JP3931672B2 - 車両用空調装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、車室内の計器盤下方部のうち、車両左右方向の略中央部に配置される空調ユニットと、計器盤左右方向の中央部上方側に配置されたセンタフェイス吹出口と、計器盤左右両端部に配置されたサイドフェイス吹出口とを有する車両用空調装置における空気配風構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来技術として、例えば特開平10−166838号公報に開示された車両用空調装置がある。この車両用空調装置は、計器盤部のセンタフェイス吹出口に接続されるセンタフェイス開口部と、計器盤部のサイドフェイス吹出口に接続されるサイドフェイス開口部と、乗員足元のフット吹出口に接続されるフット開口部と、車両前面窓ガラスに向けて風を吹き出すデフロスタ吹出口に接続されるデフロスタ開口部とを備えている。
【0003】
そして、空調ユニットの吹出モード切換機構簡素化のために、センタフェイス開口部とフット開口部とを隣接して設け、このセンタフェイス開口部とフット開口部への空気の流れを1枚のフットフェイス切換用ドアにより制御し、このセンタフェイス開口部とフット開口部の両方に通じるフットフェイス共通の空気通路とデフロスタ開口部への空気流れを1枚のデフロスタドアにより制御すると共に、デフロスタドアの回転軸の周囲に空間を形成し、この空間をサイドフェイス開口部に連通するようにした空調ユニットのレイアウト構成が考えられている。
【0004】
そして、このレイアウト構成では、空調ケースの上面部の各開口部の配置は図9に示すような構成が提案されている。図9において、1が空調ユニット、11が空調ケース、20がデフロスタ開口部、21aがデフロスタドアの回転軸、22がセンタフェイス開口部、30がサイドフェイス開口部である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
近年、図10に示すように、車両の計器盤左右方向中央部の上方側に、ナビゲーションシステムのモニターMやセンターメータとして計器盤そのものが配置される場合が多くなってきた。
【0006】
しかし、これは空調ユニット1の上方に当たるため、先のような各開口部の配置を持つ従来の車両用空調装置では、図10に示すように、モニターMとサイドフェイスダクト5との間を縫ってセンタフェイスダクト4を取り廻すような構成となり、両ダクト4、5とも形状が複雑となり充分な通路面積を取れないことより吹出風量が低下したり送風騒音が大きくなるという問題点がある。または、その問題を回避して送風性能を確保しようとすると、ダクト部が車両上下方向に大型化するという問題点がある。
【0007】
本発明は、上記の問題点に鑑みて成されたものであり、その目的は、ダクト部を車両上下方向に大型化することなくセンタフェイス吹出口及びサイドフェイス吹出口への送風性能を確保することのできる車両用空調装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明では以下の技術的手段を採用する。
【0011】
請求項1に記載の発明では、空調ケース(11)の車両左右方向略中央部にサイドフェイス開口部(30)を配置すると共に、そのサイドフェイス開口部(30)に対して車両左右方向外側にセンタフェイス開口部(22)を配置するとともに、
空調ケース(11)に、センタフェイス開口部(22)及びサイドフェイス開口部(30)以外の他の開口部(20)と、温度調整手段(16)により温度調整された後の空調空気が流れる部位に配置され、センタフェイス開口部(22)及びサイドフェイス開口部(30)と他の開口部(20)とを選択的に開閉する吹出モード切換手段(21)とを設け、吹出モード切換手段(21)は、センタフェイス開口部(22)及びサイドフェイス開口部(30)と他の開口部(20)との間に設けられた回転軸(21a)を有し、空調ケース(11)にて回転軸(21a)の周囲に温度調整手段(16)により温度調整された後の空調空気が常時流入し得る空間(26)を形成すると共に、この空間(26)をサイドフェイス開口部(30)に連通させたことを特徴とする。
【0012】
