JP4103560B2 - 車両用空調装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ウォームアップ制御時に吹出モードを切り替える車両用空調装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、冬場において、車両のエンジン始動時には、車両用空調装置のヒータコア(暖房用熱交換器)内を流れる温水温度が低いため、車室内へ冷風が吹き出す。この冷風の吹き出しを防止するため、エンジン始動後に温水温度が徐々に上昇していき、乗員にとって暖房感が得られる程度の温水温度(例えば35℃)まで上昇すると、送風機を起動するようにしている。
【0003】
そして、温水温度がさらに上昇していくと、温水温度の上昇に合わせて、空調風の送風量を増大するようになっている。このように、暖房始動後、車室内への吹出温度が上昇する過程の空調制御をウォームアップ制御という。
【0004】
そして、上述のウォームアップ制御時における暖房感の向上を目的として、特開平10−157440号公報では、吹出モードを次のように自動制御する車両用空調装置が提案されている。即ち、ウォームアップ制御時において、その制御初期時には空調風の吹出温度が非常に低いので、空調風を乗員の上半身に向けて送風すると寒さを感じる。このため、暖房運転始動時は乗員足元側に空気を送るフットモードとし、エンジン冷却水の温度が所定温度以上に上昇するとフットモードから乗員足元側と乗員上半身側に空気を送るバイレベルモードに切り替えて、乗員の足元側とともに上半身側にも空気を吹き出す技術が開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記の従来技術は、温水温度の上昇とともに空調風の送風量を増大するウォームアップ制御時にフットモードからバイレベルモードに直接切り替えている。また、ウォームアップ制御時のバイレベルモードと春や秋等の中間期に使用するバイレベルモードとを区別する考え方がされていないため、常にフェイス側風量割合が50〜60%程度、フット側風量割合が40〜50%程度のままでバイレベルモードを実行している。
【0006】
しかしながら、送風量が増大した時にフットモードからバイレベルモードに直接切り替えると、乗員上半身に向かって多量の空気が一挙に吹き出すだけでなく、空調風の音も乗員が知覚しやすい上半身側から俄かに発生する。そして、温水温度がさらに上昇してバイレベルモードから再度フットモードに切り替える場合も乗員上半身側に吹き出していた空気が突然停止するので、乗員足元の空気の風量が一挙に増加するだけでなく、乗員上半身側で発生していた空調風の音も突然停止する。このようにウォームアップ制御時にフットモードとバイレベルモードとを切り替えると乗員に違和感を与えることになる。
【0007】
また、春や秋等の中間期に使用するバイレベルモードと同一の上下吹出風量割合のままでウォームアップ制御時にバイレベルモードを実行すると、フットモードからバイレベルモードへの切替時に、フェイスダクト内に溜まっている多量の冷気がフェイス吹出口より一挙に吹き出すという現象が起きる。それのみならず、暖房用熱交換器が暖めた送風空気もフェイスダクトによって冷却され、温度が低下する。この結果、バイレベルモードへの切替時に乗員の上半身に向かって多量の冷風が一挙に吹き出すことになり、乗員に不快感を与えている。
【0008】
特に、ワゴン車等の後席側空調ユニットではフェイスダクトを車両床面近傍から天井部まで立ち上げるように配設してあるので、前席側空調ユニットよりも使用するフェイスダクトが長い。このため、後席側空調ユニットはダクトに溜まる冷気が前席側空調ユニットよりも多いだけでなく、ダクトにより冷却される空気の量も多くなる。従って、後席側はバイレベルモードへの切替時にフェイス吹出口から吹き出す冷気の量が前席側より多く、乗員の暖房フィーリングも前席側よりも一層悪くなる。
【0009】
本発明は上記問題に鑑みて、冬季のウォームアップ制御時のフットモードとバイレベルモードの切替時に乗員に向かって吹き出す空気の風量割合が一挙に変化することを防止して乗員の違和感を抑制することを第一の目的とする。
【0010】
本発明はウォームアップ制御時のバイレベルモード初期時にフェイス吹出口から乗員に向かって吹き出す冷風を抑制することを第二の目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、車室内へ向かって空気を送風する送風機(7)と、
送風機(7)の送風空気を加熱する暖房用熱交換器(14)と、
暖房用熱交換器(14)の空気流れ下流側に設けられたフット開口部(18)と、
暖房用熱交換器(14)の空気流れ下流側に設けられたフェイス開口部(17)とを備え、
フェイス開口部(17)を閉塞し、フット開口部(18)から乗員足元に空気を吹き出すフットモードと、
フット開口部(18)から車室内の乗員足元側へ空気を吹き出すとともに、フェイス開口部(17)から車室内の乗員上半身側へ空気を吹き出し、かつフェイス開口部(17)とフット開口部(18)との吹出風量割合を一定に維持する固定バイレベルモードとが少なくとも設定可能となっており、
暖房用熱交換器(14)により加熱された送風空気を車室内に吹き出す暖房運転始動後、車室内への吹出空気の吹出温度が上昇する過程のウォームアップ制御時に、最初にフットモードを実行し、次に第一リニアバイレベルモードを実行し、次に固定バイレベルモードを実行し、次に第二リニアバイレベルモードを実行し、その後にフットモードを再度実行し、
第一リニアバイレベルモードはフットモード時と比較してフット開口部(18)からの吹出風量を時間の経過とともに減少させ、これとともに、フェイス開口部(17)からの吹出風量を時間の経過とともに増加させる吹出モードであり、
