JP3905246B2 - マルチ波長安定化装置、マルチ定波長光源装置、波長分割多重方式用光源装置および波長判別装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、レーザ光源から射出されるレーザ光の波長を所定波長に固定する波長安定化装置において、固定すべき所定波長を任意に設定することができるマルチ波長安定化装置に関する。また、このマルチ波長安定化装置を使用したマルチ定波長光源装置、波長分割多重方式用光源装置に関する。さらに、レーザ光の波長を判別し何れの波長であるかを識別する波長判別装置に関する。
将来のマルチメディアネットワークの構築を目指し、超長距離でかつ大容量の光通信装置が要求されている。この大容量化を実現する方式として、波長分割多重(Wavelength-division Multiplexing、以下、「WDM」と略記する。)方式が、光ファイバの広帯域・大容量性を有効利用できるなどの有利な点から研究開発が進められている。
特に、WDM方式に使用されるWDM方式用光源装置は、複数の波長でレーザ光を出力する必要があり、その波長間隔は、ITU−Tの勧告に基づくチャンネル(以下、「ch」と略記する。)ごとに定められたグリッド間隔にする必要があるため、その要求を満たすべくWDM方式用光源装置の研究開発が進められている。
【0002】
【従来の技術】
従来、WDM方式用光源装置は、例えば、8波の波長多重を行うWDM方式光通信システムの場合には、互いに異なる波長のレーザ光を発振する8つの半導体レーザを備えていた。そして、この半導体レーザとして、分布帰還型(Distributed Feedback Laser、以下、「DFB」と略記する。)レーザや分布ブラッグ反射型(Distributed Bragg Reflector 、以下、「DBR」と略記する。)レーザなどが使用されている。
【0003】
一方、これら半導体レーザは、定常状態において所定波長の単一モードレーザ光を発振するように回折格子のピッチなどを設計しているが、半導体レーザの立ち上げ時には必ずしも所定波長で発振しない。また、定常状態においても一定のゆらぎが存在し、常に所定波長に固定しているわけではない。
そこで、所定波長に発振波長を固定すべく波長安定化装置がWDM方式用光源装置に使用されている。
【0004】
図39(a)は、従来の1波用波長安定化装置の構成図である。図39(b)は、ch0に波長を固定する場合の説明図である。
図39(a)において、DFBレーザ710から射出されたレーザ光は、1波用波長安定化装置700内の入力光を2つに分岐するカプラ711に入射され、そのレーザ光の一部を分岐した後に残りのレーザ光は、1波用波長安定化装置700から射出される。このDFBレーザ710は、定常状態においてch0に相当する波長のレーザ光を発振する半導体レーザである。
【0005】
1波用波長安定化装置700内において、カプラ711で分岐した一部のレーザ光は、入力光を2つに分岐するカプラ712に入射されて分岐される。このカプラ712で分岐した一方のレーザ光は、ファブリペローエタロンフィルタ(Fabry-perot Etalon Filter 、以下、「ETフィルタ」と略記する。)713を介して、光強度に応じて電流を出力する第1ホトダイオード(以下、「PD」と略記する。)714に入射され、そのレーザ光の強度が検出される。この第1PD714の出力値をPDo1とする。また、カプラ712で分岐した他方のレーザ光は、光強度に応じて電流を出力する第2PD715に入射され、そのレーザ光の強度が検出される。この第2PD715の出力値をPDo2とする。
【0006】
このETフィルタ713の透過率の極大値を与える波長は、安定化させたい波長におけるPDo2で規格化したPDo1の値、すなわち、PDo1/PDo2が目標値0.5となるように設定される。
そして、制御用CPU716は、これらPDo1およびPDo2を受信し、これらの検出値に基づいてDFBレーザ710の発振波長を所定波長に固定する制御信号をDFBレーザ710に送信する。
【0007】
このような構成の1波用波長安定化装置700は、次のように動作して、ch0にDFBレーザ710の発振波長を安定化させる。
DFBレーザ710を立ち上げて、制御用CPU716は、PDo1およびPDo2を受信してPDo1/PDo2を算出する。そして、このPDo1/PDo2が目標値0.5より大きい場合には、制御用CPU716は、発振波長が長くなるようにDFBレーザ710の駆動電流または温度を調整してDFBレーザ710を制御する。一方、DFBレーザ710を立ち上げた時のPDo1/PDo2が目標値0.5より小さい場合には、制御用CPU716は、発振波長が短くなるようにDFBレーザ710を制御する。こうして常にPDo1/PDo2が0.5となるようにDFBレーザ710は、制御され、発振波長は、ch0に安定化される。
【0008】
ところで、制御用CPU716は、単にPDo1/PDo2と目標値0.5との大小を比較し発振波長を制御するだけなので、DFBレーザ710が図39(b)の点a、点b、点c、点dの波長で立ち上がった場合には、所望のch0に発振波長を安定化することができるが、DFBレーザが点e、点fの波長で立ち上がった場合には、ch0以外の波長で安定化されてしまう。
【0009】
したがって、1波用波長安定化装置は、DFBレーザの立ち上げ時の波長の範囲を考慮して固定すべき特定の1波に合わせて設計される。
ここで、レーザ立ち上げ時の波長に対し、波長安定化装置がレーザの発振波長を所望の波長に安定化することができる波長範囲を引込範囲と呼称することにする。そして、この引込範囲は、ETフィルタのFSR(Free Spectral Range )によって決定され、FSRを大きくすることによって広くすることができる。
【0010】
また、図39(a)においてDFBレーザ710の代わりに、単一モードで発振しかつその発振波長を連続的に可変できるチューナブルレーザを使用する場合には、複数波長の中から所定波長を発振させてその発振波長を安定化させるためのマルチ波長安定化装置が使用される。
図40(a)は、従来のマルチ波長安定化装置の構成図である。図40(b)は、従来のマルチ波長安定化装置における各引込範囲と各chとの関係図である。
【0011】
図40(a)において、マルチ波長安定化装置750の構成は、図39(a)のETフィルタ713の代わりに、FSRを安定化させたい波長間隔に合わせたETフィルタ754が使用されるだけで、その他の構成は、図39(a)と同様であるため、その説明を省略する。
このようなマルチ波長安定化装置750の引込範囲は、WDM方式に使用されるチューナブルレーザに使用される場合、図40(b)に示すように、WDM方式の波長間隔で決定されてしまう。これは、ETフィルタが周期的フィルタであるため一定の周期ごとにPDo1/PDo2が同一の値となり、そして、制御用CPU757が単にPDo1およびPDo2の値を受信しているだけなので、制御用CPUは、例えば、点gと点hの区別がつかないからである。
【0012】
また、この引込範囲は、各chの波長間隔が0.8nmの場合に使用されるマルチ波長安定化装置では、±30GHz程度である。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
前述したようにWDM方式用光源装置は、多重する波長の数だけ発振波長の異なる半導体レーザを備えて構成しているため、半導体レーザの破損などに備えて予備用の半導体レーザを用意しておく場合には、発振波長の異なる半導体レーザごとに予備用を用意しておかなければならないという問題がある。例えば、32波用のWDM方式光源装置では、32の各chに対応して常用に互いに発振波長の異なる32個の半導体レーザがあるため、各々の予備用として32個の半導体レーザが必要である。
【0014】
この問題は、今後トラヒックの増大にともなって多重度が増加した場合には、大きな問題となる。
一方、この問題は、1つの解決方法として複数の波長を出力することができるチューナブルレーザを予備用として使用することにより解決できるが、この場合には、適当な波長安定化装置がないという問題が新たに生じる。
【0015】
すなわち、このような光源装置は、複数の波長を出力するため、固定すべき特定の1波に合わせて設計される1波用波長安定化装置では、対応することができないという問題である。
また、複数の波長の出力に対応するため、マルチ波長安定化装置を使用する場合には、引込範囲が狭いため、この引込範囲を越えてチューナブルレーザが立ち上がった場合には、予期しない波長に固定されてしまうという問題がある。例えば、図40(b)において、ch1の波長を発振させるためにチューナブルレーザを立ち上げたところ、点hで立ち上がった場合には、ch2に固定されてしまうという問題である。
【0016】
さらに、複数の波長を出力することができるチューナブルレーザを使用する場合には、チューナブルレーザが接続された光通信システムに所定波長に固定されないうちにレーザ光を射出すると、光通信システムにおける運用中の光信号に悪影響を与えるという問題がある。
そこで、請求項1ないし請求項5に記載の発明では、引込範囲を従来のマルチ波長安定化装置に比べ広くすることができるマルチ波長安定化装置を提供することを目的とする。さらに、請求項1ないし請求項5に記載の発明では、1台で複数の所定波長に対して波長を安定化することができるマルチ波長安定化装置を提供することを目的とする。特に、請求項4に記載の発明では、発光開始時にいずれの波長で立ち上がっても、発振波長を所定波長に固定することができるマルチ波長安定化装置を提供することも目的としている。
【0017】
請求項6ないし請求項8に記載の発明では、発光開始時にいずれの波長で立ち上がっても、発振波長を所定波長に固定することができるマルチ波長安定化装置を提供することを目的とする。さらに、請求項6ないし請求項8に記載の発明では、1台で複数の所定波長に対して波長を安定化することができるマルチ波長安定化装置を提供することを目的とする。
【0018】
請求項9に記載の発明では、一定に固定した波長のレーザ光を射出することができるマルチ定波長光源を提供することを目的とする。
請求項10および請求項11に記載の発明では、所定波長にレーザ光の波長を固定した後にレーザ光を出力することができるレーザ光源装置を提供することを目的とする。特に、WDM方式用光源における予備用光源として好適なWDM方式用光源装置を提供することを目的とする。
【0019】
請求項12に記載の発明では、請求項6に記載の発明の主要部を利用することにより、光源から出力される発振波長を検出することができる波長判別装置を提供することを目的とする。
【0020】
【課題を解決するための手段】
以下、図面を用いて課題を解決するための手段を説明する。
【0021】
(請求項1)
図1(a)は、請求項1に記載の発明の原理構成図である。図1(b)は、各検出手段のch(波長)に対する出力特性である。その上段は、第1検出手段の出力特性であり、下段は、第2検出手段の出力特性である。図1(b)の縦軸は、各検出手段の出力であり、横軸は、ch(波長)である。
【0022】
図1(a)において、請求項1に記載の発明では、被制御レーザ光源20から出力されるレーザ光は、マルチ波長安定化装置1に入射される。入射したレーザ光は、マルチ波長安定化装置1内において光を分岐するカプラ21で分岐され、その分岐したレーザ光の一部は、レーザ光の波長を所定波長に安定制御するために利用され、分岐したレーザ光の残余部は、所定波長に固定された出力光としてマルチ波長安定化装置1から出力される。
【0023】
このマルチ波長安定化装置1では、前述のカプラ21で分岐したレーザ光の一部は、干渉計26に入射される。
この干渉計26において、入射したレーザ光は、光を2つに分岐する分岐手段26-1でさらに分岐される。この分岐手段26-1で分岐した各レーザ光は、互いに異なる光学的距離を持つ各光導波路を伝搬して干渉手段26-2に入射し、干渉を生じさせる。各光導波路間の光学的光路差は、各レーザ光の干渉の結果、WDM方式におけるchの波長間隔の2倍に相当する周期で干渉縞を生じる光路差とする。そして、干渉手段26-2は、干渉を起こしたレーザ光である干渉光を2つの光に分岐する。干渉手段26-2で干渉して分岐した第1干渉光は、第1ポート26-3から出力される。また、干渉手段26-2で干渉して分岐した第2干渉光は、干渉手段26-2から第1ポート26-3までの光路と干渉手段26-2から第2ポート26-4までの光路との間に、第1ポート26-3における第1干渉光の位相に対して第2ポート26-4において第2干渉光の位相を半周期遅らせる光学的光路差を設けて、第2ポート26-4から出力される。
【0024】
このように設定されるため、PDo2は、PDo1に対して半周期遅れて出力される。よって、図1(b)に示すように、PDo1の波長特性とPDo2の波長特性は、互いに逆になる。このため、PDo1/PDo2の同じ値は、WDM方式のchの波長間隔の2倍の周期で現れる。
この第1ポート26-3から射出される第1干渉光は、その強度を検出する第1検出手段27に入射する。また、第2ポート26-4から射出される第2干渉光は、その強度を検出する第2検出手段28に入射する。
【0025】
そして、制御手段29は、所定波長のchが偶数chか奇数chかを判断する。制御手段29は、第1検出手段27および第2検出手段28からの出力を受信し、第1検出手段27の出力を第2検出手段28の出力で割り、検出値を演算する。制御手段29は、偶数chであるか奇数chであるかに関する判断結果に応じて、上述した検出値と目標値との大小関係で示される所定波長と被制御レーザ光の波長との大小関係を判別し、この判別結果に基づいて、所定波長とレーザ光の波長との差を縮小させる補正を加えた制御信号を被制御レーザ光源20に出力する。この目標値は、被制御レーザ光源が所定波長で発振している場合に得られるPDo1/PDo2の値であり、予め実測または理論計算される。
【0026】
このような請求項1に記載の発明にかかるマルチ波長安定化装置1では、所定波長のchが偶数chか奇数chかを判断して、第2検出手段28の出力で割った第1検出手段27の出力の検出値が目標値となるような制御信号を被制御レーザ光源20に出力するので、この制御信号により被制御レーザ光源20の駆動電流または温度などを調整することにより、被制御レーザ光源20から出力されるレーザ光の波長を所定波長に固定することができる。すなわち、レーザ光を所定波長に対応するchに固定することができる。
【0027】
また、偶数ch同士の間では、PDo1/PDo2の同じ値は、WDM方式のchの波長間隔の2倍の周期で現れ、奇数ch同士の間でも、PDo1/PDo2の同じ値は、WDM方式のchの波長間隔の2倍の周期で現れる。したがって、各chの引込範囲は、所定波長を中心にしてchの波長間隔の2倍になる。
なお、制御手段29は、PDo1/PDo2を算出することにより、制御信号を出力したが、PDo2/PDo1を算出してもよい。
【0028】
(請求項2)
図2(a)は、請求項2に記載の発明の原理構成図である。図2(b)は、第1検出手段のch(波長)に対する出力特性である。図2(b)の縦軸は、第2検出手段の出力で規格化した第1検出手段の出力であり、横軸は、ch(波長)である。
【0029】
図2(a)において、請求項2に記載の発明では、被制御レーザ光源20から出力されるレーザ光は、マルチ波長安定化装置2に入射される。入射したレーザ光は、マルチ波長安定化装置2内において光を分岐するカプラ21で分岐され、その分岐したレーザ光の一部は、レーザ光の波長を所定波長に安定制御するために利用され、分岐したレーザ光の残余部は、所定波長に固定された出力光としてマルチ波長安定化装置2から出力される。
【0030】
このマルチ波長安定化装置2では、前述のカプラ21で分岐したレーザ光の一部は、光を分岐するカプラ22でさらに分岐される。このカプラ22で分岐した一方のレーザ光は、レーザ光の強度を周期的フィルタ31を介して検出する第1検出手段32に入射される。この周期的フィルタ31のFSRは、WDM方式におけるchの波長間隔の2倍に相当する周期に設定される。さらに、周期的フィルタのフィネスは、光透過率のいずれかの値(目標値)においてこの値を与える隣接した2つの波長の間隔がchの波長間隔になるように設定される。フィネスは、FSRと半値全幅との比である。そして、図2(b)に示すようにこの目標値を与える波長と各chに対応する波長とが一致するように、周期的フィルタの光透過率波長特性を設定する。このように設定されるため、図2(b)に示すように、いずれの偶数chも極大値から極小値までの肩に配置され、一方、いずれの奇数chも極小値から極大値までの肩に配置される。このため、偶数ch同士の間では、PDo1/PDo2の同じ値は、WDM方式のchの波長間隔の2倍の周期で現れる。奇数ch同士の間では、PDo1/PDo2の同じ値は、WDM方式のchの波長間隔の2倍の周期で現れる。
【0031】
一方、このカプラ22で分岐した他方のレーザ光は、レーザ光の強度を検出する第2検出手段33に入射する。
そして、制御手段34は、第1検出手段32および第2検出手段33からの出力を受信して、第1検出手段32の出力を第2検出手段33の出力で規格化し検出値を演算する。制御手段34は、この検出値が前述の目標値となるような制御信号を被制御レーザ光源20に出力する。
【0032】
