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JP4120393B2 - 車両用空調装置 - Google Patents

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JP4120393B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は車両用空調装置に関するもので、特に、乗員足元側と乗員の上半身側の両方に風を吹き出すバイレベルモードにおける上下吹出温度差の低減を図るものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、車両用空調装置においては、暖房用熱交換器を通過する温風と暖房用熱交換器をバイパスする冷風との風量割合をエアミックスドアにより調整して、車室内への吹出空気温度を制御する、いわゆるエアミックスタイプの温度制御方式が多く採用されている。
【0003】
このエアミックスタイプの空調装置では、空調ケース内において、車室内の上方側に冷風のバイパス通路を配置し、車室内の下方側に暖房用熱交換器を配置している。これに伴って、空調ケースの下方部にフット開口部を配置し、空調ケースの上方部にフェイス開口部およびデフロスタ開口部を配置している。
【0004】
そして、冷風が流れる冷風バイパス通路と暖房用熱交換器下流側の温風通路との合流部に冷風と温風とを混合する空気混合部を形成し、この空気混合部を通過した空調風をフット開口部、フェイス開口部およびデフロスタ開口部のいずれか1つ、又は複数から車室内へ吹き出すようにしている。
【0005】
ところで、上記のような配置レイアウトにおいては、デフロスタ開口部およびデフロスタドアがエアミックスドア下流側の冷風バイパス通路に面するように配置されるので、フット・デフロスタモード時にどうしても、デフロスタ開口部側への冷風流入量がフット開口部への冷風流入量に比して過大となる。この結果、フット吹出空気温度に比してデフロスタ吹出空気温度が低くなりすぎ、デフロスタ能力(窓ガラス曇り止め能力)の低下を引き起こすという不具合があった。
【0006】
そこで、フット・デフロスタモード時におけるデフロスタ吹出空気温度を上昇させるようにした車両用空調装置が従来提案されている(例えば、特許文献1参照)。この従来技術は、具体的には、デフロスタドア先端部と空調ケースとの間の隙間の調整により、デフロスタ開口部への冷風流入量を抑制し、その代わり、冷温風を混合した所望温度の空調風がデフロスタ開口部へ流入する量を増大し、これによって、デフロスタ吹出空気温度を上昇させ、デフロスタ吹出空気温度とフット吹出温度との温度差を減少させている。
【0007】
【特許文献1】
特開平11−208245号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記の従来技術は、フット・デフロスタモード時におけるデフロスタ吹出空気温度の上昇を実現しているに過ぎず、バイレベルモード時におけるフェイス吹出温度を調整するための機構については全く開示していない。
【0009】
フェイス開口部は空気混合部のうち冷風が主体となる部位(冷風流入側の部位)に連通し、フット開口部は空気混合部のうち温風が主体となる部位(温風流入側の部位)に連通するようになっているので、バイレベルモード時に冷風バイパス通路からの冷風がフェイス開口部に過剰に流入して、フェイス吹出温度がフット吹出温度に比較して低くなりすぎるという不具合が生じる。
【0010】
また、車両用空調装置では、フェイス吹出口として車両計器盤の左右方向の中央部にセンターフェイス吹出口を配置するとともに、車両計器盤の左右両端部付近にサイドフェイス吹出口を配置し、一方、空調ケース側には、センターフェイス吹出口に接続されるセンターフェイス開口部、およびサイドフェイス吹出口に接続されるサイドフェイス開口部を設け、空調ケース側のサイドフェイス開口部は全吹出モードで開口する常開機能を持つように構成し、サイドフェイス吹出口から空調風を常時吹き出すことが可能となる構成が知られている。
【0011】
この構成は、サイドフェイス吹出口を夏期冷房時の冷風吹出用として使用するだけでなく、サイドフェイス吹出口からの温風吹出により、車両側面窓ガラスの防曇作用の発揮、あるいは冬期暖房時に低温の側面窓ガラスからの冷熱輻射による不快感の解消等を図るためである。
【0012】
上記の従来技術にはサイドフェイス吹出口に関して一切記載されていないが、空調ケース側のサイドフェイス開口部に常開機能を設定した場合には、バイレベルモード時以外に、フットモードおよびフット・デフロスタモードにおいて、上記と同様の理由からサイドフェイス吹出温度がフット吹出温度に比較して低くなりすぎるという不具合が生じる。
【0013】
本発明は上記点に鑑みてなされたもので、バイレベルモード時にフェイス吹出温度の上昇を図ることを目的とする。
【0014】
また、本発明は、空調ケース側のサイドフェイス開口部に全吹出モードで開口する常開機能を設定する車両用空調装置において、サイドフェイス吹出温度がフット吹出温度に比較して過度に低くなることを抑制することを他の目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、空気通路を形成する空調ケース(11)と、空調ケース(11)内に配置され、空気を加熱する暖房用熱交換器(13)と、空調ケース(11)内に形成され、暖房用熱交換器(13)をバイパスして冷風が流れる冷風バイパス通路(15)と、空調ケース(11)内に形成され、暖房用熱交換器(13)を通過した温風が流れる温風通路(19)と、空調ケース(11)内に配置され、暖房用熱交換器(13)を通過する温風と冷風バイパス通路(15)を通過する冷風との風量割合を調整するエアミックスドア(16)と、空調ケース(11)内に形成され、温風通路(19)からの温風と冷風バイパス通路(15)からの冷風とを混合する空気混合部(20)と、空調ケース(11)に設けられ、かつ、空気混合部(20)のうち、冷風主体側の部位から空気が流入するフェイス開口部(24、25)と、空調ケース(11)に設けられ、かつ、空気混合部(20)のうち、温風主体側の部位から空気が流入するフット開口部(26)とを備え、
エアミックスドア(16)は回転軸(17)を中心として回転する板ドアにより構成されており、
