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JP4077707B2 - 使い捨てオムツ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、テープ止めタイプの使い捨てオムツに関し、より詳しくは、オムツ本体の長手方向端部に沿って配置された一対のサイドフラップの側縁にフック部材を有する止着テープを設けた使い捨てオムツに関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に使用されている使い捨てオムツは、トップシートとバックシートの間に着用した際に着用者の股間部を覆うように配置される吸収体とからなり、その外形は概ね長方形の長辺側の中央が窪んだ砂時計型をしている。この窪み部分が股間部となり、該股間部に連なって広くなっている一方が背側部で、他方が腹側部を構成し、背側部の両翼片の側縁には止着テープが設けられている。
【0003】
上記使い捨てオムツは、使用に際して、オムツ本体を通常の方法で着用者に装着し、背側部の両翼片の側縁に設けた止着テープで反対側の使い捨てオムツの腰周りに止着して着用者に取り付けるようにしている。この止着テープのうちでもフック部材を用いたものは、何度でも着脱が可能であるという利点を有することから好適な止着テープであった。
【0004】
そして、この止着テープは、例えば特許文献1に示すように、使い捨てオムツの両翼片の側縁に外方に飛び出る形で設けられている。
【0005】
【特許文献1】
特開2002−45214号公報(6頁、図5)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、止着テープを使い捨てオムツの両翼片の側縁に外方に延伸する形で設けた形式の使い捨てオムツでは、オムツの製造過程において、製造ライン上を連続的に進んで各種部材の取付け、折り畳み等が行われており、この際、上記止着テープが外方に飛び出る形で設けられていると、該止着テープが製造機械やオムツの他の部品に引っ掛かって円滑な製造流れを実現できないというおそれがあり、更にオムツを製造機械に巻き込んでしまう等の懸念がある。
【0007】
そこで、止着テープを使い捨てオムツの両翼片側に折り返して、オムツの表面の嵩高な不織布に止着テープのフック部材で仮止めすることが行われている。この場合は止着テープがオムツの両翼片の側縁から外方に飛び出ていないので、止着テープが製造機械等に引っ掛かるということは防止されることになる。
【0008】
ところが、使い捨てオムツの両翼片を伸縮性を持たせたサイドフラップとした場合には、そのサイドフラップは伸縮性を有するために、表面の不織布が嵩高く構成されるので、フック部材で仮止めした場合、フック部材と嵩高な不織布との係合力が大きくなるため、オムツを装着する際にサイドフラップ面に仮止めされた止着テープが剥がし難くなり、サイドフラップの表面を破損してしまうおそれがある。
【0009】
また、フック部材の近傍に仮止め用粘着剤を塗布し、上記フック部材を内側にして折り返し、上記仮止め用接着剤で仮止めするという手法もあるが、この手法では、仮止めするに当たって、予め仮止め用の接着剤を塗布する工程が新たに必要であり、そのために製造工程が煩雑になるという問題が有り、またコストもかかるという不都合もあった。
【0010】
本発明は以上のような課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、オムツ本体の長手方向端部に沿って配置させた伸縮性のサイドフラップが配設された使い捨てオムツにおいて、サイドフラップの側縁近傍にフック部材を備える止着テープを設け、該止着テープをサイドフラップに仮止め可能にする使い捨てオムツを提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
以上のような課題を解決するために、本発明においては、止着テープを該テープ基材の表面にフック部材を備えたものとし、この止着テープをフック部材がサイドフラップ面に対向するようにして取付けて、接合部分と非接合部分とから構成されるサイドフラップの係合領域で係合することにより、止着テープがサイドフラップ面に適度の係合力で仮止めできることを見出して本発明を完成させた。
【0012】
より具体的には、本発明においては以下のようなものを提供する。
【0013】
(1) トップシートと、バックシートと、これらシートに内包される吸収体とからなるオムツ本体と、該オムツ本体の長手方向端部に沿って配置される一対のサイドフラップと、各サイドフラップの側縁近傍に設けられる止着テープと、を備え、前記止着テープにはフック部材が設けられ、該フック部材で前記止着テープと前記サイドフラップとが係合する使い捨てオムツにおいて、前記サイドフラップの前記止着テープが係合する領域(係合領域)は、前記フック部材との係合力が異なる複数種類の部分から構成されており、前記止着テープは、前記サイドフラップの内面側に取付けられて、前記サイドフラップ側縁で前記フック部材を備えた面を内側にして折り返され、折り返された後、前記フック部材が前記係合領域で係合して前記サイドフラップ面に仮止めされるものであり、前記止着テープにおける前記サイドフラップの内面側に取付けられる部分である取付部分には、切込部が設けられていることを特徴とする使い捨てオムツを提供する。
【0014】
本発明によれば、フック部材を備える止着テープをサイドフラップに取付け、フック部材とサイドフラップとが係合されることにより、止着テープとサイドフラップとが係合する使い捨てオムツにおいて、止着テープが係合する領域(以下係合領域という)は、フック部材との係合力が異なる複数種類の部分から構成されているので、フック部材と係合する係合領域を適宜選定することで、止着テープとサイドフラップの係合力を調整することができる。これによって、止着テープをサイドフラップに仮止めする場合、サイドフラップの材質等によりサイドフラップが破損しない程度の係合力を選定できる。例えば、オムツを装着した際の腰周りや脚周りのフィット性を向上させるために、サイドフラップを伸縮性の有する嵩高い不織布とした場合であっても、サイドフラップに仮止めした止着テープを弱い力で剥がすことができので、サイドフラップの表面を破損してしまうことがない。一方、オムツを装着する際は、フック部材の全面がオムツの表面と係合するので強い係合力が得られ、オムツをずれないように固定することができる。
【0015】
