1中の埋込み位置選択部11と同様であり、周波数成分値には依存せずに透かし情報を埋め込むべき周波数空間中の位置(埋込み位置)を決定する。以下では、埋込み位置(u,v)が1点であるとして説明する。
【0123】
周波数成分値変分決定部32は図1中の周波数成分値変分決定部12と同様であり、埋込み位置選択部11が選択した各埋込み位置(u,v)の周波数成分値をどのような値に変更するかを決定する。ここでは、埋込む透かし情報を表現している変分値(埋込み強度λ)が決定(選択)される。前記第1の実施形態で図15を参照して説明したように、殆どの埋込み位置(u,v)に対して、λ>|F(u,v)|であるようにλを設定する。周波数成分値の変分ΔF(u,v)=±λより、透かし情報の埋込み後は、周波数成分値は、F(u,v)+ΔF(u,v)=±λ+F(u,v)となり、1を埋込んだ場合にはλ+F(u,v)>0で正値をとる。これに対し、0を埋込んだ場合には−λ+F(u,v)<0で負値をとる。
【0124】
周波数成分値変分決定部32が埋込み位置(u,v)における周波数成分値の変分をΔF(u,v)と決定すると、位置(u,v)の周波数成分値F(u,v)は、透かし情報埋込み後にF(u,v)+ΔF(u,v)となる。
【0125】
PN系列生成部35は、スペクトル拡散のため画素値に乗じられる疑似乱数を生成する。つまり、透かし情報の埋込みの対象となる画像の各画素(x,y)に対して、乱数値p(x,y)を生成する。なお、1つのブロックに複数ビットの情報を埋込む場合には、すべての透かし情報を同一PN系列によりスペクトル拡散された画像データに対して埋込む方法と、複数の異なるPN系列によりスペクトル拡散されたデータに対して一部ずつ埋込む方法の、いずれの方法も適用可能である。
【0126】
画素値変分計算部33は、透かし情報の埋込みの対象となる画像の画素値空間中の各点(x,y)における画素値の変分Δf(x,y)を、埋込み位置選択部31によって選択された周波数空間中の埋込み位置(u,v)と、周波数成分値変分決定部32によって決定された周波数成分値の変分ΔF(u,v)と、PN系列生成部35によって生成されたPN系列の乱数値p(x,y)を入力として計算する。
【0127】
ここでは画素値変分計算部33は、次式(3)
Δf(x,y)=p(x,y)・A-1(x,u)
・A-1(y,v)・ΔF(u,v)…(3)
に従って画素値の変分Δf(x,y)を計算する。
【0128】
この計算を行う画素値変分計算部33の構成例を図7に示す。
図7の例では、画素値変分計算部33は、第1の行列要素計算部331と、第2の行列要素計算部332と、変分計算部333とから構成される。
【0129】
第1の行列要素計算部331は、前記第1の実施形態における図3中の第1の行列要素計算部131と同様であり、埋込み位置選択部31によって選択された周波数空間中の埋込み位置(u,v)を逐次入力して、直交変換の第1の行列要素A-1(x,u)を計算する。一方、第2の行列要素計算部332は上記図3中の第2の行列要素計算部132と同様であり、上記周波数空間中の埋込み位置(u,v)を逐次入力して、直交変換の第2の行列要素A-1(y,v)を計算する。
【0130】
変分計算部333は、第1の行列要素計算部331及び第2の行列要素計算部332の計算結果と、周波数成分値変分決定部32によって決定された周波数成分値の変分ΔF(u,v)と、PN系列生成部35によって生成されたPN系列の乱数値p(x,y)を入力し、上記式(3)に従う計算を行うことで、周波数空間中の埋込み位置(u,v)に対応する画素値空間中の各点(x,y)における画素値の変分Δf(x,y)を求める。この変分計算部333によって求められた画素値空間中の各点(x,y)における画素値の変分Δf(x,y)は、画素値変分計算部33の出力として画素値変換部34に送られる。
【0131】
再び図6を参照すると、画素値変換部34は、画素値変分計算部33から送られる画素値空間中の各点(x,y)の画素値の変分Δf(x,y)に従い、画像データの変換(画素値の変更)を行う。
【0132】
以上に説明したように、本実施形態においては、透かし情報の埋込み処理(に必要な直交変換後の透かし情報の埋込み位置の決定や周波数成分値の変分の決定)が、図20に示した従来技術で必要とする直交変換・逆変換、更には図21に示した従来技術で必要とするスペクトル拡散・逆拡散の計算を行うことなく実現できる。したがって、本実施形態に係る電子透かし埋込み装置30を用いれば、入力画像がストリームデータとして与えられる場合でも、大きな(容量の)バッファを必要とせずに透かし情報を実時間で逐次埋込むことが可能となる。
【0133】
図8は本発明の第2の実施形態に係る電子透かし検出装置の構成を示すブロック図である。
同図において、電子透かし検出装置(WM検出装置)40は、図6の電子透かし埋込み装置30により透かし情報が埋め込まれた、透かし情報の検出対象である画像の画素値データを入力し、そこから透かし情報を検出して出力する。
【0134】
電子透かし検出装置40は、埋込み位置選択部41と、周波数成分値計算部42と、透かし情報復元部43と、PN系列生成部44とから構成される。
【0135】
埋込み位置選択部41は、図6の電子透かし埋込み装置30中の埋込み位置選択部31と同様の機能を持ち、当該埋込み位置選択部31による埋込み時に選択した周波数空間中の埋込み位置(u,v)と同じ位置(u,v)を選択する。選択された埋込み位置(u,v)の情報は周波数成分値計算部42に渡される。
【0136】
PN系列生成部44は、図6の電子透かし埋込み装置30内のPN系列生成部35と同様の機能を持ち、透かし情報の埋込み時に当該PN系列生成部35が生成したPN系列と同じPN系列を生成する。
【0137】
周波数成分値計算部42は、埋込み位置選択部41により選択された周波数空間中の位置(u,v)の周波数成分値F(u,v)を、次式(4)
F(u,v)=Σx Σy p(x,y)・A(u,x)
・A(v,y)・f(x,y)…(4)
に従って計算する。ここで、A(u,x),A(v,y)は直交変換の行列要素である。
【0138】
この計算を行う周波数成分値計算部42の構成例を図9に示す。
図9の例では、周波数成分値計算部42は、(前記第1の実施形態における周波数成分値計算部22が持つ第1の第1の行列要素計算部221と、第2の行列要素計算部222と、周波数成分値要素計算部223と、累積加算値記憶部224と、加算部225に相当する)第1の第1の行列要素計算部421と、第2の行列要素計算部422と、周波数成分値要素計算部423と、累積加算値記憶部424と、加算部425とから構成される。
【0139】
第1の行列要素計算部421は、埋込み位置選択部41によって選択された周波数空間中の埋込み位置(u,v)を逐次入力して、直交変換の第1の行列要素A(u,x)を計算する。一方、第2の行列要素計算部422は同じく周波数空間中の埋込み位置(u,v)を逐次入力して、直交変換の第2の行列要素A(v,y)を計算する。
【0140】
周波数成分値要素計算部423は、第1の行列要素計算部421及び第2の行列要素計算部422の計算結果を入力すると共に、周波数空間中の埋込み位置(u,v)に対応する画素値空間中の各点(x,y)の画素値f(x,y)及びPN系列生成部44により生成されるPN系列の乱数値p(x,y)を逐次入力し、その都度p(x,y)・A(u,x)・A(v,y)・f(x,y)、つまり周波数成分値の要素を計算する。
【0141】
累積加算値記憶部424は、現時点までに周波数成分値要素計算部423によって計算されたp(x,y)・A(u,x)・A(v,y)・f(x,y)の和(累積値)を記憶するのに用いられる。
【0142】
加算部425は、周波数成分値要素計算部423によってp(x,y)・A(u,x)・A(v,y)・f(x,y)が計算される毎に、その計算結果とその時点における累積加算値記憶部424の内容とを加算し、その時点までに周波数成分値要素計算部423によって計算されているp(x,y)・A(u,x)・A(v,y)・f(x,y)の和(累積値)を求める。累積加算値記憶部424の内容はこの加算部425の計算結果に更新される。
【0143】
このようにして、埋込み対象であるブロック中のすべての画素の画素値f(x,y)が入力し終え、その最後のf(x,y)についてのp(x,y)・A(u,x)・A(v,y)・f(x,y)が周波数成分値要素計算部423にて計算され、その計算結果と累積加算値記憶部424の内容とが加算部425にて加算されると、その加算結果Σx Σy p(x,y)・A(u,x)・A(v,y)・f(x,y)が、埋込み位置選択部41によって選択された埋込み位置(u,v)の周波数成分値F(u,v)として周波数成分値計算部42から透かし情報復元部43に出力される。
【0144】
透かし情報復元部43は、周波数成分値計算部42から出力されるF(u,v)により、埋込まれていた透かし情報を復元する。この復元は、例えばF(u,v)>0ならば1が、F(u,v)<0ならば0が、それぞれ埋込まれていたと推定することで実現可能である。
【0145】
[第3の実施形態]
図10は本発明の第3の実施形態に係る電子透かし埋込み装置の構成を示すブロック図である。
【0146】
図10(a)の電子透かし埋込み装置(WM埋込み装置)50は、透かし情報の埋込み処理に必要な埋込み強度といったパラメータを適応的に決定することによって、透かし情報のより確実な検出、更には知覚的影響のより小さな透かし情報の埋込みを実現するために、前記第1の実施形態における電子透かし埋込み装置10または前記第2の実施形態における電子透かし埋込み装置30に相当する電子透かし埋込み部(WM埋込み部)51、及び前記第1の実施形態における電子透かし検出装置20または前記第2の実施形態における電子透かし検出装置40に相当する電子透かし検出部(WM検出部)52を備えたことを特徴とする。
【0147】
