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JP3907819B2 - 液面検知装置 - Google Patents

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JP3907819B2
JP3907819B2 JP7450998A JP7450998A JP3907819B2 JP 3907819 B2 JP3907819 B2 JP 3907819B2 JP 7450998 A JP7450998 A JP 7450998A JP 7450998 A JP7450998 A JP 7450998A JP 3907819 B2 JP3907819 B2 JP 3907819B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、容器内の液体をプローブ等を用いて液面検知する方式に関し、例えば液面検知の後に吸引過程を行う自動分析装置等を想定した液面検知方式に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、医療分野をはじめとして各種の分析装置がこれまでにも幾つかの提案されている。特に分析装置自体の処理速度の高速化が進むに伴ない、検知に使用されるプローブ( 電極) の移動速度も更に高速であることが要求されている。よって、試料( サンプル) の液面検知のための下降動作において検知判定を誤検知防止の為にある時間遅らせると、サンプリング・プローブの駆動手段へ停止信号を送るのが遅れてしまい、結果としてそのプローブが試料内へ潜り込む深さが増えてしまう。特に試料が微量な場合においては、容器の底面にプローブ先端が接触してしまう恐れがある。また試料が容器内に充分ある場合でも、プローブが必要以上に深く試料内部に挿入されたり、異なる試料間におけるコンタミネーションの影響も増大してしまう。
このように、プローブや分注ノズル等の停止動作に関する技術においても次のようなものが提案されている。一般的には、発振器とこの発振器に接続した電極と、その電極により誘導される信号を受信するプローブを用いて液面を検知する液面検知装置において、液面検知した際にそのプローブを停止させる液面検知技術が既にあった。
【0003】
また近年の特開平8−210896号公報には、液面検知装置により液面を検知しプローブを停止させた後、液体の吸引動作中にその液面検知装置の出力に基づきプローブ内の液体の吸引状態をモニタしてその良否を判定するような自動化学分析装置の提案もある。
さらに特開平8−114604号公報には、プローブが液面を検知して吸引を終了するまでの間プローブが液面に接触し続けたか否かを判定する判定手段を有し、この判定手段にて接触が検知され続けないと判断された際にこの状況を操作者に通知するという自動分析装置の提案もある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記の従来技術にはそれぞれ解決しなければならない問題点がある。例えば、血液等の試料表面に泡が付着していたり、外来ノイズ等の影響で液面を誤検知してしまっても、液面を検知したとみなし吸引動作を行うため、プローブ先端が試料に充分に潜り込んでおらず試料の空吸いが起こってしまう。このような場合、試料がラック上に在るときには、他の分析動作は通常通り行われ、ラックは移動してしまうため、その試料を再分注するには時間がかかってしまうという不具合があった。
この一因は、泡、外来ノイズまたは静電気などにより液面検知センサが接触信号と検知してから離脱信号を検知する迄の時間が、プローブが液面に接触した場合と比べると極めて短時間の信号であるため、所定時間以上の信号が入力したときは、液面検知信号と判断して駆動手段へ停止信号を送りそのプローブの降下を停止させることが一般的であったことにもよる。
【0005】
また、特開平8−210896号および特開平8−114604号公報の問題点としては、吸引中に空吸いであると判断したり、吸引中に液面からプローブが離れたことを検知しても、途中まで吸引した試料が無駄になってしまい、試薬が先に分注されている場合には試薬も無駄になる。そしてそのサイクルでは分注を行わないため、分析も行わないことになってしまう。その後の処理方法は、次サイクルで再度分注を行うか、吸引が正確に行われなかったことを操作者に知らせるだけというものである。よって、このような再分注や操作者への通知を繰り返していると全検体の分析時間が長く要してしまう。また、空吸いを判断後、再下降し吸引をやり直すことも考えられるが、その場合、吸引動作をリセットする時間が余計にかかってしまうという不具合があった。