また、止着テープはサイドフラップに上記の様にして仮止めできるので、オムツのサイドフラップ側縁から外方に飛び出さないため、オムツの製造過程において、製造ライン上を連続的に進んで各種部材の取付け、折り畳み等が行われる際、該止着テープが製造機械やオムツの他の部品に引っ掛かることなく円滑な製造流れを実現できる、また、オムツを製造機械に巻き込んでしまう等のおそれもない。
【0016】
ここで、係合領域とは、止着テープに設けられたフック部材が係合する相手の領域を意味する。また、係合部分とは、フック部材が係合する部分を意味し、例えば、止着テープに設けられたフック部材が鉤型係合素子を植え付けた係合片やマッシュルーム型係合素子を植え付けた係合片といった雄側係合片である場合の係合部材としては、ループ型係合片や嵩高い不織布といった雌側係合片が挙げられる。
【0017】
(2) 前記サイドフラップの前記止着テープが係合する領域(係合領域)は、前記フック部材が係合する係合部分と、前記フック部材が極めて弱く係合するかまたは全く係合しない非係合部分と、から構成されていることを特徴とする(1)に記載の使い捨てオムツを提供する。
【0018】
本発明によれば、係合領域はフック部材が係合する係合部分と、フック部材が極めて弱く係合するかまたは全く係合しない非係合部分と、から構成されているので、フック部材が係合領域と係合した場合、サイドフラップと止着テープの係合力はフック部材が係合する係合部分での係合力に支配されることになる。このため、この係合部分の大きさを調整することで係合力を所望の強さに選定できる。すなわち、係合部分の面積を大きくすれば係合力が強いものとなり、小さくすれば弱いものとなる。これによって、止着テープをサイドフックに仮止めした際には、サイドフラップの材質等に合わせて、サイドフラップが破損しない程度の弱い力で止着テープを剥がすことができることになる。
【0019】
尚、この係合領域を構成する係合部分はサイドフラップ面であり、非係合部分はサイドフラップ面か止着テープ面のいずれか一方または両方に形成されている。例えば、後述するように、止着テープがサイドフラップの側縁で折り返されてフック部材が止着テープ基材と重なる場合には、止着テープと重なる部分のみ(図5参照)、または止着テープ基材と重なる部分とサイドフラップ面(図6(a)参照)に形成される。また、止着テープ基材と重ならない場合には、サイドフラップ面のみ(図6(b)、図8、図9参照)といったように形成される。
【0020】
(3) 前記止着テープは、止着テープ基材と、該基材の表面に設けられる前記フック部材とからなり、前記止着テープ基材の一方の端部に掴み部分を有し、他方の端部に取付部分を有するものであることを特徴とする(1)または(2)に記載の使い捨てオムツを提供する。
【0021】
本発明によれば、止着テープは止着テープ基材とその表面に配設されたフック部材とからなり、フック部材は止着テープ基材の両端側に掴み部分と取付部分を有するようにして配設されているので、フック部材がサイドフラップの係合領域に係合して、止着テープが仮止めされていても、掴み部分でもって容易に剥がすことができる。尚、上記フック部材としては鉤型係合素子を植え付けた係合片やマッシュルーム型係合素子を植え付けた係合片等が挙げられる。
【0022】
ここで、取付部分とは、止着テープの止着テープ基材をサイドフラップ面に接合して固定する部位を意味し、掴み部分とは、止着テープの取付部分の反対側の先端に設けられ、止着テープをはがす際に掴む部位を意味する。
【0023】
また、フック部材は止着テープ基材の両側に取付部分と掴み部分とを設けるようにして配設されているが、取付部分側の端縁から掴み部分に亘って配設してもよい。この場合は、止着テープを折り返した際、取付部分上面はフック部材同士が重なり合うことになる(図7参照)。
【0024】
また、止着テープ基材としては、不織布単独で構成されたものや、不織布と他のフィルム等を積層したもの、またフィルムを挟んで両面に不織布を積層して構成されているもの等が挙げられる。尚、止着テープ基材部分での蒸れを防止するということから、不織布単独といった通気性を持つものが好ましい。また、フック部材としては、繰り返して着脱が可能である面ファスナーの雄側係合片が好適に使用される。
【0025】
(4) 前記係合領域は、前記フック部材との係合力が、0.3N/25mmから2.2N/25mmの範囲であることを特徴とする(1)または(2)に記載の使い捨てオムツを提供する。
【0026】
本発明によれば、係合領域におけるフック部材の係合力は0.3N/25mmから2.2N/25mmの範囲であるので、サイドフラップ面に仮止めされた止着テープを剥がす際にサイドフラップ面を破損するおそれがない。
【0027】
止着テープの前記フック部材はサイドフラップ面に係合してサイドフラップ面に仮止めされるのであるが、この際サイドフラップ面を破損させることなく剥離されるためのフック部材と係合領域の係合力は、0.3N/25mmから2.2N/25mmの範囲であるのが好ましい。係合力が0.3N/25mmより弱いと、止着テープを止着テープ基材の取付部分で仮止めできない。一方、2.2N/25mmより強いと、フック部材とサイドフラップの係合領域との係合が強くなりすぎて、止着テープを剥がす際に、サイドフラップ面が引っ張られて破損するおそれがある。また、オムツ装着時にサイドフラップを破損しないように仮止めを剥がす必要があるため止着作業が煩雑となる。
【0028】
(5) 前記非係合部分は、前記フック部材との係合力が、2.2N/25mm以下であることを特徴とする(2)に記載の使い捨てオムツを提供する。
【0029】
本発明によれば、非係合部分におけるフック部材との係合力が、2.2N/25mm以下であるので、前述の係合領域における係合力と同等かそれより弱いため、仮止めされた止着テープを剥がす際に、係合領域を剥がす力と同等かこれ以下で剥がすことができ、非係合部分で剥がす力が大きくて剥がし難いということはない。尚、この係合力は、止着テープをサイドフラップ面に仮止めできる様に、係合部分での係合力との関係で2.2N/25mm以下で適宜設定される。すなわち、係合部分での係合力が低くて止着テープの仮止めが弱い場合には、非係合部分の係合力を高め、係合領域全体として止着テープを仮止め可能とし、しかもサイドフラップ面を破損しないようにすることもできる。
【0030】
(6) 前記非係合部分は、前記フック部材との係合力が弱い不織布で構成されるものであることを特徴とする(5)に記載の使い捨てオムツを提供する。
