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JP4022298B2 - 抗菌性フィルム - Google Patents

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JP4022298B2 JP34417897A JP34417897A JP4022298B2 JP 4022298 B2 JP4022298 B2 JP 4022298B2 JP 34417897 A JP34417897 A JP 34417897A JP 34417897 A JP34417897 A JP 34417897A JP 4022298 B2 JP4022298 B2 JP 4022298B2
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禎彦 中島
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Futamura Chemical Co Ltd
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、包装用途や工業資材等に使用される抗菌性を有するフィルムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年安全衛生に対する意識が高まり、食品、家庭用品、医療品等の包装分野において抗菌性を有するフィルムが望まれている。フィルムに抗菌性を付与する方法として一般に抗菌剤を配合することが行われている。この場合の抗菌剤としては、有機系のものより無機系のものの方が、耐熱性、持続性、抗菌スペクトル巾等の点で優れており、衛生上の安全面からも適している。無機系抗菌剤を含有するフィルムとして、例えば、特開平2−247239号公報には、ポリオレフィン系樹脂に抗菌性を有するゼオライト粉末を配合した組成物を一軸または二軸方向に延伸してなる層を表面層としたフィルムが開示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、無機系抗菌剤を含有するフィルムにおいても次のような欠点があった。すなわち、無機系抗菌剤による抗菌効果は、一般的にフィルム表面に露出した抗菌剤の量に依存するので、特に粒径の小さい抗菌剤の場合には、フィルム製造時にフィルム構成樹脂中に抗菌剤が埋没し、抗菌効果を安定して得るのが容易ではなかった。しかも、これを改善するために抗菌剤を大量に配合すると、フィルムの強度低下のみならず、樹脂との相溶性が乏しいことから分散不良が起こってフィルムの透明性が低下するなど、外観特性に問題を生じるようになる。
【0004】
そこで本発明は、上記の問題を解決するためになされたもので、抗菌剤を大量に添加する必要なく、しかも種々の菌に対しても優れた抗菌効果が得られ、且つ外観特性や防曇性、帯電防止性に優れた抗菌性フィルムを提供しようとするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、単層フィルムまたは二層以上の複合フィルムからなり、ミリスチルジエタノールアミンのみ、あるいはラウリルジエタノールアミンおよびミリスチルジエタノールアミンを当該フィルム全体で0.1〜1.2重量%含有する抗菌性フィルムに係る。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態について説明する。本発明で用いるミリスチルジエタノールアミンのみ、あるいはラウリルジエタノールアミンおよびミリスチルジエタノールアミンの使用量はフィルム全体、すなわち100重量%に対して、0.1〜1.2重量%ある。0.01重量%未満では、抗菌性、防曇性、帯電防止性が十分でなく、3重量%を超えると粘着性が増して実用に耐えないし、必要以上に添加することは経済的ではない。なお、ラウリルジエタノールアミンおよびミリスチルジエタノールアミンの両方を使用する場合その合計量は0.1〜1.2重量%の範囲である。また、デシルジエタノールアミンでは製膜時に散逸し易く、ステアリルジエタノールアミンでは抗菌効果が十分でない。
【0007】
フィルムを構成する樹脂としては特に限定はなく、ポリプロピレン、ポリエチレン、エチレン−プロピレン共重合体等のポリオレフィンや、ポリエステル、ナイロンなどの樹脂を使用でき、これらの混合物であってもよい。また、フィルムの特性を改質するために、紫外線吸収剤、酸化防止剤、滑剤、無機系抗菌剤、帯電防止剤、防曇剤など周知の添加剤を配合することもできる。
【0008】
フィルムに成形加工する方法は、公知の方法で良く、ミリスチルジエタノールアミンのみ、あるいはラウリルジエタノールアミンおよびミリスチルジエタノールアミンを当該フィルム全体で0.1〜1.2重量%配合した樹脂をTダイ法、インフレーション法、カレンダー法等で成形でき、ロール延伸法、テンター法で一軸延伸、二軸延伸フィルムとしても良い。また、必要に応じてコロナ処理、火炎処理、プラズマ処理等を施し表面特性を改善することもできる。
【0009】