電子透かし検出部52は、電子透かし埋込み部51により透かし情報が埋め込まれた場合、その透かし情報が埋め込まれた画像から当該透かし情報を直ちに検出する。この電子透かし検出部52において透かし情報を検出する際には、前記第1の実施形態における電子透かし検出装置20の構成(図4参照)または前記第2の実施形態における電子透かし検出装置40の構成(図8参照)から容易に理解できるように、透かし情報の埋込み位置(u,v)の周波数成分値F(u,v)が(図4中の周波数成分値計算部22または図8中の周波数成分値計算部42により)計算される。
【0148】
そこで、例えば図11(a)に示すように、この周波数成分値を、(図1中の周波数成分値変分決定部12または図6中の周波数成分値変分決定部32に相当する)電子透かし埋込み部51内の周波数成分値変分決定部512にフィードバックする。
【0149】
周波数成分値変分決定部512は、電子透かし検出部52によりフィードバックされた周波数成分値をもとに、埋込み位置(u,v)における周波数成分値の変分値、つまり透かし情報の埋込み強度を適応的に変更する。
【0150】
なお、電子透かし検出部52から電子透かし埋込み部51内の周波数成分値変分決定部512にフィードバックする情報として、周波数成分値ではなくて、図11(b)に示すように、その周波数成分値をもとに復元される透かし情報を、フィードバックする構成としてもよい。この場合、周波数成分値変分決定部512は、電子透かし検出部52によりフィードバックされた透かし情報をもとに、埋込み位置(u,v)における周波数成分値の変分値、つまり透かし情報の埋込み強度を適応的に変更すればよい。
【0151】
このように、電子透かし埋込み部51により透かし情報が埋め込まれた画像から電子透かし検出部52にて当該透かし情報を直ちに検出し、その検出した透かし情報自体、或いはその透かし情報の検出(復元)に用いられた周波数成分値を電子透かし埋込み部51にフィードバックして、それ以降の透かし情報の埋込み処理における周波数成分値の変分(埋込み強度)を適応的に変更することで、新たに埋込まれる透かし情報の検出時の正しい検出の確率を高めることが可能となる。
【0152】
なお、電子透かし埋込み部51により透かし情報が埋め込まれた画像を対象とする操作(例えば画像の圧縮/伸張)が予め予想される場合、例えば図10(b)の電子透かし埋込み装置(WM埋込み装置)500のように、その操作をモデル化したフィルタリング(例えば圧縮/伸張)を行うフィルタリング部53を設け、当該フィルタリング部53によるフィルタリングの結果に対して電子透かし検出部52による検出を行い、その結果を電子透かし埋込み部51にフィードバックさせるようにしても構わない。
【0153】
この他に、電子透かし埋込み部51にフィードバックされる情報としては、透かし情報の検出結果以外に、透かし情報が埋め込まれた画像の視覚(知覚)的影響を評価した結果を適用することも可能である。このような構成例を図12(a),(b)に示す。
【0154】
図12(a)の構成では、電子透かし埋込み部51から出力される透かし情報が埋め込まれた画像の画素値を入力として、当該画像の視覚的(知覚的)影響(透かし情報埋込み前の元画像からの視覚的な歪み)を検出・評価する知覚的影響検出部541を備えており、その知覚的影響検出部541での評価結果を電子透かし埋込み部51(内の例えば図11に示した周波数成分値変分決定部512)にフィードバックする。
【0155】
一方、図12(b)の構成では、電子透かし埋込み部51内の例えば図11に示した周波数成分値変分決定部512で決定された周波数成分値の変分(つまり、電子透かし埋込み部51での透かし情報埋込みで用いられたパラメータ)を入力として、当該電子透かし埋込み部51によって透かし画像が埋め込まれた画像の視覚的影響(歪み)を検出・評価する知覚的影響検出部542を備え、その知覚的影響検出部542での評価結果を電子透かし埋込み部51(内の例えば図11に示した周波数成分値変分決定部512)にフィードバックする。
【0156】
上記知覚的影響検出部541または542での視覚的(知覚的)な影響の評価には、SN比による評価方式、或いは知覚モデルに基づく評価方式が適用可能である。
【0157】
[第4の実施形態]
前記第1の実施形態及び第2の実施形態における電子透かし埋込み装置において、埋込み位置や埋込み強度を周波数成分値に依存した値に設定することが考えられる。ところが、周波数空間中の多数の位置の周波数成分値を求める必要があるような埋込み強度の決定では、計算量が大きくなるため、大きなブロックサイズを選択することが困難となる。そこで本実施形態では、埋込み位置は周波数成分値に依存せず、埋込み強度のみが少数の点における周波数成分値に依存するような方式を適用する。
【0158】
図13は本発明の第4の実施形態に係る電子透かし埋込み装置の構成を示すブロック図である。
同図において、電子透かし埋込み装置(WM埋込み装置)60は、透かし情報の埋込み位置の周波数成分値を計算し、その値に基づき埋込み強度を決定する方式を適用するもので、埋込み位置選択部61と、周波数成分値変分決定部62と、画素値変分計算部63と、画素値変換部64と、PN系列生成部65と、画素値読取部66と、周波数成分値計算部67とから構成される。
【0159】
画素値読取部66は、透かし情報の埋込みの対象となる画像の画素値空間中の各点(x,y)における画素値f(x,y)を読み取る。
周波数成分値計算部67は前記第2の実施形態における図8の電子透かし検出装置40中の周波数成分値計算部42に相当するもので、(図8中の埋込み位置選択部41に相当する)埋込み位置選択部61によって決定された埋込み位置(u,v)の周波数成分値F(u,v)を、画素値読取部66により読み取られた画素値空間中の各点(x,y)における画素値f(x,y)、(図8中のPN系列生成部44に相当する)PN系列生成部65により生成される画素(x,y)に対する乱数値p(x,y)をもとに、前記式(4)に従って計算する。なお、PN系列生成部65を用いない構成、即ちPN系列によるスペクトル拡散を用いない構成であれば、周波数成分値F(u,v)を前記式(2)に従って計算すればよい。
【0160】
周波数成分値変分決定部62は、この埋込み位置(u,v)の周波数成分値F(u,v)をもとに、当該埋込み位置(u,v)の周波数成分値の変分ΔF(u,v)を決定(選択)する。
【0161】
画素値変分計算部63は(前記第2の実施形態における図6中の画素値変分計算部33に相当するもので)、透かし情報の埋込みの対象となる画像の画素値空間中の各点(x,y)における画素値の変分Δf(x,y)を、埋込み位置選択部61によって選択された周波数空間中の埋込み位置(u,v)と、周波数成分値変分決定部62によって決定された周波数成分値の変分ΔF(u,v)と、PN系列生成部65によって生成されたPN系列の乱数値p(x,y)を入力として計算する。
【0162】
画素値変換部64は、画素値変分計算部63で求められる画素値空間中の各点(x,y)の画素値の変分Δf(x,y)に従い、画像データの変換を行う。
【0163】
図13の構成の特徴は、各種の操作の下における周波数成分値の変化に関する一般的性質についての情報を利用して、画像に与える知覚的な影響が小さくて済み、且つ埋込みによる周波数成分値の変分が小さな値で済むように、周波数成分値変分決定部62にて埋込み強度を設定できる点にある。これについて、図16及び図17を参照して説明する。
【0164】
図16は、圧縮・伸張の操作によって画像の周波数成分値がどのように変化するかを表す図である。
図から明らかなように、どの周波数成分値の変化も、ほぼ±δの範囲内に収まっている。このように、殆どすべての画像データに対してこのような性質が成立するので、ある程度の大きさを持つ変分δを設定するならば、どのような画像でも殆どの周波数成分値の変化はこの±δの範囲内に収まることになる。
【0165】
この性質を利用することで、図13の電子透かし埋込み装置60による透かし情報の埋め込みにおいて、周波数成分値変分決定部62は、例えば、1を埋め込む場合にはδ−F(u,v)を、0を埋め込む場合には−δ−F(u,v)を、それぞれ変分として決定することができる。この場合、埋め込み時の丸めの誤差を除けば、埋め込み直後の周波数成分値は、1が埋め込まれている場合にδとなり、0が埋め込まれている場合には−δとなる。このδは、前記第1の実施形態、或いは第2の実施形態で設定された埋込み強度λに比べて一般に小さな値であり、λが典型的な周波数成分値よりも大きく設定する必要があったのに対して、δは典型的な周波数成分値として設定することができるので、画像に与える知覚的な影響を小さくすることができる。
【0166】
図17は、画像への知覚的影響をより小さくするための周波数成分値の変分の与え方を表わす図である。
同図において、δ′はδよりも少し大きく設定されているとする。また、周波数成分値の値域は、2δ′の間隔で部分領域に分割されているとし、例えば第i番目の部分領域は、(2i−1)δ′から(2i+1)δ′の間の領域とする。
【0167】
ここでは、周波数成分値変分決定部62は、1を埋込む場合には、iが偶数ならば(2i+1)δ′−F(u,v)を、iが奇数ならば(2i−1)δ′−F(u,v)を、0を埋め込む場合には、iが偶数ならば(2i−1)δ′−F(u,v)を、iが奇数ならば(2i+1)δ′−F(u,v)を、それぞれ変分として選択する。
【0168】
さて、以上の周波数成分値の変分の決定機能を有する電子透かし埋込み装置60によって透かし情報が埋め込まれた画像から、当該透かし情報を電子透かし検出装置によって検出するには、図8中の透かし情報復元部43に相当する透かし情報復元部において、埋込み位置における周波数成分値が最近接の(2i+1)δ′なるiの値を求め、iが奇数ならば1が、iが偶数ならば0が埋込まれていたものと判断すればよい。この方式では、埋込み時の周波数成分値の変分の絶対値は、最大でも2δ′に抑えることができる。
