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JP3937647B2 - 車輌の車体速度推定装置 - Google Patents

車輌の車体速度推定装置 Download PDF

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JP3937647B2 JP11584399A JP11584399A JP3937647B2 JP 3937647 B2 JP3937647 B2 JP 3937647B2 JP 11584399 A JP11584399 A JP 11584399A JP 11584399 A JP11584399 A JP 11584399A JP 3937647 B2 JP3937647 B2 JP 3937647B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車輌の車体速度の推定に係り、更に詳細には車輪速度に基づき車体速度を推定する車体速度推定装置に係る。
【0002】
【従来の技術】
自動車等の車輌に於いて車輪の制駆動力の制御による車輌の挙動制御やアンチスキッド制御等に使用される車体速度を推定する車体速度推定装置の一つとして、例えば特開平10−138905号公報の従来技術の欄に記載されている如く、車輪速度を検出すると共に車体の前後加速度を検出し、検出された車輪速度に基づき車体速度を推定し、推定された車体速度の変化率を検出された車体の前後加速度に基づき制限することにより補正するよう構成された車体速度推定装置が従来より知られている。
【0003】
一般に、検出される車輪速度には路面の凹凸を通過する際の急激な変化成分、加減速スリップの成分、ノイズの如き誤差成分が含まれているが、上述の車体速度推定装置によれば、推定された車体速度の変化率が車体の前後加速度に基づき制限されるので、上述の如き誤差成分の影響の小さい車体速度を推定することができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし上述の如き従来の車体速度推定装置に於いては、車体の前後加速度を検出するセンサに例えば断線、ショート、比較的大きい零点オフセットの如き異常が生じ、検出された前後加速度が異常な減速度の値になると、推定された車体速度の変化率が異常な前後加速度に基づき制限されるため、推定される車体速度が異常な値になり、そのため車輌の挙動制御等が不適切に行われるという問題がある。
【0005】
尚かかる問題は、例えば車体の前後加速度が検出され、車輪速度に基づき車体速度及び車体の前後加速度が推定され、検出された車体の前後加速度に対する推定された車体の前後加速度のオフセット値が演算され、推定された車体の前後加速度及びオフセット値に基づく制限値により推定された車体速度の変化率が制限されるよう構成された上述の特開平10−138905号公報に記載された車体速度推定装置によっても完全には解消されない。
【0006】
本発明は、車輪速度及び車体の前後加速度が検出され、検出された車輪速度に基づき車体速度が推定され、推定された車体速度の変化率が検出された車体の前後加速度に基づき制限されるよう構成された従来の車体速度推定装置に於ける上述の如き問題に鑑みてなされたものであり、本発明の主要な課題は、制動操作に伴う車輌の減速度を推定し推定された減速度によっても車体速度の変化率を制限することにより、検出値が異常な減速度の値になる異常が前後加速度センサに生じた場合に車体速度が異常な値に推定される虞れを低減することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上述の主要な課題は、本発明によれば、請求項1の構成、即ち車輪速度を検出する車輪速度検出手段と、前記車輪速度検出手段により検出された車輪速度に基づき車体速度を推定する車体速度推定手段とを有する車輌の車体速度推定装置に於いて、車体の前後加速度を検出する前後加速度センサと、運転者による制動操作量を検出する手段と、制動操作量に基づき車体の減速度を推定する手段と、前記推定された車体速度の変化率を前記車体の前後加速度及び前記車体の減速度に基づき制限することにより前記推定された車体速度を補正する補正手段とを有することを特徴とする車輌の車体速度推定装置によって達成される。
