上記の第1の記録再生装置において、前記制御部が、同じ実時間に対応するオーディオデータとビデオデータのうちオーディオデータの方をビデオデータよりも先に再生するよう前記ピックアップの動作を制御することが好ましい。
また、上記第1の記録再生装置において、前記制御部が、前記主シーケンスおよび追加シーケンスから、同じ実時間に対応するM個のデータブロックをそれぞれ読み出す際に、(1)前記主シーケンス内のM個のデータブロックの先頭ブロックからオリジナルのオーディオデータを再生し、(2)前記主シーケンス内の当該M個のデータブロックに対応する追加シーケンス内のM個のデータブロックから連続的にアフレコのオーディオデータを再生し、(3)前記主シーケンス内の前記先頭ブロックのビデオデータを再生し、(4)前記主シーケンス内の(M−1)個のデータブロックからオリジナルのオーディオデータおよびビデオデータを再生するよう、前記光ピックアップの動作を制御することが好ましい。
また、上記第1の記録再生装置において、(M+1)個のデータブロックから読み出したビデオデータの総量をYV、前記ビデオデータのビットレートをVdV、前記(M+1)個のデータブロックのビデオデータの読み出しに要する時間をTsv、前記(M+1)個のデータブロックにおける最初のデータブロックからのビデオデータの読み出し開始から、(M+1)個目のデータブロックからのビデオデータの読み出し終了までの期間内において、ビデオデータの読み出し以外に要した処理時間をTnvとすると、
YV/VdV≧Tsv+Tnv
が成立することが好ましい。
上記第2の記録再生装置において、前記制御部が、前記第1の領域に対してオリジナルのオーディオデータおよびビデオデータを記録する際に、前記ピックアップのファインシーク範囲内の間隔で前記ビデオデータと前記オーディオデータとを交互に記録するよう前記ピックアップを制御することが好ましい。
また、上記第2の記録再生装置において、前記情報記録媒体から読み出されたビデオデータを蓄積するビデオ再生バッファと、前記情報記録媒体から読み出されたオーディオデータを蓄積するオーディオ再生バッファと、前記アフレコのオーディオデータを記録する前に一時保持する記録バッファと、ビデオデータを復号するビデオ復号化器と、オーディオデータを復号するオーディオ復号化器と、オーディオデータを符号化する符号化器とをさらに含み、前記Mの値は、当該M個のデータブロックを前記第1の領域から連続して再生する間、前記ビデオ再生バッファ、オーディオ再生バッファ、および記録バッファがいずれもオーバーフローおよびアンダーフローせずに、かつ、前記ビデオ復号化器へのビデオデータの転送が途切れない範囲であることが好ましい。
さらに、上記の好ましい態様の第2の記録再生装置において、
Tf(j):ビデオデータの再生後、ビデオデータの記録領域の終端からアフレコするオーディオデータの記録領域の先頭までのアクセス時間
Vt:情報記録媒体からのデータ読み出し時のデータレート
TI:ビデオデータの記録領域に記録されたデータを再生するのに必要な時間
VdV:ビデオデータのビットレート
N:オーディオのチャンネル数
VdA:オーディオデータのビットレート
Tfv:オーディオデータの記録領域の終端から次のオーディオデータの記録領域の始端までのアクセス時間、とした場合、
前記Mの値が、
M≧(Tf(j)×Vt)/(TI×(Vt−VdV−2×N×VdA)−Tfv×Vt)を満たすことが好ましい。さらに、前記オーディオデータが複数のチャンネルを有する場合、前記複数のチャンネルに対応して前記オーディオ復号化器を複数備えた構成とすることが好ましい。
以下、本発明のより具体的な実施形態について、図面を参照して説明する。
(実施の形態1)
はじめに、本発明の一実施形態にかかるアフレコの編集方法の一例と、それに基づくアフレコ編集の成立条件について説明する。まず、図6を用いて複数のリアルタイム・データを同時録再する編集モデルについて説明する。図6は本発明の一実施形態にかかる記録再生装置の編集モデルを表しており、図6において、600は情報記録媒体であるディスク、610は情報記録媒体に対してリアルタイム・データを記録再生するピックアップ、625は情報記録媒体から読み出されたリアルタイム・データAを蓄積する再生バッファA、620は再生バッファAに蓄積されたリアルタイム・データAを復号化するデコーダA、635は情報記録媒体から読み出されたリアルタイム・データBを蓄積する再生バッファB、630は再生バッファBに蓄積されたリアルタイム・データBを復号化するデコーダB、640はリアルタイム・データCを符号化するエンコーダC、645はエンコードされたリアルタイム・データCを情報記録媒体に記録するための記録バッファC、650はピックアップの動作を制御する制御部650を表している。図6では、デコーダと再生バッファを2組、エンコーダと記録バッファを1組図示したが、同時に記録再生するリアルタイム・データの種類と数に応じて、各バッファとエンコーダ、デコーダの組は増減しても良い。
アフレコ編集のような同時録再では、デコーダが常に再生バッファのデータを消費し続け、逆に、エンコーダは常に記録バッファにデータを送りつづけることになる。ディスクからデータが読み出されると再生バッファにデータが蓄積され、アクセス時に再生バッファが空にならなければ、リアルタイム・データの再生が途切れることがない。また、ディスクにデータが記録される時に記録バッファのデータが減少し、それ以外の時は常にデータが蓄積され続けるため、アクセス時などに記録バッファが溢れなければ、リアルタイム・データの記録が途切れることがない。リアルタイム・データの同時録再を行なうためには、これらの条件が同時に成立する必要がある。
図7は記録および再生バッファのデータ量の時間変化を表しており、これは図6で説明した再生バッファと記録バッファに対応している。図7(a)の710は再生バッファAのデータ量の時間変化を表し、具体的には、再生されるビデオデータを表している。図7(b)の720は再生バッファBのデータ量の時間変化を表し、具体的には、再生されるオーディオデータを表している。図7(c)の730は記録バッファCのデータ量の時間変化を表し、具体的には、アフレコ記録されるオーディオデータを表している。また、図7(d)は従来のアフレコ編集における記録、再生、アクセスの順を模式的に表している。
図7(d)において、まずオーディオデータ記録領域222に存在するオーディオデータAj+1が再生される。この再生に要する時間はTAで表されており、TAの期間は、図7(b)の再生バッファBにオーディオデータが蓄積されるが、これ以外の時は、再生バッファBのデータは減少を続ける。次にアクセスTfavを経て、ビデオデータ記録領域223に存在するビデオデータVj+1が再生される。この再生に要する時間はTcV(j+1)で表されており、TcV(j+1)の期間は、図7(a)の再生バッファAにビデオデータが蓄積されるが、これ以外の時は、再生バッファAのデータは減少を続ける。次にアクセスTf(j)を経て、オーディオデータ記録領域220に到達する。ここで、図7(c)に蓄積されているアフレコのオーディオデータを、オーディオデータ記録領域220に、オーディオデータAjとして記録する。この記録に要する時間はTAで表されており、TAの期間は、図7(c)の記録バッファCのオーディオデータが減少するが、これ以外の時は、記録バッファCのデータは増加を続ける。その後、次の再生データとして、オーディオデータ記録領域224に存在するオーディオデータAj+2へアクセスを行ない、以下、同様の処理を繰り返すことでアフレコ編集が継続される。
以上のアフレコ編集が成立するには、いずれの再生バッファも空にならず、かつ、いずれの記録バッファも溢れることなく、繰り返し処理が行われる必要がある。そこで、図7(a)(b)(c)で表された各バッファのデータ量の時間変化に着目すると、いずれのデータも記録・再生していないアクセス中は、再生バッファのデータ量が減少して行き、同時に、記録バッファのデータ量が増加している。すなわち、アクセス時間が長いほど、記録バッファも再生バッファも同時に余裕がなくなって行くため、このアクセス時間を短くすることが、アフレコ編集を成立させるために重要であることが分かる。
そこで本発明では、図1に示す編集方法と、それに基づく条件式でアフレコ編集の成立条件を判断するようにした。以下では図1を用いて、この内容について説明する。
図1は本発明の領域内へのアフレコ編集の方法を表した図であり、図1において210から213までと、220から223までの各記録領域は、図2で説明したものと同じである。なお、以下のアフレコ編集の手順は、制御部650がピックアップ610の動作を制御することによって実現される。
図1において、オーディオデータA1を再生した後、ビデオデータV1にアクセスし、ビデオデータV1の再生を行なう。その後、アフレコデータを記録するのではなく、そのまま次のオーディオデータA2へアクセスを行なう。そして、オーディオデータA2を再生し、さらにビデオデータV2へアクセスする。オーディオデータからビデオデータへのアクセス時間Tfavと、ビデオデータからオーディオデータへのアクセス時間Tfvaは、各データが連続に記録されている場合、どちらも時間を0として無視しても良い。そして、ビデオデータV2までの再生が終わったあとで、アフレコデータを記録するために、ビデオデータV2の終端からオーディオデータA1の始端へTf(1)の時間でアクセスを行なう。そして、オーディオデータA1にアフレコデータをTAの時間で記録し、その後、続きの再生データへ戻るのではなく、さらに続けて次のアフレコデータを記録するために、オーディオデータA1の終端からオーディオデータA2の始端へ、Tfv(1)の時間でアクセスを行なう。そして、オーディオデータA2にTAの時間でアフレコデータを記録した後で、続きの再生データに向けてTfv(2)の時間でアクセスを行なう。