【0169】
以上は、本発明を電子透かし埋込み装置に実施した場合について説明したが、電子透かしの埋込み機能と検出機能の両機能を併せ持つ、電子透かし埋込み・検出装置にも同様に適用可能である。
【0170】
図14は、図13の電子透かし埋込み装置60と同様の電子透かしの埋込み機能に加えて、電子透かしの検出機能を持つ電子透かし埋込み・検出装置(WM埋込み・検出装置)70の構成を示すブロック図である。なお、図13と同一部分には同一符号を付してある。
【0171】
同図において、図13の電子透かし埋込み装置60に相当する電子透かし埋込み部(WM埋込み部)71は、当該電子透かし埋込み装置60と同様に、埋込み位置選択部61と、周波数成分値変分決定部62と、画素値変分計算部63と、画素値変換部64と、PN系列生成部65と、画素値読取部66と、周波数成分値計算部67とから構成される。
【0172】
一方、電子透かし検出部(WM検出部)72は、埋込み位置選択部61と、PN系列生成部65と、画素値読取部66と、周波数成分値計算部67と、(図8中の透かし情報復元部43に相当する)透かし情報復元部73とから構成される。ここで、埋込み位置選択部61、PN系列生成部65、画素値読取部66、及び周波数成分値計算部67は、電子透かし埋込み部71と共用される。
【0173】
このように、電子透かし検出部72の一部の機能を電子透かし埋込み部71と共用する構成を適用することで、電子透かし埋込み部71と電子透かし検出部72で同一機能を重複して持つことを避けることが可能となる。このことは、PN系列生成部65を持たない構成においても同様であり、埋込み位置選択部、画素値読取部及び周波数成分値計算部を共用すればよい。また、図1の電子透かし埋込み装置10と図4の電子透かし検出装置20の両機能を持つ装置を実現する場合、或いは図6の電子透かし埋込み装置30と図8の電子透かし検出装置40の両機能を持つ装置を実現する場合にも同様に適用可能である。前者の例では、埋込み位置選択部を共用し、後者の場合には埋込み位置選択部及びPN系列生成部を共用すればよい。
【0174】
[第5の実施形態]
図18は本発明の第5の実施形態に係る電子透かし埋込み装置の構成を示すブロック図である。
【0175】
同図において、電子透かし埋込み装置(WM埋込み装置)180は改良されたパッチワーク法による透かし情報の埋込み手法を適用するものであり、周波数成分対生成部181と、PN系列生成部182と、直接拡散部183と、直交変換部184と、第1成分変更部185と、第2成分変更部186と、逆直交変換部187と、直接拡散部188とから構成される。
【0176】
周波数成分対生成部181は、透かし情報を埋め込むべき周波数空間中の位置の対<(au,av),(bu,bv)>を周波数成分値に無関係に決定(生成)する。
【0177】
PN系列生成部182は、スペクトル拡散のため透かし情報の埋込み対象となる画像の画素値空間中の各点における画素値に乗じられる疑似乱数(の系列)を生成する。
【0178】
直接拡散部183は、PN系列生成部182によって生成された疑似乱数を上記画像の画素値データに乗じることで、スペクトル拡散された画素値データを出力する。
【0179】
直交変換部184は、直接拡散部183によってスペクトル拡散された画素値データに直交変換を施し、周波数成分値データを生成する。
【0180】
第1成分変更部185は、周波数成分対生成部181によって生成された各埋込み位置の周波数成分の対の第1成分(au,av)の、直交変換部184によって生成された周波数成分値aを、透かし情報の値によって例えばある正値Δだけ変更(ここでは、透かし情報1を埋め込む場合には増加、0を埋め込む場合には減少)させる操作を行う。
【0181】
一方、第2成分変更部186は、周波数成分対生成部181によって生成された各埋込み位置の周波数成分の対の第2成分(bu,bv)の、直交変換部184によって生成された周波数成分値bを、透かし情報の値によって上記第1成分変更部185による変更とは逆方向に正値Δだけ変更(ここでは、透かし情報1を埋め込む場合には減少、0を埋め込む場合には増加)させる操作を行う。
【0182】
逆直交変換部187は、第1成分変更部185及び第2成分変更部186による変更操作後の周波数成分値データに対して逆直交変換を行って画素値データを出力する。
【0183】
直接拡散部188は、逆直交変換部187から出力された画素値データに対してPN系列生成部182によって生成された疑似乱数を乗じる逆拡散を行って、透かし情報が埋込まれている画素値データを出力する。
【0184】
このように本実施形態においては、透かし情報の埋込みの対象となる画像データに対して直接拡散部183によりスペクトル拡散を行い、しかる後に直交変換部184により周波数変換をするようにしている。したがって、直交変換部184の周波数変換により得られる周波数成分値データは、正規分布に近い統計的にほぼ一様な分布を持つものとなる。このため、周波数成分対生成部181によりランダムに選択される埋込み位置の周波数成分の対の個数が少なくても、当該対の第1成分及び第2成分の、第1成分変更部185及び第2成分変更部186の変更操作後の周波数成分値の分布に、当該変更操作による統計的に意味のある差が生じ、意味のある透かし埋込みが可能となる。
【0185】
図19は本発明の第5の実施形態に係る電子透かし検出装置の構成を示すブロック図である。
同図において、電子透かし検出装置(WM検出装置)190は、図18の電子透かし埋込み装置180により透かし情報が埋め込まれた、透かし情報の検出対象である画像の画素値データを入力し、そこから透かし情報を検出して出力する。
【0186】
電子透かし検出装置190は、周波数成分対生成部191と、PN系列生成部192と、直接拡散部193と、直交変換部194と、第1成分平均計算部195と、第2成分平均計算部196と、平均比較部197とから構成される。
周波数成分対生成部191は、図18の電子透かし埋込み装置180により透かし情報が埋め込まれた周波数空間中の位置の対を周波数成分値に無関係に決定(生成)する。
【0187】
PN系列生成部192は、スペクトル拡散のため透かし情報の検出対象となる画像の画素値空間中の各点における画素値に乗じられる疑似乱数(の系列)を生成する。
【0188】
直接拡散部193は、PN系列生成部192によって生成された疑似乱数を上記画像の画素値データに乗じることで、スペクトル拡散された画素値データを出力する。
【0189】
直交変換部194は、直接拡散部193によってスペクトル拡散された画素値データに直交変換を施し、周波数成分値データを生成する。
【0190】
第1成分平均計算部195は、周波数成分対生成部191によって生成された各埋込み位置の周波数成分の対の第1成分の、上記直交変換部194によって生成された周波数成分値の平均値を算出する。一方、第2成分平均計算部196は、周波数成分対生成部191によって生成された各埋込み位置の周波数成分の対の第2成分の、上記直交変換部194によって生成された周波数成分値の平均値を算出する。
【0191】
平均比較部197は、第1成分平均計算部195及び第2成分平均計算部196によって算出された2つの平均値を比較し、第1成分の周波数成分値の平均値の方が大きい場合には、1が埋め込まれており、第2成分の周波数成分値の平均値の方が大きい場合には、0が埋め込まれている判定することで、埋め込まれた透かし情報を検出(復元)する。
【0192】
以上は、画像への透かし情報埋込み及び画像からの透かし情報検出に実施した場合について説明したが、本発明は画像以外の例えば音声や音楽等のデジタル著作物への透かし情報埋込み及びそこからの透かし情報検出にも同様に適用可能である。
【0193】
なお、前記第1の実施形態で適用した図1の電子透かし埋込み装置10の構成及び図4の電子透かし検出装置20の構成、第2の実施形態で適用した図6の電子透かし埋込み装置30の構成及び図8の電子透かし検出装置40の構成、第3の実施形態で適用した図10の電子透かし埋込み装置50または500の構成、第4の実施形態で適用した図13の電子透かし埋込み装置60の構成及び図14の電子透かし埋込み・検出装置の構成、前記第5の実施形態で適用した図18の電子透かし埋込み装置180の構成及び図19の電子透かし検出装置190の構成は、コンピュータをその構成要素である各機能手段として機能させるためのプログラムを、ROM、CD−ROM、DVD−ROM、フロッピーディスク、ハードディスク、メモリカード等の機械読み取り可能な記録媒体に記録し、当該プログラムをコンピューにより読み取り実行させることでも実現可能である。このプログラムが、ネットワーク等の通信回線を介してダウンロードされるものであっても構わない。
【0194】
【発明の効果】
以上詳述したように本発明によれば、透かし情報の埋込みの際に、大きなブロックサイズを選択した場合でも、スペクトル拡散・逆拡散、直交変換・逆変換の計算コストを小さくできるため、高速に透かし情報の埋込みが行えるようになる。このため、従来は性能的な観点からハードウェア的に実装する以外に手段がなかったが、ソフトウェアによる実装が可能となる。また、透かし情報の埋め込み機能をハードウェア回路で実現する場合には、従来より小さなハードウェアコストでの実現が可能となる。
【0195】
また本発明によれば、透かし情報の埋込みの際に、大きなブロックサイズの領域を選択して、視覚的な画像の劣化を小さく抑えたまま、D/A変換、A/D変換を始めとする各種の操作に対して、透かし情報が失われないようにすることが可能となる。
【0196】
また本発明によれば、高速な透かし情報の埋込みにより、画像等のデータの利用・転送時に利用者や転送先の情報を埋め込むフィンガープリント装置を実現することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る電子透かし埋込み装置の構成を示すブロック図。