【0006】
そこで本発明の目的は、液面検知装置が泡、外来ノイズまたは静電気などにより液面を誤検知した場合であっても、分析のシーケンスに影響を与えることなく、プローブが上点から下降し分注等を行う一連の動作を、その分析の1サイクル中の定められた時間内に行うことのできる液面検知装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本発明の第1の態様に係る液面検知装置は、所定の液体を収容する収容容器に対して該液体を吸引するか所望の液体を添加する液体移送手段と、前記液体移送手段の先端が該液体の表面に接触したことを所定の接触信号により検知するとともに、該液体から離れたことを所定の離脱信号により検知する検知手段と、前記液体移送手段の先端を前記容器内に下降させ、前記接触信号が検知された後、該先端から該液体を液体移送する前に前記離脱信号が検知されたか否かを判定する判定手段と、を具備し、前記検知手段により前記接触信号が検知された後、所定の駆動手段によって前記液体移送手段が液体移送動作に移行させる前に前記離脱信号が検知され、かつ、前記検知手段により接触信号が検知されてから離脱信号が検出されるまでの時間が、前記液体移送手段が停止に要する時間よりも短い場合に、前記判定手段は、前記接触信号が検知された位置は真の液面でないと判定する
【0008】
また、本発明の第2の態様に係る液面検知装置は、本発明の第1の態様に係る液面検知装置において、前記液体移送手段が液面を誤検知した場合でも、前記液体移送手段があらかじめ設定された上点から下降して正しい液面を検知後、液体移送動作までを行う一連の動作を、分析の1サイクル中の定められた時間内に行うように制御する。
【0009】
【作用】
本発明に係わる請求項の態様による液面検知方式においては、以上の手段により次のような作用を奏する。すなわちこの液面検知方法では、液面検知装置が外来ノイズや静電気、泡などにより液面を誤検知しても、分析のシーケンスに影響を与えることなくプローブが上点から下降し、正しい液面を検知する。そしてその後の分注等を行う一連の動作を、分析の1サイクル中の定められた時間内に連続かつ自動的に行うことを可能とする。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の液面検知装置についての複数の実施形態例およびそれらの変形例を挙げて詳しく説明する。
(第1実施形態例)
図1には、本発明の第1実施形態例および後述の第2実施形態例としての液面検知装置の構成が示され、また図2(a), (b)にはこの液面検知装置のプローブの先端位置と容器内の液体との位置関係を拡大して示している。
【0011】
本発明の実施形態例に係わる液面検知装置10は図1に示すように構成されている。すなわち、所望の検知対象とする液体20を収容した例えば試験管等の液体収容容器4内にアクセス(挿入・挿脱)できる分注ノズル等に付設された金属製のプローブ1と、このプローブ1を図示の如く鉛直方向に保持するアーム2と、このアーム2を上下動で鉛直方向に動かすと共に回動で水平方向(x方向)に動かす駆動手段3と、プローブ1を介して得られた電気的変化を感知して所定の信号を発生するセンサ7と、このセンサ7からの信号を入力してこの液体の液面を検知する液面検知回路5と、この液面検知回路5から送られた信号に基づき真の液面であるか否かを判定する判定手段6とからこの液面検知装置10は構成される。
【0012】
センサ7は、プローブ1の先端が何らかの液体に触れるとアナログの電気信号を液面検知回路5に送るが、この信号は「接触信号」として認識される。またこのプローブ1の先端がその触れたものから離れると「離脱信号」として認識されるアナログ信号を液面検知回路5に送る。液面検知回路5は送られた各信号をデジタル変換して判定手段6に供給する。一方、判定手段6と接続された駆動手段3はこの判定手段6の指令で駆動されるが、判定手段6はまた常にその駆動状態を認識している。
【0013】
