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JP3957038B2 - 半導体基板及びその作製方法 - Google Patents

半導体基板及びその作製方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、金属配線、受動素子、能動素子等と基板との間に生じる寄生容量の低減を図ることができる半導体基板及びその作製方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、ディジタル携帯電話、PHS等のディジタル・コードレスホンに代表される携帯情報端末をはじめとして、無線通信を利用したモバイル・マルチメディア機器の市場の拡大が進んでおり、メーカー、大学等の各研究機関において、これらのモバイル・マルチメディア機器に使用される高周波デバイスの高周波特性を向上させることに関する研究が盛んに行われている。高周波デバイスの高周波特性の向上を図る場合、金属配線等の配線等、あるいは、受動素子、能動素子等の各素子とシリコン基板に代表される半導体基板との間に生じる寄生容量をいかに小さくするかが解決すべき課題の一つになっている。
【0003】
このような課題を解決するため、各素子等と半導体基板との間に生じる寄生容量を低減する方法が、例えば、特開平03−196644号公報(以下、文献1という)、及び、IEEE TRANSACTIONS ON ELECTRON DEVICES,VOL.45,NO.5,MAY 1998,pp.1039−1045(以下、文献2という)に開示されている。
【0004】
まず、文献1に記載された方法について説明する。
【0005】
図4(a)〜(d)は、文献1に記載の寄生容量を低減するのに適したデバイスの製造方法を、その工程毎に説明する断面図である。
【0006】
(1)まず、図4(a)に示すように、回路素子が設けられた半絶縁半導体基板1の上面の所定の位置にボンディングパッド2を設けて、半絶縁半導体基板1の下面を研磨し、半絶縁半導体基板1を150μm程度の厚さとする。
【0007】
(2)次に、図4(b)に示すように、半絶縁半導体基板1の上面及び下面の全面を覆うように、厚さ2〜5μmのフォトレジスト7及び8を塗布し、その後、半絶縁半導体基板1の下面におけるボンディングパッド3に対向する位置に開口部8aを形成する。
【0008】
(3)次に、図4(c)に示すように、フォトレジスト7及び8をマスクとして、硫酸:過酸化水素:水=1〜4:1:1の割合のエッチャントを用いた等方性ウェットエッチングにより、半絶縁半導体基板1の下面側に空洞3を形成する。
【0009】
(4)次に、フォトレジスト7及び8を除去した後、図4(d)に示すように、空洞3の内面に窒化シリコン膜6を堆積して、セラミックパッケージ4のメタライズ層5にマウントする。
【0010】
上記(1)〜(4)の工程により作製された半導体集積回路には、ボンディングパッド2に対向して半絶縁半導体基板1の下部内に空洞3が形成されており、この空洞3によって、半絶縁半導体基板1とボンディングパッド2との間に発生する寄生容量が低減される。
【0011】
次に、文献2に記載された方法について説明する。この文献2には、高周波デバイスにおける受動素子であるインダクタ(Inductor)の高周波特性(Q factor)を向上させるために、基板とインダクタとの間に生じる寄生容量を低減する方法が記載されている。
【0012】
図5(a)〜(e)は、文献2に記載されている各素子等とシリコン基板との間の寄生容量を低減することができる半導体装置の製造方法をその工程毎に説明する断面図である。
【0013】
(1)まず、図5(a)に示すように、厚さ300nmのSOI(Silicon on Insulation)基板10の上に70nmの厚さの絶縁層11を積層して、LOCOS(局所酸化プロセス:Local Oxidation of Silicon)法によって、素子分離酸化膜12を形成した後に、2つのゲート酸化膜13を素子分離酸化膜12を挟んで形成するとともに、各ゲート酸化膜13上にゲート電極14をそれぞれ形成する。
【0014】
(2)次に、図5(b)に示すように、各ゲート電極14と各ゲート電極14をそれぞれ挟んだソース及びドレイン領域の上に、選択的CVD(Chemical Vapor Deposition)法を用いて、タングステン(W)膜15をそれぞれ成長させる。
【0015】
(3)次に、図5(c)に示すように、ソース及びドレイン領域上のタングステン膜15に、タングステンによって配線を形成するとともに、パッシベーション処理及びメタル配線の形成によって、最上層にアルミニウム(Al)配線16を有する3層のメタル配線を形成し、回路素子を形成する。