【0031】
本発明によれば、非係合部分は、前記フック部材との係合力が弱い不織布で構成されているので、フック部材との係合力が弱いため、容易に剥がすことができる。また、不織布にすることで表面にループ状繊維を有することになり、雌側係合片の役目を果すことができる。また、通気性を有するので、止着テープの部分が蒸れない。さらに、オムツを構成する素材と同じような材質となるので、違和感がない。
【0032】
(7) 前記係合部分は、前記フック部材全体の5%から50%であることを特徴とする(2)に記載の使い捨てオムツを提供する。
【0033】
本発明によれば、係合領域の係合部分は、フック部材全体の5%から50%の面積であり、この部分がサイドフラップ面と当接して係合されているので、サイドフラップとの係合力は弱められる。従って、仮止めされた止着テープを弱い力で剥がすことができ、サイドフラップが伸縮性を有するものであったり、嵩高な不織布からなるものであっても、サイドフラップの表面を破損することがない。尚、サイドフラップ面と係合される部分(係合部分)の面積が5%より少ないと、サイドフラップ面との係合力が弱すぎて止着テープをサイドフラップ面に仮止めできないことになる。また、50%より多いと、サイドフラップ面との係合力が強くなりすぎて仮止めされた止着テープが剥離し難くなり、サイドフラップ面を破損するおそれがあり不都合である。
【0034】
尚、後述するフック部材を折り返した際に、止着テープ基材の一部と重なり合って係合領域の非接合部分が止着テープ基材に形成される場合には、サイドフラップと接合して取付ける止着テープ基材の取付部分に切込部を形成して、この切込部でサイドフラップ面を露出させて係合部分とし、フック部材と係合させるようにしてもよい。
【0035】
(8) 記止着テープのフック部材は、面ファスナーの雄側係合片であることを特徴とする(1)から(7)いずれか記載の使い捨てオムツを提供する。
【0036】
本発明によれば、止着テープのフック部材は、面ファスナーの雄側係合片としているので、何度でも着脱が可能である。また、サイドフラップは不織布で構成されているので、この不織布のループ状繊維を面ファスナーの雄側係合片で係合することができる。
【0037】
(9) 前記止着テープは、前記サイドフラップの内面側に取付けられて、前記サイドフラップ側縁で前記フック部材を備えた面を内側にして折り返されるものであり、折り返された後、前記フック部材が前記係合領域で係合して前記サイドフラップ面に仮止めされるものであることを特徴とする(1)から(8)いずれか記載の使い捨てオムツを提供する。
【0038】
本発明によれば、止着テープは、サイドフラップの内面側に固定され、この固定された止着テープをサイドフラップ側縁でフック部材を備えた面を内側にして折り返され、フック部材が係合領域で係合されてサイドフラップに仮止めされているので、止着テープはオムツのサイドフラップ側縁から外方に飛び出て伸延していないことになる。これにより、オムツの製造過程において、製造ライン上を連続的に進んで各種部材の取付け、折り畳み等が行われる際、該止着テープが製造機械やオムツの他の部品に引っ掛かることなく円滑な製造流れを実現できる、また、オムツを製造機械に巻き込んでしまう等のおそれもない。
【0039】
また、サイドフラップとの係合は、係合部分と非係合部分から構成される係合領域で行われるので、フック部材全面がサイドフラップ面に係合するのではないため係合力が弱められることになる。従って、オムツを装着した際の腰周りや脚周りのフィット性を向上させるために、サイドフラップを伸縮性の有する嵩高いループ部材とした場合であっても、サイドフラップに仮止めした止着テープを弱い力で剥がすことができるので、サイドフラップの表面を破損してしまうことがない。一方、オムツを装着する際は、フック部材の全面でオムツの表面と係合するので強い係合力が得られ、オムツをずれないように固定することができる。更に、この仮止めの強さは係合領域を構成する係合部分と非係合部分との割合を調整することにより、所望の強さを適宜設定することができる。
【0040】
(10) 前記止着テープは、前記フック部材が前記サイドフラップ面に対向して該サイドフラップに取付けられ、前記フック部材が前記係合領域で係合されて前記サイドフラップ面に仮止めされるものであることを特徴とする(1)から(8)いずれか記載の使い捨てオムツを提供する。
【0041】
本発明によれば、止着テープは、フック部材がサイドフラップ面に対向してサイドフラップに取付けられ、この取付けられた止着テープのフック部材が係合部分と非係合部分とで構成された係合領域で係合されてサイドフラップに仮止めされているので、止着テープはオムツのサイドフラップ側縁から外方に飛び出て伸延していないことになる。これにより、オムツの製造過程において、製造ライン上を連続的に進んで各種部材の取付け、折り畳み等が行われる際、該止着テープが製造機械やオムツの他の部品に引っ掛かることなく円滑な製造流れを実現できる、また、オムツを製造機械に巻き込んでしまう等のおそれもない。
【0042】
また、サイドフラップとの仮止めは、係合領域の係合部分で係合されているので、サイドフラップ面との係合力が弱いことになる。従って、オムツを装着した際の腰周りや脚周りのフィット性を向上させるために、サイドフラップを伸縮性の有する嵩高い不織布とした場合であっても、サイドフラップに仮止めした止着テープを弱い力で剥がすことができので、サイドフラップの表面を破損してしまうことがない。一方、オムツを装着する際は、フック部材の全面でオムツの表面と係合するので強い係合力が得られ、オムツをずれないように固定することができる。更に、この仮止めの強さは係合領域を構成する係合部分と非係合部分との割合を調整することにより、所望の強さを適宜設定することができる。
【0043】
(11) 前記止着テープは、前記サイドフラップの外面側に取付けられて、前記サイドフラップ側縁で前記フック部材を備えた面を内側にして折り返されるものであり、折り返された後、前記フック部材が前記係合領域で係合されて前記サイドフラップ面に仮止めされるものであることを特徴とする(1)から(8)いずれか記載の使い捨てオムツを提供する。
【0044】