以上のアフレコ編集を1サイクルとして、以下、同様の処理を繰り返す。この繰り返し処理の1サイクルを、図1の220から223までの各記録領域に対して適用し、1サイクルの処理に要する時間を処理順に沿って列挙すると、オーディオデータAjの再生時間TA、オーディオデータAjの終端からビデオデータVjの始端までのアクセス時間Tfav、ビデオデータVjの再生時間TcVj、ビデオデータVjの終端からオーディオデータAj+1の始端までのアクセス時間Tfva、オーディオデータAj+1の再生時間TA、オーディオデータAj+1の終端からビデオデータVj+1の始端までのアクセス時間Tfav、ビデオデータVj+1の再生時間TcV(j+1)、ビデオデータVj+1の終端からオーディオデータAjの始端までのアクセス時間Tf(j)、オーディオデータAjのアフレコ記録時間TA、オーディオデータAjの終端からオーディオデータAj+1の始端までのアクセス時間Tfv(j)、オーディオデータAj+1のアフレコ記録時間TA、オーディオデータAj+1の終端から次の再生データの始端までのアクセス時間Tfv(j+1)となる。なお、ビデオデータVj+1の終端からオーディオデータAjの始端までのアクセス時間Tf(j)には、再生から記録への切換処理時間を含んでおり、また、オーディオデータAj+1の終端から次の再生データの始端までのアクセス時間Tfv(j+1)には、記録から再生への切換処理時間を含んでいるとする。
以上の処理時間を合計することで、アフレコ編集における1サイクルの処理時間が求められ、次式で表される。なお、上記の説明は、オーディオデータとビデオデータの組を2組まとめて再生し、その後、再生データと同じ領域内に、2つのオーディオデータをまとめてアフレコ記録する、という処理を1サイクルで行っている。
(2組まとめて領域内へのアフレコ編集を行なう場合の1サイクルの処理時間)=TA+Tfav+TcVj+Tfva+TA+Tfav+TcV(j+1)+Tf(j)+TA+Tfv(j)+TA+Tfv(j+1)
ここで、オーディオデータとビデオデータが互いに隣接して連続的に記録されている場合は、TfavとTfvaは無視して0とし、さらに、アクセス処理によってビデオデータVjを読み飛ばす時間Tfv(j)と、ビデオデータVj+1を読み飛ばす時間Tfv(j+1)は、ほぼ等しいとして、両者をTfvで表記することで、次の式になる。
(2組まとめて領域内へのアフレコ編集を行なう場合の1サイクルの処理時間)=Tf(j)+2×Tfv+TcVj+TcV(j+1)+2×2×TA
ここで、図7で説明したように、アフレコ編集が成立するためには、オーディオデータの再生バッファ、ビデオデータの再生バッファがともに空にならず、かつ、アフレコのオーディオデータの記録バッファが溢れない必要がある。この条件について求めて行く。
まず、ビデオデータの再生バッファについて条件を求める。図1で説明した2組まとめて領域内へのアフレコ編集を行なう場合において、ディスクから再生されるビデオデータのサイズは、ビデオデータVjのデータ量をYVj、ビデオデータVj+1のデータ量をYV(j+1)とすると、両者の合計サイズは、YVj+YV(j+1)となり、これがビデオデータの再生バッファに蓄積されることになる。この蓄積されたデータは、ビデオデータのビットレートでデコーダに消費されていく。可変ビットレートを考慮して、ビデオデータVjのビットレートをVdVj、ビデオデータVj+1のビットレートをVdV(j+1)とすると、ビデオデータの再生バッファがデコーダに消費されて空になるまでの時間は、
YVj/VdVj+YV(j+1)/VdV(j+1)
となる。
この時間が、先ほど求めたアフレコ編集の1サイクルの処理時間以上であれば、ビデオデータの再生バッファが空にならずにアフレコ編集を1サイクル行なうことができる。これがビデオデータの再生バッファに関する、アフレコ編集1サイクルの条件となる。
次に、オーディオデータの再生バッファについて条件を求める。図1で説明した2組まとめて領域内へのアフレコ編集を行なう場合において、ディスクから再生されるオーディオデータのサイズは、2×YAとなる。ただし、オーディオデータは一定のビットレートVdAであるとし、いずれのオーディオデータも同じ時間づつ記録され、そのデータ量がYAであるとしている。従って、オーディオデータはVdAのビットレートでデコーダに消費されるので、オーディオデータの再生バッファが空になるまでの時間は、
2×YA/VdA
となる。この時間が、先ほど求めたアフレコ編集の1サイクルの処理時間以上であれば、オーディオデータの再生バッファが空にならずにアフレコ編集を1サイクル行なうことができる。これがオーディオデータの再生バッファに関する、アフレコ編集1サイクルの条件となる。
次に、オーディオデータの記録バッファについて条件を求める。まず、アフレコデータの記録方法には同期記録と非同期記録の2つの記録方法が考えられる。1つ目の同期記録とは、アフレコ編集の1サイクルにおいて、ディスクから読み出したアフレコの元になるデータの量と、ディスクへ書き戻したアフレコデータの量を等しくする記録方法である。この同期記録でアフレコデータを記録した場合、1サイクル毎に、再生したオーディオデータと記録したオーディオデータの量が等しいためにデータ量の差分がほとんどなく、オーディオの記録バッファのオーバーフローやアンダーフローを防止できる。従って、同期記録でアフレコデータを記録する場合、オーディオデータの記録バッファは、1サイクル分のアフレコデータを蓄積できる容量以上さえあれば良く、記録バッファのアンダーフローやオーバーフローは気にしなくて済む。
2つ目の非同期記録とは、アフレコ編集の1サイクルにおいて、ディスクから読み出したアフレコの元になるデータの量と、ディスクへ書き戻したアフレコデータの量が異なる記録方法である。例えばビットレートの高いデータを編集する時や、ディスク上で編集対象となるデータの配置が離れている時に、1サイクルでアフレコデータを記録するための時間が不足することがある。このような場合に、1サイクルで書ききれなかった残りのアフレコデータを記録バッファに蓄積しておき、後で記録していくのがアフレコデータの非同期記録である。非同期記録の場合、1サイクル毎に、オーディオの記録バッファには、ディスクに記録できなかった残りのアフレコデータが蓄積されていく。従って、アフレコ編集がすべて終了するまでに、記録バッファがオーバーフローしないことが必要となる。この条件は次式で表される。
(記録バッファサイズ)≧(アフレコの総サイクル数)×(1サイクルあたりの記録バッファのデータ増加量)
アフレコ編集の総サイクル数とは、アフレコ編集の開始点から終了点までに必要なサイクル数を意味している。これに1サイクルあたりの記録バッファ増加量をかけることで、必要な記録バッファサイズが求められる。このように、アフレコデータの記録には上記の2つの方法が考えられ、いずれの方法を用いても良い。
以上で説明したの3つのバッファの条件、すなわち、ビデオデータの再生バッファ、オーディオデータの再生バッファ、オーディオデータの記録バッファの各条件を考慮すると、ビットレートの高いデータほどバッファのデータの消費が速いため、アフレコの成立条件が厳しくなる。そこで、最もビットレートが高いデータとして、ビデオデータの条件について着目する。
先ほどは、ビデオデータの再生バッファがデコーダに消費されて空になるまでの時間を求めたが、各々のビデオデータは、復号再生すると一定の再生時間になるようにディスク上に記録されているとする。すなわち、図1において、可変ビットレートも考慮して、ビデオデータVjとVj+1は、ディスク上におけるデータ量が異なっても良いが、デコーダで復号して映像として出力すると、どちらも同じ秒数の映像になるとする。この時間をデータ記録長TIとする。TIの単位は時間である。ビデオデータとオーディオデータは、それぞれ映像と音声が対応するように記録されるため、オーディオデータのTIもビデオデータのTIと等しくなるように記録される。ただし、オーディオデータは、ビデオデータよりもビットレートが低いために、同じ記録長TIでも、オーディオデータはディスク上でビデオデータよりも小さなデータ量になる。
2組まとめて領域内へのアフレコ編集を行なう場合において、ビデオデータの再生バッファがデコーダに消費されて空になるまでの時間は、上記のデータ記録長TIを用いて表すと、2×TIとなる。この時間よりも、アフレコの1サイクルに要する処理時間の方が短ければアフレコ編集が成立することになるので、ビデオデータに着目した場合のアフレコの成立条件は、
2×TI≧(2組まとめて領域内へのアフレコ編集を行なう場合の1サイクルの処理時間)
となるので、代入すると、
2×TI≧Tf(j)+2×Tfv+TcVj+TcV(j+1)+2×2×TA
となる。
ここで、オーディオデータの記録時間、または、再生時間として表されているTAについて詳しく説明する。
図4はオーディオデータ記録領域の詳細を表した図である。図4において、220は図1や図2で示したオーディオデータ記録領域220と同じであり、この記録領域の内部を拡大して表したものが、図4の(a)と(b)である。オーディオデータ記録領域は複数の音声チャンネルのデータを記録できるように、その記録領域の内部がチャンネル別に分割されている。図4(a)と(b)はいずれも、Nチャンネル分の記録領域を有しており、411はch1の記録領域、412はch2の記録領域、417はch(N−1)の記録領域、418はchNの記録領域を表している。なお、Nは1以上の整数であり、記録領域412と417の間には複数の音声チャンネルの記録領域が存在しても良い。
以上のように表された図4について、以下、アフレコ編集時におけるアクセスの様子を説明する。図4(a)において、ch1とch2がこのディスクに予め記録済みのオーディオデータであるとして、このch1とch2のオーディオデータが再生され、アフレコの元の音声になるとする。そして、ch(N−1)とchNは空き領域であるとして、ch1とch2のオーディオデータは残したまま、ch(N−1)とchNにアフレコのオーディオデータを記録することができる。先ほどの図3において、ビデオデータVj+1を再生した後に、アフレコデータを記録するために、アクセス時間Tf(j)を使ってオーディオデータAjの始端へアクセスを行なう例を説明したが、図4(a)においてこのアクセス動作は、アフレコ記録を行なうチャンネルの空き領域の先頭にアクセスすることになる。従って、図4(a)において、アクセスの着地点はオーディオデータ記録領域220の始端ではなく、正確には、オーディオデータch(N−1)の始端に着地することになる。そして、アフレコデータをch(N−1)とchNに記録した後、再び続きの再生データの始端へ向けてアクセス時間Tf(j)でアクセスを行なう。オーディオデータ1チャンネル分のデータ記録に要する時間をTcAとすると、図4(a)ではch(N−1)とch2の合計2チャンネル分のデータを記録しているため、オーディオデータ記録領域220内の所望のチャンネルを記録または再生するための時間をTAとすると、TA=2×TcAとなる。このように図4(a)では、オーディオデータ記録領域220の内部で、アフレコで記録する複数のチャンネルの空き領域が連続している場合について説明した。