第二リニアバイレベルモードは固定バイレベルモード時と比較してフット開口部(18)からの吹出風量を時間の経過とともに増加させ、これとともに、フェイス開口部(17)からの吹出風量を時間の経過とともに減少させる吹出モードであり、
第二リニアバイレベルモードより第一リニアバイレベルモードの実行時間が長いことを特徴とする。
【0012】
これによると、フットモードと固定バイレベルモードの間に設定された第一リニアバイレベルモードはフット開口部(18)から乗員足元に向かって吹き出す空気の風量を時間の経過とともに減少させ、これとともに、フェイス開口部(17)から乗員上半身に向かって吹き出す空気の風量を時間の経過とともに増加させる。この結果、フットモードと固定バイレベルモードの切替による空気の風量の変化、空調風の音の変化が小さくなる。このため、ウォームアップ制御時の吹出モードの切替に起因する乗員の違和感を抑制できる。
【0013】
また、上記の説明から理解されるように、第一リニアバイレベルモードの終了時点ではフェイス開口部(17)からの吹出風量が増加しているので、第一リニアバイレベルモード後に実行する固定バイレベルモードではそのフェイス開口部(17)からの吹出風量が増加した状態での吹出風量割合を一定に維持して、乗員の足元及び上半身に向かって空気を吹き出すことができる。従って、固定バイレベルモードは乗員の全身を効果的に温めることができる。
【0014】
ところで、冬季の寒い日はフェイス開口部(17)に接続されているフェイスダクト(19)の内部には外気温度に近い冷気が溜まっている。
そこで、請求項1に記載の発明では、ウォームアップ制御時に第一リニアバイレベルモードを実行すると、フェイス開口部(17)からの吹出風量が少しずつ増加するので、フェイスダクト(19)内に溜まっている冷気を少しずつ吹き出すことができる。従って、フットモードから固定バイレベルモードに直接切り替えていた従来技術と比較して、フェイス開口部(17)から乗員上半身に向かって多量の冷風が一挙に吹き出すという現象を抑制できる。
また、請求項1に記載の発明では、固定バイレベルモード実行後に第二リニアバイレベルモードを実行し、その後にフットモードを再度実行し、
第二リニアバイレベルモードを、固定バイレベルモード時と比較してフット開口部(18)からの吹出風量を時間の経過とともに増加させ、これとともに、フェイス開口部(17)からの吹出風量を時間の経過とともに減少させる吹出モードにしている。
これによると、第二リニアバイレベルモードの介在によって、固定バイレベルモードから再度実行されるフットモードに向けて風量と空調風の音を滑らかに変化させ、吹出モードの切替に起因する乗員の違和感を抑制できる。
更に、請求項1に記載の発明では、第二リニアバイレベルモードより第一リニアバイレベルモードの実行時間が長いことを特徴とする。
ところで、温水温度の上昇によって空調風の送風量が増大したウォームアップ制御時に上下開口部を短時間で切り替えると、風量の変化及び空調風の音の変化が送風量が少ないときと比較して大きくなる。
また、ダクト内に溜まった冷気をフェイス開口部(17)より乗員上半身に向けて一挙に吹き出さないために第一リニアバイレベルモードの実行時間は第二リニアバイレベルモードよりも長くしている。第二リニアバイレベルモードは固定バイレベルモード後に実行する吹出モードであり、このときの送風量は通常、室温の上昇により少なくなっている。従って、第二リニアバイレベルモードの実行時間を短くしても風量の変化及び空調風の音の変化が小さいので、乗員の違和感も少ない。以上の理由から第二リニアバイレベルモードの実行時間は第一リニアバイレベルモードの実行時間より短くできる。
【0015】
請求項2に記載の発明では、請求項1において、第一リニアバイレベルモードはフット開口部(18)から空気の全量を吹き出し、フェイス開口部(17)からの吹出風量が零の状態から開始されることを特徴とする。
【0016】
これによると、第一リニアバイレベルモードではフェイス開口部(17)からの吹出風量が零の状態より開始するので、フェイス開口部(17)からの吹出風量の変化と音の変化が滑らかになり、吹出モードの切替に起因する乗員の違和感をより一層効果的に抑制できる。
【0017】
請求項3に記載の発明のように、請求項1において、第一リニアバイレベルモードはフット開口部(18)から主に空気を吹き出し、フェイス開口部(17)から少量の空気を吹き出す状態から開始しても良い。このようにしても、フットモードから固定バイレベルモードに直接切り替えている従来技術と比較すると、フェイス開口部(17)及びフット開口部(18)からの吹出風量の変化を小さくできる。
【0020】
請求項4に記載の発明では、請求項1ないし3のいずれか1つにおいて、第一リニアバイレベルモード、第二リニアバイレベルモード及び固定バイレベルモードのうちいずれか1つはタイマ手段によって設定された所定の時間実行することを特徴とする。
【0021】
ところで、第一、第二リニアバイレベルモードの実行時間が短時間であると、上下開口部からの吹出風量が短時間で変化するので、乗員に違和感を与えることになる。そこで、タイマ手段によって第一、第二リニアバイレベルモードの実行時間を十分な時間に設定すれば、乗員の違和感を抑制することができる。また、固定バイレベルモードを所定の時間実行することで乗員の全身を充分温めることができる。
【0030】
請求項5に記載の発明では、請求項1ないし4のいずれか1つにおいて、車室内の天井部に沿って形成され、フェイス開口部(17)からの吹出空気が送り込まれる通風路(50c)と、
通風路(50c)の下面部に開口し、前記吹出空気を車室内下方に向けて吹き出す多数の天井吹出口(50)とを備えることを特徴とする。
