JP4121983B2 - シランを末端キャップした湿分硬化性組成物 - Google Patents
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Description
(発明の背景)
ウレタンプレポリマーは、従来はイソシアネート基の幾つかまたは総てを様々な有機官能性シランで末端キャップすることによりその塩基特性を改良しまたは加える目的で修飾されてきた。これらの方法の中で、米国特許第3,632,557号明細書には、第一および第二脂肪族アミノシランによる通常のポリウレタンプレポリマーの完全な末端キャッピングが記載されている。米国特許第3,979,344号明細書には、シーラントの硬化速度を改良する目的で3-(N-2-アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシランを少量含んでなる室温硬化性ケイ素末端有機シーラント組成物が詳細に記載されている。米国特許第4,222,925号明細書には、米国特許第3,979,344号明細書に挙げたのと同じであるが補強用カーボンブラック充填剤をも配合している組成物が記載されている。米国特許第4,645,816号明細書において、少なくとも1個のジアルコキシ基および少なくとも1個の活性水素原子を有する有機官能基を有するシランモノマーから得られるシランで末端キャップしたポリウレタンポリマーを用いて、伸びおよび柔軟性が改良されたシーラントが調製されていた。
本発明の一態様は、
(上記式中、R1は1-10個の炭素原子を有し、場合によっては1個以上のエーテル酸素原子が割込んでいるアルキル基であり、最も好ましくはエチル基であり、R2はC1-C6アルコキシ基またはC6-C8アリールオキシ基であり、R3はアルキル、好ましくは1-6個の炭素原子を有するアルキル、またはアリール基、好ましくは6-8個の炭素原子を有するアリール基であり、Tは4-10個の炭素を有し、場合によっては1個以上のエーテル酸素原子が割込んでいることがある分岐状または環状アルキレン基であり、aは0、1または2である)の複数の末端または側鎖基を有する湿分硬化性ポリマーであるものの組成物である。
(上記式中、T、R1、R2、R3、およびaは上記で定義した通りである)のシランとの反応生成物であるものの組成物である。イソシアネート官能化合物は、ポリオール成分を過剰の二官能価または多官能価イソシアネートと反応させて上記プレポリマーが未反応イソシアネート基を含むようにすることによって調製したプレポリマー化合物であることができる。
総ての米国特許明細書および他の公表文献、および本明細書のどこかに記載されている総ての同時係属米国特許出願明細書の全内容は、その開示の一部として本明細書に引用される。
または3-フェニル-1,3-プロピレンのような側鎖基または内部アリール基を有するアルキレン基が挙げられる。
および
1,4-ジエチレンフェニレン:
のような環状炭化水素残基を含んでなるアルキレン基であってもよい。
N-メチル-3-アミノ-2-メチルプロピルトリメトキシシラン、
N-エチル-3-アミノ-2-メチルプロピルトリメトキシシラン、
N-エチル-3-アミノ-2-メチルプロピルジエトキシメチルシラン、
N-エチル-3-アミノ-2-メチルプロピルトリエトキシシラン、
N-エチル-3-アミノ-2-メチルプロピルメチルジメトキシシラン、
N-ブチル-3-アミノ-2-メチルプロピルトリメトキシシラン、
3-(N-メチル-2-アミノ-1-メチル-1-エトキシ)-プロピルトリメトキシシラン、
N-エチル-4-アミノ-3,3-ジメチルブチルジメトキシメチルシラン、および
N-エチル-4-アミノ-3,3-ジメチルブチルトリメトキシシラン
が挙げられる。
有機および無機主鎖を有するイソシアネート機能性プレポリマーは、周知である。有機主鎖ポリマー系としては、アクリル酸、ポリウレタン、ポリエーテル、ポリエステル、ポリオレフィンなどが挙げられる。無機主鎖系の典型的例としては、ポリオルガノシロキサンが挙げられる。好ましいポリマーは、有機主鎖、特にポリウレタンまたはポリエーテルを有する。応用によっては、任意のこのようなプレポリマーを、式(2)のシランで末端キャッピングすることによって湿分硬化性のシリル化ポリマーの調製に用いることができる。あるいは、シランをモノシアネートと反応させた後、これを用いてポリマーを調製して側鎖アルコキシシラン官能性化合物を生じることができる。
