JP4130070B2 - パンツ型使い捨ておむつ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、大便後のおむつ替えを衛生的にでき、且つ、はき易くて着用感がよく、吸収性能や防漏性能に優れ、しかも見栄えのよいパンツ型使い捨ておむつに関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
パンツ型の使い捨ておむつは高月齢児や成人失禁者等に広く利用されている。斯かるパンツ型使い捨ておむつは、通常の下着と同じように脱着できる一方で、大便を処理するときには着用者を寝かせてから側部の接合を引き裂き、大便をおむつに保持させた状態で脱がせるようになされている。このようにして大便を処理するときには、お尻の下に、展開された状態のおむつがある状態でお尻を拭くことが多いが、この際、特に高月齢児はじっとしていないことが多く、不意におむつが傾いて排泄物がおむつの外へ出てしまうことがある。また、お尻拭きの時間が長引くと、軟便の場合には幼児の背側に軟便が移行して着用者の背側を汚したり、固形便の場合には転がって背側の方からおむつ外へ落ちてしまう恐れがあった。
【0003】
従って、本発明の目的は、大便後のおむつ替えを衛生的にでき、かつ、はき易くて着用感がよく、吸収性能や防漏性能に優れ、しかも見栄えのよいパンツ型使い捨ておむつを提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は、液透過性の表面シート、液不透過性の裏面シート及び液保持性の吸収体を備え、腹側部の両側縁部と背側部の両側縁部とが接合されて、一対の接合領域、ウエスト開口部及び一対のレッグ開口部が形成されており、該ウエスト開口部及び一対の該レッグ開口部に、その周縁に沿ってウエスト弾性領域及びレッグ弾性領域が形成されているパンツ型の使い捨ておむつにおいて、前記一対の接合領域を引き裂いて展開し、前記表面シート側を上方に向けて自然状態で平らな水平面上に静置した状態において、股下部に、前記吸収体が配された部位の一部が上方に隆起した隆起部が形成されており、該隆起部のおむつ幅方向中央部における最高部位の高さ(H)と、当該状態における、おむつの長手方向における直線長さ(L)とが、5%≦(H/L)×100≦14%の関係にあることを特徴とするパンツ型使い捨ておむつを提供することにより、上記の目的を達成したものである。
【0005】
【発明の実施の形態】
以下、本発明をその好ましい実施形態に基づいて説明する。
本発明の一実施形態としてのパンツ型使い捨ておむつ1は、液透過性の表面シート2、液不透過性の裏面シート3及びこれら両シート間に介在された液保持性の吸収体4を備え、腹側部Aの両側縁部と背側部Bの両側縁部とが互いに接合されて、一対の接合領域S,S、ウエスト開口部D及び一対のレッグ開口部E,Eが形成されている。
【0006】
本実施形態の使い捨ておむつ1において、吸収体4は、中央部分が括れた砂時計状であり、表面シート2及び裏面シート3も該吸収体4の外形に合わせて略同様の形状とされている。また、表面シート2及び裏面シート3は、吸収体4の長手方向の両側縁の外方において互いに接合され、吸収体4の長手方向端縁から延出した部分において互いに接合されている。
【0007】
裏面シート3の外側(おむつ外表面側)には、2枚の外層不織布51,52が配されており、該外層不織布は、吸収体4の長手方向の両端縁及び両側縁よりも使い捨ておむつの外方に向けて延出し、延出した外層不織布により、ウエスト開口部Dの周縁部及びレッグ開口部E,Eの周縁部が形成されている。そして、所定部位の2枚の外層不織布51,52間に、ウエスト弾性部材6、レッグ弾性部材71,72及び胴廻り弾性部材9が配されて、ウエスト弾性領域(ウエストギャザー)60、環状のレッグ弾性領域(レッグギャザー)70及び胴回り弾性領域(胴回りギャザー)90が形成されている。尚、表面シート2、裏面シート3及び吸収体4は一体化されて吸収性本体10を形成しており、該吸収性本体10は、2枚の外層不織布51,52からなる外層体5に接合固定されている。また、吸収体4の両側縁に沿って立体ギャザー8が形成されている。