【0031】
これによると、通風路(50c)に流入したフェイス開口部(17)からの吹出空気が天井に設けられた通風路(50c)を通って多数の天井吹出口(50)に送られる。このようにして送風された空気を天井吹出口(50)から車室内下方に向けて吹き出すことができるので、車両天井部の広範囲から均一で微小な風速の空調風を吹き出して、乗員の上半身を包み込むように空調できる。このため上方からのスポット的な空調風による乗員の不快感を抑制できる。
【0032】
請求項6に記載の発明のように、請求項5において、通風路(50c)は天井部の略全域に形成すれば、車室内全域に空調風を提供できる。なお、天井部の略全域とは、例えば、サンルーフ機構を備えた車両においては、このサンルーフ機構を除く天井全域であり、また、室内灯などの機器を天井部に備えていれば、これを除く天井全域である。
【0033】
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【0034】
【発明の実施の形態】
(第1実施形態)
以下、本発明を図に示す第1実施形態について説明する。
【0035】
図1は、本発明の第1実施形態の全体構成を示す。後席側空調ユニット1は、樹脂材料(例えばポリプロピレン)で形成された空調ケース2を有しており、この空調ケース2は複数の分割ケースを一体に締結して構成されるものであって、その内部に空調空気の通路を形成している。後席側空調ユニット1は大別して、送風機7と、クーラー部とヒータ部とを一体化した1つの熱交換ユニット9とから構成されている。第1実施形態では図2に示すとおり、後席側に荷室が設けられたワゴンタイプの荷室後部床面近傍で、かつ、車体側壁に送風機7を車両前方向に配置し、車両後方側に熱交換ユニット9を配置している。
【0036】
車室内へ向かって流れる空気の送風手段としての送風機7は、ファン駆動用モータ10と、その回転軸に連結された遠心式多翼ファン11及びスクロールケース12から構成されている。
【0037】
送風機7の空気流れ下流側には、上記した熱交換ユニット9が連結されており、この熱交換ユニット9の内部の下方側には蒸発器13を収容している。
【0038】
蒸発器13は冷房用熱交換器であって、図示しない車両エンジンにより駆動されるコンプレッサ等と結合されて冷凍サイクルを構成し、その内部の低圧冷媒が空気から吸熱して蒸発することにより空気を冷却する。
【0039】
そして、蒸発器13の空気流れ下流側、即ち、蒸発器13の上方側に図示しない車両エンジンの温水(冷却水)を熱源として空気を加熱する暖房用熱交換器14が配設されている。
【0040】
空調ケース2のうち、暖房用熱交換器14の上面部21には、後席側乗員の上半身側に送風するフェイス開口部17及び後席側乗員の足元側に送風するフット開口部18が形成してある。これら両開口部17、18は暖房用熱交換器14の上方(空気流れ下流側)において、暖房用熱交換器14とそれぞれ対向するように配置されている。
【0041】
そして、上記両開口部17、18の空気上流側部位(下方側)には、上記両開口部17、18を開閉するスライド式の吹出モード切替ドア15が配設されている。この吹出モード切替ドア15は、上記両開口部17、18の開口面に沿って(つまり、水平方向に沿って)往復運動(スライド)することにより、開口部17、18の開口面に沿って図1の実線で示すフット開口位置から1点鎖線で示すフェイス開口位置の間を移動可能となっている。
【0042】
フェイス開口部17には、フェイスダクト19の一端(下端部)が連結されており、このフェイスダクト19の他端側は図2に示すように天井部まで立ち上がり車両の左右両側に分岐されて左右側面に吹出ダクト部19aを形成する。そして、この吹出ダクト部19aに、後席側乗員の上半身に向けて空気を吹き出す複数のフェイス吹出口19bが形成されている。
【0043】
また、フット開口部18には、フットダクト20の一端が連結されており、このフットダクト20は図2に示すように車両の右側壁より車両前斜め下方向に側壁に沿って配設され、フットダクト20の他端側に乗員足元に向けて(車両右側壁から左側に向けて)空気を吹き出す複数のフット吹出口20aが形成されている。
【0044】
なお、車室内の前部に位置する車両用計器盤の内部には図示しない前席側空調ユニットが備えられている。この前席側空調ユニットは後席側空調ユニット1と類似の空調ユニットである。
【0045】
次に、第1実施形態の電気制御部の概要を説明すると、制御装置30(以下ECU30という)は前席側空調ユニットと後席側空調ユニット1を制御する制御手段であり、CPU、ROM及びRAM等を含んで構成される周知のマイクロコンピュータとその周辺回路から構成される。ECU30のROM内は空調制御のための制御プログラムを記憶しており、その制御プログラムに基づいて各種演算、処理を行う。ECU30の入力側には空調センサ群38からのセンサ検出信号、前席側空調パネル39からの操作信号及び後席側空調パネル31からの操作信号が入力される。
【0046】
空調センサ群38には、前席側内気温Trf、後席側内気温Trr、外気温Tam、日射量Ts、蒸発器冷却温度Te、温水温度Tw等を検出する各種のセンサ38a〜38f等が備えられている。
【0047】
前席側空調パネル39は、車室内の運転席前方の計器盤(図示せず)付近に配置され、操作部材として備えられている。ECU30は前席側操作部材の操作信号と空調センサ群38の検出信号の入力より、所定の制御プログラムに従って前席側アクチュエータ群40を駆動する。
【0048】