このような請求項2に記載の発明にかかるマルチ波長安定化装置2では、所定波長のchが偶数chか奇数chかを判断して、第2検出手段33の出力で規格化された第1検出手段32の出力の検出値が目標値となるような制御信号を被制御レーザ光源20に出力するので、この制御信号により被制御レーザ光源20の駆動電流または温度などを調整することにより、被制御レーザ光源20から出力されるレーザ光の波長を所定波長に固定することができる。すなわち、レーザ光を所定波長に対応するchに固定することができる。
【0033】
また、偶数ch同士の間では、PDo1/PDo2の同じ値は、WDM方式のchの波長間隔の2倍の周期で現れ、奇数ch同士の間でも、PDo1/PDo2の同じ値は、WDM方式のchの波長間隔の2倍の周期で現れる。したがって、各chの引込範囲は、所定波長を中心にしてchの波長間隔の2倍になる。
さらに、第1検出手段32の出力を第2検出手段33の出力で規格化しているので、雑音や経時劣化などによる第1検出手段32の出力変動を補償することができる。
【0034】
なお、上述では、いずれの偶数chも極大値から極小値までの肩に配置され、一方、いずれの奇数chも極小値から極大値までの肩に配置されるようにしたが、この逆でもよい。
(請求項3)
図3は、請求項3に記載の発明の原理構成図である。
【0035】
図3において、請求項3に記載の発明では、被制御レーザ光源20から出力されるレーザ光は、マルチ波長安定化装置3に入射される。入射したレーザ光は、マルチ波長安定化装置3内において光を分岐するカプラ21で分岐され、その分岐したレーザ光の一部は、レーザ光の波長を所定波長に安定制御するために利用され、分岐したレーザ光の残余部は、所定波長に固定された出力光としてマルチ波長安定化装置3から出力される。
【0036】
このマルチ波長安定化装置3では、前述のカプラ21で分岐したレーザ光の一部は、光を分岐するカプラ22でさらに分岐される。このカプラ22で分岐した一方のレーザ光は、レーザ光の強度を周期的フィルタ36を介して検出する第1検出手段37に入射される。この周期的フィルタ36は、FSRの半分が波長分割多重方式における最初のchと最後のchとの波長間隔以上になるように設定された周期的フィルタである。そして、このカプラ22で分岐した他方のレーザ光は、レーザ光の強度を検出する第2検出手段33に入射する。
【0037】
また、各chにおける波長のレーザ光によって得られる第1検出手段37の出力および第2検出手段33の出力が予め実測または理論計算され、その結果から第2検出手段33の出力で規格化した第1検出手段37の出力の目標値を得る。そして、記憶手段39には、波長分割多重方式における各chの波長とこの目標値との関係を示すテーブルが予め用意され、その関係が蓄積される。
【0038】
そして、制御手段38は、第1検出手段37および第2検出手段33からの出力を受信して、第1検出手段37の出力を第2検出手段33の出力で規格化し検出値を演算する。制御手段38は、この検出値が記憶手段39に蓄積された前述の関係に示された所定波長における目標値となるような制御信号を被制御レーザ光源20に出力する。
【0039】
このような請求項3に記載の発明にかかるマルチ波長安定化装置3では、第2検出手段33の出力で規格化された第1検出手段37の出力の検出値が記憶手段39に蓄積された関係に示された所定波長における目標値となるような制御信号を被制御レーザ光源20に出力するので、この制御信号により被制御レーザ光源20の駆動電流または温度などを調整することにより、被制御レーザ光源20から出力されるレーザ光の波長を所定波長に固定することができる。すなわち、レーザ光を所定波長に対応するchに固定することができる。
【0040】
また、WDM方式の多重度が増減して被制御レーザ光源20の発振波長範囲が変化した場合でも、周期的フィルタ36のFSRを調整することにより対応することができる。もちろん、被制御レーザ光源20が複数波長を発振することができるチューナブルレーザの場合だけでなく、1つの波長を発振するレーザの場合にも適用可能である。この場合の引込範囲は、FSRの極大値から極小値となる。
【0041】
さらに、第2検出手段33の出力で規格化した第1検出手段37の出力の値は、周期的フィルタ36の透過率に対応する。各chの波長に対応した第2検出手段33の出力で規格化した第1検出手段37の出力の各値は、周期的フィルタ36の光透過率波長特性の曲線上の肩にchの波長間隔で並ぶ。このため、各chの引込範囲は、周期的フィルタ36の1周期分まで広げることができる。例えば、1周期が90ch分(72nm)のFSRをもつ周期的フィルタの場合には、引込範囲は、72nmである。ただし、各chに対応する引込範囲の境界は、含まれない。
【0042】
また、第1検出手段37の出力を第2検出手段33の出力で規格化しているので、雑音や経時劣化などによる第1検出手段37の出力変動を補償することができる。
(請求項4ないし請求項6)
図4は、請求項4および請求項5に記載の発明の原理構成図である。
【0043】
図5は、請求項4および請求項6に記載の発明の原理構成図である。
図4および図5において、請求項4ないし請求項6に記載の発明では、被制御レーザ光源20から出力されるレーザ光は、マルチ波長安定化装置4、5に入射される。入射したレーザ光は、マルチ波長安定化装置4、5内において光を分岐するカプラ21で分岐され、その分岐したレーザ光の一部は、レーザ光の波長を所定波長に安定制御するために利用され、分岐したレーザ光の残余部は、所定波長に固定された出力光としてマルチ波長安定化装置4、5から出力される。
【0044】
まず、請求項4に記載の発明にかかるマルチ波長安定化装置の構成について説明する。
請求項4に記載のマルチ波長安定化装置4、5では、図4および図5において、前述のカプラ21で分岐したレーザ光の一部は、光を分岐するカプラ23でさらに分岐される。このカプラ23で分岐した一方のレーザ光は、第1FSRを持つ第1周期的フィルタ41、51を介してレーザ光の強度を検出する第1検出手段43、53に入射される。そして、このカプラで分岐した他方のレーザ光は、第1FSRとは異なる第2FSRを持つ第2周期的フィルタ42、52を介してレーザ光の強度を検出する第2検出手段44、54に入射する。
【0045】
そして、制御手段46、56は、第1検出手段43、53の出力に基づいてレーザ光の波長を制御した後に、第2検出手段44、54の出力に基づいてレーザ光の波長が所定波長となるように被制御レーザ光源20へ制御信号を出力する。
次に、請求項5に記載の発明にかかるマルチ波長安定化装置の構成について説明する。
【0046】
請求項5に記載のマルチ波長安定化装置4では、図4において、請求項4に記載の発明に対して、カプラ23を光を3つに分岐するカプラ23に代え、このカプラ23で分岐した第3のレーザ光を受光してこのレーザ光の強度を検出する第3検出手段45をさらに備えて構成され、第1周期的フィルタ41、第2周期的フィルタ42および制御手段46は、次のような特徴を備える。
【0047】
この第1周期的フィルタ41は、その第1FSRがレーザ光源の発光開始時におけるレーザ光の発振波長が引き込むべき初期引込波長(以下、「λint 」と略記する。)における光透過率と同一の光透過率を与えるλint に最も近い2つの波長の間に存在するように設定される。また、第2周期的フィルタ42は、その第2FSRが第1FSRと異なる第2FSRであって波長分割多重方式におけるchの波長間隔に設定される。ここで、λint のレーザ光を受光した場合の第3検出手段の出力で規格化した第1検出手段の出力を初期目標値とする。
【0048】
そして、制御手段46は、第1検出手段43ないし第3検出手段45からの出力を受信して、第1検出手段43の出力を第3検出手段の出力45で規格化し第1検出値を演算する。制御手段46は、この第1検出値が前述の光透過率の値、すなわち、初期目標値となるように被制御レーザ光源20を制御する。その後、制御手段46は、第2検出手段44の出力を第3検出手段45の出力で規格化し第2検出値を演算する。制御手段46は、この第2検出値に基づいてレーザ光の波長が所定波長になるように被制御レーザ光源20へ制御信号を出力する。
【0049】
次に、請求項6に記載の発明の構成について説明する。
請求項6に記載のマルチ波長安定化装置5では、図5において、請求項4に記載の発明に対して、カプラ23を光を3つに分岐するカプラ23に代え、このカプラ23で分岐した第3のレーザ光を受光してこのレーザ光の強度を検出する第3検出手段45および制御手段56へ蓄積した内容を出力する記憶手段57をさらに備えて構成される。ここで、各chにおける波長のレーザ光によって得られる第1検出手段53の出力および第3検出手段45の出力が予め実測または理論計算され、その結果から第3検出手段45の出力で規格化した第1検出手段53の出力の目標値を得る。そして、制御手段56に接続した記憶手段57には、波長分割多重方式における各chの波長とこの目標値との関係を示すテーブルが予め用意され、その関係が蓄積される。
【0050】
そして、第1周期的フィルタ51、第2周期的フィルタ52および制御手段56は、次のような特徴を備える。
この第1周期的フィルタ51は、そのFSRの半分がWDM方式における最初のchと最後のchとの波長間隔以上に設定される。また、第2周期的フィルタ52は、そのFSRがWDM方式におけるchの波長間隔に設定される。
【0051】
そして、制御手段56は、第1検出手段53ないし第3検出手段45からの出力を受信して、第1検出手段53の出力を第3検出手段45の出力で規格化し第1検出値を演算する。制御手段56は、この第1検出値が記憶手段57に蓄積された前述の関係に示された所定波長における目標値となるように被制御レーザ光源20を制御する。その後、制御手段56は、第2検出手段54の出力を第3検出手段45の出力で規格化し第2検出値を演算する。制御手段56は、この第2検出値に基づいてレーザ光の波長が所定波長になるように被制御レーザ光源20へ制御信号を出力する。
【0052】
このような請求項4ないし請求項6に記載の発明にかかるマルチ波長安定化装置4、5では、第1FSRを持つ第1周期的フィルタ41、51を介して受光する第1検出手段43、53の出力に基づいて、第2周期的フィルタ42、52の所定波長に対する引込範囲まで被制御レーザ光源20の発振波長を制御する。その後、第2周期的フィルタ42、52を介して受光する第2検出手段44、54の出力に基づいて、被制御レーザ光源20の発振波長を所定波長に制御する。
【0053】
したがって、第1FSRを大きく設定することにより、立上波長に対する引込範囲(以下、「初期引込範囲」と呼称する。)を広くすることができる。
また、第1周期的フィルタ41、51の設定を各chの波長間隔によらず自由に変えることができるから、立上波長に応じて初期引込範囲を設定することができる。
【0054】
(請求項7)
図6は、請求項7に記載の発明の原理構成図である。
図6において、請求項7に記載の発明では、被制御レーザ光源20から出力されるレーザ光は、マルチ波長安定化装置6に入射される。入射したレーザ光は、マルチ波長安定化装置6内において光を分岐するカプラ21で分岐され、その分岐したレーザ光の一部は、レーザ光の波長を所定波長に安定制御するために利用され、分岐したレーザ光の残余部は、所定波長に固定された出力光としてマルチ波長安定化装置6から出力される。
【0055】
このマルチ波長安定化装置6では、前述のカプラ21で分岐したレーザ光の一部は、後述する複数個の第1周期的フィルタ61-1〜61-mおよび第2周期的フィルタ62-1〜62-nの合計数に光を分岐するカプラ24でさらに分岐される。このカプラ24で分岐した複数個のレーザ光の一部は、複数個の第1周期的フィルタ61-1〜61-mの各々に接続され、レーザ光の強度を接続する第1周期的フィルタ61-1〜61-mを介して検出する第1検出手段63-1〜63-mに入射する。そして、カプラ24で分岐した複数個のレーザ光の他部は、複数個の第2周期的フィルタ62-1〜62-nの各々に接続され、レーザ光の強度を接続する第2周期的フィルタ62-1〜62-nを介して検出する第2検出手段64-1〜64-nに入射する。
【0056】
各第1周期的フィルタ61-1〜61-mは、互いに同一のFSRであってそのFSRがWDM方式におけるchの波長間隔の整数倍に設定される。また、各第2周期的フィルタ62-1〜62-nは、互いに同一のFSRであってそのFSRが第1周期的フィルタ61-1〜61-mのFSRと異なりかつWDM方式におけるchの波長間隔の整数倍に設定される。
【0057】
このように第1周期的フィルタ61-1〜61-mと第2周期的フィルタ62-1〜62-nを設定することにより、ある波長λx のレーザ光が入射したときに、複数個の第1検出手段63-1〜63-mのうち特定の第1検出手段63-1〜63-mからのみ特定の値で出力され、残余の第1検出手段63-1〜63-mからは特定の値で出力しないようにすることができる。さらに、このある波長λx のレーザ光に対して第2検出手段64-1〜64-nにおいても、複数個の第2検出手段64-1〜64-nのうち特定の第2検出手段64-1〜64-nからのみ特定の値で出力され、残余の第2検出手段64-1〜64-nからは特定の値で出力しないようにすることができる。
【0058】
そして、制御手段65は、複数個の第1検出手段61-1〜61-mと複数個の第2検出手段62-1〜62-nとの出力を受信して、所定波長に対して出力する第1検出手段63-1〜63-mおよび第2検出手段64-1〜64-nから特定の値で出力が得られるように被制御レーザ光源20へ制御信号を出力する。
このような請求項7に記載の発明にかかるマルチ波長安定化装置6は、いずれの第1検出手段63-1〜63-mといずれの第2検出手段64-1〜64-nとから特定の値で出力を受信したかを識別することにより、被制御レーザ光源20の立ち上がり時におけるレーザ光の波長を判別することができる。この判別した波長と所定波長を比較することにより、被制御レーザ光源20の発振波長を短波長側にずらすか長波長側にずらすか判断し、被制御レーザ光源20に制御信号を出力する。そして、この制御信号により、第1検出手段63-1〜63-mおよび第2検出手段64-1〜64-n中から、所定波長に対して特定の値で出力する第1検出手段63-1〜63-mおよび第2検出手段64-1〜64-nのみから特定の値で出力を受信するようにすることによって所定波長に固定することができる。
【0059】
(請求項8)
図7は、請求項8に記載の発明の原理構成図である。
図7において、請求項8に記載の発明では、被制御レーザ光源20から射出されるレーザ光は、マルチ波長安定化装置7に入射される。入射したレーザ光は、マルチ波長安定化装置7内において光を分岐するカプラ21で分岐され、その分岐したレーザ光の一部は、レーザ光の波長を所定波長に安定制御するために利用され、分岐したレーザ光の残余部は、所定波長に固定された出力光としてマルチ波長安定化装置7から出力される。
【0060】
このマルチ波長安定化装置7では、前述のカプラ21で分岐したレーザ光の一部は、光を分岐するカプラ22でさらに分岐される。このカプラ22で分岐した一方のレーザ光は、レーザ光を受光しレーザ光の強度とこの強度における波長とを計測する光計測手段71に入射される。この光計測手段71の出力は、制御手段73に受信され、制御手段73は、光計測手段71の出力に基づいてレーザ光の波長を波長安定化装置における所定波長の引込範囲内に合わせる制御信号を被制御レーザ光源20へ出力する。
【0061】
また、カプラ22で分岐した他方のレーザ光は、波長安定化装置72に入射され、この波長安定化装置72は、制御手段73によって被制御レーザ光源20から出力されるレーザ光の波長が所定波長における引込範囲内に合わせられた後に、レーザ光を受光しこのレーザ光の強度に基づいて所定波長に固定する制御信号を被制御レーザ光源20へ出力する。
【0062】
このような請求項8に記載の発明にかかるマルチ波長安定化装置7では、まず、光計測手段71で立上波長を計測し、その計測結果に基づいて被制御レーザ光源20の発振波長を調節して、波長安定化装置における所定波長の引込範囲内に合わせる。その後、波長安定化装置で所定波長に固定する。このため、制御レーザ光源が、どのような波長で立ち上がっても、所定波長に固定することができる。
【0063】
(請求項9)
図8は、請求項9に記載の発明の原理構成図である。
図8において、請求項9に記載の発明では、所定波長のレーザ光を発光することができるレーザ光源75とレーザ光を受光しレーザ光の強度に基づいて所定波長にほぼ固定するマルチ波長安定化装置77とを備え、所定波長に固定した定波長のレーザ光を射出するマルチ定波長光源装置8において、このマルチ波長安定化装置77は、請求項1ないし請求項8のいずれか1項に記載のマルチ波長安定化装置で構成する。
【0064】
(請求項10および請求項11)
図9は、請求項10および請求項11に記載の発明の原理構成図である。
まず、請求項10に記載の発明の構成について説明する。
図9において、請求項10に記載の発明では、複数波長のレーザ光を発光するレーザ光源80から射出されるレーザ光は、レーザ光をその偏波を保持した状態で2つに分岐する光分岐手段81に入射する。
【0065】
この光分岐手段81で分岐した第1分岐光は、送出すべき信号で変調する変調手段82に入射され変調される。変調手段82から射出されたレーザ光は、光透過遮断手段83に入射する。この光透過遮断手段83は、変調手段82の出力光が所定波長である場合にはこの出力光を透過し、一方、変調手段82の出力光が所定波長でない場合にはこの出力光を遮断する。
【0066】