本発明によれば、止着テープは、サイドフラップの外面側(着用時の衣服面側)の側縁に接合して取付けられ、この取付けられた止着テープをサイドフラップ側縁でフック部材を備えた面を内側にして折り返され、フック部材がサイドフラップの係合領域で係合されてサイドフラップに仮止めされているので、止着テープはオムツのサイドフラップ側縁から外方に飛び出て伸延していないことになる。これにより、オムツの製造過程において、製造ライン上を連続的に進んで各種部材の取付け、折り畳み等が行われる際、該止着テープが製造機械やオムツの他の部品に引っ掛かることなく円滑な製造流れを実現できる、また、オムツを製造機械に巻き込んでしまう等のおそれもない。
【0045】
また、サイドフラップとの仮止めは、係合部分と非係合部分から構成される係合領域で係合されているので、サイドフラップ面との係合力が弱いことになる。従って、オムツを装着した際の腰周りや脚周りのフィット性を向上させるために、サイドフラップを伸縮性の有する嵩高いループ部材とした場合であっても、サイドフラップに仮止めした止着テープを弱い力で剥がすことができるので、サイドフラップの表面を破損してしまうことがない。一方、オムツを装着する際は、フック部材の全面でオムツの表面と係合するので強い係合力が得られ、オムツをずれないように固定することができる。更に、この仮止めの強さは係合領域を構成する係合部分と非係合部分との割合を調整することにより、所望の強さを適宜設定することができる。
【0046】
(12) 前記係合領域の前記非係合部分が、止着テープかサイドフラップ面のいずれか一方または両方に形成されていることを特徴とする(9)から(11)いずれか記載の使い捨てオムツを提供する。
【0047】
上記の係合領域の非係合部分は、止着テープのサイドフラップ面への取付け方やフック部材の長さ等によって形成される位置が異なってくる。例えば、前記(9)の様にサイドフラップの内面側に取付けられ、サイドフラップ側縁でフック部材を備えた面を内側にして折り返されて仮止めされる場合には、止着テープ基材面のみ、または止着テープ基材面とサイドフラップ面の両方、あるいはサイドフラップ面のみに形成される。また、前記(10)の様にフック部材がサイドフラップ面に対向してサイドフラップに取付けられ、フック部材が係合領域で係合されて仮止めされる場合には、サイドフラップ面のみ、または止着テープ基材面とサイドフラップ面の両方に形成される。また、前記(11)の様にフック部材がサイドフラップの外面側に取付けられ、サイドフラップ側縁でフック部材を備えた面を内側にして折り返されて仮止めされる場合には、サイドフラップ面のみに形成されている(図5、6、8、9参照)。
【0048】
(13) 前記係合領域の前記係合部分が、サイドフラップ面に形成されていることを特徴とする(9)から(11)いずれか記載の使い捨てオムツを提供する。
【0049】
サイドフラップ面は嵩高な不織布で構成されているので、不織布の表面のループ状繊維がフック部材の雌側係合片の役割を果たし、これと係合することにより強い係合力が得られる。
【0050】
(14) 前記止着テープ基材は、前記フック部材との係合力が弱い不織布で構成されるものであることを特徴とする(9)から(11)いずれか記載の使い捨てオムツを提供する。
【0051】
本発明によれば、止着テープ基材はフック部材との係合力が弱い不織布で構成されているので、非係合部分としての役割を果たし、サイドフラップ面に取付けられた止着テープを折り返した際に、フック部材が止着テープ基材と重なり合う部分の係合力は弱いことになる。従って、止着テープ基材に改めて非係合部分を形成するための処理が不要である。
【0052】
(15) 前記止着テープは、前記取付部分に切込部を設けたものであることを特徴とする(11)記載の使い捨てオムツを提供する。
【0053】
本発明によれば、止着テープの取付部分に切込部を形成したので、取付部分をサイドフラップ面に接合・固定した際、切込部ではサイドフラップ面が露出することとなり、この露出した面にフック部材が係合され、止着テープがサイドフラップ面に仮止めできる。
【0054】
(16) 前記サイドフラップは、伸縮性を有するシートに少なくとも身体側面に不織布を複合したものであることを特徴とする(1)から(6)いずれか記載の使い捨てオムツを提供する。
【0055】
本発明によれば、サイドフラップは伸縮性を有するので、オムツを装着する際に腰周りの寸法が調整でき、着用者の腰周りに一層フィットする。この種の使い捨てオムツは、通常の方法で着用者に装着してサイドフラップに設けた止着テープによって腹側の腰周りを止着して着用者に取付けるが、この際にサイドフラップが伸縮性を有すると、腰周りの大きさが異なる場合でもフィットして取り付けることができる。
【0056】
(17) フック部材を有する止着テープを備える使い捨てオムツにおいて、前記止着テープのフック部材が係合する係合領域の一部に、前記フック部材が係合し難い非係合部分を設けることにより、前記止着テープの仮止め部とされていることを特徴とする使い捨てオムツを提供する。
【0057】
本発明によれば、止着テープのフック部材が係合する係合領域の一部に、フック部材が係合し難い非係合部分を設けることにより、止着テープの仮止め部としている。このため、止着テープを止着テープのフック部材で係合領域に係合した際に、接合領域全面で係合されず、非係合部分を除いた部分で仮止めされる。このため、仮止めの係合力が弱いことになるので、仮止めされた止着テープは容易に剥がすことができる。尚、この仮止めは、係合部分の大きさを適宜選定することにより、所望の係合力を設定することが可能となる。
【0058】
【発明を実施するための形態】
以下本発明の実施形態について、図を参照しつつ説明するが、本発明はこれに限定されるものでない。
【0059】
図1は本発明による使い捨てオムツの展開図を示す。この使い捨てオムツは第1の腰領域aと股間部領域bと第2の腰領域cとを有している。
【0060】
上記使い捨てオムツ1は、オムツ本体2と、第1の腰領域aで長手方向端部近傍において幅方向(図面のH−H'方向)に延びる一対のサイドフラップ3と、各サイドフラップ3の側縁近傍に設けられた止着テープ4とから構成されている。オムツ本体2は、着用者の肌に接する液透過性のトップシート11と、衣服側面となる液不透過性のバックシート12と、これらシートに内包され全体形状がほぼ長方形、砂時計型等の形状の吸収体13と、この吸収体のほぼ両側部分でトップシート面に設けられた立体ギャザー14と、この立体ギャザー14の長手方向(図面のL−L'方向)に沿って配置され立体ギャザー14に伸縮性を付与する弾性体15と、第1の腰領域aおよび第2の腰領域cの外縁側端縁部のオムツ本体2の幅方向(図面のH−H'方向)に沿って配置されて腰領域に伸縮性を付与する弾性体16と、で構成されている。トップシート11とバックシート12は、吸収体13よりも大きな長さと幅であり、吸収体13の縁を超えて外側に延び、少なくとも股間部領域bにレッグギャザー17が形成され、このレッグギャザーに伸縮性を付与するための弾性体18が配置されている。