エアミックスドア(16)の表裏両面のうち、空気混合部(20)側の面に、冷風および温風をガイドするガイド部(16d、16e)を設け、
このガイド部は、回転軸(17)の軸方向と直交する方向に向く板形状、または軸方向と直交する方向から微小角度だけ傾斜する板形状からなる第1ガイド部(16d)と、回転軸(17)の軸方向と平行な方向に向く板形状、または軸方向と平行な方向から微小角度だけ傾斜する板形状からなる第2ガイド部(16e)とを有しており、
第1ガイド部(16d)は回転軸(17)の軸方向に所定間隔を隔てて2箇所配置され、第2ガイド部(16e)は第1ガイド部(16d)に対して回転軸(17)の軸方向の左右外側に一体成形され、
エアミックスドア(16)が冷風バイパス通路(15)の小開度位置に操作されたときに第1ガイド部(16d)により空気混合部(20)を回転軸(17)の軸方向の中央部に配置される第2領域(20b)と、第2領域(20b)の左右両側部に配置される第1領域(20a)とに仕切り、更に、第1領域(20a)における冷風主体側部位の冷風を第2ガイド部(16e)によって第2領域(20b)に向けてガイドするとともに、第1領域(20a)における温風主体側部位の温風を第1ガイド部(16d)によって冷風主体側部位に到達するようにガイドすることを特徴とする。
【0016】
これによると、エアミックスドア(16)に設けた第2ガイド部(16e)によって、第1領域(20a)における冷風主体側部位の冷風を第2領域(20b)に向けてガイドする。これにより、第1領域(20a)では、冷風の代わりに温風が進入しやすくなり、温風を第1ガイド部(16d)によって冷風主体側部位まで容易に到達させることができる。
【0017】
その結果、フェイス開口部(24、25)に空気混合部(20)の冷風主体側部位から空気が流入し、フット開口部(26)に空気混合部(20)の温風主体側部位から空気が流入するようになっていても、空気混合部(20)の冷風主体側部位の空気温度を温風の進入により上昇させることができる。そのため、バイレベルモード時にフェイス吹出温度が過度に低下するという不具合を回避して、適度の上下吹出温度差を設定でき、バイレベルモード時の空調フィーリングを向上できる。
【0018】
請求項2に記載の発明のように、請求項1において、エアミックスドア(16)の回転軸(17)は具体的には、空気混合部(20)の冷風主体側部位および温風主体側部位のうち、温風主体側部位に近接するように配置される。
【0019】
請求項3に記載の発明では、請求項1または2において、空調ケース(11)に、空気混合部(20)の冷風主体側の部位から空気が流入するようにデフロスタ開口部(21)が設けられていることを特徴とする。
【0020】
これにより、フットモードやフットデフロスタモード時のように、デフロスタ開口部(21)とフット開口部(26)の両方から同時に空気を吹き出す吹出モードの際に、デフロスタ吹出温度が過度に低下するという不具合を回避して、適度の上下吹出温度差を設定でき、空調フィーリングを向上できる。
【0021】
請求項4に記載の発明では、請求項1ないし3のいずれか1つにおいて、フェイス開口部として、車両計器盤の左右方向の略中央部に配置されるセンターフェイス吹出口に接続されるセンターフェイス開口部(24)と、車両計器盤の左右方向の両端部付近に配置されるサイドフェイス吹出口に接続されるサイドフェイス開口部(25)とを備え、サイドフェイス開口部(25)は空気混合部(20)と常時連通する常開通路(25a)を有することを特徴とする。
【0022】
これにより、サイドフェイス開口部(25)の常開通路(25a)を通してサイドフェイス吹出口から全吹出モードで空気を吹き出すことができるとともに、サイドフェイス吹出温度フット吹出温度に比較して過度に低くなることを回避して、サイドフェイス吹出に伴う空調フィーリングを向上できる。
【0026】
請求項に記載の発明のように、請求項1ないし4のいずれか1つにおいて、温風通路(19)を、回転軸(17)の軸方向において第1領域(20a)および第2領域(20b)の両方に及ぶように形成すれば、温風通路(19)からの温風を第1領域(20a)と第2領域(20b)に同時に平行して進入させることができる。そのため、、第1領域(20a)への温風進入をスムースに行うことができる。
請求項6に記載の発明では、請求項3において、デフロスタ開口部(21)を開閉するデフロスタドア(22)を有し、
回転軸(17)の軸方向の2箇所に配置される第1ガイド部(16d)の間隔をデフロスタドア(22)の幅寸法と同等の間隔であることを特徴とする。
請求項7に記載の発明では、請求項1ないし6のいずれか1つにおいて、第2ガイド部(16e)は第1ガイド部(16d)よりも低く形成されていることを特徴とする。
【0027】
請求項に記載の発明では、請求項1ないし7のいずれか1つにおいて、空調ケース(11)のうち第1領域(20a)の空気流れ上流部において回転軸(17)の軸方向と直交する方向に板形状で延びる上流側ガイド壁(30)と、
空調ケース(11)のうち、第1領域(20a)の空気流れ下流部において回転軸(17)の軸方向と直交する方向に板形状で延びる下流側ガイド壁(31)とを有することを特徴とする。
【0028】
これにより、ケース側のガイド壁(30、31)によって第1領域(20a)の空気流れ上流部および空気流れ下流部をも区画することができ、第1領域(20a)への温風進入をより一層スムースに行うことができる。
【0029】
請求項に記載の発明のように、請求項ないしのいずれか1つにおいて、回転軸(17)の軸方向を車両左右方向に向けることにより、第1領域(20a)と第2領域(20b)を車両左右方向において仕切る構成とすることができる。
【0030】
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【0031】
【発明の実施の形態】
以下本発明の一実施形態を図に基づいて説明する。図1〜図15は本実施形態を示すものであり、図2は図1のA−A断面図、図3は図1の上面部の斜視図である。図4および図5はいずれも図1のB矢視図であるが、図4はフェイスフット切替ドアを2点鎖線で図示し、図5はデフロスタドアを2点鎖線で図示している。図6は図4、5のC−C断面図で、図7は図4、5のD−D断面図である。
【0032】