一方、後席側空調パネル31は車室内の後席側領域等に配置されるもので、後席側温度設定スイッチ31aは車室内後席側の設定温度の信号を出すものであり、後席側風量切替スイッチ31bは後席側送風機7のオンオフ及び後席側送風機7の風量切替をマニュアル設定するための信号を出すものである。
【0049】
吹出モードスイッチ31cは後席側吹出モードとしてフェイスモード、バイレベルモード、及びフットモードをマニュアル設定するための信号を出すものである。
【0050】
なお、フェイスモードは、後席側フェイス開口部17をスライド式の吹出モード切替ドア15にて全開し、後席側フット開口部18を閉塞して、後席側フェイス吹出口19bのみから空調風を車室内の後席乗員の上半身へ吹き出すモードである。
【0051】
バイレベルモードは後席側のフェイス開口部17及びフット開口部18をそれぞれ略半開し、前席側のフェイス開口部17及びフット開口部18の両方から後席乗員の上半身及び後席乗員の足元へ空調風を略同量ずつ吹き出すモードである。
【0052】
フットモードは、後席フェイス開口部17を閉塞し、後席フット開口部18を全開し、後席側フット吹出口20aから空調風を後席乗員足元へ吹き出すモードである。
【0053】
オートスイッチ31dは後席側空調ユニット1を自動制御にするためのスイッチである。
【0054】
次に、上記構成において第1実施形態の作動を説明する。図3は第1実施形態のECU30により実行される制御プログラムの概略を示すフローチャートであり、図3の制御プログラムは、図示しない車両エンジンのイグニッションスイッチが投入され、かつ、後席側空調パネル31の操作部材のオートスイッチ31dが投入されることによりスタートし、ステップS100にて制御フラグ及び各種タイマ等を初期化する。次に、ステップS110にて車室内の空調状態に影響を及ぼす車両環境状態を検出するための空調センサ群38の入力信号、前席側空調パネル39の信号及び後席側空調パネル31の信号を取得し、RAM(図示せず)に記憶する。
【0055】
続いて、S120にてこの読み込んだ値から下記の数式1に基づいて車室内後席側に吹き出す空気の目標温度、即ち、後席目標吹出空気温度TAOr(以下TAOrという)を演算する。
【0056】
【数1】
TAOr=Kset×Tsetr−Kr×Trr−Kam×Tam−Ks×Ts+C
但し、Tsetr:後席側温度設定スイッチ31aによって設定された後席側設定温度
Trr:後席内気温センサ38bの検出温度
Tam:外気温度センサ38cの検出温度
Ts:日射センサ38dの検出値
Kset、Kr、Kam、Ks:制御ゲイン
C:補正用の定数
次に、ステップS130にて暖房用熱交換器14の熱源である温水温度Twが図4に示すように所定値以上になっているか判定する。
【0057】
温水温度Twが所定値以上の場合ステップS140に進み、後席内気温度センサ38bから得られた後席側内気温度が図5に示すように所定値以下であるか判定する。
【0058】
ステップS140の判定が所定値以下の場合はステップS150に進み、TAOrが図6に示すように所定範囲内にあるか判定する。
【0059】
ステップS150にてTAOrが所定範囲内にある場合、ステップS160に進み、第一リニアバイレベルモードを設定し、タイマ時間t1を設定し、タイマ時間t1のカウントを開始する。また、図7に示すようにタイマ時間t1は外気温度に応じて設定する。
【0060】
次に、ステップS170ではタイマ時間t1のカウントが終了したか判定し、タイマ時間t1が終了していない場合はステップS230に進み、第一リニアバイレベルモードを継続する。タイマ時間t1が終了すると第一リニアバイレベルモードを終了して、ステップS180に進み、固定バイレベルモードを設定し、タイマ時間t2を設定し、タイマ時間t2のカウントを開始する。また、図8に示すようにタイマ時間t2は外気温度に応じて設定する。
【0061】
次に、ステップS190ではタイマ時間t2のカウントが終了したか判定する。タイマ時間t2が終了していない場合はステップS230に進み固定バイレベルモードを継続する。タイマ時間t2が終了すると固定バイレベルモードを終了して、ステップS200に進み、第二リニアバイレベルモードを設定し、タイマ時間t3を設定し、タイマ時間t3のカウントを開始する。
【0062】
次に、ステップS210ではタイマ時間t3のカウントが終了したか判定する。タイマ時間t3が終了していない場合はステップS230に進み第二リニアバイレベルモードを継続する。タイマ時間t3が終了した場合か或いは、ステップS130〜S150の判定結果のうちいずれか1つがNOである場合にステップS220進み、図9に示すようにTAOrに基づいて通常の吹出口制御の設定をする。
【0063】
ステップS230はステップS170、S190、S210の判定結果がNOの場合か、またはステップS220の後に進められる処理である。ステップS230では各ステップにて設定した吹出モードに従い、ECU30によりアクチュエータ15aを駆動して吹出モード切替ドア15を所定位置に移動させる。これとともに、ECU30によりTAOr等に基づいてブロアモータ10の印加電圧、温水流量を制御するアクチュエータ16a等を制御して空調の自動制御を実行する。
【0064】
次に、第1実施形態の作用効果について説明する。
【0065】
(1)第一リニアバイレベルモード、固定バイレベルモードを選択する条件について図4〜図6を用いて詳述する。
【0066】
温水温度Twの判定条件において、温水温度Twが図4に示す所定値以下(例えば20℃)の場合に第一リニアバイレベルモード、固定バイレベルモードを実行すると次のような弊害がある。即ち、Twが所定未満である場合はヒータコアが十分暖まっていないため、フェイス吹出口19bから冷たい風が乗員上半身側に向かって吹き出し、乗員に不快感を与えることになる。