【0008】
上記請求項1の構成によれば、運転者による制動操作量に基づき車体の減速度が推定され、推定された車体速度の変化率が車体の前後加速度及び車体の減速度に基づき制限されることにより推定された車体速度が補正されるので、前後加速度センサに異常が生じ、検出された車体の前後加速度が異常な減速度の値になり、推定された車体速度の変化率が車体の前後加速度により適正に制限されない状況に於いても、推定された車体速度の変化率が制動操作量に基づく車体の減速度に基づき制限され、これにより補正後の車体速度が異常な値になる虞れが低減される。
【0009】
また本発明によれば、上述の主要な課題を効果的に達成すべく、上記請求項1の構成に於いて、前記補正手段は前記推定された車体速度の増大変化率を前記車体の前後加速度に基づき制限すると共に、前記推定された車体速度の減少変化率を前記車体の前後加速度及び前記車体の減速度に基づき制限することにより前記推定された車体速度を補正するよう構成される(請求項2の構成)。
また本発明によれば、上述の主要な課題を効果的に達成すべく、上記請求項1又は2の構成に於いて、前記補正手段は前記車体の前後加速度に基づき車体速度の増大変化率を制限する値と、前記車体の前後加速度及び前記車体の減速度に基づき車体速度の減少変化率を制限する値と、前記推定された車体速度との比較結果に基づき前記推定された車体速度を補正するよう構成される(請求項3の構成)。
また本発明によれば、上述の主要な課題を効果的に達成すべく、上記請求項1乃至3の何れかの構成に於いて、前記車体の減速度に基づく制限度合は前記前後加速度センサが正常である場合に於ける前記車体の前後加速度に基づく制限度合よりも低いよう構成される(請求項の構成)。
【0010】
一般に、運転者による制動操作により生じる車体の実際の減速度は車輌の積載荷重や路面状況等の車輌の走行状況により異なるので、運転者による制動操作量に基づく車体の減速度の推定精度は正常な前後加速度センサによる減速度検出精度よりも低く、従って車体の減速度に基づく制限度合が前後加速度センサが正常である場合に於ける車体の前後加速度に基づく制限度合と同等に設定されると、車体速度の変化率が車体の減速度に基づき不必要に過剰に制限される場合が生じる。
【0011】
請求項の構成によれば、車体の減速度に基づく制限度合は前後加速度センサが正常である場合に於ける車体の前後加速度に基づく制限度合よりも低いので、前後加速度センサが正常である場合に車体速度の変化率が車体の減速度に基づき不必要に過剰に制限されることが確実に回避される。
【0012】
また本発明によれば、上述の主要な課題を効果的に達成すべく、上記請求項1乃至4の何れかの構成に於いて、前記制動操作量を検出する手段はマスタシリンダ圧力を検出するセンサであるよう構成される(請求項の構成)。
【0013】
請求項の構成によれば、制動操作量は運転者の制動操作により増減するマスタシリンダ圧力であるので、制動操作量が確実に検出され、これにより運転者の制動操作量に基づく車輌の減速度が確実に推定される。
【0014】
【課題解決手段の好ましい態様】
本発明の一つの好ましい態様によれば、上記請求項1乃至5の何れかの構成に於いて、車体速度推定手段は検出された車輪速度をフィルタ処理し、フィルタ処理後の車輪速度に基づき車体速度を推定するよう構成される(好ましい態様1)。
【0015】
本発明の他の一つの好ましい態様によれば、上記請求項1乃至の何れかの構成に於いて、検出された車体の前後加速度をGxとし、運転者による制動操作量に基づく車体の減速度をGbとし、Vwdcを正の定数として、補正手段は単位時間当たりの車体速度の減少制限量ΔVwdをGx及び−Gbのうちの大きさが小さい方の値よりVwdcを減算した値に設定することにより、推定された車体速度の減少率を車体の前後加速度Gx及び車体の減速度Gbに基づき制限するよう構成される(好ましい態様2)。