これにより、吹出モード切換手段(21)が、センタフェイス開口部(22)及びサイドフェイス開口部(30)に通じる第1入口穴(23)と他の開口部(20)に通じる第2入口穴(20a)とのいずれかを閉じている場合及びいずれも開いている場合にも、サイドフェイス開口部(30)は温度調整手段(16)により温度調整された後の空調空気が流れる部位に連通しており、サイドフェイス吹出口に空調空気を送ることができる。すなわち、吹出モードに関係なく、常時サイドフェイス吹出口へ空調空気を送風することができる。
【0013】
因みに、上記各手段に付した括弧内の符号は、後述する実施形態記載の具体的手段との対応関係を示す一例である。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図に基づいて説明する。
【0015】
(第1の実施形態)
図1は本発明の第1の実施形態における空調ユニット1の断面図で、デフロスタ吹出モードの状態を示し、図2は図1の空調ユニット1の上面図である。また、図3は本発明の空調ユニット1に各吹出ダクト3〜6を取り付けた状態を示す斜視図である。
【0016】
本実施形態の車両用空調装置の通風系は、大別して、空調ユニット1と送風機ユニット2との2つの部分に分かれている(図3参照)。送風機ユニット2は車室内の計器盤下方部のうち、中央部から助手席側へオフセットして配置されており、これに対し、空調ユニット1は車室内の計器盤下方部のうち、左右方向の略中央部に配置されている。
【0017】
送風機ユニット2は周知のごとくは内気(車室内空気)と外気(車室外空気)とを切換導入する内外気切換箱と、この内外気切換箱から導入される空気を送風する送風機とから構成されている。この送風機は周知の遠心多翼ファン(シロッコファン)を電動モータにて回転駆動するものである。空調ユニット1は、1つの共通の空調ケース11内に蒸発器(冷房用熱交換器)12とヒータコア(暖房用熱交換器)13を両方とも一体的に内蔵するタイプのものである。
【0018】
空調ケース11はポリプロピレンのような、ある程度弾性を有し、強度的にも優れた樹脂の成形品からなり、図1の上下方向(車両上下方向)に分割面を有する左右2分割のケースからなる。この左右2分割のケースは、上記熱交換器12、13、後述のドア等の機器を収納した後に、金属バネクリップ、ネジ等の締結手段により一体に結合されて空調ケース11を構成する。
【0019】
空調ユニット1は、車室内の計器盤下方部の略中央部に、車両の前後及び上下方向に対して、図1に示す形態で配置され、そして、空調ケース11の、最も車両前方部の部位には、空気流入口14が配設されており、この空気流入口14には、前述の送風機ユニット2から送風される空調空気が流入する。この空気流入口14は助手席前方の部位に配置される送風機ユニット2の空気出口部に接続するために、空調ケース11のうち、助手席側の側面に開口している。
【0020】
空調ケース11内において、空気流入口14直後の部位に蒸発器12が空気通路の全域を横切るように配置されている。この蒸発器12は周知のごとく冷凍サイクルの冷媒の蒸発潜熱を空調空気から吸収して、空調空気を冷却するものである。ここで、蒸発器12は図1に示すように、車両前後方向には薄型で、車両上下方向に長手方向が向く形態で空調ケース11内に設置されている。
【0021】
また、蒸発器12は周知の積層型のものであって、アルミニウム等の金属薄板を2枚張り合わせて構成した偏平チューブをコルゲートフィンを介在して多数積層配置し、一体ろう付けしたものである。そして、蒸発器12の空気流れ下流側(車両後方側)に、所定の間隔を開けてヒータコア13が隣接配置されている。
【0022】
このヒータコア13は、蒸発器12を通過した冷風を再加熱するものであって、その内部に高温のエンジン冷却水(温水)が流れ、この冷却水を熱源として空気を加熱するものである。このヒータコア13も蒸発器12と同様に、車両前後方向には薄型で、車両上下方向に長手方向が向く形態で空調ケース11内に設置されている。
【0023】
また、ヒータコア13は周知のものであって、アルミニウム等の金属薄板を溶接等により断面偏平状に接合してなる偏平チューブをコルゲートフィンを介在して多数積層配置し、一体ろう付けしたものである。また、空調ケース11内で、ヒータコア13の上方部位には、このヒータコア13をバイパスして空気(冷風)が流れる冷風バイパス通路15が形成されている。
【0024】