【0016】
(4)次に、図5(d)に示すように、インダクタを形成するアルミニウム配線16が設けられたパッシベーション膜を最上面から、SOI基板の下側のシリコン基板10の表面まで貫通する開口溝17を異方性エッチングによって形成する。
【0017】
(5)次に、図5(e)に示すように、開口溝17を介して、フッ化硫黄(SF6)を用いた等方性エッチングによって、埋め込み酸化膜に100μm程度の深さの空洞18を開口溝17に近接して配置された一方の素子の下方に達するように形成する。
【0018】
以上の(1)〜(5)の工程により、シリコン基板とインダクタとの間に生じる寄生容量が空洞18によって低減され、インダクタの高周波特性の向上が図れる。
【0019】
【発明が解決しようとする課題】
上記2つの文献に記載された方法は、いずれも配線、素子等の下方のシリコン基板の部分に、低誘電率層である空洞領域を形成することによって、配線及び素子と基板との間に生じる寄生容量の低減を図っている。
【0020】
しかしながら、いずれの方法でも、シリコン基板の上に回路素子等を形成してLSI等の作製が完了した後に、シリコン基板内に空洞を形成しなければならず、工程数が増加し、また、この空洞を形成する際に、基板上に形成された回路素子に損傷を与えるおそれがある。
【0021】
また、文献2の方法については、回路素子の最上側からシリコン基板のシリコン層を貫通する開口溝を形成するための領域が設けられていることが必要であり、そのために、多層配線の構造が複雑になり、回路素子が密集する場合には、開口溝を形成することが困難になるという問題がある。
【0022】
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、素子が設けられた場合の寄生容量を確実に低減できる半導体基板及びこのような半導体基板の作製方法を提供することを目的とする。
【0023】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するするために、本発明半導体基板は、表面にメッシュ状の凸部がウエハ周辺まで均等に形成されたウエハ形状の第1シリコン基板の表面と、表面に絶縁膜が形成された第2シリコン基板の表面とが貼り合わされて、内部に空洞領域が形成されていることを特徴とするものである。
【0024】
前記第1シリコン基板の前記表面における前記凸部間の凹部の底面が平坦になっていてもよい。
【0025】
本発明の半導体基板の作製方法は、表面に第1の絶縁膜が形成されたウエハ形状の第1のシリコン基板に、ウエハ周辺まで均等にメッシュ状に配置されるように多数の所定形状の開口部分がパターニングされたレジストを設ける工程と、前記レジストをマスクとして、前記第1の絶縁膜に対して等方性または異方性エッチングを行った後、さらに、該レジストパターンをマスクとして、前記第1のシリコン基板に対して、異方性エッチングを行い、前記第1のシリコン基板の表面に、ウエハ周辺まで均等にメッシュ状に配置された凸部を形成する工程と、前記レジストと前記第1の絶縁膜とを除去した後、前記第1のシリコン基板の表面と、第2の絶縁膜を表面に形成した第2のシリコン基板の該表面と貼り合わせる工程と、その後、前記第2のシリコン基板を裏面側から薄膜化する工程と、を含むことを特徴とするものである。
【0026】
前記第1のシリコン基板の異方性エッチングは、KOHを用いて行ってもよい。
【0028】
【発明の実施の形態】
(実施の形態1)
以下、本発明の実施の形態1に係る半導体基板及びその作製方法について、詳細に説明する。
【0029】
図1(a)〜(e)は、それぞれ本発明に係る半導体基板の作製方法を経時的に説明する断面図である。
【0030】
(1)本発明の半導体基板の作製方法では、図1(a)に示すように、第1のシリコン基板を準備し、この第1シリコン基板1の上面に、20nm程度の厚さの第1シリコン酸化膜2を形成する。
【0031】
(2)次いで、フォトリソグラフィー技術を用いることにより、第1シリコン酸化膜2の上に、図1(b)に示すように、多数の正方形状部分が均等に配置されるように開口部分がパターニングされたレジスト3を形成した後、このレジスト3をマスクとして、第1シリコン酸化膜2におけるレジスト3の開口部分に対向した領域を異方性または等方性エッチングによって除去し、その後に連続して、このレジスト3をそのままマスクとして、ドライエッチングにより第1シリコン基板1におけるレジスト3の開口部分に対向した領域を、1500nm程度の深さに、水平な底面が得られるようにエッチングする。