また、光分岐手段81で分岐した第2分岐光は、マルチ波長安定化装置84に入射する。このマルチ波長安定化装置84は、この第2分岐光を受光し第2分岐光の強度に基づいてレーザ光を所定波長にほぼ固定する。
【0067】
次に、請求項11に記載の発明の構成について説明する。
請求項11に記載の発明では、図10において、請求項10に記載のWDM方式用光源装置9において、マルチ波長安定化装置84は、請求項1ないし請求項7のいずれか1項に記載のマルチ波長安定化装置で構成する。
このような請求項10および請求項11に記載の発明にかかるWDM方式用光源装置9では、所定波長であるか否かに応じて透過・遮断する光透過遮断手段83があるので、レーザ光源を立ち上げたときに所定波長でない波長で立ち上がった場合やWDM方式におけるchを変更したときに変更後の所定波長になっていない場合などでも、所定波長に安定するまで光透過遮断手段83からレーザ光が射出されない。このため、このWDM方式用光源装置9を接続する光通信システムにおける運用中の光信号にクロストークなどの悪影響を与えることがない。
【0068】
(請求項12)
図10は、請求項12に記載の発明の原理構成図である。
図10において、請求項12に記載の発明では、被検光源89から出力される光は、波長判別装置10内の光を分岐するカプラ90に入射する。このカプラ90は、後述する複数個の第1周期的フィルタ91-1〜91-mおよび第2周期的フィルタ92-1〜92-nの合計数に光を分岐するカプラ90である。カプラ90で分岐した複数個の光の一部は、複数個の第1周期的フィルタ91-1〜91-mの各々に接続され、光の強度を接続する第1周期的フィルタ91-1〜91-mを介して検出する第1検出手段93-1〜93-mに入射する。そして、カプラ24で分岐した複数個の光の他部は、複数個の第2周期的フィルタ92-1〜92-nの各々に接続され、レーザ光の強度を接続する第2周期的フィルタ92-1〜92-nを介して検出する第2検出手段94-1〜94-nに入射する。
【0069】
各第1周期的フィルタ91-1〜91-mは、互いに同一のFSRであってそのFSRが波長に対する解像度の整数倍に設定される。また、各第2周期的フィルタ92-1〜92-nは、互いに同一のFSRであってそのFSRが第1周期的フィルタ91-1〜91-nのFSRと異なりかつ波長に対する解像度の整数倍に設定される。
【0070】
このように第1周期的フィルタ91-1〜91-nと第2周期的フィルタ92-1〜92-nを設定することにより、ある波長λy の光が入射したときに、複数個の第1検出手段93-1〜93-mのうち特定の第1検出手段93-1〜93-mからのみ最大強度の出力が得られ、残余の第1検出手段93-1〜93-mからはそれより小さい出力しか得られないようにすることができ、さらに、このある波長λy の光に対して第2検出手段94-1〜94-nにおいても、複数個の第2検出手段94-1〜94-nのうち特定の第2検出手段94-1〜94-nからのみ最大強度の出力が得られ、残余の第2検出手段94-1〜94-nからはそれよりも小さい出力しか得られないようにすることができる。
【0071】
そして、判定手段95は、複数個の第1検出手段93-1〜93-mと複数個の第2検出手段94-1〜94-nとの出力を受信して、いずれの第1検出手段93-1〜93-mおよびいずれの第2検出手段94-1〜94-nから最大出力が得られたかを識別する。この識別結果に応じて被検光源89の波長を判定し、この判定結果を示す信号を出力する。
【0072】
このような請求項12に記載の発明にかかる波長判別装置10では、いずれの第1検出手段93-1〜93-mといずれの第2検出手段94-1〜94-nとから最大出力を受信したかを識別することにより、被検光源89の光の波長を判定することができる。
なお、請求項1ないし請求項11に記載の発明において、被制御レーザ光源は、所定波長のレーザ光を発光することができる光源であれば、1波長のみを発光させることを目的としたレーザ光源でも、複数の波長を発光させることを目的としたチューナブルレーザ光源でもよい。
【0073】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づいて本発明における実施の形態を説明する。
なお、第1の実施形態ないし第6の実施形態では、8波のWDM方式の場合について説明し、第7の実施形態および第8の実施形態では、32波のWDM方式の場合について説明するが、いずれの場合もこれらの多重度に限られない。
【0074】
(第1の実施形態の構成)
第1の実施形態は、請求項1および請求項9に記載の発明に対応するマルチ定波長光源装置の実施形態である。
図11は、第1の実施形態のマルチ定波長光源装置の構成図である。図12は、各PDの出力波長特性を示す図である。図12上段の曲線は、第1PDの出力波長特性であり、下段の曲線は、第2PDの出力波長特性である。また、図12の縦軸は、各PDの出力であり、横軸は、ch(波長)である。図13は、第1の実施形態における制御用CPUの制御フローチャートである。
【0075】
図11において、チューナブルレーザ110から射出されたレーザ光は、マルチ波長安定化装置101内の光を2つに分岐するカプラ111に入射され、そのレーザ光の一部を分岐した後に残りのレーザ光は、マルチ波長安定化装置101から射出され、さらに、マルチ定波長光源装置100から出力光として射出される。このチューナブルレーザ110は、駆動電流(注入電流)を増減することにより複数波長のレーザ光を発光することができる可変波長DBRレーザである。この可変波長DBRレーザは、本実施形態においては、互いに波長の異なる8波の単一モードレーザ光を出力することができる。
【0076】
このマルチ波長安定化装置101は、前述のカプラ111で分岐したレーザ光の一部は、マッハツェンダー干渉計(以下、「MZ干渉計」と略記する。)120に入射される。
このMZ干渉計120において、入射したレーザ光は、光を2つに分岐する分岐部120-1でさらに分岐される。この分岐部120-1で分岐した第1レーザ光は、第1光導波路を伝搬して干渉部120-2に入射する。分岐部120-1で分岐した第2レーザ光は、第2光導波路を伝搬して干渉手段120-2に入射する。
【0077】
ここで、第2光導波路は、第1光導波路に対して、各レーザ光の干渉の結果、WDM方式におけるchの波長間隔の2倍である1.6nm(200GHz)周期で干渉縞を生じる光学的な光路差を設ける。そして、干渉部120-2は、第1光導波路および第2光導波路を伝搬した各レーザを合成して干渉光を生じさせ、この干渉光を2つのレーザ光に分岐する。干渉部120-2で干渉して分岐した第1干渉光は、第1ポート120-3から出力される。また、干渉部120-2で干渉して分岐した第2干渉光は、干渉部120-2から第1ポート120-3までの光路と干渉部120-2から第2ポート120-4までの光路との間に、第1ポート120-3における第1干渉光の位相に対して第2ポート120-4において第2干渉光の位相を半周期(0.8nm)遅らせる光学的な光路差を設けて、第2ポート120-4から出力される。
【0078】
このように設定されるため、PDo2は、PDo1に対して半周期遅れて出力される。よって、図12に示すように、PDo1の波長特性とPDo2の波長特性は、互いに逆になる。ここで、後述する第1PD121および第2PD122の出力をそれぞれPDo1、PDo2とした。
また、チューナブルレーザを所定波長に固定する制御を行うために使用される目標値X1 は、PDo2の肩に配置され、PDo2の極大値から極小値の肩に配置された目標値X1 をch0の波長に対応させる。なお、目標値X1 は、PDo1の肩に配置してもよい。
【0079】
ここで、肩とは、ある間隔で極値を持つグラフにおいて極値を除いた曲線部分をいい、本明細書において肩は、同様の意味に使用される。
このように配置すると、所定波長における目標値X1 と同じ値を取る波長であって隣接する所定波長より短い波長から、所定波長における目標値X1 と同じ値を取る波長であって隣接する所定波長より長い波長までの間隔、すなわち、引込範囲は、第1光導波路と第2光導波路の光学的な光路差である1.6nmとなる。
【0080】
また、このように配置すると、所定波長が偶数chである場合には、所定波長に対応するchの引込範囲内において所定波長より小さい波長では、PDo1/PDo2は、目標値X1 より小さい値となり、所定波長に対応するchの引込範囲内において所定波長より長い波長では、PDo1/PDo2は、目標値X1 より大きい値となる。一方、所定波長が奇数chである場合には、所定波長に対応するchの引込範囲内において所定波長より小さい波長では、PDo1/PDo2は、目標値X1 より大きい値となり、所定波長に対応するchの引込範囲内において所定波長より長い波長では、PDo1/PDo2は、目標値X1 より小さい値となる。
【0081】
なお、ch0に対応する目標値X1 をPDo2の極小値から極大値の肩に配置すると、上記の波長の大小と目標値X1 の大小との関係は、逆となる。
図11に戻って、この第1ポート120-3から射出される第1干渉光は、その強度を検出する第1PD121に入射する。また、第2ポート120-4から射出される第2干渉光は、その強度を検出する第2PD122に入射する。
【0082】
そして、制御用CPU140は、第1PD121から増幅器131およびアナログ/ディジタルコンバータ(以下、「A/D」と略記する。)132を介して、PDo1を受信する。また、制御用CPU140は、第2PD122から増幅器135およびA/D132を介して、PDo2を受信する。増幅器131、135は、入力信号を所定の倍率で定数倍して出力するオペアンプであり、A/D132、136は、アナログ入力を所定のビット、例えば、12ビットのディジタル信号に変換して出力する。制御用CPU140は、後述する処理を行い、チューナブルレーザ110の発振波長を所定波長に固定する制御信号をディジタル入力をアナログ信号に変換するディジタル/アナログコンバータ(以下、「D/A」と略記する。)149を介して、チューナブルレーザ110に出力する。
【0083】
チューナブルレーザ110は、この制御信号によって駆動電流を調節され、所定波長に固定される。
(本発明と第1の実施形態との対応関係)
請求項1に記載の発明と第1の実施形態との対応関係については、干渉計はMZ干渉計120に対応し、第1検出手段は第1PD121に対応し、第2検出手段は第2PD122に対応し、制御手段は制御用CPU140に対応する。
【0084】
また、請求項9に記載の発明と第1の実施形態との対応関係については、レーザ光源はチューナブルレーザ110に対応し、マルチ波長安定化装置はマルチ波長安定化装置101に対応する。
(第1の実施形態の作用効果)
このようなマルチ定波長光源装置100およびマルチ波長安定化装置101の動作について図12、図13を参照しながら、以下に説明する。
【0085】
図11に不図示のWDM方式光通信システムを統括するシステム制御装置によって、マルチ定波長光源装置100の電源が投入される。このマルチ定波長光源装置100の電源投入によって制御用CPU140内に格納されたプログラムがスタートし、マルチ定波長光源装置100内の回路を初期化する(S1)。
制御用CPU140は、チューナブルレーザ110に対するchの立ち上げ要求があったか否かを判断する(S2)。要求がない場合には、要求があるまで、S2の処理を繰り返す。
【0086】
要求があった場合、例えば、ch3を立ち上げる要求があった場合には、制御用CPU140は、チューナブルレーザ110の温度およびch3に対応する駆動電流を設定し、チューナブルレーザ110に制御信号を送信する(S3)。
この制御信号によってチューナブルレーザ110は、立上波長でレーザ光の発振を開始する。
【0087】
制御用CPU140は、チューナブルレーザ110のレーザ発振が安定するのを待つため、W1 秒間、S5以下の処理を停止する(S4)。
第1PD121および第2PD122は、チューナブルレーザ110からのレーザ光をMZ干渉計120を介して受光し、受光量に応じた電流を制御用CPU140に出力する。制御用CPU140は、この電流値を計測し、PDo1/PDo2(検出値)を算出する。
【0088】
制御用CPU140は、目標値X1 からPDo1/PDo2を引くことによってPDo1/PDo2と引込点における目標値X1 との差を算出し、この算出値が許容値以内か否かを判断する(S6)。PDo1/PDo2と引込点における目標値X2 との差を算出することは、チューナブルレーザ110の現在の発振波長と所定波長との差を算出することに相当する。
【0089】
判断の結果、許容値以内である場合は、後述するS11の処理を行う。
一方、判断の結果、算出値(波長差)が許容値以内でない場合には、前述のシステム制御装置によって指定されたchが偶数chか奇数chかを判断する(S7)。これは、算出値の符号が同じでも偶数chか奇数chかによって制御信号の増減が異なるからである。
【0090】
判断の結果、奇数chである場合は、奇数chの場合の算出値(波長差)に応じた制御信号を出力する(S8)。この奇数chの場合の制御信号は、前述したように算出値がマイナスの場合には、現在の発振波長が所定波長より長い場合であるから、発振波長を短くすべく駆動電流を増加させる信号となる。また、算出値がプラスの場合には、現在の発振波長が所定波長より短い場合であるから、発振波長を長くすべく駆動電流を減少させる信号となる。今、所望のchは、ch3であるから、このS8の処理を行う。
【0091】
一方、判断の結果、偶数chである場合は、偶数chの場合の算出値(波長差)に応じた制御信号を出力する(S9)。この偶数chの場合の制御信号は、算出値の符号と駆動電流の増減との関係において奇数chの場合と逆になる。これは、偶数chの場合には、極大値から極小値の肩に偶数chの引込点が配置されるからである。
【0092】
制御用CPU140は、チューナブルレーザ110のレーザ発振が安定するのを待つため、W2 秒間、次のS11以下の処理を停止し(S10)、W2 秒後にS11の処理を行う(S10)。
制御用CPU140は、前述のシステム制御装置からこのマルチ定波長光源装置100の運用を終了する信号を受信したか否かを判断する(S11)。運用終了の信号を受信した場合には、電源を遮断して、処理を終了する(S12)。
【0093】
一方、運用終了の信号を受信しない場合には、制御用CPU140は、処理をS5に戻し、算出値が許容値以内となるまで、S5からS11までの処理を繰り返す。これらの処理を繰り返すことによって、立上波長からch3の所定波長へチューナブルレーザ110の発振波長が調整され、ch3に発振波長が固定される。また、これらの処理を繰り返すことによって雑音などによって発振波長にずれが生じてもこのずれが補償され、発振波長が固定される。
【0094】
第1の実施形態にかかるマルチ定波長光源装置100(マルチ波長安定化装置101)は、所定波長に対応するchが偶数chか奇数chかを判断しているので、各chの引込範囲は、WDM方式のchの波長間隔の2倍にすることができる。よって、各chの引込範囲は、従来に比べて広くすることができる。
また、上述の実施形態においては、制御用CPU140によって第1PD121および第2PD122の出力を処理して、チューナブルレーザ110に制御信号を送信したが、演算回路によって処理してもよい。
【0095】
図14は、制御用CPUに相当する演算回路の構成例を示す図である。
図14において、第1PD121の出力は、増幅器141を介して割算回路143に入力する。第2PD122の出力は、増幅器142を介して割算回路143に入力する。
【0096】
割算回路143は、PDo1/PDo2を計算する回路である。この割算回路143の出力は、入力信号を基準電圧Vref と比較してその差に比例する信号を出力する比較器144に入力する。Vref は、目標値X1 に相当する電圧にする。比較器144の出力は、WDM方式光通信システムを統括するシステム制御装置からの制御信号により制御されるスイッチ145に入力する。このスイッチ145は、システム制御装置からの信号に従って偶数chの場合には、図14に示す端子Tm1に接続し、奇数chの場合には、端子Tm2に接続を切り替える。
【0097】
スイッチ145の端子Tm1は、そのまま増幅器147を介してチューナブルレーザ110に接続される。一方、スイッチ145の端子Tm2は、入力信号を反転出力するインバータ146および増幅器147を介してチューナブルレーザ110に接続される。
このように構成することにより、比較器144において目標値X1 とPDo1/PDo2とが比較され、スイッチ145において所定波長のchの偶奇数に従って制御信号の増減方向が調整されるので、上述の制御用CPUの制御フローチャートと同様の作用をすることができる。
【0098】
なお、第1の実施形態においては、MZ干渉計を使用したがこれに限定されるものではない。図12に示す出力波長特性を実現できる干渉計であればマイケルソンの干渉計なども使用することができる。
次に、別の実施形態について説明する。
(第2の実施形態の構成)
第2の実施形態は、請求項2および請求項9に記載の発明に対応するマルチ定波長光源装置の実施形態である。
【0099】
図15は、第2の実施形態のマルチ定波長光源装置の構成図である。図16は、極大値から極小値の間における肩に偶数chの目標値を配置した場合の図である。図17は、極小値から極大値の間における肩に偶数chの目標値を配置した場合の図である。図18は、図16に対し、フィネスを大きくした場合を示す図である。図16ないし図18の縦軸は、後述するPDo1/PDo2(光透過率)であり、横軸は、ch(波長)である。また、曲線は、PDo2で規格化したPDo1の出力波長特性である。