【0067】
このため第一リニアバイレベルモード、固定バイレベルモードの実行には、温水温度Twが図4に示すように所定値以上の条件が必要である。この所定値は乗員に温風を提供するための温度であり、人間の体温よりも高い温度である60℃以上としている。なお、図4は横軸を温水温度Tw、縦軸をステップS130のTw値の判定結果のYESとNOを示している。温水温度Twの検出温度がしきい値近傍でばらつくことによる制御のハンチング防止のため、ヒステリシス幅を3℃に設定している。
【0068】
次に、後席室温Trrの判定条件において、後席室温Trrが図5に示す所定値以上(例えば35℃)の場合に第一リニアバイレベルモード、固定バイレベルモードを実行すると次のような弊害がある。即ち、車室内後席側が暖まっている状態において、乗員の上半身側へ温風が吹き出すことになり、乗員顔部の火照り感による不快感を与える。
【0069】
このため第一リニアバイレベルモード、固定バイレベルモードの実行には、Trrは所定値以下の条件が必要である。この所定値は乗員に温風が必要かどうか判定するための温度であり、人間の感覚にあわせて30℃以下としている。なお、図5は横軸を後席側車室内温度Trr、縦軸をステップS140のTrr値の判定結果のYESとNOを示している。なお、制御のハンチング防止のため、ヒステリシス幅を5℃に設定している。
【0070】
次に、TAOrの判定条件において、TAOrが所定範囲外の場合に第一リニアバイレベルモード、固定バイレベルモードを実行すると次のような弊害がある。即ち、TAOrが図6に示す所定範囲より高温(例えば90℃)の場合では、TAOによる通常の吹出空気の風量制御ではTAOが高い時は空気を吹き出す風量が多く、フェイス吹出口19bから乗員上半身に向かって多量の空気を吹き出すため、乗員に違和感を覚えさせる。
【0071】
また、TAOrが図6に示す所定範囲より低温(例えば50℃)の場合では、乗員の上半身側に向かって温風を吹き出すと、乗員顔部の火照り感による不快感を与える。
【0072】
このため、第一リニアバイレベルモード、固定バイレベルモードの実行には、TAOrが所定範囲内である条件が必要である。なお、図6は横軸をTAOrの温度とし、縦軸をステップS150のTAOrの判定結果のYESとNOを示している。図6によると演算されたTAOrの値に対してYESまたはNOの判定がどの温度でなされるかを示している。なお、制御のハンチング防止のため、ヒステリシス幅を5℃に設定している。
【0073】
(2)第一、第二リニアバイレベルモード、固定バイレベルモードの実行時間について図7〜図10を用いて説明する。
【0074】
図10はウォームアップ制御の時間の経過とともに吹出モードが変化することを示す第1実施形態の特性図である。
【0075】
縦軸のフットモードと固定バイレベルモードの上下位置関係は、フット開口部18とフェイス開口部17の上下吹出風量割合を示す。即ち、フットモードの位置がフェイス開口部17側:0%、フット開口部18側:100%の上下吹出風量割合を表し、固定バイレベルモードの位置がフェイス開口部17側:60%程度、フット開口部18側:40%程度の上下吹出風量割合を示す。そして、縦軸においてフットモードの位置から固定バイレベルモードの位置へ近づくにつれてフェイス開口部17側の吹出風量割合が増加し、フット開口部18側の吹出風量割合が減少することを示す。
【0076】
図10の横軸は空調装置の自動制御における、ウォームアップ制御の実行時間を示す。冬季暖房運転始動時のウォームアップ制御では温水温度Twが所定温度以下のときは冷風が車室内へ吹き出すことを防止するために送風機7を停止させ、温水温度Twが所定温度以上(例えば、30℃)になると送風機7を起動している。この送風機7が起動した時の吹出モードは図9に示すTAOによる通常制御に従い、フットモードとなり、横軸に最初にある0の時点まではフットモードを継続する。この0の時点はステップS130〜S150の条件が成立した時にスタートするタイマ時間t1の開始点である。なお、横軸のt1、t2、t3は前述した各タイマ時間である。
【0077】
図10ではフットモード実行後に、第一リニアバイレベルモードをステップS130〜S150の条件が成立した時点より開始する。なお、第一リニアバイレベルモードはフット開口部18から空気の全量を吹き出し、フェイス開口部17からの吹出風量が零の状態から開始される。
【0078】
第一リニアバイレベルモードは、フット開口部18からの吹出風量を時間の経過とともに直線的に減少させ、これとともに、フェイス開口部17からの吹出風量を時間の経過とともに直線的に増加させ、タイマ時間t1だけ実行する。なお、第一リニアバイレベルモード終了時の上下吹出風量割合はフェイス開口部17側の吹出風量を60%程度、フット開口部18側の吹出風量を40%程度である。
【0079】
次に、固定バイレベルモードを実行する。固定バイレベルモードはタイマ時間t2の間第一リニアバイレベルモード終了時の上下吹出風量割合を維持する。
【0080】
固定バイレベルモード終了後は第二リニアバイレベルモードを開始する。第二リニアバイレベルモードはフット開口部18からの吹出風量を時間の経過とともに直線的に増加させ、これとともに、フェイス開口部17からの吹出風量を時間の経過とともに直線的に減少させ、タイマ時間t3だけ実行する。
【0081】
第二リニアバイレベルモード終了後はフットモードを再度実行する。
【0082】
なお、タイマ時間t1,t2は図7、図8に示すように外気温度が0℃以上のときはt1は2分、t2は5分と固定にし、外気温度が0℃から−20℃の間では、t1は2分から4分、t2は5分から10分とするように、外気温度が低いほどタイマ時間を長く設定し、外気温度が−20℃以下の場合はt1は4分、t2は10分と固定にして、外気温度に応じてタイマ時間が変化するようにしている。また、タイマ時間t3はタイマ時間t1より短い時間設定にしてあり、例えば60秒である。