このように、試料及び試薬の液体20が収容された容器4の上部開口のほぼ中央に向けてプローブ1を真っすぐ下降させ、更に容器4内に浸入させた後に、容器4内の液面にこのプローブ1の先端が接触すると、液面検知回路5は接触信号を検知し、直ちに駆動手段3に信号を送り、所定の深さまでこのプローブ1を容器4内へ下降させ停止させる。そして所定の分注手段(不図示)により所定の吸引動作後、駆動手段3によりプローブ1を上昇させ、プローブ先端が液面から離れると検知回路5は離脱信号を検知する。
この際、近年の分析装置の高速化に伴なって試料の分注動作をより素早く行う必要があるため、駆動手段3によりプローブ1は高速でその液体20を収容する容器4内へ下降する。
【0014】
前述の目的を達成するために本発明において、判定手段6は、液面検知のためのセンサ7が発した接触信号を認識し、駆動手段3によりプローブ1が停止動作中、もしくは停止しても、このプローブ1が次なる吸引動作を行う以前にセンサ7によって離脱信号が発せられたか否かを判定する。そしてこの判定手段6が、離脱信号が検知されてプローブ1が液面に接触していないと判定された際には、駆動手段3によってプローブ1を再駆動し、真の液面を検知するように制御を行う。
【0015】
一般に、図2(a)中に示す如く例えば血液等のタンパク質を含む液体表面には遠心分離、攪拌、分注等の処理後に気泡や泡21が生じることがあるが、液体表面の泡21へプローブ1が接触したことにより液面検知回路5があたかも液面に接触したかのような接触信号を検知した場合にも、プローブ1の試料への潜り込み深さを必要以上に大きくすることを防ぐために、接触信号が検出されたと同時に駆動手段3へ停止信号を送る必要がある。
【0016】
例えば、プローブ1が泡21に接触し、接触信号が液面検知回路5により検知されたときは、検知回路5は駆動手段3へ停止信号を送り、プローブ1は停止動作を開始する。しかしプローブ1が泡21に接触したため検知回路5は接触信号を検知するが、その直後に通常は泡が割れて消えることによりすぐに離脱信号を検知する。ここで、泡が高粘性により消えない場合でも、プローブ1が泡を突き抜けることによって同様に離脱信号を検知する。
このとき判定手段6は、液面検知回路5に接触信号が検出されてから、離脱信号が検出されるまでの時間が、プローブ1が停止に要する時間tよりも短い場合においては、この位置が液面でないと判定する。
【0017】
ここまでの動作を、図2(a)に示すプローブ1の先端位置と容器4の位置関係に基づき説明すると、例えば容器4内の血液等の表面に生じた数個の泡21は、真の液面の位置(d3)の上に任意に分散し重なり合って位置d1の高さに存在する。図2(a)中の破線矢印方向にプローブ1が下降動作を行いこの位置d1でプローブ先端がこの泡21に触れると、これを液面として誤検知する場合が起こる。その場合、判定手段の判断で更に下降を続けて図2(b)に示すように位置d2を通過してその下の液面の位置d3まで降下動作を続ける。この位置を真の液面と判断すると、図示の潜り込み深さを停止位置とする位置d4まで減速しながら降下し停止する。
【0018】
ここで図3には、その時の液面検知装置のプローブ1の降下動作に伴なうパルス信号のパルスレートの変化をグラフで示す。このパルス信号は、駆動手段を構成する機構中に例えばタイミングベルト等を用いて発生され。そのパルスレートは駆動速度に比例する。このパルス数をカウントすることによりモニタしまた制御することができる。このグラフによれば、上点に停止していたプローブは降下速度を増してt1で一定の下降速度に達し、その後は一定速度で液面に向かって降下を続ける。プローブはt2において何らかの液体に接触して接触信号(但し誤検知信号)を発する。判定手段は直ちにノズルの下降動作を停止させるため駆動手段に指令すると減速が始まるが、この間判定手段はこれが真の液面の位置か否かを判定し、t3にて誤検知であると判断するとそのときの降下速度を維持して更なる降下動作を継続させる。t4にて再び接触信号を検知しこれが真の液面位置であると判断すると、液面下の潜り込み深さが一定になるように徐々に減速しながらt5で停止させる。このとき判定手段6は、再下降時のパルスレートから停止時間を計算して、駆動手段3ヘ適宜なタイミングで停止信号を出すことによって、プローブ1が試料へ潜り込む深さを一定に制御する。
【0019】