【図2】図1中の埋込み位置選択部11の構成例と、当該埋込み位置選択部11の動作を説明するためのフローチャートとを示す図。
【図3】図1中の画素値変分計算部13の構成例を示すブロック図。
【図4】本発明の第1の実施形態に係る電子透かし検出装置の構成を示すブロック図。
【図5】図4中の周波数成分値計算部22の構成例を示すブロック図。
【図6】本発明の第2の実施形態に係るスペクトル拡散方式を適用する電子透かし埋込み装置の構成を示すブロック図。
【図7】図6中の画素値変分計算部33の構成例を示すブロック図。
【図8】本発明の第2の実施形態に係るスペクトル拡散方式を適用する電子透かし検出装置の構成を示すブロック図。
【図9】図8中の周波数成分値計算部42の構成例を示すブロック図。
【図10】本発明の第3の実施形態に係る透かし情報検出に基づく適応的な透かし情報の埋込みを行う電子透かし埋込み装置の構成を示すブロック図。
【図11】図10中の電子透かし埋込み部51に設けられ、フィードバック情報に基づいて周波数成分値の変分を決定する周波数成分値変分決定部512の機能を説明するための図。
【図12】画像の歪みをフィードバックして周波数成分値の変分を適応的に変化させることで透かし情報の埋込みを行う電子透かし埋込み装置の構成例を示すブロック図。
【図13】本発明の第4の実施形態に係る埋込み位置の周波数成分値に基づく埋込み強度決定機能を持つ電子透かし埋込み装置の構成を示すブロック図。
【図14】図13の電子透かし埋込み装置と同様の電子透かしの埋込み機能に加えて、電子透かしの検出機能を持つ電子透かし埋込み・検出装置の構成を示すブロック図。
【図15】埋込み強度λの適切な設定の仕方について周波数成分値Fの頻度分布を用いて説明するための図。
【図16】圧縮・伸張の操作による画像の周波数成分値の変化を表す図。
【図17】画像への知覚的影響を小さくするための周波数成分値の変分の与え方を説明するための図。
【図18】本発明の第5の実施形態に係る改良されたパッチワーク法を適用した電子透かし埋込み装置の構成を示すブロック図。
【図19】本発明の第5の実施形態に係る改良されたパッチワーク法を適用して埋め込まれた透かし情報の検出を行う電子透かし検出装置の構成を示すブロック図。
【図20】周波数空間で透かし情報を埋め込む従来の電子透かし埋込み装置の構成を示すブロック図。
【図21】図20の電子透かし埋込み装置で周波数空間に埋め込まれた透かし情報を検出する従来の電子透かし検出装置の構成を示すブロック図。
【図22】スペクトル拡散された画像に対して周波数空間で透かし情報を埋め込む従来の電子透かし埋込み装置の構成を示すブロック図。
【図23】図22の電子透かし埋込み装置でスペクトル拡散された画像の周波数空間に埋め込まれた透かし情報を検出する従来の電子透かし検出装置の構成を示すブロック図。
【図24】パッチワーク法を適用する従来の電子透かし埋込み装置の構成を示すブロック図。
【図25】図24の電子透かし埋込み装置による透かし情報埋込み前の全画素の画素値の分布と、埋込み後の画素の対の第1及び第2成分の画素値の分布を示す図。
【図26】図24の電子透かし埋込み装置で埋め込まれた透かし情報を検出する従来の電子透かし検出装置の構成を示すブロック図。
【符号の説明】
10,30,50,60,180,500…電子透かし埋込み装置(WM埋込み装置)
11,21,31,41,61…埋込み位置選択部
12,32,62,512…周波数成分値変分決定部
13,33,63…画素値変分計算部
14,34,64…画素値変換部
20,40,70,190…電子透かし検出装置(WM検出装置)
22,42,67…周波数成分値計算部
23,43,73…透かし情報復元部
35,44,65,182,192…PN系列生成部
51,71…電子透かし埋込み部(WM埋込み部)
52,72…電子透かし検出部(WM検出部)
53…フィルタリング部
66…画素値読取部
131,221,331,421…第1の行列要素計算部
132,222,332,422…第2の行列要素計算部
133,333…変分計算部
181,191…周波数成分対生成部
183,188,193…直接拡散部
184,194…直交変換部
185…第1成分平均計算部
186…第2成分変更部
187…逆直交変換部
195…第1成分平均計算部
196…第2成分平均計算部
197…平均比較部
223,423…周波数成分値要素計算部
541,542…知覚的影響検出部
Claims (10)
- 透かし情報の埋込み対象となる画像の画素値データを入力し、透かし情報を埋込んだ後に、透かし情報埋込み済みの画像の画素値データを出力する電子透かし埋込み装置において、
前記透かし情報を埋め込むべき周波数空間中の位置を周波数成分値に無関係に決定する埋込み位置選択手段と、
前記埋込み位置選択手段によって決定された各埋込み位置の周波数成分値の変分を決定する周波数成分値変分決定手段と、
前記画像の画素値空間中の各点における画素値の変分を、前記埋込み位置選択手段によって決定された周波数空間中の埋込み位置、及び前記周波数成分値変分決定手段によって決定された周波数成分値の変分をもとに計算する画素値変分計算手段であって、前記画像の画素値空間中の各点における画素値の変分をΔf(x,y)、前記埋込み位置選択手段によって決定された周波数空間中の埋込み位置を(u,v)、前記周波数成分値変分決定手段によって決定された周波数成分値の変分をΔF(u,v)とすると、直交変換の第1の行列要素A -1 (x,u)及び直交変換の第2の行列要素A -1 (y,v)を計算し、その計算結果から、次式
Δf(x,y)=A -1 (x,u)・A -1 (y,v)・ΔF(u,v)
に従って画素値の変分Δf(x,y)を計算する画素値変分計算手段と、
前記画素値変分計算手段によって計算された画素値空間中の各点の画素値の変分に従い、前記画像の対応する画素値データを変更することで透かし情報の埋込みを行う画素値変換手段とを具備することを特徴とする電子透かし埋込み装置。 - 透かし情報の埋込み対象となる画像の画素値データを入力し、透かし情報を埋込んだ後に、透かし情報埋込み済みの画像の画素値データを出力する電子透かし埋込み装置において、
前記透かし情報を埋め込むべき周波数空間中の位置を周波数成分値に無関係に決定する埋込み位置選択手段と、
前記埋込み位置選択手段によって決定された各埋込み位置の周波数成分値の変分を決定する周波数成分値変分決定手段と、
スペクトル拡散のため前記画像の画素値空間中の各点における画素値に乗じられる疑似乱数を生成する疑似乱数生成手段と、
前記画像の画素値空間中の各点における画素値の変分を、前記埋込み位置選択手段によって決定された周波数空間中の埋込み位置、前記周波数成分値変分決定手段によって決定された周波数成分値の変分、及び前記疑似乱数生成手段によって生成された前記画像の画素値空間中の各点に対応する疑似乱数をもとに計算する画素値変分計算手段であって、前記画像の画素値空間中の各点における画素値の変分をΔf(x,y)、前記埋込み位置選択手段によって決定された周波数空間中の埋込み位置を(u,v)、前記周波数成分値変分決定手段によって決定された周波数成分値の変分をΔF(u,v)、前記疑似乱数生成手段によって生成された疑似乱数をp(x,y)とすると、直交変換の第1の行列要素A -1 (x,u)及び直交変換の第2の行列要素A -1 (y,v)を計算し、その計算結果から、次式
Δf(x,y)=p(x,y)・A -1 (x,u)
・A -1 (y,v)・ΔF(u,v)
に従って画素値の変分Δf(x,y)を計算する画素値変分計算手段と、
前記画素値変分計算手段によって計算された画素値空間中の各点の画素値の変分に従い、前記画像の対応する画素値データを変更することで透かし情報の埋込みを行う画素値変換手段とを具備することを特徴とする電子透かし埋込み装置。 - 透かし情報の埋込み対象となる画像の画素値データを入力し、透かし情報を埋込んだ後に、透かし情報埋込み済みの画像の画素値データを出力する電子透かし埋込み装置において、
前記透かし情報を埋め込むべき周波数空間中の位置を周波数成分値に無関係に決定する埋込み位置選択手段と、
前記埋込み位置選択手段によって決定された各埋込み位置の周波数成分値を、前記画像の画素値空間中の各点における画素値をもとに計算する周波数成分値計算手段と、
前記埋込み位置選択手段によって決定された各埋込み位置の前記周波数成分値計算手段によって計算された周波数成分値をもとに、前記各埋込み位置の周波数成分値の変分を決定する周波数成分値変分決定手段と、
前記画像の画素値空間中の各点における画素値の変分を、前記埋込み位置選択手段によって決定された周波数空間中の埋込み位置、及び前記周波数成分値変分決定手段によって決定された周波数成分値の変分をもとに計算する画素値変分計算手段であって、前記画像の画素値空間中の各点における画素値の変分をΔf(x,y)、前記埋込み位置選択手段によって決定された周波数空間中の埋込み位置を(u,v)、前記周波数成分値変分決定手段によって決定された周波数成分値の変分をΔF(u,v)とすると、直交変換の第1の行列要素A -1 (x,u)及び直交変換の第2の行列要素A -1 (y,v)を計算し、その計算結果から、次式
Δf(x,y)=A -1 (x,u)・A -1 (y,v)・ΔF(u,v)
に従って画素値の変分Δf(x,y)を計算する画素値変分計算手段と、
前記画素値変分計算手段によって計算された画素値空間中の各点の画素値の変分に従い、前記画像の対応する画素値データを変更することで透かし情報の埋込みを行う画素値変換手段とを具備することを特徴とする電子透かし埋込み装置。 - 透かし情報の埋込み対象となる画像の画素値データを入力し、透かし情報を埋込んだ後に、透かし情報埋込み済みの画像の画素値データを出力する電子透かし埋込み装置において、
前記透かし情報を埋め込むべき周波数空間中の位置を周波数成分値に無関係に決定する埋込み位置選択手段と、
スペクトル拡散のため前記画像の画素値空間中の各点における画素値に乗じられる疑似乱数を生成する疑似乱数生成手段と、