空調ケース11内で、ヒータコア13と蒸発器12との間には、ヒータコア13で加熱される温風とヒータコア13をバイパスする冷風(すなわち、冷風バイパス通路15を流れる冷風)との風量割合を調整する平板状のエアミックスドア16が配置されている。ここで、エアミックスドア16は、水平方向に配置された回転軸16aと一体に結合されており、この回転軸16aと共に車両上下方向に回動可能になっている。
【0025】
このエアミックスドア16は上記風量割合の調整により空気温度を調整する温度調整手段を成す。回転軸16aは、空調ケース11に回動自在に支持され、かつ回転軸16aの一端部は空調ケース11の外部に突出して、図示しないリンク機構に結合されて、空調装置の温度制御機構(サーボモータのようなアクチュエータ等)により回動操作されるようになっている。
【0026】
そして、空調ケース11内において、ヒータコア13の空気下流側(車両後方側の部位)には、ヒータコア13との間に所定間隔を開けて上下方向に延びる壁面17が空調ケース11に一体成形されている。この壁面17によりヒータコア13の直後から上方に向かう温風通路18が形成され、この温風通路18の下流側(上方側)はヒータコア13の上方部において冷風バイパス通路15と合流し、冷風と温風の混合を行う冷温風混合空間19を形成している。
【0027】
空調ケース11の上面部において、車両前方側の部位にはデフロスタ開口部20が開口している。このデフロスタ開口部20は冷温風混合空間19から温度制御された空調空気が第2入口穴である入口穴20aを通って流入するものであって、デフロスタダクト3を介してデフロスタ吹出口に接続され、この吹出口から、車両前面窓ガラスの内面に向けて風を吹き出す。
【0028】
空調ケース11内には、第1入口穴である入口穴23が形成され、この入口穴23の下流に形成された空間に、センタフェイス開口部22、サイドフェイス開口部30と入口穴24aとが形成されている。そして、入口穴20aと入口穴23とは、デフロスタドア21によって選択的に開閉される。すなわち、デフロスタ開口部20と入口穴23はデフロスタドア21によって開閉される。このデフロスタドア21は、空調ケース11に回動可能に支持された回転軸21aと、この回転軸21aに設けられた板部21bとにより構成される。
【0029】
また、入口穴24aの下流側にフット開口部24が設けられている。そして、センタフェイス開口部22、サイドフェイス開口部30と入口穴24aとは、フットフェイス切換用ドア25によって選択的に開閉される。すなわち、センタフェイス開口部22、サイドフェイス開口部30とフット開口部24とはフットフェイス切換用ドア25によって開閉される。このフットフェイス切換用ドア25は、空調ケース11に回動可能に支持された回転軸25aと、この回転軸25aに設けられた板部25bとにより構成される。
【0030】
デフロスタドア21とフットフェイス切換用ドア25は、吹出モード切換用のドア手段であって、図示しないリンク機構に連結されて、吹出モード切換機構(サーボモータのようなアクチュエータ)により連動操作されるようになっている。
【0031】
センタフェイス開口部22とサイドフェイス開口部30は、右側用(R、運転席側用)と左側用(L、助手席側用)とに分けられている。また、本実施形態の特徴として、サイドフェイス開口部30をユニットの中央部に設け、その車両左右方向両外にセンタフェイス開口部22を配置している(図2参照)。
【0032】
そして、センタフェイス開口部22はセンタフェイスダクト4を介し、計器盤左右方向の中央部上方側に配置されているセンタフェイス吹出口に接続され、この吹出口から車室内中央部の乗員頭部に向けて風を吹き出す(図3参照)。
【0033】
また、サイドフェイス開口部30はサイドフェイスダクト5を介し、計器盤左右両端部の上方側に配置されているサイドフェイス吹出口に接続され、この吹出口から車室内左右両側部の乗員頭部側または車両側面窓ガラスに向けて風を吹き出す。
【0034】
サイドフェイス吹出口は周知なごとく手動操作される風向変更装置を備えており、この風向き変更装置の風向板の方向の調整により、吹出空気を車室内左右両側部の乗員頭部側または車両側面窓ガラスに向けて風を吹き出すことが可能になっている。また、フット開口部24はフットダクト6を介してフット吹出口に接続され、このフット吹出口から乗員足元に温風を吹き出す。
【0035】