また、泡などにプローブ1が接触した場合には、一旦接触信号が検出されてから次に離脱信号が検出されるまでの時間が極めて短時間である。なおこの時間は減速から停止するであろう時までの停止時間tよりも充分に短い。よって、判定手段6はプローブ1が所望の吸引動作を行う前に、この位置が液面でないと判断できる。そして即座に駆動手段3へ駆動信号を送りこのプローブ1を更に一定速度もしくは再加速して下降させる。その後は再び液面を検知することになり、同様にして真の液面と判断できた場合には、空吸いが起こらない適宜な深さに分注ノズルを潜り込ませ、t4以降、望ましくは停止後のt5以降から、分析のための所望の分注動作等を行うことになる。なお、誤検知の有無に係わらず、プローブが初期の上点位置から下降し分注動作終了までは、一連の分析の1サイクルによって決められた所定時間内に連続的かつ自動的に行うように制御する。
【0020】
(作用効果1)
このように、本第1実施形態例では、容器内の泡や気泡に起因して液面検知回路がプローブがあたかも液面に接触したかのような接触信号を検知した場合にも、このプローブの試料への潜り込み深さを充分にとれ、且つ必要以上に大きくすることを防ぐ。また判定手段は、再下降時のパルスレートから停止時間を計算し、駆動手段ヘ停止信号を出すことによって、プローブ1の試料への潜り込み深さを一定にする。
さらに、接触信号が検出されたと同時に駆動手段3へ停止信号を送るので正しい深さに分注ノズル等の先端を潜り込ませるので、吸引動作での空吸い等が防げる。
【0021】
(変形例1)
なお、本第1実施形態例に例示した液面検知装置の形態は、後述する第2、第3実施形態例同様に種々に変形実施できる。例えばこの液面検知装置10は、ある液体を容器から容器に分注する分注機能または、所定の分析を行うための分析機能等を総合的に有する装置を兼ねるものでもよく、用いる液体の液面検知動作に続いて攪拌、分注、分析、洗浄等を連続して行うことが可能なシステム装置であってもよい。
【0022】
また、液面検知用のセンサの種類は限定せず、例えば配管内圧力変化を感知する圧力センサ、管内に生ずる気流( エアー) を感知するセンサ、静電容量を感知するセンサ等を用いてもよいし、そのセンサの設置場所も適宜な位置に変更可能である。
さらに、プローブや分注ノズルチップは、検体のコンタミネーションをできるだけ防止するためにも使い捨て可能なものを用いてもよい。
【0023】
(第2実施形態例)
前述のように本第2実施形態例の液面検知装置も前述の第1実施形態例の装置とほぼ同じであるのでその構造の説明は省略するが、時間計測のための専用のタイマが設けられている点が構成的に異なる。
図4には、本発明の第2実施形態例に係わる液面検知装置のプローブの降下動作に伴なうパルス信号のパルスレート変化をグラフで示している。
【0024】
本例の下降動作および検知タイミングは、前述の第1実施形態例と異なって設定されている。すなわち本例では判定手段6が基準とする真の液面位置に関する判定条件を次のように定めている。プローブ1が試料と接触し、液面検知回路5が接触信号を検知してから、プローブ1が試料から離れ離脱信号が検出されるまで要した時間をタイマ(不図示)で計時しておき、この計時された時間を分析の一連のシーケンスに影響を与えないような所定時間と比較する。
なお、上記「所定時間」とは、分析の1サイクルによって規定されるプローブ1の上点からの下降開始から吸引動作開始までの時間内に設定される値である。
【0025】
本第2実施形態例に係わるパルスレートの変化を示す図4を参照すると、本例でも誤検知を認識して直ちに真の液面を検知するように動作することが明らかである。また、誤検知直後には下降速度を一旦ゼロにしてプローブを止めるように制御している。詳しくは、上点からt1を経てt2に至る経過は前述の第1実施形態例と同じ動作である。このt2においてプローブが何らかの液体に接触して接触信号(但し誤検知信号)を発すると、判定手段は直ちにプローブの下降動作を急激に停止させるため駆動手段に指令して減速を開始させ、同時に判定手段はこれが真の液面の位置か否かを判定し、t3にて下降速度がゼロになると共に誤検知であるとの判断ができると、直ちに降下速度をゼロから急峻に増加させて更に降下動作を再開させる。t4にて再び接触信号を検知しこれが真の液面位置であると判断すると、液面下の潜り込みが所定の深さになるまで一定な低速を維持した後、減速してt5で停止させる。この際に判定手段6は、再下降時のパルスレートから停止時間を計算して、駆動手段3ヘ適宜なタイミングで停止信号を出すことによって、プローブ1が試料へ潜り込む深さを所定の位置に制御する。 本例ではプローブ1は誤検知の発生により一度完全に停止する。その後、吸引動作を開始する前に再度下降動作を行い真の液面を検知する。