【0061】
また、サイドフラップ3はオムツ本体2と連続した部材ではなく、別部材としてオムツ本体2の腹側もしくは背側で接合されている。
【0062】
サイドフラップ3は、オムツ本体2の長手方向の第1の腰領域a端部近傍に接合・固定されている。サイドフラップ3とオムツ本体2との接合は、ヒートシール、ソニックシール、ホットメルト接着剤等の加熱・圧着による熱的手法により接合されている。
【0063】
上記吸収体13は尿等の排泄物の液体を吸収して保持する機能を有するもので、嵩高であり、型崩れし難く、化学的刺激が少ないものであることが好ましい。一般にはパルプ、化学パルプ、レーヨン、アセテート、天然コットン、高分子吸収体、繊維状高分子吸収体、合成繊維を単独又はこれらを混合した物が使用できる。吸収体13の形状および構造は、必要に応じて変えることができるが、吸収体13の全吸収量は、オムツとしての設計挿入量および所望の用途に対応させる必要がある。吸収体13のサイズ吸収能力は、子供から成人までの着用者に対応して変動される。
【0064】
上記バックシート12は、吸収体13に吸収された排泄物が外へ漏れ出すのを防止できるものを使用することができる。また、透湿性素材とすることにより、装着時のムレを低減させることができ、装着時における不快感を低減させることが可能となる。このような材料としては、例えば、合成樹脂を膜化したシート状フィルム、無機フィラーを充填させて延伸処理を施すことにより得られる通気フィルム、紙、不織布とフィルムを複合したラミネート物、10〜30%の開孔を有し孔径が0.1〜0.6mmの範囲で毛細管を吸収性体側に向かうように配置することにより得られる通気性液遮断シート、等を使用することができる。また、好ましくは、布様外観を生じるようにエンボス加工された熱加工性フィルムである。
【0065】
上記トップシート11は、液親水性であり、肌に刺激を与えない材料が使用される。このようなものとしては、メルトブローン、スパンボンド、スルーエアー、ポイントボンド、ニードルパンチ、湿式、湿式スパンレース、フォームフィルム等の製造方法から得られる不織布を単独又はこれらを複合した材料が挙げられる。また、繊維状シートとしては、レーヨン、アセテート、コットン、パルプ又は合成樹脂を成分としたものを単独又は芯鞘構造を成すように複合したものを単独又は混合した繊維をシート化したものが挙げられる。
【0066】
上記サイドフラップ3としては、1層の伸縮性シート31を挟んで両面に不織布32を積層して構成されたものであり、その接合にはラミネート、熱、ソニック、機械接合等により行われている。接合されるエラストマーとしては、ポリウレタン、スチレン−ブタジェン−スチレンブロック共重合体(SBS)、スチレン−ブタジェン−エチレン−スチレンブロック共重合体(SBES)、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(SIS)など高分子重合体でシート化されたものや同上の高分子重合体で形成されたネット、あるいは糸状弾性体である。尚、この伸縮性シートと不織布の接合は、加熱・圧着による接合一体化する方法の他に、超音波処理、ホットメルト、ニードルパンチ、高圧液体流処理等で交絡することも可能である。尚、サイドフラップ3の構成は上記に限定されるものでなく、例えば、伸縮性シートと不織布とを1層づつ積層したもの、複数層積層ものであってもよい。
【0067】
尚、伸縮性シート31としては、弾性的に伸縮可能な繊維の集合体であって、少なくとも、一方向に弾性的に伸張可能であり、繊維径0.1〜50μm、好ましくは0.5〜30μmを有し、スチレン系エラストマー、ウレタン等の熱可塑性弾性高分子で形成された長繊維であり、これらの繊維の集合体としてはスパンボンドやメルトブロー法等の直接紡糸法によって連続的に押出されてなる多数状の連続繊維である。また、弾性糸から成るサーマルボンド不織布や熱可塑性弾性高分子からなるフィルム等も用いることができる。
【0068】
一方、不織布32としては、スパンボンド、ポイントボンド、スルーエアボンド、ケミカルボンド、メルトブローン、スパンレース、ニードルパンチなどで製造される不織布であり、その繊維としてはポリオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系、あるいはポリエチレン・ポリプロピレンやポリエチレン・ポリエステルで形成されたシースコア型複合繊維または、サイドバイサイド型複合繊維が使用可能である。この不織布の代表的な例としては、伸張可能な連続繊維の集合体であって、伸縮性シートが伸長する方向へ非弾性的に伸長可能である。この連続繊維は繊維径が0.1〜50μmであり、望ましくは5〜30μmであり、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−プロピレン−プテン共重合体、又、これらの高分子材料が2種類以上の混合物及びこれらの複合繊維から形成されたものである。不織布の目付は2〜100g/mであり、望ましくは、7〜20g/mであり、その集合体は一般的なメルトブローン法やスパンボンド法等の直接紡糸法によって連続的に押出されてなる多数状の連続繊維を一方向へ走行するベルトコンベアに不規則に堆積させることによって得ることができる。
【0069】
参考までに、本発明の実施例として使用した伸縮性サイドフラップは、トレダガー社製「flexAir」であり、この不織布は3層からなっており、2枚の目付18g/mの不織布で目付75g/mの伸縮性を有するフィルムを挟む構成になっており、ソニックシールで接合されている。この伸縮性サイドフラップは、伸縮性が、100%伸張2サイクル目の戻り応力で、75%伸張時に1200〜1600mN、50%伸張時に500〜900mN、30%伸張時に200〜450mNの応力特性を有している。
【0070】
