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JP4142124B2 - 車両用電源供給装置及び該装置における異常検出装置 - Google Patents

車両用電源供給装置及び該装置における異常検出装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は車両用電源供給装置及び該装置における異常検出装置に係り、特に、車載のバッテリから車両の各部に設けられている負荷に電源を供給する車両用電源供給装置及び該装置に適した異常検出装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の車両用電源供給装置では、一般に図11に示すように、車体のエンジンルーム内に設けられたバッテリ1から出る電力は、バッテリ1の近傍に設けられた図示しないフューズボックスに収容されたフュージブルリンク(FL)2、及びエンジンルーム内に配索されたバッテリ電源線L1を介して運転席のイグニッションキースイッチ(IGN KEY SW)3に至り、このイグニッションキースイッチ3の各ポジションに応じて運転席のカウルサイド内側に配された図示しないフューズボックス内のフューズ(F)4a〜4c及び電源線L1a〜L1cを介して車両内の各部に設けられている各負荷に供給されると共に、バッテリ1の近傍に設けられた図示しないフューズボックスに収容されたフューズ(F)5及びバッテリ電源線L2を介して常時電源供給を必要とする例えば時計6などの負荷にも供給されるようになっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上述した車両用電源供給装置において、エンジンルーム内に配索したバッテリ電源線L1及びL2は車両の走行中に絶え間ない振動を受け、これらが車体の角部に接触していると、その絶縁被覆が損傷してその部分と車体との間にデッドショート、断続ショート、リークなどの電源線異常が生じるようになるが、これを正確に検出することができないという問題があった。
【0004】
このような、デッドショート、断続ショート、リークが生じた場合、電流によるフュージブルリンク(FL)2やフューズ(F)5の発熱が少ないので、異常であってもフュージブルリンク(FL)2やフューズ(F)5の溶断によって回路遮断できない。このため、図中Xで示す箇所において電源線に絶縁被覆の損傷があると、この箇所の温度が上昇し、最終的には絶縁被覆が発煙するに至る可能性がある。
【0005】
また、バッテリからイグニッションキースイッチ(IGN KEY SW)3に至るまでのバッテリ電源線L1や常に電圧印加されている必要のある負荷に電力を供給するバッテリ電源線L2が存在するため、走行中に限らず、駐車中においても上述のような問題が起こる可能性がある。
【0006】
さらに、ショートやリークがあると、特に駐車中にこれが原因でバッテリが放電され、バッテリ上がりが発生して車両の始動すらできなくなることがある。
【0007】
もし、上述のようなショートやリークの発生を何らかの方法によって検知してバッテリ電源線L1をバッテリ1との接続部分において遮断すれば、上述のようなバッテリ電源線の発煙という事態の発生を未然に防ぐことができる。しかし、バッテリ電源線を遮断すると、該電源線を通じて電源供給を受けていた負荷を動作させることができなくなり、その負荷が車両の走行系に係わるものである場合には、電源線の遮断と同時に車両を動かすことができなくなる。
【0008】
よって本発明は、上述した従来の問題に鑑み、電源線の異常を確実に検知して異常な電源線を遮断するようにした車両用電源供給装置を提供することを主たる課題としている。
【0009】
また本発明は、上述した従来の問題に鑑み、電源線の異常を確実に検知し、この検知した異常な電源線をその発煙が生じる前に確実に遮断するようにした車両用電源供給装置を提供することを他の課題としている。
【0010】
本発明はまた、電源線の異常を確実に検知して異常な電源線を切り離しても、異常な電源線を通じて電源供給されていた負荷が動作不能に陥ることがないようにした車両用電源供給装置を提供することも課題としている。
【0011】
本発明は、バッテリ電圧が規定電圧以下に低下するまで、電源線の異常を確実に検知し、バッテリ電圧が規定電圧以下に低下したとき、車両の走行を必要としないことを条件に全ての電源供給を遮断してバッテリ上がりを防止するようにした車両用電源供給装置を提供することを課題としている。
【0012】
本発明はさらに、上述した従来の問題に鑑み、電源線の異常を確実に検知するようにした車両用電源供給装置に適した異常検出装置を提供することを主たる課題としている。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため本発明により成された請求項1記載の車両用電源供給装置は、図1の基本構成図に示すように、車体の各所に近傍の負荷にバッテリ1からの電源を分配するため設けられるとともに電源線L11,L21〜L24によって相互に接続され、前記電源線を通じて電流を流出する主電源分配ボックス10〜80及び前記電源線を通じて電流が流入する従電源分配ボックス10〜80を有し、バッテリからの電源を前記主電源分配ボックス、前記電源線及び前記従電源分配ボックスを経由して負荷に分配する車両用電源供給装置において、記主電源分配ボックスに設けられ、前記電源線を通じての電流の流出をオンオフする電源線開閉手段101a,402a,602c,702b,702cと、記主電源分配ボックスに設けられ、前記電源線開閉手段を開閉制御する制御手段107a,301aと、前記電源線を通じて電流を流出する前記主電源分配ボックスに設けられ、前記電源線を通じて流出する電流の大きさを検知する流出電流検知手段105aと、記従電源分配ボックスに設けられ、前記電源線を通じて流入する電流の大きさを検知する流入電流検知手段205aと、前記流出電流検知手段により検知した流出電流の大きさと前記流入電流検知手段により検知した流入電流の大きさとを比較し、前記流入電流が前記流出電流よりも小さいとき、前記電源線の異常を検出する異常検出手段107b,301bとを備え、前記制御手段が、前記異常検出手段による異常の検出に応じて前記電源線開閉手段を開制御することを特徴としている。
【0014】
上記構成において、電源線L11,L21〜L24を通じて電流を流出する主電源分配ボックスに設けられた流出電流検知手段105aが電源線を通じて流出する電流の大きさを検知し、電源線を通じて電流を流入する従電源分配ボックスに設けられた流入電流検知手段205aが電源線を通じて流入する電流の大きさを検知する。異常検出手段107b,301bが、流出電流検知手段により検知した流出電流の大きさと流入電流検知手段により検知した流入電流の大きさとを比較し、流入電流が流出電流よりも小さいとき、電源線の異常を検出する。電源線を通じて電流を流出するる主電源分配ボックスに設けられた制御手段107a,301aが、異常検出手段による異常の検出に応じて、電源線を通じての電流の流出をオンオフする電源線開閉手段を開制御する。
【0015】
よって、軽微の損傷によってもデッドショート、断続ショート、リークが生じた場合には異常と判断でき、この異常の検出に応じて電源線開閉手段101a,402a,602c,702b,702cが電源線を通じての主電源分配ボックス及び従電源分配ボックス間の電源供給を確実に遮断することができる。
【0016】
本発明により成された請求項2に記載の車両用電源供給装置は、図1の基本構成図に示すように、請求項1に記載の車両用電源供給装置において、前記電源線と別個に前記主電源分配ボックス及び前記従電源分配ボックス間に配索され前記主電源分配ボックスから電流を流出する補助電源線L12,L25,L26と、記主電源分配ボックスに設けられ、前記補助電源線を通じての電流の流出をオンオフする補助電源線開閉手段101b,402b,602bとを備え、前記制御手段が、前記異常検出手段による異常の検出に応じて前記補助電源線開閉手段を閉制御し、バッテリからの電源を前記主電源分配ボックス、前記補助電源線及び従電源分配ボックスを経由して負荷に分配することを特徴としている。
【0017】
上記構成において、電源線を通じて電流を流出する主電源分配ボックスに設けられた制御手段107a,301aが、異常検出手段による異常の検出に応じて、補助電源線を通じて電流を流出する主電源分配ボックスに設けられた補助電源線開閉手段101b,402b,602bを閉制御し、バッテリからの電源を前記主電源分配ボックス、前記補助電源線及び従電源分配ボックスを経由して負荷に分配するので、異常検出によって電源線を切り離しても、このことによって、電源線によって電源供給されていた負荷に補助電源線を通じて電源供給できるようになる。
【0018】
上記課題を達成するため本発明により成された請求項3に記載の車両用電源供給装置は、図1の基本構成図に示すように、請求項1又は2に記載の車両用電源供給装置において、前記主電源分配ボックス及び従電源分配ボックス間を相互接続し、前記主電源分配ボックス及び従電源分配ボックス間でデータの授受を行う多重通信ラインL13,L30を更に備え、前記異常検出手段が前記電源線を通じて電流を流出する前記主電源分配ボックスに設けられ、前記流入電流検知手段により検知した流入電流の大きさを示す情報を、前記電源線を通じて電流が流入する前記従電源分配ボックスから前記多重通信ラインを介して入力することを特徴としている。
【0019】
上記構成において、電源線を通じて電流を流出する主電源分配ボックスに設けられた異常検出手段が、流入電流検知手段により検知した流入電流の大きさを示す情報を、主電源分配ボックス及び従電源分配ボックス間を相互接続し主電源分配ボックス及び従電源分配ボックス間でデータの授受を行う多重通信ラインL13,L30を介して電源線を通じて電流が流入する従電源分配ボックスから入力する。
【0020】
上記課題を達成するため本発明により成された請求項4に記載の車両用電源供給装置は、図1の基本構成図に示すように、請求項2に記載の車両用電源供給装置において、前記主電源分配ボックス及び従電源分配ボックス間を相互接続し、前記主電源分配ボックス及び従電源分配ボックス間でデータの授受を行う多重通信ラインL13,L30を更に備え、前記異常検出手段が前記電源線を通じて電流が流入する前記従電源分配ボックスに設けられ、前記流出電流検知手段により検知した流出電流の大きさを示す情報を、前記電源線を通じて電流を流出する前記主電源分配ボックスから前記多重通信ラインを介して入力し、かつ、前記電源線の異常の検出に応じて前記電源線開閉手段を開させるとともに前記補助電源線開閉手段を閉させる制御を前記制御手段に行わせる情報を、前記電源線を通じて電流を流出する前記主電源分配ボックスに対して前記多重通信ラインを介して出力する。