【0026】
(作用効果2)
このように本第2実施形態例によれば、プローブ1が試料と接触し、液面検知回路5が接触信号を検知してから、このプローブ1が試料から離れ離脱信号が検出されるまでに要した時間をタイマ等によって計時しておき、この計時された時間を分析の一連のシーケンスに影響を与えないような所定時間と比較しながら制御する。よってプローブ1は誤検知により一度停止しても、吸引を開始する前に再度下降をし液面を検知することができる。
また、再下降時のパルスレートから停止時間を計算することで、駆動手段3へ適宜なタイミングで停止指令を出せるので、プローブ1を試料の中に一定の深さで潜り込ませることができ、その結果、吸引動作における空吸い等を防げる。
【0027】
(第3実施形態例)
本第3実施形態例の液面検知装置は、前述の実施形態例のセンサ7が発振回路を有し、静電容量が変化したときの信号でもって液面を検出する構成から成る液面検出装置と同等の構成であるので、その説明は省略する。但し、発振回路については、公知の静電式液面検出機構のように、プローブ側ではなく容器側に配設してもよい。
本例の液面検知装置の特徴は、特に容器に発生する静電気を検知した際にも、この検知を液面検知とは誤判定せずに、更にプローブ先端を下降させて真の液面を検知するような一連の液面検知方法を提供するものである。
【0028】
図5は本発明の第3実施形態例に係わる帯電した容器とプローブの位置関係を例示している。詳しくは図5( a) には静電気等の影響で誤検知する際のプローブ先端の位置を示し、図5( b) にはその後に更に液面の検知位置に達した場合を示している。
静電気を帯びた容器4を使ってその中に収容された液体の液面を検知しようとして破線矢印の方向に下降するとき、プローブ1はその容器4の開口部中央付近の上端からわずか下( d1) に下降した際に誤検知信号を発するその直後には瞬間的にその帯電していた静電気が放電して除去されることにより離脱信号が得られる。この間は極めて短い時間であるが、前述した方法により同様にして誤検知を判断する。
【0029】
なお、容器として例えば試験管のような比較的長い形状のものを用いる場合、誤検知位置d1とd2の距離は接近しているが、一方、d2とd3との距離はかなり遠く離れている場合が多い。よって、この間の下降速度は高速に制御されることが望ましい。一方、この高速下降動作を液面d3から急減速または急制動して所定の潜り込み深さに対応する位置d4に停止させるように制御することが望ましい。
【0030】
(作用効果3)
このように、特に外来ノイズや容器4の静電気に起因して、液面検知回路5がこのプローブ1があたかも液面に接触したかのような接触信号を検知した場合においても、プローブ1の試料への潜り込み深さを必要以上に大きくすることを防ぐために、接触信号が検出されたと同時に駆動手段3へ停止信号を送る。そして正しい深さにノズル先端を潜り込ませるので空吸い等が防げる。
またこのような動きを行う本第3実施形態例によれば、運用環境や用いる容器4等に起因して液面の位置を誤検知したこととしても、これを正確に認識して直ちに再試行の動作を行って、真の液面を正確に検知する。
【0031】
なお、外来ノイズによる液面検知回路5等の誤作動は従来のシールド技術等により防げるであろうが、本発明では、この様なノイズにより誤動作として液面を仮に誤検知した場合でも、その後に真の液面を正しく検知するまで一連のシーケンス内で自動的に実行できる。
よって、本例のような液面検知装置は、外来ノイズが発生しやすい環境での使用や、静電気が発生しやすい液体または容器を用いる場合に特に適する。
【0032】
以上の複数の実施形態例によれば次のような運用面での利点も得られる。
(a) プローブが液面を誤検知した場合でも、プローブが上点から下降し分注動作を行う一連の動作を、分析の1サイクルの定められた時間内に行うことができ、効率の向上に寄与する。
(b) プローブを高速動作させても、液面下への突っ込み量を増やさず、且つ泡、静電気、ノイズなどへの防止対策ができる。
(c) この結果、検体のコンタミネーションを最小限に抑えることができる。
(d) また使用する試薬や、特にサンプルを無駄にしない。
【0033】
(その他の変形例)