【0016】
本発明の他の一つの好ましい態様によれば、上記請求項1乃至の何れかの構成に於いて、検出された車体の前後加速度をGxとし、運転者による制動操作量に基づく車体の減速度をGbとし、Vwucを正の定数として、補正手段は単位時間当たりの車体速度の増大制限量ΔVwuをGx及び−Gbのうちの大きい方の値よりVwucを加算した値に設定することにより、推定された車体速度の増大率を車体の前後加速度Gx及び車体の減速度Gbに基づき制限するよう構成される(好ましい態様3)。
【0017】
本発明の他の一つの好ましい態様によれば、上記請求項1乃至5の何れかの構成に於いて、制動操作量に基づき車体の減速度を推定する手段は、車輌の様々な走行状況に於いて種々の制動操作量に対し生じる車体の実際の減速度よりも小さい値に車体の減速度を推定するよう構成される(好ましい態様4)。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下に添付の図を参照しつつ、本発明を好ましい実施形態について詳細に説明する。
【0019】
図1はFF(フロントエンジンフロントドライブ)車に適用された本発明による車体速度推定装置の一つの実施形態を示す概略構成図である。
【0020】
図1に於いて、10FL及び10FRはそれぞれ操舵輪であり且つ駆動輪である車輌12の左右の前輪を示し、10RL及び10RRはそれぞれ従動輪である左右の後輪を示している。各車輪にはホイールシリンダ14FL、14FR、14RL、14RRが設けられている。各車輪の制動力は制動装置16の油圧回路18によりホイールシリンダ14FR、14FL、14RR、14RLの制動圧が制御されることによって制御されるようになっている。
【0021】
尚図1には詳細に示されていないが、油圧回路18はオイルリザーバ、オイルポンプ、種々の弁装置等を含み、各ホイールシリンダの制動圧は通常時には運転者によるブレーキペダル20の踏み込み操作に応じて駆動されるマスタシリンダ22により制御され、また制動力の制御による車輌の挙動制御の如き各輪制動力の個別制御時には電子制御装置24により制御される。
【0022】
周知の如く、左右の前輪10FL及び10FRはエンジン26によりトルクコンバータ及びトランスミッション28、左右のドライブシャフト30FL及び30FRを介して回転駆動され、エンジン26は図には示されていないエンジン制御装置により制御される。
【0023】
車輪10FL〜10RRにはそれぞれ対応する車輪の回転速度Rfl、Rfr、Rrl、Rrrを検出する車輪速度センサ32FL〜32RRが設けられており、電子制御装置24には車輪速度センサ32FL〜32RRよりA/D変換器及び車輪半径に相当する定数を乗算する乗算器を含む図1には示されていない信号処理回路を経てそれぞれ車輪10FL、10FR、10RL、10RRの車輪速度(周速)Vwfl 、Vwfr 、Vwrl 、Vwrr を示す信号が入力される。
【0024】
また電子制御装置24には前後加速度センサ34より車体の前後加速度Gxを示す信号が入力されると共に、圧力センサ36よりマスタシリンダ22内の圧力Pmを示す信号が入力される。前後加速度センサ34は車輌の加速方向を正として車体の前後加速度Gxを検出する。
【0025】
尚電子制御装置24は例えば中央処理ユニット(CPU)と、リードオンリメモリ(ROM)と、ランダムアクセスメモリ(RAM)と、入出力ポート装置とを有し、これらが双方向性のコモンバスにより互いに接続された一般的な構成のマイクロコンピュータであってよい。
【0026】
電子制御装置24は後述の如く図2の車体速度演算フロー及び図には示されていない制動力制御フローを記憶しており、車輪速度センサ32FL〜32RRにより検出された回転速度に基づく各輪の車輪速度Vwi(i=fl 、fr、rl、r)に基づき後述の如く車体速度Vbを演算すると共に、車体速度Vbを基準速度として各輪の制動スリップ率を演算し、制動スリップ率が所定の範囲内にないときには当該車輪の制動スリップ率が所定の範囲内になるよう制動力を増減させるアンチスキッド制御を行う。