尚、上述した各ドア16、21、25は、いずれも各回転軸16a、21a、25a及び各回転軸16a、21a、25aと一体に結合された各板部16b、21b、25bを有する。この各回転軸16a、21a、25aは長さが略同一である。また各板部16b、21b、25bは、樹脂または金属製のドア基板を有し、この基板の表裏両面にウレタンフォームのような弾性シール材を貼着した構造である。
【0036】
次に、上記構成において本実施形態の作動を説明する。車両用空調装置は、周知のように、空調操作パネルに設けられた各種操作部材からの操作信号及び空調制御用の各種センサからのセンサ信号が入力される電子制御装置(図示せず)を備えており、この制御装置の出力信号により各ドア16、21、25の位置が制御される。
【0037】
図1はデフロスタ吹出モードが設定された状態を示しており、デフロスタドア21によりデフロスタ開口部20のみが開放され、センタフェイス開口部22、サイドフェイス開口部30、フット開口部24に連通する入口穴23は閉塞される。従って、送風機ユニット2からの送風空気は主にデフロスタ開口部20を通って車両前面窓ガラスに向かって吹き出され、前面窓ガラスの曇り止めを行う。
【0038】
図1のデフロスタ吹出モードでは、エアミックスドア16は最大暖房位置に操作された状態を示しているが、エアミックスドア16をこの最大暖房位置から最大冷房側へ回動操作することにより、吹出空気温度を任意に調整できる。
【0039】
次に図7は、フット吹出モードが設定された状態を示す。尚、図7は後述する第2実施形態を示すものであり空調レース11の形状が図1と一部異なっているが、ドア類の作動は同じであるため、この図を用いて説明する。
【0040】
フットフェイス切換用ドア25は、センタフェイス開口部22及びサイドフェイス開口部30を閉塞する。一方、デフロスタドア21は入口穴20aの開度を絞り、入口穴23の開度を大きくする位置に操作される。これにより、フット開口部24の入口穴24aが大きく開放されると共に、デフロスタ開口部20がわずかに開放される。従って、窓ガラスの曇り止めを行いながら、乗員足元への温風吹出による暖房作用を行うことができる。
【0041】
また、上記したフット吹出モードの状態からデフロスタドア21を所定量だけ反時計方向に回動操作して、入口穴20aの開度を大きくすると共に、入口穴23の開度を小さくすることにより、デフロスタ開口部20への吹出風量を増加して、フット開口部24への吹出風量を減少することができ、フットデフロスタ吹出モードが得られる。
【0042】
次に図8は、フェイス吹出モードが設定された状態を示す。尚、図8も後述する第2実施形態を示すものであり空調レース11の形状が図1と一部異なっているが、ドア類の作動は同じであるため、この図を用いて説明する。
【0043】
デフロスタドア21は、デフロスタ開口部20への入口穴20aを閉塞する。フットフェイス切換用ドア25は、フット開口部24への入口穴24aを閉塞して、センタフェイス開口部22、サイドフェイス開口部30を開放する。従って、送風空気はセンタフェイス開口部22、サイドフェイス開口部30を通ってセンタフェイス吹出口、サイドフェイス吹出口から乗員頭部に向かって吹き出される。
【0044】
また、上記したフェイス吹出モードの状態からフットフェイス切換用ドア25を所定量だけ時計方向に回動操作して、センタフェイス開口部22、サイドフェイス開口部30とフット開口部24への入口穴24aとの中間位置とする。更に、エアミックスドア16は最大冷房位置と最大暖房位置の中間位置に操作する。
【0045】
この状態では、送風機ユニット2からの送風空気が空気流入口14より空調ユニット1内に流入し、蒸発器12にて冷却されて冷風となる。そして、この冷風がエアミックスドア16により冷風バイパス通路15を流れる部分とヒータコア13で再加熱される部分とに振り分けられる。
【0046】
そして、ヒータコア13で加熱された温風は温風通路18を上昇した後に、冷温風混合空間19に向かう。冷温風混合空間19では、冷風バイパス通路15からの冷風と温風通路18からの温風とが混合されるが、冷風は主にフェイス開口部22、30側に流れ、温風は主にフット開口部24側に流れる。
【0047】
これにより、フット開口部24側へ向かう空気の温度よりも、フェイス開口部22、30へ向かう空気の温度が低くなる。その結果、乗員の頭部に吹き出される吹出空気温度が乗員の足元に吹き出される吹出空気温度より低くなり、バイレベル吹出モードとして頭寒足熱型の快適な温度分布が得られる。
【0048】