なお、本発明は前述した各実施形態例の他にも、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変形実施が可能である。例えば、例示した液面検知方式に係わる装置の各部位の形状ならびに機能等は、必要に応じて種々の変更が可能であると共に、他との適宜な組合せも可能であり、気泡対策については、電気的検出以外の接触型液面検出方式(例えば、エアー、超音波振動等)にも適用できると共に、絶縁性のディスポーザブル・チップをプローブ先端で交換しながら分注する装置にも適用できる。また、気泡、静電気のいずれに対しても、プローブとは別体の液面検知棒を採用してもよい。
【0034】
また、泡または静電気がプローブとの接触で消失する構成については、さらにプローブを液面検知位置まで戻してから再度接触信号が得られるか否かを判定するようにすれば、泡や静電気等が液面に極めて近い上方に存在しても正確な液面検知ができる点で好ましい。
また、プローブの吐出口からエアーを吐出できる構成を有している場合には、プローブが接触しても消泡しない微小なときを考慮して、検知信号の直後に液面検知高さまで戻してから、エアーを吐出してその微小泡を風圧で押しのけるようにして、真の液面検知信号のみを効率よく得るようにしてもよい。この場合、エアーの吐出圧の変化で液面検知する方式であれば、プローブ先端を液面検知高さまで再上昇させる必要はない。
【0035】
また、本発明における液面検知装置と他分野の技術との組合せや、使用する液体とそれを収容する容器は、例示した試薬と試験管に限らず、種々の液体およびマイクロプレート、キュベット、シャーレ等の所望のものを用いることができる。また本発明は、液体を吸引する場合以外にも、既に試料(又は試薬)等が分注等により収容されている反応容器に対して試薬(又は試料)等を添加するような吐出の場合にも適用できる。
【0036】
本発明について実施形態例および変形例に基づいて説明したが、本明細書中には以下の発明が含まれる。
[1] 所定の液体を収容する収容容器に対して該液体を吸引するか所望の液体を添加する吸引手段と、前記液体移送手段の先端が該液体の表面に接触したことを所定の接触信号により検知し、該液体から離れたことを所定の離脱信号により検知する検知手段と、前記液体移送手段の先端を前記容器内に下降させ、前記接触信号を認識してから、該先端から該液体を液体移送する前に、前記離脱信号が検知されたか否かを判定する判定手段と、を具備し、
前記検知手段が前記接触信号を検知し、所定の駆動手段によって前記液体移送手段が液体移送動作に移行される前に、前記判定手段によって前記離脱信号が検知されたと判定された際には、前記駆動手段によって前記液体移送手段を再下降して真の液面を検知させるように制御することを特徴とする液面検知装置を提供する。
【0037】
[2] 前記液体移送手段が液面を誤検知した場合でも、前記液体移送手段があらかじめ設定された上点から下降して正しい液面を検知後、分注動作までを行う一連の動作を、分析の1サイクル中の定められた時間内に行うように制御することを特徴とする[1]に記載の液面検知装置。
[3] 前記判定手段は、前記検知手段に接触信号が検出されてから離脱信号が検出されるまでの時間が、前記液体移送手段が停止に要する時間よりも短い場合において、この接触信号が検知された位置が真の液面でないと判定することを特徴とする[1]に記載の液面検知装置。
【0038】
この他にも次のような発明も含まれる。
[A] 所定の容器内の試料又は試薬への接触を感知すると共に液体移送又は吐出するサンプリング・プローブと、
前記プローブを駆動して所望の位置まで移動させる駆動手段と、
前記プローブが前記試料又は試薬と接触したことを示す接触信号により検知し、前記試料又は試薬から離れたことを示す離脱信号により検知する液面検知センサと、
前記プローブを前記容器内へ下降させ、前記接触信号を検知してから、前記プローブが前記試料又は試薬を吸引する前に、前記離脱信号が検知されるか否かを判定する判定手段と、
を具備し、
前記液面検知センサが接触信号を検知し、前記駆動手段により前記プローブが停止又は制動中であっても、前記プローブが吸引動作前に、前記液面検知センサにより離脱信号が検知されたことが前記判定手段で判定された際には、前記駆動手段により前記プローブを再駆動し、真の液面を検知させることを特徴とする自動分析装置の液面検知方式。
【0039】