本発明のフィルムの層構成には限定がなく、単層フィルムでも二層以上の複合フィルムでも良い。複合フィルムとする方法としては共押出法、押出ラミネート法、ドライラミネート法、一軸延伸した基層にラミネート層を積層し、直角方向に延伸する方法などを例示することができる。特に、片面又は両面に基層より低融点のラミネート層を設けると、抗菌性、帯電防止性、防曇性を更に向上させることができる。
【0010】
なお、二層以上の複合フィルムとする場合、そのフィルム製造時、ミリスチルジエタノールアミンのみ、あるいはラウリルジエタノールアミンおよびミリスチルジエタノールアミンを必ずしも全ての層のフィルムに配合する必要はなく、少なくとも一層のフィルムに配合するようにしてもよい。
【0011】
本発明の抗菌性フィルムは以上のような構成よりなっており、使用するラウリルジエタノールアミンやミリスチルジエタノールアミンが、ポリオレフィン等衛生協議会のポジティブリストに記載された物質であることから安全性が高く、抗菌性と合わせて帯電防止性、防曇性にも優れるので、一般雑貨包装分野だけでなく、農産物を始めとする食品包装分野においても極めて有用である。
【0012】
【実施例】
次に本発明の実施例を示すが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、以下の例において得られたフィルムの評価を次の方法によって行い、その結果を表1に示した。
【0013】
<抗菌効果>
ニュートリエントブロス培地を精製水で500倍に希釈した液に、別途用意した普通寒天培地で平板培養した菌を菌数が1×105〜1×106/mlとなるように調整した。この菌液を試験片(50mm×50mm)上に0.1ml滴下し、その上に45mm×45mmに切ったポリエチレンフィルム(ストマッカー用ポリ袋)を被せ、35℃、湿度90%以上にて培養を行った。24時間後にSCDLP培地を10ml加えて洗い出した後、1ml取り出し混釈平板培養法により1ml当たりの生存菌数を測定した。なお、菌には大腸菌または黄色ブドウ球菌を用いた。
【0014】
<防曇効果>
約70℃にした湯を200ccのグラスに150cc注ぎ、直ちに別途用意したA4サイズの試験袋を被せ、フィルム内側の曇りの程度を評価した。なお、評価は3段階評価とする。
A:全く曇りが発生しない。
B:少し曇りが発生する。
C:ひどく曇る。
【0015】
<帯電防止効果>
三菱化学(株)製、高抵抗抵抗率計を用いて表面固有抵抗(Ω/□)を測定した。帯電防止効果欄の数値は表面固有抵抗値である。
【0016】
[実施例1]
融点160℃、密度0.91g/cm3のポリプロピレン98.3重量%に対して、ラウリルジエタノールアミンを1.2重量%、アンチブロッキング剤として平均粒子が2μのシリカを0.5重量%添加した配合物を準備した。そしてその配合物を単層のTダイから押し出して縦方向に延伸した後、テンターに導き横延伸して、厚みが25μの単層からなる二軸延伸フィルムを得た。さらに、フィルムにコロナ処理を施してフィルムを巻き取った。得られたフィルムの評価結果を表1に示す。
【0017】
[実施例2]
基層用原料として、融点160℃、密度0.91g/cm3のポリプロピレン98.8重量%に対してラウリルジエタノールアミンを1.2重量%添加した配合物を用意すると共に、表層用原料として、融点130℃、密度0.89g/cm3のプロピレン−エチレンランダム共重合体99.5重量%にアンチブロッキング剤としての平均粒子2μのシリカを0.5重量%添加した配合物を用意した。そしてこれらを2種3層のTダイから押し出して縦方向に延伸した後、テンターに導き横延伸して、厚み構成が表層2μ/基層21μ/表層2μの三層からなる複合二軸延伸フィルムを得た。さらに、このフィルムにコロナ処理を施してフィルムを巻き取った。尚、このフイルムの重量は22.7g/m2であり、ラウリルジエタノールアミンの含有量はフィルム全体で1.0重量%である。得られたフィルムの評価結果は、表1に示すとおり、実施例1と同様優れた抗菌効果、防曇効果及び帯電防止効果を発揮した。このように、複層のフィルムにおいては、フィルム製造時にラウリルジエタノールアミンを基層に含ませても、所期の効果が得られる。
【0018】
[実施例3]
融点160℃、密度0.91g/cm3のポリプロピレン98.3重量%に対して、ミリスチルジエタノールアミンを1.2重量%、アンチブロッキング剤として平均粒子が2μのシリカを0.5重量%添加した配合物を準備した。そしてその配合物を単層のTダイから押し出して縦方向に延伸した後、テンターに導き横延伸して、厚みが25μの単層からなる二軸延伸フィルムを得た。さらに、フィルムにコロナ処理を施してフィルムを巻き取った。得られたフィルムの評価結果を表1に示す。
【0019】
[実施例4]
基層用原料として、融点160℃、密度0.91g/cm3のポリプロピレン99.76重量%にラウリルジエタノールアミンを0.12重量%、ミリスチルジエタノールアミンを0.12重量%を添加した以外は、実施例2と同様にして三層の複合二軸延伸複合フィルムを得た。ラウリルジエタノールアミンとミリスチルジエタノールアミンの含有量はフィルム全体で0.2重量%である。得られたフィルムの評価結果を表1に示す。
【0020】
[実施例5]