前記埋込み位置選択手段によって決定された各埋込み位置の周波数成分値を、当該各埋込み位置、前記画像の画素値空間中の各点における画素値、及び前記疑似乱数生成手段によって生成された前記画像の画素値空間中の各点に対応する疑似乱数をもとに計算する周波数成分値計算手段と、
前記埋込み位置選択手段によって決定された各埋込み位置の前記周波数成分値計算手段によって計算された周波数成分値をもとに、前記各埋込み位置の周波数成分値の変分を決定する周波数成分値変分決定手段と、
前記画像の画素値空間中の各点における画素値の変分を、前記埋込み位置選択手段によって決定された周波数空間中の埋込み位置、前記周波数成分値変分決定手段によって決定された周波数成分値の変分、及び前記疑似乱数生成手段によって生成された前記画像の画素値空間中の各点に対応する疑似乱数をもとに計算する画素値変分計算手段であって、前記画像の画素値空間中の各点における画素値の変分をΔf(x,y)、前記埋込み位置選択手段によって決定された周波数空間中の埋込み位置を(u,v)、前記周波数成分値変分決定手段によって決定された周波数成分値の変分をΔF(u,v)、前記疑似乱数生成手段によって生成された疑似乱数をp(x,y)とすると、直交変換の第1の行列要素A -1 (x,u)及び直交変換の第2の行列要素A -1 (y,v)を計算し、その計算結果から、次式
Δf(x,y)=p(x,y)・A -1 (x,u)
・A -1 (y,v)・ΔF(u,v)
に従って画素値の変分Δf(x,y)を計算する画素値変分計算手段と、
前記画素値変分計算手段によって計算された画素値空間中の各点の画素値の変分に従い、前記画像の対応する画素値データを変更することで透かし情報の埋込みを行う画素値変換手段とを具備することを特徴とする電子透かし埋込み装置。 - コンピュータを、
透かし情報を埋め込むべき周波数空間中の位置を周波数成分値に無関係に決定する埋込み位置選択手段と、
前記埋込み位置選択手段によって決定された各埋込み位置の周波数成分値の変分を決定する周波数成分値変分決定手段と、
前記透かし情報の埋込み対象となる画像の画素値空間中の各点における画素値の変分を、前記埋込み位置選択手段によって決定された周波数空間中の埋込み位置、及び前記周波数成分値変分決定手段によって決定された周波数成分値の変分をもとに計算する画素値変分計算手段であって、前記画像の画素値空間中の各点における画素値の変分をΔf(x,y)、前記埋込み位置選択手段によって決定された周波数空間中の埋込み位置を(u,v)、前記周波数成分値変分決定手段によって決定された周波数成分値の変分をΔF(u,v)とすると、直交変換の第1の行列要素A -1 (x,u)及び直交変換の第2の行列要素A -1 (y,v)を計算し、その計算結果から、次式
Δf(x,y)=A -1 (x,u)・A -1 (y,v)・ΔF(u,v)
に従って画素値の変分Δf(x,y)を計算する画素値変分計算手段と、
前記画素値変分計算手段によって計算された画素値空間中の各点の画素値の変分に従い、前記画像の対応する画素値データを変更することで透かし情報の埋込みを行う画素値変換手段として機能させるためのプログラムを記録した機械読み取り可能な記録媒体。 - コンピュータを、
透かし情報を埋め込むべき周波数空間中の位置を周波数成分値に無関係に決定する埋込み位置選択手段と、
前記埋込み位置選択手段によって決定された各埋込み位置の周波数成分値の変分を決定する周波数成分値変分決定手段と、
スペクトル拡散のため前記透かし情報の埋込み対象となる画像の画素値空間中の各点における画素値に乗じられる疑似乱数を生成する疑似乱数生成手段と、
前記画像の画素値空間中の各点における画素値の変分を、前記埋込み位置選択手段によって決定された周波数空間中の埋込み位置、前記周波数成分値変分決定手段によって決定された周波数成分値の変分、及び前記疑似乱数生成手段によって生成された前記画像の画素値空間中の各点に対応する疑似乱数をもとに計算する画素値変分計算手段であって、前記画像の画素値空間中の各点における画素値の変分をΔf(x,y)、前記埋込み位置選択手段によって決定された周波数空間中の埋込み位置を(u,v)、前記周波数成分値変分決定手段によって決定された周波数成分値の変分をΔF(u,v)、前記疑似乱数生成手段によって生成された疑似乱数をp(x,y)とすると、直交変換の第1の行列要素A -1 (x,u)及び直交変換の第2の行列要素A -1 (y,v)を計算し、その計算結果から、次式
Δf(x,y)=p(x,y)・A -1 (x,u)
・A -1 (y,v)・ΔF(u,v)
に従って画素値の変分Δf(x,y)を計算する画素値変分計算手段と、
前記画素値変分計算手段によって計算された画素値空間中の各点の画素値の変分に従い、前記画像の対応する画素値データを変更することで透かし情報の埋込みを行う画素値変換手段として機能させるためのプログラムを記録した機械読み取り可能な記録媒体。 - コンピュータを、
透かし情報を埋め込むべき周波数空間中の位置を周波数成分値に無関係に決定する埋込み位置選択手段と、
前記埋込み位置選択手段によって決定された各埋込み位置の周波数成分値を前記透かし情報の埋込み対象となる画像の画素値空間中の各点における画素値をもとに計算する周波数成分値計算手段と、
前記埋込み位置選択手段によって決定された各埋込み位置の前記周波数成分値計算手段によって計算された周波数成分値をもとに、前記各埋込み位置の周波数成分値の変分を決定する周波数成分値変分決定手段と、
前記画像の画素値空間中の各点における画素値の変分を、前記埋込み位置選択手段によって決定された周波数空間中の埋込み位置、及び前記周波数成分値変分決定手段によって決定された周波数成分値の変分をもとに計算する画素値変分計算手段であって、前記画像の画素値空間中の各点における画素値の変分をΔf(x,y)、前記埋込み位置選択手段によって決定された周波数空間中の埋込み位置を(u,v)、前記周波数成分値変分決定手段によって決定された周波数成分値の変分をΔF(u,v)とすると、直交変換の第1の行列要素A -1 (x,u)及び直交変換の第2の行列要素A -1 (y,v)を計算し、その計算結果から、次式
Δf(x,y)=A -1 (x,u)・A -1 (y,v)・ΔF(u,v)
に従って画素値の変分Δf(x,y)を計算する画素値変分計算手段と、
前記画素値変分計算手段によって計算された画素値空間中の各点の画素値の変分に従い、前記画像の対応する画素値データを変更することで透かし情報の埋込みを行う画素値変換手段として機能させるためのプログラムを記録した機械読み取り可能な記録媒体。 - コンピュータを、
透かし情報を埋め込むべき周波数空間中の位置を周波数成分値に無関係に決定する埋込み位置選択手段と、
スペクトル拡散のため前記透かし情報の埋込み対象となる画像の画素値空間中の各点における画素値に乗じられる疑似乱数を生成する疑似乱数生成手段と、
前記埋込み位置選択手段によって決定された各埋込み位置の周波数成分値を、当該各埋込み位置、前記画像の画素値空間中の各点における画素値、及び前記疑似乱数生成手段によって生成された前記画像の画素値空間中の各点に対応する疑似乱数をもとに計算する周波数成分値計算手段と、
前記埋込み位置選択手段によって決定された各埋込み位置の前記周波数成分値計算手段によって計算された周波数成分値をもとに、前記各埋込み位置の周波数成分値の変分を決定する周波数成分値変分決定手段と、
前記画像の画素値空間中の各点における画素値の変分を、前記埋込み位置選択手段によって決定された周波数空間中の埋込み位置、前記周波数成分値変分決定手段によって決定された周波数成分値の変分、及び前記疑似乱数生成手段によって生成された前記画像の画素値空間中の各点に対応する疑似乱数をもとに計算する画素値変分計算手段であって、前記画像の画素値空間中の各点における画素値の変分をΔf(x,y)、前記埋込み位置選択手段によって決定された周波数空間中の埋込み位置を(u,v)、前記周波数成分値変分決定手段によって決定された周波数成分値の変分をΔF(u,v)、前記疑似乱数生成手段によって生成された疑似乱数をp(x,y)とすると、直交変換の第1の行列要素A -1 (x,u)及び直交変換の第2の行列要素A -1 (y,v)を計算し、その計算結果から、次式
Δf(x,y)=p(x,y)・A -1 (x,u)
・A -1 (y,v)・ΔF(u,v)
に従って画素値の変分Δf(x,y)を計算する画素値変分計算手段と、
前記画素値変分計算手段によって計算された画素値空間中の各点の画素値の変分に従い、前記画像の対応する画素値データを変更することで透かし情報の埋込みを行う画素値変換手段として機能させるためのプログラムを記録した機械読み取り可能な記録媒体。 - コンピュータを、
透かし情報が埋め込まれた周波数空間中の位置を決定する埋込み位置選択手段と、
前記透かし情報が埋め込まれた画像の画素値データ、及び前記埋込み位置選択手段によって決定された各埋込み位置をもとに、当該各埋込み位置の周波数成分値を計算する周波数成分値計算手段であって、前記透かし情報が埋め込まれた画像の画素値空間中の各点における画素値をf(x,y)、前記埋込み位置選択手段によって決定された周波数空間中の埋込み位置を(u,v)とすると、直交変換の第1の行列要素A(u,x)及び直交変換の第2の行列要素A(v,y)を計算し、その計算結果から、次式
F(u,v)=Σ x Σ y A(u,x)・A(v,y)・f(x,y)
に従って当該埋込み位置(u,v)の周波数成分値F(u,v)を計算する周波数成分値 変分決定手段と、
前記周波数成分値計算手段によって計算された各埋込み位置の周波数成分値をもとに前記透かし情報を復元する透かし情報復元手段として機能させるためのプログラムを記録した機械読み取り可能な記録媒体。 - コンピュータを、
疑似乱数系列によるスペクトル拡散を利用して透かし情報が埋め込まれた周波数空間中の位置を決定する埋込み位置選択手段と、