上記止着テープ4は、使い捨てオムツを装着する際に、使い捨てオムツ1が落ちないように腰周り部分に止着するものであって、図2に示すように、メルトブローン、スパンボンド、ポイントボンド、エアスルー、ニードルパンチ、スパンレース等の製法から得られる不織布を単独またはこれらを複合したものからなる細長の止着テープ基材5と、該止着テープ基材5の表面(図面の上方)に配置されたフック部材6とから構成され、フック部材6は、止着テープ基材5の一方の端部に取付部分5aを、他方の端部に摘み部分5bを残すようにして、この取付部分5aと掴み部分5bとの間に配置されている。また、取付部分5aにはフック部材と係合しない非係合部分7aが形成されている。上記のフック部材6としては、鉤型係合素子を植え付けた係合片やマッシュルーム型係合素子を植え付けた係合片等が挙げられる。また、非係合部分7aとしては、フック部材6との係合力が弱い不織布、ポリエチレンフィルムやポリプロピレンフィルムなどのフィルムシート、不織布を熱加工または超音波加工により溶融固化処理したもの等が挙げられ、取付部分5aの表面側(図面の上方)に形成されている。尚、非係合部分7aは予め止着テープ4に形成しておかないで、止着テープ4をサイドフラップ3に取付けた後、止着テープ4の取付部5aに形成してもよい。また、止着テープ基材5自体をフック部材6との係合力が2.2N/25mm以下の弱い不織布、ポリエチレンフィルムやポリプロピレンフィルムなどのフィルムシート、または不織布を熱加工または超音波加工により溶融固化処理を行ったものといったフック部材との係合力弱いまたは係合力のないものとしてもよい。これらの材質で止着テープ基材を構成した場合は、フック部材との係合力が弱いので改めて非係合部分を形成することは不要である。従って、非係合部分を形成するための後加工等を考慮すると、止着テープ基材5自体をフック部材との係合力が弱い材質のものとするのが好ましい。
【0071】
尚、この止着テープ基材5自体をフック部材との係合力が弱いものとした止着テープの具体例としては、三井化学(株)社製不織布「PK116」(目付80g/m)を止着テープ基材として、この止着テープ基材の片面に住友3M(株)社製「CS600」品番1600ppiをフック部材(雄係合片)として貼り付けたものを用いることができる。
【0072】
そして、図3に示すようにサイドフラップ3の外方の側縁近傍に外方に伸延するようにして、止着テープ基材5の取付部分5aでサイドフラップ3と接合・固定されている。そして、サイドフラップ3に取付けられた止着テープ4は、図4及び図5に示すように、サイドフラップ3の側縁部分でサイドフラップ3側に折り返されて、フック部材6が止着テープ基材5の非係合部分7aとサイドフラップ3の係合部分7bからなる係合領域7で係合してサイドフラップ3に仮止めされている。
【0073】
図4は止着テープ4をサイドフラップ3の側縁部で折り返した状態を示す拡大図であり、図5は図4のX−X'線の断面を示す断面図である。図5に示すように、折り返された止着テープ4はフック部材6が止着テープ基材5の取付部分5aと重なり、一部が取付部分5aから飛び出しており、この飛び出る部分(以下、この飛び出る部分を飛出部6aと称する)がサイドフラップ3に当接するように構成されている。この取付部分5aは係合領域7の非係合部分7aを形成し、飛出部6aが係合するサイドフラップ3は係合領域7の係合部分7bとなっている。そして、フック部材6はサイドフラップ3の係合部分7bと係合して、止着テープ4が仮止めされることになる。また、この飛出部6aが係合する係合部分7bの大きさは、フック部材全体の面積の5〜50%であるのが好ましい。5%より小さいと止着テープを仮止めできる程度の係合力が得られない。また、50%を超えると、係合される面積が大きくなりすぎて係合力が強すぎることになる。このため、仮止めされた止着テープをサイドフラップ面から剥がすのに強い力が必要となり、サイドフラップ面を破損するおそれがある。
【0074】
また、フック部材6をサイドフラップ3と当接させてサイドフラップ面と係合させるには、上記の飛出部6aが係合する係合部分7bを設ける他に止着テープ4の取付部分5aに例えば図10(a)〜図10(c)に示すような矩形、三角形等の切込部8を設けてもよい。また、図11(a)〜図11(d)に示すように絵柄、数字等の切込部8であってもよい。この切込部8は止着テープ4を取付部分5aでサイドフラップ3に取付けた際に、サイドフラップ面が切込部8で露出することになるので、この露出したサイドフラップ面にフック部材6が係合して、止着テープ4は仮止めされることになる。尚、この切込部8は図10および図11に例示したものに限定されるものではない。また、この係合は、係合部分7bと切込部8とのいずれか一方またはこれらを組合せて設けてもよい。
【0075】
上記の係合領域7におけるフック部材6の係合力は、後程説明する剥離測定法で測定した剥離力で0.3〜2.2N/25mmであるのが好ましい。0.3N/25mmより弱いと止着テープ4を仮止めできないことになる。また、2.2N/25mmより強いと係合力が強すぎて止着テープ4が剥がし難くなり、サイドフラップ3を破損するおそれがある。
【0076】
また、止着テープ4を折り返した場合に、フック部材6は取付部分5aと重なり合い止着テープ基材5に形成される非接合部分とサイドフラップ3に形成される係合部分7bとからなる係合領域7で係合することになるが、非接合部分7aにおける係合力は上記サイドフラップ3との係合力を測定したと同じ方法で測定し、その値が2.2N/25mm以下であるのが好ましい。2.2N/25mmより強いと係合部分7bで剥がれても非係合部分7aでの係合力が強いため止着テープを剥がし難くて、オムツを装着する際の作業が煩雑となる。また、止着テープを取付けている部分でサイドフラップが破損するおそれがある。
【0077】
尚、非係合部分7aと係合部分7bとから構成される係合領域7については、前述の様に止着テープ基材5の非係合部分7aとサイドフラップ3の係合部分7bからなるものに限定されない。例えば、止着テープ4を折り返した際に、フック部材6が止着テープ基材5の取付部分5aに重なり合ってサイドフラップ3に亘る場合で、サイドフラップ3側に飛び出す長さが長い場合には、図6(a)に示すように、非係合部分7aは、止着テープ基材5の取付部分5aと該取付部分5aに隣接するサイドフラップ3の部分に形成してもよい。また、図6(b)に示すように、止着テープ4を折り返した際に、フック部材6が止着テープ基材5の取付部分5aに重なり合うことなくフック部材全面がサイドフラップ3に当接するような場合には、非係合部分7aは、サイドフラップ3に形成される。この非係合部分7aは、止着テープの形状、取付け位置等により、前述したように、フック部材が係合する係合領域7において、係合部分7bがフック部材全体の5〜50%になるように適宜設定されるものである。また、非係合部分7aを形成する材料としては、前述のようにフック部材6との係合力が2.2N/25mm以下の弱い不織布、ポリエチレンフィルムやポリプロピレンフィルムなどのフィルムシート、または不織布を熱加工または超音波加工により溶融固化処理を行ったものが挙げられる。