【0027】
また電子制御装置24は車輌の挙動が不安定であるときには各輪の制動スリップ率が車輌の挙動を安定化させるための目標スリップ率になるよう各輪の制動力を増減制御する。尚アンチスキッド制御や挙動制御のための制動力の制御自体は本発明の要旨をなすものではなく、また当技術分野に於いてよく知られているので、その詳細な説明を省略する。
【0028】
次に図2に示されたフローチャートを参照して図示の実施形態に於ける車体速度演算ルーチンについて説明する。尚図2に示されたフローチャートによる演算制御は図には示されていないイグニッションスイッチの閉成により開始され、所定の時間毎に繰返し実行される。
【0029】
まずステップ10に於いては車輪速度センサ32FL〜32RRにより検出された車輪速度Vwiを示す信号等の読込みが行われ、ステップ20に於いては例えば過去の数サイクル及び現サイクルの各車輪速度Vwiについて移動平均処理によるフィルタ処理が行われることにより、フィルタ処理後の車輪速度Vwfi(i=fl 、fr、rl、r)が演算される。
【0030】
ステップ30に於いてはフィルタ処理後の車輪速度Vwfiのうち車輌の実際の車体速度に最も近い車輪速度が補正前の車体速度としての基準車輪速度Vwcに決定される。基準車輪速度Vwcの決定方法は従来より当技術分野に於いて種々の方法が提案されており、また本発明の要旨をなすものではないので詳細な説明を省略するが、基準車輪速度Vwcは通常時には従動輪(図示の実施形態の場合には左右の後輪)の車輪速度のうちの大きい方の値に決定される。
【0031】
ステップ40に於いてはマスタシリンダ圧力Pmに基づき図3に示されたグラフに対応するマップより制動操作量に基づく車体の推定減速度Gbが演算される。尚推定減速度Gbは車輌の様々な走行状況に於いて生じる実際の車体の減速度(図3に於いてハッチングが施された領域)よりも小さく設定されている。
【0032】
ステップ50に於いてはMAX( )をかっこ内の値のうちの大きい方の値とし、Vwucを正の定数として下記の式1に従って図2に示されたフローチャートのサイクルタイム当りの車体速度の増大制限量ΔVwuが演算される。尚定数Vwucは例えば実験的に求められる。
ΔVwu=MAX(Gx,−Gb)+Vwuc ……(1)
【0033】
同様にステップ60に於いてはMIN( )をかっこ内の値のうちの大きさが小さい方の値とし、Vwdcを正の定数として下記の式2に従って図2に示されたフローチャートのサイクルタイム当りの車体速度の減少制限量ΔVwdが演算される。尚定数Vwdcも例えば実験的に求められる。
ΔVwd=MIN(Gx,−Gb)−Vwdc ……(2)
【0034】
ステップ70に於いてはMID( )をかっこ内の値のうちの中間の値とし、Vbafを前サイクルに於いて演算された変化率制限補正後の車体速度Vbaとして下記の式3に従って変化率制限補正後の車体速度Vbaが演算される。
Vba=MID(Vwc,VbafΔVwd,Vbaf+ΔVwu) ……(3)
【0035】
ステップ80に於いては変化率制限補正後の車体速度Vbaが制動力の制御に供されると共に、次のサイクルに備えてVbafに書き換えられ、しかる後ステップ10へ戻る。
【0036】
かくして図示の実施形態によれば、ステップ20に於いてフィルタ処理後の車輪速度Vwfiが演算され、ステップ30に於いてフィルタ処理後の車輪速度Vwfiのうち実際の車体速度に最も近い値が基準車輪速度(変化率制限補正前の車体速度)Vwcに決定される。
【0037】
そしてステップ40に於いてマスタシリンダ圧力Pmに基づき制動操作量に基づく車体の推定減速度Gbが演算され、ステップ50に於いて車体の前後加速度Gx及び車体の推定減速度Gbに基づき車体速度の増大制限量ΔVwuが演算され、ステップ60に於いて車体の前後加速度Gx及び車体の推定減速度Gbに基づき車体速度の減少制限量ΔVwdが演算され、ステップ70に於いてVwc、VbafΔVwd、Vbaf+ΔVwuのうちの中間の値として変化率制限補正後の車体速度Vbaが演算される。