【0021】
上記構成において、電源線を通じて電流が流入する従電源分配ボックスに設けられた異常検出手段が、流出電流検知手段により検知した流出電流の大きさを示す情報を、主電源分配ボックス及び従電源分配ボックス間を相互接続し主電源分配ボックス及び従電源分配ボックス間でデータの授受を行う多重通信ラインL13,L30を介して入力し、かつ、電源線の異常の検出に応じて電源線開閉手段を開させるとともに補助電源線開閉手段を閉させる制御を制御手段に行わせる情報を、電源線を通じて電流を流出する主電源分配ボックスに対して多重通信ラインを介して出力する。
【0022】
上記課題を達成するため本発明により成された請求項5に記載の車両用電源供給装置は、図1の基本構成図に示すように、請求項2に記載の車両用電源供給装置において、前記主電源分配ボックス及び従電源分配ボックス間を相互接続し、前記主電源分配ボックス及び従電源分配ボックス間でデータの授受を行う多重通信ラインL13,L30と、前記従電源分配ボックスを介して電源供給を受けるとともに前記多重通信ラインを介して前記主電源分配ボックス及び前記従電源分配ボックスに接続され、前記主電源分配ボックス及び前記従電源分配ボックスとの間でデータの授受を行う第3の電源供給ボックス30とを更に備え、前記異常検出手段が、前記第3の電源供給ボックスに設けられ、前記流入電流検知手段により検知した流入電流の大きさを示す情報と前記流入電流検知手段により検知した流入電流の大きさを示す情報とを前記多重通信ラインを介して入力し、かつ、前記電源線の異常の検出に応じて前記電源線開閉手段を開させるとともに前記補助電源線開閉手段を閉させる制御を前記制御手段に行わせる情報を前記多重通信ラインを介して出力することを特徴としている。
【0023】
上記構成において、電源線を通じて電流を流出する主電源分配ボックス及び電源線を通じて電流が流入する従電源分配ボックス以外の第3の電源供給ボックスに設けられた異常検出手段が、流入電流検知手段により検知した流入電流の大きさを示す情報と流入電流検知手段により検知した流入電流の大きさを示す情報とを、主電源分配ボックス及び従電源分配ボックス間でデータの授受を行う多重通信ラインL13,L30を介して入力し、かつ、電源線の異常の検出に応じて電源線開閉手段を開させるとともに補助電源線開閉手段を閉させる制御を制御手段に行わせる情報を多重通信ラインを介して出力する。
【0024】
上記課題を達成するため本発明により成された請求項6に記載の車両用電源供給装置は、図1の基本構成図に示すように、請求項2記載の車両用電源供給装置において、車両の走行を検出する走行検出手段21と、該走行検出手段が車両の走行を検出していないとき前記バッテリの電圧を監視する動作を開始し、バッテリ電圧が所定値以下に低下したことを検出する電圧低下検出手段107cとを備え、前記電圧低下検出手段が前記バッテリの電圧の所定値以下への低下を検出したとき、前記電源線開閉手段及び前記補助電源線開閉手段をともに開させる制御を前記制御手段に行わせることを特徴としている。
【0025】
上記構成において、車両の走行を検出する走行検出手段21が車両の走行を検出していないとき、電圧低下検出手段107aがバッテリの電圧を監視する動作を開始し、バッテリ電圧が所定値以下に低下したことを検出すると、電源線開閉手段及び補助電源線開閉手段をともに開させる制御を制御手段に行わせる。
【0026】
上記課題を達成するため本発明により成された請求項7に記載の車両用電源供給装置は、図1の基本構成図に示すように、請求項1〜6の何れかに記載の車両用電源供給装置において、前記異常検出手段によって検出した前記電源線の異常を記録する記録手段302dをさらに備えることを特徴としている。
【0027】
上記構成において、記録手段302dが、異常検出手段によって検出した電源線の異常を記録する。
【0028】
上記課題を達成するため本発明により成された請求項8に記載の車両用電源供給装置は、図1の基本構成図に示すように、請求項2〜7の何れかに記載の車両用電源供給装置において、前記電源線開閉手段及び前記補助電源線開閉手段が、リレーコイルと直列に逆流阻止用ダイオードを有するリレーによって形成されていることを特徴としている。
【0029】
上記構成において、電源線開閉手段及び補助電源線開閉手段を形成するリレーが、リレーコイルと直列に逆流阻止用ダイオードを有するので、バッテリが逆接続されたときには、電源線開閉手段及び補助電源線開閉手段が閉することがない。
【0030】
上記課題を達成するため本発明により成された請求項9に記載の車両用電源供給装置は、図1の基本構成図に示すように、請求項1〜8の何れかに記載の車両用電源供給装置において、前記流出電流検知手段105a及び前記流入電流検知手段205aが、予め定めたサンプリング周期で電流の大きさを検知し、前記制御手段107a,301aは、前記異常検出手段107b,301bが異常を検出したとき、前記流出電流検知手段105a及び前記流入電流検知手段205aがそれぞれ検知した前記流出電流及び前記流入電流の差電流と前記サンプリング周期とに基づいてジュール積分量を求める演算手段107d,301dを有し、該演算手段107d,301dによって求めた前記ジュール積分量が、前記電源線に固有の発煙特性によって決定されるジュール積分値に安全率を乗じた所定値になったとき、前記電源線開閉手段101a,402a,602c,702b,702cを開制御することを特徴としている。
【0031】
上記構成において、異常検出手段107b,301bが異常を検出したとき、流出電流検知手段105a及び流入電流検知手段205aがそれぞれ検知した流出電流及び流入電流の差電流と、流出電流検知手段105a及び流入電流検知手段205aが電流の大きさ検知する予め定めたサンプリング周期とに基づいて制御手段の有する演算手段107d,301dがジュール積分量を求め、このジュール積分量が、電源線に固有の発煙特性によって決定されるジュール積分値に安全率を乗じた所定値になったとき、制御手段107a,301aが電源線開閉手段101a,402a,602c,702b,702cを開制御する。
よって、電源線被覆の損傷によりリークが生じ異常と判断されても、直ちに、電源線開閉手段101a,402a,602c,702b,702cによって電源線を通じての電源分配ボックス間の電源供給を遮断することなく、流出電流及び流入電流の差電流の大きさなどによって求められるショート状態が電源線に固有の発煙特性と安全率とで決定される所定の状態になったときに初めて、電源線開閉手段101a,402a,602c,702b,702cが電源線を通じての主電源分配ボックス及び従電源分配ボックス間の電源供給を確実に遮断するので、電源線の発煙の危険性のないときにむやみに電源供給を遮断することを防ぐことができる。
【0032】
上記課題を達成するため本発明により成された請求項10に記載の車両用電源供給装置は、図1の基本構成図に示すように、請求項1〜8の何れかに記載の車両用電源供給装置において、前記流出電流検知手段105a及び前記流入電流検知手段205aが、予め定めたサンプリング周期で電流の大きさを検知し、前記制御手段107a,301aは、前記異常検出手段107b,301bが異常を検出したとき、前記流出電流検知手段105a及び前記流入電流検知手段205aがそれぞれ検知した前記流出電流及び前記流入電流の差電流と前記サンプリング周期とに基づいてジュール積分量を求める演算手段107d,301dを有し、該演算手段107d,301dによって求めた前記ジュール積分量が、前記電源線に固有の発煙特性によって決定されるジュール積分値に断続ショートによる着火のし易さを考慮した値と安全率とを乗じた所定値になったとき、前記電源線開閉手段101a,402a,602c,702b,702cを開制御することを特徴としている。
【0033】
上記構成において、異常検出手段107b,301bが異常を検出したとき、流出電流検知手段105a及び流入電流検知手段205aがそれぞれ検知した流出電流及び流入電流の差電流と、流出電流検知手段105a及び流入電流検知手段205aが電流の大きさ検知する予め定めたサンプリング周期とに基づいて制御手段の有する演算手段107d,301dがジュール積分量を求め、このジュール積分量が、電源線に固有の発煙特性と断続ショートによる着火のし易さとを考慮して決定されるジュール積分値に安全率を乗じた所定値になったとき、制御手段107a,301aが電源線開閉手段101a,402a,602c,702b,702cを開制御ので、電源線を通じての電源供給を供給側で遮断することができる。
よって、電源線被覆の損傷によりリークが生じ異常と判断されても、直ちに、電源線開閉手段101a,402a,602c,702b,702cによって電源線を通じての主電源分配ボックス及び従電源分配ボックス間の電源供給を遮断することなく、流出電流及び流入電流の差電流の大きさなどによって求められるショート状態が電源線に断続ショート状態での電源線に固有の発煙特性と安全率とで決定される所定の状態になったときに初めて、電源線開閉手段101a,402a,602c,702b,702cが電源線を通じての主電源分配ボックス及び従電源分配ボックス間の電源供給を確実に遮断するので、比較的発煙しやすい断続ショートが発生している場合にも、発煙前に電源供給を確実に遮断することができる。
【0034】
上記課題を達成するため本発明により成された請求項11に記載の車両用電源供給装置における異常検出装置は、図1の基本構成図に示すように、電源線L11,L21〜L24によって相互に接続された少なくとも2つの電源分配ボックス10〜80を有し、バッテリ1からの電源を前記主電源分配ボックス、前記電源線及び従電源分配ボックスを経由して負荷に分配する車両用電源供給装置における異常検出装置において、前記電源線を通じて電流を流出する前記主電源分配ボックスに設けられ、前記電源線を通じて流出する電流の大きさを検知する流出電流検知手段105aと、前記電源線を通じて電流が流入する前記従電源分配ボックスに設けられ、前記電源線を通じて流入する電流の大きさを検知する流入電流検知手段205aと、前記流出電流検知手段により検知した流出電流の大きさと前記流入電流検知手段により検知した流入電流の大きさとを比較し、前記流入電流が前記流出電流よりも小さいとき、前記電源線の異常を検出する異常検出手段107b,301bとを備えることを特徴としている。