【0083】
これは、ウォームアップ制御初期の温水温度の上昇に伴って空調風の送風量が増大した時に実行する第一リニアバイレベルモードと室温の上昇に伴って送風量が少なくなった時に実行する第二リニアバイレベルモードとの違いによるものである。より具体的には、送風量が少ない時に上下吹出風量割合を変化させると、送風量が多い時と比較して、風量の変化及び空調風の音の変化が小さくなる。従って、第二リニアバイレベルモードの実行時間であるタイマ時間t3がタイマ時間t1より短い設定であっても乗員の違和感を抑制できるという理由による。
【0084】
また、上述のタイマ時間t1、t2を外気温度によって変化させる目的はそれぞれ異なる。外気温度が低いとフェイスダクト19内部の冷気もこれに近似する温度になっているため、外気温度が低ければ低いほど第一リニアバイレベルモードを長くして、フェイスダクト19内部の冷気を時間をかけて少しずつ吹き出すようにしたほうが乗員の寒さによる不快感を抑制できるからである。固定バイレベルモードの場合は、外気温度が低ければ低いほど、乗員が乗員の上半身を含めた全身に向かう温風を長い時間、欲するためである。
【0085】
また、第一リニアバイレベルモードと、固定バイレベルモードの実行時間を比較すると、図7、図8に示すように、固定バイレベルモードの実行時間を長く設定している。これは第一リニアバイレベルモードはウォームアップ制御時のフットモードから固定バイレベルモードへの過渡期であることに対して、固定バイレベルモードは乗員の全身を温めて、乗員の暖房フィーリングを向上させることを目的としているためである。
【0086】
(第2実施形態)
図11は第2実施形態の特性図である。
【0087】
第2実施形態は、第1実施形態と比較して、次の2つの点が異なる。1つは、リニアバイレベルモードがフット開口部18からの吹出風量割合を85%程度、フェイス開口部17からの吹出風量割合を15%程度の状態から開始する点である。もう一つは、固定バイレベルモード終了後にフットモードに直接切り替える点である。
【0088】
(第3実施形態)
図12は第3実施形態の特性図である。
【0089】
第3実施形態は、第1実施形態と比較して、次の点が異なる。それは、第一リニアバイレベルモードの代わりに第一固定バイレベルモードを実行し、第一固定バイレベルモード実行後に第二固定バイレベルモードを実行しているところが異なる。なお、第一固定バイレベルモードは、フェイス開口部17からの吹出風量割合を85%程度、フット開口部18からの吹出風量割合を15%程度とした吹出モードである。また、第二固定バイレベルモードは第1実施形態の固定バイレベルモードと同じ上下吹出風量割合の吹出モードである。
【0090】
(第4実施形態)
図13は第4実施形態の特性図である。
【0091】
第1実施形態は図10に示すように第一、第二リニアバイレベルモードの上下開口部からの吹出風量割合を時間の経過とともに直線的に変化させていたが、これを廃止し、代わりに吹出風量割合を時間の経過とともに多段階に変化させても第1実施形態と同様の効果が得られる。
【0092】
また、第1実施形態の第一、第二リニアバイレベルモードのいずれか一方、第2実施形態のリニアバイレベルモード、または第3実施形態のリニアバイレベルモードを多段階に変化させても同様の効果が得られる。
【0093】
(第5実施形態)
最初に第5実施形態の課題について説明する。第1ないし第4実施形態のように車両側面窓の上方部のみにフェイス吹出口19bをスポット的に配置すると、第1リニアバイレベルモードにおいて、車両側面窓上方部から風速の比較的に高い空調風をスポット的に吹き出すので、乗員上半身の一部分のみに空調風の風速感(冷風感)を与えるという問題があった。また、固定バイレベルモードにおいて、車両側面窓上方部からの吹出空気が完全に温風に変わった後では、温風の当たっている上半身の一部分のみが温められるので、この一部分にのみ火照り感を感じさせることになる。このため、上半身の吹出空気の当たらない部位では、暖房感が物足りないにも関わらず、固定バイレベルモードからフットモードへ切り替えなければならないという問題があった。
【0094】
第5実施形態は上記点に鑑みて案出されたものであり、車両上方部から乗員上半身に向けてスポット的に吹き出す空調風による乗員への違和感を抑制することを目的としている。
【0095】
本実施形態では、図16に示すように複数の天井吹出口50を天井部に備え、この複数の天井吹出口50に空調空気を送風する後席用空調ユニット1を後部荷物台(リヤトレー)下方部に配置している。この後席用空調ユニット1はピラーダクト52の端部と、図17に示すフットダクト53の端部とに接続され、空調空気を送風するようになっている。ピラーダクト52はCピラー部54の内部に設けられ、Cピラー部54に沿って天井方向に向けて配置されている。そして、ピラーダクト52の他端部は図示しない通風路50cの接続部と接続されている。また、フットダクト53は車両後席側座席裏側に乗員足元に向かうように設けられ、フットダクト53の他端部側には図示しないフット吹出口が設けられている。なお、図16は第5実施形態による車両後方からの斜視図であり、図17は車両上方からの概略平面図である。
【0096】
天井吹出口50は図18の部分断面図に示すような3次元構造となっている。
【0097】
