JP3985524B2 - 車両外板の被覆部材 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両の側面を構成する外板の下端部を覆う被覆部材に関し、特に外板の下縁よりも下方に延出するように取り付けられる車両外板の被覆部材に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、車両の高速走行に備え、あるいは車両外観の個性化により、通常にデザインされた外板に、空気による走行抵抗を減少させかつ視覚的に差別化を図るために合成樹脂製の被覆部材が取り付けられることが多い。
そして、上記のような被覆部材(エアロパーツ)は、前後のバンパーではその下端に下方に延在するような部品が取り付けられるため、その意匠に合うように車両の側面では外板の下縁よりも下方に延出して取り付けられるものがある。
【0003】
すなわち、車両側面における従来の被覆部材100の構造は、図9、図11に示すように、車両側面の外板60の略下半分を覆うとともに、外板60の下縁よりも下方に突出するメイン被覆部材70と、該メイン被覆部材70の下縁と外板60の下縁との間の隙間を塞ぐサブ被覆部材80とから構成されている。
メイン被覆部材70の本体部71の下縁の内面には、ステー部72が車両前後方向で略等間隔に複数個一体成形されている。ステー部72にはクリップ孔721、係合孔722及びボルト孔723が穿設されている。
【0004】
一方、サブ被覆部材80の本体部81には、図9、図10に示すように、メイン被覆部材70のステー部72のクリップ孔721、係合孔722及びボルト孔723に対応して切欠き821、係合爪822及びボルト孔823が形成されている。
【0005】
上記のように構成された従来の被覆部材100を外板60に取り付けるには、先ず、クリップ74をメイン被覆部材70のステー部72に設けたクリップ孔721に嵌合し、Uナット73をステー部72の下方に設けたボルト孔723に臨ませて装着しておく。
そして、サブ被覆部材80の係合爪822をメイン被覆部材70の係合孔722に係合するとともに、ボルト90をサブ被覆部材80の外面側からサブ被覆部材80およびメイン被覆部材70のボルト孔823、723に挿通し、Uナット73に螺合して、サブ被覆部材80をメイン被覆部材70に取り付けて被覆部材100を構成しておく。
次いで、クリップ74を外板60に設けた取付孔611に臨ませて被覆部材100を外板60に押し付けることにより、クリップ74を外板60の取付孔611に嵌合することにより、被覆部材100が外板60に取り付けられる。
なお、図示はされていないが、被覆部材100の上端も、メイン被覆部材70の上縁に取り付けたクリップを外板60に設けた取付孔に嵌合して固定する。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記のような被覆部材100の構造では、メイン被覆部材70に対するサブ被覆部材80の取付がボルト90、Uナット73による締め付けのため部品点数が多く、また組み付け工数も多くコスト高となるという問題が生じていた。
また、サブ被覆部材80の外面側にボルト90の頭部が露出しているため、積雪時には、このボルト90の頭部に雪が付着するという問題が発生し易かった。
【0007】
そこで、本発明は、かかる課題を解決すべく、メイン被覆部材とサブ被覆部材を結合するための手段が外面に露出せず、また、メイン被覆部材とサブ被覆部材を結合するための手段としてボルトやUナット等の結合部品を使用する必要がなく、部品点数の削減や組付工数の低減ができる車両外板の被覆部材を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の本発明に係る車両外板の被覆部材は、車両の側面を構成する外板の少なくとも下端部を覆うとともに、前記外板の下縁よりも下方に延出するメイン被覆部材と、該メイン被覆部材に結合され、該メイン被覆部材の下縁と前記外板の下縁との間の隙間を塞ぐサブ被覆部材とを備えた車両外板の被覆部材において、前記メイン被覆部材と前記サブ被覆部材はそれぞれ、本体部と、該本体部同士を結合する結合手段とを備えており、少なくとも前記外板の下縁よりも下方の部位では、前記メイン被覆部材側の結合手段は、前記本体部の内面に設けられた被係合部であり、前記サブ被覆部材側の結合手段は、前記本体部の内面に設けられ、前記被係合部に係合可能な係合部であり、前記被係合部は、前記メイン被覆部材の本体部の下端に前記サブ被覆部材に向かって略水平に突