【0078】
尚、止着テープ4として、図2ではフック部材6が止着テープ基材5の一方の側縁に取付部分5aが、他方の側縁部に掴み部分5bを形成されるようにして、取付部分5aと掴み部分5bとの間に配置されたものであったが、取付部分5aを形成する端縁から掴み部分5bに至るまでの大きさで配置してもよい。この止着テープ4をサイドフラップ3に固定し、サイドフラップ3の側縁部分で折り返した場合には、図7に示すように、フック部材6同士が重なり合い、さらにフック部材6の一部がサイドフラップ面に当接して係合されることになる。この場合もサイドフラップ面に当接するフック部材6の大きさは前述のようにフック部材が重なり合う面積の5〜50%の大きさであるのが好ましい。尚、フック部材6に取付部分5a相当位置に折り返し用スリットを設けておくと、折り返しが容易となる。
【0079】
止着テープ基材5とフック部材6との接合・固定は、ヒートシール、ソニックシール、ホットメルト接着剤等により行われている。接着に使用されるエラストマーとしては、ポリウレタン、スチレン−ブタジェン−スチレンブロック共重合体(SBS)、スチレン−ブタジェン−エチレン−スチレンブロック共重合体(SBES)、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(SIS)が適用される。
【0080】
次に、止着テープ4をサイドフラップ3に取付けた部分の第2の実施形態を図8に示す。図8は第2の実施形態の断面を示す図であって、本実施形態では、止着テープ4はサイドフラップ3の裏面(着用した際に衣服側面)の側縁近傍で、止着テープ4を折り返した際に止着テープ4のフック部材6がサイドフラップ3に対向するように上方に向け、止着テープ4の掴み部分5bがサイドフラップ3から外方(図の右手方向)に位置するようにして取付部分5aで接合されて取付けられている。
【0081】
また、止着テープ4が係合する係合領域7はサイドフラップ3に形成されている。係合領域7の非係合部分7aと係合部分7bとの割合は、前述のように係合部分7bがフック部材全体の5〜50%になるように設定されている。非係合部分を形成するものとしては、前述の如く、フック部材6との係合力が弱い不織布、ポリエチレンフィルムやポリプロピレンフィルムなどのフィルムシート、不織布を熱加工または超音波加工により溶融固化処理したもの等が挙げられる。
【0082】
そして、サイドフラップ3に取付けられた止着テープ4は、サイドフラップ3の側縁でオムツ本体2側(図の左手方向)に折り返され、止着テープ4のフック部材6が係合領域7で係合してサイドフラップ3に仮止めされている。
【0083】
次に、止着テープ4をサイドフラップ3に取付けた部分の第3の実施形態を図9に示す。図9は第3の実施形態の断面を示す図であって、本実施形態では、止着テープ4はサイドフラップ3の側縁近傍で、止着テープ4のフック部材6をサイドフラップ3に対向させ、止着テープ4の掴み部分5bがオムツ本体1(図の左手方向)に向けて延伸するようにして取付部分5aで接合されて取付けられている。
【0084】
また、止着テープ4が係合する係合領域7はサイドフラップ3に形成されている。係合領域7の非係合部分7aと係合部分7bとの割合は、前述のように係合部分7bがフック部材全体の5〜50%になるように設定されている。非係合部分を形成するものとしては、前述の如く、フック部材6との係合力が弱い不織布、ポリエチレンフィルムやポリプロピレンフィルムなどのフィルムシート、不織布を熱加工または超音波加工により溶融固化処理したもの等が挙げられる。
【0085】
<剥離測定試験>
図12に示すように、サイドフラップ及び止着テープ基材を長さ100mm×幅25mmにカットして、長さ方向を25mm間隔で印を付ける。また、フック部材(面ファスナーの雄側係合片)を25mm×25mmにカットし、止着テープ基材の端縁から25mm〜50mmの間に両面粘着テープで固定する。一方、サイドフラップは一方の側縁から25mm位置までをガムテープ等のテープを巻いて補強する。次に、フック部材がサイドフラップと向き合うようにしてサイドフラップの上側に止着テープ基材をセットし、重さ700gのローラーを用いて、止着テープ基材の上面を5mm/secの速度で往復させて、フック部材をサイドフラップと係合させて測定用試料を作成する。このようにした作成した測定用試料の止着テープ基材の一端とサイドフラップのガムテープで巻いて補強した部分とをチャックで掴んで、インストロン(INSTTRON 5564)測定機で、引張速度100mm/secで矢印の方向に剥離し(図13参照)、その時の最大荷重を求めた。
【0086】
尚、剥離試験に使用した部材は、サイドスラップは「トレダガー社製 flexAir」の不織布(目付25g/mの嵩高い不織布層と目付75g/mのエラストマー層との複合体)、フック部材は「住友3M(株)社製 CS6001600ppi」のマジックテープ(登録商標)(雄側係合片)、止着テープ基材は「三井化学(株)社製 PK116」(目付80g/mの不織布)である。
【0087】
以上の様に本発明に係る使い捨てオムツやそれに使用する止着テープに関して、例を示す図面を参照しつつ具体的に説明したが、本発明はもとより図示例に限定される訳ではなく、前記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
【0088】
【発明の効果】
トップシートと、バックシートと、これらシートに内包される吸収体とからなるオムツ本体と、該オムツ本体の長手方向端部に沿って配置される一対のサイドフラップと、各サイドフラップの側縁近傍に設けられる止着テープと、を備え、止着テープにはフック部材が設けられ、フック部材で前記止着テープとサイドフラップとが係合する使い捨てオムツにおいて、サイドフラップの止着テープが係合する領域(係合領域)は、フック部材が係合する係合部分と、フック部材が極めて弱く係合するかまたは全く係合しない非係合部分と、から構成されており、サイドフラップに取付けられた止着テープがサイドフラップ側縁でフック部材を備えた面を内側になるようにして折り返し、フック部材がサイドフラップの係合領域で係合されて、止着テープがサイドフラップに仮止めされるので、止着テープはオムツのサイドフラップ側縁から外方に飛び出て伸延していないことになる。これにより、オムツの製造過程において、製造ライン上を連続的に進んで各種部材の取付け、折り畳み等が行われる際、該止着テープが製造機械やオムツの他の部品に引っ掛かることなく円滑な製造流れを実現できる、また、オムツを製造機械に巻き込んでしまう等のおそれもない。また、フック部材が表面に現れていないので、オムツを取り扱う際に、使用者がフック部材でダメージを受けることがない。