一方で、図4(b)に示した例では、ch2とch(N−1)がこのディスクに予め記録済みのオーディオデータであるとして、このch2とch(N−1)のオーディオデータが再生され、アフレコの元の音声になるとする。そして、ch1とchNが空き領域であるとして、ch2とch(N−1)のオーディオデータは残したまま、ch1とchNにアフレコのオーディオデータを記録する場合を考える。この場合、アフレコ記録を行なうためのアクセス動作は、オーディオデータch1の始端に着地することになる。そして、ch1にアフレコデータを記録した後、今度はchNの始端にアクセスする必要がある。
ここで、光ディスク装置のアクセス方法について説明する。光ディスク装置のピックアップは、別名、光学ヘッドとも呼ばれ、ピックアップ自体がディスクの半径方向に移動可能で、さらに、ピックアップ上に搭載されたレンズ部分も、ピックアップと独立した動作でディスクの半径方向に移動できる。ファインシークは、トラックジャンプやキックとも呼ばれ、光ディスク装置のピックアップ位置を固定したまま、レンズ部分だけをディスクの半径方向に動かすことで目的のトラック位置に移動する方法である。レンズの可動範囲は狭いため、ファインシークはディスク上で近距離のアクセス時に使用されるが、レンズ部分だけを動かすので、短時間で目的のトラック位置に移動することができる。一方で、長距離のアクセスには、ピックアップ全体を移動させるシーク動作が使用される。このシーク動作はロングジャンプやロングシークとも呼ばれ、可動範囲は広いが、ピックアップ自体の移動が伴うため、ファインシークよりもアクセスに時間がかかる。また、ディスク媒体が螺旋状のトラックで、目的のデータが現在の読み出し位置より先にある場合は、そのまま螺旋状のトラックをトレースすることで、目的のデータ位置に到達することもできる。このようなトレース動作によるアクセス方法をここでは回転待ちと呼ぶことにする。
図4(b)ではch1の終端からchNの始端までを2通りのアクセス方法で示している。1つ目はファインシークなどのアクセス動作によって、アクセス時間Tffを使ってch1の終端からchNの始端へとアクセスする方法である。2つ目は回転待ちで、そのままchNの始端へ到達する方法である。一般にオーディオデータはビデオデータに比べてビットレートが低く、1チャンネルあたりのデータ量も少ない場合が多い。従って、数チャンネル分のオーディオデータであれば、ファインシーク動作でアクセスするよりも単純に回転待ちすることでchNの始端に到達する方が短時間で済むことがある。このような場合、図4(b)の例ではアフレコデータをch1に記録した後、回転待ちでchNの始端へ到達し、その後、chNにアフレコデータを記録しても良い。この結果、すべての音声チャンネル、すなわち、Nチャンネル分の領域をなぞることになるので、図4(b)における処理時間はTA=N×TcAとなる。このように図4(b)では、オーディオデータ記録領域220の内部で、アフレコで記録する複数のチャンネルの空き領域が不連続な場合について説明した。
以上のように図4(a)と(b)を比較すると、どちらも2チャンネル分のオーディオデータをアフレコで記録しているにもかかわらず、その処理時間が異なっている。オーディオデータ記録領域の内部で、どの音声チャンネルが空き領域であるかを考慮してアフレコに要する処理時間を計算することが望ましいが、簡単化のために、図4(b)のような最悪ケースでTA=N×TcAとしても良い。
図5はオーディオデータと他種データの記録領域の詳細を表した図である。前述した図2の説明において、オーディオデータ記録領域とビデオデータ記録領域の間には、他種データが存在しても良いと記した。この他種データとは、例えば、隣接するオーディオデータやビデオデータと同じ内容をより低いビットレートで記録したデータや、隣接するオーディオデータやビデオデータに関連した管理データなどがある。図5では、他種データ記録領域を530と540で表し、その領域に記録された他種データをLjで表している。その他の記号は図4と同様である。
他種データは、隣接するオーディオデータやビデオデータに関連があるため、アフレコ編集などでオーディオデータやビデオデータを変更すると、これらのデータに関連がある他種データも変更する必要がある。例えば他種データが低ビットレートのデータであった場合、オーディオデータをアフレコで変更した際に、低ビットレートの音声データもアフレコで変更する必要がある。
図5(a)では、他種データ記録領域530が、オーディオデータ記録領域220の後ろに隣接して配置されている例を示している。ここでオーディオデータのch(N−1)とchNをアフレコで記録する場合を考えると、2チャンネル分のオーディオデータを記録した後、他種データLjも記録更新する必要がある。他種データはビットレートが低いために、例えばオーディオデータの1チャンネル分程度に相当すると見なせば、結果としてアフレコ編集ではオーディオデータ2チャンネル分と、他種データを合わせた分、すなわち、オーディオデータ3チャンネル分のデータを記録することになる。従って、この処理時間TAは、TA=3×TcAとなる。
図5(b)では、他種データ記録領域540が、オーディオデータ記録領域220の前に隣接して配置されている。ここで、図5(a)と同様に、オーディオデータのch(N−1)とchNをアフレコで記録する場合を考えると、2チャンネル分のオーディオデータを記録する前に、他種データLjもアフレコで記録更新する必要がある。従って、アフレコで記録するためのアクセスの着地点は他種データLjの始端となり、他種データLjを記録した後、オーディオデータch(N−1)にアクセスすることになる。他種データLjの終端からオーディオデータch(N−1)の始端までのアクセスは、先ほどと同様にTffのアクセス時間で到達しても良いが、回転待ちで到達しても良く、その後、オーディオデータch(N−1)とchNを記録して、再び続きの再生データへアクセスして行く。結果として、図5(b)の例では、他種データLjとNチャンネルのオーディオデータを全てなぞることになるので、その処理時間TAは、TA=(N+1)×TcAとなる。
以上のように図5(a)と(b)を比較すると、どちらも同じ2つの音声チャンネルch(N−1)とchNのオーディオデータをアフレコで記録しているにもかかわらず、他種データの配置によってその処理時間が異なっている。従って、アフレコの際には他種データの配置も含めて、アフレコに要する処理時間を計算することが望ましいが、簡単化のために、図4(b)のような最悪ケースで、他種データも音声チャンネルの1つと見なして、TA=N×TcAとしても良い。この場合、Nは音声チャンネルの数に対して、さらに1チャンネル分の他種データを加えたチャンネル数であるとしても良い。
また、ディスク上でオーディオデータ記録領域や他種データ記録領域には、記録または再生が不可能なディフェクトが存在する場合がある。このようなディフェクトはECCブロック単位でスキップする必要があり、スキップしている間はディスクに対して記録も再生もできない。1ECCブロックを読み出す時間をTs、ビデオデータ内でスキップするECCブロックの数をa、他種データも含めたオーディオデータ内でスキップするECCブロックの数をbとすると、先ほどのアフレコにおけるオーディオデータの記録に要する処理時間TAは、
TA=N×TcA+b×Ts
となる。また、図1におけるビデオデータVjの再生に要する時間はTcVj+a×Ts
となり、ビデオデータVj+1の再生に要する時間はTcV(j+1)+a×Tsとなり、これらを、先ほどのビデオデータに着目した場合のアフレコの成立条件の式
2×TI≧Tf(j)+2×Tfv+TcVj+TcV(j+1)+2×2×TA
に代入すると、
2×TI≧{Tf(j)+2×Tfv+(a+2×b)×2×Ts+TcVj+TcV(j+1)+2×2×N×TcA}
となる。さらに、ディスクの記録または再生のビットレートをVtとすると、
TcVj=TI×VdVj/Vt
TcV(j+1)=TI×VdV(j+1)/Vt
TcA=TI×VdA/Vt
これらを条件式に代入して整理すると、
TI≧(Tf(j)+2×Tfv+(a+2×b)×2×Ts)×Vt/(2×Vt−VdVj−VdV(j+1)−2×2×N×VdA)
となり、これが、2組まとめて領域内へのアフレコ編集を行なう場合における成立条件の式となる。なお、上記の式は、ビデオデータVjとVj+1のビットレートが異なるケース、すなわち、ビデオデータが可変ビットレートの場合の式である。一方で、ビデオデータが固定ビットレートの場合、ビデオデータのビットレートをVdVとすると、上記の式はVdVj=VdV(j+1)=VdVで置き換えられるので、
TI≧(Tf(j)+2×Tfv+(a+2×b)×2×Ts)×Vt/(2×Vt−2×VdV−2×2×N×VdA)
となる。これが、ビデオデータが固定ビットレートの場合における、2組まとめて領域内へのアフレコ編集を行なう場合の成立条件の式である。
また、ここまでの説明では、2組まとめて領域内へのアフレコ編集を行なう場合の成立条件を求めたが、Mを2以上の整数として、M組まとめて領域内へのアフレコ編集を行なっても良い。この方法について図8を用いて説明する。
図8は、M組まとめて領域内へのアフレコ編集を行なう方法を表した図であり、図8において210から215までと、220から221までの各記録領域は、図3で説明したものと同じである。
図8において、オーディオデータA1を再生した後、ビデオデータV1にアクセスし、ビデオデータV1の再生を行なう。その後、アフレコデータを記録するのではなく、そのまま次のオーディオデータA2へアクセスを行なう。そして、オーディオデータA2を再生し、さらにビデオデータV2を再生する。このようにオーディオデータとビデオデータの組を再生し続け、M組目のオーディオデータAjとビデオデータVjまで再生した後で、アフレコデータを記録するために、オーディオデータA1へアクセスを行なう。そしてオーディオデータA1にアフレコデータを記録し、さらに次のオーディオデータA2へアクセスし、アフレコデータの記録を行なう、以降、この処理を繰り返し、M個目のオーディオデータAjへのアフレコ記録が終わると、続きの再生データへアクセスを行なう。
以上のように、本実施形態では、オーディオデータとビデオデータの組をM組再生してから、M個のオーディオデータをアフレコ記録し、このアフレコ編集を1サイクルとして繰り返すようにした。M組まとめて領域内へのアフレコ編集が成立するための条件を求めると、先ほど求めた2組まとめて領域内へのアフレコ編集を行なう場合の条件式をMで一般化することで、