【0008】
而して、本実施形態のパンツ型使い捨ておむつ1は、一対の接合領域S,Sを引き裂いて展開し、図4及び図5に示すように、その表面シート2側を上方に向けて自然状態で平らな水平面上に静置した状態(静置状態)において、股下部Cに、吸収体4が配された部位の一部が上方に隆起した隆起部Rが形成されており、該隆起部Rのおむつ幅方向中央部における最高部位Tの高さ(H)と、当該状態(静置状態)における、おむつの長手方向における直線長さ(L)とが、以下の関係式(1)を満たしている。
5%≦(H/L)×100≦14% ・・・(1)
【0009】
式(1)について詳細に説明する。通常、パンツ型使い捨ておむつは、股下中央部(長手方向を2等分する中央線付近)を折り返し、レッグ開口部とウエスト開口部との間に存在する側縁部を接合してパンツ型の形態を形成する。このため、股下中央部には、折り返し部(おむつ展開状態においては、折り返しによる折り癖が付いた部分)11が形成されるので、おむつを展開して平面上においたときには、当該折り返し部11を境として、そのおむつ長手方向前後の何れかにおいて吸収体が上方に盛り上がり、それによりおむつの股下部Cに、吸収体4が配された部位の一部が上方に隆起した隆起部Rが形成される。
おむつ替えの際には着用者のお尻を上に持ち上げてお尻を拭いたりするので、展開状態のおむつの背側部における後半部(ウエスト開口部の端縁寄りの部分)に荷重が掛かる。そのため、前記隆起部が、自然状態(すなわち、展開状態で無荷重の状態)でおむつの背側に存在する場合には、これを着用者が踏みつけているとその反動でおむつの腹側が着用者側に引きつけられ、おむつ替えの邪魔となる。また、このような場合には、傾斜が着用者側に向いてしまうので、軟便のときには該軟便が着用者側へ移行する恐れがある。一方、前記隆起部が、自然状態でおむつの腹側に存在する場合には、上述のような問題はないものの、お尻が拭きにくい。
【0010】
本発明者らは、斯かる問題の主な原因が、前記隆起部にあることを見い出し、更に鋭意検討した結果、パンツ型使い捨ておむつの他の利点を損なうことなく、斯かる問題を解決できる条件として、前記関係式(1)を見い出した。
前記比(H/L×100)が14%超である場合は、着用者のサイズ、特におむつの全長に対して隆起部の高さが高すぎ、該隆起部がおむつの股下中央部の前後何れにある場合においても、お尻が拭き難く、特に後方にある場合には、不衛生になりがちである。一方、前記比(H/L×100)が5%未満である場合は、折り返し部11のおむつ内面側に大便を堰き止めるポケットPが十分に形成されないので、粘性の高い軟便や固形便が前後へ移行して着用者の肌を不必要に汚して不衛生になりがちである。斯かる観点から、前記比(H/L×100)の好ましい範囲は、5%以上12%以下、特に5%以上9%以下である。また、前記高さ(H)は、子供用のおむつの場合、20〜45mm、特に20〜35mmであることが好ましい。
【0011】
上記隆起部Rは、パンツ型使い捨ておむつを形成する際に股下中央部に形成された折り返し部11を基端として、レッグ弾性領域70や所望により設けられる立体ギャザー8の弾性部材、吸収体の剛性等複数の因子により吸収体4が折れ曲がることで形成される。しかし、隆起部Rが長手方向に大きく張り出す構成であると着用者のお尻を上に持ち上げるときに該隆起部が邪魔になってしまうため、背中までもかなり浮かせた状態にしなくてはならず、着用者にとっても、おむつ替えをする者にとっても苦痛となる。
このような不都合を防止し、おむつ替えがスムーズに行えるようにする観点から、図5に示すように、パンツ型使い捨ておむつを展開して平らな水平面に静置した状態(静置状態)において、パンツ状に形成したときの二つ折りに起因して形成される折り返し部11から前記隆起部Rの長手方向最先端部12までの直線距離(a)と、背側部B側のウエスト開口部の端縁13から該折り返し部11までの直線距離(b)とが以下の関係式(2)を満たすことが好ましい。