図18において、断熱シート材50aは車両の屋根(図示せず)の裏側に配置される部材で、断熱性およびシール性に富んだ樹脂材質からなる。この断熱シート材50aの下方側に所定間隔を開けて天井基材50bが配置される。この天井基材50bは断熱シート材50aよりも十分板厚が大きくなっている樹脂製部材で、車室天井部の基板を構成する。
【0098】
そして、上側の断熱シート材50aと下側の天井基材50bとの間に所定間隔を設定して、空調風が流れる通風路50cを形成している。この通風路50cは、車室天井部に沿う扁平な形状に形成される。
【0099】
また、本実施形態は、図17に示すように車室天井部にサンルーフ開口部55を有する車両に適用される。ここで、サンルーフ開口部55は矩形状になっており、より具体的には、車両左右方向が長辺となる長方形である。そして、車両前後方向に対しては、車室天井部の中央部よりも前方寄りの部位にサンルーフ開口部55が配置されている。
【0100】
そして、通風路50cはこのサンルーフ開口部55の矩形状を囲むように口の字形(図17の斜線部参照)に形成されている。この口の字形の通風路50cの内部全域には三次元的な微細な通気形状を形成する三次元通気構造体50dが配置されている。
【0101】
この三次元通気構造体50dは、具体的には、樹脂製の繊維状部材の編み物構造(ネット構造)により構成されている。三次元通気構造体50dは天井基材50bに接着、或いは機械的な固定手段により固定される。また、断熱シート材50aと天井基材50bとの間で三次元通気構造体50dを挟み込み固定してもよい。そして、断熱シート材50aの端部(周辺部)は、三次元通気構造体50dを介在した状態にて天井基材50bに気密に接着固定されて、通風路50cの周辺部を密封するようになっている。
【0102】
下側の天井基材50bには通風路50cの全域にわたって多数の口の字形の天井吹出口50が開口しており、この多数の天井吹出口50から空調風を車室内下方へ向かって吹き出すようになっている。したがって図17に示す斜線部は通風路50cの形成範囲を示すと同時に、多数の天井吹出口50の形成範囲を示すことになる。
【0103】
続いて、第5実施形態の作用効果について説明する。第5実施形態では、車室天井部のうち、サンルーフ開口部55を除くほぼ全域にわたって通風路50cを形成し、この通風路50cの下面部に多数の天井吹出口50を開口しているから、車両天井部の広範囲から均一で微小な風速の空調風を吹き出して、乗員の上半身を包み込むように空調できる。
【0104】
従って、乗員に対して、風の煩わしさを感じさせない、マイルドで、快適な空調感を与えることができる。また、乗員の上半身を包み込むように空調空気を吹き出すようにすることで、乗員上半身の一部にのみ火照り感が生じることもなく、乗員に十分な暖房感を与える前に、固定バイレベルモードからフットモードへの切替をする必要もなくなる。このため、乗員の暖房フィーリングを改善できる。
【0105】
(他の実施形態)
▲1▼図3のフローチャートにおいて、ステップS150のTAOrを判定するしきい値を固定にしたが、外気温度に応じてTAOrを判定するしきい値が図14のように変化しても良い。これは外気温度が低いときは乗員が乗員の全身に向かって吹き出す温風を長い時間、欲するからである。なお、図14は横軸をTAOrの温度とし、縦軸をステップS150のTAOrの判定結果のYESとNOを示している。図14によると演算したTAOrの値に対してYESまたはNOの判定がどの温度でなされるかを示している。このしきい値は制御のハンチング防止のため、ヒステリシス幅を5℃に設定している。また、図14のしきい値Gは、図15から得られる。図15は縦軸をしきい値Gの設定温度、横軸を外気温度Tam℃とし、外気温度に対応してしきい値が変化することを示している。
【0106】
▲2▼第1ないし第5実施形態では後席側空調ユニットのウォームアップ制御に関して説明したが、前席側空調ユニットにおいても上記のウォームアップ制御を実行しても良い。
【0107】
▲3▼第1ないし第5実施形態では吹出口開口部をスライド式ドアにより切り替える空調ユニットに関して説明したが、吹出口開口部を回転式ドアにより切り替える空調ユニットにしても良い。
【0108】
▲4▼第1実施形態では図10に示す固定バイレベルモードを実行し、第二リニアバイレベルモード実行し、フットモードを実行したが、第二リニアバイレベルモードを廃止して、固定バイレベルモード実行後に直接フットモードを実行しても良い。
【0109】
▲5▼第2実施形態では図11に示す固定バイレベルモードからフットモードへ直接切り替えて実行したが、これに限らず、固定バイレベルモードとフットモーとの間に図10の第二リニアバイレベルモードを実行するようにしても良い。
【0110】
▲6▼第1ないし第3実施形態ならびに第5実施形態の第一、第二リニアバイレベルモード、リニアバイレベルモードは時間の経過とともに上下開口部からの吹出風量割合を直線的に変化させているが、これに限らず、この直線より上側に凸または下側に凸になるように変化にさせても良い。
【0111】
▲7▼第5実施形態では1つのピラーダクト52により通風路50cに空気を送風したが、複数のピラーダクトを設け、前記複数のピラーダクト52から通風路50cに空気を送風するようにしてもよい。
【0112】
▲8▼上述の第5実施形態では、サンルーフ開口部55の周囲に直接、通風路50cを形成しているが、実際には、サンルーフ開口部55の開閉のためのサンルーフ開閉機構(図示せず)が車室天井部に搭載される。このサンルーフ開閉機構はサンルーフ開口部55に対して車両前後方向にスライド可能に構成され、サンルーフ開口部55の車両後方側にサンルーフ開閉機構がスライドすることにより、サンルーフ開口部55を開口する。
【0113】