【0100】
図15において、8波の可変波長DBRレーザであるチューナブルレーザ110から射出されたレーザ光は、マルチ波長安定化装置151内の光を2つに分岐するカプラ111に入射され、そのレーザ光の一部を分岐した後に残りのレーザ光は、マルチ波長安定化装置151から射出され、さらに、マルチ定波長光源装置150から出力光として射出される。
【0101】
このマルチ波長安定化装置151では、前述のカプラ111で分岐したレーザ光の一部は、光を2つに分岐するカプラ160でさらに分岐される。このカプラ160で分岐した一方のレーザ光は、ETフィルタ161を介して第1PD162に入射され、そのレーザ光の強度が検出される。この第1PD162の出力値をPDo1とする。また、カプラ160で分岐した他方のレーザ光は、第2PD165に入射され、そのレーザ光の強度が検出される。この第2PD165の出力値をPDo2とする。これら第1PD162および第2PD165は、光強度に応じて電流を出力する。
【0102】
ETフィルタ161のFSRは、chの波長間隔0.8nm(100GHzグリッド間隔)のWDM方式の場合には、その共振間隔を調整することにより、1.6nmに設定される。また、そのフィネスは、図16に示すように、各chに対応する各波長における光透過率(PDo1/PDo2)が同一の値X2 (目標値)となるように設定される。このように設定されるため、いずれの偶数chも極大値から極小値までの肩に配置され、一方、いずれの奇数chも極小値から極大値までの肩に配置される。
【0103】
このように配置すると、所定波長における目標値X2 と同じ値を取る波長であって隣接する所定波長より短い波長から、所定波長における目標値X2 と同じ値を取る波長であって隣接する所定波長より長い波長までの間隔、すなわち、引込範囲は、FSRの値からchの波長間隔の2倍である1.6nmとなる。
また、このように配置すると、所定波長が偶数chである場合には、所定波長に対応するchの引込範囲内において所定波長より短い波長では、PDo1/PDo2は、目標値X2 より大きい値となり、所定波長に対応するchの引込範囲内において所定波長より長い波長では、PDo1/PDo2は、目標値X1 より小さい値となる。一方、所定波長が奇数chである場合には、所定波長に対応するchの引込範囲内において所定波長より短い波長では、PDo1/PDo2は、目標値X1 より小さい値となり、所定波長に対応するchの引込範囲内において所定波長より長い波長では、PDo1/PDo2は、目標値X1 より大きい値となる。
【0104】
このため、偶数ch同士の間では、X2 は、WDM方式のchの波長間隔の2倍の周期で現れる。奇数ch同士の間では、X2 は、WDM方式のchの波長間隔の2倍の周期で現れる。したがって、各chの引込範囲は、chの波長間隔の2倍となり、chに対応する波長を中心として±0.8nm(±100GHz)になる。
【0105】
なお、図17に示すように、偶数chを極小値から極大値までの肩に配置し、一方、奇数chを極大値から極小値までの肩に配置してもよい。この場合には、上記の波長の大小と目標値X2 の大小との関係は、逆となる。
そして、ETフィルタ161のFSRは、chの波長間隔の2倍に設定しなければならないため、1.6nmで一定である。このためフィネスを大きくすると半値全幅が小さくなり、その結果、図18に示すように目標値X3 も小さくしなければならなくなる。あまり小さな値を目標値とすると比較されるPDo1/PDo2のSNR(Signal Noise Ratio)も劣化するため、所定波長に固定する精度が低下する。このため、フィネスの上限値が存在する。
【0106】
本実施形態では、ETフィルタ161の特性から半値全幅が0.7から1.1nmであり、FSRが200GHzであるため、フィネスは、1.4から2.3までしか変化させることができない。
また、本実施形態では、WDM方式光通信システムの通信品質の要求から、フィネスは、2.0に設定され、これに対応して目標値X2 が設定される。なお、chの波長間隔を0.8nmから0.4nmに変えてもFSRおよび半値全幅ともに2倍となるため、フィネスは同じ値となる。
【0107】
制御用CPU180は、第1PD162の出力PDo1を増幅器171とA/D172を介して受信する。さらに、第2PD165の出力PDo2を増幅器175とA/D176を介して受信する。制御用CPU180は、後述する処理を行い、チューナブルレーザ110の発振波長を所定波長に固定する制御信号をD/A149を介してチューナブルレーザ110に出力する。チューナブルレーザ110は、この制御信号によって駆動電流を調節され、所定波長に固定される。
【0108】
(本発明と第2の実施形態との対応関係)
請求項2に記載の発明と第2の実施形態との対応関係については、周期的フィルタはETフィルタ161に対応し、第1検出手段は第1PD162に対応し、第2検出手段は第2PD165に対応し、制御手段は制御用CPU180に対応する。
【0109】
また、請求項9に記載の発明と第3の実施形態との対応関係については、レーザ光源はチューナブルレーザ110に対応し、マルチ波長安定化装置はマルチ波長安定化装置151に対応する。
(第2の実施形態の作用効果)
このようなマルチ定波長光源装置150およびマルチ波長安定化装置151の動作は、第1の実施形態と第2の実施形態の間において、主に、第1PD121を第1PD162に、第2PD122を第2PD165に、制御用CPU140を制御用CPU180に対応させることにより、第1の実施形態と同様に説明できるので、その説明を省略する。
【0110】
第2の実施形態にかかるマルチ定波長光源装置150(マルチ波長安定化装置151)は、偶数ch同士の間では、PDo1/PDo2の同じ値は、WDM方式のchの波長間隔の2倍の周期で現れ、奇数ch同士の間でも、PDo1/PDo2の同じ値は、WDM方式のchの波長間隔の2倍の周期で現れるので、各chの引込範囲は、従来に比べて広く所定波長を中心にしてchの波長間隔の2倍になる。
【0111】
次に、別の実施形態について説明する。
(第3の実施形態の構成)
第3の実施形態は、請求項3および請求項9に記載の発明に対応するマルチ定波長光源装置の実施形態である。
図19は、第3の実施形態のマルチ定波長光源装置の構成図である。図20は、極小値から極大値の間における肩に各chの目標値を配置した場合を示す図である。図20の縦軸は、後述するPDo1/PDo2(光透過率)であり、横軸は、ch(波長)である。また、曲線は、PDo2で規格化したPDo1の波長特性である。図21は、各chに対応する波長と目標値との関係を示す図である。
【0112】
図19において、8波の可変波長DBRレーザであるチューナブルレーザ110から射出されたレーザ光は、マルチ波長安定化装置202内の光を2つに分岐するカプラ111に入射され、そのレーザ光の一部を分岐した後に残りのレーザ光は、マルチ波長安定化装置202から射出され、さらに、マルチ定波長光源装置201から出力光として射出される。
【0113】
このマルチ波長安定化装置202では、前述のカプラ111で分岐したレーザ光の一部は、光を2つに分岐するカプラ160でさらに分岐される。このカプラ160で分岐した一方のレーザ光は、ETフィルタ210を介して第1PD212に入射され、そのレーザ光の強度が検出される。この第1PD212の出力値をPDo1とする。また、カプラ160で分岐した他方のレーザ光は、第2PD165に入射され、そのレーザ光の強度が検出される。この第2PD165の出力値をPDo2とする。これら第1PD212および第2PD165は、光強度に応じて電流を出力をする。
【0114】
ETフィルタ210は、chの波長間隔0.8nm(100GHzグリッド間隔)の8波のWDM方式の場合には、その共振間隔を調整することによりFSRの半分が5.6nm以上、例えば、6.4nmに設定される。ここで、各chをITU−T準拠にする場合には、ITU−Tに準拠した各chがFSRの肩に収まるように、ETフィルタ210の共振器を構成する反射面の反射率、共振間隔を調整する。
【0115】
そして、各chは、図20に示すように極小値から極大値の間における肩に配置される。ch0は、PDo1/PDo2の極小値を与える波長に近いところに配置される。極小値を与える波長に配置しないのは、PDの雑音などにより極小値のSNRが悪いためである。ch1からch7は、このch0を配置した波長からchの波長間隔である0.8nmおきに配置される。
【0116】
このように配置されるため、例えば、極小値から極大値の間にあるch4の波長に対するPDo1/PDo2の値は、1周期の間に1つしかないから、ch4の引込範囲は、ETフィルタ210の1周期分まで広げることができる。図20に、一例としてch4の引込範囲を示す。同様に、各chの引込範囲は、ETフィルタ210の1周期分である。
【0117】
また、各chにおける波長のレーザ光によって得られる第1PD212および第2PD165の出力を予め実測し、その結果からPDo1/PDo2の目標値を得る。メモリ231には、図21に示すch0(λ0 )ないしch7(λ7 )の波長とこの波長における目標値との関係を示すテーブルが予め用意され、その関係が蓄積される。
【0118】
そして、制御用CPU230は、第1PD212から増幅器221およびA/D222を介してPDo1を受信し、第2PD165から増幅器175およびA/D176を介してPDo2を受信する。そして、後述する処理を行い、チューナブルレーザ110の発振波長を所定波長に固定する制御信号をD/A149を介してチューナブルレーザ110に出力する。チューナブルレーザ110は、この制御信号によって駆動電流を調節され、所定波長に固定される。
【0119】
(本発明と第3の実施形態との対応関係)
請求項3に記載の発明と第3の実施形態との対応関係については、周期的フィルタはETフィルタ210に対応し、第1検出手段は第1PD212に対応し、第2検出手段は第2PD165に対応し、制御手段は制御用CPU230に対応し、記憶手段はメモリ231に対応する。
【0120】
また、請求項9に記載の発明と第3の実施形態との対応関係については、レーザ光源はチューナブルレーザ110に対応し、マルチ波長安定化装置はマルチ波長安定化装置202に対応する。
(第3の実施形態の作用効果)
このようなマルチ定波長光源装置201およびマルチ波長安定化装置202の動作について以下に説明する。
【0121】
マルチ定波長光源装置201の操作者は、不図示の手段によって所定波長、例えば、ch4にセットする。このセットによって制御用CPU230は、チューナブルレーザ110にch4の波長λ4 のレーザ光を発生させる駆動電流を流すべく制御信号を出力する。チューナブルレーザ110は、この制御信号により、例えば、図20に示すch4の波長より短い波長で立ち上がり、レーザ光を射出する。このレーザ光は、直接第2PD165とETフィルタ210を介した第1PD212とに受光され、その強度が検出される。
【0122】
制御用CPU230は、この立上波長をPDo1およびPDo2から算出したPDo1/PDo2(検出値)によって認識する。制御用CPU230は、メモリ231に蓄積されているテーブルからch4に割り当てられた波長λ4 における目標値Tg14を読み込む。
そして、制御用CPU230は、この検出値と目標値Tg14との差に応じた制御信号をチューナブルレーザ110に出力し、チューナブルレーザ110の駆動電流を調整することによって、発振波長をλ4 に固定する。
【0123】
ここで、各chを配置した肩は、極小値から極大値までの右上がりの曲線であるから、検出値が目標値Tg14より小さい値であるときは、立上波長がλ4 より短い場合である。また、検出値が目標値Tg14より大きい値であるときは、立上波長がλ4 より長い場合である。
したがって、制御用CPU230は、検出値が目標値Tg14より小さい値であるときは、立上波長を長くすべく駆動電流を増加する制御信号を発生する。一方、検出値が目標値Tg14より大きい値であるときは、立上波長を短くすべく駆動電流を減少する制御信号を発生する。
【0124】
このようなフィードバック制御は、発振波長がλ4 に固定されるまで繰り返され、また、チューナブルレーザ110の温度変動やゆらぎなどによって発振波長が微小変化した場合にも行われる。
第3の実施形態にかかるマルチ定波長光源装置201(マルチ波長安定化装置202)は、以上のように動作するので、引込範囲をETフィルタ210の1周期分まで広くすることができる。
【0125】
また、このようにレーザ光をETフィルタ210を介して受光して得られるPDo1をそのまま制御に使用しないで、レーザ光を直接受光して得られるPDo2を参照値として利用しているので、雑音や経時劣化などによるPDo1の変動を補償することができる。
なお、第3の実施形態においては、図20の場合を示したが、図22に示すように、各chの目標値を極大値から極小値の間における肩に配置してもよい。
【0126】
また、第3の実施形態においては、駆動電流を増減することによって発振波長を調整したが、温度可変型のチューナブルレーザでは、その温度を変えることによっても発振波長を調整することができる。この場合には、ペルチェ素子などの温度を制御できる媒体にチューナブルレーザを接触させる。
そして、制御用CPUは、立上波長がλ4 より短い場合には、温度を高くする制御信号を発生し、一方、立上波長がλ4 より長い場合には、温度を低くする制御信号を発生する。
【0127】
次に、別の実施形態について説明する。
(第4の実施形態の構成)
第4の実施形態は、請求項4、請求項5および請求項9に記載の発明に対応するマルチ定波長光源装置の実施形態である。
図23は、第4の実施形態のマルチ定波長光源装置250の構成図である。図24は、所定波長に固定する動作を説明するための図である。図24の縦軸は、上段の場合は、後述するPDo1/PDo3(光透過率)であり、下段の場合は、後述するPDo2/PDo3(光透過率)である。それらの横軸は、ch(波長)である。また、図24上段の曲線は、PDo3で規格化したPDo1の波長特性であり、図24下段の曲線は、PDo3で規格化したPDo2の波長特性である。
【0128】
図23において、8波の可変波長DBRレーザであるチューナブルレーザ110から射出されたレーザ光は、マルチ波長安定化装置251内の光を2つに分岐するカプラ111に入射され、そのレーザ光の一部を分岐した後に残りのレーザ光は、マルチ波長安定化装置251から射出され、さらに、マルチ定波長光源装置250から出力光として射出される。
【0129】
このマルチ波長安定化装置251では、前述のカプラ111で分岐したレーザ光の一部は、光を3つ分岐するカプラ260でさらに分岐される。このカプラ260で分岐した第1のレーザ光は、第1ETフィルタ261を介して第1PD262に入射され、そのレーザ光の強度が検出される。カプラ260で分岐した第2のレーザ光は、第2ETフィルタ263を介して第2PD264に入射され、そのレーザ光の強度が検出される。そして、カプラ260で分岐した第3のレーザ光は、第3PD265に入射され、そのレーザ光の強度が検出される。これら第1PD262ないし第3PD265は、光強度に応じて電流を出力する。また、これら第1PD262、第2PD264、第3PD265の出力値をそれぞれPDo1、PDo2、PDo3とする。
【0130】
第1ETフィルタ261は、チューナブルレーザ110を発光開始させた時の立上波長から初期引込波長λint にほぼ固定するための周期的フィルタである。このλint は、第2ETフィルタ263のいずれかのchにおける引込範囲内に設定される。例えば、ch2の波長にλint を設定する場合には、図24に示すようにch2の引込範囲内に合わせる。そして、この第1ETフィルタ261のFSRは、λint におけるPDo1/PDo3(光透過率)と同一の値を与えるλint に最も近い2つの波長(図24における点j、点k)の間に、常に一定の立上用駆動電流をチューナブルレーザ110に流した場合に、チューナブルレーザ110を発光開始させた時の立上波長が含まれるように設定される。例えば、チューナブルレーザ110を発光開始時の立上波長が、λ2 を中心として±1.2nmの範囲で立ち上がる場合には、FSRを2.4nm(300GHz)に設定する。
【0131】
第2ETフィルタ263は、λint から所定波長に固定するための周期的フィルタである。第2ETフィルタ263のFSRは、WDM方式における各chに対して引込範囲を同一にし、また、すべてのchを固定することができるようにするため、WDM方式におけるchの波長間隔に設定される。例えば、ITU−Tに準拠して各chの波長間隔を0.8nmとした場合には、そのFSRは、0.8nmに設定される。
【0132】
そして、制御用CPU280は、第1PD262ないし第3PD265からの出力PDo1、PDo2、PDo3をそれぞれ増幅器271、273、275およびA/D272、274、276を介して受信する。そして、後述する処理を行い、チューナブルレーザ110の発振波長を固定する制御信号をD/A149を介して出力する。チューナブルレーザ110は、この制御信号によって駆動電流を調節され、所定波長に固定される。
【0133】
(本発明と第4の実施形態との対応関係)