TI≧(Tf(j)+M×Tfv+(a+2×b)×M×Ts)×Vt/(M×Vt−Σ(VdVk)−2×M×N×VdA)、
(Σはk=1〜M)
となり、これが、M組まとめて領域内へのアフレコ編集を行なう場合における成立条件の式となる。なお、上記の式は、個々のビデオデータのビットレートが異なるケース、すなわち、ビデオデータが可変ビットレートの場合の式であり、上記の式において、Σ(VdVk)は、1サイクルにおけるM個のビデオデータのビットレートを合計した値を意味している。実際にΣ(VdVk)を求めるためには、アフレコ編集の1サイクルにおけるM個のビデオデータのビットレートを全て調べることが望ましい。しかし、処理を簡略化するために、アフレコ編集の対象となるビデオデータの最大ビットレート、または、1サイクル内のビデオデータの最大ビットレートを決めて計算しても良い。この場合、ビデオデータの最大ビットレートをVdVmaxとすると、Σ(VdVk)=M×VdVmaxとなり、条件式の計算が簡単になる。この結果、可変ビットレートにおいて、M組まとめて領域内へのアフレコ編集を行なう場合における成立条件の式は、
TI≧(Tf(j)+M×Tfv+(a+2×b)×M×Ts)×Vt/(M×Vt−M×VdVmax−2×M×N×VdA)
となる。
一方で、ビデオデータが固定ビットレートの場合、ビデオデータのビットレートをVdVとすると、上記の式におけるΣ(VdVk)はk=1〜Mまでの合計値であるため、Σ(VdVk)=M×VdVで置き換えられるので、
TI≧(Tf(j)+M×Tfv+(a+2×b)×M×Ts)×Vt/(M×Vt−M×VdV−2×M×N×VdA)
となる。これが、ビデオデータが固定ビットレートの場合における、M組まとめて領域内へのアフレコ編集を行なう場合の成立条件の式である。この式は、可変ビットレートの式において、VdVmaxをVdVで表したものと同じになり、可変ビットレートと固定ビットレートを統一的に表現した式にも相当する。
なお、アフレコ編集が成立するためのMを求めるには、上記の統一的に表した条件式をMについて変形した式を用いても良い。すなわち、上記の式において、ECCブロックをスキップする要素を省略してa=b=0とすると、
M≧(Tf(j)×Vt)/(TI×(Vt−VdV−2×N×VdA)−Tfv×Vt)
となり、これがM組まとめて領域内へのアフレコ編集を行なう場合の、アフレコ編集を成立させるMを求める式である。この条件式を満たすMを、2以上の整数の範囲で求めれば、アフレコ編集を成立させることが可能になる。
図12は、アフレコ編集の処理内容を表したフローチャートである。図12のフローチャートは、先ほどの図8で示した、M組まとめて領域内へのアフレコ編集を行なう方法に対応しており、以下、図8と図12を用いて説明する。
図12において、アフレコ編集の処理は開始処理C10から始まる。前提としてC10が開始される前に、オーディオデータとビデオデータの再生が既に始まっているとする。次に、図12のオーディオデータへアクセスする処理C20を実行することで、図8では予め始まっていた再生処理が、オーディオデータA1の始端まで到達する。次に、図12のオーディオデータを再生する処理C22を実行することで、図8ではオーディオデータA1が再生される。次に、図12のビデオデータへアクセスする処理C24を実行することで、図8ではオーディオデータA1の終端からビデオデータV1の始端へのアクセスが実行される。次に、図12のビデオデータを再生する処理C26を実行することで、図8ではビデオデータV1が再生される。
この時点で、オーディオデータとビデオデータからなる組を1組再生したことになり、図12では再生回数の判定処理C30が実行される。C30では再生が済んだ組の数と、M組まとめてアフレコする際のMの数が比較される。ここで、Mは2以上の整数であり、C30において再生が済んだ組の数がMに満たない場合は、再びC20の処理へ戻る。そして、C20のオーディオデータへアクセスする処理を実行することで、図8ではビデオデータV1の終端からオーディオデータA2の始端へのアクセスが実行され、以下、図12のC22、C24、C26の処理を実行することで、図8ではオーディオデータA2とビデオデータV2が再生される。その後、図12の再生回数の判定処理C30の条件を満たすまで、同様の処理が繰り返される。
そして、図8においてオーディオデータAjとビデオデータVjまでを再生した段階で、オーディオデータとビデオデータからなる組を合計でM組再生したとすると、図12ではC30の判定処理で比較条件が満たされるので、次の処理C40として、アフレコするデータへアクセスおよび再生から記録への切換え処理が実行される。この処理によって、図8では、ビデオデータVjの終端からオーディオデータA1の始端へのアクセスが実行されると共に、装置において再生から記録への切換え処理が実行される。次に、図12のアフレコするデータを記録する処理C50を実行することで、図8ではオーディオデータA1にアフレコデータが記録される。この時点で、アフレコデータを1回記録したことになる。
次に、図12のアフレコ回数の判定処理C60が実行される。このアフレコ回数の判定処理C60では、アフレコデータを記録した回数と、M回まとめてアフレコ処理する際のMの数が比較される。このMは2以上の整数であり、先ほどの再生回数の判定処理C30で比較したMと同じ値である。C60のアフレコ回数の判定処理において、アフレコデータを記録した回数がMに満たない場合は、次のアフレコ領域へアクセスする処理C62が実行される。C62を実行することで、図8ではオーディオデータA1の終端から次のオーディオデータA2の始端へのアクセスが実行される。次に、図12ではC62の処理から再びC50の処理へ戻り、アフレコするデータを記録する処理C50が実行される。この処理で、図8ではオーディオデータA2にアフレコデータが記録される。この時点で、アフレコデータを2回記録したことになる。
そして、図12では再びアフレコ回数の判定処理C60が実行され、以降、C60の判定条件を満たすまで、同様の処理が繰り返される。そして、図8においてオーディオデータAjまでアフレコデータが記録された段階で、アフレコデータを記録した回数がM回になったとすると、図12ではC60の判定処理で比較条件が満たされるので、次の処理C70へ進む。アフレコ終了の判定処理C70では、全体のアフレコ編集が終了したか判定を行なう。まだアフレコ編集を継続する場合は次のC80へ分岐する。C80の処理では、続きの再生データへアクセスおよび記録から再生への切換え処理が実行される。この処理によって、図8では、オーディオデータAjの終端から、続きの再生データの始端へアクセスが行われる。続きの再生データとは、図8には図示していないが、ビデオデータVjの後ろにつづくオーディオデータやビデオデータのことを意味している。また、このアクセスを行なうと共に、装置において記録から再生への切換処理が実行される。
ここまでの処理が、アフレコの編集方法における1サイクルに相当する。この1サイクルの処理で、オーディオデータとビデオデータからなる組をM組再生し、その後で、アフレコデータをM回まとめて記録している。図12において、C80の処理を実行した後は、再び、オーディオデータを再生する処理C22へ戻り、以降、この1サイクルの処理が繰り返される。全てのアフレコ編集が終了すると、アフレコ終了の判定処理C70によって判定され、終了処理C90に進み、全体のアフレコ編集が終了する。
なお、アフレコ編集の終了付近では、オーディオデータやビデオデータの数が、繰り返し数のMに満たないことがあるため、C30やC60での判定処理では、単にMとの回数を比較するだけでなく、アフレコの終了付近であるかも考慮して判定するようにしても良い。
図15は、アフレコ編集の条件式をグラフで表した図である。図15において、横軸はビデオデータのビットレート、縦軸はビデオデータの記録長を表している。ビデオデータの記録長とは、1つのビデオデータ記録領域に何秒分のビデオデータが記録されているかを表しており、記録長は時間の単位で表現される。また、F10のグラフは、アフレコ編集の繰り返し数Mが、M=1の場合を表しており、F20のグラフはM=2の場合を表しており、F30のグラフはM=3の場合を表している。
図15のグラフは、M組まとめて領域内へのアフレコ編集を行なう場合における成立条件の式、
TI≧(Tf(j)+M×Tfv+(a+2×b)×M×Ts)×Vt/(M×Vt−Σ(VdVk)−2×M×N×VdA)、
(Σはk=1〜M)
において、実際の数値を代入することで作成できる。例えば、
M=2回
N=4チャンネル
Tf(j)=800msec
Tfv=100msec
a=2個
b=1個
Ts=20msec
Vt=30Mbps
VdA=1Mbps
という具体的な数値を代入すれば、ビデオデータの記録長TIはビデオデータのビットレートVdVkを変数としたグラフになる。
さらにMの値を変化させて、何本かのグラフを作成することで、アフレコ編集が成立するためのMの値を求めることができる。例えば図15には、F10にM=1のグラフ、F20にM=2のグラフ、F30にM=3のグラフが示されている。ここで、アフレコ編集したいディスクがあり、そのディスクにはビデオデータとオーディオデータが、ある一定の記録長TIaの時間で交互に記録されているとする。また、そのディスクにおけるビデオデータのビットレートはF40であるとする。この場合、図15のグラフにおいて、横軸のビットレートがF40である点を、3つのグラフF10、F20、F30について求めると、それぞれのグラフの縦軸について、必要な記録長はF11、F21、F31であることが分かる。このグラフの交点が意味するところは次の通りである。
まず、M=1のグラフF10からは、ビットレートF40のデータをM=1のサイクルでアフレコ編集するには、最低でも記録長がF11以上の時間で記録されている必要があることが分かる。次に、M=2のグラフF20からは、ビットレートF40のデータをM=2のサイクルでアフレコ編集するには、最低でも記録長がF21以上の時間で記録されている必要があることが分かる。そして、M=3のグラフF30からは、ビットレートF40のデータをM=3のサイクルでアフレコ編集するには、最低でも記録長がF31以上の時間で記録されている必要があることが分かる。ここで、アフレコ編集したいディスクの記録長TIaがF11>TIa>F21である場合、アフレコ編集がM=1の繰り返し数では成立せず、M=2以上の繰り返し数でアフレコ編集を行なえば、アフレコ編集が成立することがわかる。ちなみに、M=1のアフレコ編集とは、オーディオデータとビデオデータからなる組を1組再生する毎に、アフレコデータを1回記録することになるため、これは従来の方法に該当する。このように従来の方法ではアフレコ編集が成立しなかったディスクに対して、本実施形態によるアフレコ編集では、M=2以上の繰り返し数でアフレコ編集を行なう場合の条件式を計算することで、アフレコ編集が成立するための繰り返し数を求め、アフレコ編集を可能にする点が特徴である。