出形成されたフランジ部の内面から上方に突出する縦壁部と、該縦壁部の下端に形成され、該縦壁部を前記フランジ部の突出方向で貫通する貫通孔と、前記フランジ部の内面に形成された凹部とで構成されており、前記係合部は、前記貫通孔の幅と略同一幅で、前記サブ被覆部材の本体部の下端内面から前記メイン被覆部材に向かって略水平に突出する底部と、前記貫通孔の高さと略同一高さで、前記底部の突出方向と平行な両端より上方へ突出する縦壁部と、前記底部に上下方向に弾性移動可能に設けられ、先端が前記底部よりも下方に突出し、前記底部及び前記縦壁部を前記貫通孔に挿入すると前記凹部に係合する爪部とで構成されていることを特徴とする。
【0009】
よって、被係合部及び係合部いずれもが両被覆部材の内面に設けられており、結合手段が外部に露出することがない。
また、メイン被覆部材とサブ被覆部材は、ボルトやUナット等の結合部品を使用する必要がなく結合されるので、部品点数の削減と組付工数の低減によりコストダウンを図ることができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
次に、本発明に係る車両外板の被覆部材の一の実施の形態について図面を参照して以下に説明する。本実施の形態の車両外板の被覆部材は、車両側面のドアに適用したものである。
ここで、図1は、車両外板に被覆部材を取り付けた車両全体を示す斜視図である。図2は、メイン被覆部材の斜視図であり、図3は、サブ被覆部材の斜視図である。
【0013】
(構成)
車両外板の被覆部材の構成について説明する。車両外板の被覆部材10は、図1の斜線部で示すように、車両の側面を構成するドア等の外板60に取り付けられ、該外板60の少なくとも下端部を覆い、該外板60の下縁よりも下方に延出するものである。
そして、被覆部材10は、図4の断面図に示すように、外板60を構成するドア外板61とドア内板62のうちのドア外板61の下縁601よりも下方に延出してその下端部を覆うメイン被覆部材20と、このメイン被覆部材20に結合され、メイン被覆部材20の下縁24とドア外板61の下縁601との間の隙間を塞ぎつつ被覆部材10をドア外板61に保持するサブ被覆部材30とから構成されている。
【0014】
メイン被覆部材20は、図2、図4に示すように、ドア外板61の下半部から下縁601より下方に延在してドア外板61を覆い、ドア外板61の前後方向の長さと略同一長さの長方形の本体部21と、該本体部21の上端よりドア外板61に向かって湾曲しつつ突出し、ドア外板61に密着する湾曲部22と、本体部21の下縁24よりサブ被覆部材30に向かって略水平に突出するフランジ部25とを備えている。
本体部21の前端にはドア外板61側に向かう前部フランジ231が形成され、メイン被覆部材20がドア外板61に取り付けられたときに前部フランジ231がドア外板61と本体部21との空間を密閉する。
フランジ部25には、該フランジ部25の内面から上方に立ち上がって前後方向に連続し、後述するサブ被覆部材30側の結合手段500と結合するメイン被覆部材20側の結合手段400としての被係合部40を設けている。
【0015】
被係合部40は、図5、図6に示すように、フランジ部25の内面から上方に突出する縦壁部41と、該縦壁部41の下端に形成され、該縦壁部41をフランジ部25の突出方向で貫通する長方形の貫通孔42と、フランジ部25の内面に形成された凹部43とからなっている。
縦壁部41は、本体部21に対しフランジ部25の突出方向で若干離れた位置に長手方向に連続して形成されている。
貫通孔42は、本体部21の長手方向に沿って略等間隔で複数形成されている。
凹部43は、本体部21と縦壁部41との間で、フランジ部25の長手方向の各貫通孔42に対応する位置に形成されている。
また、貫通孔42は、フランジ部25の突出方向視で横長の長方形であり、その内周面の下面はフランジ部25の上面であり、上縁は縦壁部41の本体部21側で低く、その反対側で若干高い傾斜面となっている。
【0016】
サブ被覆部材30は、図3、図4に示すように、ドア外板61にクリップ39を介して取り付けられ、ドア外板61の前後方向の長さと略同一長さの長方形の本体部31と、該本体部31の上端よりメイン被覆部材20の内面に沿って突出し、メイン被覆部材20の内面に接着される上部フランジ32と、本体部31の下端よりメイン被覆部材20に向かって略水平に突出する下部フランジ35とを備えている。
本体部31には被覆部材10をドア外板61に取り付けるための取付部33が形成されている。取付部33は外板61に面接触するように傾斜しており、クリップ39を装着するための取付孔331が形成されている。