請求項4または請求項5に記載の発明と第4の実施形態との対応関係については、第1周期的フィルタは第1ETフィルタ261に対応し、第2周期的フィルタは第2ETフィルタ263に対応する。第1検出手段は第1PD262に対応し、第2検出手段は第2PD264に対応し、第3検出手段は第3PD265に対応し、制御手段は制御用CPU280に対応する。
【0134】
また、請求項9に記載の発明と第4の実施形態との対応関係については、レーザ光源はチューナブルレーザ110に対応し、マルチ波長安定化装置はマルチ波長安定化装置251に対応する。
(第4の実施形態の作用効果)
このようなマルチ定波長光源装置250およびマルチ波長安定化装置251の動作について以下に説明する。
【0135】
マルチ定波長光源装置250の操作者は、不図示の手段によってチューナブルレーザ110を起動し、所定波長、例えば、ch4にセットする。このチューナブルレーザ110の起動によって制御用CPU280は、チューナブルレーザ110に立ち上げ用の駆動電流を流すべく制御信号を出力する。チューナブルレーザ110は、この制御信号により、例えば、図24に示すch1とch2との間の波長で立ち上がり、レーザ光を射出する。このレーザ光は、第1PD262ないし第3PD265に受光され、その強度がそれぞれ検出される。
【0136】
制御用CPU280は、この立上波長をPDo1およびPDo3から算出したPDo1/PDo3(第1検出値)によって認識する。制御用CPU280は、この検出値をλint における初期目標値X4 と比較する。そして、制御用CPU280は、この第1検出値と初期目標値X4 との差に応じた制御信号をチューナブルレーザ110に出力し、チューナブルレーザ110の駆動電流を調整することによって、発振波長をλint に固定する。
【0137】
ここで、図24に示すようにλint を極大値から極小値までの右下がりの曲線の間に配置したときは、第1検出値が初期目標値X4 より大きい値である場合には、立上波長がλint より短い場合である。また、第1検出値が初期目標値X4 より小さい値であるときは、立上波長がλint より長い場合である。したがって、制御用CPU280は、第1検出値が初期目標値X4 より大きい値であるときは、立上波長を長くすべく駆動電流を減少する制御信号を発生する。一方、第1検出値が初期目標値X4 より小さい値であるときは、立上波長を短くすべく駆動電流を増加する制御信号を発生する。
【0138】
なお、λint を極小値から極大値までの右上がりの曲線の間に配置したときは、上述の初期目標値に対する第1検出値の大小とλint に対する立上波長の長短の関係は、逆となる。
このような動作により、チューナブルレーザ110の波長は、λint 、すなわち、図24下段においてch2の波長λ2 にほぼ固定される。そして、制御用CPU280は、発振波長をλ2 からλ4 に固定する処理を行う。
【0139】
この処理において、制御用CPU280は、第2PDおよび第3PDより受信したPDo2およびPDo3からPDo2/PDo3(第2検出値)の値を算出する。そして、制御用CPU280は、第2検出値の極大値の数を数えることにより所定波長における引込範囲までチューナブルレーザ110の発振波長を制御する。ch4の場合には、λ2 からλ4 までの間には、図24下段に示すように極大値が2つあるので、λ4 の引込範囲は、第2検出値の極大値を2つ数えた後である。
【0140】
その後、制御用CPU280は、この第2検出値と目標値Y1 との差に応じた制御信号をチューナブルレーザ110に出力し、チューナブルレーザ110の駆動電流を調整することによって、発振波長をλ4 に固定する。この第2検出値と目標値Y1 との差に応じた制御信号は、前述の第1検出値と初期目標値X4 との差に応じた制御信号と同様に得られるので、その説明を省略する。
【0141】
そして、このような第2検出値と目標値Y1 との差に基づくフィードバック制御は、発振波長がλ4 に固定されるまで繰り返され、また、チューナブルレーザ110の温度変動やゆらぎなどによって発振波長が微小変化した場合にも行われる。
第4の実施形態にかかるマルチ定波長光源装置250(マルチ波長安定化装置251)は、立上波長を初期引込波長λint にほぼ固定する制御段階と、所望chの所定波長に固定する制御段階との2段階でチューナブルレーザ110の発振波長を制御するので、FSRを個別に設定することにより各段階における引込範囲を独立して設定することができる。したがって、初期引込範囲を自由に設定できるので、従来のように特定のレーザ光源に対して波長安定化装置を特別に設計する必要がなく、任意のレーザ光源に対して適用することができる。また、初期引込波長から任意の波長まで発振波長を変えることができるので、1波を出力するレーザ光源だけでなく、複数波長を出力するレーザ光源に対しても適用することができる。
【0142】
なお、第4の実施形態においては、立ち上げ用の駆動電流を常に一定にしていたが、一般に、半導体レーザは、経年劣化により同じ値の電流を流しても立ち上がり時の波長がずれていくことが知られている。このため、経年劣化による立ち上がり時の波長のズレをメモリなどの記憶手段にデータとして持っておくことにより、運用期間に対応させて立ち上げ用の駆動電流を変化させ、このズレを補償するようにしてもよい。このようにすることにより長期間運用しても初期引込範囲を逸脱することがない。
【0143】
また、第4の実施形態においては、図24上段のように初期引込波長を肩に配置したが、図25上段のように初期引込波長を極大値に配置しても所望の固定波長に制御することができる。この場合には、初期引込範囲は、初期引込波長の極大値に隣接する2つの極大値を与える波長間ではなく、初期引込波長の極大値に隣接する2つの極小値を与える波長間になる。なぜなら、初期引込波長の極大値からもう一つの極大値までの間に同一の値を取る波長が2箇所存在するため、第1検出値がいずれの波長に対応するか判別できないからである。
【0144】
次に、別の実施形態について説明する。
(第5の実施形態の構成)
第5の実施形態は、請求項4、請求項6および請求項9に記載の発明に対応するマルチ定波長光源装置の実施形態である。
図26(a)は、第5の実施形態のマルチ定波長光源装置の構成図である。図26(b)は、所定波長に固定する動作を説明するための図である。図26(b)の縦軸は、上段の場合は、後述するPDo1/PDo3(光透過率)であり、下段の場合は、後述するPDo2/PDo3(光透過率)である、その横軸は、ch(波長)である。また、図26(b)上段の直線は、PDo3で規格化したPDo1の波長特性であり、図26(b)下段の曲線は、PDo3で規格化したPDo2の波長特性である。
【0145】
図26(a)において、8波の可変波長DBRレーザであるチューナブルレーザ110から射出されたレーザ光は、マルチ波長安定化装置301内の光を2つに分岐するカプラ111に入射され、そのレーザ光の一部を分岐した後に残りのレーザ光は、マルチ波長安定化装置301から射出され、さらに、マルチ定波長光源装置300から出力光として射出される。
【0146】
このマルチ波長安定化装置301では、前述のカプラ111で分岐したレーザ光の一部は、光を3つ分岐するカプラ260でさらに分岐される。このカプラ260で分岐した第1レーザ光は、FBG(Fiber Bragg Grating )フィルタ311を介して第1PD262に入射され、そのレーザ光の強度が検出される。カプラ160で分岐した第2レーザ光は、ETフィルタ313を介して第2PD264に入射され、そのレーザ光の強度が検出される。そして、カプラ260で分岐した第3レーザ光は、第3PD265に入射され、そのレーザ光の強度が検出される。これら第1PD262ないし第3PD265は、光強度に応じて電流を出力する。また、これら第1PD262、第2PD264、第3PD265の出力値をそれぞれPDo1、PDo2、PDo3とする。
【0147】
FBGフィルタ311は、チューナブルレーザを発光開始させた時の立上波長から所定波長(所望のch)における引込範囲に発振波長を変えるための周期的フィルタである。図26(b)上段に示すように、このFBGフィルタ311は、8波のWDM方式の場合には、ch0ないしch7に対応する各波長がFBGフィルタ311における光透過率の傾斜部分に配置されるように設定される。
【0148】
ETフィルタ313は、所定波長における初期引込波長から所定波長に固定するための周期的フィルタである。ETフィルタ313のFSRは、WDM方式における各chに対して引込範囲を同一にし、また、すべてのchを固定することができるようにするため、WDM方式におけるchの波長間隔に設定される。例えば、ITU−Tに準拠して各chの波長間隔を0.8nmとした場合には、そのFSRは、0.8nmに設定される。
【0149】
また、各chにおける波長のレーザ光によって得られる第1PD262ないし第3PD265の出力を予め実測し、その結果からPDo1/PDo3の目標値を得る。メモリ331には、ch0ないしch7の波長とこの波長における目標値との関係を示すテーブルが予め用意され、その関係が蓄積される。
そして、制御用CPU330は、第1PD262ないし第3PD265からの出力PDo1、PDo2、PDo3をそれぞれ増幅器271、273、275およびA/D272、274、276を介して受信する。そして、後述する処理を行い、チューナブルレーザ110の発振波長を固定する制御信号をD/A149を介して出力する。チューナブルレーザ110は、この制御信号によって駆動電流を調節され、所定波長に固定される。
【0150】
(本発明と第5の実施形態との対応関係)
請求項4または請求項6に記載の発明と第5の実施形態との対応関係については、第1周期的フィルタはFBGフィルタ311に対応し、第2周期的フィルタはETフィルタ313に対応する。第1検出手段は第1PD262に対応し、第2検出手段は第2PD264に対応し、第3検出手段は第3PD265に対応する。記憶手段はメモリ331に対応し、制御手段は制御用CPU330に対応する。
【0151】
また、請求項9に記載の発明と第5の実施形態との対応関係については、レーザ光源はチューナブルレーザ110に対応し、マルチ波長安定化装置はマルチ波長安定化装置301に対応する。
(第5の実施形態の作用効果)
このようなマルチ定波長光源装置300およびマルチ波長安定化装置301の動作について以下に説明する。
【0152】
マルチ定波長光源装置300の操作者は、不図示の手段によってチューナブルレーザ110を起動し、所定波長、例えば、ch5にセットする。このチューナブルレーザ110の起動によって制御用CPU330は、チューナブルレーザ110に立ち上げ用の駆動電流を流すべく制御信号を出力する。なお、立ち上げ用の駆動電流は、常に一定にする必要はなく、FBGフィルタ311の光透過率の傾斜部分で立ち上がる駆動電流でよい。チューナブルレーザ110は、この制御信号により、例えば、図26(b)に示す立上波長でレーザ光を射出する。このレーザ光は、第1PD262ないし第3PD265に受光され、その強度がそれぞれ検出される。
【0153】
制御用CPU330は、この立上波長をPDo1およびPDo3から算出したPDo1/PDo3(第1検出値)によって認識する。制御用CPU330は、この第1検出値をch5(λ5 )における初期目標値X6 と比較する。そして、制御用CPU330は、この第1検出値と初期目標値X6 との差に応じた制御信号をチューナブルレーザ110に出力し、チューナブルレーザ110の駆動電流を調整することによって、発振波長をλ5 にほぼ固定する。
【0154】
ここで、図26(b)に示すようにFBGフィルタ311の光透過率が右上がりであるので、第1検出値が初期目標値X6 より小さい値である場合には、立上波長は、λ5 より短い場合である。また、第1検出値が初期目標値X6 より大きい値であるときは、立上波長は、λ5 より長い場合である。したがって、制御用CPU330は、第1検出値が初期目標値X6 より小さい値であるときは、立上波長を長くすべく駆動電流を減少する制御信号を発生する。一方、第1検出値が初期目標値X6 より大きい値であるときは、立上波長を短くすべく駆動電流を増加する制御信号を発生する。
【0155】
このような動作により、チューナブルレーザ110の波長は、λ5 、すなわち、図26(b)下段においてch5の波長λ5 にほぼ固定され、チューナブルレーザ110の発振波長は、ch5の引込範囲内に入る。
そして、制御用CPU330は、さらに正確にλ5 に固定するため、発振波長を調整すべく制御信号をチューナブルレーザ110に出力し、チューナブルレーザ110の駆動電流を調整することによって、発振波長をλ5 に固定する。
【0156】
この処理において、制御用CPU330は、この第2検出値と目標値Y2 との差に応じた制御信号をチューナブルレーザ110に出力し、チューナブルレーザ110の駆動電流を調整することによって、発振波長をλ5 に固定する。この第2検出値と目標値Y2 との差に応じた制御信号は、第4の実施形態において説明した第1検出値と初期目標値X4 との差に応じた制御信号と同様に得られるので、その説明を省略する。
【0157】
そして、このような第2検出値と目標値Y2 との差に基づくフィードバック制御は、発振波長がλ5 に固定されるまで繰り返され、また、チューナブルレーザ110の温度変動やゆらぎなどによって発振波長が微小変化した場合にも行われる。
第5の実施形態にかかるマルチ定波長光源装置300(マルチ波長安定化装置301)は、上述のようにどのような波長でチューナブルレーザ110が立ち上がっても所定波長の引込範囲に調整することができる。このため、従来のように特定のレーザ光源に対して波長安定化装置を特別に設計する必要がなく、任意のレーザ光源に対して適用することができる。また、立ち上げ時の波長から任意の波長の引込範囲まで発振波長を変えることができるので、1波を出力するレーザ光源だけでなく、複数波長を出力するレーザ光源に対しても適用することができる。
【0158】
また、所定波長の引込範囲まで発振波長を変える制御段階と所定波長に固定する制御段階との2段階で制御するので、より正確に所定波長に固定することができる。
次に、別の実施形態について説明する。
(第6の実施形態の構成)
第6の実施形態は、請求項7、請求項9および請求項12に記載の発明に対応するマルチ定波長光源装置の実施形態である。
【0159】
図27は、第6の実施形態のマルチ定波長光源装置の構成図である。図28は、各ETフィルタと各chにおける引込点との関係を説明する図であり、各曲線は、各第1PDおよび各第2PDの出力特性である。図29は、目標値PDペアと各chとの第1の対応関係を示す図である。図30は、第6の実施形態における制御用CPUの制御フローチャートである。
【0160】
図27において、8波の可変波長DBRレーザであるチューナブルレーザ110から射出されたレーザ光は、マルチ波長安定化装置351内の光を2つに分岐するカプラ111に入射され、そのレーザ光の一部を分岐した後に残りのレーザ光は、マルチ波長安定化装置351から射出され、さらに、マルチ定波長光源装置350から出力光として射出される。
【0161】
このマルチ波長安定化装置351では、前述のカプラ111で分岐したレーザ光の一部は、光を分岐するカプラ360でさらに分岐される。このカプラ360は、後述する第1ETフィルタ361-1〜361-3および第2ETフィルタ363-1〜363-4の数分だけ光を分岐する。本実施形態においては、第1ETフィルタ361-1〜361-3が3つで第2ETフィルタ363-1〜363-4が4つの合計7つであるので、7つに光を分岐する。このカプラ360で分岐した第1レーザ光から第3レーザ光は、第1ETフィルタ361-1〜361-3に入射される。第1ETフィルタ361-1〜361-3のFSRは、chの波長間隔の3倍である2.4nm(300GHz)に設定される。また、カプラ360で分岐した第4レーザ光から第7レーザ光は、第2ETフィルタ363-1〜363-4に入射される。第2ETフィルタ363-1〜363-4のFSRは、第1ETフィルタ361-1〜361-3のFSRと異なるFSRであってchの波長間隔の4倍である3.2nm(400GHz)に設定される。
【0162】
各第1ETフィルタ361-1〜361-3から射出されたレーザ光は、光強度に応じた電流を出力する各第1PD362-1〜362-3に入射され、各レーザ光の強度が検出される。これら各第1PDの出力値をそれぞれ第1PDo1、第1PDo2、第1PDo3とする。
各第2ETフィルタ363-1〜363-4から射出されたレーザ光は、光強度に応じた電流を出力する各第2PD364-1〜364-4に入射され、各レーザ光の強度が検出される。これら各第2PDの出力値をそれぞれ第2PDo1、第2PDo2、第2PDo3、第2PDo4とする。
【0163】
メモリ381は、図29に示す目標値PDペアと各chとの対応を示す対応テーブルの内容が格納され、格納内容を制御用CPU380に出力する。
そして、制御用CPU380は、これら各第1PD362-1〜362-3および各第2PD364-1〜364-4からそれぞれ増幅器371-1〜371-3、373-1〜373-4およびA/D372-1〜372-3、374-1〜374-4を介してそれらの出力を受信する。そして、後述する処理を行い、初期立上波長から所定波長にチューナブルレーザ110の発振波長を固定する制御信号をD/A149を介して出力する。チューナブルレーザ110は、この制御信号によって駆動電流を調節され、所定波長に固定される。
【0164】
(本発明と第6の実施形態との対応関係)