【0038】
従って図示の実施形態によれば、車体速度Vbaの変化率は車体の前後加速度Gx及び車体の推定減速度Gbの両者により制限され、特に車体の推定減速度Gbによる制限は車体の前後加速度Gxによる制限に対しガードとして機能するので、前後加速度センサ34に異常が生じ、前後加速度センサにより検出された車体の前後加速度Gxが負の非常に小さい値(非常に大きい減速度の値)になった場合には、車体速度Vbaの変化率は異常な前後加速度Gxにより制限されるのではなく車体の推定減速度Gbにより制限される。
【0039】
従って実際の車体速度が急激に低下していないにも拘わらず車輪速度にノイズの如き誤差成分が重畳することにより補正前の車体速度Vwcが急激に低下しても、補正後の車体速度Vbaが急激に低下することを防止することができ、これにより前後加速度センサ34に異常が生じた状況に於いて補正後の車体速度Vbaが実際の車体速度よりも異常に小さい値になること及びこれに起因して不適切な制動力の制御が行われることを防止することができる。
【0040】
特に図示の実施形態によれば、推定減速度Gbは車輌の様々な走行状況に於いて種々のマスタシリンダ圧力Pmに対し生じる実際の車体の減速度よりも小さく演算され、従って車体の推定減速度Gbに基づく制限度合は前後加速度センサ34が正常である場合に於ける車体の前後加速度Gxに基づく制限度合よりも低いので、前後加速度センサ34が正常である場合に推定車体速度Vbの変化率が車体の推定減速度Gbに基づき不必要に過剰に制限されることを確実に回避することができる。
【0041】
また例えば前後加速度センサが車輌の前後方向に対し誤って逆方向にて車輌に組み付けられた場合には、車輌が実際に加速状態にある状況に於いて前後加速度Gxは負の値になるので、車体速度の増大制限量ΔVwuがGx+Vwucに演算される場合には、車輌が加速し実際の車体速度が増大しているにも拘わらず増大制限量ΔVwuが正の非常に小さい値又は負の値になり、推定される車体速度Vbの増大が不必要に抑制され又は阻止されてしまう。
【0042】
これに対し図示の実施形態によれば、車体速度の増大制限量ΔVwuはステップ50に於いて上記式1に従って演算され、推定減速度Gbが0であることによりMAX(Gx,−Gb)も0になるので、上述の如き状況に於いて増大制限量ΔVwuが正の非常に小さい値又は負の値になることを回避し、これにより推定される車体速度Vbの増大が不必要に抑制され又は阻止されることを防止することができる。
【0043】
また車体速度の増大制限量ΔVwuがGx+Vwucに演算される場合には、図4に示されている如く、車輌100が比較的勾配が大きい坂道102を登坂走行している際に比較的小さい加速度にて増速し、車輌100に作用する重力の車輌後方への成分Giの大きさが車輌の実際の前後加速度Gxaよりも大きく、検出される前後加速度Gxが負の値になる状況に於いても、車輌が加速し実際の車体速度が増大しているにも拘わらず増大制限量ΔVwuが正の非常に小さい値又は負の値になり、推定される車体速度Vbの増大が不必要に抑制され又は阻止されてしまう。
【0044】
これに対し図示の実施形態によれば、車体速度の増大制限量ΔVwuは上記式1に従って演算され、推定減速度Gbが0であることによりMAX(Gx,−Gb)も0になるので、上述の如き登坂状況に於いても増大制限量ΔVwuが正の非常に小さい値又は負の値になることを回避し、これにより推定される車体速度Vbの増大が不必要に抑制され又は阻止されることを防止することができる。
【0045】
また図5に示されている如く、車輌100が比較的勾配が大きい坂道102を降坂走行している際に制動により減速され、車輌100に作用する重力の車輌前方への成分Giが車輌の実際の前後加速度Gxa(負の値)の大きさと同一又はこれよりも大きく、検出される前後加速度Gxが0又は正の値になる状況に於いても、車輌が減速し実際の車体速度が減少しているにも拘わらず車体速度の減少制限量ΔVwdが0又は正の値になり、推定される車体速度Vbの減少が不必要に抑制され又は阻止されてしまう。