[B] 時間計測のための計時手段を更に具備し、
前記プローブが前記試料又は試薬と接触し、前記液面検知手段が接触信号を検知してから、前記プローブが前記試料又は試薬から離れ離脱信号が検出されるまで要した時間を前記計時手段で計時しておき、この計時された時間を分析の一連のシーケンスに影響を与えないような所定時間と比較することを特徴とする[A]に記載の液面検知方式。
[C] 前記判定手段が基準とする真の液面位置に関する判定条件は、
前記検知手段に接触信号が検出されてから、離脱信号が検出されるまでの時間が、前記プローブが停止に要する時間よりも短い場合においては、この接触信号が検知された位置が真の液面でないと判定することを特徴とする[A]に記載の液面検知方式。
【0040】
[D] 前記プローブが液面を誤検知した場合でも、前記プローブがあらかじめ設定された上点から下降して所望の分注動作を行うまでの一連の分析動作を、この分析の1サイクル中の定められた時間内に行うように制御することを特徴とする[A]に記載の液面検知方式。
[E] 前記判定手段は、再下降時の前記駆動手段が発するパルス信号のレートから前記プローブの停止時間を計算し、前記駆動手段ヘ停止信号を出すことによって、前記プローブが前記試料又は試薬への潜り込み深さを一定にするように制御することを特徴とする[A]に記載の液面検知方式。
【0041】
【発明の効果】
以上、複数の実施形態例および変形例に基づく説明の如く、本発明の液面検知装置によれば,外来ノイズや静電気、泡などにより液面を誤検知した場合でも、その誤の分析手順に影響せずに一連の分注動作を分析の1周期内に行える液面検知方式を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、本発明の実施形態例としての液面検知装置の構成を示す概要構成図。
【図2】 図2は本発明の第1実施形態例に係わる液体収容容器とプローブの位置関係を示し、
( a) は、液面上に生じた泡にプローブ先端が接した場合を示す説明図、
( b) は、この泡を通して更に液面の検知位置に達した場合を示す説明図。
【図3】 図3は、本第1実施形態例の液面検知装置のプローブを液面検知に用いた際のセンサが発するパルス信号の変化を示すグラフ。
【図4】 図4は、本発明の第2実施形態例の液面検知装置のプローブを液面検知に用いた際、誤検知するセンサが発するパルス信号の変化を示すグラフ。
【図5】 図5は、本第2実施形態例に係わる液体収容容器とプローブの位置関係を示し、
( a) は、静電気等の影響で誤検知する際のプローブ先端の位置を示す説明図、
( b) は、その後に更に液面の検知位置に達した場合を示す説明図。
【符号の説明】
1…プローブ(分注ノズル等の吸引手段等を兼ねる手段)、
2…アーム、
3…駆動手段、
4…液体収容容器、
5…液面検知回路(液面検知手段)、
6…判定手段、
7…センサ(液面検知手段に含む手段)、
10…液面検知装置(分析装置等を兼ねる装置)、
20…液体(試料、試薬等)、
21…泡、気泡。

Claims (2)

  1. 所定の液体を収容する収容容器に対して該液体を吸引するか所望の液体を添加する液体移送手段と、
    前記液体移送手段の先端が該液体の表面に接触したことを所定の接触信号により検知するとともに、該液体から離れたことを所定の離脱信号により検知する検知手段と、
    前記液体移送手段の先端を前記容器内に下降させ、前記接触信号が検知された後、該先端から該液体を液体移送する前に前記離脱信号が検知されたか否かを判定する判定手段と、を具備し、
    前記検知手段により前記接触信号が検知された後、所定の駆動手段によって前記液体移送手段が液体移送動作に移行させる前に前記離脱信号が検知され、かつ、前記検知手段により接触信号が検知されてから離脱信号が検出されるまでの時間が、前記液体移送手段が停止に要する時間よりも短い場合に、前記判定手段は、前記接触信号が検知された位置は真の液面でないと判定することを特徴とする液面検知装置。
  2. 前記液体移送手段が液面を誤検知した場合でも、前記液体移送手段があらかじめ設定された上点から下降して正しい液面を検知後、液体移送動作までを行う一連の動作を、分析の1サイクル中の定められた時間内に行うように制御することを特徴とする請求項1に記載の液面検知装置。
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