このように、サンルーフ開口部55の開口時にはサンルーフ開閉機構がサンルーフ開口部55の車両後方側に位置するので、サンルーフ開口部55の開口範囲とサンルーフ開閉機構のスライド範囲の両方を囲むように通風路50cを口の字形またはコの字形に形成してもよい。同様に、第9実施形態において、サンルーフ開口部13の開口範囲とサンルーフ開閉機構のスライド範囲の車両後方側に通風路50cを四角形状に形成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態の全体構成図である。
【図2】第1実施形態の後席側空調ユニット1の車両搭載状態を示す車両後部の概略透視図である。
【図3】第1実施形態のエアコンECU30の作動を示すフローチャートである。
【図4】図3のステップS130における温水温度Twの判定しきい値を示す特性図である。
【図5】図3のステップS140における後席室内温度Trrの判定しきい値を示す特性図である。
【図6】図3のステップS150における後席目標吹出空気温度TAOrの判定しきい値を示す特性図である。
【図7】図3のステップS160におけるタイマ時間t1の時間と外気温度の関係を表す特性図である。
【図8】図3のステップS180におけるタイマ時間t2の時間と外気温度の関係を表す特性図である。
【図9】TAO(TAOr)による吹出口の通常制御を示す特性図である。
【図10】第1実施形態の各吹出モードと時間の関係を表す特性図である。
【図11】第2実施形態の各吹出モードと時間の関係を表す特性図である。
【図12】第3実施形態の各吹出モードと時間の関係を表す特性図である。
【図13】第4実施形態の各吹出モードと時間の関係を表す特性図である。
【図14】後席目標吹出空気温度TAOrの判定しきい値を例示する特性図である。
【図15】後席目標吹出空気温度TAOrの判定しきい値と外気温度の関係を表す特性図である。
【図16】第5実施形態の車両後方の概略斜視図である。
【図17】第5実施形態を適用した車両の概略平面図である。
【図18】第5実施形態による車両空調用の天井吹出口50の部分断面図である。
【符号の説明】
1…後席側空調ユニット、7…送風機、14…暖房用熱交換器、
15…吹出モード切替ドア、17…フェイス開口部、18…フット開口部、
20…フットダクト、20a…フット吹出口、30…ECU、
31…後席側空調パネル、31c…吹出モードスイッチ、
38…空調センサ群、38b…後席内気温度センサ
50…天井吹出口、50c…通風路。
Claims (6)
- 車室内へ向かって空気を送風する送風機(7)と、
前記送風機(7)の送風空気を加熱する暖房用熱交換器(14)と、
前記暖房用熱交換器(14)の空気流れ下流側に設けられたフット開口部(18)と、
前記暖房用熱交換器(14)の空気流れ下流側に設けられたフェイス開口部(17)とを備え、
前記フェイス開口部(17)を閉塞し、前記フット開口部(18)から乗員足元に空気を吹き出すフットモードと、
前記フット開口部(18)から前記車室内の乗員足元側へ空気を吹き出すとともに、前記フェイス開口部(17)から前記車室内の乗員上半身側へ空気を吹き出し、かつ前記フェイス開口部(17)と前記フット開口部(18)との吹出風量割合を一定に維持する固定バイレベルモードとが少なくとも設定可能となっており、
前記暖房用熱交換器(14)により加熱された前記送風空気を前記車室内に吹き出す暖房運転始動後、前記車室内への吹出空気の吹出温度が上昇する過程のウォームアップ制御時に、最初に前記フットモードを実行し、次に第一リニアバイレベルモードを実行し、次に前記固定バイレベルモードを実行し、次に第二リニアバイレベルモードを実行し、その後に前記フットモードを再度実行し、
前記第一リニアバイレベルモードは前記フットモード時と比較して前記フット開口部(18)からの吹出風量を時間の経過とともに減少させ、これとともに、前記フェイス開口部(17)からの吹出風量を時間の経過とともに増加させる吹出モードであり、
前記第二リニアバイレベルモードは前記固定バイレベルモード時と比較して前記フット開口部(18)からの吹出風量を時間の経過とともに増加させ、これとともに、前記フェイス開口部(17)からの吹出風量を時間の経過とともに減少させる吹出モードであり、
前記第二リニアバイレベルモードより前記第一リニアバイレベルモードの実行時間が長いことを特徴とする車両用空調装置。 - 前記第一リニアバイレベルモードは前記フット開口部(18)から空気の全量を吹き出し、前記フェイス開口部(17)からの吹出風量が零の状態から開始されることを特徴とする請求項1に記載の車両用空調装置。
- 前記第一リニアバイレベルモードは前記フット開口部(18)から主に空気を吹き出し、前記フェイス開口部(17)から少量の空気を吹き出す状態から開始されることを特徴とする請求項1に記載の車両用空調装置。
- 前記第一リニアバイレベルモード、前記第二リニアバイレベルモード及び前記固定バイレベルモードのうちいずれか1つはタイマ手段によって設定された所定の時間実行することを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載の車両用空調装置。
- 前記車室内の天井部に沿って形成され、前記フェイス開口部(17)からの吹出空気が送り込まれる通風路(50c)と、
前記通風路(50c)の下面部に開口し、前記吹出空気を車室内下方に向けて吹き出す多数の天井吹出口(50)とを備えることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1つに記載の車両用空調装置。 - 前記通風路(50c)は前記天井部の略全域に形成することを特徴とする請求項5に記載の車両用空調装置。
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