【0046】
これに対し図示の実施形態によれば、車体速度の減少制限量ΔVwdはステップ60に於いて上記式2に従って演算され、推定減速度Gbがある大きさの正の値であることによりMIN(Gx,−Gb)は負の値になるので、上述の如き降坂状況に於いて減少制限量ΔVwdが0又は正の値になることを回避し、これにより推定される車体速度Vbの減少が不必要に抑制され又は阻止されることを防止することができる。
【0047】
以上に於いては本発明を特定の実施形態について詳細に説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内にて他の種々の実施形態が可能であることは当業者にとって明らかであろう。
【0048】
例えば上述の実施形態に於いては、フィルタ処理は移動平均処理であるが、車体速度の推定に使用される車輪速度の値の急激な変化を抑制することができる限り、例えばローパスフィルタ処理やバターワースフィルタ処理の如き当技術分野に於いて公知の任意のフィルタ処理であってよい。
【0049】
また上述の実施形態に於いては、運転者による制動操作量としてマスタシリンダ圧力Pmが検出されるようになっているが、制動操作量としてブレーキペダル20の踏力若しくは踏み込みストロークが検出されてもよく、また制動操作量はマスタシリンダ圧力Pm又は踏力及び踏み込みストロークに基づき推定されてもよい。
【0050】
また上述の実施形態に於いては、アンチスキッド制御が行われているか否かに拘わらず車体の推定減速度Gbはマスタシリンダ圧力Pmに基づき演算されるようになっているが、上記式1及び2に於けるGbがK・Gbに置き換えられ、係数Kが0よりも大きく1以下の範囲内にてアンチスキッド制御が行われている車輪の数が多いほど小さい値になるよう可変設定されるよう修正されてもよい。
【0051】
また上述の実施形態に於いては、車体の加速度は推定されないようになっているが、例えばオートマチックトランスミッションがロックアップ中であるときにはエンジン回転数及びスロットル開度に基づき演算されるエンジンの出力トルクに基づき、またオートマチックトランスミッションがロックアップ中でないときにはエンジン回転数及びトルクコンバータの出力回転数に基づき演算されるトルクコンバータの出力トルクに基づき車輌の推定前後加速度Gxeが演算され、車体速度の増大制限量ΔVwuを演算する上述の式2が下記の式4に置き換えられてもよい。
ΔVwu=MAX(Gx,Gxe)+Vwuc ……(4)
【0052】
また上述の実施形態に於いては、車体速度の増大制限量ΔVwu及び減少制限量ΔVwdの演算に於いては前後加速度センサ34により検出された車体の前後加速度Gxがそのまま使用されるようになっているが、例えば前述の特開平10−138905号公報に記載されている如く、車輪速度の微分値に基づき車体の推定前後加速度Gxaが演算され、GxとGxwとの偏差に基づきGxが補正され、かくして補正された後の前後加速度に基づき増大制限量ΔVwu及び減少制限量ΔVwdが演算されるよう修正されてもよい。
【0053】
更に上述の実施形態に於いては、車輌はFF車であるが、本発明の車体速度推定装置が適用される車輌はFR(フロントエンジンリヤドライブ)車や4WD車であってもよい。
【0054】
【発明の効果】
以上の説明より明らかである如く、本発明の請求項1の構成によれば、前後加速度センサに異常が生じ、検出された車体の前後加速度が異常な値になり、推定された車体速度の変化率が車体の前後加速度により適正に制限されない状況に於いても、推定された車体速度の変化率が制動操作量に基づく車体の減速度に基づき制限されるので、補正後の車体速度が異常な値になる虞れを低減することができる。