【0035】
上記構成において、電源線L11,L21〜L24を通じて電流を流出する主電源分配ボックスに設けられた流出電流検知手段105aが電源線を通じて流出する電流の大きさを検知し、電源線を通じて電流を流入する従電源分配ボックスに設けられた流入電流検知手段205aが電源線を通じて流入する電流の大きさを検知する。異常検出手段107b,301bが、流出電流検知手段により検知した流出電流の大きさと流入電流検知手段により検知した流入電流の大きさとを比較し、流入電流が流出電流よりも小さいとき、電源線の異常を検出する。
【0036】
よって、軽微の損傷によって小さなリークしか生じていない場合にも、リーク異常が生じていると判断できるようになり、この早めの確実な異常検出によって、その後の対処も確実に行えるようになる。
【0037】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図2は本発明による車両用電源供給装置の原理的な一実施の形態を示す回路構成図である。
【0038】
図2において、車両用電源供給装置は、車両の離れた部位に設けられた2つの電源分配ボックス10及び20を有する。電源分配ボックス10はエンジンルーム内のバッテリ1近傍に配された主電源分配ボックスであり、電源分配ボックス20は例えば運転席の近傍に配された従電源分配ボックスである。図には単純化のため、2つの電源分配ボックスしか示していないが、実際には車両の他の箇所に電源分配ボックス20と同様の従電源分配ボックスが配される。
【0039】
主電源分配ボックス10は、バッテリ1との間のバッテリ電源線Lが最短となるようにできるだけバッテリ1近傍に配され、場合によってはバッテリ1上方に載置されてバッテリ電源線をなくすることが望ましい。主電源分配ボックス10内に引き込まれたバッテリ電源線は2つに分岐され、その一方は電源線開閉手段としての回路制御リレー101aを介し、他方は補助電源線開閉手段としての回路制御リレー101bを介して主電源分配ボックス10から主電源線L11及び補助電源線L12としてそれぞれ導出されている。回路制御リレー101a及び101bの相互接続点からは制御入力を有するスイッチ手段としてのスイッチング素子103を介して図示しない負荷に電源を供給するようになっている。
【0040】
なお、スイッチング素子103としては、スイッチングトランジスタの他に、自己保護機能付きのインテリジェントパワースイッチ素子(IPS)などが適用され、IPSを使用した場合には、負荷電源線に例えばショートなどによって過剰電流が流れたことに応じてスイッチング素子が自身でオフして電源供給を遮断することができるので有効である。
【0041】
主電源分配ボックス10はまた、主電源線L11及び補助電源線L12を通じて主電源分配ボックス10から流れ出る電流の大きさを検知する流出電流検知手段としての電流センサ105a及び105bを有する。電流センサ105a,105bとしては、電源線に電流が流れることによって発生する電流値に応じた大きさの磁束を検知することによって、その電源線に流れる電流の大きさに応じた電圧の検知信号を出力するように、例えばリングコアの磁路中にホール素子のような磁気感応素子を設けた構成のものが使用される。
【0042】
主電源分配ボックス10はさらに、例えば、RAMやROMなどの記憶部と予め定められたプログラムに従って動作する中央処理ユニット(CPU)とからなるマイクロコンピュータ(μCOM)によって構成された演算制御部107と、後述する従電源分配ボックス20の送受信部との間で多重通信ラインとしての後述する信号伝達線を介して信号、データの授受を行う送受信部109とを有する。
【0043】
この演算制御部107は、電流センサ105a及び105bの出力が接続されるとともにバッテリ1の端子が接続されていて、図示しないA/D変換器によりデジタル信号に変換した電流センサ105a及び105からの電流検知信号とバッテリ電圧とを入力し、この入力した電流検知信号に基づいて電流値を積算する演算を行い、流れた電流による電力値を求める。演算制御部107はまた、回路制御リレー101a及び101bのリレーコイルが接続されるとともにスイッチング素子103の制御入力が接続されて、回路制御リレー101a及び101bとスイッチング素子103とをオン・オフ制御する。
【0044】
演算制御部107は、上述した電流監視・演算機能、バッテリ電圧監視機能、リレー・スイッチ素子制御機能の他に、後述する従電源分配ボックス20との間で信号、データの授受を行うよう送受信部109を制御する通信制御機能を有する。演算制御部107内のRAMは、監視機能によって自身のボックスについて得られたデータと、送受信部109を通じて得られた他のボックスについてのデータとを格納する所定エリアを形成し、この所定エリアに格納したデータなどは演算制御部107での各種の処理に供される。
【0045】
主電源分配ボックス10からそれぞれ導出された主電源線L11及び補助電源線L12は、エンジンルーム内の異なるルートを通って配索されて従電源分配ボックス20に接続され、バッテリ電源を供給するようになっている。
【0046】
従電源分配ボックス20内に引き込まれた主電線線L11及び補助電源線L12は、従電源分配ボックス20内において、回路制御リレー201a及び201bを介して相互接続されている。回路制御リレー201a及び201bの相互接続点からは制御入力を有するトランジスタなどのスイッチ手段としてのスイッチング素子203を介して図示しない負荷に電源を供給するようになっている。
【0047】
従電源分配ボックス20はまた、主電源線L11及び補助電源線L12を通じて従電源分配ボックス20に流れ入る電流の大きさを検知する流入電流検知手段としての電流センサ205a及び205bを有する。電流センサ205a,205bとしては、電流センサ105a,105bと同様のものが使用できる。
【0048】
従電源分配ボックス20はさらに、例えば、RAMやROMなどの記憶部と予め定められたプログラムに従って動作する中央処理ユニット(CPU)とからなるマイクロコンピュータ(μCOM)によって構成された演算制御部207と、上述した主電源分配ボックス10の送受信部109との間で多重通信ラインとしての後述する信号伝達線を介して信号、データの授受を行う送受信部209とを有する。
【0049】
この演算制御部207は、電流センサ205a及び205bの出力が接続されていて、図示しないA/D変換器によりデジタル信号に変換した電流センサ205a及び205bからの電流検知信号を入力して監視する。演算制御部207はまた、図示しない走行センサ、図示しないドアキースイッチ、図示しない各種の負荷操作スイッチが接続されて、これらからの走行信号、ドア信号、操作信号をそれぞれ入力し、車両が走行状態にあるかどうか、ドアキーがオンされたかどうか、負荷のオンオフ操作があったかどうかなどを監視する。演算制御部207はさらに、回路制御リレー201a及び201bのリレーコイルが接続されるとともにスイッチング素子203の制御入力が接続されていて、回路制御リレー201a及び201bとスイッチング素子203とをオン・オフ制御する。
【0050】
演算制御部207は、上述したセンサ信号、スイッチ操作信号などの各種の入力信号を入力して監視する入力監視機能、電流監視・演算機能、リレー・スイッチ素子制御機能の他に、上述した主電源分配ボックス10との間で信号、データの授受を行うよう送受信部209を制御する通信制御機能を有する。演算制御部207内のRAMは、監視機能によって自身のボックスについて得られたデータと、送受信部209を通じて得られた他のボックスについてのデータとを格納する所定エリアを形成しており、この所定エリアに格納されたデータは演算制御部207での各種の処理に供される。
【0051】
上述した主電源分配ボックス10の送受信部109と従電源分配ボックス20の送受信部209とは、主電源分配ボックス10と従電源分配ボックス20との間に配索された多重通信ラインとしての信号伝達線L13によって相互接続され、この信号伝達線L13を通じて時分割方式により予め定めたフォーマットで各種の信号やデータを送受信するようになっている。
【0052】
以上の構成において、従電源分配ボックス20の演算制御部207は、解錠操作によって図示しないドアキースイッチがオンすることによって発生する信号を入力すると動作を開始し、演算制御部207に接続された各種の負荷操作スイッチの状態を取り込み、この取り込んだドアキーオン信号、負荷操作信号などをRAMの所定のエリアに格納するとともにこれらの信号を含むデータを生成し、この生成したデータを所定のタイミングで送受信部209に信号伝達線L13を介して主電源分配ボックス10に対して送出させる。主電源分配ボックス10の演算制御部107は送受信部109を介して信号伝達線L13を監視していて、従電源分配ボックス20の送受信部209が信号伝達線L13にデータを送出すると、それに応じて起動して信号伝達線L13を介して伝達されてくるデータを所定のタイミングで送受信部109に受信させ、これをRAM中の所定エリアにそれ以前のデータに代えて格納する。
【0053】
上述のように起動した演算制御部107は、バッテリ電源を従電源分配ボックス20に供給するルートを決定し、この決定したルートにより、主電源分配ボックス10内の回路制御リレー101a及び101bと従電源分配ボックス20内の回路制御リレー201a及び201bとのなかからオン制御すべき回路制御リレーを決定し、このオン制御すべき回路制御リレーに関するデータをRAMの所定エリアに格納するとともにこのデータを含むデータを生成し、この生成したデータを所定のタイミングで送受信部109から信号伝達線L13を介して従電源分配ボックス20に対して送出させる。従電源分配ボックス20の演算制御部207は主電源分配ボックス10の送受信部109が信号伝達線L13を介して送出したデータを所定のタイミングで送受信部209に受信させ、これをRAM中の所定エリアにそれ以前のデータに代えて格納する。