【0032】
(3)次に、図1(c)に示すように、レジスト3及び第1シリコン酸化膜2を除去する。これにより、図2に示すように、平坦な凹部1a内に、多数の凸部1bがウエハ周辺まで均等にメッシュ状に配置された第1シリコン基板1が得られる。
【0033】
(4)次に、図1(d)に示すように、酸化膜5が表面に設けられた第2シリコン基板4を準備し、第1シリコン基板1の多数の凸部1bが形成された表面と酸化膜5を表面上に形成した第2シリコン基板4の酸化膜5とを、ELTRAN(Epitaxial Layer Transfer)法によって貼り合わせる。ELTRAN法は、エピタキシャル成長により表面に薄膜Si層を形成した第1シリコン基板と第2シリコン基板とを貼り合わせ、この貼り合わせの後、貼り合わせ強度を確保するために、熱処理及び薄膜Si層を研磨する。
【0034】
この第1シリコン基板1と第2シリコン基板4との貼り合わせは、上記方法のほか、第1シリコン基板と、第2シリコン酸化膜を成長させた第2シリコン基板に水素イオン注入を行い、熱処理することにより両基板を貼り合わせる、水素注入領域の脆性破壊を利用した貼り合わせるUNIBOND法等の基板貼り合わせ方法を採用してもよい。
【0035】
(5)次に、図1(e)に示すように、第2シリコン基板4を、第1シリコン基板1に貼り合わされた表面とは反対側の裏面側から研磨して薄膜化し、所望の厚さの半導体基板(SOI基板)とする。
【0036】
以上の(1)〜(5)の工程によって作製される半導体基板は、第1シリコン基板1内に予め、空洞領域が形成されているため、半導体基板上に回路素子等を形成した後に、半導体基板に空洞を形成する必要がないので、回路素子形成後に、半導体基板内に空洞を形成する必要がなく、回路形成後に半導体基板に空洞を形成することによる回路素子の損傷の発生を防止することができる。
【0037】
また、この半導体基板は、前述の文献2のように、回路素子表面からシリコン基板を貫通する開口溝を形成する必要がないので、複雑な構造を有する高周波デバイスの作製に適している。
【0038】
また、第1シリコン基板1に、均一なメッシュ形状の凸部1bを形成することにより、回路素子を形成する際の熱処理によって、第1シリコン基板1に設けられた空洞領域が過度に熱膨張して、熱膨張による熱ストレスが半導体基板内に発生しても、この熱ストレスが半導体基板内に均一に作用するため、半導体基板の割れ等の不具合の発生を防止することができる。
【0039】
なお、第1シリコン基板1における各凸部1bの大きさについては、できるだけ小さくすることが好ましいが、第1シリコン基板1と第2シリコン基板4との貼り合わせ工程において、十分な貼り合せ強度を有する程度の大きさに形成する必要がある。
【0040】
(実施の形態2)
次に、本発明の実施の形態2に係る半導体基板及びその作製方法について、詳細に説明する。
【0041】
図3(a)〜(e)は、それぞれ本発明に係る半導体基板の作製方法を経時的に説明する断面図である。
【0042】
(1)本発明の半導体基板の作製方法では、図3(a)に示すように、第1シリコン基板1を準備し、この第1シリコン基板1の上面に、20nm程度の厚さの第1シリコン酸化膜2を形成する。
【0043】
(2)次いで、フォトリソグラフィー技術を用いることにより、第1シリコン酸化膜2の上に、図3(b)に示すように、多数の正方形状部分が均等に配置されるように開口部分がパターニングされたレジスト3を形成した後、このレジスト3をマスクとして、第1シリコン酸化膜2におけるレジスト3の開口部分に対向した領域を異方性または等方性エッチングによって除去し、その後に連続して、このレジスト3をそのままマスクとして、KOH等の異方性エッチャントを用いて、第1シリコン基板1を1500nm程度の深さに、深くなるにつれて順次開口面積が小さくなるようにエッチングする。
【0044】
(3)次に、図3(c)に示すように、レジスト3及び第1シリコン酸化膜2を除去する。これにより、図2に示すように、凹部1a内に、多数の凸部1bがウエハ周辺まで均等にメッシュ状に配置された第1シリコン基板1が得られる。
【0045】
(4)次に、図3(d)に示すように、酸化膜5が表面に設けられた第2シリコン基板4を準備し、第1シリコン基板1の多数の凸部が形成された表面と酸化膜5を表面上に形成した第2シリコン基板4の酸化膜5とを、ELTRAN(Epitaxial Layer Transfer)法によって貼り合わせる。ELTRAN法では、エピタキシャル成長により表面に薄膜Si層を形成した第1シリコン基板と第2シリコン基板とを貼り合わせ、この貼り合わせの後、貼り合わせ強度を確保するために、熱処理及び薄膜Si層を研磨する。