なお、図3に示す本実施の形態のサブ被覆部材30には、本体部31の後端より上方に延在し、メイン被覆部材20の後端をドア外板61とともに密閉するカバー部321が形成してある。また、34は細長のサブ被覆部材30を補強する補強リブである。
【0017】
係合部50は、図6、図7に示すように、前記貫通孔42の前後方向の長さと略同一の長さで、下部フランジ35からメイン被覆部材20に向かって略水平に突出する底部52と、前記貫通孔42の低い方の高さと略同一の高さで、底部52の突出方向と平行な両端から上方に突出する縦壁部51、51と、底部52に上下方向に弾性移動可能に設けられた爪部53とを備えている。
爪部53は、図5及び図7に示すように、底部52に平面視でコ字状に切り欠かれたスリット531の中央の残余部を、その付け根から先端532がサブ被覆部材30の本体部31に向かいつつ底部52の下面から傾斜して突出するように設けられている。
そして、この爪部53は、サブ被覆部材30がメイン被覆部材20に結合されたときに、メイン被覆部材20のフランジ部25に設けられた凹部43に係合可能な大きさに設定されている。
【0018】
なお、前記貫通孔42の上下寸法は、爪部53の先端532の上下寸法が底部52の厚みより大きいため、係合部50が被係合部40の貫通孔42に挿入されるときに、爪部53が通過できるように底部52の厚みより大きく設定されている。このため、縦壁部51、51は、係合部50と被係合部40との結合時に、底部52と貫通孔42の上下縁との間に隙間ができるので、この隙間でガタが発生しないように縦壁部51の上面と貫通孔42の上縁が当接するように設けられている。
【0019】
(作用)
次に、上記のように構成した車両用外板の被覆部材10のドア外板61への取付作業について説明する。
まず、サブ被覆部材30の取付部33に、図4の断面に示すように、クリップ39をあらかじめ取り付けておく。クリップ39は取付孔331に嵌合することにより取り付けられる。
また、サブ被覆部材30の上部フランジ32に接着剤を塗布しておく。そして、サブ被覆部材30の下部フランジ35に設けた各係合部50を、メイン被覆部材20のフランジ部25に設けた被係合部40の各貫通孔42に、メイン被覆部材20の本体部21に向かって挿通し、メイン被覆部材20とサブ被覆部材30とを結合する。
【0020】
係合部50を貫通孔42に挿入すると、係合部50の底部52の底面と縦壁部51の上端がフランジ部25の内面と貫通孔42の高い方の上縁で案内されながら進入し、貫通孔42の低い方の上縁で縦壁部51の上端が下方へ押圧される。
さらに係合部50を貫通孔42に進入させると、図8に示すように、爪部53がフランジ部25に当接して上方にたわむ。そして、係合部50を下部フランジ35の先端が縦壁部41に当接するまで挿通すると、図5に示すように、係合部50の爪部53が自由状態に戻ってメイン被覆部材20のフランジ部25に設けた凹部43内に浸入し、爪部53の先端532が凹部43のフランジ部25の先端側の縁面に係合し、その結果、被係合部40を係合部50の下部フランジ35の先端と爪部53の先端532とで挟持する態様で保持することとなる。
なお、図5、図8に示すように、底部52の厚みが下部フランジ35の厚みより若干薄く形成され、さらに貫通孔42の低い方の高さが底部52と縦壁部51の高さと略同一に形成されているが、これは、係合部50を被係合部40に係合したときに、下部フランジ35の下面と縦壁部51の上端との高さが若干高く設定して、貫通孔42の低い方の上縁で縦壁部51の上端を押圧しやすくし、メイン被覆部材20とサブ被覆部材30との結合時のガタをなくすためである。
【0021】
以上のように、メイン被覆部材20とサブ被覆部材30の下縁を係合させると同時に、サブ被覆部材30の上部フランジ32をメイン被覆部材20の本体部21の内面に接着して、メイン被覆部材20とサブ被覆部材30を結合することにより車両外板の被覆部材10をあらかじめ組み立てる。
そして、メイン被覆部材20の上端にクリップ39を取り付け、このクリップ39と、サブ被覆部材30の外板への取付部33に取り付けたクリップ39とを、ドア外板61のそれぞれの取付孔611に臨ませて被覆部材10をドア外板61に押し付けることにより、クリップ39をドア外板61のそれぞれの取付孔611に挿通して被覆部材10をドア外板61に取り付ける。
【0022】