基層用原料として、融点160℃、密度0.91g/cm3のポリプロピレン98.8重量%にラウリルジエタノールアミンを0.6重量%、ミリスチルジエタノールアミンを0.6重量%添加した以外は、実施例2と同様にして三層の複合二軸延伸複合フィルムを得た。ラウリルジエタノールアミンとミリスチルジエタノールアミンの含有量はフィルム全体で1.0重量%である。得られたフィルムの評価結果を表1に示す。
【0021】
[実施例6]
基層用原料として、融点160℃、密度0.91g/cm3のポリプロピレン98.8重量%にラウリルジエタノールアミンを0.12重量%、ミリスチルジエタノールアミンを0.12重量%、グリセリンモノステアレートを0.96重量%添加した以外は、実施例2と同様にして三層の複合二軸延伸フィルムを得た。ラウリルジエタノールアミンとミリスチルジエタノールアミンの含有量はフィルム全体で0.2重量%である。得られたフィルムの評価結果を表1に示す。
【0022】
[実施例7]
基層原料として、融点160℃、密度0.91g/cm3のポリプロピレン98.8重量%にラウリルジエタノールアミンを0.06重量%、ミリスチルジエタノールアミンを0.06重量%、グリセリンモノステアレートを1.08重量%添加した以外は、実施例2と同様にして三層の複合二軸延伸フィルムを得た。ラウリルジエタノールアミンとミリスチルジエタノールアミンの含有量はフィルム全体で0.1重量%である。得られたフィルムの評価結果は、表1に示すとおり、抗菌性、防曇効果及び帯電防止効果のいずれも優れていたが、実施例6と比較すると、抗菌性、防曇効果及び帯電防止効果の何れも僅かながら低下傾向が見られた。
【0023】
[実施例8]
表層用原料のシリカ0.5重量%に替えて、粒径が0.6μの銀担持リン酸ジルコニウムを0.5重量%添加した以外は、実施例2と同様にして三層の複合二軸延伸フィルムを得た。ラウリルジエタノールアミンの含有量はフィルム全体で1.0重量%である。得られたフィルムの評価結果を表1に示す。
【0024】
[実施例9]
表層用原料のシリカを0.5重量%に替えて、粒径が0.8μの銀担持ガラスを、0.5重量%添加した以外は、実施例2と同様にして三層の複合二軸延伸フィルムを得た。ラウリルジエタノールアミンの含有量はフィルム全体で1.0重量%である。得られたフィルムの評価結果を表1に示す。
【0025】
[比較例1]
基層用原料に融点160℃、密度0.91g/cm3のポリプロピレンのみを使用し、実施例2と同様にして三層の複合二軸延伸フィルムを得た。得られたフィルムの評価結果を表1に示す。
【0026】
[比較例2]
ポリプロピレン98.8重量%に、ラウリルジエタノールアミンに替えてステアリルジエタノールアミンを0.24重量%、グリセリンモノステアレートを0.96重量%添加した以外は実施例2と同様にして、三層の複合二軸延伸フィルムを得た。得られたフィルムの評価結果を表1に示す。
【0027】
[比較例3]
基層用原料として融点160℃のポロプロピレンのみを使用し、表層用原料にシリカ0.5重量%の替わりに、粒径が0.6μの銀担持リン酸ジルコニウムを0.5重量%添加した以外は、実施例2と同様にして三層の複合二軸延伸フィルムを得た。得られたフィルムの評価結果を表1に示す。
【0028】
[比較例4]
実施例2における基層用原料中のラウリルジエタノールアミンに替えて、ステアリルジエタノ−ルアミン0.24重量%、グリセリンモノステアレート0.96重量%を配合し、表層用原料中のシリカに替えて平均粒径が0.8μの銀担持リン酸ジルコニウム0.5重量%を配合した以外は、実施例2と同様にして三層の複合二軸延伸フィルムを得た。得られたフィルムの評価結果を表1に示す。
【0029】
[比較例5]
基層用原料として、融点160℃、密度0.91g/cm3のポリプロピレン96.0重量%にラウリルジエタノールアミン2.0重量%、ミリスチルジエタノールアミン2.0重量%添加した以外は実施例2と同様にして三層の複合二軸延伸フィルムを得た。ラウリルジエタノールアミンとミリスチルジエタノールアミンの含有量はフィルム全体で3.4重量%である。得られたフィルムの評価結果は、表1に示すとおり抗菌性、防曇効果及び帯電防止効果のいずれも優れていたが、フィルムの粘着性が増大し、またフィルムコストも高く、実用的ではなかった。
【0030】
【表1】
Figure 0004022298
【0031】
【発明の効果】
表1に示すように、本発明のフィルムは、ミリスチルジエタノールアミンのみ、あるいはラウリルジエタノールアミンおよびミリスチルジエタノールアミンを当該フィルム全体で0.1〜1.2重量%とする少量であっても均一かつ優れた抗菌性を発現し、しかも種々の菌に対して優れた抗菌効果を発現するので極めて用途が広く、また帯電防止性、防曇性が良好なので塵を寄せ付けることがなく、非常に衛生的なフィルムである。従って、印刷紙の表面のフィルムや包装用フィルム等、種々の用途に好適である。

Claims (1)

  1. 単層フィルムまたは二層以上の複合フィルムからなり、ミリスチルジエタノールアミンのみ、あるいはラウリルジエタノールアミンおよびミリスチルジエタノールアミンを当該フィルム全体で0.1〜1.2重量%含有する抗菌性フィルム。
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