前記スペクトル拡散に用いられた疑似乱数系列を生成する疑似乱数生成手段と、
前記透かし情報が埋め込まれた画像の画素値データ、前記埋込み位置選択手段によって決定された各埋込み位置、及び前記疑似乱数生成手段によって生成された疑似乱数系列をもとに、当該各埋込み位置の周波数成分値を計算する周波数成分値計算手段であって、前記透かし情報が埋め込まれた画像の画素値空間中の各点における画素値をf(x,y)、前記埋込み位置選択手段によって決定された周波数空間中の埋込み位置を(u,v)、前記疑似乱数生成手段によって生成された疑似乱数をp(x,y)とすると、直交変換の第1の行列要素A(u,x)及び直交変換の第2の行列要素A(v,y)を計算し、その計算結果から、次式
F(u,v)=Σ x Σ y p(x,y)・A(u,x)
・A(v,y)・f(x,y)
に従って当該埋込み位置(u,v)の周波数成分値F(u,v)を計算する周波数成分値計算手段と、
前記周波数成分値計算手段によって計算された各埋込み位置の周波数成分値をもとに前記透かし情報を復元する透かし情報復元手段として機能させるためのプログラムを記録した機械読み取り可能な記録媒体。
Priority Applications (4)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP34001998A JP4130503B2 (ja) | 1998-11-30 | 1998-11-30 | 電子透かし埋込み装置 |
US09/450,337 US6757405B1 (en) | 1998-11-30 | 1999-11-29 | Digital watermark embedding device, digital watermark detection device and recording medium recording computer readable program for realizing functions of two devices |
DE69940714T DE69940714D1 (de) | 1998-11-30 | 1999-11-29 | Einbettungs- und - Detektionsgeräte für digitale Wasserzeichen |
EP99309490A EP1006710B1 (en) | 1998-11-30 | 1999-11-29 | Digital watermark embedding and detection devices |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP34001998A JP4130503B2 (ja) | 1998-11-30 | 1998-11-30 | 電子透かし埋込み装置 |
Publications (3)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2000165654A JP2000165654A (ja) | 2000-06-16 |
JP2000165654A5 JP2000165654A5 (ja) | 2006-01-05 |
JP4130503B2 true JP4130503B2 (ja) | 2008-08-06 |
Family
ID=18332973
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP34001998A Expired - Fee Related JP4130503B2 (ja) | 1998-11-30 | 1998-11-30 | 電子透かし埋込み装置 |
Country Status (4)
Country | Link |
---|---|
US (1) | US6757405B1 (ja) |
EP (1) | EP1006710B1 (ja) |
JP (1) | JP4130503B2 (ja) |
DE (1) | DE69940714D1 (ja) |
Families Citing this family (57)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US7644282B2 (en) | 1998-05-28 | 2010-01-05 | Verance Corporation | Pre-processed information embedding system |
JP3607521B2 (ja) | 1999-03-24 | 2005-01-05 | 株式会社東芝 | 電子透かし埋込装置、電子透かし検出装置、デジタル情報配布装置及び記憶媒体 |
US6754364B1 (en) * | 1999-10-28 | 2004-06-22 | Microsoft Corporation | Methods and systems for fingerprinting digital data |
WO2001031630A1 (fr) * | 1999-10-29 | 2001-05-03 | Sony Corporation | Procede et appareil de traitement de donnees, et programme de stockage de supports |
JP3567975B2 (ja) * | 2000-01-24 | 2004-09-22 | 日本電気株式会社 | 電子透かし検出・挿入装置 |
US6625297B1 (en) * | 2000-02-10 | 2003-09-23 | Digimarc Corporation | Self-orienting watermarks |
US6737957B1 (en) * | 2000-02-16 | 2004-05-18 | Verance Corporation | Remote control signaling using audio watermarks |
US7142691B2 (en) * | 2000-03-18 | 2006-11-28 | Digimarc Corporation | Watermark embedding functions in rendering description files |
JP3630071B2 (ja) * | 2000-04-05 | 2005-03-16 | 日本電気株式会社 | 電子透かし検出器及びそれに用いる電子透かし検出方法 |
JP2001358935A (ja) * | 2000-06-16 | 2001-12-26 | Sharp Corp | 電子情報埋込み装置および電子情報埋込みプログラムを記録したコンピュータ読取可能な記録媒体 |
KR100359506B1 (ko) | 2000-09-09 | 2002-11-04 | 주식회사 마크애니 | 디지털 영상 워터마킹 장치 및 방법 |
EP1215908A3 (en) * | 2000-12-07 | 2005-05-04 | Sony United Kingdom Limited | Apparatus for detecting and recovering embedded data |
JP3682222B2 (ja) * | 2000-12-11 | 2005-08-10 | 株式会社東芝 | 電子透かし検出装置、電子透かし検出方法及び記録媒体 |
JP3587168B2 (ja) * | 2001-01-23 | 2004-11-10 | 日本ビクター株式会社 | 電子透かし情報埋め込み装置、埋め込み方法、電子透かし情報再生装置及び再生方法 |
JP4635367B2 (ja) * | 2001-04-16 | 2011-02-23 | ソニー株式会社 | 記録方法、記録装置、再生方法及び再生装置 |
JP2002325170A (ja) * | 2001-04-24 | 2002-11-08 | Canon Inc | 画像処理装置及びその方法並びにプログラムコード、記憶媒体 |
JP3861624B2 (ja) * | 2001-06-05 | 2006-12-20 | ソニー株式会社 | 電子透かし埋め込み処理装置、および電子透かし埋め込み処理方法、並びにプログラム |
JP3861623B2 (ja) * | 2001-06-05 | 2006-12-20 | ソニー株式会社 | 電子透かし埋め込み処理装置、および電子透かし埋め込み処理方法、並びにプログラム |
JP2003134330A (ja) * | 2001-10-30 | 2003-05-09 | Sony Corp | 電子透かし埋め込み処理装置、および電子透かし埋め込み処理方法、並びにコンピュータ・プログラム |
US7231061B2 (en) * | 2002-01-22 | 2007-06-12 | Digimarc Corporation | Adaptive prediction filtering for digital watermarking |
US7424128B2 (en) | 2002-04-10 | 2008-09-09 | Pioneer Corporation | Electronic watermark embedding apparatus, electronic watermark embedding method, record medium having electronic watermark and manufacturing method of record medium |
JP4541632B2 (ja) * | 2002-05-13 | 2010-09-08 | パナソニック株式会社 | 電子透かし埋め込み装置、その方法及び記録媒体 |