なお、装置の記録バッファや再生バッファのサイズによって、繰り返し回数Mに制限が生じる場合がある。このような場合は、ディスクにデータを記録する際に、ある繰り返し数Mでアフレコ編集が成立するような記録長でビデオデータやオーディオデータを記録するようにしても良い。
また、アフレコ編集の成立条件を計算するには、アクセス時間の数値が必要となる。アクセス時間を求めるには、例えば次の図14に示すような方法を用いても良い。
図14はディスク装置のアクセスモデルを表した図であり、図14(a)は横軸をアクセスの移動距離、縦軸をアクセス時間としたアクセスグラフである。E10は、ディスク装置のアクセス時間を簡略化して表したグラフである。このグラフE10は、予めディスク装置のアクセス性能を測定するなどの方法で作成することができる。図14(a)のアクセスグラフを用いてアクセス時間を求めるには、まずディスク上における移動元のデータから移動先のデータへアクセスする際の移動距離を求める。移動距離は、移動元のデータと移動先のデータのアドレス情報などから計算することができる。移動距離が得られたら、図14(a)のアクセスグラフの横軸で該当する移動距離を探し、これがグラフE10と交差する点の縦軸の値が求めるアクセス時間となる。例えば、あるアクセスの距離が図14(a)の横軸におけるE33の値だった場合、アクセス時間はE23の値となる。このように、図14(a)に示すようなアクセスグラフを用いることで、所望のアクセス時間を求めることができる。なお、図14(a)のグラフE10は説明のために簡略化されたグラフになっているが、より詳細なアクセス性能をグラフに反映させることで、アフレコ編集の成立条件を高い精度で計算することができる。
図14(b)はアクセステーブルを表しており、横の欄はSr1、Sr2、Sr3、Sr4でディスク上の現在位置が示されている。縦の列にはDr1、Dr2、Dr3、Dr4でディスク上の目標位置が示されている。図14(b)のアクセステーブルでは、説明のために、ディスク上の領域を半径に応じて4つの領域に分割している。例えば、ディスク上の半径30mm未満の領域はDr1とSr1、半径30mmから60mmまでの領域はDr2とSr2、半径60mmから90mmまでの領域はDr3とSr3、半径90mmを超える領域はDr4とSr4、のように分割できる。このように表された図14(b)のアクセステーブルにおいて、アクセス時間は次のように求められる。例えば、ディスク上でアクセス元のデータが半径30mm未満の領域である場合、現在位置をSr1とする。次にアクセス先のデータが半径60mmから90mmまでの領域である場合、目標位置をDr3とする。以上のSr1とDr3の交点をアクセステーブルから求めると、500msecという値が得られる。このように、図14(b)で示すようなアクセステーブルを用いても、アクセス時間を求めることができる。なお、図14(b)のアクセステーブルでは、ディスク上の領域を4つに分割したが、より細かく分割することで、正確なアクセス時間を求めることができる。
図13は本発明の記録再生装置の一実施形態(編集装置)の構成を表した図であり、図13において、D10は制御手段、D11はCPU、D12はメモリ手段、D20はバス手段、D30はディスクドライブ手段、D40はデコーダA手段、D50はデコーダB手段、D60はエンコーダC手段、D13、D31、D41、D51、D61は各手段とバス手段を結ぶインタフェース手段、D70はAV信号処理手段、D42、D52、D62は各手段とAV信号処理手段を結ぶインタフェース手段、D80はAV出力手段、D90はAV入力手段、D81、D91は各手段とAV信号処理手段を結ぶインタフェース手段を表している。
以上のように構成された本実施形態の記録再生装置について、以下、その動作を説明する。ディスクドライブ手段D30で読み出されたビデオデータは、バス手段D20を介してデコーダA手段D40に伝達され、デコード処理される。また、ディスクドライブ手段D30で読み出されたオーディオデータは、バス手段D20を介してデコーダB手段D50に伝達され、デコード処理される。デコードされたデータは、AV信号処理手段D70に伝達され、映像と音声の同期や、必要な信号処理を行った上で、AV出力手段D80に出力される。このように映像や音声を再生しながら、今度はアフレコしたい映像や音声をAV入力手段D90から入力する。AV信号処理手段D70では、AV入力手段D90から入力された映像や音声と、ディスクから再生されたオーディオデータやビデオデータを合わせて加工処理を行ない、これをエンコーダC手段D60に伝達する。エンコーダC手段D60でエンコードされたアフレコデータは、バス手段D20を介してディスクドライブ手段D30に伝達され、ディスクに記録される。制御手段D10は、これらの一連のアフレコ編集の制御を行ない、さらにアフレコ編集を開始する際には、アフレコ編集が成立するための条件を計算し、計算結果に基づいたアフレコ編集の制御が行われる。なお、図13では2つのデコーダ手段と、1つのエンコーダ手段を表したが、これらの手段の数は必要に応じて増やしても良い。
以上のように、実施の形態1では、領域内へのアフレコ編集の方法について説明した。なお、領域内へのアフレコ編集では、Mを増やしていくことで、アフレコ編集が成立し易くなる。しかし、図8においてMを増やし過ぎると、ビデオデータVjの終端からオーディオデータA1の始端までのアクセス時間Tf(j)が増加する。これは、アフレコデータを記録する領域に戻るためのアクセス距離が増加することを意味しており、Mを増やし過ぎると、アクセス距離がファインシークの範囲を超えることがある。アクセス距離がファインシークの範囲を超えると、アクセス時間Tf(j)が急激に増加するため、アフレコ編集が成立しづらくなる。このように、領域内へのアフレコ編集では、アフレコ編集を成立させる範囲でMを増やす際に、ファインシークの範囲内でアクセスできるようにMの上限を設けると、よりアフレコ編集が成立し易くなる。
また、Mを増やしていくと、アフレコの1サイクル中でまとめて記録するアフレコデータの量が増加するため、記録バッファのサイズを考慮する必要がある。アフレコの1サイクルでまとめて記録するアフレコデータの量は、Naチャンネルのオーディオデータをアフレコで記録するとして、M×TI×Na×VdAとなる。記録バッファのサイズをBcとすると、アフレコの1サイクル中に記録バッファがオーバーフローしない条件は、
Bc≧M×TI×Na×VdA
となり、これをMについて変形すると、次式が得られる。
M≦Bc/(TI×Na×VdA)
これが、アフレコの1サイクル中に記録バッファがオーバーフローしないための、Mの上限となる。
このように、アフレコ編集を成立させるためのMを求める際には、アフレコ成立条件の式でMの下限を求めるだけでなく、ファインシークの範囲内になるMの上限や、記録バッファがオーバーフローしないMの上限を考慮してMを求めると良い。
以上のように、本発明の実施の形態1では、オーディオデータとビデオデータからなる組をM組再生し、その後、M個のオーディオデータを領域内へアフレコ記録する処理を1サイクルとして、1サイクルのアフレコ編集が成立する条件を求める。そして、この条件式を満たす範囲でMを増やすことで、アフレコ編集が成立し易くなる効果が得られる。
(実施の形態2)
以下では本発明の実施の形態2について説明する。図10は、本実施形態にかかる記録再生装置における、別領域(後述する追加シーケンス)へのアフレコ編集の方法を表した図であり、図10において210から213までと、220から223までの各記録領域は、図1で説明したものと同じである。また、オーディオデータA1、ビデオデータV1、オーディオデータA2、ビデオデータV2までの再生も、図1で説明したものと同じである。図10において、オリジナルのオーディオデータAiと、ビデオデータViと、アフレコのオーディオデータBiとが、同じ実時間に対応するデータである。さらに、本実施形態にかかる記録再生装置の概略構成は図6に示したものと同様である。なお、以下のアフレコ編集の手順は、制御部650がピックアップ610の動作を制御することによって実現される。
なお、図10において、領域210〜223…の記録領域と、領域250〜262…の記録領域は、記録媒体上で互いに離れた位置に配置されている。以降、領域210〜223…の記録領域を主シーケンス、領域250〜262…の記録領域を追加シーケンスと称する。また、主シーケンスにおいて、領域210と領域211、領域212と領域213のように、交互に隣接配置された領域のオーディオデータとビデオデータの組み合わせが、同じ実時間に対応している。このように、主シーケンスでは、同じ実時間に対応するオーディオデータとビデオデータの組み合わせを含むデータのまとまり(記録領域)を、1つのデータブロックと定義する。すなわち、例えば領域210と領域211を、1つのデータブロックとして扱う。一方、追加シーケンスでは、例えば領域250は、主シーケンスの領域210と領域211のデータブロックと同じ実時間に対応し、領域252の記録領域は、主シーケンスの領域212と領域213のデータブロックと同じ実時間に対応する。追加シーケンスでは、領域250、領域252…のそれぞれを、1つのデータブロックとして扱う。
別領域(追加シーケンス)へのアフレコ編集では、ビデオデータV2まで主シーケンスの再生が終わったあとで、アフレコデータを記録するために、ディスク上の別領域(追加シーケンス)へのアクセスを行なう。このアクセスは、図10において、ビデオデータV2の終端から別領域(追加シーケンス)のオーディオデータ記録領域250の始端までのアクセスとして表されており、アクセスにはTfの時間を要する。そして別領域(追加シーケンス)のオーディオデータ記録領域250に、アフレコのオーディオデータB1を記録し、さらに、別領域(追加シーケンス)のオーディオデータ記録領域252に、アフレコのオーディオデータB2を記録する。その後、別領域(追加シーケンス)のオーディオデータ記録領域252の終端から、主シーケンスにおける続きの再生データの始端へ向けてTfの時間でアクセスを行なう。