このように、本発明の実施の形態によれば、メイン被覆部材20とサブ被覆部材30を結合するのに、ボルトやクリップ等の結合手段を用いず、メイン被覆部材20およびサブ被覆部材30に一体成形された係合部50と被係合部40のみを用いるので、部品点数の削減と組み立ての容易化が図れ、コストダウンが可能となった。
また、被係合部40と係合部50は、メイン被覆部材20とサブ被覆部材30の内面に設けられているため、被覆部材10の外部に露出しない。
【0023】
なお、本発明は前記実施の形態のものに限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
例えば、前記実施の形態では、被覆部材10を車両側面のドア外板61に取り付けるもので示したが、これに限られず、車両後面のバックドアや後部壁に取り付ける被覆部材に適用することも可能である。
また、前記実施の形態では、メイン被覆部材20のフランジ部25に設けた縦壁部41を前後方向に連続するもので示したが、これに限られず、貫通孔42を設ける近傍のみに形成するものであってもよい。この場合でもサブ被覆部材30の下端のドア外板側61の面は平坦面となる。
【0024】
【発明の効果】
メイン被覆部材とサブ被覆部材を結合するための手段が外部に露出しない。また、メイン被覆部材とサブ被覆部材を結合するための手段としてボルトやクリップ等の結合部品を使用する必要がなく、組付工数の低減とコストダウンを図ることが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一の実施の形態に係る車両外板の被覆部材を取り付けた車両の斜視図である。
【図2】本発明の一の実施の形態に係る車両外板の被覆部材を構成するメイン被覆部材の斜視図である。
【図3】本発明の一の実施の形態に係る車両外板の被覆部材を構成するサブ被覆部材の斜視図である。
【図4】本発明の一の実施の形態に係る車両外板の被覆部材を取り付けた断面図である。
【図5】本発明の一の実施の形態に係る車両外板の被覆部材の下端の拡大断面図である。
【図6】本発明の一の実施の形態に係る車両外板の被覆部材の下端の斜視図である。
【図7】本発明の一の実施の形態に係る車両外板の被覆部材を構成するサブ被覆部材の、(A)は係合部の斜視図であり、(B)は(A)の(イ)部の拡大図である。
【図8】本発明の一の実施の形態に係る車両外板の被覆部材の結合途中を示す下端の拡大断面図である。
【図9】従来の車両外板の被覆部材の下端の斜視図である。
【図10】図9のX−X線に沿う断面図である。
【図11】図9のXI−XI線に沿う断面図である。
【符号の説明】
10 被覆部材
20 メイン被覆部材
21 本体部
24 下縁
25 フランジ部
30 サブ被覆部材
31 本体部
33 外板への取付部
35 下部フランジ
400 メイン被覆部材側結合手段
40 被係合部
42 貫通孔
43 凹部
500 サブ被覆部材側結合手段
50 係合部
52 底部
53 爪部
60 外板
Claims (1)
- 車両の側面を構成する外板の少なくとも下端部を覆うとともに、前記外板の下縁よりも下方に延出するメイン被覆部材と、該メイン被覆部材に結合され、該メイン被覆部材の下縁と前記外板の下縁との間の隙間を塞ぐサブ被覆部材とを備えた車両外板の被覆部材において、
前記メイン被覆部材と前記サブ被覆部材はそれぞれ、本体部と、該本体部同士を結合する結合手段とを備えており、少なくとも前記外板の下縁よりも下方の部位では、前記メイン被覆部材側の結合手段は、前記本体部の内面に設けられた被係合部であり、前記サブ被覆部材側の結合手段は、前記本体部の内面に設けられ、前記被係合部に係合可能な係合部であり、
前記被係合部は、前記メイン被覆部材の本体部の下端に前記サブ被覆部材に向かって略水平に突出形成されたフランジ部の内面から上方に突出する縦壁部と、該縦壁部の下端に形成され、該縦壁部を前記フランジ部の突出方向で貫通する貫通孔と、前記フランジ部の内面に形成された凹部とで構成されており、
前記係合部は、前記貫通孔の幅と略同一幅で、前記サブ被覆部材の本体部の下端内面から前記メイン被覆部材に向かって略水平に突出する底部と、前記貫通孔の高さと略同一高さで、前記底部の突出方向と平行な両端より上方へ突出する縦壁部と、前記底部に上下方向に弾性移動可能に設けられ、先端が前記底部よりも下方に突出し、前記底部及び前記縦壁部を前記貫通孔に挿入すると前記凹部に係合する爪部とで構成されていることを特徴とする車両外板の被覆部材。
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