CA2494554A1 (en) * | 2002-07-29 | 2004-02-05 | International Business Machines Corporation | Method and system for embedding real-time watermark signals |
JP4127636B2 (ja) | 2002-08-30 | 2008-07-30 | 株式会社東芝 | 電子透かし埋め込み装置及び方法 |
JP3960959B2 (ja) * | 2002-11-08 | 2007-08-15 | 三洋電機株式会社 | 電子透かし埋め込み装置と方法ならびに電子透かし抽出装置と方法 |
KR100556848B1 (ko) | 2003-05-13 | 2006-03-10 | 엘지전자 주식회사 | 디지털 워터마킹을 이용한 동영상 부호화/복호화 장치 및방법 |
US20060239501A1 (en) | 2005-04-26 | 2006-10-26 | Verance Corporation | Security enhancements of digital watermarks for multi-media content |
US20080273742A1 (en) * | 2003-12-19 | 2008-11-06 | Koninklijke Philips Electronic, N.V. | Watermark Embedding |
JP2005229176A (ja) * | 2004-02-10 | 2005-08-25 | Oki Electric Ind Co Ltd | 付加情報処理装置,付加情報処理システムおよび付加情報処理方法 |
TWI288873B (en) | 2004-02-17 | 2007-10-21 | Mitsubishi Electric Corp | Method for burying watermarks, method and device for inspecting watermarks |
GB2419762A (en) * | 2004-11-01 | 2006-05-03 | Sony Uk Ltd | Method of generating protected media signals by replacing data bits with hash values |
WO2006053023A2 (en) | 2004-11-09 | 2006-05-18 | Digimarc Corporation | Authenticating identification and security documents |
JP4519678B2 (ja) | 2005-02-21 | 2010-08-04 | 株式会社東芝 | 電子透かし検出方法及び装置、電子透かし埋め込み方法及び装置 |
JP4118279B2 (ja) | 2005-03-11 | 2008-07-16 | 株式会社東芝 | 電子透かし検出装置及びその方法 |
CN100583191C (zh) * | 2005-06-17 | 2010-01-20 | 鸿富锦精密工业(深圳)有限公司 | 文本加密系统及方法 |
CN1881384B (zh) * | 2005-06-17 | 2010-05-26 | 鸿富锦精密工业(深圳)有限公司 | 文本加密系统及方法 |
CN1881383B (zh) * | 2005-06-17 | 2011-07-27 | 鸿富锦精密工业(深圳)有限公司 | 文本加密系统及方法 |
US8020004B2 (en) | 2005-07-01 | 2011-09-13 | Verance Corporation | Forensic marking using a common customization function |
US20070115510A1 (en) * | 2005-11-18 | 2007-05-24 | International Business Machines Corporation | Marking images of text with speckle patterns for theft deterrence |
EP2024970A2 (en) * | 2006-04-25 | 2009-02-18 | Koninklijke Philips Electronics N.V. | Renewable watermark |
US8009861B2 (en) * | 2006-04-28 | 2011-08-30 | Vobile, Inc. | Method and system for fingerprinting digital video object based on multiresolution, multirate spatial and temporal signatures |
US7965838B2 (en) * | 2007-11-30 | 2011-06-21 | Faraday Technology Corp. | Watermark generating circuit and related method thereof |
CN101471779B (zh) * | 2007-12-29 | 2013-03-27 | 日电(中国)有限公司 | 可证数据完整性验证方法、设备和系统 |
US9323902B2 (en) | 2011-12-13 | 2016-04-26 | Verance Corporation | Conditional access using embedded watermarks |
US20140075469A1 (en) | 2012-09-13 | 2014-03-13 | Verance Corporation | Content distribution including advertisements |
US9262793B2 (en) | 2013-03-14 | 2016-02-16 | Verance Corporation | Transactional video marking system |
WO2014176550A1 (en) * | 2013-04-25 | 2014-10-30 | Verance Corporation | Live broadcast content protection based on watermarking |
US9251549B2 (en) | 2013-07-23 | 2016-02-02 | Verance Corporation | Watermark extractor enhancements based on payload ranking |
US9208334B2 (en) | 2013-10-25 | 2015-12-08 | Verance Corporation | Content management using multiple abstraction layers |
US10504200B2 (en) | 2014-03-13 | 2019-12-10 | Verance Corporation | Metadata acquisition using embedded watermarks |
KR101731770B1 (ko) | 2014-03-13 | 2017-04-28 | 베란스 코오포레이션 | 임베디드 코드를 사용한 양방향 콘텐츠 획득 |
US9639911B2 (en) | 2014-08-20 | 2017-05-02 | Verance Corporation | Watermark detection using a multiplicity of predicted patterns |
EP3225034A4 (en) * | 2014-11-25 | 2018-05-02 | Verance Corporation | Enhanced metadata and content delivery using watermarks |
IT201600095893A1 (it) * | 2016-09-23 | 2018-03-23 | Pikkart Srl | Metodo per implementare realta' aumentata |
CN112541853A (zh) * | 2019-09-23 | 2021-03-23 | 阿里巴巴集团控股有限公司 | 数据处理方法、装置及设备 |
CN113822783B (zh) * | 2020-06-30 | 2024-10-18 | 北京沃东天骏信息技术有限公司 | 一种水印添加方法和装置 |
US11722741B2 (en) | 2021-02-08 | 2023-08-08 | Verance Corporation | System and method for tracking content timeline in the presence of playback rate changes |
Family Cites Families (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
EP0959621B1 (en) * | 1993-11-18 | 2001-02-28 | Digimarc Corporation | Video copy control with plural embedded signals |
DE69636084T2 (de) * | 1995-09-28 | 2006-09-14 | Nec Corp. | Verfahren und Vorrichtung zum Einfügen eines Spreizspektrumwasserzeichens in Multimediadaten |
US5689587A (en) * | 1996-02-09 | 1997-11-18 | Massachusetts Institute Of Technology | Method and apparatus for data hiding in images |