次に、本実施形態での特徴構成と、それによる効果を説明する。
【0049】
空調ケース11の車両左右方向略中央部にサイドフェイス開口部30を配置すると共に、そのサイドフェイス開口部30に対して車両左右方向外側にセンタフェイス開口部22を配置している。
【0050】
これにより、図3に示すように、センタフェイスダクト4及びサイドフェイスダクト5を素直な経路で取り廻すことができるようになることから、ダクト形状が簡単となり、車両上下方向に大型化することなく充分な通路面積を確保でき、センタフェイス吹出口及びサイドフェイス吹出口への送風性能を充分に確保することができる。
【0051】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態について図4ないし図8に基づいて説明する。図4は空調ユニット1の断面図で、デフロスタ吹出モードの状態を示し、図5は図4の空調ユニット1の上面図である。
【0052】
図1ないし図3の第1実施形態と異なる点として、空調ケース11にてデフロスタドア21の回転軸21aの周囲に、エアミックスドア16により温度調整された後の空調空気が常時流入し得る空間26を形成している(図4参照)。そして、更に空調ケース11に連通部として切欠部30aを設けることにより、この空間26をサイドフェイス開口部30に連通させている(図5参照)。
【0053】
これにより、吹出モードに関係なく、常時サイドフェイス開口部30へ空調空気を送風することができ、図示しないサイドフェイス吹出口から乗員頭部側または車両側面窓ガラスに向けて風を吹き出す。
【0054】
図6はこの第2実施形態におけるデフロスタドア21の正面図である。図に示すように、デフロスタドア21は板部21bの回転軸21a側両端に空気通過部である切欠21cを設けた構造となっている。
【0055】
これは、図4のようにデフロスタ吹出モード時で、デフロスタドア21によりデフロスタ開口部20のみが開放され、センタフェイス開口部22、サイドフェイス開口部30、フット開口部24に連通する入口穴23が閉塞された場合、空調空気は回転軸21a周りを経由して先の空間26へ吹き出されるが(図4中の実線矢印)、切欠21cを設けることにより充分な風量が確保される(図4中の白抜き矢印)。
【0056】
図7はフット吹出モードの状態を示し、図8はフェイス吹出モードの状態を示す。各ドアの動きは第1実施形態で説明した通りであり、いずれの吹出モードであっても空間26を通してサイドフェイス開口部30へ空調空気が送風される。
【0057】
尚、図8のフェイス吹出モードにおいて、デフロスタドア21によりデフロスタ開口部20への入口孔20aを閉塞する場合、デフロスタドア21に設けた切欠21cの部分は、対応するように入口孔20a内に設けた突出部20bにて閉塞されるようになっている。また、その他の部分については第1実施形態と同じであり、その説明を省略する。
【0058】
次に、本実施形態での特徴構成と、それによる効果を説明する。
【0059】
空調ケース11に、センタフェイス開口部22及びサイドフェイス開口部30以外のデフロスタ開口部(他の開口部)20と、エアミックスドア16により温度調整された後の空調空気が流れる部位に配置され、センタフェイス開口部22及びサイドフェイス開口部30とデフロスタ開口部20とを選択的に開閉するデフロスタドア21とを設け、デフロスタドア21は、センタフェイス開口部22及びサイドフェイス開口部30と他のデフロスタ開口部20との間に設けられた回転軸21aを有し、空調ケース11にて回転軸21aの周囲にエアミックスドア16により温度調整された後の空調空気が常時流入し得る空間26を形成すると共に、この空間26を、同じく空調ケース11に設けた切欠孔30aからサイドフェイス開口部30に連通させている。
【0060】
これにより、デフロスタドア21が、センタフェイス開口部22及びサイドフェイス開口部30に通じる入口穴23とデフロスタ開口部20に通じる入口穴20aとのいずれかを閉じている場合、及びいずれも開いている場合にも、サイドフェイス開口部30はエアミックスドア16により温度調整された後の空調空気が流れる部位に連通しており、サイドフェイス吹出口に空調空気を送ることができる。すなわち、吹出モードに関係なく、常時サイドフェイス吹出口へ空調空気を送風することができる。
【0061】
(その他の実施形態)