【0054】
上述のように演算制御部107及び207内のRAMの所定エリアにはルート決定によりオン制御すべき回路制御リレーに関するデータを含むデータが格納され、これに応じて演算制御部107が回路制御リレー101a又は101bの一方を、演算制御部207が回路制御リレー201a又は201bの一方をそれぞれオン制御して、RAMに格納されたデータに基づいて決定されたルートに当たる電源線を通じて主電源分配ボックス10から従電源分配ボックス20に電源を供給させる。いま、例えば電源線L11を通じて電源供給するルートが決定されているときには、演算制御部107及び207によって回路制御リレー101a、201aがそれぞれオン制御される。
【0055】
回路制御リレーがオン制御されて電源線L11を通じて電源供給されるようになったら、演算制御部107及び207は一定のサンプリング周期tc で電流センサ105a及び205aからの電流検知信号をそれぞれサンプリングしデジタル信号に変換して電流検出値I1 及びI2 としてそれぞれ入力するとともに、この入力した電流検出値I1 及びI2 を自身のデータとして各々のRAMの所定エリアに格納する。
【0056】
なお、従電源分配ボックス20において、演算制御部207内のRAMの所定エリアに格納された電流検出値I2 についは、演算制御部207の制御のもとで、所定のタイミングで周期的に送受信部209から信号伝達線L13に送出されるデータに含まれるようになる。信号伝達線L13に送出された電流検出値I2を含むデータは、主電源分配ボックス10の送受信部109によって受信され、演算制御部107内のRAMの所定エリアに他方の電源分配ボックスのデータとして格納される。
【0057】
以上により、主電源分配ボックス10の演算制御部107内のRAMの所定エリアには、自身の電流センサにより検知した電流検出値I1 と、従電源分配ボックス20の電流センサにより検知した電流検出値I2 とが格納されるようになる。演算制御部107は、このRAMの所定エリアに格納した電流検出値I1 と電流検出値I2 との差Ig を計算し、この計算の結果得られるIg が0であるか否かによって、電源線の正常、異常を判断する。正常と判断したときには、上述した電流検知信号からの電流検出値の取得動作を繰り返し、正常、異常の判断を繰り返す。
【0058】
異常と判断したとき、すなわち、図示のように、電源線L11の途中のX印で示す箇所に絶縁損傷が生じ、しかもこの損傷箇所が車体に接触してリーク電流Ig が流れ0でないときには、デッドショートや断続ショートなどのショート処理とルート変更処理を行う。ショート処理においてデットショートを簡略的に処理する場合、簡単な方法としては以下のものが考えられる。すなわち、異常と判断した後にサンプリングによって電流検出値が得られる毎に、Ig の自乗にサンプリング周期tc を乗じた単位時間毎のリーク電力ΔIg2tc を計算し、この計算したリーク電力ΔIg2tc を積算して、積算リーク電力ΣΔIg2tc を計算する。そして、この積算リーク電力ΣΔIg2tc が、例えば、電源線L11が発煙する最小電力値の70%(安全率)以上になったかどうかを判断する。この判断により、積算リーク電力が電源線L11の発煙最小電力値の70%以上になっていないときには、70%以上となるまで上述のリーク電力ΔIg2tc の積算を繰り返す。70%以上となったときには、それ以上の電力線L11を通じての電源供給が危険であるとして、ルートを変更する。なお、断続ショートの場合には、火花が発生し、着火し易いので、より低い積算値でルート変更を行うようにする。
【0059】
厳密にショート処理を行う場合には以下の方法が考えられる。一般に、電線の発煙特性を示すと、図3に示すように、電流の大きさに応じて変化する発煙に至る時間の関係によって表される。この発煙特性曲線の漸近線を描くと、点線のようになり、横軸との交点の値を最小発煙電流Ic と呼び、これは電線から発生するジュール熱と熱放散とが平衡した状態で発煙する最小の電流値を示す。一方、極めて短時間に溶断するような電流の領域では、発生するジュール熱に比べ熱放散が少ないため、発生する熱はほとんど電線の温度上昇のみに費やされ、各電線サイズ毎の固有の値であるジュール積分I2tが一定値に達すると、電線の温度が電線被覆の融点に達し発煙するため、ほぼI2t(min)=Kに沿っている。よって、電線の発煙特性は2つの値Ic ,I2tによって表される。
【0060】
ショートのときのリーク電流Ig =(I1 −I2 )の波形が図4に示すように表される場合、このショートポイントに流入するエネルギーは以下のようにして求められる。すなわち、ショート電流Ig のサンプリング周期をΔts とし、相前後する任意時点n,n+1のサンプリング値をIn ,In+1 とすると、図中斜線を付した区間でのジュール積分は次式(1)のように表される。
【0061】
【数式1】
Figure 0004142124
【0062】
そして、区間0≦t≦n・Δtsにおけるジュール積分は次式(2)のように表される。
【0063】
【数式2】
Figure 0004142124
【0064】
そして、デッドショートの場合、電線の発煙特性から求められる図5に曲線aで示すI2t−t特性と、曲線bで示すデッドショート波形のジュール積分量とを比較し、流入エネルギーを表すデッドショート波形のジュール積分量が電線の発煙ジュール積分量に安全率、例えば0.7を乗じたもの以上になったとき、すなわち、図5においてジュール積分量を示す曲線bが、図中I2t(min)の線cから70%下方の線dと交差する時点tcで、電源供給が危険状態になったとして電源線を切り離し、ルートを変更する。
【0065】
一方、断続ショートは、例えば車体と断続的に接離し、そのたびに火花が生じる点がデッドショートと異なるが、この火花が電線の絶縁被覆を炭化し、この炭化物に通電して微少発光や絶縁被覆の液状化、ガス化が生じ、このガスに引火して電線が着火する。この断続ショート電流通電時の電線着火特性は図6に曲線eで示すように、曲線aで示す電線の発煙特性のI2tよりも小さなジュール積分量となっており、断続ショート時は、デッドショート時よりも少ないエネルギーでも着火するという現象が見られる。
【0066】
そこで、断続ショートの場合、電線の発煙特性から求められる図6に曲線aで示すI2t−t特性と、曲線fで示す断続ショート波形のジュール積分量とを比較し、流入エネルギーを表す断続ショート波形のジュール積分量が電線の発煙ジュール積分量に係数、例えば0.4を乗じた上、更に安全率、例えば0.7を乗じたもの以上になったとき、すなわち、図6においてジュール積分量を示す曲線fが、図中I2t(min)に0.4を乗じた線gから70%下方の線hと交差する時点tcで、電源供給が危険状態になったとして電源線を切り離し、ルートを変更する。
【0067】
上記ルート変更によりオン制御すべき回路制御リレーに関するデータを含むデータが自身のRAMの所定エリアに格納するとともにこのデータを含むデータを生成し、この生成したデータを所定のタイミングで送受信部109から信号伝達線L13を介して従電源分配ボックス20に対して送出させる。従電源分配ボックス20の演算制御部207は主電源分配ボックス10の送受信部109が信号伝達線L13を介して送出したデータを所定のタイミングで送受信部109に受信させ、これをRAM中の所定エリアにそれ以前のデータに代えて格納する。
【0068】
上述のように演算制御部107及び207内のRAMの所定エリアにはルート変更によりオン制御すべき回路制御リレーに関するデータを含むデータが格納され、この所定エリアに格納されたデータにより演算制御部107が回路制御リレー101bを、演算制御部207が回路制御リレー201bをそれぞれオン制御して、RAMに格納されたデータに基づいて変更されたルートに当たる補助電源線L12を通じて主電源分配ボックス10から従電源分配ボックス20に電源を供給させる。
【0069】
なお、上述の動作の過程において、従電源分配ボックス20において走行信号を監視し、この信号によって駐車中であると判断したときには、主電源分配ボックス10においてバッテリ電圧を監視し、この電圧が所定値以下に低下したことを検出したとき、この情報に基づいて主電源分配ボックス10と従電源分配ボックス20において、全ての回路制御リレーをオフさせて動作を停止し、バッテリ1のそれ以上の電力消費をなくする。
【0070】
上述した一実施の形態では、装置の説明を簡単にするため、電源分配ボックスが電流流出側の主と電流流入側の従の2つの場合について説明し、かつ電源供給ルートの決定や変更を主電源分配ボックス10の演算制御制御部107において行うようにしているが、これは従電源分配ボックス20の演算制御部207に行わせたり、あるいは、これらの電源分配ボックスとは別個に設けた第3のボックス内の演算制御部に行わせるようにしてもよい。
【0071】
以上概略説明した動作の詳細を、主電源分配ボックス10の演算制御部107を構成しているμCOMのCPUがプログラムに従って行う処理を示す図7のフローチャートを参照して以下説明する。
【0072】
主電源分配ボックスのCPUは、従電源分配ボックス20のCPUがドアキースイッチのオンによって動作を開始し、データ送信を行うことによって動作を開始する。そして、その最初のステップS1において初期設定を行う。続いてステップS2に進んでRAMのワークエリアに形成したタイマtc をスタートさせてからステップS3に進み、ここで従電源分配ボックス20から受信したデータにより、走行センサからの走行信号が有るか否かを判定する。車両が駐車・停車中でステップS3の判定がN0のときにはステップS4に進んでバッテリ電圧が所定値以上であるか否かを判定し、この判定がYESで所定値以上であるときにはステップS5に進む。なお、車両が走行中で走行信号があり、ステップS3の判定がYESのときにはステップS4を飛ばしてステップS5に進む。
【0073】
ステップS5においては、CPUに接続されている各種状態を読み込み、この読み込んだものをRAMの所定エリアに記憶させてからステップS6に進む。ステップS6においては、ステップS5において記憶したデータと後述する従電源分配ボックス20から受信したデータとに基づいて電源を供給するルートを決定してからステップS7に進む。ステップS7においては、ステップS6で決定したルートを通じて電源供給する際にオンすべき回路制御リレーを決定し、この決定したリレーに関するデータをRAMの所定エリアに格納するとともに、この格納したデータに基づいて自身の回路制御リレーをオン作動する。なお、このデータを受信した従電源分配ボックスにおいても、このデータに基づいて回路制御リレーをオンさせる。