請求項7に記載の発明と第6の実施形態との対応関係については、第1周期的フィルタは第1ETフィルタ361-1〜361-3に対応し、第2周期的フィルタは第2ETフィルタ363-1〜363-4に対応する。第1検出手段は第1PD362-1〜362-2に対応し、第2検出手段は第2PD364-1〜364-4に対応し、制御手段は制御用CPU380とメモリ381とに対応する。
【0165】
また、請求項9に記載の発明と第6の実施形態との対応関係については、レーザ光源はチューナブルレーザ110に対応し、マルチ波長安定化装置はマルチ波長安定化装置351に対応する。
さらに、請求項12に記載の発明と第6の実施形態との対応関係については、第1周期的フィルタは第1ETフィルタ361-1〜361-3に対応し、第2周期的フィルタは第2ETフィルタ363-1〜363-4に対応する。第1検出手段は第1PD362-1〜362-3に対応し、第2検出手段は第2PD364-1〜364-4に対応し、判定手段は制御用CPU380とメモリ381とに対応する。
【0166】
(第6の実施形態の作用効果)
このようなマルチ定波長光源装置350およびマルチ波長安定化装置351の動作について図28、図29、図30を参照しながら、以下に説明する。
図27に不図示のWDM方式光通信システムを統括するシステム制御装置によって、マルチ定波長光源装置350の電源が投入される。このマルチ定波長光源装置350の電源投入によって制御用CPU380内に格納されたプログラムがスタートし、マルチ定波長光源装置350内の回路を初期化する(S31)。
【0167】
制御用CPU380は、チューナブルレーザ110に対するchの立ち上げ要求があったか否かを判断する(S32)。要求がない場合には、要求があるまで、S32の処理を繰り返す。
要求があった場合、例えば、ch5を立ち上げる要求があった場合には、制御用CPU380は、チューナブルレーザ110の温度およびch5に対応する駆動電流を設定し、チューナブルレーザ110に制御信号を送信する(S33)。
【0168】
この制御信号によってチューナブルレーザ110は、立上波長でレーザ光の発振を開始する。
制御用CPU380は、チューナブルレーザ110のレーザ発振が安定するのを待つため、W1 秒間、S35以下の処理を停止する(S34)。
各第1PD362-1〜362-3および各第2PD364-1〜364-4は、チューナブルレーザ110からのレーザ光を受光し、受光量に応じた電流を制御用CPU380に出力する。制御用CPU380は、この電流値を計測し、第1PDo1ないし第1PDo3、第2PDo1ないし第2PDo4を算出する。この算出を行う場合に、各第1ETフィルタ361-1〜361-3および各第2ETフィルタ363-1〜363-4に入射するレーザ光は、カプラ360内で減衰する光強度が異なるので、同一ではないことを考慮して算出する(S36)。
【0169】
制御用CPU380は、第1PDo1ないし第1PDo3を参照して最も大きい値を与える第1PD362-1〜362-3を識別する(S36)。制御用CPU380は、第2PDo1ないし第2PDo4を参照して最も大きい値を与える第2PD364-1〜364-4を識別する(S37)。
ここで、図28に示すように、第1ETフィルタ361-1のFSRは、ch0に対応する波長において、第1PDo1が目標値となるように設定される。第1ETフィルタ361-2のFSRは、ch1に対応する波長において、第1PDo2が目標値となるように設定される。第1ETフィルタ361-3のFSRは、ch2に対応する波長において、第1PDo3が目標値となるように設定される。また、第2ETフィルタ363-1のFSRは、ch0に対応する波長において、第2PDo1が目標値となるように設定される。第2ETフィルタ363-2のFSRは、ch1に対応する波長において、第2PDo2が目標値となるように設定される。第2ETフィルタ363-3のFSRは、ch2に対応する波長において、第2PDo3が目標値となるように設定される。第2ETフィルタ363-4のFSRは、ch3に対応する波長において、第2PDo4が目標値となるように設定される。
また、各第1ETフィルタ361-1〜361-3の光透過率における肩に配置される各chの引込点は、極大値から極小値までの肩に配置され、第2ETフィルタ363-1〜363-4の光透過率における肩に配置される各chの引込点は、極小値から極大値までの肩に配置される。このように互いに逆の肩に配置するのは、精度よく所定波長に発振波長を固定するためである。仮に各chの引込点を同じ肩、例えば、各第1ETフィルタ361-1〜361-3および各第2ETフィルタ363-1〜363-4の光透過率において極大値から極小値までの肩に配置すると、発振波長を所定波長に固定するために波長を変化させたときに第1PD362-1〜362-3の出力および第2PD364-1〜364-4の出力がともに同じように変化するため、これらの出力が減少する方向(極小値に向かう方向)に制御された場合には信号に対し雑音が多くなり、制御が困難になる。一方、互いに逆の肩に配置すれば、どちらか一方の出力が増加する方向に変化するので、精度よく制御することができる。
【0170】
なお、各第1ETフィルタ361-1〜361-3の光透過率における肩に配置される各chの引込点は、極小値から極大値までの肩に配置され、第2ETフィルタ363-1〜363-4の光透過率における肩に配置される各chの引込点は、極大値から極小値までの肩に配置されるようにしてもよい。
さらに、より正確に波長を固定する観点から、各chの引込点は、光透過率の波長に対する変化率が大きい肩に配置するのがよい。
【0171】
このように設定することにより、例えば、第1PDo1は、第1ETフィルタ361-1のFSRがchの波長間隔の3倍に設定されているので、3chごとに目標値となる。すなわち、ch0、ch3、ch6、・・・に対応する波長おいて目標値となる。第1PDo2および第1PDo3についても同様である。また、第2PDo1は、第2ETフィルタ363-1のFSRがchの波長間隔の4倍に設定されているので、4chごとに目標値となる。すなわち、ch0、ch4、ch8、・・・に対応する波長において目標値となる。第2PDo2ないし第2PDo4についても同様である。
【0172】
したがって、図29に示すように、目標値を与える第1PD362-1〜362-3と第2PD364-1〜364-4との1ペアに対し、ch0ないしch7のいずれか1つのchが対応する関係が成り立つ。
図30に戻って、制御用CPU380は、上述のような対応関係が成り立つから、S36で識別した第1PD362-1〜362-3とS37で識別した第2PD364-1〜364-4とから現在発振している波長をおおよそ判別することができる。例えば、第1PD362-2と第2PD364-1のペアの場合には、発振波長は、図29の対応テーブルからch4付近であると判別される。
【0173】
制御用CPU380は、S35で検出し算出したch5において目標値を与えるべき1ペア、すなわち、第1PD362-3と第2PD364-2と目標値との差を算出し、この算出値が許容値以内か否かを判断する(S39)。これによって、検出した波長とch5に対応する波長とが許容値以内で一致するか否かを判断することができる。
【0174】
判断の結果、算出値(波長差)が許容値以内である場合には、後述するS42の処理を行う。
一方、判断の結果、算出値(波長差)が許容値以内でない場合には、算出値(波長差)に応じた制御信号を出力する(S40)。この制御信号は、S36で識別した第1PD362-1〜362-3とS37で識別した第2PD364-1〜364-4とから判別した現在発振している波長とch5の所定波長との大小関係を識別し、現在発振している波長がch5の所定波長より短い場合には、発振波長を長くすべく駆動電流を一定刻みで減少させる信号となる。また、現在発振している波長がch5の所定波長より長い場合には、発振波長を短くすべく駆動電流を一定刻みで増加させる信号となる。
【0175】
制御用CPU380は、チューナブルレーザ110のレーザ発振が安定するのを待つため、W2 秒間、次のS42以下の処理を停止し(S41)、W2 秒後にS55の処理を行う(S41)。
制御用CPU380は、前述のシステム制御装置からこのマルチ定波長光源装置350の運用を終了する信号を受信したか否かを判断する(S42)。運用終了の信号を受信した場合には、電源を遮断して、処理を終了する(S43)。
【0176】
一方、運用終了の信号を受信しない場合には、制御用CPU380は、処理をS35に戻し、算出値が許容値以内を維持するように、S35からS41までの処理を繰り返す。これらの処理を繰り返すことによって、立上波長からch5の所定波長へチューナブルレーザ110の発振波長が調整され、ch5に発振波長が固定される。また、これらの処理を繰り返すことによって雑音などによって発振波長にずれが生じてもこのずれが補償され、発振波長が固定される。
【0177】
このように第6の実施形態におけるマルチ定波長光源装置350では、第1PD362-1〜362-3の出力と第2PD364-1〜364-4の出力とから立ち上げ波長をおおよそ識別することができるので、所望のchに対応する所定波長から離れた波長で立ち上がっても、所定波長に固定することができる。
その引込範囲は、第1ETフィルタ361-1〜361-3と第2ETフィルタ363-1〜363-4との組み合わせ数およびFSRに依存するため、本実施形態においては、組み合わせ数が3×4=12で、FSRがchの波長間隔である0.8nmの3倍および4倍であるから、9.6nm(1200GHz)にも及ぶ。
【0178】
また、第1ETフィルタ361-1〜361-3のFSRおよび第2ETフィルタ363-1〜363-4のFSRの最小公倍数ごとに同じPDペアが存在するため、1台のマルチ波長安定化装置351で波長を安定化させたい波長数に対して、かかる最小公倍数が大きくなるように第1ETフィルタ361-1〜361-3のFSRおよび第2ETフィルタ363-1〜363-4のFSRを選択する必要がある。例えば、8波の波長を安定化させたい場合には、本実施形態の組み合わせのほか、第1ETフィルタに1.6nm(200GHz)のFSRのフィルタを2枚使用し、第2ETフィルタに4.0nm(500GHz)のFSRのフィルタを5枚使用してもよい。この場合の組み合わせ数は、2×5=10である。また、32波の波長を安定化させたい場合には、第1ETフィルタに4.0nm(500GHz)のFSRのフィルタを5枚使用し、第2ETフィルタに5.6nm(700GHz)のFSRのフィルタを7枚使用すればよい。この場合の組み合わせ数は、5×7=35である。
【0179】
なお、第6の実施形態においては、図29のように目標値PDペアと各chとを対応させたが、図31のように使用していない目標値PDペアをch0ないしch7の前後に配置してもよい。このように配置することにより、ch0を立ち上げる場合に、確実に立上波長を識別することができる。
次に、別の実施形態について説明する。
【0180】
(第7の実施形態の構成)
第7の実施形態は、請求項8および請求項9に記載の発明に対応するマルチ定波長光源装置の実施形態である。
図32は、第7の実施形態のマルチ定波長光源装置の構成図である。図33は、所定波長に固定する動作を説明する図である。図33の縦軸は、光強度であり、横軸は、ch(波長)である。図33上段の曲線は、スペクトルアナライザで計測されるスペクトルであり、実線は、チューナブルレーザ立上げ時のものであり、破線は、初期引込波長まで発振波長を変更した場合のものである。図33下段の曲線は、波長安定化装置内のPD(図32に不図示)の出力波長特性である。図34は、第7の実施形態における制御用CPUの制御フローチャートである。
【0181】
図32において、可変波長DBRレーザである8個のチューナブルレーザ110-1〜110-8から射出された各レーザ光は、マルチ波長安定化装置401内の光を2つに分岐するカプラ111-1〜111-8にそれぞれ入射され、そのレーザ光の一部を分岐した後に残りのレーザ光は、マルチ波長安定化装置401から射出され、さらに、マルチ定波長光源装置400から出力光として射出される。
【0182】
このマルチ波長安定化装置401では、前述の各カプラ111-1〜111-8で分岐した各レーザ光の一部は、8つの入射光から1つを選択して射出する8×1光スイッチ(以下、「光SW」と略記する。)410に入射する。この射出すべきレーザ光の選択は、後述する制御用CPU415によって行われる。
このような8個のチューナブルレーザ110-1〜110-8と8個のカプラ111-1〜111-8および8×1光SW410とから構成される光回路が4組用意され、32波の出力光を得ることができる。
【0183】
4台の8×1光SW410から射出されたレーザ光は、4つの入射光から1つを選択して射出する4×1光SW411に入射する。この射出すべきレーザ光の選択は、制御用CPU415によって行われる。
この4×1光SW411によって選択されて射出したレーザ光は、光を2つに分岐するカプラ412で分岐される。このカプラ412で分岐した第1レーザ光は、スペクトルアナライザ413に入射される。スペクトルアナライザ413は、この入射したレーザ光に対して、WDM方式の最初のchから最後のchまでの波長域を含む範囲で、波長に対する光強度(スペクトル)を計測する。
【0184】
例えば、32波、0.8nmグリッド間隔のWDM方式であってch0の波長が1551nmの場合には、前後1nmの余裕を見込み1550nmから1575.8nmを含む範囲でスペクトルを計測すればよい。
【0185】
また、カプラ412で分岐した第2レーザ光は、チューナブルレーザ110-1〜110-8を所定波長に固定する波長安定化装置414に入射される。この波長安定化装置414は、従来のマルチ波長安定化装置である。そして、波長安定化装置414内において、波長を固定するために使用される周期的フィルタのFSRは、WDM方式のグリッド間隔、上述の場合では、0.8nmに設定される。また、図33下段に示すように、所定波長に引き込む各chの引込点は、この周期的フィルタの波長−光透過率曲線において極大値から極小値の肩の中間点(目標値)に設定される。このような波長変化に対して光透過率が大きく変化する点に引込点を設定するのは、発振波長を高精度に固定するためである。
【0186】
そして、制御用CPU415は、スペクトルアナライザ413および波長安定化装置414から信号を受信して、後述するように、スペクトルアナライザ413を用いてチューナブルレーザ110-1〜110-8の立上げ時の波長である初期立上波長から所定波長に対応する初期引込波長までチューナブルレーザ110-1〜110-8の発振波長を変化させ、その後、波長安定化装置414を用いて発振波長を固定する。ここで、chごとに設定された各chに対応する初期引込波長は、波長安定化装置414のchごとに設定された各chに対応する引込範囲内に設定される。
【0187】
チューナブルレーザ110-1〜110-8は、制御用CPU415からの制御信号によって駆動電流を調節され、所定波長に固定される。
(本発明と第7の実施形態との対応関係)
請求項8に記載の発明と第7の実施形態との対応関係については、光計測手段はスペクトルアナライザ413に対応し、制御手段は制御用CPU415に対応し、波長安定化装置は波長安定化装置414に対応する。
【0188】
また、請求項9に記載の発明と第7の実施形態との対応関係については、レーザ光源はチューナブルレーザ110に対応し、マルチ波長安定化装置はマルチ波長安定化装置414に対応する。
【0189】
(第7の実施形態の作用効果)
このようなマルチ定波長光源装置400およびマルチ波長安定化装置401の動作について図33および図34を参照しながら、以下に説明する。
図32に不図示のWDM方式光通信システムを統括するシステム制御装置によって、マルチ定波長光源装置400の電源が投入される。このマルチ定波長光源装置400の電源投入によって制御用CPU415内に格納されたプログラムがスタートし、マルチ定波長光源装置400内の回路を初期化する(S51)。
【0190】
制御用CPU415は、32台のチューナブルレーザ110-1〜110-8に対するchの立ち上げ要求があったか否かを判断する(S52)。要求がない場合には、要求があるまで、S52の処理を繰り返す。
要求があった場合、例えば、ch3を立ち上げる要求があった場合には、制御用CPU415は、32台のチューナブルレーザ110-1〜110-8から1台を選択し、その選択したチューナブルレーザ110-1〜110-8に温度およびch3に対応する駆動電流を設定して制御信号を送信する(S53)。さらに、制御用CPU415は、選択されたチューナブルレーザ110-1〜110-8から射出されたレーザ光がカプラ412に入射するように8×1光SW410および4×1光SWに制御信号を出力する(S53)。
【0191】
この制御信号によって選択されたチューナブルレーザ110-1〜110-8は、図33上段に示す初期立上波長でレーザ光の発振を開始する。また、S53の処理により選択されたチューナブルレーザ110-1〜110-8からのレーザ光が、スペクトルアナライザ413および波長安定化装置414に入射される。
制御用CPU415は、このチューナブルレーザ110-1〜110-8のレーザ発振が安定するのを待つため、W1 秒間、S55以下の処理を停止する(S54)。
【0192】