上記各実施形態では、空調ユニット1の車両前後、左右、上下方向を規定したが、これに限らず、他の向きであってもよい。また,上記各実施形態では、左右のサイドフェイス開口部30のそれぞれの開口面積を略同一としたが、風量配分のためそれぞれの開口面積が異なる構成であってもよい。また、上記実施形態では、デフロスタドア21の切欠21cは矩形であったが、これに限らず、空気が通過するものであれば三角形や丸穴等の他の形状であってもよい。
【0062】
また、上記各実施形態では、各ドア16、21、25の操作をリンク機構を介してサーボモータのようなアクチュエータにより行う場合について説明したが、空調操作パネルに設けられた温度制御レバー、吹出モードレバー等の手動操作部材に加えられる手動操作力にて、操作ケーブル等を介して上記各ドアを操作するようにしてもよい。
【0063】
また、上記各実施形態では、空調ユニット1内に蒸発器(冷房用熱交換器)12を配設しないタイプの空調装置にも同様に本発明を適用できることはもちろんである。また、上記各実施形態では、フット開口部24として、前席側への温風吹出用の他に後席用のフット開口部を追加設置して、車室内の後席側の乗員足元にも温風を吹き出すようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態における空調ユニット部の断面図で、デフロスタ吹出モードの状態を示す。
【図2】図1の空調ユニット部の上面図である。
【図3】本発明の空調ユニット部に各吹出ダクトを取り付けた状態を示す斜視図である。
【図4】本発明の第2の実施形態における空調ユニット部の断面図で、デフロスタ吹出モードの状態を示す。
【図5】図4の空調ユニット部の上面図である。
【図6】本発明の第2の実施形態におけるデフロスタドアの正面図である。
【図7】図4の空調ユニット部のフット吹出モードの状態を示す要部断面図である。
【図8】図4の空調ユニット部のフェイス吹出モードの状態を示す要部断面図である。
【図9】従来技術における空調ユニット部の上面図である。
【図10】従来技術における空調ユニット部に各吹出ダクトを取り付けた状態を示す斜視図である。
【符号の説明】
11 空調ケース
13 ヒータコア(暖房用熱交換器)
16 エアミックスドア(温度調整手段)
20 デフロスタ開口部(他の開口部)
21 デフロスタドア(吹出モード切換手段)
21a 回転軸
22 センタフェイス開口部
26 空間
30 サイドフェイス開口部
Claims (1)
- 車室内の計器盤下方部のうち、車両左右方向の略中央部に配置される空調ケース(11)と、
前記空調ケース(11)内に設けられ、空調空気を加熱する暖房用熱交換器(13)と、
この暖房用熱交換器(13)による空調空気の加熱量を調整して空気温度を調整する温度調整手段(16)と、
前記空調ケース(11)に設けられ、車室内中央部から乗員頭部側に向けて風を吹き出すセンタフェイス吹出口に接続されるセンタフェイス開口部(22)と、
前記空調ケース(11)に設けられ、車室内左右両端部から乗員頭部側及び車両側面窓ガラスに向けて風を吹き出すサイドフェイス吹出口に接続されるサイドフェイス開口部(30)とを備えた車両用空調装置において、
前記空調ケース(11)の車両左右方向略中央部に前記サイドフェイス開口部(30)を配置すると共に、その前記サイドフェイス開口部(30)に対して車両左右方向外側に前記センタフェイス開口部(22)を配置するとともに、
前記空調ケース(11)に、前記センタフェイス開口部(22)及び前記サイドフェイス開口部(30)以外の他の開口部(20)と、
前記温度調整手段(16)により温度調整された後の空調空気が流れる部位に配置され、前記センタフェイス開口部(22)及び前記サイドフェイス開口部(30)と前記他の開口部(20)とを選択的に開閉する吹出モード切換手段(21)とを設け、
前記吹出モード切換手段(21)は、前記センタフェイス開口部(22)及び前記サイドフェイス開口部(30)と前記他の開口部(20)との間に設けられた回転軸(21a)を有し、前記空調ケース(11)にて前記回転軸(21a)の周囲に前記温度調整手段(16)により温度調整された後の空調空気が常時流入し得る空間(26)を形成すると共に、この空間(26)を前記サイドフェイス開口部(30)に連通させたことを特徴とする車両用空調装置。
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