【0074】
その後ステップS8に進み、ここで電源供給ルートに関係する電流センサ105a、105bからの流出電流についての電流検知信号をA/D変換して読み込み、この読み込んだ電流検出値をRAMの所定エリアに記憶させる。なお、従電源分配ボックスにおいても同様な動作が行われ、流入電流についての電流検知信号によって電流検出値が得られ、これが従電源分配ボックス20から受信したデータに含まれている。続いてステップS9に進み、ここで主電源分配ボックス10から流出した電流の電流検出値と従電源分配ボックス20に流入した電流の電流検出値との差を計算する。
【0075】
次にステップS10に進み、ここで上記ステップS9において計算して求めた差が0であるかどうかによって異常判定を行う。差が0であって判定がYESのときには上述したステップS2に戻って上述の処理を繰り返す。
【0076】
上記ステップS10の判定がN0で差が0でないときには異常があると判断してステップS12に進んで詳細には後述するデットショート処理を行ってからステップS13に進み、ここで上記ステップS2においてスタートしたタイマtcが1m秒以上になるのを待つ。タイマtc のスタートから1m秒が経過してステップS13の判定がYESになると、ステップS14に進んでタイマtc を0にし、次のステップS15において異常内容を図示しない表示器に表示させるための情報を出力してから上記ステップS2に戻って上述の処理を繰り返す。
【0077】
なお、上記ステップS4の判定がN0でバッテリ電圧が所定値以上でなくなったときには、ステップS16に進んで全ての回路制御リレーをオフさせる。このために、主電源分配ボックス10の演算制御不107では、全ての回路制御リレーをオフさせるべきデータをRAMの所定エリアに格納するとともに、この格納したデータに基づいて自身の回路制御リレーをオフさせ、このデータを送受信部109から信号伝達線l13を介して従電源分配ボックス20の演算制御部207に対して送信して受信させ従電源分配ボックスにおいても、このデータに基づいて回路制御リレーをオフさせる。
【0078】
上記ステップS12のデッドショート処理では、詳細には、図8のフローチャートに示すような処理が行われる。すなわち、最初のステップS12aにおいてショート位置の確認を行う。この確認は今現在の電源供給ルートに当たる電源線を検出することによって行う。図2の実施の形態では電源分配ボックスが2つでしかも電源供給ルートが2つしかないので、単純である。しかし、実際には、従電源分配ボックスが複数あって従電源分配ボックス間にも複数ルートの電源線が存在することになるので、流出電流と流入電流とが一致していない電源線を検出することによって確認する。
【0079】
ステップS12aにおいてショート位置の確認ができたらステップS12bに進んで流出電流と流入電流との差Ig と電流センサによる電流検知信号のサンプリング周期tc とによってΔIg2・tc を計算する。そしてステップS12cに進んでステップS12bにおいて計算したΔIg2・tc の積算、すなわち、Σ(ΔIg2・tc )を計算する。このステップS12cにおいて計算したΣ(ΔIg2・tc )は、電源線においてリークした積算電力を表している。その後ステップS12dに進んで上記ステップS12cにおいて計算したΣ(ΔIg2・tc )が、上記ステップS12aのショート位置の確認によって分かったショートの生じている電源線の最小電力値であるI2・tの70%以上になったか否かを判定する。
【0080】
上記ステップS12dの判定がN0のとき、すなわち、Σ(ΔIg2・tc )が電源線の最小電力値I2・tの70%未満のときには図7のフローチャートに戻り、上述の処理を繰り返す。そして、ステップS12dの判定がYESのとき、すなわち、Σ(ΔIg2・tc )が電源線の最小電力値I2・tの70%以上になると、ステップS12eに進んで電源供給ルートの変更を行う。
【0081】
上記ステップS12eでの電源供給ルートの変更では、変更したルートを通じて電源供給する際にオンすべき回路制御リレーを決定し、この決定したリレーに関するデータをRAMの所定エリアに格納するとともに、この格納したデータに基づいて自身の回路制御リレーをオン作動するとともに、このデータを信号伝達線l13を介して従電源分配ボックスに送信し、これを受信した従電源分配ボックスにおいても、このデータに基づいて回路制御リレーをオンさせる。
【0082】
その後ステップS12fに進んで上記ステップS12aにおいて確認したショート位置を図示しない表示器に表示させるための情報を出力し、続いてステップS12gに進んで上記ステップS12cにおいて計算したΣ(ΔIg2・tc )を0にし、更にその後ステップS12hに進んでショート異常情報を図示しない着脱自在の記録媒体に記録してから図7のフローチャートに戻る。
【0083】
図7及び図8のフローチャートでは、デッドショート処理のみを行うようになっているが、これに代えて断続ショート処理を行うようにしてもよいし、デッドショート処理に加えて断続ショート処理を行うようにすると共に、リーク電流の状況に応じてショート処理を選択するようにしてもよい。この場合、断続ショートは例えば10Hzの周波数に相当する周期で断続するので、この周期相当の間隔毎にリーク電流Igが0になるので、このような事象が生じているときには、断続ショート処理を行うようにすればよい。
【0084】
なお、断続ショート処理の場合には、断続が周期が長くかつ不規則に発生し、リーク電流Ig が0である時間がある程度長くなるようなときには、十分な熱放散が行われ温度上昇が進まないので、電力値を単純に積算するだけでなく、リーク電流Ig が0の期間減算したり、或いは積算値そのものをリセットするようにした方がよい。
【0085】
また、厳密なショート処理を行うようにする場合には、ステップS12bにおける計算処理を上記式(1)により、ステップS12cにおける計算処理を上記(2)によりそれぞれ行うようにすればよい。
【0086】
図7及び図8のフローチャートを処理を行っている過程で、所定の時間間隔で図9(a)に示すような送信タイマ割込処理が開始し、その最初のステップS21において演算制御部内のRAMの所定エリアに格納されているデータに基づいて送信データを生成し、この生成した送信データを次のステップS22において送受信部109から信号伝達線L13を介して送出して送信タイマ割込処理を終了して元のフローチャートに戻る。また、図7及び図8のフローチャートを処理を行っている過程で、図9(b)に示すような受信割込処理が開始し、その最初のステップS31において信号伝達線L13に伝送されてくる他の電源分配ボックスからのデータを受信し、この受信したデータを次のステップS32において演算制御部内のRAMの所定エリアに格納してから受信割込処理を終了して元のフローチャートに戻る。
【0087】
以上要するに、主電源分配ボックス10と従電源分配ボックス20とを結ぶ主電源線L11に主電源分配ボックス10から流れ出した流出電流I1 と従電源分配ボックス20に流れ込んだ流入電流I2 の値を電流センサ105a及び205aで読み取り、従電源分配ボックス20で読み取った電流値は演算制御部207及び信号伝達線L13を介して主電源分配ボックス10の演算制御部107に集められ、ここで流出電流I1と流入電流I2 とに差があるかを計算する。差Ig が0でなければ、電源線L11と車体との間でデッドショート、断続ショート、リーク状態の異常があると判断し、異常状態にある電源線L11に電流が流れないように、回路制御リレー101a及び201aに対してオフ信号を出力するとともに、回路制御リレー101b及び201bに対してオン信号を出力して主電源分配ボックス10と従電源分配ボックス20との間を別ルートの補助電源線L12によって結び、この補助電源線L12を通じて電源供給する。
【0088】
なお、図7〜図9のフローチャートは主電源分配ボックス10の演算制御部107内のCPUのものとして説明したが、従電源分配ボックス20の演算制御部内のCPUについては、図8の送信タイマ割込処理及び受信割込処理の他に、図6のフローチャート中の主電源分配ボックスに特有の処理を除き、代わりに従電源分配ボックス20に特有の処理を付加した処理を行うようになっている。
【0089】
また、この補助電源線L12に主電源分配ボックス10から流れ出した流出電流I11と従電源分配ボックス20に流れ込んだ流入電流I22の値を電流センサ105b及び205bで読み取り、従電源分配ボックス20で読み取った電流値は演算制御部207及び信号伝達線L13を介して主電源分配ボックス10の演算制御部107に集められ、ここで流出電流I11と流入電流I22とに差があるかを計算する。差Ig が0でなければ、電源線L12と車体との間でショート、断続ショート、リーク状態にある異常と判断し、異常状態にある電源線L12に電流が流れないように、回路制御リレー101b及び201bに対してオフ信号を出力する。
【0090】
なお、図2の実施の形態の場合、従電源分配ボックス20内の回路制御リレー201a及び201bは電流の逆流を防止するために設けたものであるので、ダイオードに置き換えてもよい。
【0091】
以上原理的な実施の形態を説明したが、実際に車両に搭載した場合の実施の形態を図10を参照して説明する。本実施の形態では、車両には1つの中央管理ボックス30と5つの電源分配ボックス40〜80とが配置されている。中央管理ボックス30はダッシュボード内に、5つの電源分配ボックスうちの40はエンジンルーム内のバッテリ1近傍に、50は同じくエンジンルーム内の40とは反対側の部位に、60及び70は運転席と助手席の側部のカウルサイド部分に、そして80はトランクルーム内にそれぞれ配置されている。
【0092】
電源分配ボックス40及び60間には電源線L21と信号伝達線L31が、電源分配ボックス60及び70間には電源線L22と信号伝達線L32が、電源分配ボックス70及び50間には電源線L23と信号伝達線L33が、電源分配ボックス70及び80間には電源線L24と信号伝達線34が、電源分配ボックス40及び50間には電源線L25と信号伝達線L35が、電源分配ボックス60及び80間には電源線L26と信号伝達線L36が、そして電源分配ボックス60及び中央管理ボックス30間には電源線L27と信号伝達線L37がそれぞれ配索されている。上記信号伝達線L31〜L37は1本の多重通信ラインを形成している。