例えば、上記のシラン末端ポリウレタンポリマーを配合するシーラントとして有用な処方物は、シラン末端ポリウレタンポリマー、硬化触媒、および場合によっては架橋剤、充填剤、可塑剤、チキソトロープ剤、酸化防止剤、UV安定剤、脱水剤および/または(複数の)接着促進剤のような一種類以上の通常の機能性アジュバントを互いに十分に混合することによって調製することができる。効果的混合は、二重遊星形ミキサーを用いて行うことができる。典型的には、シラン末端ポリウレタンポリマー、充填剤、安定剤および可塑剤を、80℃で60から90分間混合する。50℃まで冷却した後、所望なシラン接着促進剤、脱水剤、および硬化触媒を加え、混合物を典型的には窒素雰囲気下にて更に30分間攪拌する。
合成例
例1
末端キャッパーA:N-エチルメタリルアミンとトリメトキシシランの反応
1リットルの三つ口丸底フラスコに、磁気攪拌子、標準的加熱マントル、熱伝対、添加漏斗、冷却器、およびN2取入れ口/バブラーを取付けた。フラスコにトリメトキシシラン220g(1.80モル)を加え、60℃に加熱して、この温度でPt[白金として、トリス(ジビニルテトラメチルジシロキサン)二白金(0)]34ppmを加えた。溶液を更に68℃まで加熱した後、N-エチルメタリルアミン150g(1.52モル)を45分間かけて滴加した。添加の後、内容物を90℃まで加熱し、この温度で1時間保持した。次に、温度を105℃まで上昇させ、4.5時間保持した。反応が完了したならば、混合物を室温まで冷却し、メタノール16g(0.5モル)を加え、緩やかに加熱した後蒸留した。真空蒸留による最終的精製を行い、N-エチル-3-アミノ-イソブチルトリメトキシシラン、すなわちN-エチル-3-トリメトキシシリル-2-メチルプロパンアミン273g(1.24モル)を得た。生成物(沸点98から100℃,12mmHg)は、GC/MSによって特性決定した。単離収率は、82%であった。
末端キャッパーB:N-エチル-メタリルアミンとジエトキシメチルシランとの反応
冷却器の代わりに蒸留ヘッドを用いることを除き、装置は例1の装置と同じであった。フラスコに、メチルジエトキシシラン381g(2.84モル)とPt[白金として、トリス(ジビニルテトラメチルジシロキサン)二白金(0)]50ppmを加えた。内容物を90℃まで加熱し、N-エチルメタリルアミン260g(2.63モル)を添加漏斗により30分間かけて加えた。添加が完了したならば直ちに内容物を110℃に加熱し、1時間保持した。生成物を真空蒸留によって単離し、N-エチル-3-アミノ-イソブチルジエトキシメチルシラン、すなわちN-エチル-(3-ジエトキシメチルシリル)-2-メチルプロパンアミン485g(2.08モル)を得た。生成物(88から90g, 27mmHg)は、GC/MSによって特性決定した。単離収率は、79%であった。
イソシアネートプレポリマーの調製
機械攪拌機、加熱マントル、温度計、冷却器および乾燥窒素取入れ口を備えた1000ml反応容器に、液状のジフェニルメタンジイソシアネート62.85g(0.251モル)と平均分子量が4000(NCO:OH=1.5)のポリプロピレングリコール(PPG)669.9g(0.167モル)を加えた。反応容器を50℃まで加温し、ジブチルスズジラウレート触媒(60ppm Sn)を加えた。反応温度を65から70℃まで上昇させた。遊離NCO率(%)が約0.9%と計算されたキャッピング点に到達するまで、反応をこの温度に保持した。遊離NCO率を決定するため、ASTM D 2572試験規格に準じて滴定を行った。
シラン末端ポリウレタンポリマーの調製
ポリマー1
例3と同様にして調製したNCO-末端ポリウレタンプレポリマーが反応容器にあるうちに、例1の末端キャッパーA 38.69g(0.175モル)を加え、混合した。反応を65℃で2時間継続した後、室温まで冷却し、シラン末端ポリウレタンポリマー1を得た。NCO含量は、ASTM D 2572に準じる滴定によって0.0%と決定した。