以上のアフレコ編集を1サイクルとして、本実施形態にかかる別領域(追加シーケンス)へのアフレコ編集では、以下、同様の処理を繰り返す。この繰り返し処理の1サイクルを、図10の220から223までの各記録領域に対して適用し、1サイクルの処理に要する時間を処理順に沿って列挙すると、オーディオデータAjの再生時間TA、オーディオデータAjの終端からビデオデータVjの始端までのアクセス時間Tfav、ビデオデータVjの再生時間TcVj、ビデオデータVjの終端からオーディオデータAj+1の始端までのアクセス時間Tfva、オーディオデータAj+1の再生時間TA、オーディオデータAj+1の終端からビデオデータVj+1の始端までのアクセス時間Tfav、ビデオデータVj+1の再生時間TcV(j+1)、ビデオデータVj+1の終端から別領域(追加シーケンス)のオーディオデータ記録領域260の始端までのアクセス時間Tf、アフレコのオーディオデータBjの記録時間TB、アフレコのオーディオデータBj+1の記録時間TB、別領域(追加シーケンス)のオーディオデータ記録領域262の終端から次の再生データの始端までのアクセス時間Tfとなる。なお、ビデオデータVj+1の終端から、別領域(追加シーケンス)のオーディオデータ記録領域260の始端までのアクセス時間Tfには、再生から記録への切換処理時間を含んでおり、また、別領域(追加シーケンス)のオーディオデータ記録領域262の終端から、主シーケンスにおける次の再生データの始端までのアクセス時間Tfには、記録から再生への切換処理時間を含んでいるとする。
なお、上記の説明は、オーディオデータとビデオデータからなる組(データブロック)を2組まとめて再生し、その後、アフレコのオーディオデータを2データブロックまとめて別領域(追加シーケンス)にアフレコ記録する、という処理を1サイクルで行っている。また、別領域(追加シーケンス)のオーディオデータ記録領域260と262はディスク上で連続して記録できるとしているが、両者の間に別のデータが存在する場合は、アフレコのオーディオデータBjとBj+1の記録の間に、適当なアクセス時間を加えても良い。以上の処理時間を合計することで、別領域(追加シーケンス)へのアフレコ編集における1サイクルの処理時間が求められ、次式で表される。
(2組(2個のデータブロック)をまとめて別領域(追加シーケンス)へのアフレコ編集を行なう場合の1サイクルの処理時間)=TA+Tfav+TcVj+Tfva+TA+Tfav+TcV(j+1)+Tf+TB+TB+Tf
ここで、オーディオデータとビデオデータが互いに隣接して連続的に記録されている場合は、TfavとTfvaは無視して0とし、さらに、前述の図4および図5の説明と同様に、別領域(追加シーケンス)にアフレコのオーディオデータを記録する際にも、全部のオーディオチャンネルをなぞるとしてTB=TAとすると、次の式になる。
(2組(2個のデータブロック)をまとめて別領域(追加シーケンス)へのアフレコ編集を行なう場合の1サイクルの処理時間)=2×Tf+TcVj+TcV(j+1)+2×2×TA
ここで、図1で説明した領域内へのアフレコ編集と同様に、最もビットレートが高いデータとして、ビデオデータのアフレコ成立条件を求める。図10で説明した2組(2個のデータブロック)まとめて別領域(追加シーケンス)へのアフレコ編集を行なう場合において、ディスクから再生されるビデオデータのサイズは、ビデオデータVjのデータ量をYVj、ビデオデータVj+1のデータ量をYV(j+1)とすると、両者の合計サイズは、YVj+YV(j+1)となり、これがビデオデータの再生バッファに蓄積されることになる。この蓄積されたデータは、ビデオデータのビットレートでデコーダに消費されていく。可変ビットレートを考慮して、ビデオデータVjのビットレートをVdVj、ビデオデータVj+1のビットレートをVdV(j+1)とすると、ビデオデータの再生バッファがデコーダに消費されて空になるまでの時間は、
YVj/VdVj+YV(j+1)/VdV(j+1)
となる。この時間が、先ほど求めたアフレコ編集の1サイクルの処理時間以上であれば、ビデオデータの再生バッファが空にならずにアフレコ編集を1サイクル行なうことができる。これがビデオデータの再生バッファに関する、アフレコ編集1サイクルの条件となる。ビデオデータの記録長をTIとすると、ビデオデータの再生バッファがデコーダに消費されて空になるまでの時間は、2×TIとなる。この時間よりも、アフレコの1サイクルに要する処理時間の方が短ければアフレコ編集が成立することになるので、ビデオデータに着目した場合のアフレコの成立条件は、
2×TI≧(2組(2個のデータブロック)まとめて別領域(追加シーケンス)へのアフレコ編集を行なう場合の1サイクルの処理時間)
となるので、代入すると、
2×TI≧2×Tf+TcVj+TcV(j+1)+2×2×TA
となる。
ここで、前述の図4および図5の説明から、1ECCブロックを読み出す時間をTs、ビデオデータ内でスキップするECCブロックの数をa、他種データも含めたオーディオデータ内でスキップするECCブロックの数をbとすると、先ほどのアフレコにおけるオーディオデータの記録に要する処理時間TAは、
TA=N×TcA+b×Ts
となる。また、図10におけるビデオデータVjの再生に要する時間はTcVj+a×Tsとなり、ビデオデータVj+1の再生に要する時間はTcV(j+1)+a×Tsとなり、これらを代入すると、
2×TI≧{2×Tf+(a+2×b)×2×Ts+TcVj+TcV(j+1)+2×2×N×TcA}
となる。さらに、ディスクの記録または再生のビットレートをVt、ビデオデータVjのビットレートをVdVj、ビデオデータVj+1のビットレートをVdV(j+1)、オーディオデータのビットレートをVdAすると、
TcVj=TI×VdVj/Vt
TcV(j+1)=TI×VdV(j+1)/Vt
TcA=TI×VdA/Vt
これらを条件式に代入して整理すると、
TI≧(2×Tf+(a+2×b)×2×Ts)×Vt/(2×Vt−VdVj−VdV(j+1)−2×2×N×VdA)
となり、これが、2組(2個のデータブロック)まとめて別領域(追加シーケンス)へのアフレコ編集が成立するための条件式となる。
また、ここまでの説明では、2組(2個のデータブロック)まとめて別領域(追加シーケンス)へのアフレコ編集をする場合の成立条件を求めたが、Mを2以上の整数として、M組(M個のデータブロック)まとめて別領域(追加シーケンス)へのアフレコ編集を実施しても良い。この方法について図11を用いて説明する。
図11は、M組(M個のデータブロック)まとめて別領域(追加シーケンス)へのアフレコ編集を行なう方法を表した図であり、図11において210から215までと、220から221までの各記録領域は、図8で説明したものと同じである。また、オーディオデータA1、ビデオデータV1、オーディオデータA2、ビデオデータV2、オーディオデータA3、ビデオデータV3までの再生も、図8で説明したものと同じである。図11において、オリジナルのオーディオデータAiと、ビデオデータViと、アフレコのオーディオデータBiとが、同じ実時間に対応するデータである。
なお、図11において、領域210〜221…からなる記録領域と、領域250〜260…からなる記録領域は、記録媒体上で互いに離れた位置に配置されている。領域210〜221…からなる記録領域を主シーケンス、領域250〜260…からなる追加シーケンスと称する。また、主シーケンスにおいて、領域210と領域211、領域212と領域213のように、交互に隣接配置された領域のオーディオデータとビデオデータの組み合わせが、同じ実時間に対応している。このように、主シーケンスでは、同じ実時間に対応するオーディオデータとビデオデータの組み合わせを含むデータのまとまり(記録領域)を、1つのデータブロックと定義する。すなわち、例えば領域210と領域211を、1つのデータブロックとして扱う。一方、追加シーケンスでは、例えば領域250は、主シーケンスの領域210と領域211のデータブロックと同じ実時間に対応し、領域252の記録領域は、主シーケンスの領域212と領域213のデータブロックと同じ実時間に対応する。追加シーケンスでは、領域250、領域252…のそれぞれを、1つのデータブロックとして扱う。
M組(M個のデータブロック)まとめて別領域(追加シーケンス)へのアフレコ編集を行う場合は、オーディオデータとビデオデータからなる組(データブロック)をM組再生する。図11において、M組目のデータ(M個目のデータブロック)が、オーディオデータAjとビデオデータVjであるとすると、ビデオデータVjまで再生した後で、今度はアフレコデータを記録するために、別領域(追加シーケンス)のオーディオデータ記録領域250へアクセスを行なう。そして別領域(追加シーケンス)のオーディオデータ記録領域250に、アフレコのオーディオデータB1を記録し、さらに次の別領域(追加シーケンス)のオーディオデータ記録領域252に、アフレコのオーディオデータB2を記録し、以降、この処理を繰り返し、M個目のデータブロックのオーディオデータ記録領域260に対して、アフレコのオーディオデータBjの記録が終わると、主シーケンスにおける続きの再生データへアクセスを行なう。
以上のように、本実施形態では、オーディオデータとビデオデータからなる組(データブロック)をM個再生してから、これらのM個のビデオデータに対応するアフレコのオーディオデータを、別領域(追加シーケンス)のオーディオデータ記録領域へM個のデータブロックだけアフレコ記録し、このアフレコ編集を1サイクルとして繰り返すようにした。M組(M個のデータブロック)まとめて別領域(追加シーケンス)へのアフレコ編集が成立するための条件を求めると、先ほど求めた2組(2個のデータブロック)まとめて別領域(追加シーケンス)へのアフレコ編集を行なう場合の条件式をMで一般化することで、
TI≧(2×Tf+(a+2×b)×M×Ts)×Vt/(M×Vt−Σ(VdVk)−2×M×N×VdA)
(Σはk=1〜M)
となり、これが、M組(M個のデータブロック)まとめて別領域(追加シーケンス)へのアフレコ編集を行なう場合における成立条件の式となる。
