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JP3950520B2 - 遠心分離機 - Google Patents

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照夫 岡田
荘一郎 松嶋
雅彦 稲垣
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株式会社トミー精工
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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、遠心分離機に関するもので、詳しくはロータをモータ等の駆動軸に係合するための結合構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
遠心分離機では、図4に示したようにロータ1を単体として形成し、それをモータ2等の駆動軸3に嵌着させている。
【0003】
このような遠心分離機では、ロータ1を駆動軸3に係合するための結合構造として、駆動軸3にピン4を植設するとともに、ロータ1の底面に形成した軸受孔5の内周面に溝6を形成し、該溝6に駆動軸3のピン4を嵌入させることによってロータ1と駆動軸3とを連結する構造が採用されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
このように、上記遠心分離機では、実質的にロータ1がモータ2(駆動軸3)に一体的に支持されているため、ロータ1の重心が駆動軸3の軸芯に一致していない場合には、ロータ1が偏心回転される虞がある。このような場合には、ロータ1が水平状態を維持しようとするジャイロ効果により、ロータ1の振動が大きくなり、駆動軸3が撓められ、駆動軸3の耐久性が低下する虞がある。さらに、ロータ1の振動が大きくなると、ロータ1を破損する虞もある。
【0005】
そこで、モータ2を機器筐体に弾性支持させ、該モータ2を変位させることによって上記駆動軸3の負荷を吸収することで駆動軸3の撓みを軽減させることが行われている。しかしながら、このような構成を採用した場合、上記したようにロータ1の重心が駆動軸3の軸芯に一致していない場合には、ロータ1の偏心回転がより大きくなってしまう。
【0006】
このような課題を解決するために、実開昭48ー57774号で、モータを機器筐体に弾性支持するとともに、ロータを駆動軸に弾性支持させる技術が提供されている。
【0007】
しかしながら、近年は、図4に示したようにバケット7を揺動自在にロータ1に支持させた遠心分離機が多く採用されるようになり、このような遠心分離機では、ロータ1の重心を駆動軸3に一致させることは難しく、しかもロータ1の質量も大きいため、それによるロータ1の偏心回転および駆動軸3の撓みを確実に防止することができない。
【0008】
そこで、本発明の目的は、安定したロータの回転を得ることができ、しかも耐久性の向上が図れる遠心分離機を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の遠心分離機では、ロータを駆動軸に対してその回転方向には一体的に着脱自在に係合させる遠心分離機において、前記駆動軸を機器筐体に弾性体を介して設置するとともに、前記駆動軸の上部を球面に形成し、前記ロータの軸受孔の天井面を前記駆動軸の球面に対応した球状凹面に形成し、前記軸受孔の球状凹面を前記駆動軸の球面上に載置させて、前記ロータを前記駆動軸に対して揺動自在に係合させている。
【0010】
本発明の遠心分離機によれば、ロータが駆動軸の球状上面に揺動自在に載置され、かつ駆動軸が機器筐体に対して変位し得るため、ロータの重心位置および駆動軸の軸芯の傾斜に関係なくロータが振動することなく円滑に回転される。
【0011】
また、本発明の遠心分離機では、さらに中心から放射状に延設させたアームを有し、該アームの先端部にバケットを回動自在に配設してなるロータを備え、前記アームの回動中心を含む平面内に前記ロータの揺動中心を位置させている。
【0012】
この遠心分離機によれば、ロータのバランスがより向上する。
【0013】
【発明の実施の形態】
図1,図2および図3は、本発明に係る遠心分離機を示している。この遠心分離機では、ロータ10が別体に形成されており、該ロータ10は、図2および図3に示したようにモータ30の駆動軸31に装着される。
【0014】
図1に示したように、ロータ10は放射状に延設された4本のアーム11を有している。それらのアーム11の先端は二股に分離されたブラケット11a,11aが形成されており、それらブラケット11a,11aには、上方に開口する溝12,12が形成されている。
【0015】
一方、このロータ10は、バケット13を有している。このバケット13は、コの字状に形成され、その両側片に軸14が配設されている。この軸14は、両側片の外方へ延設され、その延長端部を上記ブラケット11a,11aの溝12,12に嵌着させてバケット13をアーム11に回動自在に支持させる。
【0016】