3%≦(a/b)×100≦15% ・・・(2)
特に3%≦(a/b) ×100 ≦12%、更には3%≦(a/b) ×100 ≦10%であると、お尻を持ち上げるときに軽く脚部を持つ程度ですみ、おむつ替えをする者の負担が一層軽減されることから好ましい。
【0012】
また、本発明者らは、隆起部Rの高さが吸収体4の剛性や、レッグ弾性部材71,72の配置の仕方又は伸縮応力によって影響を受けることを見い出した。
本実施形態の使い捨ておむつ1は、吸収体4のテーバーこわさが1〜5cN・cmであり、レッグ弾性領域70は、腹側部Aから股下部Cに亘って配された第1弾性部材71と、背側部Bから股下部Cに亘って配された第2弾性部材72とを備えて形成されており、股下部Cに、第1及び第2弾性部材71,72が環状のレッグ弾性領域70に配された部分からおむつ幅方向中央に向かって延出する延在部Fを有しており、該延在部Fにおける第1及び第2弾性部材71,72は、第1弾性部材の配設領域R1と第2弾性部材の配設領域R2とが重なるように配されており且つおむつ幅方向中央(おむつを幅方向に2等分する中央線)に達しない位置に端部73を有している。
【0013】
本実施形態においては、吸収体4の硬さを、テーバーこわさで1〜5cN・cmという吸収体としては比較的柔らかいものとしてあり、そのため、着用時の肌触りを優しいものとすることができると共に、おむつ替えのときに吸収体4の一部に荷重が大きく掛かった場合であっても、それだけで股下中央部に存在する折り曲げ部(境)11を基点として吸収体4が着用者の腹側へ戻ることを防止することができる。テーバーこわさ値を1cN・cm以上としたのは、吸収体が柔らかすぎると、隆起部がへたってしまい該隆起部が下方への倒れて有効なポケット構造が形成されない場合があるからである。
【0014】
テーバーこわさは、板紙のテーバーこわさ試験機によるこわさ試験方法(JIS P 8125)に記載の方法に従って測定される。具体的には、おむつから取り出した吸収体4を、3.8×7.0cmの寸法に裁断し、この試験片のテーバーこわさを測定する。
【0015】
また、従来の多くの使い捨ておむつに見られるように、股下部Cにレッグ弾性部材を配する場合に、その弾性部材が吸収体を幅方向に横切って配されていると、安定な隆起構造を形成しやすくなり、特に股下部の幅方向中央部では背の高い隆起部を形成してしまう。そのため、股下部においては弾性部材が吸収体を幅方向に横切らないように該弾性部材を左右に分断して配することが考えられるが、このとき幅方向に分断距離を短くして環状のレッグ弾性領域のみを形成させると、着用時には、レッグ開口部の周縁部に過大な力が掛かるため、弾性部材の抜けが生じるおそれがある。
【0016】
本実施形態においては、股下部Cに、第1及び第2弾性部材71,72が環状のレッグ弾性領域70に配された部分からおむつ幅方向中央に向かって延出する延在部Fを設けてあるため、上述したような弾性部材の抜けを防止することができる。これにより、レッグ弾性領域(レッグ開口部ギャザー)を着用時に安定して作用させることができる。
また、第1及び第2弾性部材71,72の端部73が、おむつの幅方向中央に達しないようにしてあるため、股下部Cの幅方向中央部に弾性収縮性がなく、該股下部Cが幅方向に大きく収縮することを防止できるため、股下領域が広く使え、おむつ替えのときに便が側部からはみ出す心配が無くなる。
このような観点から、吸収体4上に存在する延在部Fの長さ(左右延在部の合計長さ,図3中のL1+L1)は、股下部Cにおける吸収体幅W(図3参照)の5〜70%、特に5〜60%が好ましい。尚、L1及びWは、図2に示すように、おむつを展開させ伸張させた状態にて測定する。また、股下部Cの幅方向の過度の収縮が抑制されるため、おむつの見栄えも良い。
【0017】
また、第1及び第2弾性部材71,72とを、第1弾性部材71が配された領域R1と第2弾性部材が配された領域R2とが重なるように配することにより、(1) 股下部Cにおける延在部Fの幅(弾性部材がおむつ長手方向に分散する幅)を狭くすることで、高い隆起部の形成を抑制することができ、また、(2) 着用時には、吸収体の側部が着用者側へ押し上げられるようにしてフィット感を向上させることができる。