上記のM組(M個のデータブロック)まとめて別領域(追加シーケンス)へのアフレコ編集を行なう場合の条件式は、前述したM組(M個のデータブロック)まとめて領域内へのアフレコ編集を行なう場合の条件式において、Tf(j)+M×Tfvの項を2×Tfで置き換えたものと同じになる。この意味は、領域内へのアフレコ編集では、アフレコ記録を行なうためにTf(j)のアクセスと、アフレコ中にビデオデータをM個読み飛ばすために、M×Tfvのアクセスが必要であるのに対して、別領域(追加シーケンス)へのアフレコ編集では、別領域(追加シーケンス)までのアクセス時間Tfが往復の分、すなわち2×Tf必要になる、ということを表している。すなわち、これらのアクセス時間を除けば、別領域(追加シーケンス)へのアフレコ編集の条件式は、領域内へのアフレコ編集の条件式と同様に扱うことができる。従って、別領域(追加シーケンス)へのアフレコ編集においても、上記の条件式をMについて変形してMを求めても良いし、前述したような図15のグラフを作成することで、別領域(追加シーケンス)へのアフレコ編集が成立するようなMの値を求めても良い。また、別領域(追加シーケンス)へのアフレコ編集のフローチャートは、領域内へのアフレコ編集のフローチャートである図12において、C40で示されたアフレコするデータへアクセスおよび再生から記録への切換え処理の部分が、別領域(追加シーケンス)へのアクセスおよび再生から記録への切換え処理になり、さらに、C62で示された次のアフレコ領域へアクセスする処理は、別領域(追加シーケンス)において2つのオーディオデータの間にデータが存在しない場合、実質的なアクセス時間が発生しないものとして処理することで、図12のフローチャートを使って表現できる。
なお、本実施形態のアフレコ編集においてMの値を大きくした場合、アフレコの成立条件が緩和されるために、1サイクルでアフレコデータを記録した後に空き時間が生じる場合がある。この空き時間を使って、アフレコデータのベリファイ処理を行っても良い。すなわち、空き時間を利用して、記録済みのアフレコデータを読み出して、記録する前のアフレコデータとの比較処理を行っても良い。これによって、アフレコ編集を確実に行なうことが可能になる。
なお、本発明において、アフレコ編集の開始から終了までMを固定して繰り返し処理を行っても良いが、アフレコ編集中の記録バッファや再生バッファのデータ量に応じて、1サイクル毎にMを動的に変化させながらアフレコ編集を行っても良い。
(実施の形態3)
以下では本発明の実施の形態3として、アフレコ編集された記録媒体を再生する場合について説明する。図16は本実施形態にかかる記録再生装置(編集装置)における再生の順序を表した図である。図16に図示した各記録領域は、すべて同一の記録媒体上に存在しており、アフレコ編集が完了した状態にあるとする。なお、本実施形態にかかる記録再生装置の概略構成は図6に示したものと同様である。なお、以下の再生手順は、制御部650がピックアップ610の動作を制御することによって実現される。
図16においてG10、G12、G20、G22、G30はオーディオデータ記録領域を表しており、G11、G13、G21、G23、G31はビデオデータ記録領域を表している。これらのオーディオデータ記録領域とビデオデータ記録領域は、記録媒体上で交互に隣接して配置されている。また、図16では省略しているが、G13とG20の間、G23とG30の間、および、G31の後ろにも、オーディオデータ記録領域とビデオデータ記録領域からなる組が、複数組配置されている。
また、図16において、G50、G52、G60、G62、G70は、オーディオデータ記録領域を表している。これらのオーディオデータ記録領域は、アフレコ編集などで使用された、追加的なオーディオデータが記録されている。本実施例ではこれらの記録領域を、前述のG10〜G31…の記録領域(主シーケンス)に対して、別領域(追加シーケンス)のオーディオデータと呼ぶことにする。G50からG70までの各記録領域は、オーディオデータ記録領域のみで構成されており、各記録領域の間にビデオデータ記録領域は存在しない。また、図16では省略しているが、G52とG60の間、G62とG70の間、および、G70の後ろにも、オーディオデータ記録領域が複数個存在している。
前述のG10〜G31…の記録領域と、G50〜G70…の記録領域は、記録媒体上で互いに離れた位置に配置されている。以降、G10〜G31…の記録領域を主シーケンス、G50〜G70…の記録領域を追加シーケンスと称する。また、主シーケンスにおいて、G10とG11、G12とG13のように、交互に隣接配置されたオーディオデータとビデオデータの組み合わせが、同じ実時間に対応している。このように、主シーケンスでは、同じ実時間に対応するオーディオデータとビデオデータの組み合わせを含むデータのまとまり(記録領域)を、1つのデータブロックと定義する。すなわち、例えばG10とG11を、1つのデータブロックとして扱う。一方、追加シーケンスでは、例えばG50の記録領域は、主シーケンスのG10とG11のデータブロックと同じ実時間に対応し、G52の記録領域は、主シーケンスのG12とG13のデータブロックと同じ実時間に対応する。追加シーケンスでは、G50,G52…のそれぞれの記録領域を、1つのデータブロックとして扱う。
また、図4で説明したように、1つのオーディオデータ記録領域には、複数の音声チャンネルのオーディオデータが記録できるように、その記録領域の内部が複数の領域に分割されている。ここで図16において、オーディオデータ記録領域G50からG70までは、図4(a)でN=4とした場合に相当するとし、それぞれの記録領域の内部がch1からch4までの4チャンネルのオーディオデータの記録領域に分かれているとする。そのうち、ch3とch4が再生時に使用されるとする。すなわち、別領域(追加シーケンス)のオーディオデータに関しては、図4(a)において、記録領域417と418のオーディオデータが再生時に使用されるとする。
また、図5で説明したように、オーディオデータ記録領域には、多種データの記録領域が隣接する場合もある。特に、図5(b)で示したようなケースでは、ch1のオーディオデータ記録領域411の前に、多種データLjの記録領域540が隣接している。多種データは、オーディオデータやビデオデータに関連した情報を含んでいるため、再生時には多種データも読み出す必要がある。ここで図16において、オーディオデータ記録領域G10、G12、G20、G22、G30は、図5(b)でN=4とした場合に相当するとし、それぞれの記録領域の内部がch1からch4までの4チャンネルのオーディオデータの記録領域に分かれ、さらにch1の記録領域411の前に多種データLjの記録領域540が隣接しているとする。そのうち、多種データLjとオーディオデータch1とch2が再生時に使用されるとする。
以上の前提で再生を行う場合について説明する。図16において、まず、記録領域G10の途中から再生が始まる。そして記録領域G10の終端よりも手前の地点で、記録領域G50の途中に向けてアクセスを行う。ここまでの再生順序について、図5(b)を用いて説明する。図5(b)において、記録領域540には多種データが記録されている。一般的なケースを考慮すると、再生の開始点は必ずしも各記録領域の先頭と一致するとは限らないので、再生開始点が記録領域540の途中であるとし、記録領域540の途中から終端まで多種データLjを読み出す。次に、同じく図5(b)において、記録領域411のオーディオデータch1と、記録領域412のオーディオデータch2に関しても、記録領域の途中から再生を行う。しかし、オーディオデータはデータ量が少ないので、多種データLjの終端から、オーディオデータch1の途中(再生の開始点)までの不要なデータを、ファインシーク等のアクセス手段で読み飛ばしても良いが、そのまま回転待ちでオーディオデータch1の開始点に到達しても良い。同様に、オーディオデータch1の終端から、オーディオデータch2の途中(再生の開始点)も、そのまま回転待ちでオーディオデータch2の再生の開始点に到達しても良い。オーディオデータch2の終端まで読み出した後は、この記録領域の後ろに隣接する他のチャンネルのオーディオデータは再生に使用しないので、オーディオデータch2の終端から、別領域(追加シーケンス)のオーディオデータに向けてアクセス動作を行う。
図16において、別領域(追加シーケンス)のオーディオデータの記録領域である記録領域G50の途中にアクセスした後は、記録領域G50の終端までデータを読み出し、さらに、記録領域G52、そして記録領域G60の終端までデータの読み出しを行う。そして、記録領域G60の終端から、主シーケンスの記録領域G11の途中に向けてアクセス動作を行う。ここまでの再生順序について、図4(a)を用いて説明する。図4(a)でN=4とした場合、記録領域417がオーディオデータのch3の記録領域に相当し、記録領域418がオーディオデータのch4の記録領域に相当する。オーディオデータch3の再生の開始点も、記録領域417の途中であるとすると、別領域(追加シーケンス)のオーディオデータに向けてのアクセス先は、記録領域417の途中に着地し、オーディオデータch3の途中から終端までデータの読み出しを行う。次のオーディオデータch4の再生の開始点も、記録領域418の途中であるとすると、この時も前述と同様に、回転待ちでオーディオデータch4の再生の開始点に到達しても良い。そして記録領域418の終端までデータを読み出しを行う。
図16において、記録領域G50の終端までデータの読み出しを行った後は、次の記録領域G52のデータの読み出しを行う。この時、記録領域G52も図4(a)と同様な内部構成になっているので、再生に必要なオーディオデータch3とch4は、記録領域内の後方部分に配置されている。図4(a)の記録領域411や412は、再生に使用しないオーディオデータであるが、前述と同様に回転待ちで記録領域417の始端に到達しても良い。そして記録領域417と418のオーディオデータを読み出す。この結果、ファインシーク等のアクセスを行わずに、回転待ちで不要なデータ部分を読み飛ばしながら、オーディオデータch3とch4を再生する動作を繰り返すので、図16における再生順番は、記録領域G52の始端から記録領域G60の終端までを全てトレースすることになる。