また、図3に拡大して示したように、このロータ10の下面10aの中心には金属製、例えば真鍮製のブロック15がネジ16によって固設されている。そして、このブロック15には下方に開口する軸受孔17が形成されている。この軸受孔17は、その開口側から大径部18,中径部19,小径部20を有している。
【0017】
そして、大径部18と中径部19とによって形成される境界部には、大径部18ら中径部19に軸受孔17の内方へ向かって傾斜するテーパ面21が形成されている。また、中径部19と小径部20との境界部には、球形状の凹面22が形成されている。さらに中径部19には、軸芯方向の溝23が形成されている。さらに、ブロック15の上端面15aには、球状の凸面が形成されている。
【0018】
一方、図2に示したようにモータ30は、ゴム等の弾性材32を介して機器筐体50に固定されている。このモータ30の駆動軸31は、上記ロータ10のブロック15の材質に対して耐摩耗性上相性のよい金属、例えばステンレスによって形成されている。この駆動軸31は、先端に小径の突出部33を有しており、その先端に雄ねじ34が形成されている。また、この駆動軸31の突出部33の基部、即ち大径部との境界の肩部には球状の凸面35が形成されている。
【0019】
さらに、駆動軸31はナット36を備えている。このナット36の下面36aには球状の凹面が形成されており、下面中央には雌ねじ37が形成されている。また、このナット36の上部には、雌ねじ37の軸芯と直角方向にナット36を回転させる際に操作棒等を挿入するための孔38が貫設されている。
【0020】
また、駆動軸31の大径部の上部で凸面35の下方には、ピン39が植設されている。
【0021】
このように構成された遠心分離機では、ロータ10の軸受孔17を駆動軸31に落とし込むと、段部のテーパ面21が駆動軸31のピン39に当接し、それによってガイドされて軸受孔12の軸芯が駆動軸20の軸芯と合致される。
【0022】
次いで、段部の図示しない傾斜面がピン39に当接し、それによって駆動軸31が回動され、ピン39が軸受孔17の溝23に案内されて、図3に示したように溝23がピン39に嵌合される。
【0023】
この状態において、ロータ10はそのブロック15の凹面22が駆動軸31の凸面35に載置される。さらに、駆動軸31の先端の雄ねじ34にナット36の雌ねじ37を螺合させる。すると、ナット36の下面36aはブロック15の上端面15aに軽く接触する。この状態おけるロータ10は、その揺動中心(駆動軸31の凸面35の曲率中心)が、各バケット13の軸14の軸芯を含む平面内に位置されて駆動軸31に載置される。
【0024】
このようにして組み付けられたロータ10のバケット13には、図2に示したように、ラック40が装着され、該ラック40にはチューブ(試験管)41が装填される。
【0025】
そこで、モータ30の駆動軸31が回転されると、ピン39,溝23を介してロータ10が回転される。その際、駆動軸31の軸芯が鉛直線に対して僅かにずれていた場合および/またはロータ10の重心が駆動軸31の軸芯に対して僅かにずれていた場合には、ロータ10の球形状の凹面22がロータ10のジャイロ効果によって、水平状態を維持するように駆動軸31の凸面35上を摺動して変位する。同時に駆動軸31には、該駆動軸31を鉛直方向に向かせる方向の力が生じるが、それによって該駆動軸31はモータ30と共に姿勢が保障される。したがって、ロータ10の振動が抑制される。
【0026】
【発明の効果】
上記したように、本発明に係る遠心分離機では、ロータが駆動軸に揺動自在に保持され、かつモータが機器筐体に弾性材を介して設置されているので、駆動軸の軸芯が鉛直線に対してずれていても、またロータの重心が駆動軸の軸芯とずれていても、ロータの回転動作は調整されるので、ロータは有効に制振される。
【0027】
さらに、本発明に係る遠心分離機によれば、ロータと駆動軸との結合部を金属等の剛体によって形成できるので、質量の大きいロータにも適用でき、しかも耐久性の向上が図れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る遠心分離機示した斜視図である。
【図2】 本発明に係る遠心分離機におけるモータの設置状態および該モータとロータの連結状態を示した断面図である。
【図3】 本発明に係る遠心分離機におけるロータと駆動軸との連結部を拡大して示した断面図である。
【図4】 従来の遠心分離機におけるロータと駆動軸との連結構造を示した断面図である。

Claims (2)

  1. ロータを駆動軸に対してその回転方向には一体的に着脱自在に係合させる遠心分離機において、前記駆動軸を機器筐体に弾性体を介して設置するとともに、前記駆動軸の上部を球面に形成し、前記ロータの軸受孔の天井面を前記駆動軸の球面に対応した球状凹面に形成し、前記軸受孔の球状凹面を前記駆動軸の球面上に載置させて、前記ロータを前記駆動軸に対して揺動自在に係合させることを特徴とする遠心分離機。
  2. 中心から放射状に延設させたアームを有し、該アームの先端部にバケットを回動自在に配設してなるロータを備え、前記アームの回動中心を含む平面内に前記ロータを揺動中心を位置させたことを特徴とする請求項1に記載の遠心分離機。
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