なお、図1は図4、5のC−C断面位置による断面図であるが、図4、5とはデフロスタドア位置が相違している。また、図1〜図15において、前後上下左右の各矢印は空調ユニット10の車両搭載状態における方向を示す。
【0033】
本実施形態の車両用空調装置の室内空調ユニット部は、大別して、図示しない送風機ユニットと、図1に示す空調ユニット10との2つの部分に分かれている。送風機ユニットは車室内の計器盤下方部のうち、中央部から助手席側へオフセットして配置されており、これに対し、空調ユニット10は車室内の計器盤下方部のうち、車両左右方向の略中央部に配置されている。
【0034】
送風機ユニットは周知のごとく内気(車室内空気)と外気(車室外空気)を切替導入する内外気切替箱と、この内外気切替箱を通して空気を吸入して送風する送風機とから構成されている。この送風機は周知のように遠心ファンを電動モータにより駆動する電動式のものである。
【0035】
空調ユニット10部は、1つの共通の空調ケース11内に冷房用熱交換器をなす蒸発器12と暖房用熱交換器をなすヒータコア13を両方とも一体的に内蔵するタイプのものである。空調ケース11はポリプロピレンのような、ある程度の弾性を有し、強度的にも優れた樹脂の成形品からなる。空調ケース11は具体的には複数の分割ケース、具体的には、図2から図5に示すように車両左右方向に分割した左側分割ケース11aと右側分割ケース11bとからなり、この複数の分割ケース11a、11bを金属バネクリップ、ネジ等の締結手段により一体に結合したものである。
【0036】
空調ユニット10部は、車室内の計器盤下方部の略中央部に車両の前後方向および上下方向に対して図1に示す形態で配置され、そして、空調ケース11の、最も車両前方側の部位には空気入口空間14が形成されている。この空気入口14には前述の送風機ユニットから送風される空調空気が流入する。
【0037】
空調ケース11内において空気入口14直後の部位に蒸発器12が配置されている。この蒸発器12は車両前後方向には薄型の形態で空調ケース11内通路を横断するように上下方向に配置されている。従って、蒸発器12の車両上下方向に延びる前面に空気入口14からの送風空気が流入する。この蒸発器12は周知のごとく冷凍サイクルの低圧冷媒の蒸発潜熱を空調空気から吸熱して空調空気を冷却するものである。空調ケース11の底部には蒸発器12で発生する凝縮水の排水口11cが開口している。
【0038】
そして、蒸発器12の空気流れ下流側(車両後方側)に所定の間隔を開けてヒータコア13が配置されている。このヒータコア13は空調ケース11内の下方側において車両後方側に傾斜して配置されている。このヒータコア13は、蒸発器12を通過した冷風を再加熱するものであって、その内部に高温の温水(エンジン冷却水)が流れ、この温水を熱源として空気を加熱するものである。
【0039】
空調ケース11内の空気通路において、ヒータコア13の上方部位には、このヒータコア13をバイパスして冷風aが流れる冷風バイパス通路15が形成されている。また、ヒータコア13と蒸発器12との間の部位にはエアミックスドア16が配置されている。
【0040】
エアミックスドア16は回転軸17を中心として回転軸17と一体に回転する板ドアにより構成されている。エアミックスドア16は回転軸17を中心として回転することによりヒータコア13の入口通風路面積と冷風バイパス通路15の面積を変化させ、これにより、冷風バイパス通路15を通ってヒータコア13をバイパスする冷風aとヒータコア13で加熱される温風bとの風量割合を調整する。
【0041】
この冷風aと温風bとの風量割合の調整により車室内への吹出空気温度が調整される。従って、エアミックスドア16により車室内への吹出空気温度を調整する温度調整手段が構成される。
【0042】
エアミックスドア16の回転軸17はヒータコア13の上端部付近にて車両左右方向に延びるように配置され、空調ケース11に回転自在に支持される。回転軸17の一端部は空調ケース11の外部に突出して図示しないリンク機構を介して、サーボモータ等を用いたアクチュエータ機構または手動操作機構に連結され、このアクチュエータ機構または手動操作機構によりエアミックスドア16を回転操作するようになっている。
【0043】
そして、空調ケース11において、ヒータコア13の空気下流側(車両後方側)の部位には、ヒータコア13との間に所定間隔を開けて上下方向に延びる壁面18が空調ケース11に一体成形されている。この壁面18によりヒータコア13の直後から上方に向かう温風通路19が形成されている。温風通路19の下流側(上方側)はヒータコア13の上方部において冷風バイパス通路15と合流し、冷風と温風の混合を行う空気混合部20を形成している。
【0044】
この空気混合部20において車両後方側の部位(図1右側部位)は、温風通路19からの温風が流入する温風主体側の部位となり、これに対し、車両前方側の部位(図1左側部位)は、冷風バイパス通路15からの冷風が流入する冷風主体側の部位となる。
【0045】
なお、エアミックスドア16の回転軸17はヒータコア13の上端部付近に配置されているから、空気混合部20に対しては温風主体側の部位に近接して回転軸17が配置され、エアミックスドア16の先端部が空気混合部20の冷風主体側の部位に近接することになる。
【0046】
一方、空調ケース11の上面部において、車両前方側の部位にはデフロスタ開口部21が開口している。このデフロスタ開口部21は空気混合部20のうち冷風主体側の部位に連通し、この冷風主体側の部位から空調空気が流入する。デフロスタ開口部21は、図示しないデフロスタダクトを介してデフロスタ吹出口に接続され、このデフロスタ吹出口から、車両前面窓ガラスの内面に向けて空調空気を吹き出す。
【0047】
空気混合部20とデフロスタ開口部21との中間部に位置するデフロスタ連通口21aの周縁部にデフロスタシート面21bが空調ケース11に一体形成されている。このデフロスタシート面21bに対してデフロスタドア22が接離することによりデフロスタ連通口21a、ひいてはデフロスタ開口部21が開閉される。
【0048】
デフロスタドア22は本例では回転軸23を中心として回転軸23と一体に回転する板ドアにより構成されている。回転軸23は空調ケース11の上面部近傍にて車両左右方向に延びるように配置され、空調ケース11に回転自在に支持される。
【0049】
デフロスタドア22は樹脂にて回転軸23と一体成形されたドア基板部22aを有している。このドア基板部22aは図8に示すように回転軸23の軸方向に沿って延びる長方形であり、このドア基板部22aの表裏両面に弾性シール材22b、22cを接着等により固着している。なお、図8は図6のE矢視図であり、ドア基板部22aに設ける切り欠き部22dについては後述する。
【0050】
空調ケース11の上面部において、デフロスタ開口部21の車両後方側にセンターフェイス開口部24(図3〜図5参照)およびサイドフェイス開口部25が開口している。更に、空調ケース11の車両後方側の下端部付近の左右両側にフット開口部26が開口している。
【0051】
センターフェイス開口部24およびサイドフェイス開口部25は、フェイス・フット連通口27aおよびフェイス連通口27bを介して空気混合部20に連通している。フット開口部26は、フェイス・フット連通口27a、フット連通口26aおよびフット吹出通路26bを介して空気混合部20に連通している。ここで、フェイス連通口27bとフット連通口26aとの開口位置関係、すなわち、フェイス連通口27bとフット連通口26aとを比較した際に、フェイス連通口27bがフット連通口26aよりも空気混合部20の冷風主体側部位(図1の左側部位)に近接するという開口位置関係から、フェイス連通口27b側に空気混合部20の冷風主体側の空調空気が流入し、フット連通口26aには空気混合部20の温風主体側の空調空気が流入するようになっている。
【0052】
センターフェイス開口部24は周知のようにセンターフェイスダクト(図示せず)を介して車両計器盤の左右方向の略中央部に配置されているセンターフェイス吹出口(図示せず)に接続され、このセンターフェイス吹出口から車室内の左右方向の略中央部にて乗員上半身側に向けて空調風を吹き出す。
【0053】
また、サイドフェイス開口部25はサイドフェイスダクト(図示せず)を介して車両計器盤の左右方向の両端部付近に配置されているサイドフェイス吹出口(図示せず)に接続され、このサイドフェイス吹出口から車室内の左右方向の両端部付近にて乗員上半身側あるいは車両側面窓ガラスに向けて空調空気を吹き出す。
【0054】
なお、センターフェイス吹出口およびサイドフェイス吹出口には空調空気の吹出方向を調整可能な周知の吹出グリル機構が備えられている。更に、サイドフェイス吹出口には吹出通路を開閉して空調空気の吹出を断続する通路開閉機構(図示せず)も備えられている。
【0055】
フット開口部26は空調ケース11の左右両側の側壁部に開口しているので、フット開口部26から運転席および助手席の乗員足元部へ向けて空調空気を直接吹き出すことができる。
【0056】
なお、本実施形態では、図3〜図5に示すように空調ケース11の上面部において車両左右方向の中央部側にサイドフェイス開口部25を配置し、そして、サイドフェイス開口部25の左右外側にセンターフェイス開口部24を配置しているが、これは以下の理由のためである。
【0057】
すなわち、車両左右方向の中央部側に位置するサイドフェイス開口部25の後方側にナビゲーション装置等の機器(図示せず)を搭載し、このナビゲーション装置等の機器の左右両側に、この機器との干渉を回避してセンターフェイスダクトおよびセンターフェイス吹出口を配置するためである。なお、サイドフェイスダクトはセンターフェイスダクトの上方部を乗り越えて車両計器盤の左右両端側へ向けて配置される。
【0058】
次に、センターフェイス開口部24およびサイドフェイス開口部25を図3〜図7に基づいてより具体的に説明すると、このセンターフェイス開口部24およびサイドフェイス開口部25はともに矩形状の開口形状にて2個ずつ設けられている。
【0059】
そして、サイドフェイス開口部25の車両前後方向寸法はセンターフェイス開口部24に比較して所定寸法Lだけ車両前方側へ拡大しており、この所定寸法Lの拡大部により常開通路部25aをサイドフェイス開口部25に形成している。この常開通路部25aはデフロスタドア22およびフェイスフット切替ドア28の操作位置の如何にかかわらず、常時開口状態を維持する通路である。
【0060】
フェイスフット切替ドア28はフェイス連通口27bとフット連通口26aを切替開閉するもので、この切替ドア28は本例では回転軸29を中心として回転軸29と一体に回転する板ドアにより構成されている。回転軸29は空調ケース11の上面部の車両後方側端部付近にて車両左右方向に延びるように配置され、空調ケース11に回転自在に支持される。
【0061】
フェイス・フット連通口27a、フェイス連通口27bおよびフット連通口26aの周縁部には、それぞれフェイス・フットシート面27c、フェイスシート面27d、フットシート面26cが空調ケース11と一体成形されている。
【0062】
前記したデフロスタドア22の弾性シール材22cがフェイス・フットシート面27cに圧着することによりフェイス・フット連通口27aを全閉するようになっている。すなわち、デフロスタドア22はフェイス・フット連通口27aの開閉機能も兼ねている。
【0063】
一方、デフロスタドア22のドア基板部22aのうち、フェイス・フット連通口27aの開口範囲よりも上方側部位、換言すると、回転軸23側の部位の左右両側部にスリット状の切り欠き部22dを形成してある。これにより、デフロスタドア22がフェイス・フット連通口27aの全閉位置に操作されたとき(図6、7参照)にも、サイドフェイス開口部25の常開通路部25aを上記切り欠き部22dおよび回転軸23周囲の隙間部23aによってフェイス・フット連通口27aの上流側すなわち空気混合部20側に連通させるようになっている。
【0064】
なお、センターフェイス開口部24の下側にはセンターフェイス開口部24の矩形状の開口形状を区画する矩形状の仕切り壁24a(図3、図7参照)が空調ケース11と一体成形されている。そのため、この仕切り壁24aによって、センターフェイス開口部24はフェイス連通口27bのみに連通して、サイドフェイス開口部25の常開通路部25a側に連通しないようになっている。
【0065】
デフロスタドア22およびフットフェイス切替用ドア28は、吹出モード切替用のドア手段であって、その回転軸23、29の一端部は空調ケース11の外部に突出して図示しないリンク機構を介して、サーボモータ等からなる吹出モード切替用のアクチュエータ機構もしくは手動操作機構に連結される。従って、このアクチュエータ機構もしくは手動操作機構によりデフロスタドア22およびフットフェイス切替用ドア28が連動操作されるようになっている。
【0066】
次に、空気混合部20における冷温風のガイド構造について説明すると、図9はエアミックスドア16単体の斜視図であり、エアミックスドア16は回転軸17とドア基板部16aとを樹脂により一体成形している。ドア基板部16aは回転軸17の軸方向(車両左右方向)に沿って延びる長方形のドア板面を構成する。ドア基板部16aの表裏両面には弾性シール材16b、16cが接着等により固着されている。
【0067】
エアミックスドア16のドア基板部16aの表裏両面のうち、空気混合部20側の面(図9の上側面)に冷風および温風をガイドする第1ガイド部16dおよび第2ガイド部16eを設けている。ここで、第1ガイド部16dおよび第2ガイド部16eは、ともにドア基板部16aに一体成形された板形状のものである。
【0068】
第1ガイド部16dは回転軸17の軸方向と直交する方向に向く板形状であり、ドア基板部16a上に所定間隔、本例ではデフロスタドア22の幅寸法(車両左右方向寸法)と同等の間隔(図2参照)を隔てて2箇所に平行に配置してある。
【0069】
エアミックスドア16が図1に示すように冷風バイパス通路15の小開度位置(最大暖房位置に接近した位置)に操作されたときに、第1ガイド部16dは、空気混合部20を図2に示すように回転軸17の軸方向の左右両側の所定領域(本発明の第1領域)20aと回転軸17の軸方向の中央部に位置する別の所定領域(本発明の第2領域)20bとに仕切る作用を果たす。
【0070】
なお、第1ガイド部16dの車両前方側に傾斜面を設けているのは、デフロスタドア22の先端部との干渉を回避する逃げ形状を形成するためである。従って、デフロスタドア22の先端部との干渉が発生しない配置レイアウトであれば、第1ガイド部16dの形状は単純な長方形でよい。
【0071】
第2ガイド部16eは、第1ガイド部16dの左右外側、すなわち、第1領域20a側において回転軸17の軸方向と平行な方向に向く板形状である。本例では、第2ガイド部16eを、ドア基板部16a上においてドア基板部16aの軸直角方向の中央部よりもドア先端側に配置している。これは、第2ガイド部16eを空気混合部20において車両前方側の冷風主体側の部位に位置させ、この冷風主体側部位における冷風を第1領域20aから第2領域に向けてガイドするためである。
【0072】
図2および図10に示すように、第1領域20aの空気流れ上流側および空気流れ下流側を区画するガイド壁30、31が空調ケース11(11a、11b)に一体成形されている。上流側ガイド壁30は冷風バイパス通路15の左右両側部に位置して、第1領域20aの下側を車両前後方向に延びる形状となっている。また、下流側ガイド壁31は、シート面21b、27cの下方部の左右両側部に位置して、第1領域20aの上側を車両前後方向に延びる形状となっている。
【0073】
また、温風通路19(ヒータコア13)の幅寸法(車両左右方向寸法)は、図10に示すように第1領域20aと第2領域20bの合計の幅寸法と同等以上に設定してある。
【0074】
次に、上記構成において本実施形態の作動を説明すると、本実施形態の車両用空調装置は吹出モード切替用のドア手段をなすデフロスタドア22とフェイスフット切替用ドア28の操作位置を選択することにより、以下の吹出モードを設定できる。
【0075】
(1)フェイスモード
図11はフェイスモード時を示しており、デフロスタドア22をデフロスタ連通口21aの全閉位置に操作して、デフロスタ開口部21を閉じるとともにフェイス・フット連通口27aを全開する。
【0076】
また、フェイスフット切替用ドア28をフット連通口26aの全閉位置に操作してフット吹出通路26bの入口部を閉塞するとともにフェイス連通口27bを全開する。これにより、両フェイス開口部24、25が全開状態となる。その結果、図示しない送風機ユニットからの送風空気を蒸発器12で冷却して冷風とし、この冷風を冷風バイパス通路15→空気混合部20→フェイス・フット連通口27a→フェイス連通口27bの経路を経て両フェイス開口部24、25へ矢印▲1▼のように送り込む。また、サイドフェイス開口部25には矢印▲2▼のように常開通路25aを通過する経路によっても冷風が流れ込む。
【0077】
両フェイス開口部24、25に流入した冷風は、図示しないセンターフェイスダクトおよびサイドフェイスダクトを通過してセンターフェイス吹出口およびサイドフェイス吹出口から乗員の上半身側へ吹き出す。
【0078】
図11は、エアミックスドア16により冷風バイパス通路15を全開し、ヒータコア13の入口通風路を全閉する最大冷房時を示しており、従って、蒸発器12で冷却された冷風がヒータコア13で加熱されることなく、冷風の全量がそのまま車室内へ吹き出す。従って、最大冷房性能を発揮できる。
【0079】
一方、エアミックスドア16を図11の位置から時計方向に回転操作することにより、ヒータコア13の入口通風路が開口して冷風の一部がヒータコア13で加熱され、温風となるので、エアミックスドア16の回転位置(開度)の調整により冷風と温風の風量割合を調整してフェイス吹出温度を任意に調整できる。
【0080】
なお、図11において、2点鎖線で示す直線Eは蒸発器12の熱交換コア部の下流側下端部とフェイス・フット連通口27aの下端部とを結ぶ線であり、冷風流れ(図11中の○付き数字1、2参照)の下端部はこの直線Eにより決定される。
最大冷房時にエアミックスドア16の第1、第2ガイド部16d、16eはこの直線Eの下側に位置しているから、第1、第2ガイド部16d、16eが最大冷房時の冷風流れの圧損を上昇させる恐れはない。従って、エアミックスドア16への第1、第2ガイド部16d、16eの追加により最大冷房性能が低下することはない。
【0081】
(2)バイレベルモード
図12はバイレベルモード時を示しており、デフロスタドア22は図11のフェイスモードと同一位置であり、これに対し、フェイスフット切替用ドア28は、中間開度位置に操作されてフェイス連通口27bとフット連通口26aを同時に開口する。
【0082】
そして、図12ではエアミックスドア16を最大暖房側に近接した位置、すなわち、ヒータコア13の入口通風路の開度が大きくて、冷風バイパス通路15の開度が小さい位置に操作している。このため、蒸発器12通過後の冷風の大部分が矢印bのようにヒータコア13に流入して温風となり、この温風は温風通路19を通過して空気混合部20に向かう。また、蒸発器12通過後の残余の冷風は、矢印aのように冷風バイパス通路15を通過して空気混合部20に向かう。
【0083】
そして、空気混合部20で冷風と温風の混合が行われ、空気混合部20通過後の空調風の半分程度は矢印▲1▼、▲2▼のように両フェイス開口部24、25を通過して、センターフェイス吹出口およびサイドフェイス吹出口から乗員の上半身側へ吹き出す。
【0084】
これと同時に、空気混合部20通過後の空調風の残余の半分程度は矢印▲3▼のようにフット吹出通路26bを通過して左右両側のフット開口部26から乗員足元側へ吹き出す。
【0085】
ところで、バイレベルモード時にフェイスフット切替用ドア28が中間開度位置に操作されることにより、空気混合部20のうち車両前方側(エアミックスドア16先端側)の冷風主体側の部位における空調風が矢印a、矢印▲1▼、▲2▼に示すように両フェイス開口部24、25に流入する。
【0086】
これに反し、フット連通口26a(フット吹出通路26b)には、空気混合部20のうち車両後方側(エアミックスドア16根元側)の温風主体側の部位における空調風が矢印b、矢印▲3▼に示すように流入する。
【0087】
以上の結果、バイレベルモード時にフェイス吹出温度がフット吹出温度に比較して過度に低くなりすぎる、換言すると、上下吹出温度差が過度に拡大するという現象が発生し、空調フィーリングを悪化させる。
【0088】
しかし、本実施形態によると、エアミックスドア16に設けた第1、第2ガイド部16d、16eおよびケース側のガイド壁30、31により上下吹出温度差を適度の範囲に設定できる。
【0089】
本実施形態による冷温風のガイド作用を図10により具体的に説明すると、矢印aはエアミックスドア16の先端部上方側から冷風バイパス通路15を通過して空気混合部20へ向かって流れる冷風の全体を示す。また、矢印bはヒータコア13下流側の温風通路19を通過して空気混合部20へ向かって流れる温風の全体を示す。
【0090】
上記の冷風aはエアミックスドア16の上側面に設けられた2枚の第1ガイド部16dにより、空気混合部20の左右両側の第1領域20a、20a(図2)に向かう冷風流れa1と、空気混合部20の中央部の第2領域20b(図2)に向かう冷風流れa2とに仕切られる。
【0091】
そして、エアミックスドア16の上側面において空気混合部20の左右両側の第1領域20a、20aに対応する部位に、第2ガイド部16eが軸方向と平行な方向に設けてあるので、第1領域20a、20aに流入した冷風a1は第2ガイド部16eによって中央部の第2領域20b側へ向かうように曲げられる(矢印a1の曲げ形状参照)。この結果、中央部の第2領域20bは冷風の多い領域となる。
【0092】
これに反し、エアミックスドア16の上側面において空気混合部20の左右両側の第1領域20a、20aにおいては、冷風流れa1が中央部側へ強制的に曲げられるので、冷風の代わりに温風が進入しやすくなる。そのため、第1領域20a、20aでは、温風通路19からの温風が矢印b1のようにエアミックスドア16の先端側まで容易に進入できる。
【0093】
このようにしてエアミックスドア16の先端側まで進入した温風b1の一部は矢印a1の冷風流れとともに中央部の第2領域20b側にも進入する。この結果、空気混合部20において車両前方側の冷風主体側部位にも左右両側の第1領域20a、20aを通じて適度の量の温風を進入させることができる。
【0094】
ここで、左右両側の第1領域20a、20aを第1ガイド部16dにより区画するのみならず、左右両側の第1領域20a、20aの上下両側も空調ケース11側に形成したガイド壁30、31により区画しているので、第1領域20a、20aにおけるエアミックスドア先端側(車両前方側)への温風進入のガイド作用をより一層促進できる。
【0095】
なお、矢印b2は温風通路19から中央部の第2領域20bに進入した後、Uターンしてフット連通口26a側へ向かう温風流れを示す。
【0096】
上記した第1領域20a、20aにおける温風b1の進入により、空気混合部20の車両前方側の冷風主体側部位における空調風の温度を上昇できるので、この冷風主体側部位から図12の矢印▲1▼、▲2▼のように流れるフェイス吹出空気の温度を上昇できる。従って、本実施形態によるガイド部16d、16eおよびガイド壁30、31を持たない空調ユニットに比較して、本実施形態の空調ユニット10では、フェイス吹出空気とフット吹出空気との温度差を低減して、適度の上下吹出温度差を設定できる。そのため、車室内に適度の頭寒足熱形の温度分布を形成して空調フィーリングを向上できる。
【0097】
(3)フットモード
図13はフットモード時を示しており、デフロスタドア22はデフロスタ連通口21aを小開度だけ開口する位置に操作される。これに対し、フェイスフット切替用ドア28はフェイス連通口27bを全閉し、フット連通口26aを全開する位置に操作される。
【0098】
これにより、空気混合部20の空調風は、矢印▲2▼のように常開通路25aを通過してサイドフェイス開口部25へ流れ、また、矢印▲3▼のようにフット吹出通路26bへ流れ、更に、更に矢印▲4▼のようにデフロスタ開口部21へ流れる。ここで、矢印▲2▼のサイドフェイス吹出空気および矢印▲4▼のデフロスタ吹出空気に比較して矢印▲3▼のフット吹出空気の風量が十分大きくなるように吹出風量割合が設定してある。
【0099】
ところで、フットモード時においても、バイレベルモード時と同様に、第1領域20aでの温風進入ガイド作用を発揮することができ、これにより、車室内上方側へ吹き出すサイドフェイス吹出温度およびデフロスタ吹出温度を上昇させることができる。そのため、車室内に適度の頭寒足熱形の温度分布を形成して空調フィーリングを向上できる。
【0100】
(4)フットデフロスタモード
図14はフットデフロスタモード時を示しており、フットモード時に比較してデフロスタドア22を中間開度位置に操作して、デフロスタ連通口21aの開度を半開状態付近に増大し、フェイス・フット連通口27aの開度を半開状態付近に減少させる。フェイスフット切替用ドア28はフットモード時と同一位置である。
【0101】
これにより、フットモード時に比較してデフロスタ吹出風量を増大して窓ガラスの防曇性能を向上できる。その代わりに、サイドフェイス吹出風量およびフット吹出風量が減少する。
【0102】
フットデフロスタモードにおいても、車室内に適度の頭寒足熱形の温度分布を形成して空調フィーリングを向上できる。
【0103】
(5)デフロスタモード
図15はデフロスタモード時を示しており、デフロスタドア22をデフロスタ連通口21aの全開位置(フェイス・フット連通口27aの全閉位置)に操作する。これにより、空気混合部20とフット連通口26aとの間が遮断され、フット開口部26からの空調風の吹出がなくなる。
【0104】
しかし、サイドフェイス開口部25の常開通路25aはこの際もデフロスタドア22の切り欠き部22dおよび回転軸23周囲の隙間部23aを通して空気混合部20に連通しているので、サイドフェイス吹出状態はデフロスタモード時にも継続できる。そして、サイドフェイス吹出により車両側面窓ガラスの防曇性能を発揮できるとともに、車両側面窓ガラスからの冷熱輻射抑制効果を発揮できる。一方、デフロスタ開口部21を通過してデフロスタ吹出口から車両前面窓ガラスへ空調風を吹き出して、車両前面窓ガラスの防曇性能を発揮できる。
【0105】
ところで、デフロスタモード時には、矢印▲2▼、▲4▼の対比から理解されるように、デフロスタ吹出温度がサイドフェイス吹出温度に比較して低くなるという傾向が生じるが、本実施形態によると、空気混合部20の第1領域20aでの温風進入ガイド作用を発揮できるので、デフロスタ吹出温度を上昇させることができる。そのため、車両前面窓ガラスの防曇性能を向上できる。
【0106】
また、デフロスタモード時におけるサイドフェイス吹出温度の調整という観点からみると、サイドフェイス吹出温度がデフロスタ吹出温度に比較して過度に上昇するという不具合も解消できる。
【0107】
なお、上記作動説明は、図示しないサイドフェイス吹出口に備えられている通路開閉機構が開口状態にあって、サイドフェイス吹出口が空気吹出可能な状態に設定されている場合について述べたが、サイドフェイス吹出口の通路開閉機構を手動操作により閉塞状態にすれば、サイドフェイス吹出の遮断状態にて上記の各吹出モードを実行できる。
【0108】
(他の実施形態)
本発明は上述の一実施形態に限定されることなく、以下に例示するように種々変形可能である。
【0109】
(1)第1、第2ガイド部16d、16eの形状、位置等は空調ユニット10のレイアウトの変更に応じて複数の吹出口間で適切な吹出温度差が得られるように変更される。
【0110】
例えば、第2ガイド部16eの位置をエアミックスドア16の回転軸17の軸方向と直交する方向において前後にずらすことにより上下吹出温度差を容易に調整できる。
【0111】
また、上述の一実施形態では第2ガイド部16eを1枚のみ配置しているが、図16(a)のように複数枚配置してもよい。
【0112】
また、上述の一実施形態では第1ガイド部16dをエアミックスドア16の回転軸17の軸方向と直交する方向に配置しているが、第1ガイド部16dを図16(b)あるいは図16(c)のようにエアミックスドア16の回転軸17の軸方向と直交する方向から微小角度だけ傾斜するように配置してもよい。
【0113】
また、第2ガイド部16eを図16(b)、図16(c)の破線16e’に示すようにエアミックスドア16の回転軸17の軸方向と平行な方向から微小角度だけ傾斜するように配置してもよい。
【0114】
また、図16(d)に示すように、エアミックスドア16のドア基板部16a上に所定間隔にて離隔配置される2枚の第1ガイド部16dの間に、回転軸17の軸方向と平行な方向に突き出す板状の第3ガイド部16fを追加してもよい。この第3ガイド部16fの追加により例えば、サイドフェイス吹出温度とセンターフェイス吹出温度との温度差の調整を行うようにしてもよい。
【0115】
(2)上述の一実施形態では、エアミックスドア16の上側面において空気混合部20の左右両側の第1領域20a、20aに流入した冷風a1を第2ガイド部16eによって中央部の第2領域20b側へガイドすることにより、中央部の第2領域20bを冷風の多い領域とし、これに伴って、エアミックスドア16の上側面において空気混合部20の左右両側の第1領域20a、20aを温風通路19からの温風が進入しやすい領域としているが、これとは逆に、空気混合部20の中央部の第2領域20bに第2ガイド部16eを配置して、中央部の第2領域20bに流入した冷風a2を左右両側の第1領域20a、20a側へガイドし、左右両側の第1領域20a、20aを冷風の多い領域とし、これに伴って、中央部の第2領域20bを温風が進入しやすい領域としてもよい。
【0116】
(3)上述の一実施形態では、吹出開口部としてデフロスタ開口部21、フェイス開口部24、25およびフット開口部26を具備する前席用空調ユニット10に本発明を適用した場合について説明したが、吹出開口部としてデフロスタ開口部21を具備せず、フェイス開口部およびフット開口部のみを具備する後席用空調ユニットに本発明を適用してもよい。
【0117】
(4)上述の一実施形態では、図示しないセンターフェイスダクトの車両搭載上の都合からセンターフェイス開口部24を空調ケース11の上面部において左右両側に配置し、そして、この左右両側のセンターフェイス開口部24の間(車両左右方向の中央部側)にサイドフェイス開口部25を配置しているが、通常通り、センターフェイス開口部24を車両左右方向の中央部側に配置し、サイドフェイス開口部25をセンターフェイス開口部24の左右外側に配置してもよいことはもちろんである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態を示す縦断面図で、フットモード時を示す。
【図2】図1のA−A断面図である。
【図3】図1の上部の斜視図である。
【図4】図1のB矢視図である。
【図5】図1のB矢視図で、図4とは図示のドアを異にしている。
【図6】図5のC−C断面図である。
【図7】図5のD−D断面図である。
【図8】図6のE矢視図で、デフロスタドアの平面形状を例示する。
【図9】本発明の一実施形態によるエアミックスドアの斜視図である。
【図10】本発明の一実施形態の要部の破断斜視図で、冷温風のガイド作用を示す。
【図11】本発明の一実施形態によるフェイスモード時を示す縦断面図である。
【図12】本発明の一実施形態によるバイレベルモード時を示す縦断面図である。
【図13】本発明の一実施形態によるフットモード時を示す縦断面図である。
【図14】本発明の一実施形態によるフットデフロスタモード時を示す縦断面図である。
【図15】本発明の一実施形態によるデフロスタモード時を示す縦断面図である。
【図16】本発明によるエアミックスドアのガイド部の変形例を示す平面図である。
【符号の説明】
11…空調ケース、12…蒸発器、13…ヒータコア、
15…冷風バイパス通路、16…エアミックスドア、16d…第1ガイド部、
16e…第2ガイド部、17…回転軸、20…空気混合部、20a…第1領域、
20b…第2領域、21…デフロスタ開口部、22…デフロスタドア、
24…センターフェイス開口部、25…サイドフェイス開口部、
26…フット開口部、30、31…ガイド壁。

Claims (9)

  1. 空気通路を形成する空調ケース(11)と、
    前記空調ケース(11)内に配置され、空気を加熱する暖房用熱交換器(13)と、
    前記空調ケース(11)内に形成され、前記暖房用熱交換器(13)をバイパスして冷風が流れる冷風バイパス通路(15)と、
    前記空調ケース(11)内に形成され、前記暖房用熱交換器(13)を通過した温風が流れる温風通路(19)と、
    前記空調ケース(11)内に配置され、前記暖房用熱交換器(13)を通過する温風と前記冷風バイパス通路(15)を通過する冷風との風量割合を調整するエアミックスドア(16)と、
    前記空調ケース(11)内に形成され、前記温風通路(19)からの温風と前記冷風バイパス通路(15)からの冷風とを混合する空気混合部(20)と、
    前記空調ケース(11)に設けられ、かつ、前記空気混合部(20)のうち、冷風主体側の部位から空気が流入するフェイス開口部(24、25)と、
    前記空調ケース(11)に設けられ、かつ、前記空気混合部(20)のうち、温風主体側の部位から空気が流入するフット開口部(26)とを備え、
    前記エアミックスドア(16)は回転軸(17)を中心として回転する板ドアにより構成されており、
    前記エアミックスドア(16)の表裏両面のうち、前記空気混合部(20)側の面に、前記冷風および前記温風をガイドするガイド部(16d、16e)を設け、
    前記ガイド部は、前記回転軸(17)の軸方向と直交する方向に向く板形状、または前記軸方向と直交する方向から微小角度だけ傾斜する板形状からなる第1ガイド部(16d)と、前記回転軸(17)の軸方向と平行な方向に向く板形状、または前記軸方向と平行な方向から微小角度だけ傾斜する板形状からなる第2ガイド部(16e)とを有しており、
    前記第1ガイド部(16d)は前記回転軸(17)の軸方向に所定間隔を隔てて2箇所配置され、前記第2ガイド部(16e)は前記第1ガイド部(16d)に対して前記回転軸(17)の軸方向の左右外側に一体成形され、
    前記エアミックスドア(16)が前記冷風バイパス通路(15)の小開度位置に操作されたときに前記第1ガイド部(16d)により前記空気混合部(20)を前記回転軸(17)の軸方向の中央部に配置される第2領域(20b)と、前記第2領域(20b)の左右両側部に配置される第1領域(20a)とに仕切り、更に、前記第1領域(20a)における前記冷風主体側部位の冷風を前記第2ガイド部(16e)によって前記第2領域(20b)に向けてガイドするとともに、前記第1領域(20a)における前記温風主体側部位の温風を前記第1ガイド部(16d)によって前記冷風主体側部位に到達するようにガイドすることを特徴とする車両用空調装置。
  2. 前記回転軸(17)は、前記空気混合部(20)の前記冷風主体側部位および前記温風主体側部位のうち、前記温風主体側部位に近接するように配置されることを特徴とする請求項1に記載の車両用空調装置。
  3. 前記空調ケース(11)に、前記空気混合部(20)の前記冷風主体側の部位から空気が流入するようにデフロスタ開口部(21)が設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の車両用空調装置。
  4. 前記フェイス開口部として、車両計器盤の左右方向の略中央部に配置されるセンターフェイス吹出口に接続されるセンターフェイス開口部(24)と、車両計器盤の左右方向の両端部付近に配置されるサイドフェイス吹出口に接続されるサイドフェイス開口部(25)とを備え、
    前記サイドフェイス開口部(25)は前記空気混合部(20)と常時連通する常開通路(25a)を有することを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載の車両用空調装置。
  5. 前記温風通路(19)は、前記回転軸(17)の軸方向において前記第1領域(20a)および前記第2領域(20b)の両方に及ぶように形成されていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1つに記載の車両用空調装置。
  6. 前記デフロスタ開口部(21)を開閉するデフロスタドア(22)を有し、
    前記回転軸(17)の軸方向の2箇所に配置される前記第1ガイド部(16d)の間隔は前記デフロスタドア(22)の幅寸法と同等の間隔であることを特徴とする請求項3に記載の車両用空調装置。
  7. 前記第2ガイド部(16e)は前記第1ガイド部(16d)よりも低く形成されていることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1つに記載の車両用空調装置。
  8. 前記空調ケース(11)のうち前記第1領域(20a)の空気流れ上流部において前記回転軸(17)の軸方向と直交する方向に板形状で延びる上流側ガイド壁(30)と、
    前記空調ケース(11)のうち、前記第1領域(20a)の空気流れ下流部において前記回転軸(17)の軸方向と直交する方向に板形状で延びる下流側ガイド壁(31)とを有することを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1つに記載の車両用空調装置。
  9. 前記回転軸(17)の軸方向は車両左右方向に向いており、前記第1領域(20a)と前記第2領域(20b)が車両左右方向において仕切られていることを特徴とする請求項ないしのいずれか1つに記載の車両用空調装置。
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