斯かる効果の一方又は両方を一層向上させる観点から、延在部Fの幅(領域R1の幅+領域R2の幅−両領域の重なり部分の幅,図3及び図6参照)W2は5〜30mm、特に7〜20mmが好ましい。尚、W2は、図2に示すように、おむつを展開させ伸張させた状態にて測定する。
【0018】
本実施形態の使い捨ておむつ1について更に詳述する。
延在部Fにおける第1及び第2弾性部材71,72は、図3に示すように、少なくともそれぞれの一部が吸収体4と重なっている。そのため、前記効果(1) 及び(2)が一層確実に奏される。
【0019】
また、第1及び第2の弾性部材71,72は、各々複数本(図示例では3本)が配されている。また、第1弾性部材71同士及び第2弾性部材72同士は重なっていない状態で配されている。
更に詳述すると、第1及び第2弾性部材71,72は、各々帯状をなしており、股下部Cにおいては、図3に示すように、3本の第1弾性部材のうち最もレッグ開口部外側(周縁端側)に存在する弾性材料71aに対して第2弾性部材のうち最も外側の弾性材料72aと真中の弾性材料72bとが交差し、第2弾性部材のうち最も外側の弾性材料72aが第1弾性部材の最も内側の弾性材料71cと、第2弾性部材の真中の弾性材料72bが第1弾性部材の真中の弾性材料71bと各々合流し重なって延在部Fを形成している。一方、第2弾性部材のうち最も内側の弾性材料72cは第1弾性部材のうち最も外側の弾性材料71a材料と合流し重なって延在部Fを形成している。複数本の第1及び第2弾性部材を、このような態様で配することにより、第1及び第2弾性部材が一層抜けにくくなる。
【0020】
上述したように、延在部8における第1及び第2弾性部材71,72は、それぞれおむつ幅方向中央に達しない位置に端部73を有している。本実施形態においては、吸収体4の側部においてのみ、両弾性部材71,72が吸収体4に重なるようにしてある。
斯かる構成とすることにより、弾性部材の剛性によって、展開した状態の使い捨ておむつ、特にその吸収体が該弾性部材を契機にして長手方向に大きく折れ曲がることを防止することができる。
特に本発明のおむつにおいては、複数本の第1弾性部材が配設された領域R1と、複数本の第2弾性部材が配設された領域R2とが、延在部Fにおいては重なって存在するため、領域の重なり部分の剛性が一層高くなっている。従って、このような延在部Fを股下部Cを横断して連続的に存在させた場合には、おむつ、特に吸収体の折れ易さが助長され、高い隆起形状が作出され易くなるが、上述したように、第1及び第2弾性部材71,72をおむつ幅方向中央まで延在させない構成とすれば、これを防止することができる。
【0021】
本実施形態においては、延在部Fにおける第1及び第2弾性部材71,72は、吸収体4上おいては、弾性伸縮性を発現しないようになされている。これにより、第1及び第2弾性部材が吸収体の側部において重なっているにも拘わらず、吸収体が幅方向に収縮して吸収効率を低下することを防止することができる。
また、本実施形態においては、上述したように吸収体の側部に延在部が重なって存在するので、吸収体4の幅方向の収縮を防ぎつつ、しかも前記領域R1と前記領域R2とが重なっていることによる高い剛性と、着用時に脚開口部弾性体が腹側及び背側に引っ張られる効果とによって、吸収体の両側が着用者の股下部から上方へ引っ張られてポケットを形成するので漏れ防止効果がより高くなるという効果が奏される。
更に、当該構成は、排便時のおむつ交換の際に側縁の接合部を引き剥がして脱がす時に、排便ポイントが広くかつポケット形状を形成しているために幅方向に便が漏れる恐れが少ないというメリットがある。
【0022】
また、本実施形態の使い捨ておむつ1においては、股下部を一度横断させて配した弾性部材を、股下中央部において切断して延在部を形成しているため、特に図示しないが、該弾性部材が抜けた領域Nにおいては各弾性材料の抜け跡が線状に残っている。
このため、着用時には股下部Cにおいて延在部Fと相俟って弱い一筋の折れ線が生じるが、複数本の第1弾性部材が配設された領域R1と、複数本の第2弾性部材が配設された領域R2とが、延在部において重なっているので、基点部面積(前記折れ線の幅×長さ)も最小限で済むから、隆起部の高さ(H)や隆起部の張り出し長さ(a)を上記範囲内に制御しやすくなる。
【0023】
本実施形態において、前記延在部は、前記使い捨ておむつを展開して伸張した状態において、おむつの長手方向中央(長手方向を2等分する中央線,図2のG−G線)よりも腹側部A側に位置する。これによって、排便部に張り出した隆起部を形成することが容易となる。そして、腹側部A側への偏倚の程度は、おむつの展開且つ伸長状態(図2参照)において、最も腹側部側に存在する弾性部材の縁部と長手方向中央との間の距離D1が、おむつ長手方向の全長L2に対して15%以下、特に10%以下であることが好ましい。
尚、延在部Fにおいて、第1弾性部材の配設領域R1と第2弾性部材の配設領域R2とが離間している場合には、その間隔分吸収性能に不利益であるし、また長手方向に広く弾性体横断領域を有するため、一方の弾性部材が不必要に腹側部に配されるか、又は股下中央部に配されることになるので、着用感が損なわれる。
【0024】
また、本実施形態の使い捨ておむつ1における第1及び第2弾性部材71,72は、レッグ弾性領域70(図2参照)においては、第1固定手段(接着剤)により隣接する外層不織布(シート材)に固定されており、レッグ弾性領域と延在部との境界部付近M(図3参照)においては、第1固定手段よりも狭い範囲に施された第2固定手段(接着剤)、又は前記第1固定手段及び第1固定手段よりも狭い範囲に施された第2固定手段により、厚み方向に隣接する外層不織布(シート材)に固定されている。
【0025】
第1固定手段を、弾性部材に隣接するシート材の全域に亘って施し、これにより、弾性部材を完全に該シート材に固定した場合には、一旦股下部を横断させて配設した弾性部材を切断して左右に分割しようとしても、股下中央部にも弾性部材が弾性伸縮性を発現する状態で残ってしまい、本願発明の効果が奏されない恐れがある。一方、レッグ弾性領域にのみ環状に接着剤を施すことも考えられるが、レッグ開口部は着用者の動きに連動して激しく引っ張られることがあるので、着用者の活発な活動等によっては、股下中央部で切断した弾性部材の伸長状態の解除が、レッグ開口部の縁部に沿って配された部分まで及ぶゴム抜けが生じる可能性がある。
本実施形態のように第1及び第2弾性部材を固定すれば、股下中央部の弾性伸縮性を発現させないようにしつつ、ゴム抜けを防止することができる。
更に、第2固定手段を、第1固定手段よりも狭い範囲に施すことにより、他の領域において余分な接着剤に起因する硬さやごわごわ感が生じるのを防止でき、おむつの風合いを損ねないというメリットもある。
【0026】
第2固定手段(接着剤)を施す部位Mは、切断した弾性部材の伸長状態が、少なくとも切断により生じた切断端部付近において解除される一方、その解除がレッグ開口部の縁部に沿って配された部分まで及ぶことを防止できるような部位であれば良い。また、第1固定手段と第2固定手段との組み合わせとしては、第1固定手段が接着剤で第2固定手段が同種又は異種の接着剤である組み合わせ、第1固定手段が接着剤で第2固定手段がヒートシールである組み合わせ等を挙げることができる。
【0027】
本発明は、上記実施形態に制限されず種々変更可能である。例えば、股下部における第1及び第2弾性部材の配設態様は、図6に示すような態様であっても良い。本発明の使い捨ておむつにおける各部材の形成材料としては、従来の使い捨ておむつに用いられている各種公知のものを用いることができる。
【0028】
【実施例】
〔実施例1〕
図1〜3に示す形態のパンツ型使い捨ておむつを製造した。吸収体は、テーバーこわさ(ガーレ剛性,以下「剛性」という)2cN・cmのものを使用した。レッグ弾性体の股下位置は、最も腹側のもので股下折り曲げ部(長手方向中心)から35mmとし、レッグ弾性体の幅(延在部の幅W,図3及び図6参照)は15mmとした。
このパンツ型使い捨ておむつを、未使用且つ二つ折りした状態(長手方向を2等分した腹側及び背側の内面同士を密着させた状態)において、平滑な水平面上に、その背側を該水平面に当接させて静置し、その腹側から、1.5kgの荷重を、おむつ全面を覆う平板によって5分間加えた。
そして、荷重を取り除いた後、側部の接合部を引き剥がして展開し、図5に示すように、裏面シート側(非肌当接面側)が水平面上に接するようにして水平面上に静置し、更に、その背側部の後半部分(おむつ替え時に着用者の体が載る部分,図5参照)に平板を載せて1.5kgの荷重を加えた。
その状態において、股下部Cに生じた隆起部Rの幅方向中央部の最大高さH、おむつ長手方向全長L、トップシート側から測定した背側ウエスト開口部の縁端13から折れ曲がり部11までの直線長さb、当該折れ曲がり部11から隆起部長手方向先端12までの直線距離aを測定した。その結果を表1に示した。
【0029】
〔実施例2及び3〕
レッグ弾性体の股下位置を、実施例1よりも背側よりへ若干移行し、最も腹側のものの股下折り曲げ部(長手方向中心)からの距離を30mm(実施例2)及び27mm(実施例3)とした以外は、実施例1と同様にしてパンツ型使い捨ておむつを製造した。そして、それぞれについて、実施例1と同様にして各部の値を測定し、その結果を表1に示した。
【0030】
〔比較例1〜4〕
下記の市販のパンツ型使い捨ておむつを用意した。
比較例1:股下部を横断する弾性部材なし、レッグ開口部に沿ってレッグ弾性部材を配置。
比較例2:股下部をレッグ弾性部材が横断、最も腹側の弾性部材の配設位置が折り曲げ部(長手方向中心)から50mm。
比較例3:股下部を横断する弾性部材なし、レッグ開口部に沿ってレッグ弾性部材を配置。吸収体の剛性6N。
比較例4:股下部をレッグ弾性部材が横断、最も腹側の弾性部材の配設位置が折り曲げ部(長手方向中心)から45mm、吸収体の剛性3N。
これらについて、実施例1と同様にして各部の値を測定し、その結果を表1に示した。
【0031】
【表1】
【0032】
<評価>
実施例及び比較例の各使い捨ておむつについて、以下のようにしてお尻の拭き易さ、軟便の移行阻止効果等を評価した。
各おむつを1〜2才前後の幼児に着用させ、次いで、幼児を仰向けに寝かせた状態にておむつを展開し、おむつの背側部上に幼児のお尻ないし背中が位置する状態において、お尻を拭き、そのときのお尻の拭き易さを評価した。
また、幼児の足を軽く上げて背中をおむつ背側部上に残した状態において、股下部の背側部寄りの位置(排便部)に粘性の低い軟便をのせ、次いで、幼児をおむつからどかせた後、軟便の腹側への移動の有無及び程度を観察した。
【0033】
<結果>
実施例のおむつは、いずれもお尻拭きがし易かった。特に実施例1、3では、隆起部の背側方向への張り出しが抑えられているために、幼児の脚をつかんで軽く持ち上げただけでもお尻拭きができ、子供への負担が少なく、子供を嫌がらせたり暴れたりさせずに、容易におむつ替えができた。
また、軟便は、腹側に移行することなく、ポケットに保持されており、軟便の移行阻止効果に優れていた。
これに対して、比較例のおむつは、吸収体の剛性と弾性体の応力によってのみ吸収体の折れ曲がり位置が決定されており、隆起部最大高さが高かったり、隆起部の張り出しが大きく背側方向へ位置しているため、お尻拭きがしずらかったり、お尻拭きのためには、幼児のお尻を無理に持ち上げる等の工夫が必要であった。
【0034】
【発明の効果】
本発明のパンツ型使い捨ておむつは、大便後のおむつ替えを衛生的にでき、且つ、はき易くて着用感がよく、吸収性能や防漏性能に優れ、しかも見栄えのよいものである。
尚、従来のパンツ型使い捨ておむつにおいては、パンツ型の形態にするが故にその展開状態の問題について議論されることが少なく、大便時のおむつ替えについては従来議論されてこなかった。このため、大便時の衛生的なおむつ替えという課題自体従来認識されていなかったが、本発明者らは、斯かる課題自体を見い出し、斯かる課題を解決すべく鋭意検討した結果、本発明を完成するに至ったものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のパンツ型使い捨ておむつの一実施形態を示す斜視図である。