末端キャッパーAの代わりに末端キャッパーB 40.80gを用いたことを除き、ポリマー1について記載したのと同じ手順を用いて、末端キャップしたポリウレタンプレポリマーを形成した。
末端キャッパーAの代わりにN-フェニル-3-アミノイソブチルメチルジメトキシシラン46.78gを用いたことを除き、ポリマー1について記載したのと同じ手順を用いて、末端キャップしたポリウレタンプレポリマーを形成した。
末端キャッパーAの代わりにN-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン44.84gを用いたことを除き、ポリマー1について記載したのと同じ手順を用いて、末端キャップしたポリウレタンプレポリマーを形成した。
例5
例4のシラン末端ポリウレタンポリマー1 100部、炭酸カルシウム100部、ヒュームドシリカ6部、可塑剤40部、および微量の光安定剤を含んでなるシーラント組成物を調製した。これらの成分を、1クォートのRoss二重遊星ミキサーに加えた。混合物を、真空下にて80℃まで2時間加熱した。次に、混合物を35℃まで冷却し、接着促進剤1.5部およびジブチルスズジラウレート0.063部を加え、更に1時間混合した。次に、混合物を5mmHgより低い圧力まで排気して、Sealant Lを得た。
例4に記載したポリマー1-4を、それぞれジブチルスズジラウレート1重量%とブレンドして、23℃および50%RHの環境チャンバーで3日間硬化した後、50℃の通常のオーブンで4日間硬化した。硬化生成物を、下記のようにして試験した。
上記のように硬化した後、ポリマーを80℃のオーブンに1週間入れて、加速老化の前後の色の変化をMinolta Chroma Meter C210によって測定した。
表3に記載の処方物を、下記のようにして調製した。1クォートの二重遊星ミキサーに、例4に記載のシリル化ポリマーの一つ、SilquestTMA-171 Silane、DIDP、Ultra-pflex、Hi-pflex、Ti-920およびSiO2を加えた。良好な保存寿命を確保するため、総ての充填物を使用前に120℃で少なくとも24時間予備乾燥した。ブレンドを、窒素下にて80℃で60分間40rpmで混合した。50℃まで冷却した後、有機シラン成分(すなわち、2-(アセチルチオ)-1-トリメトキシシラン)およびSul 11Aを加え、混合物を完全な真空下にて更に30分間攪拌した。生成したシーラントを取出し、アルミニウム箔でライニングしたカートリッジに包装した。
シーラント1 ポリマーはポリマー1であった。
シーラント2 ポリマーはポリマー2であった。
比較用A ポリマーはポリマー3であった。
比較用B ポリマーはポリマー4であった。
シーラントを硬化し、接着特性を下記の方法で試験した。試験結果を、表4に示す。
ガラス基材を、イソプロパノール、洗剤(0.1%溶液)、および脱イオン水リンスを用いて十分にクリーニングした。クリーニングした基材を風乾した後、使用した。
ポリマー5(比較用)
末端キャッパーAの代わりにN-ブチル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン41.32gを用いたことを除き、ポリマー1について例4で用いたのと同じ手順を用いて、末端キャップしたポリウレタンポリマーを調製した。
N-ブチル-4-アミノ-3,3-ジメチルブチルトリメトキシシランは、下記のようにして調製した。