スペクトルアナライザ413は、このチューナブルレーザ110-1〜110-8からのレーザ光を受光し、ch0からch31の波長帯域を含む1550nmから1575.8nmまでの波長帯域(ch0=1551nmとした場合)においてスペクトルを計測する。そして、この計測結果を制御用CPU415に送信する。制御用CPU415は、この計測結果から光強度の極大値を与える波長を検出する(S55)。1回目の検出の場合には、この検出した波長が、初期立上波長である。
【0193】
制御用CPU415は、この検出した波長からch3に対応する初期引込波長を引いて、検出した波長とch3に対応する初期引込波長との差を算出し(S56)、この算出値から、検出した波長とch3に対応する初期引込波長との差が許容値以内か否かを判断する(S57)。この許容値は、波長安定化装置412の引込範囲に依存し、引込範囲が広い場合には、大きくすることができ、引込範囲が狭い場合には、大きくすることができない。例えば、初期引込波長と所定波長とが一致し、引込範囲が所定波長を中心に±0.2nmである場合には、許容値は、0.2を超えることはできない。
【0194】
判断の結果、算出値(波長差)が許容値以内である場合には、後述するS60の処理を行う。
一方、判断の結果、算出値(波長差)が許容値以内でない場合には、算出値(波長差)に応じた制御信号を出力する(S58)。この制御信号は、算出値がマイナスの場合には、初期立上波長がch3の初期引込波長より短い場合であるから、発振波長を長くすべく駆動電流を増加させる信号となる。また、算出値がプラスの場合には、初期立上波長がch3の初期引込波長より長い場合であるから、発振波長を短くすべく駆動電流を減少させる信号となる。
【0195】
制御用CPU415は、このチューナブルレーザ110-1〜110-8のレーザ発振が安定するのを待つため、W1 秒間、次のS55以下の処理を停止し(S59)、W1 秒後にS55の処理を行う(S59)。
【0196】
そして、制御用CPU415は、算出値が許容値以内となるまで、S55からS59までの処理を繰り返す。これらの処理を繰り返すことによって、図33上段に示すように、初期立上波長からch3の初期引込波長へこのチューナブルレーザ110-1〜110-8の発振波長が調整される。
制御用CPU415は、波長安定化装置414内における、周期的フィルタを介してレーザ光を受光するPDの出力を波長安定化装置414から受信する(S60)。
【0197】
制御用CPU415は、引込点における目標値からこの受信した値を引くことによって受信した値と引込点における目標値との差を算出し、この算出値が許容値以内か否かを判断する(S61)。受信した値と引込点における目標値との差を算出することは、チューナブルレーザ110-1〜110-8の現在の発振波長と固定波長との差を算出することに相当する。
【0198】
判断の結果、許容値以内である場合は、後述するS64の処理を行う。
一方、判断の結果、算出値(波長差)が許容値以内でない場合には、算出値(波長差)に応じた制御信号を出力する(S62)。この制御信号は、算出値がマイナスの場合には、現在の発振波長がch3の所定波長より短い場合であるから、発振波長を長くすべく駆動電流を増加させる信号となる。また、算出値がプラスの場合には、現在の発振波長がch3の所定波長より長い場合であるから、発振波長を短くすべく駆動電流を減少させる信号となる。
【0199】
制御用CPU415は、このチューナブルレーザ110-1〜110-8のレーザ発振が安定するのを待つため、W2 秒間、次のS64以下の処理を停止し(S63)、W2 秒後にS64の処理を行う(S63)。
制御用CPU415は、前述のシステム制御装置からこのマルチ定波長光源装置400の運用を終了する信号を受信したか否かを判断する(S64)。運用終了の信号を受信した場合には、電源を遮断して、処理を終了する(S65)。
【0200】
一方、運用終了の信号を受信しない場合には、制御用CPU415は、処理をS60に戻し、算出値が許容値以内となるまで、S60からS64までの処理を繰り返す。これらの処理を繰り返すことによって、図33下段に示すように、初期引込波長からch3の所定波長へこのチューナブルレーザ110-1〜110-8の発振波長が調整され、ch3に発振波長が固定される。また、これらの処理を繰り返すことによって雑音などによって発振波長にずれが生じてもこのずれが補償され、発振波長が固定される。
【0201】
このように第7の実施形態にかかるマルチ定波長光源装置400(マルチ波長安定化装置401)は、上述のようにどのような波長でチューナブルレーザ110-1〜110-8が立ち上がってもスペクトルアナライザ413を用いることによって所定波長の初期引込範囲に調整することができる。そして、この初期引込範囲から波長安定化装置414を用いることによって所定波長に固定することができる。このため、従来のように特定のレーザ光源に対して波長安定化装置を特別に設計する必要がなく、任意のレーザ光源に対して適用することができる。また、立上げ時の波長から任意の波長の引込範囲まで発振波長を変えることができるので、1波を出力するレーザ光源だけでなく、複数波長を出力するレーザ光源に対しても適用することができる。
【0202】
また、所定波長の引込範囲まで発振波長を変える制御段階と所定波長に固定する制御段階との2段階で制御するので、より正確に所定波長に固定することができる。
また、8×1光SW410および4×1光SW411を順次切り替えることにより、32台のチューナブルレーザ110-1〜110-8を時分割で処理することができるので、1台のスペクトルアナライザ413で32台のチューナブルレーザ110-1〜110-8の発振波長を所定波長に固定できる。
【0203】
なお、第1の実施形態ないし第7の実施形態において、マルチ定波長光源装置(マルチ波長安定化装置)の動作は、ch3やch4のように特定のchに固定する場合について説明したが、他のchについても同様に説明することができ、所望のchの波長に発振波長が固定される。
また、第1の実施形態ないし第7の実施形態において、マルチ定波長光源装置の立ち上げ時における動作について説明したが、マルチ定波長光源装置が運用中の場合であっても、現在運用中の波長を立上波長に見なすことによって、同様の動作によって現在運用中の波長から所望の波長に変え、かつ、その所望の波長で固定される。
【0204】
さらに、第1の実施形態ないし第7の実施形態において可変波長DBRレーザをチューナブルレーザとして使用したが、これに限定されるものではない。その代わりに、温度を変更することにより発振波長を変更することができる可変波長DFBレーザや互いに異なる波長のレーザ光を出力するレーザ素子をアレイ状に配置したレーザアレイなど、複数波長のレーザ光を出力することができるチューナブルレーザを利用することができる。
【0205】
また、第2の実施形態ないし第6の実施形態においてETフィルタを周期的フィルタとして使用したが、これに限定するものではない。例えば、多層膜フィルタなどを利用することもできる。
さらに、第1の実施形態ないし第6の実施形態において、引込範囲の境界は、引込範囲に含まれない。
【0206】
また、第1の実施形態ないし第7の実施形態において、chの波長間隔が0.8nmである場合について説明したが、0.4nmなど何れのchの波長間隔でもよい。
そして、第2の実施形態ないし第5の実施形態においては、その作用効果としてレーザ光を周期的フィルタを介して受光して得られるPDo1、PDo2をそのまま制御に使用しないで、レーザ光を直接受光して得られるPDo3を参照値として利用しているので、雑音や経時劣化などによるPDo1、PDo2の変動を補償することができる。
【0207】
次に、別の実施形態について説明する。
(第8の実施形態の構成)
第8の実施形態は、請求項1ないし請求項11に記載の発明に対応するWDM方式用光源装置の実施形態である。
図35は、第8の実施形態のWDM方式用光源装置の構成図である。図36ないし図38は、このWDM方式用光源装置に使用されるレーザ光源の構成例を示す図である。なお、図35において、矢印付き二重線は、偏波保持ファイバであり、矢印付き単線は、シングルモードファイバである。矢印なし単線は、電気信号を伝送する信号線である。
【0208】
図35において、複数波長のレーザ光を発光するレーザ光源510-1から射出されるレーザ光は、偏波面を維持した状態で伝送する偏波保持ファイバを介して、半導体レーザ増幅器(Semiconductor Laser Amplifer、以下、「SLA」と略記する。)511に入射され、所定の光強度まで増幅される。レーザ光源510-1は、図36に示すように、異なる波長を発振する単一モードのレーザダイオード(Laser Diode 、以下、「LD」と略記する。)520-1〜520-nを同一半導体基板上に作成し、各LD520-1〜520-nに接続された光導波路がカプラ521で1つにまとめられて偏波保持ファイバに接続され、いずれかの1つのLD520-1〜520-nから発振されるレーザ光が出力されるように構成されている。さらに、このようなレーザ光源510-1において、発振波長を安定化させるためにLD520-1〜520-nにペルチェ素子を接触させる構成にしてもよい。SLA511は、半導体への注入電流励起による反転分布の誘導放出によって入射光を増幅する光増幅器で、レーザ発振をしないように端面に無反射コーティングなどを施している以外は半導体レーザとほぼ同様な構造である。
【0209】
SLA511で増幅されたレーザ光は、偏波保持ファイバを介して、偏波面を維持した状態で光を分岐する偏波保持カプラ512に入射される。
なお、SLA511は、図36の破線で示すように、LD520-1〜520-nとカプラ521とをすべて同一半導体基板上に作成してもよい。
【0210】
この偏波保持カプラ512で分岐した第1レーザ光は、偏波保持ファイバを介して、送出すべき信号で変調する外部変調器513に入射され変調される。この外部変調器513は、マッハツェンダー型光変調器である。外部変調器513で変調されたレーザ光は、シングルモードファイバを介して、光SW514に入射する。この光SW514は、光SW制御用CPU516からの信号によってオン・オフされ、外部変調器513からのレーザ光が所定波長である場合にはオンしてレーザ光を透過し、一方、外部変調器513からのレーザ光が所定波長でない場合にはオフしてレーザ光を遮断する。
【0211】
そして、光SW514からシングルモードファイバで出力されたレーザ光は、WDM方式用光源装置の出力光となり、図35には図示していないが、複数のレーザ光を波長多重するマルチプレクサによって他のWDM方式用光源装置からのレーザ光と波長多重され、WDM信号として、光通信ネットワークに送出される。
【0212】
一方、偏波保持カプラ512で分岐した第2レーザ光は、偏波保持ファイバを介して、マルチ波長安定化装置515に入射する。このマルチ波長安定化装置515は、この第2レーザ光を受光し第2レーザ光の強度に基づいてレーザ光を所定波長にほぼ固定する。このマルチ波長安定化装置515は、複数の波長に対して所定波長に固定することができるマルチ波長安定化装置であれば利用可能である。特に、マルチ波長安定化装置515として、第1の実施形態ないし第7の実施形態において示したマルチ波長安定化装置の利用が、所定波長に発振波長を高精度で固定できるという観点から好適である。このため、本実施形態では、第1の実施形態で示したマルチ波長安定化装置を利用する。
【0213】
このようにマルチ波長安定化装置515へレーザ光を分岐させる偏波保持カプラ512は、高精度に所定波長に固定するために外部変調器513の手前に接続される。外部変調器513の後では、変調によってスペクトルが広がるため所定波長に固定する精度が低下するからである。
光SW制御用CPU516は、マルチ波長安定化装置515からの信号を受信してレーザ光源から射出されるレーザ光の波長を所定波長に固定するとともに、レーザ光源の発振波長に基づいて光SW514のオン・オフを制御する。
【0214】
(本発明と第8の実施形態との対応関係)
請求項10および請求項11に記載の発明と第8の実施形態との対応関係については、レーザ光源はレーザ光源510-1に対応し、光分岐手段は偏波保持カプラ512に対応し、変調手段は外部変調器513に対応する。光透過遮断手段は光SW514に対応し、マルチ波長安定化装置はマルチ波長安定化装置515に対応する。
【0215】
(第8の実施形態の作用効果)
このようなWDM方式用光源装置の動作について、以下に説明する。
図35に不図示のWDM方式光通信システムを統括するシステム制御装置から、光SW制御用CPU516は、レーザ光源510-1を所定波長、例えば、ch5に対応する波長を立ち上げる信号を受信する。あるいは、現在運用中のch5以外の波長からch5に対応する波長に変更する信号を受信する。
【0216】
この信号を受信した光SW制御用CPU516は、光SW514にオフする制御信号を送信する。この制御信号によって光SW514は、外部変調器513から入射するレーザ光を遮断する。その後、光SW制御用CPU516は、マルチ波長安定化装置515に所定波長、ここでは、ch5に対応する波長を発振させる制御信号を送信する。
【0217】
この制御信号によってマルチ波長安定化装置515は、レーザ光源の複数のLD520-1〜520-nのうちからch5に対応するLDを選択してレーザ発振させる。そして、マルチ波長安定化装置515は、第1の実施形態において説明した処理によってレーザ光源から出力されるレーザ光をch5の波長に固定する。
【0218】
マルチ波長安定化装置515は、レーザ光がch5の波長に固定されたことを確認すると、ch5の波長に固定したことを示す信号を光SW制御用CPU516に送信する。
この信号を受信した光SW制御用CPU516は、光SW514にオンする制御信号を送信する。この制御信号によって光SW514は、外部変調器513から入射するレーザ光を透過する。外部変調器513で送出すべき信号で変調されたレーザ光は、光SW514を透過して出力光として射出され、マルチプレクサによって他のWDM方式用光光源装置からのレーザ光と波長多重され、WDM信号として、光通信ネットワークに送出される。
【0219】
このようなWDM方式用光源装置500では、所定波長であるか否かに応じて透過・遮断する光SW514があるので、レーザ光源510-1を立ち上げたときに所定波長でない波長で立ち上がった場合やWDM方式におけるchを変更したときに変更後の所定波長になっていない場合などでも、所定波長に安定するまで光SW514からレーザ光が射出されない。このため、このWDM方式用光源装置500を接続する光通信システムにおける運用中の光信号にクロストークなどの悪影響を与えることがない。
【0220】
なお、第8の実施形態においては、外部変調器513の出力に光SW514を接続して、外部変調器513からのレーザ光を透過・遮断していたが、光SW514を設けないで、外部変調器513に駆動電圧を印加しないで外部変調器513を非駆動状態にすることによっても、外部変調器513からのレーザ光の射出を遮断することができる。
【0221】
また、第8の実施形態においては、SLA511を使用したがこれに限定されるものではない。例えば、光ファイバ増幅器を使用することができる。
さらに、第8の実施形態においては、レーザ光源510-1として複数のLD520-1〜520-nをアレイ状に作成したレーザ光源を使用したがこれに限定されない。図37に示すようなチューナブルレーザ530を使用して複数波長を1台のレーザで発振させてもよい。チューナブルレーザ530として、注入電流によって内部のグレーティング周期を変化させることによって発振波長を変化させる可変波長DBRレーザや温度を変化させることによって発振波長を変化させる可変波長DFBレーザを使用することもできる。あるいは、図38に示すようにチューナブルレーザ540-1〜540-nを複数個備え、各チューナブルレーザ540-1〜540-nに接続された偏波保持ファイバを偏波保持カプラ541で1つにまとめて偏波保持ファイバに接続した構成としてもよい。このように構成することにより、現時点では1台のチューナブルレーザで8波程度しか発振波長を変更することができないが、より多くの波長を発振させることができる。例えば、64波のWDM方式用光源装置では、8個の8波チューナブルレーザを備えることで対応可能である。さらに、図38において、偏波保持カプラ541に代えて偏波保持光SWを使用することにより発振中のチューナブルレーザ540-1〜540-nだけを選択してレーザ光源510-3から射出するようにしてもよい。
【0222】
また、第1の実施形態ないし第8の実施形態における、マルチ波長安定化装置、マルチ定波長光源装置およびWDM方式用光源装置は、WDM方式光通信システムにおいて、その光送信機内の常用光源装置および予備用光源装置に使用することができる。さらに、WDM方式光通信システムの端局間に設けられ、特定波長の光信号を挿入・分岐・通過させる光ADM(Add-Drop Multiplexer)装置内の常用光源装置および予備用光源装置に使用することもできる。
【0223】
【発明の効果】
請求項1に記載の発明では、干渉計により、chの波長間隔の2倍の周期で変化する互いに相補的な出力波長特性を示す出力信号が得られるので、引込範囲を従来のマルチ波長安定化装置に比べ広くすることができる。
請求項2に記載の発明では、フィルタのFSRとフィネスを調整することにより、所定波長に引き込む引込点をchの波長間隔に合わせることにができるので、引込範囲を従来のマルチ波長安定化装置に比べ広くすることができる。
【0224】