US5915027A (en) * | 1996-11-05 | 1999-06-22 | Nec Research Institute | Digital watermarking |
US6185312B1 (en) * | 1997-01-28 | 2001-02-06 | Nippon Telegraph And Telephone Corporation | Method for embedding and reading watermark-information in digital form, and apparatus thereof |
US6192139B1 (en) * | 1999-05-11 | 2001-02-20 | Sony Corporation Of Japan | High redundancy system and method for watermarking digital image and video data |
-
1998
- 1998-11-30 JP JP34001998A patent/JP4130503B2/ja not_active Expired - Fee Related
-
1999
- 1999-11-29 US US09/450,337 patent/US6757405B1/en not_active Expired - Fee Related
- 1999-11-29 DE DE69940714T patent/DE69940714D1/de not_active Expired - Fee Related
- 1999-11-29 EP EP99309490A patent/EP1006710B1/en not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
EP1006710A3 (en) | 2003-10-08 |
EP1006710B1 (en) | 2009-04-15 |
JP2000165654A (ja) | 2000-06-16 |
EP1006710A2 (en) | 2000-06-07 |
DE69940714D1 (de) | 2009-05-28 |
US6757405B1 (en) | 2004-06-29 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP4130503B2 (ja) | 電子透かし埋込み装置 | |
JP3937841B2 (ja) | 情報処理装置及びその制御方法 | |
US6768807B1 (en) | Digital watermark embedding device, digital watermark detection device, digital information distribution device, and, storage medium | |
EP1164543B1 (en) | Digital information embedding/extracting | |
JP3876135B2 (ja) | デジタル画像ウォーターマーキング装置及び方法 | |
US7826637B2 (en) | Digital watermark embedding apparatus, digital watermark detecting apparatus, digital watermark embedding method, digital watermark detecting method and computer program product | |
Bhatnagar et al. | Selective image encryption based on pixels of interest and singular value decomposition | |
Bhatnagar et al. | A new robust adjustable logo watermarking scheme | |
US7065227B2 (en) | Data processing apparatus, image processing apparatus, and method therefor | |
Malik et al. | A reversible data hiding scheme for interpolated images based on pixel intensity range | |
Kacker et al. | Joint halftoning and watermarking | |
Maity et al. | Collusion resilient spread spectrum watermarking in M-band wavelets using GA-fuzzy hybridization | |
US7006659B2 (en) | Method for embedding and extracting a spatial domain blind watermark using sample expansion | |
Rakhmawati et al. | Blind robust image watermarking based on adaptive embedding strength and distribution of quantified coefficients | |
Behnia et al. | Watermarking based on discrete wavelet transform and q-deformed chaotic map | |
JP2003143388A (ja) | 画像処理方法およびその装置ならびに印刷物 | |
JP2003174556A (ja) | 画像処理装置及び画像処理方法 | |
Di et al. | A robust and removable watermarking scheme using singular value decomposition | |
JP3580544B2 (ja) | デジタル情報埋込・抽出装置及びその方法 | |
Bhatnagar et al. | Robust reference-watermarking scheme using wavelet packet transform and bidiagonal-singular value decomposition | |
KR100500144B1 (ko) | 디지털 영상 인증을 위한 디지털 워터마크의 삽입 및추출방법 | |
Roy et al. | A robust reversible image watermarking scheme in DCT domain using Arnold scrambling and histogram modification | |
Phadikar et al. | A new model of QIM data hiding for quality access control of digital image | |
JP2003078756A (ja) | 電子透かし埋込方法及び装置及び電子透かし埋込プログラムを格納した記憶媒体 | |
JP4118776B2 (ja) | 電子透かし埋め込み方法及び抽出方法、ならびに電子透かし装置 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20051111 |
|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20051111 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20070928 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20080205 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20080407 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20080520 |
|
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20080522 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110530 Year of fee payment: 3 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110530 Year of fee payment: 3 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120530 Year of fee payment: 4 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120530 Year of fee payment: 4 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130530 Year of fee payment: 5 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130530 Year of fee payment: 5 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140530 Year of fee payment: 6 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |