JP4113054B2 - 写真印画紙用支持体およびその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、写真印画紙用支持体およびその製造方法に関するもので、さらに詳しくは、現像処理の際の現像液の浸透が少なく、またカブリの発生がないか、あるいは少なく、直送パルプを使用することによる操業性に優れた写真印画紙用支持体およびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、写真印画紙用支持体としては、現像処理の自動化と迅速化を図るため、紙基体の両面を疎水性の樹脂、例えばポリオレフィン樹脂で被覆した防水印画紙が使用されるようになっている。現在ではこれが、写真印画紙支持体の大半を占めるに至っており、現像処理液に対する支持体の表/裏の吸収性は防止されている。しかし端部の切断面では、樹脂被覆されていない原紙断面が現像処理液に直接曝されることになり、ここからの処理液の浸透を防止することが重要となっている。処理液が端部切断面から浸透した場合、写真印画紙のエッジ部分が茶色のシミ状に汚れたようになり、写真画像としての価値を損ねる結果となってしまう。特に、最近の自動現像機による節水型の水洗処理では、端部から浸透した現像処理液を完全に洗浄することは、ほぼ不可能となっている。
【0003】
この問題は、樹脂被覆される原紙自体に強いサイズ性を付与し、端部からの処理液の浸透を防止することで対応されており、この目的のために原紙製造時にサイズ剤を添加することが行われている。その際、写真印画紙の保存性の観点から、中性紙が好ましいことを反映して、中性から弱アルカリ領域で効果を発揮する中性サイズ剤の使用が増えつつある。
【0004】
写真印画紙用支持体の原紙に用いる中性サイズ剤としては、現像処理液に対して十分なサイズ効果を持つこと、現像処理液を吸着して着色の原因とならないこと、カブリなどの写真性に悪影響を及ぼさないこと、といった要件を満たす必要がある。加えて、原紙の強度を低下させないサイズ剤がより好ましく、一般的にはアルキルケテンダイマーまたはアルケニルコハク酸無水物などが用いられている。
【0005】
中性から弱アルカリ性雰囲気下で用いられる上記のサイズ剤に対して、サイズ効果を高める目的でサイズ定着剤が用いられるが、従来は、ポリアミドポリアミンエピクロルヒドリン縮合物やポリエチレンイミン、カチオン化澱粉などのカチオン性物質を添加するのが一般的である。しかし、これらのサイズ定着剤を添加しただけでは、サイズ剤の歩留まりやサイズ性の発現の点からサイズ効果を高めるには不十分であった(例えば、特許文献1参照。)。
【0006】
そのため、実際の製造にあたっては、原紙製造における工程変動を考慮しつつ、サイズ剤およびサイズ定着剤を、求めるサイズ性が安定して得られるまで多量に添加して製造を継続することとなり、過剰となった薬剤が原紙の強度特性を悪化させたり、未定着の添加薬品が抄紙機上で汚れを誘発するなど、薬品コストや生産効率とサイズ効果が必ずしも最適の条件で製造されてはいないことが現状である。
【0007】
一方、ポリオレフィン樹脂被覆した写真印画紙用支持体に写真乳剤層を塗布して製造された写真印画紙を使用する際に、これを長期に保存した場合や、その保存環境があまり適切ではない場合には、製品として無視できない程度にカブリが発生するという問題点がある。カブリは、保存期間の経過とともに、写真印画紙用支持体の原紙からカブリ発生に影響を与える物質が揮発/拡散し、ポリオレフィン樹脂被覆層を透過して写真乳剤層へ侵入/拡散するために発生すると考えられる。
【0008】
このカブリを防止する方法として、シート状基体にマグネシウム化合物を含有する写真印画紙用支持体や、原紙に使用するパルプとしてキシラーゼ処理されたパルプを用いる方法が提案されているが、その効果は充分でなく、満足できるものではなかった(例えば、特許文献2〜3参照。)。
【0009】
また、写真印画紙用支持体の原紙の製造において、原料となるパルプがパルプ製造工程からスラリー状態のままで流送される、いわゆる直送パルプを用いることは、、パルプを一端、ドライシート化する際の乾燥エネルギーが不要であり、パルプ製造からの一貫工場の操業性にとっても有利で、環境負荷の削減としても非常に有効であるが、写真性の観点からは注意が必要となる。すなわち、ドライシート化工程を経たパルプは、シート化の際に脱水と加熱乾燥が行われるため、パルプ製造工程に由来するカブリ発生の原因、特に硫黄系化合物などに代表される写真性阻害物質が比較的良好に除去されるものと考えられる。しかしながら、直送パルプを使用する場合、このシート化工程を経ないため、写真性阻害物質が直送パルプと同時に原紙製造工程に持ち込まれてしまうことが避けられない。このことは、写真印画紙用支持体の原紙を製造する上で最も配慮しなければならない問題と言える。
【0010】
【特許文献1】
特開平5−173288号公報(2〜3頁)
【特許文献2】
特開平5−19405号公報(1〜2頁)
【特許文献3】
特開平6−222502号公報(2〜3頁)
【0011】
【発明が解決ようとする課題】
従って本発明は、現像処理の際の現像液の浸透が少なく、またカブリの発生がないか、あるいは少ない写真印画紙用支持体および直送パルプを使用することにより経済的に効率よく製造できる写真印画紙用支持体を製造方法を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記に鑑み鋭意研究した結果、本発明の写真印画紙用支持体およびその製造方法を発明するに至った。
【0013】
すなわち、本発明の写真印画紙用支持体の製造方法は、直送パルプを用いたパルプスラリー中に炭酸カルシウムを0.1〜3.0質量%添加して抄紙原料とし、該抄紙原料を用いて原紙を抄造して後、該原紙両面にフィルム形成能のあるポリオレフィン樹脂を被覆して製造することを特徴とするものである。
【0014】
上記発明において、原紙の抽出pHが6.5〜9.5であることを特徴とする。
【0015】
さらに、上記発明における写真印画紙用支持体の製造方法により製造された写真印画紙用支持体であることを特徴とするものである。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の写真印画紙用支持体の製造方法および写真印画紙用支持体について説明する。
【0017】
本発明における写真印画紙用支持体の製造方法は、原紙製造工程と樹脂被覆工程とに分けられる。まず、原紙製造工程においては、本発明による抄紙原料を用いて原紙を抄造し、樹脂被覆工程においては、原紙製造工程で得られた原紙にフィルム形成能のある樹脂を被覆して写真印画用支持体を形成する。
【0018】
原紙製造工程で使用するパルプとしては、例えば、針葉樹や広葉樹などを原料とした機械パルプや、亜硫酸パルプ、クラフトパルプなどの化学パルプが、さらには古紙を原料とした脱墨パルプなどが挙げられる。また必要に応じて合成パルプを混合して用いることもできる。
【0019】
これらパルプが、蒸解、漂白、脱墨などの処理を経たパルプスラリーのままに、ドライシート化されること無く、スラリー状態で使用される。いわゆる直送パルプであることを特徴とする本発明の方法では、ドライシート化工程で必要となる乾燥エネルギーが不要となり製造コストが低減でき、パルプ製造からの一貫工場の操業性にとっても有利であるだけでなく、環境負荷の低減という意味でもその有効性は高い。その反面、シート化の際に行われる脱水と乾燥が省略されるため、硫黄系化合物などに代表される写真性阻害物質が除去されにくく、それらが原紙製造工程へ持ち込まれることを考慮する必要がある。
【0020】
本発明においては、原紙に由来するカブリを防止するとともに、原紙のサイズ性を良好に保つ観点から、直送パルプを用いたパルプスラリー(以下、直送パルプスラリーと略す。)に炭酸カルシウムが添加される。炭酸カルシウムの添加にあたっては、直送パルプスラリーが叩解処理される前後どちらでもかまわないが、パルプ繊維の比表面積が増加した叩解後に添加されることがより望ましく、その際のパルプ叩解処理にはビータやリファイナーなど公知の方法が使用できる。
【0021】
前記炭酸カルシウムとしては、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、のいずれでも構わないが、原紙の平滑性や白色度、歩留まり、抄紙機設備用具の摩耗性、炭酸カルシウムスラリーの分散安定性などを考慮した場合、化学合成により製造される軽質炭酸カルシウムが好ましい。
【0022】
本発明において、炭酸カルシウムの添加量としては、対パルプ絶乾量に対して0.1〜3.0質量%の範囲である。ここで、前記添加量が、0.1質量%未満であると、カブリの防止、サイズ性発現への寄与が不十分となり、結果として写真印画紙支持体として好ましくない。
【0023】
また、3.0質量%を越えると、原紙の強度特性が低下するとともに、写真印画紙用支持体を形成した後でも、原紙の露出する切断面部分から炭酸カルシウムがパルプ繊維とともに脱落して紙粉が発生し、自動現像処理機内の現像液に対して悪影響を及ぼし写真性に問題を生じたり、あるいは多数枚の処理が行われる現像機内搬送ライン上に異物を形成し、写真印画紙画像上の欠点となったり、その搬送性に支障をきたしやすくなるなど問題が起こりやすくなるため好ましくない。
【0024】
炭酸カルシウムの添加がサイズ性や写真性の向上に結びつく理由として、アルカリ填料である炭酸カルシウムは、抄紙原料中にあっては酸性成分との反応により順次溶解するため、アルカリ源としてアルキルケテンダイマーなど、サイズ剤のサイズ発現性を高めることになる。
【0025】
また加えて、直送パルプは、二酸化塩素など酸性条件下での漂白処理を受けたり、その後の希釈洗浄、濃縮脱水工程ではアルカリ域で起こる繊維膨潤による脱水効率の低下を防止するため、酸性域で処理されることが通例である。そのため、直送パルプを原紙製造工程に移送/使用する際には、弱酸性〜中性域となるようにpH調整され、直送パルプスラリーとして原紙製造工程に直送されるが、該スラリーに炭酸カルシウムを添加した場合、短期間では中和しきれない繊維の内孔などに残存する酸性成分をも中和が可能となる。そのため、蒸解・漂白工程から持ち込まれる硫黄系化合物に代表される写真性阻害物質が、酸性条件下で発生、遊離することを防止するものと推定される。
【0026】
さらに、原紙として抄造された後には、炭酸カルシウムは原紙内に固形物として存在し、原紙紙層中の確固たるアルカリ源となる。そのため、長期保存や湿熱条件など種々の環境変化が生じた場合でも、紙中構成物の分解などにより発生する酸成分に対して対応が可能であり、この長期的な中和能力の発揮が、サイズ性や写真性の維持に寄与するものと推定される。
【0027】
加えて、酸性条件で加速されるパルプ繊維の劣化や白色度の低下、添加されている蛍光増白剤や染料、顔料など変成や機能の低下によって起こる色相変化を最小限に防止することが可能であり、写真印画紙用支持体の原紙として備えるべき高白色な色相を長期に維持できる副次的な機能も担うものとなっている。
【0028】
なお、必要に応じ、炭酸カルシウムに加えて、その他の填料、例えば、クレー、カオリン、白土、タルク、炭酸カルシウム、酸化チタン、珪藻土、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムなどの併用が可能である。
【0029】
直送パルプスラリー中には、その他必要に応じて、通常使用する他の添加薬品をさらに添加し原紙を製造しても良い。このような添加薬品としては、スターチ、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、ポリアミド−ポリアミン−エピクロルヒドリンなどの紙力剤、ロジン、アルキルケテンダイマー、高級脂肪酸塩、パラフィンワックス、アルケニルコハク酸などのサイズ剤、硫酸バンド、塩化アルミニウムなどの定着剤、染料、蛍光染料、スライムコントロール剤、消泡剤などを挙げることができる。
【0030】
原紙には、各種の水溶性添加剤を含有する液をサイズプレス、タブサイズ、ゲイトロールコーター、またはロールメタリングサイズプレスなどで含浸または塗布しても良い。上記水溶性添加剤の具体例としては澱粉、ポリビニルアルコール、カルボキシ変性ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、セルロースサルフェート、ゼラチン、カゼインなどの高分子化合物、塩化カルシウム、塩化ナトリウム、硫酸ナトリウムなどの金属塩を挙げることができる。
【0031】
上記の水溶性添加剤を含有する液中に、さらにグリセリン、ポリエチレングリコールなどの吸湿性物質、染料、蛍光増白剤などの着色または増白物質などを添加しても良い。
【0032】
前記抄紙原料を用いて抄紙する手段としては、例えば、長網抄紙機、丸網抄紙機、ツインワイヤーマシン、コンビネーションマシンなど公地の抄紙機を用いることができる。
【0033】
本発明により製造される原紙の種類および厚さは、特に限定されるものではないが、坪量としては50〜250g/m2のものが望ましい。また、写真印画紙の平滑性の観点から、マシンカレンダーおよびスーパーカレンダーなどによって原紙に熱および圧力を加え、表面処理することが行われる。
【0034】
以上のようにして製造される写真印画紙用支持体の原紙は、パルプと共に持ち込まれる酸性成分と塩基性成分の量、あるいは原紙製造工程で加えられる添加薬品の内容や添加量のバランスにより原紙の抽出pHが決定することとなるが、本発明の製造方法では原紙の抽出pHが6.5〜9.5となるように原紙を製造することが望ましい。
【0035】
ここで、抽出pHが6.5以下の酸性側である場合、直送パルプが持ち込む硫黄系化合物に代表される写真性阻害物質の揮発/拡散が起こったり、添加薬品の分解が加速され、カブリなどの写真性障害を引き起こすこととなる。また、pH9.5以上のアルカリ域では、同様に内添薬品の分解によるアミン系化合物の発生/拡散や、還元性化合物の還元力が強まるなどして写真印画紙とした場合にカブリが発生しやすくなる。
【0036】
特に写真印画紙を長期間保存したり、湿熱条件の厳しい状態の下で保管した場合、パルプ、添加薬品などが経時的に分解され原紙の抽出pHを変化させやすくなるため、原紙中での炭酸カルシウムの存在は抽出pHを安定化し、写真印画紙のカブリ防止に対して効果的に働くものと推定される。
【0037】
原紙の抽出pHを6.5〜9.5を保つためには、前記の炭酸カルシウムを添加することが最も望ましいが、種々の製造状況に合わせて抄紙原料中に公知の酸塩基性物質を添加することあるいは前記のサイズプレスなど原紙製造の後工程で公知の酸塩基性物質を含浸することなどにより、原紙の抽出pHをさらに調整することもまた可能である。
【0038】
以上のようにして製造された原紙の両面に、公知の方法によりフィルム形成能のあるポリオレフィン樹脂などの樹脂を押出しコーティングすることによって写真印画紙用支持体が得られる。押出しコーティングの設備としては、通常のポリオレフィン用押出し機とラミネーターが使用される。ポリオレフィン樹脂としては例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのα−オレフィンの単独重合体およびこれら重合体の各種の混合物を挙げることができる。
【0039】
特に好ましいポリオレフィンは、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレンおよびそれらの混合物である。これらのポリオレフィンは押出しコーティングすることが可能である限りその分子量に特別の制限はないが、通常は分子量が20,000〜200,000の範囲にあるポリオレフィンが用いられる。樹脂被覆層の厚さについては特に制限されることはなく、従来の印画紙支持体用の樹脂被覆層の厚さに準じて決めることができるが、通常15〜50μmが好適である。
【0040】
樹脂層中には、白色顔料、着色顔料、蛍光増白剤、酸化防止剤などの公知の添加剤を添加することが可能である。特に写真乳剤を塗布するおもて面の樹脂被覆層中には、白色顔料および着色顔料を添加することが好ましい。本発明で製造される写真印画紙用原紙を使用した支持体は、さらにその片面に写真乳剤層が塗布乾燥されて写真印画紙となるが、写真乳剤との接着性を向上のためおもて面側の樹脂被覆層の上にサブコート層を塗布したり、うら面の樹脂被覆層の上には印刷筆記性や帯電防止性を向上するためのバックコート層などを塗布設けることができるなど様々な態様が可能である。
【0041】
【実施例】
以下、実施例により本発明を詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限られるものではない。なお、配合比率はすべて質量%である。
【0042】
実施例1〜5および比較例1〜3
(直送パルプスラリーの調成)
パルプ蒸解/漂白工程で製造されたパルプ固形分15%のLBKP直送パルプを、パルプ固形分4%となるように希釈し、ろ水度300mlCSFに叩解して後、パルプ固形分1%となるように希釈して直送パルプスラリーとした。
【0043】
(原紙製造工程)
こうして得られた直送パルプスラリーに対し、軽質炭酸カルシウムを表1に示すとおり添加し、さらに、カチオン化澱粉1.3%、ポリアミドポリアミンエピクロルヒドリン樹脂0.2%、アルキルケテンダイマーサイズ剤0.3%、エポキシ化脂肪酸アミド0.2%を添加して抄紙原料を製造し、該抄紙原料を長網抄紙機を用いて坪量170g/m2となるように抄造した。引き続き、PVA5%、NaCl0.5%、蛍光増白剤0.05%、水94.55%からなる表面サイズプレス液によりサイズプレス処理し、オンマシンカレンダー処理を行って、厚み168μmの原紙を製造した。
【0044】
(樹脂被覆工程)
得られた原紙のおもて面(写真乳剤塗布側)に、二酸化チタンを10%含有する密度0.96g/cm3のポリエチレンを、厚み30μmに被覆した。また、この原紙のうら面(写真乳剤塗布側と反対側)に、密度0.98g/cm3のポリエチレンを、厚み30μmに被覆し、実施例1〜5並びに比較例1〜3の写真印画紙用支持体を製造した。
【0045】
比較例4
実施例1〜5と同様の方法により調成した直送パルプスラリーを用い、これに炭酸カルシウムを未添加としたこと以外は同様の原紙製造工程により原紙を製造し、その後に実施例1〜5と同様の樹脂被覆工程を経て、比較例4の写真印画紙用支持体を製造した。
【0046】
比較例5〜7
実施例1〜5と同様の方法により調成した直送パルプスラリーを用い、これに炭酸カルシウムに代えて炭酸ナトリウムを表1の添加率で添加した。それ以外は実施例1〜5と同様の方法で原紙を製造し、その後に樹脂被覆工程を経て、比較例5〜7の写真印画紙用支持体を製造した。
比較例8
(パルプスラリーの調成)
ドライシート化されたLBKPパルプシートをパルプ固形分濃度4%で離解し、ろ水度300mlCSFとなるまで叩解後、パルプ固形分濃度1%となるように希釈しパルプスラリーとした。
【0047】
前記パルプスラリーを用い、表1の添加率により炭酸カルシウムを添加した以外は実施例1〜5と同様の原紙製造工程により原紙を製造し、また同様に樹脂被覆工程を経て、比較例8の写真印画紙用支持体を製造した。
【0048】
こうして得られた写真印画紙用支持体について、下記評価方法による評価を行い、その結果を表1に示した。なお、表中の直送は直送パルプを、ドライはドライシート化パルプを表し、炭酸Caは炭酸カルシウムを、炭酸Naは炭酸ナトリウムを表す。また、処理前/処理後は加熱加速試験の前/後を表す。
【0049】
<抽出pH>
抽出pHは、まず得られた写真印画紙用支持体の被覆樹脂を剥離した原紙部分について、JIS−P8133の「水抽出液pHの試験方法」にある冷水抽出方法に従って処理し、加熱加速試験前の抽出pHを測定した。また、写真印画紙用支持体を写真印画紙を保管する際に使用するポリ袋に密閉し、長期保存に代えて55℃、40%RHの環境下で3週間保持し、保持完了後に前記同様の方法にて加熱加速試験後の抽出pHを測定した。
【0050】
<エッジ汚れ>
エッジ汚れは、得られた写真印画紙用支持体を自動現像機(FC製作所製、カラーロールプロセッサー)で現像処理し、処理後の写真印画紙用支持体端部からの処理液の浸透深さを測定して判定した。優れた外観を維持するためには、0.55mm以下、より好ましくは0.45mm以下が必要である。
【0051】
<カブリ濃度>
得られた写真印画紙用支持体に、カラー用感光剤を塗布して写真印画紙とした。その後、自動現像機にて現像処理を行い、未露光部の発色濃度をマクベス濃度計を用いて測定し、熱加速経時処理前の測定値とした。一方、長期保存に代えて55℃、40%RHの環境下で3週間保持する熱加速経時処理を行った後、同様に現像処理して未露光部の発色濃度を測定し、熱加速経時処理前の濃度測定値との差をもってカブリ濃度とした。カブリ濃度が0.20未満であれば優れた耐カブリ性能を有しており、好ましくは0.10以下が必要であるが、0.20以上では写真印画紙としては実用に耐えられない。
【0052】
<紙粉量>
得られた写真印画紙用支持体を、23℃、50%RHの環境下で調湿後、100枚を積層して測定用サンプルとした。この積層サンプルを、片刃の刃形状を有するギロチン断裁機で断裁し、断裁刃の傾斜角の付いていない背側の部分に接した切断後の積層サンプルのコバ面に、透明粘着テープを貼り当てた。その後にテープを剥離し、粘着テープに付着した紙粉量を目視評価し、紙粉が多い順に1〜5の5段階にグレード分けした。通常、グレードが3以上で有れば実用上問題はなく、好ましくは4以上が必要であり、2以下では自動現像機内への脱落紙粉が処理液を汚染したり、写真画像上に付着、残存して欠点が発生するなどの問題を生じる。
【0053】
【表1】
【0054】
<評価>
表1に示すように、直送パルプスラリーに炭酸カルシウムを添加した実施例1〜5では、何も添加しない比較例4と較べて、熱加速試験前後の抽出pHの変化が少なく、エッジ汚れとカブリ濃度についても低減できている。また、炭酸カルシウムの代わりに炭酸ナトリウムを添加した比較例5〜7は、比較例4に対してエッジ汚れ、カブリ濃度とも良化しているものの満足なレベルではなく、炭酸カルシウムを添加した本発明の実施例1〜5には及ばない。ただし、炭酸カルシウム添加率が5.0質量%以上で、抽出pHが9.5を越える比較例2〜3おいては、カブリ濃度は実用範囲にあるものの、原紙中の炭酸カルシウム量が多いため、却ってエッジ汚れが悪化し、また発生紙粉量も多くなる結果となった。また、炭酸カルシウム添加率が0.10質量%未満と少なく、抽出pHが6.5に満たない比較例1においては、紙粉量は問題ないもののエッジ汚れ、カブリ濃度の点で実用範囲外の状態であった。さらに、ドライシート化パルプをパルプスラリーに使用した比較例8では、エッジ汚れ、カブリ濃度、紙粉量の何れも満足なレベルが得られるものの、ドライシート化工程を経ることにより、操業性やエネルギー効率が低下し、環境負荷が増すことから、直送パルプスラリーを用いる本発明の製造方法に及ばない。
【0055】
【発明の効果】
以上より、本発明における写真印画紙用支持体の製造方法は、直送パルプを用いたパルプスラリー中に炭酸カルシウムを0.1〜3.0質量%添加して抄紙原料とし、これを用いて抄造した原紙両面にフィルム形成能のあるポリオレフィン樹脂を被覆して製造することにより、現像処理液などによる端部のエッジ汚れが少なく、また、保存環境の厳しい条件下でも現像した場合のカブリを少なくすることができる。
Claims (3)
- 直送パルプを用いたパルプスラリー中に炭酸カルシウムを0.1〜3.0質量%添加して抄紙原料とし、該抄紙原料を用いて原紙を抄造して後、該原紙両面にフィルム形成能のあるポリオレフィン樹脂を被覆して製造することを特徴とする写真印画紙用支持体の製造方法。
- 原紙の抽出pHが6.5〜9.5であることを特徴とする請求項1記載の写真印画紙用支持体の製造方法。
- 前記請求項1または2記載の写真印画紙用支持体の製造方法により製造された写真印画紙用支持体。
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