【0093】
中央管理ボックス30は上記多重通信ラインに接続されたマイクロコンピュータ(μCOM)からなる演算制御部301と、この演算接続部301のための動作電源を供給する電源線L27を介して充電可能なバックアップ電池302とを有し、この演算制御部301にはイグニッションスイッチ(IGN SW)及びコンビネーションスイッチ(CONBI SW)302aと、表示器302bと、インパネスイッチ(IMPANE SW)302cと、異常情報記録装置302dとが接続されている。
【0094】
演算制御部301を構成するマイクロコンピュータ(μCOM)は、RAMやROMなどの記憶部と予め定められたプログラムに従って動作する中央処理ユニット(CPU)とからなり、IGN SW及びCONBI SW302aとIMPANE SW302cからの各種のスイッチ信号を入力するとともに、表示器302bに対して表示情報を出力して表示させ、異常情報記録装置302dに対して異常情報を出力して記録させる他、電源供給ルートの決定や変更のための処理を行う。演算制御部301はまた、入力した各種のスイッチ信号を他の電源分配ボックスの演算制御部に対して伝送するとともに、電源供給ルートの決定や変更のためのデータを収集するため、信号伝達線(多重伝送線)L37、電源分配ボックス60などを介して他の電源分配ボックスと接続されている。
【0095】
電源分配ボックス40は、オルタネータALTによって充電されるバッテリ1との間のバッテリ電源線Lが最短となるようにできるだけバッテリ1の近傍に配され、場合によってはバッテリ1の上方に載置されてバッテリ電源線をなくすることが望ましい。電源分配ボックス40は、上記多重伝送ラインに接続されたマイクロコンピュータ(μCOM)からなる演算制御部401と、4つの回路制御リレー402a〜402dと、制御入力に印加される制御信号によってオンされて負荷への電力供給をオンするスイッチング素子403とを有する。なお、各回路制御リレーのリレーコイルと直列に接続されたダイオードDはバッテリ1が逆接続された際に演算制御部401を保護するためのものである。
【0096】
回路制御リレー402a及び402bは一方の端子が相互接続されており、演算制御部401の制御のもとでオンオフされ、バッテリを電源線L21及びL25に選択的に接続する。回路制御リレー402cは、中央管理ボックスに接続されたスタータスイッチをオンしたときに演算制御部401の制御のもとでオンされ、バッテリをスタータモータ404に接続する。回路制御リレー402dは、中央管理ボックスに接続されたイグニッションスイッチをオンしたときに演算制御部401の制御のもとでオンされ、バッテリを図示しない負荷に接続する。
【0097】
電源分配ボックス60は、上記多重伝送ラインに接続されたマイクロコンピュータ(μCOM)からなる演算制御部601と、3つの回路制御リレー602a〜602cと、制御入力に印加される制御信号によってオンオフされて負荷への電力供給をオンオフするスイッチング素子603とを有する。演算制御部601を構成するマイクロコンピュータ(μCOM)は、RAMやROMなどの記憶部と予め定められたプログラムに従って動作する中央処理ユニット(CPU)とからなる。3つの回路制御リレー602a〜602cは一方の端子が相互接続されており、演算制御部601の制御のもとでオンされ、電源線L21,L26及びL22を相互に選択的に接続する。なお、スイッチング素子603は演算制御部601の制御のもとでオンされ、3つの回路制御リレー602a〜602cの相互接続点を電源線L27を介して中央管理ボックス30の充電可能なバックアップ電池302に充電電圧を印加する。
【0098】
電源分配ボックス70は、上記多重伝送ラインに接続されたマイクロコンピュータ(μCOM)からなる演算制御部701と、4つの回路制御リレー702a〜702dと、制御入力に印加される制御信号によってオンオフされて図示しない負荷への電力供給をオンオフするスイッチング素子703とを有する。演算制御部701を構成するマイクロコンピュータ(μCOM)は、RAMやROMなどの記憶部と予め定められたプログラムに従って動作する中央処理ユニット(CPU)とからなる。4つの回路制御リレー702a〜702dは一方の端子が相互接続されており、演算制御部601の制御のもとでオンオフされ、電源線L22,L23及びL24並びにパワーウインドウスイッチモジュール(P/W SW MODULE)90を相互に選択的に接続する。なお、スイッチング素子703は演算制御部701の制御のもとでオンされ、4つの回路制御リレー702a〜702dの相互接続点に図示しない負荷を接続する。
【0099】
電源分配ボックス50は、上記多重伝送ラインに接続されたマイクロコンピュータ(μCOM)からなる演算制御部501と、2つの回路制御リレー502a〜502bと、制御入力に印加される制御信号によってオンオフされて図示しない負荷への電力供給をオンオフするスイッチング素子503とを有する。演算制御部501を構成するマイクロコンピュータ(μCOM)は、RAMやROMなどの記憶部と予め定められたプログラムに従って動作する中央処理ユニット(CPU)とからなる。2つの回路制御リレー502a〜502bは一方の端子が相互接続されており、演算制御部501の制御のもとでオンオフされ、電源線L23及びL25を相互に選択的に接続する。なお、スイッチング素子503は演算制御部501の制御のもとでオンされ、2つの回路制御リレー502a及び502bの相互接続点に図示しない負荷を接続する。
【0100】
電源分配ボックス80は、上記多重伝送ラインに接続されたマイクロコンピュータ(μCOM)からなる演算制御部801と、2つの回路制御リレー802a〜802bと、制御入力に印加される制御信号によってオンオフされて図示しない負荷への電力供給をオンオフするスイッチング素子803とを有する。演算制御部801を構成するマイクロコンピュータ(μCOM)は、RAMやROMなどの記憶部と予め定められたプログラムに従って動作する中央処理ユニット(CPU)とからなる。2つの回路制御リレー802a〜802bは一方の端子が相互接続されており、演算制御部801の制御のもとでオンオフされ、電源線L24及びL26を相互に選択的に接続する。なお、スイッチング素子803は演算制御部801の制御のもとでオンされ、2つの回路制御リレー802a及び802bの相互接続点に図示しない負荷を接続する。
【0101】
以上の構成において、図示しないドアキースイッチがオンすることによって発生するドアキーオン信号を入力すると中央管理ボックス30の演算制御部301が動作を開始し、初期設定において各電源分配ボックスを通じて電源を供給するルートを決定し、この決定したルートを通じて電源供給するためにオンする必要のある回路制御リレーを示すデータと各種の負荷操作スイッチなどについて取り込んだ状態とをRAMの所定エリアに格納するとともに、この格納したデータを含むデータを生成し、この生成したデータを所定のタイミングで信号伝達線L37を介して多重伝送ラインに送出する。
【0102】
電源分配ボックス40〜80の演算制御部401〜801は、多重伝送ラインに送出されたデータをそれぞれ受信して各々のRAM内の所定エリアにそれ以前のデータに代えて格納する。以後、中央管理ボックス30及び電源分配ボックス40〜80の演算制御部は、所定の送信タイミングで多重伝送ラインに自身に係わる状態を示すデータを順次送出し、各ボックスの演算制御部が他のボックスの状態を示すデータを順次受信し、この受信したデータを各々のRAM内の所定エリアにそれ以前のデータに代えて格納することによって、各ボックスが他のボックスの状態を知ることができる。
【0103】
各電源分配ボックス40〜80の演算制御部401〜801は、中央管理ボックス30の演算制御部301において決定したルートで電源供給するように回路制御リレーを選択的にオンするので、このオンした回路制御リレーを通じて電流が流出及び流入する。この流出電流と流入電流とは図示しない電流センサによって検知され、その大きさに応じた電流検知信号を発生するので、演算制御部401〜801は、所定のサンプリング周期で読み取りその検出電流値を上記データの一部として送出する。よって、中央管理ボックス30の演算制御部301は全ての電源分配ボックス40〜80を通じて流れる流出電流と流入電流の大きさを把握することができる。
【0104】
いま、初期設定された電源供給ルートが、バッテリ1から電源分配ボックス40、電源線L21、電源分配ボックス60、電源線L22、電源分配ボックス70に至り、ここから電源線L23を通じて電源分配ボックス50と電源線L24を通じて電源分配ボックス80とに至るものであるときには、電源分配ボックス40の回路制御リレー402a、電源分配ボックス60の回路制御リレー602a及び602c、電源分配ボックス70の回路制御リレー702a〜702c、電源分配ボックス50の回路制御リレー502a及び電源分配ボックス80の回路制御リレー802aがオンされる。
【0105】
初期設定によって決定されたルートが上述のようなものであるときには、電源線L21、L22、L23及びL24を通じで電流が流れるが、電源線L21については、電源分配ボックス40の流出電流と電源分配ボックス60の流入電流との差を求めてこの差が0であるかどうかを判断することによって、異常の有無を診断することができる。そして、電源線L22については電源分配ボックス60の流出電流と電源分配ボックス70の流入電流との差、電源線L23については電源分配ボックス70の流出電流と電源分配ボックス50の流入電流との差、電源線L24については電源分配ボックス70の流出電流と電源分配ボックス80の流入電流との差を求めてこの差が0であるかどうかを判断することによって、異常の有無をそれぞれ診断することができる。
【0106】