さらに図16において、記録領域G60の終端から、記録領域G11の途中へ向けてアクセスを行う。記録領域G11の途中とは、記録領域G11のビデオデータV1の再生の開始点に必要なデータの位置を意味している。これは、例えばビデオデータがMPEG等のフレーム相関のある圧縮形式の場合、再生の開始点のフレームをデコードするには、再生の開始点よりも数フレーム前のデータを読み出す必要がある場合があることを意味している。従って、記録領域G11へのアクセス先は、ビデオデータV1の再生の開始点ではなく、ビデオデータV1の再生の開始点に必要なデータの先頭位置へアクセスを行うものとする。記録領域G11の途中から終端までデータの読み出しを行った後は、次の記録領域G12へアクセスを行う。この時、記録領域G11のビデオデータV1の終端から、記録領域G12内の多種データの始端までの間に、再生に不要なデータが存在する場合は、図16のアクセス時間Tfvaで示されるようなファインシーク等のアクセス手段で不要なデータを読み飛ばしても良いし、回転待ちで読み飛ばしても良い。さらに記録領域G12内では、図5(b)で示されるように、多種データLjとオーディオデータch1とch2を読み出す。その後、図5(b)の記録領域412の後ろに隣接する他のチャンネルのオーディオデータは再生に不要であるため、回転待ちで読み飛ばして次のデータに到達しても良いし、ファインシーク等のアクセス手段で読み飛ばしても良い。この読み飛ばしの部分は、図16において記録領域G11とG12の間にアクセス時間Tfavで表されている。以下、読み飛ばしの処理を挟みながら、記録領域G13、G20、G21までデータの読み出しを行う。
次に、図16の記録領域G22内の多種データとオーディオデータch1とch2の読み出しを行った後、別領域(追加シーケンス)のオーディオデータの記録領域G62の途中へ向けてアクセスを行う。この様子を図4と図5を用いて説明する。図16の記録領域G22の内部は、図5(b)に相当するので、図5(b)において、記録領域540と411と412のデータの読み出しを行う。記録領域412よりも後ろに配置された他のチャンネルのオーディオデータは再生に不要であるため、記録領域412の終端までデータを読み出した後は、そこからアクセス動作を行うことができる。アクセス先の別領域(追加シーケンス)のオーディオデータの記録領域は、図4(a)に相当する。図4(a)でN=4とした場合の記録領域417と418が、再生に必要なch3とch4のオーディオデータであるため、アクセス先は図4(a)の記録領域417のch3のオーディオデータの始端に着地する。そして記録領域417のオーディオデータch3と、記録領域418のオーディオデータch4の読み出しを行う。ここまでの処理で、図16の記録領域G62までデータの読み出しを行ったことになる。記録領域G62の次は、記録領域G70までデータの読み出しを行う。記録領域G62からG70までは、いずれも記録領域の内部が図4(a)に相当するため、図4(a)の記録領域417と418のみを読み出す。これ以外の記録領域411や412は再生に不要なデータであるため、回転待ちで読み飛ばしても良い。この結果、図16では、記録領域G62の途中へアクセスした後、記録領域G70の終端まで、全てトレースすることになる。図16で記録領域G70の終端までデータの読み出しを行った後は、記録領域G23のビデオデータVj+1の始端に向けてアクセスを行う。そして、ビデオデータVj+1の始端から終端までデータの読み出しを行う。以下、記録領域G30、G31、および、それ以降の記録領域に対しても、上記と同様の処理を繰り返していく。
以上説明した再生順序では、別領域(追加シーケンス)へのアフレコ編集の記録時と同様に、別領域(追加シーケンス)のオーディオデータを複数個(複数のデータブロック分)まとめて読み出し、そして、オーディオデータとビデオデータが交互に配置された領域からも、オーディオデータとビデオデータを複数個(複数のデータブロック分)まとめて読み出している。これによって、別領域(追加シーケンス)のオーディオデータへのアクセス回数を減らしている。これらの再生処理において、各記録領域を何個まとめて読み出せば良いかについて、以下に説明する。
再生時も記録時と同様に、ビットレートの高いデータほどデコーダのデータ消費が速いため、再生の成立条件は最もビットレートが高いビデオデータの条件について着目することにする。記録媒体から読み出したビデオデータは、バッファに蓄積され、バッファに蓄積されたビデオデータは、再生のためにデコーダに消費されていく。再生の映像が途切れないためには、再生中にバッファ内のビデオデータが空にならない事が必要である。
図16において、ビデオデータの読み出しは、記録領域G11から開始される。記録領域G11内の必要なビデオデータの読み出しに要する時間をTcV1とする。次に記録領域G12の必要なデータへアクセスする時間をTfvaとし、記録領域G12内での必要なデータの読み出し、および、次のデータまでの回転待ちの時間をTAとする。記録領域G12の終端から記録領域G13の始端までのアクセス時間をTfavとする。記録領域G13のビデオデータV2の読み出し時間をTcV2とする。個々のビデオデータ記録領域は、ビデオデータが可変ビットレートの場合も考慮し、それぞれ異なるデータ量であるとして、jを1以上の整数として、このjを添え字で表記し、ビデオデータVjの読み出し時間をTcVjで表すことにする。記録領域G20内の必要なデータの読み出し、および、次のデータまでの回転待ちの時間もTAとする。記録領域G22内の必要な部分のデータ読み出し時間をTA(j+1)とする。その後、記録領域G62内の必要なデータまでのアクセス時間をTfとする。記録領域G62内の必要なデータの読み出し時間、および、次のデータまでの回転待ちの時間をTB(j+1)とする。以下、記録領域G70まで、次のデータまでの回転待ちの時間、および、必要なデータの読み出し時間をそれぞれTBとする。そして、記録領域G70内の必要なデータの終端から、記録領域G23の必要なデータの始端へアクセスする時間をTfとする。その後、記録領域G23内の必要なデータの読み出し時間をTcV(j+1)とする。
以上の処理時間のうち、ビデオデータの読み出しに要する時間をTsvとすると、Tsvは次式で表される。
Tsv=TcV1+TcV2+・・・+TcVj+TcV(j+1)=Σ(TcVi)
(ただし、Σはi=1〜(j+1)までとする)
また、図16において、ビデオデータV1の読み出し開始から、ビデオデータV(j+1)の読み出し終了までの期間内において、ビデオデータの読み出し以外に要した処理時間をTnvとすると、Tnvは上記の期間内における多種データやオーディオデータの読み出し時間や、回転待ち時間、アクセス時間を合計した時間であるため、Tnvは次式で表される。
Tnv=Tfva+TA+Tfav+・・・+Tfva+TA+Tfav+Tfva+TA(j+1)+Tf+TB(j+1)+TB+・・・+TB+Tf
上式を整理すると、
Tnv=Tfva×j+TA×(j−1)+Tfav×(j−1)+TA(j+1)+TB(j+1)+TB×(j−1)+Tf×2
さらに、図16においてオーディオデータ記録領域とビデオデータ記録領域の間は連続して配置されているとして、アクセス時間Tfav=0とすると、
Tnv=Tfva×j+(TA+TB)×(j−1)+TA(j+1)+TB(j+1)+Tf×2
となる。
また、読み出したビデオデータの総量をYVとし、ビデオデータのビットレートをVdVとすると、読み出したビデオデータがすべてデコーダに消費されるまでの時間は、
YV/VdV
となる。この時間よりも、読み出し処理時間の合計値が短ければ、ビデオデータのバッファが再生中に空にならないので、
YV/VdV≧Tsv+Tnv
が成立すれば映像が途切れずに再生できることになる。上式の右辺のTsvおよびTnvはjの式であるため、この条件式を満たすjの値が、再生時に各領域をまとめて読み出す個数に相当する。
また、本実施形態の再生順序では、図16の記録領域G10内に存在する多種データとオーディオデータのch1とch2を読み出した後に、隣接する記録領域G11のビデオデータを先に読み出すのではなく、別領域(追加シーケンス)のオーディオデータである記録領域G50の途中へアクセスし、別領域(追加シーケンス)のオーディオデータのch3とch4を先に読み出している点も特徴である。
この理由について、以下説明する。一般にビデオデータは、同じ時間分のオーディオデータよりもデータサイズが大きいため、記録媒体からデータを読み出す時間も、ビデオデータの方が多くの時間を要する。再生処理は映像と音声を同期して出力する必要があるため、記録媒体から読み出すデータは、ビデオデータだけでなく、必要な音声のチャンネル分のオーディオデータも全て揃った時に、映像と音声を出力することができる。ここで、本実施形態とは異なる再生順序を行った場合について考えてみる。図16において記録領域G10から順にG11、G12、G13、G20、G21、G22を先に読み出したとする。この時点では、ビデオデータと、多種データと、オーディオデータのch1とch2しか読み出されていない。従って、残りのオーディオデータのch3とch4が未だ無いので、この時点では映像と音声を出力できない。残りのオーディオデータのch3とch4は、さらに記録領域G50を読み出した時に、映像と4チャンネルの音声の同時出力が可能になる。記録領域G10からG22までのデータ読み出しは、ビデオデータを含むため、データの読み出し処理に時間がかかる。これに対して、本実施形態の再生順序では、主シーケンスの記録領域G10を読み出した後に、追加シーケンスの記録領域G50からG60を先に読み出している。従って、この時点で、記録領域G10のオーディオデータch1とch2がバッファに存在し、さらに、記録領域G50からG60までのオーディオデータch3とch4がバッファに存在している。従って、記録領域G11のビデオデータを読み出した時点で、ビデオデータと4チャンネル分のオーディオデータが揃うため、映像と音声を出力することができる。記録領域G50からG60まではオーディオデータであるため、読み出しに要する時間は短くて済む。従って、本実施形態の再生順序では、再生処理において映像と音声の出力を早く開始できる効果がある。
また、データを読み出してから映像や音声として出力するまでの間は、読み出したデータを保持しておくためのバッファ等のメモリが必要である。前述のように、本実施形態とは異なる方法でビデオデータを先に読み出した場合、4チャンネル分のオーディオデータが揃うまでの間、先に読み出したビデオデータを保持しておく必要がある。一般にビデオデータは、同じ時間分のオーディオデータよりもデータサイズが大きいため、ビデオデータを保持するには大きなサイズのバッファが必要になる。本実施形態の再生順序では、ビデオデータよりも先にオーディオデータを先に読み出す。従って、ビデオデータよりもサイズの小さなオーディオデータを保持すれば良いので、読み出したデータを保持するためのバッファサイズが小さくて済む効果がある。