請求項3に記載の発明では、chの波長間隔に従う間隔でフィルタの光透過率の傾斜部分に配置するので、引込範囲を従来のマルチ波長安定化装置に比べ広くすることができる。
請求項4ないし請求項6に記載の発明では、立上波長を初期引込波長にほぼ固定する制御段階と初期引込波長から所定波長に固定する制御段階との2段階制御とするので、初期引込波長を引き込む初期引込範囲を自由に設定することができるから、引込範囲を従来のマルチ波長安定化装置に比べ広くすることができる。さらに、レーザ光源に合わせて特別に設計する必要がない。
【0225】
請求項7に記載の発明では、FSRの異なるフィルタを複数用いることにより特定のchに対して特定の検出手段に出力するようにできるので、引込範囲を従来のマルチ波長安定化装置に比べ広くすることができる。さらに、レーザ光源に合わせて特別に設計する必要がない。
請求項8に記載の発明では、立上波長を光計測手段で計測することにより立上波長を初期引込波長まで制御できるので、引込範囲を従来のマルチ波長安定化装置に比べ広くすることができる。さらに、レーザ光源に合わせて特別に設計する必要がない。
【0226】
また、請求項1ないし請求項8に記載の発明では、1台で複数の所定波長に対して波長を安定化することができる。
請求項9に記載の発明では、マルチ波長安定化装置を組み込んでいるのでどのような波長に対しても、一定に固定した波長のレーザ光を射出することができる。
【0227】
請求項10および請求項11に記載の発明では、光遮断透過手段によって所定波長にレーザ光の波長を固定した後にレーザ光を射出することができるので、この請求項10および請求項11に記載の発明に接続する光通信システムにおける運用中の光信号にクロストークなどの悪影響を与えることがない。
【0228】
このため、特に、WDM方式用光源における予備用光源として好適なWDM方式用光源装置である。
請求項12に記載の発明では、光源から出力される発振波長を検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は、請求項1に記載の発明の原理構成図である。(b)は、各検出手段のch(波長)に対する出力特性である。
【図2】(a)は、請求項2に記載の発明の原理構成図である。(b)は、第1検出手段のch(波長)に対する出力特性である。
【図3】請求項3に記載の発明の原理構成図である。
【図4】請求項4および請求項5に記載の発明の原理構成図である。
【図5】請求項4および請求項6に記載の発明の原理構成図である。
【図6】請求項7に記載の発明の原理構成図である。
【図7】請求項8に記載の発明の原理構成図である。
【図8】請求項9に記載の発明の原理構成図である。
【図9】請求項10および請求項11に記載の発明の原理構成図である。
【図10】請求項12に記載の発明の原理構成図である。
【図11】第1の実施形態のマルチ定波長光源装置の構成図である。
【図12】各PDの出力波長特性を示す図である。
【図13】第1の実施形態における制御用CPUの制御フローチャートである。
【図14】制御用CPUに相当する演算回路の構成例を示す図である。
【図15】第2の実施形態のマルチ定波長光源装置の構成図である。
【図16】極大値から極小値の間における肩に偶数chの目標値を配置した場合の図である。
【図17】極小値から極大値の間における肩に偶数chの目標値を配置した場合の図である。
【図18】フィネスを大きくした場合を示す図である。
【図19】第3の実施形態のマルチ定波長光源装置の構成図である。
【図20】極小値から極大値の間における肩に各chの目標値を配置した場合を示す図である。
【図21】各chに対応する波長と目標値との関係を示す図である。
【図22】極大値から極小値の間における肩に各chの目標値を配置した場合を示す図である。
【図23】第4の実施形態のマルチ定波長光源装置250の構成図である。
【図24】所定波長に固定する動作を説明する図である。
【図25】極大値に目標値を配置した場合の図である。
【図26】(a)は、第5の実施形態のマルチ定波長光源装置の構成図である。(b)は、所定波長に固定する動作を説明する図である。
【図27】第6の実施形態のマルチ定波長光源装置の構成図である。
【図28】各ETフィルタと各chにおける引込点との関係を説明する図である。
【図29】目標値PDペアと各chとの第1の対応関係を示す図である。
【図30】第6の実施形態における制御用CPUの制御フローチャートである。
【図31】目標値PDペアと各chとの第2の対応関係を示す図である。
【図32】第7の実施形態のマルチ定波長光源装置の構成図である。
【図33】所定波長に固定する動作を説明する説明図である。
【図34】第7の実施形態における制御用CPUの制御フローチャートである。
【図35】第8の実施形態のWDM方式用光源装置の構成図である。
【図36】WDM方式用光源装置に使用されるレーザ光源の構成例を示す図である。
【図37】WDM方式用光源装置に使用されるレーザ光源の構成例を示す図である。
【図38】WDM方式用光源装置に使用されるレーザ光源の構成例を示す図である。
【図39】(a)は、従来の1波用波長安定化装置の構成図である。(b)は、ch1に波長を固定する場合の説明図である。
【図40】(a)は、従来のマルチ波長安定化装置の構成図である。(b)は、従来のマルチ波長安定化装置における各引込範囲と各chとの関係図である。
【符号の説明】
1、2、3、4、5、6、7、77、84 マルチ波長安定化装置
8 マルチ定波長光源装置
9 WDM方式用光源装置
10 波長判別装置
20 被制御レーザ光源
26 干渉計
27、32、37、43、53、63、93 第1検出手段
28、33、44、54、64、94 第2検出手段
29、34、46、56、65、73、95 制御手段
31、36 周期的フィルタ
39、57 記憶手段
41、51、61、91 第1周期的フィルタ
42、52、62、92 第2周期的フィルタ
45 第3検出手段
71 光計測手段
72 波長安定化手段
75、80 レーザ光源
82 変調手段
83 光透過遮断手段
100、150、201、250、300、350、400 マルチ定波長光源装置
101、151、202、251、301、351、401、515 マルチ波長安定化装置
110、110、530、540 チューナブルレーザ
120 MZ干渉計
121、162、212、262、362 第1PD
122、165、264、262 第2PD
140、180、230、280、330、380、415 制御用CPU
143 割算回路
144 比較器
145 スイッチ
156 インバータ
161、313 ETフィルタ
231、331、381 メモリ
261、361 第1ETフィルタ
263、363 第2ETフィルタ
265 第3PD
311 FBGフィルタ
410 8×1光SW
411 4×1光SW
413 スペクトルアナライザ
414 波長安定化装置
500 WDM方式用光源装置
510 レーザ光源
511 SLA
513 外部変調器
514 光SW
516 光SW制御用CPU
520 LD
Claims (12)
- 被制御レーザ光源から出力されるレーザ光の波長を所定波長に制御するマルチ波長安定化装置において、
前記レーザ光が入射され、入射した前記レーザ光を2つに分岐する分岐手段と該分岐手段で分岐した第1分岐光と第2分岐光とに対し波長分割多重方式におけるチャンネルの波長間隔の2倍に相当する周期で干渉するような光路差を設けて合成するとともに合成した干渉光を2つに分岐する干渉手段と該干渉手段で分岐した第1干渉光を出力する第1ポートと該干渉手段で分岐した第2干渉光を第1ポートにおける第1干渉光の位相に対して半周期遅らせて出力する第2ポートとから成る干渉計と、
前記第1ポートから射出される前記第1干渉光の強度を検出する第1検出手段と、
前記第2ポートから射出される前記第2干渉光の強度を検出する第2検出手段と、
前記所定波長に対応するチャンネルが偶数チャンネルであるか奇数チャンネルであるかに応じて、前記第1検出手段の出力と前記第2検出手段の出力と比と前記所定波長に対応して設定された目標値との大小関係で示される前記所定波長と前記レーザ光の波長との大小関係を判別し、前記所定波長と前記レーザ光の波長との差を縮小させる補正を加えた制御信号を前記被制御レーザ光源へ出力する制御手段と
を備えたマルチ波長安定化装置。 - 被制御レーザ光源から出力されるレーザ光の波長を所定波長に制御するマルチ波長安定化装置において、
前記レーザ光が入射され、波長分割多重方式におけるチャンネルの波長間隔の2倍に相当するFSRに設定されるとともに、光透過率のいずれかの値において該値を与える隣接した2つの波長の間隔が前記チャンネルの波長間隔になるようにフィネスを設定された周期的フィルタと、
前記レーザ光の強度を前記周期的フィルタを介して検出する第1検出手段と、
前記レーザ光の強度を検出する第2検出手段と、
前記所定波長に対応するチャンネルが偶数チャンネルであるか奇数チャンネルであるかを判断するとともに、該判断結果と前記第2検出手段の出力で規格化された前記第1検出手段の出力に基づいて前記レーザ光の波長が所定波長になるように前記被制御レーザ光源へ制御信号を出力する制御手段と
を備えたマルチ波長安定化装置。 - 被制御レーザ光源から出力されるレーザ光の波長を所定波長に制御するマルチ波長安定化装置において、
前記レーザ光が入射され、FSRの半分が波長分割多重方式における最初のチャンネルと最後のチャンネルとの波長間隔以上に設定された周期的フィルタと、
前記レーザ光の強度を前記周期的フィルタを介して検出する第1検出手段と、
入射する前記レーザ光の強度を検出する第2検出手段と、
前記波長分割多重方式における各チャンネルの波長と該波長における前記第2検出手段の出力で規格化した前記第1検出手段の出力の目標値との関係を予め蓄積した記憶手段と、
前記第1検出手段および前記第2検出手段からの出力を受信して前記第1検出手段の出力を前記第2検出手段の出力で規格化した検出値を演算した後に、該検出値を前記記憶手段に蓄積された関係に示された所定波長における目標値となるように前記被制御レーザ光源へ制御信号を出力する制御手段と
を備えたマルチ波長安定化装置。 - 被制御レーザ光源から出力されるレーザ光の波長を所定波長に制御するマルチ波長安定化装置において、
前記レーザ光が入射され、第1FSRを持つ第1周期的フィルタと、
前記レーザ光が入射され、第1FSRとは異なる第2FSRを持つ第2周期的フィルタと、
前記レーザ光の強度を前記第1周期的フィルタを介して検出する第1検出手段と、
前記レーザ光の強度を前記第2周期的フィルタを介して検出する第2検出手段と、
前記第1検出手段および前記第2検出手段からの出力を受信して、前記第1検出手段の出力に基づいて前記レーザ光の波長を制御した後に、前記第2検出手段の出力に基づいて前記レーザ光の波長が前記所定波長となるように前記被制御レーザ光源へ制御信号を出力する制御手段と
を備えたマルチ波長安定化装置。 - 被制御レーザ光源から出力されるレーザ光の波長を所定波長に制御するマルチ波長安定化装置において、
前記レーザ光が入射され、前記レーザ光源の立上時における前記レーザ光の発振波長が引き込むべき初期引込波長における光透過率と同一の光透過率を与える前記初期引込波長に最も近い2つの波長の間に存在するように第1FSRを設定した第1周期的フィルタと、
前記第1FSRと異なる第2FSRであって波長分割多重方式におけるチャンネルの波長間隔に第2FSRを設定した第2周期的フィルタと、
前記レーザ光の強度を前記第1周期的フィルタを介して検出する第1検出手段と、
前記レーザ光の強度を前記第2周期的フィルタを介して検出する第2検出手段と、
入射する前記レーザ光の強度を検出する第3検出手段と、
前記第1検出手段ないし前記第3検出手段からの出力を受信して、前記第1検出手段の出力を前記第3検出手段の出力で規格化した第1検出値を演算し該第1検出値を前記光透過率となるように前記被制御レーザ光源を制御した後に、前記第2検出手段の出力を前記第3検出手段の出力で規格化した第2検出値を演算し該第2検出値に基づいて前記レーザ光の波長が前記所定波長になるように前記被制御レーザ光源へ制御信号を出力する制御手段と
を備えたマルチ波長安定化装置。 - 被制御レーザ光源から出力されるレーザ光の波長を所定波長に制御するマルチ波長安定化装置において、
前記レーザ光が入射され、FSRの半分が波長分割多重方式における最初のチャンネルと最後のチャンネルとの波長間隔以上になるように設定された第1周期的フィルタと、
前記レーザ光が入射され、FSRが波長分割多重方式におけるチャンネルの波長間隔に設定された第2周期的フィルタと、
入射する前記レーザ光の強度を前記第1周期的フィルタを介して検出する第1検出手段と、
入射する前記レーザ光の強度を前記第2周期的フィルタを介して検出する第2検出手段と、
入射する前記レーザ光の強度を検出する第3検出手段と、
前記第1検出手段の出力を前記第3検出手段の出力で規格化した目標値と各前記チャンネルとの関係を予め蓄積した記憶手段と、
前記第1検出手段ないし前記第3検出手段からの出力を受信して、前記第1検出手段の出力を前記第3検出手段の出力で規格化した第1検出値を前記記憶手段に蓄積された関係に示された所定波長における目標値となるようにほぼ合わせた後に、前記第2検出手段の出力を前記第3検出手段の出力で規格化した第2検出値に基づいて前記レーザ光の波長が前記所定波長になるように前記被制御レーザ光源へ制御信号を出力する制御手段と
を備えたマルチ波長安定化装置。 - 被制御レーザ光源から出力されるレーザ光の波長を所定波長に制御するマルチ波長安定化装置において、
前記レーザ光が入射され、FSRが波長分割多重方式におけるチャンネルの波長間隔の整数倍に設定された複数個の第1周期的フィルタと、
前記レーザ光が入射され、FSRが前記第1周期的フィルタのFSRと異なるFSRであってかつ波長分割多重方式におけるチャンネルの波長間隔の整数倍に設定された複数個の第2周期的フィルタと、
複数個の前記第1周期的フィルタの各々に接続され入射する前記レーザ光の強度を接続する前記第1周期的フィルタを介して検出する複数個の第1検出手段と、
複数個の前記第2周期的フィルタの各々に接続され入射する前記レーザ光の強度を接続する前記第2周期的フィルタを介して検出する複数個の第2検出手段と、
複数個の前記第1検出手段と複数個の前記第2検出手段との出力を受信して、複数個の前記第1検出手段と複数個の前記第2検出手段との出力に基づいて複数個の前記第1検出手段のうち所定波長に対して出力する第1検出手段および複数個の前記第2検出手段のうち所定波長に対して出力する第2検出手段から出力を受信するように前記被制御レーザ光源へ制御信号を出力して前記所定波長に前記レーザ光の波長を固定する制御手段と
を備えたマルチ波長安定化装置。 - 被制御レーザ光源から出力されるレーザ光の波長を所定波長に制御するマルチ波長安定化装置において、
前記レーザ光を受光し前記レーザ光の強度と該強度における波長とを計測する光計測手段と、
前記光計測手段の出力に基づいて前記レーザ光の波長を所定波長にほぼ合わせる制御信号を前記被制御レーザ光源へ出力する制御手段と、
前記制御手段によって前記波長が所定波長にほぼ合わせられた後に、前記レーザ光を受光し該レーザ光の強度に基づいて前記所定波長にほぼ固定する制御信号を前記被制御レーザ光源へ出力する波長安定化装置と
を備えたマルチ波長安定化装置。 - 所定波長のレーザ光を発光することができるレーザ光源と前記レーザ光を受光し前記レーザ光の強度に基づいて前記所定波長にほぼ固定するマルチ波長安定化装置とを備え、所定波長に固定した定波長のレーザ光を射出するマルチ定波長光源装置において、
前記マルチ波長安定化装置は、請求項1ないし請求項8のいずれか1項に記載のマルチ波長安定化装置であること
を特徴とするマルチ定波長光源装置。 - 複数波長のレーザ光を発光するレーザ光源と、
前記レーザ光を偏波を保持した状態で2つに分岐する光分岐手段と、
前記光分岐手段で分岐した第1分岐光を送出すべき信号で変調する変調手段と、
前記変調手段の出力光が所定波長である場合には該出力光を透過するとともに前記変調手段の出力光が所定波長でない場合には該出力光を遮断する光透過遮断手段と、
前記光分岐手段で分岐した第2分岐光を受光し該第2分岐光の強度に基づいて前記レーザ光を所定波長にほぼ固定するマルチ波長安定化装置と、
を備えた波長分割多重方式用光源装置。 - 請求項10に記載の波長分割多重方式用光源装置において、
前記マルチ波長安定化装置は、請求項1ないし請求項7のいずれか1項に記載のマルチ波長安定化装置であること
を特徴とする波長分割多重方式用光源装置。 - 被検光源から出力される光の波長を判定する波長判別装置において、
前記光が入射され、FSRが波長に対する解像度の整数倍に設定された複数個の第1周期的フィルタと、
前記光が入射され、FSRが前記第1周期的フィルタのFSRと異なるFSRであってかつ波長に対する解像度の整数倍に設定された複数個の第2周期的フィルタと、
複数個の前記第1周期的フィルタの各々に接続され前記光の強度を接続する第1周期的フィルタを介して検出する第1検出手段と、
複数個の前記第2周期的フィルタの各々に接続され前記光の強度を接続する第2周期的フィルタを介して検出する第2検出手段と、
複数個の前記第1検出手段と複数個の前記第2検出手段との出力を受信し、複数個の前記第1検出手段と複数個の前記第2検出手段との出力に基づいて前記レーザ光の波長を判定して判定結果を出力する判定手段と
を備えた波長判別装置。
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