上記診断の結果、例えば、電源線L21に異常があったときには、電源線L21を切り離して供給ルートを変更する。変更後の供給ルートは、バッテリ1から電源分配ボックス40、電源線L25、電源分配ボックス50、電源線L23、電源分配ボックス70に至り、ここから電源線L22を通じて電源分配ボックス60と電源線L24を通じて電源分配ボックス80とに至るものとなり、このときには、電源分配ボックス40の回路制御リレー402b、電源分配ボックス50の回路制御リレー502b及び502a、電源分配ボックス70の回路制御リレー702a〜702c、電源分配ボックス60の回路制御リレー502c及び電源分配ボックス80の回路制御リレー802aがオンされる。
【0107】
また、電源線L24に異常があったときには、初期設定における供給ルートを一部変更し、電源分配ボックス70から電源分配ボックス80に電源線L24を通じて電源供給する代わりに、電源分配ボックス60から電源線L26を通じて電源分配ボックス80に電源供給するようにする。この他に、電源線L22やL23に異常が生じることも考えられるが、このような場合にも、供給ルートを一部分変更することによって、異常な電源線を切り離して正常な電源供給を行うことができる。
【0108】
上述のような多くの電源分配ボックスを使用した場合には、異常の生じている電源線を特定してその位置を表示器302bに表示することによって、異常発見後の対応が迅速に行うことができるようになり便利である。また、表示する異常の内容としては、リーク、ショート或いは断続ショートの他に断線も含めることができる。なお、リーク、ショート或いは断続ショートについては、差の大きさとその時間的変化を検知することにより、断線については、回路制御リレーをオンしていても流出電流及び流入電流のいずれも0であることを検知することによりそれぞれ診断することができる。
【0109】
図10の実施の形態では、決定されるルートによって1つの電源分配ボックスが電流を流出したり、流入したりするようになるが、或る供給ルートをとっている状態において、隣接する電源分配ボックス間の電源線を通じて電流を流出している側を主電源分配ボックスとして、電流が流入している側を従電源分配ボックスとしてそれぞれとらえることができ、主側は従側に比べてバッテリに近い上流側に位置する電源分配ボックスとなっている。
【0110】
以上の説明から明らかなように、演算制御部107及び301のCPUは、電源線開閉手段としての回路制御リレー、補助電源線開閉手段としての回路制御リレーを開閉制御する制御手段107a,301aと、電流センサ105aにより検知した流出電流の大きさと電流センサ205aにより検知した流入電流の大きさとを比較し、流入電流が流出電流よりも小さいとき、電源線の異常を検出する異常検出手段107b,301b、異常検出手段107b,301bが異常を検出したとき、流出電流検知手段105a及び流入電流検知手段205aがそれぞれ検知した流出電流及び流入電流の差電流とサンプリング周期とに基づいてジュール積分量を求める演算手段107d,301dとしてそれぞれ働き、演算制御部107のCPUについてはさらに、走行センサが車両の走行を検出していないときバッテリの電圧を監視する動作を開始し、バッテリ電圧が所定値以下に低下したことを検出する電圧低下検出手段107cとして働いている。
【0111】
なお、上述の実施の形態では、異常検出手段を、電源線を通じて電流を流出する電源分配ボックス10に設けた場合と、電源線を通じて電流を流出する電源分配ボックス20及電源線を通じて電流が流入する電源分配ボックス20以外の第3の電源供給ボックス30に設けた場合とについて説明したが、電源線を通じて電流が流入する電源分配ボックス20に設けるようにしてもよい。この場合には、電流センサにより検知した流出電流の大きさを示す情報を、電源線を通じて電流を流出する電源分配ボックス10から多重通信ラインL13を介して入力し、かつ、電源線の異常の検出に応じて電源線開閉手段としての回路制御リレー101aを開させるとともに補助電源線開閉手段としての回路制御リレー101bを閉させる制御を制御手段に行わせる情報を、電源線を通じて電流を流出する電源分配ボックス10に対して多重通信ラインL13を介して出力するようにしてもよい。
【0112】
【発明の効果】
以上説明したように請求項1に記載の発明によれば、電源線を通じて電流を流出する主電源分配ボックスに設けられた流出電流検知手段で検知した電源線を通じて流出する電流の大きさと、電源線を通じて電流を流入する従電源分配ボックスに設けられた流入電流検知手段で検知した電源線を通じて流入する電流の大きさとを、異常検出手段が比較して流入電流が流出電流よりも小さいとき電源線の異常を検出し、これに応じて、電源線を通じて電流を流出する主電源分配ボックスに設けられた制御手段が電源線を通じての電流の流出をオンオフする電源線開閉手段を開制御するので、軽微の損傷によってもショート、断続ショート、リークが生じた場合には異常と判断でき、この異常の検出に応じて電源線開閉手段が電源線を通じての主電源分配ボックス及び従電源分配ボックス間の電源供給を確実に遮断することができ、放置したときに発生する不具合を未然に防ぐことができる。
【0113】
請求項2に記載の本発明によれば、電源線を通じて電流を流出する主電源分配ボックスに設けられた制御手段が、異常検出手段による異常の検出に応じて、補助電源線を通じて電流を流出する主電源分配ボックスに設けられた補助電源線開閉手段を閉制御し、バッテリからの電源を主電源分配ボックス、補助電源線及び従電源分配ボックスを経由して負荷に分配するので、異常検出によって電源線を切り離しても、このことによって、電源線によって電源供給されていた負荷に補助電源線を通じて電源供給できるようになり、動作を必要とする負荷を確実に動かすことができる。
【0114】
請求項3に記載の本発明によれば、電源線を通じて電流を流出する主電源分配ボックスに設けられた異常検出手段が、流入電流検知手段により検知した流入電流の大きさを示す情報を、主電源分配ボックス及び従電源分配ボックス間を相互接続し主電源分配ボックス及び従電源分配ボックス間でデータの授受を行う多重通信ラインを介して電源線を通じて電流が流入する従電源分配ボックスから入力するので、電源線の異常検出及び電源線の切り離し及び補助電源線の接続のための制御を1本の多重通ラインで行うことができる。
【0115】
請求項4に記載の本発明によれば、電源線を通じて電流が流入する従電源分配ボックスに設けられた異常検出手段が、流出電流検知手段により検知した流出電流の大きさを示す情報を、主電源分配ボックス及び従電源分配ボックス間を相互接続し主電源分配ボックス及び従電源分配ボックス間でデータの授受を行う多重通信ラインを介して入力し、かつ、電源線の異常の検出に応じて電源線開閉手段を開させるとともに補助電源線開閉手段を閉させる制御を制御手段に行わせる情報を、電源線を通じて電流を流出する主電源分配ボックスに対して多重通信ラインを介して出力するので、電源線の異常検出及び電源線の切り離し及び補助電源線の接続のための制御を1本の多重通ラインで行うことができる。
【0116】
請求項5に記載の本発明によれば、電源線を通じて電流を流出する主電源分配ボックス及び電源線を通じて電流が流入する従電源分配ボックス以外の第3の電源供給ボックスに設けられた異常検出手段が、流入電流検知手段により検知した流入電流の大きさを示す情報と流入電流検知手段により検知した流入電流の大きさを示す情報とを、主電源分配ボックス及び従電源分配ボックス間でデータの授受を行う多重通信ラインを介して入力し、かつ、電源線の異常の検出に応じて電源線開閉手段を開させるとともに補助電源線開閉手段を閉させる制御を制御手段に行わせる情報を多重通信ラインを介して出力するので、電源線の異常検出及び電源線の切り離し及び補助電源線の接続のための制御を1本の多重通ラインで行うことができ、しかも電源線の異常検出を任意の場所に自由に選べ、制御性の良いものが得られる。
【0117】
請求項6に記載の本発明によれば、車両の走行を検出する走行検出手段が車両の走行を検出していないとき、電圧低下検出手段がバッテリの電圧を監視する動作を開始し、バッテリ電圧が所定値以下に低下したことを検出すると、電源線開閉手段及び補助電源線開閉手段をともに開させる制御を制御手段に行わせるので、バッテリ電源が低下して車両を動かせなくなるような事態が発生するまで、必要な電源供給を行って異常検出動作を行わせることができ、しかもバッテリ電源が必要以上に低下して負荷や車両を作動不能に陥ることを未然に防ぐことができる。
【0118】
請求項7に記載の本発明によれば、記録手段が異常検出手段によって検出した電源線の異常を記録するので、故障が生じたときにその原因を解析したり、定期点検時に電源線の異常を知る上で有効である。
【0119】
請求項8に記載の本発明によれば、電源線開閉手段及び補助電源線開閉手段を形成するリレーが、リレーコイルと直列に逆流阻止用ダイオードを有するので、バッテリが逆接続されたときには、電源線開閉手段及び補助電源線開閉手段が閉して電源線を介して逆電圧を他の電源分配ボックスに供給することがなく、逆接続保護用の対策を他のボックスに行う必要がなく、経済的である。
【0120】
請求項9に記載の本発明によれば、流出電流及び流入電流の差電流の大きさと予め定めたサンプリング周期とに基づいて演算手段により求めたジュール積分量が、電源線に固有の発煙特性によって決定されるジュール積分値に安全率を乗じた所定値になったとき、電源線開閉手段を開制御するので、電源線被覆の損傷によりリークが生じ異常と判断されても、直ちに、電源線を通じての主電源分配ボックス及び従電源分配ボックス間の電源供給を遮断することなく、流出電流及び流入電流の差電流の大きさなどによって求められるショート状態が電源線に固有の発煙特性と安全率とで決定される所定の状態になったときに初めて、電源線を通じての主電源分配ボックス及び従電源分配ボックス間の電源供給を確実に遮断でき、電源線の発煙の危険性のないときにむやみに電源供給を遮断することを防ぎ、しかも危険性のあるときには確実に遮断することができる。
【0121】
請求項10に記載の本発明によれば、流出電流及び流入電流の差電流と大きさと予め定めたサンプリング周期とに基づいて演算手段により求めたジュール積分量が、電源線に固有の発煙特性と断続ショートによる着火のし易さとを考慮して決定されるジュール積分値に安全率を乗じた所定値になったとき、電源線開閉手段を開制御するので、電源線を通じての電源供給を供給側で遮断することができ、電源線被覆の損傷によりリークが生じ異常と判断されても、直ちに、電源線開閉手段によって電源線を通じての主電源分配ボックス及び従電源分配ボックス間の電源供給を遮断することなく、リークの大きさなどによって求められるリーク状態が電源線に断続ショート状態での電源線に固有の発煙特性と安全率とで決定される所定の状態になったときに初めて、電源線を通じての主電源分配ボックス及び従電源分配ボックス間の電源供給を確実に遮断でき、比較的発煙しやすい断続ショートが発生している場合にも、発煙前に電源供給を確実に遮断することができる。