【図2】図1に示す使い捨ておむつの展開且つ伸張状態を示す平面図である。
【図3】図1に示す使い捨ておむつの股下部の弾性部材の配設態様を示す部分拡大平面図(上)及び該平面図のX−X線断面図(下)である。
【図4】図1に示す使い捨ておむつを展開して平坦な水平面上に静置した状態(静置状態)を示す斜視図である。
【図5】図4のY−Y線模式断面図(平板を載置した状態)である。
【図6】本発明のパンツ型使い捨ておむつの他の実施形態を示す要部拡大平面図である。
【符号の説明】
1 パンツ型使い捨ておむつ
2 表面シート
3 裏面シート
4 吸収体
5 外層体
6 ウエスト弾性部材
60 ウエスト弾性領域(ウエストギャザー)
7 レッグ弾性部材
71 第1弾性部材
72 第2弾性部材
70 レッグ弾性領域(レッグギャザー)
9 胴廻り弾性部材
90 胴回り弾性領域(胴回りギャザー)
11 折り返し部
12 隆起部Rの長手方向最先端部
13 ウエスト開口部縁部
A 腹側部
B 背側部
C 股下部
S 接合領域
R 隆起部
Claims (5)
- 液透過性の表面シート、液不透過性の裏面シート及び液保持性の吸収体を備え、腹側部の両側縁部と背側部の両側縁部とが接合されて、一対の接合領域、ウエスト開口部及び一対のレッグ開口部が形成されており、該ウエスト開口部及び一対の該レッグ開口部に、その周縁に沿ってウエスト弾性領域及び一対のレッグ弾性領域が形成されているパンツ型の使い捨ておむつにおいて、
前記一対の接合領域を引き裂いて展開し、前記表面シート側を上方に向けて自然状態で平らな水平面上に静置した状態において、股下部に、前記吸収体が配された部位の一部が上方に隆起した隆起部が形成されており、該隆起部のおむつ幅方向中央部における最高部位の高さ(H)と、当該状態における、おむつの長手方向における直線長さ(L)とが、以下の関係式(1)を満たし、
5%≦(H/L)×100≦14% ・・・(1)
前記吸収体のテーバーこわさが1〜5cN・cmであり、前記レッグ弾性領域は、腹側部から股下部に亘って配された第1弾性部材と背側部から股下部に亘って配された第2弾性部材とを備えて形成されており、股下部に、第1及び第2弾性部材が、環状の前記レッグ弾性領域に配された部分からおむつ幅方向中央に向かって延出する延在部を有しており、該延在部における第1弾性部材及び第2弾性部材は、第1弾性部材の配設領域と第2弾性部材の配設領域とが重なるように配されており且つおむつ幅方向中央に達しない位置に端部を有しており、
第1及び第2弾性部材は、前記レッグ弾性領域においては、第1固定手段により隣接するシート材に固定されており、前記レッグ弾性領域を形成する部分と前記延在部との境界部付近においては、前記第1固定手段よりも狭い範囲に施された第2固定手段、又は前記第1固定手段及び前記第2固定手段により隣接するシート材に固定されているパンツ型使い捨ておむつ。 - 前記静置状態において、パンツ状に形成したときの二つ折りに起因して形成される折り返し部から前記隆起部の長手方向最先端部までの直線距離(a)と、背側部側の前記ウエスト開口部の端縁から前記折り返し部までの直線距離(b)とが以下の関係式(2)を満たす請求項1記載のパンツ型使い捨ておむつ。
3%≦(a/b)×100≦15% ・・・(2) - 前記延在部における第1及び第2弾性部材は、少なくとも一部が吸収体と重なっている請求項1又は2記載のパンツ型使い捨ておむつ。
- 第1及び第2弾性部材は、前記裏面シートとは別体の2枚のシート間に伸長状態で挟持されて該裏面シートの外側に配設されている請求項1〜3の何れか記載のパンツ型使い捨ておむつ。
- 第1及び第2の弾性部材は、それぞれ複数本配設されており、第1弾性部材同士及び第2弾性部材同士は重なっていない請求項1〜4の何れかに記載のパンツ型使い捨ておむつ。
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