また請求項2の構成によれば、推定された車体速度の増大変化率を車体の前後加速度に基づき制限すると共に、推定された車体速度の減少変化率を車体の前後加速度及び車体の減速度に基づき制限することにより推定された車体速度が補正されるので、補正後の車体速度が異常な値になる虞れを確実に低減することができる。
また請求項3の構成によれば、車体の前後加速度に基づき車体速度の増大変化率を制限する値と、車体の前後加速度及び車体の減速度に基づき車体速度の減少変化率を制限する値と、推定された車体速度との比較結果に基づき推定された車体速度が補正されるので、補正後の車体速度が異常な値になる虞れを確実に低減することができる。
【0055】
また請求項の構成によれば、車体の減速度に基づく制限度合は前後加速度センサが正常である場合に於ける車体の前後加速度に基づく制限度合よりも低いので、前後加速度センサが正常である場合に推定された車体速度の変化率が車体の減速度に基づき不必要に過剰に制限されることを確実に回避することができる。
【0056】
また請求項の構成によれば、制動操作量は運転者の制動操作により増減するマスタシリンダ圧力であるので、制動操作量を確実に検出し、これにより運転者の制動操作量に基づく車輌の減速度を確実に推定することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】FF車に適用された本発明による車体速度推定装置の一つの実施形態を示す概略構成図である。
【図2】実施形態の車体速度演算制御ルーチンを示すフローチャートである。
【図3】マスタシリンダ圧力Pmと車輌の推定減速度Gbとの間の関係を示すグラフである。
【図4】車輌が比較的勾配が大きい坂道を登坂走行している際に比較的小さい加速度にて増速する状況を示す説明図である。
【図5】車輌が比較的勾配が大きい坂道を降坂走行している際に制動により減速される状況を示す説明図である。
【符号の説明】
14FL〜14RR…ホイールシリンダ
18…油圧制御回路
20…ブレーキペダル
24…電子制御装置
26…エンジン
32FL〜32RR…車輪速度センサ
34…前後加速度センサ
36…圧力センサ

Claims (5)

  1. 車輪速度を検出する車輪速度検出手段と、前記車輪速度検出手段により検出された車輪速度に基づき車体速度を推定する車体速度推定手段とを有する車輌の車体速度推定装置に於いて、車体の前後加速度を検出する前後加速度センサと、運転者による制動操作量を検出する手段と、制動操作量に基づき車体の減速度を推定する手段と、前記推定された車体速度の変化率を前記車体の前後加速度及び前記車体の減速度に基づき制限することにより前記推定された車体速度を補正する補正手段とを有することを特徴とする車輌の車体速度推定装置。
  2. 前記補正手段は前記推定された車体速度の増大変化率を前記車体の前後加速度に基づき制限すると共に、前記推定された車体速度の減少変化率を前記車体の前後加速度及び前記車体の減速度に基づき制限することにより前記推定された車体速度を補正することを特徴とする請求項1に記載の車輌の車体速度推定装置。
  3. 前記補正手段は前記車体の前後加速度に基づき車体速度の増大変化率を制限する値と、前記車体の前後加速度及び前記車体の減速度に基づき車体速度の減少変化率を制限する値と、前記推定された車体速度との比較結果に基づき前記推定された車体速度を補正することを特徴とする請求項1又は2に記載の車輌の車体速度推定装置。
  4. 前記車体の減速度に基づく制限度合は前記前後加速度センサが正常である場合に於ける前記車体の前後加速度に基づく制限度合よりも低いことを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の車輌の車体速度推定装置。
  5. 前記制動操作量を検出する手段はマスタシリンダ圧力を検出するセンサであることを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の車輌の車体速度推定装置。
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