【0046】
この第1シリコン基板1と第2シリコン基板5との貼り合わせは、上記方法のほか、第1シリコン基板と、第2シリコン酸化膜を成長させた第2シリコン基板に水素イオン注入を行い、熱処理することにより両基板を貼り合わせる、水素注入領域の脆性破壊を利用した貼り合わせるUNIBOND法等の基板貼り合わせ方法を採用してもよい。
【0047】
(5)次に、図3(e)に示すように、第2シリコン基板5を、第1シリコン基板1に貼り合わされた表面とは反対側の裏面側から研磨して薄膜化し、所望の厚さの半導体基板(SOI膜)とする。
【0048】
以上の(1)〜(5)の工程によって作製される半導体基板は、第1シリコン基板1内に予め、空洞領域が形成されているため、半導体基板上に回路素子等を形成した後に、半導体基板に空洞を形成する必要がないので、回路素子形成後に、半導体基板内に空洞を形成する必要がなく、回路形成後に半導体基板に空洞を形成することによる回路素子の損傷を防止することができる。
【0049】
また、この半導体基板は、前述の文献2のように、回路素子表面からシリコン基板を貫通する開口溝を形成する必要がないので、複雑な構造を有する高周波デバイスの作製に適している。
【0050】
また、第1シリコン基板1に、均一なメッシュ形状の凸部1aを形成することにより、回路素子を形成する際の熱処理によって、第1シリコン基板1に設けられた空洞領域が過度に熱膨張して、熱膨張による熱ストレスが半導体基板内に発生しても、この熱ストレスが半導体基板内に均一に作用するため、半導体基板の割れ等の不具合の発生を防止することができる
【0051】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の作製方法によって作製される半導体基板によれば、半導体基板の内部に予め空洞領域が形成されているので、金属配線・受動素子・能動素子等の回路素子を設けると、その空洞領域が低誘導率層になり、高周波デバイス等の高周波特性の劣化をもたらす要因の1つとなる、素子等と基板との間に生じる寄生容量が低減される。このため、本発明の半導体基板は、高周波特性に優れており、高周波デバイス等に適している。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)〜(e)は、それぞれ本発明の実施の形態1に係る半導体基板の作製方法を工程毎に説明する断面図である。
【図2】本発明の実施の形態1に係る半導体基板の作製に使用される第1シリコン基板の平面図である。
【図3】(a)〜(e)は、それぞれ本発明の実施の形態2に係る半導体基板(シリコン基板)の作製方法を工程毎に説明する断面図である。
【図4】文献1による半導体基板の作製方法を工程毎に説明する断面図である。
【図5】文献2による半導体基板の作製方法を工程毎に説明する断面図である。
【符号の説明】
1 第1シリコン基板
2 第1シリコン酸化膜
3 レジスト
4 シリコン酸化膜
5 第2シリコン基板
6 第2シリコン酸化膜

Claims (4)

  1. 表面にメッシュ状の凸部がウエハ周辺まで均等に形成されたウエハ形状の第1シリコン基板の該表面と、表面に絶縁膜が形成された第2シリコン基板の該表面とが貼り合わされて、内部に空洞領域が形成されていることを特徴とする半導体基板。
  2. 前記第1シリコン基板の前記表面における前記凸部間の凹部の底面が平坦になっている請求項1に記載の半導体基板。
  3. 表面に第1の絶縁膜が形成されたウエハ形状の第1のシリコン基板に、ウエハ周辺まで均等にメッシュ状に配置されるように多数の所定形状の開口部分がパターニングされたレジストを設ける工程と、
    前記レジストをマスクとして、前記第1の絶縁膜に対して等方性または異方性エッチングを行った後、さらに、該レジストパターンをマスクとして、前記第1のシリコン基板に対して、異方性エッチングを行い、前記第1のシリコン基板の表面に、ウエハ周辺まで均等にメッシュ状に配置された凸部を形成する工程と、
    前記レジストと前記第1の絶縁膜とを除去した後、前記第1のシリコン基板の表面と、第2の絶縁膜を表面に形成した第2のシリコン基板の該表面と貼り合わせる工程と、
    その後、前記第2のシリコン基板を裏面側から薄膜化する工程と、
    を含むことを特徴とする半導体基板の作製方法。
  4. 前記第1のシリコン基板の異方性エッチングは、KOHを用いて行う、請求項3に記載の半導体基板の作製方法。
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