【0122】
請求項11に記載の本発明によれば、電源線を通じて電流を流出する主電源分配ボックスに設けられた流出電流検知手段が検知した電源線を通じて流出する電流の大きさと、電源線を通じて電流を流入する従電源分配ボックスに設けられた流入電流検知手段が検知した電源線を通じて流入する電流の大きさを、異常検出手段が比較して流入電流が流出電流よりも小さいとき、電源線の異常を検出するので、軽微の損傷によって小さなリークしか生じていない場合にも、リーク異常が生じていると判断できるようになり、この早めの確実な異常検出によって、異常時に電源供給を遮断する装置に適用したとき、装置がその後に行う遮断動作を確実に行えるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による車両用電源供給装置の基本構成を示す図である。
【図2】本発明による車両用電源供給装置の一実施の形態を示す図である。
【図3】電線の発煙特性を示すグラフである。
【図4】時間と共に変化するショートポイントに流入するエネルギーを示すグラフである。
【図5】デッドショートの場合の電線の発煙特性に基づくジュール積分量を示すグラフである。
【図6】断続ショートの場合の電線の発煙特性に基づくジュール積分量を示すグラフである。
【図7】図2中の演算制御部のCPUが行う処理を示すメインフローチャートである。
【図8】図3中の一部処理の詳細を示すフローチャートである。
【図9】図2中の演算制御部のCPUが行う割込処理を示すフローチャートである。
【図10】本発明による車両用電源供給装置の他の実施の形態を示す図である。
【図11】従来の装置の一例を示す図である。
【符号の説明】
1 バッテリ
L11,L21〜L24 バッテリ電源線
L12,L25,L26 補助電源線
L13,L30 多重通信ライン
10〜80 電源分配ボックス
101a,402a,602c,702b,702c
電源線開閉手段
101b,402b,602b 補助電源線開閉手段
107a,301a 制御手段
105a 流出電流検知手段
205a 流入電流検知手段
107b,301b 異常検出手段
107d,301d 演算手段
21 走行検出手段
107c 電圧低下検出手段
302d 記録手段

Claims (11)

  1. 車体の各所に設けられるとともに電源線によって相互に接続され、前記電源線を通じて電流を流出する主電源分配ボックス及び前記電源線を通じて電流が流入する従電源分配ボックスを有し、前記従電源分配ボックスは前記主電源分配ボックス及び前記電源線を経由してバッテリからの電源の供給を受け、前記電源分配ボックスの各々がバッテリからの電源を近傍にある負荷に分配する車両用電源供給装置において、
    記主電源分配ボックスに設けられ、前記電源線を通じての電流の流出をオンオフする電源線開閉手段と、
    前記主電源分配ボックスに設けられ、前記電源線開閉手段を開閉制御する制御手段と、
    前記主電源分配ボックスに設けられ、前記電源線を通じて流出する電流の大きさを検知する流出電流検知手段と、
    前記従電源分配ボックスに設けられ、前記電源線を通じて流入する電流の大きさを検知する流入電流検知手段と、
    前記流出電流検知手段により検知した流出電流の大きさと前記流入電流検知手段により検知した流入電流の大きさとを比較し、前記流入電流が前記流出電流よりも小さいとき、前記電源線の異常を検出する異常検出手段とを備え、
    前記制御手段が、前記異常検出手段による異常の検出に応じて前記電源線開閉手段を開制御する
    ことを特徴とする車両用電源供給装置。
  2. 前記電源線と別個に前記主電源分配ボックス及び前記従電源分配ボックス間に配索され前記主電源分配ボックスから電流を流出する補助電源線と、
    記主電源分配ボックスに設けられ、前記補助電源線を通じての電流の流出をオンオフする補助電源線開閉手段とを備え、
    前記制御手段が、前記異常検出手段による異常の検出に応じて前記補助電源線開閉手段を閉制御し、バッテリからの電源を前記主電源分配ボックス、前記補助電源線及び前記従電源分配ボックスを経由して負荷に分配する
    ことを特徴とする請求項1に記載の車両用電源供給装置。
  3. 前記主電源分配ボックス及び従電源分配ボックス間を相互接続し、前記主電源分配ボックス及び従電源分配ボックス間でデータの授受を行う多重通信ラインを更に備え、
    前記異常検出手段が、前記電源線を通じて電流を流出する前記主電源分配ボックスに設けられ、前記流入電流検知手段により検知した流入電流の大きさを示す情報を、前記電源線を通じて電流が流入する前記従電源分配ボックスから前記多重通信ラインを介して入力する
    ことを特徴とする請求項1又は2記載の車両用電源供給装置。
  4. 前記主電源分配ボックス及び従電源分配ボックス間を相互接続し、前記主電源分配ボックス及び従電源分配ボックス間でデータの授受を行う多重通信ラインを更に備え、
    前記異常検出手段が、前記電源線を通じて電流が流入する前記従電源分配ボックスに設けられ、前記流出電流検知手段により検知した流出電流の大きさを示す情報を、前記電源線を通じて電流を流出する前記主電源分配ボックスから前記多重通信ラインを介して入力し、かつ、前記電源線の異常の検出に応じて前記電源線開閉手段を開させるとともに前記補助電源線開閉手段を閉させる制御を前記制御手段に行わせる情報を、前記電源線を通じて電流を流出する前記主電源分配ボックスに対して前記多重通信ラインを介して出力する
    ことを特徴とする請求項2記載の車両用電源供給装置。
  5. 前記主電源分配ボックス及び従電源分配ボックス間を相互接続し、前記主電源分配ボックス及び従電源分配ボックス間でデータの授受を行う多重通信ラインと、
    前記従電源分配ボックスを介して電源供給を受けるとともに前記多重通信ラインを介して前記主電源分配ボックス及び前記従電源分配ボックスに接続され、前記主電源分配ボックス及び前記従電源分配ボックスとの間でデータの授受を行う第3の電源供給ボックスとを更に備え、
    前記異常検出手段が、前記第3の電源供給ボックスに設けられ、前記流入電流検知手段により検知した流入電流の大きさを示す情報と前記流入電流検知手段により検知した流入電流の大きさを示す情報とを前記多重通信ラインを介して入力し、かつ、前記電源線の異常の検出に応じて前記電源線開閉手段を開させるとともに前記補助電源線開閉手段を閉させる制御を前記制御手段に行わせる情報を前記多重通信ラインを介して出力する
    ことを特徴とする請求項2記載の車両用電源供給装置。
  6. 車両の走行を検出する走行検出手段と、
    該走行検出手段が車両の走行を検出していないとき前記バッテリの電圧を監視する動作を開始し、バッテリ電圧が所定値以下に低下したことを検出する電圧低下検出手段とを備え、
    前記電圧低下検出手段が前記バッテリの電圧の所定値以下への低下を検出したとき、前記電源線開閉手段及び前記補助電源線開閉手段をともに開させる制御を前記制御手段に行わせる
    ことを特徴とする請求項2記載の車両用電源供給装置。
  7. 前記異常検出手段によって検出した前記電源線の異常を記録する記録手段をさらに備える
    ことを特徴とする請求項1〜6の何れかに記載の車両用電源供給装置。
  8. 前記電源線開閉手段及び前記補助電源線開閉手段が、リレーコイルと直列に逆流阻止用ダイオードを有するリレーによって形成されている
    ことを特徴とする請求項2〜7の何れかに記載の車両用電源供給装置。
  9. 前記流出電流検知手段及び前記流入電流検知手段が、予め定めたサンプリング周期で電流の大きさを検知し、
    前記制御手段は、前記異常検出手段が異常を検出したとき、前記流出電流検知手段及び前記流入電流検知手段がそれぞれ検知した前記流出電流及び前記流入電流の差電流と前記サンプリング周期とに基づいてジュール積分量を求める演算手段を有し、該演算手段によって求めた前記ジュール積分量が、前記電源線に固有の発煙特性によって決定されるジュール積分値に安全率を乗じた所定値になったとき、前記電源線開閉手段を開制御する
    ことを特徴とする請求項1〜8の何れかに記載の車両用電源供給装置。
  10. 前記流出電流検知手段及び前記流入電流検知手段が、予め定めたサンプリング周期で電流の大きさを検知し、
    前記制御手段は、前記異常検出手段が異常を検出したとき、前記流出電流検知手段及び前記流入電流検知手段がそれぞれ検知した前記流出電流及び前記流入電流の差電流と前記サンプリング周期とに基づいてジュール積分量を求める演算手段を有し、該演算手段によって求めた前記ジュール積分量が、前記電源線に固有の発煙特性によって決定されるジュール積分値に断続ショートによる着火のし易さを考慮した値と安全率とを乗じた所定値になったとき、前記電源線開閉手段を開制御する
    ことを特徴とする請求項1〜8の何れかに記載の車両用電源供給装置。
  11. 車体の各所に設けられるとともに電源線によって相互に接続され、前記電源線を通じて電流を流出する主電源分配ボックス及び前記電源線を通じて電流が流入する従電源分配ボックスを有し、前記従電源分配ボックスは前記主電源分配ボックス及び前記電源線を経由してバッテリからの電源の供給を受け、前記電源分配ボックスの各々がバッテリからの電源を近傍にある負荷に分配する車両用電源供給装置における異常検出装置において、
    記主電源分配ボックスに設けられ、前記電源線を通じて流出する電流の大きさを検知する流出電流検知手段と、
    記従電源分配ボックスに設けられ、前記電源線を通じて流入する電流の大きさを検知する流入電流検知手段と、
    前記流出電流検知手段により検知した流出電流の大きさと前記流入電流検知手段により検知した流入電流の大きさとを比較し、前記流入電流が前記流出電流よりも小さいとき、前記電源線の異常を検出する異常検出手段と
    を備えることを特徴とする車両用電源供給装置における異常検出装置。
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