磁気攪拌子、加熱マントル、温度計、および冷却器を備えた1リットルの三つ口フラスコに、4-アミノ-3,3-ジメチルブチルトリメトキシシラン664.1g(3モル)および1-クロロブタン69.4g(0.75モル)を加えた。攪拌しながら、フラスコ内容物を125℃まで徐々に加熱し、この温度に全部で13時間保持した。この時点でフラスコ内容物の試料のガスクロマトグラフィー分析を行ったところ、クロロブタンは総てアミノ官能シランとの反応で消費されてしまっていた。フラスコを室温まで冷却し、ナトリウムメトキシドをメタノールに溶解した25%溶液162g(0.75モルのナトリウムメトキシド)を添加漏斗によって滴加した。30分間攪拌した後、フラスコ内容物を濾過して、蒸留し、メタノールおよび過剰の4-アミノ-3,3-ジメチルブチルトリメトキシシランを除去した後、N-ブチル-4-アミノ-3,3-ジメチルブチルトリメトキシシラン160.7g(沸点90-94℃,1mmHg; 58%収率)を得た。構造は、GC-質量スペクトル分析法、および1Hおよび13C NMRスペクトル分析法によって確認した。
比較用Cシーラントおよびシーラント3を、それぞれポリマー5および6を用いて例7と同様の方法で調製した。硬化ポリマーの黄変指数は、例6における方法で測定し、UV老化後のシーラントの接着は例7における方法で測定した。結果を、表6および7に示す。
Claims (10)
- 式
(上記式中、R1は1-10個の炭素原子を有するアルキル基または1-10個の炭素原子を有するアルキル基に1個以上のエーテル酸素原子が割込んだ基であり、R2はC1-C6アルコキシ基またはC6-C8アリールオキシ基であり、R3はアルキル基またはアリール基であり、Tは4-10個の炭素原子を有する分岐状または環状アルキレン基あるいは4-10個の炭素原子を有するアルキレン基中に内部アリール基を有する基において、前記アルキレン基あるいは前記内部アリール基を有する基は1個以上のエーテル酸素原子が割込んだまたは割込んでいない構造を有し、aは0、1または2である)のシランを調製する方法であって、相当する第二アミノ分岐または環状アルケンをアルコキシヒドリドシランまたはアリールオキシヒドリドシランによってヒドロシリル化することを含む上記方法。 - R3が1-6個の炭素原子を有するアルキル基、または6-8個の炭素原子を有するアリール基である、請求項1記載の方法。
- R1がメチル、エチル、プロポキシエチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、第二ブチル、第三ブチル、ヘキシル、2-エチルヘキシル、オクチル、ノニル、デシル、エトキシメチル、エトキシエチル、プロポキシエチル、エトキシプロピルまたはエトキシエトキシプロピルであり;R2がメトキシ、エトキシ、イソプロポキシ、n-プロポキシ、フェノキシまたはトリルオキシ;R3がメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、ヘキシル、フェニル、トリル、ジメチルフェニルまたはエチルフェニルであり;Tがイソブチレン、2,2-ジメチルエチレン、1-メチルプロピレン、3-メチルプロピレン、2,2-ジメチルプロピレン、3-メチルブチレン、3,3-ジメチルブチレン、2-エチルヘキシレン、イソプロポキシプロピレンまたはイソプロポキシイソブチレン;及びaが0または1である、請求項1記載の方法。
- アルコキシヒドリドシランがトリアルコキシヒドリドシランである、請求項1記載の方法。
- トリアルコキシヒドリドシランがトリメトキシシランまたはジエトキシメチルシランであり、相当する第二アミノ分岐アルケンがN-エチルメタリルアミンであり、さらに白金を用いることを含む、請求項4記載の方法。
- 白金が30〜50重量ppmの量で存在し、トリアルコキシヒドリドシランのN-エチルメタリルアミンに対するモル比が1.0〜1.5の範囲内である、請求項5記載の方法。
- ヒドロシリル化工程は50〜150℃の範囲内の高められた温度で、かつ大気圧で行われる、請求項6記載の方法。
- 前記の高められた温度が60〜120℃の範囲内であり、トリアルコキシヒドリドシランのN-エチルメタリルアミンに対するモル比が1.0〜1.2の範囲内である、請求項7記載の方法。
- 白金触媒がトリス(ジビニルテトラメチルジシロキサン)二白金(0)である、請求項5記載の方法。
- N-エチルメタリルアミンが高められた温度でトリアルコキシヒドリドシランを含む混合物へ加えられる、請求項1記載の方法。
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