【0089】
また、止着テープとサイドフラップの仮止めは、係合領域の係合部分で行われるので、この係合部分の割合を調整することにより係合力を調整できる。このため、サイドフラップの材質に合った係合力が設定でき、サイドフラップを破損するおそれがない。
【0090】
また、止着テープを折り返した際に、フック部材と重なり合う止着テープ基材面には、フック部材との係合力が弱い非係合部分が形成されているので、この部分での係合力も弱く、サイドフラップとフック部材の係合力と同等かそれ以下であるため、止着テープを剥離するときサイドフラップの止着テープが取付けられた近傍で破損するおそれもない。また、オムツを装着する際の取り扱いの煩雑さもない。
【0091】
また、止着テープ基材1枚を伸縮サイドスラップの内側に接合しているため、止着テープの構成、接合方法がシンプルであるために経済性および加工性に優れている。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施形態に係る使い捨てのオムツの展開平面図である。
【図2】 本発明の実施形態に係る使い捨てオムツに用いる止着テープを示す斜視図である。
【図3】 本発明の実施形態に係る使い捨てオムツにおいて、サイドフラップに止着テープを取付けた部分を示す拡大図である。
【図4】 図3において、止着テープをサイドフラップ側に折り返して仮止めした状態を示す拡大図である。
【図5】 図4のX−X'線の断面を示す断面図である。
【図6】 図5の別の実施形態を示す断面図で、(a)は係合領域が止着テープ基材とサイドフラップに亘る場合を示す図で、(b)は係合領域がサイドフラップのみにある場合を示す図ある。
【図7】 図5の別の実施形態を示す断面図で、止着テープを別の実施形態としたものを示す図である。
【図8】 本発明の実施形態に係る使い捨てオムツにおいて、止着テープをサイドフラップに取付けた部分の第2の実施形態を示す断面図である。
【図9】 本発明の実施形態に係る使い捨てオムツにおいて、止着テープをサイドフラップに取付けた部分の第3の実施形態を示す断面図である。
【図10】 本発明の実施形態に係る使い捨てオムツに用いる止着テープの第2の実施形態を示す平面図である。
【図11】 本発明の実施形態に係る使い捨てオムツに用いる止着テープのさらに別の実施形態を示す平面図である。
【図12】 剥離力測定用試料の作成法を説明する図である。
【図13】 剥離力測定試験において、剥離の方向を説明する図である。
【符号の説明】
1 使い捨てオムツ
2 オムツ本体
3 サイドフラップ
31 伸縮性シート
32 不織布
4 止着テープ
5 止着テープ基材
5a 取付部分
5b 掴み部分
6 フック部材
7 係合領域
7a 非係合部分
7b 係合部分
8 切込部

Claims (12)

  1. トップシートと、バックシートと、これらシートに内包される吸収体とからなるオムツ本体と、該オムツ本体の長手方向端部に沿って配置される一対のサイドフラップと、各サイドフラップの側縁近傍に設けられる止着テープと、を備え、前記止着テープにはフック部材が設けられ、該フック部材で前記止着テープと前記サイドフラップとが係合する使い捨てオムツにおいて、
    前記サイドフラップの前記止着テープが係合する領域(係合領域)は、前記フック部材との係合力が異なる複数種類の部分から構成されており、
    前記止着テープは、前記サイドフラップの内面側に取付けられて、前記サイドフラップ側縁で前記フック部材を備えた面を内側にして折り返され、折り返された後、前記フック部材が前記係合領域で係合して前記サイドフラップ面に仮止めされるものであり、
    前記止着テープにおける前記サイドフラップの内面側に取付けられる部分である取付部分には、切込部が設けられていることを特徴とする使い捨てオムツ。
  2. 前記サイドフラップの前記止着テープが係合する領域(係合領域)は、前記フック部材が係合する係合部分と、前記フック部材が極めて弱く係合するかまたは全く係合しない非係合部分と、から構成されていることを特徴とする請求項1に記載の使い捨てオムツ。
  3. 前記止着テープは、止着テープ基材と、該基材の表面に設けられる前記フック部材とからなり、前記止着テープ基材の一方の端部に掴み部分を有し、他方の端部に前記取付部分を有するものであることを特徴とする請求項1または2に記載の使い捨てオムツ。
  4. 前記係合領域は、前記フック部材との係合力が、0.3N/25mmから2.2N/25mmの範囲であることを特徴とする請求項1または2に記載の使い捨てオムツ。
  5. 前記非係合部分は、前記フック部材との係合力が、2.2N/25mm以下であることを特徴とする請求項2に記載の使い捨てオムツ。
  6. 前記非係合部分は、不織布で構成されるものであることを特徴とする請求項5に記載の使い捨てオムツ。
  7. 前記係合部分は、前記フック部材全体の5%から50%であることを特徴とする請求項2に記載の使い捨てオムツ。
  8. 前記止着テープのフック部材は、面ファスナーの雄側係合片であることを特徴とする請求項1から7いずれか記載の使い捨てオムツ。
  9. 前記係合領域の前記非係合部分が、止着テープかサイドフラップ面のいずれか一方または両方に形成されていることを特徴とする請求項からいずれか記載の使い捨てオムツ。
  10. 前記係合領域の前記係合部分が、サイドフラップ面に形成されていることを特徴とする請求項からいずれか記載の使い捨てオムツ。
  11. 前記止着テープ基材は、前記フック部材との係合力が2.2N/mm以下である不織布で構成されるものであることを特徴とする請求項から10いずれか記載の使い捨てオムツ。
  12. 前記サイドフラップは、伸縮性を有するシートに少なくとも身体側面に不織布を複合したものであることを特徴とする請求項1から11いずれか記載の使い捨てオムツ。
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