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JP3944973B2 - 逆浸透膜処理方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は逆浸透膜(RO膜)処理方法に係り、特に、RO膜分離装置の運転を停止することなく、RO膜分離装置の生産水量の低下や差圧上昇の要因となる膜汚染物を効果的に洗浄除去することができるRO膜分離方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、市水、井水等の脱塩方法として、RO膜処理法が広く採用されている。
【0003】
このRO膜処理では、RO膜分離装置の運転を継続することにより、RO膜に付着、堆積した膜汚染物により膜性能が低下し、生産水(膜透過水)量の低下や差圧の上昇が起こる。
【0004】
この膜汚染物は、鉄やアルミニウム等の金属水酸化物、微生物のスライム、界面活性剤や高分子凝集剤等の有機物質、或いは、シリカや炭酸カルシウム等のスケール等であり、膜汚染で性能が低下したRO膜は、当該汚染物に応じた薬品を用いる薬品洗浄で汚染物を洗浄除去することで性能を回復させることができる(「超純水の科学」リアライズ社第274頁〜第277頁)。
【0005】
この膜洗浄法として、特開平7−16566号公報には、RO膜等の分離膜をアルカリ洗浄することが記載されている。また、特公昭52−10785号公報には、RO膜分離装置にpH9〜13のアルカリ水を短時間通水することにより膜汚染物を洗浄除去する方法が記載されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
従来の膜洗浄方法は、RO膜分離装置の運転を一旦停止し、別途設けた薬品洗浄用の循環タンクで、予め調整した洗浄薬品をRO膜分離装置に循環通水するものであるため、洗浄運転時には膜透過水を得ることができない、洗浄操作が煩雑である、装置が複雑であるといった欠点がある。
【0007】
特公昭52−10785号公報には、pH調整前のアルカリ性の被処理液を洗浄水として使用し得ることが記載されているが、やはり採水運転と洗浄運転とを交互に行うものであり、洗浄運転中には膜透過水を得ることができないという欠点がある。
【0008】
本発明は上記従来の問題点を解決し、RO膜分離装置の運転を停止することなく、即ち採水を継続して、RO膜分離装置の生産水量の低下や差圧上昇の要因となる膜汚染物を効果的に洗浄除去することができるRO膜処理方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明のRO膜処理方法は、RO膜分離装置に、中性条件で原水を供給し、膜透過水を処理水として取り出すRO膜処理方法において、RO膜分離装置の連続運転中にRO膜分離装置に供給される原水のpHを一時的に10〜12とするpH調整を行い、該pH調整中も膜透過水を処理水として取り出し、該膜透過水をイオン交換装置でイオン交換処理することを特徴とする。
【0010】
RO膜分離装置にpH10〜12のアルカリ性の水を通水することにより、膜汚染物、特に、スライムや有機物等の膜汚染物を効果的に洗浄除去して膜性能を維持することができる。
【0011】
本発明では、RO膜分離装置の運転中に一定の頻度で原水にアルカリを添加して給水すれば良く、洗浄用の循環タンクなどは不要である。また、このpH調整中も膜透過水を処理水として採水するため、生産水量を高く維持することができる。
【0012】
本発明において、上記pH調整は3〜10日に一度の頻度で、15〜300分間行うのが好ましい。
【0013】
このようにpH調整中も採水を維持することで処理水の水質が低下する恐れがあるが、RO膜分離装置の後段にイオン交換装置を設け、RO膜透過水をイオン交換処理することにより、処理水質を維持することができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下に図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。
【0015】
図1は本発明のRO膜処理方法の実施の形態を示す系統図である。
【0016】
この方法は、原水、例えば工業用水、市水、井水等の凝集、加圧浮上、濾過処理水をRO膜分離装置1及びイオン交換装置2に順次通水して処理する装置に本発明方法を適用したものであり、原水の供給ラインには、アルカリタンク3A及び薬注ポンプ3Bよりなるアルカリ注入手段3と、酸タンク4A及び薬注ポンプ4Bよりなる酸注入手段4と、攪拌機(スタティックミキサー)5と、pH計6が設けられると共に、pHの自動制御のためのPID調節計7及びシーケンサ8が設けられている。
【0017】
RO膜分離装置1でのRO膜分離処理においては、原水RO給水のpHによりRO生産水(膜透過水)の水質、例えば電気伝導度が大きく影響を受けるため、給水のpHが一定になるように、アルカリ添加手段3又は酸添加手段4により、NaOH等のアルカリ又はH2SO4、HCl等の酸を添加してpH調整を行う。
【0018】
例えば、工業用水を凝集、加圧浮上、濾過して得られる水(電気伝導度200μS/cm)をRO給水とする場合、pH7に調整してRO膜分離装置1に供給する場合、得られるRO生産水の電気伝導度は5μS/cmであり、pH10に調整してRO給水とした場合のRO生産水の電気伝導度は25μS/cmである。
【0019】
従って、RO生産水の水質の面からはRO給水は、pH7程度の中性条件とするのが好ましい。
【0020】
pH7程度の中性条件で給水を行って運転を行った場合、経時的にRO膜面にスライム等の膜汚染物が付着し、RO生産水量の低減、差圧の上昇が起こる場合がある。
【0021】
本発明では、このような膜汚染物による膜性能の低下を防止するために、定期的にRO給水のpHを10〜12のアルカリ性とする。
【0022】
このようにRO給水のpHを10〜12のアルカリ性とすることにより、膜汚染物、特に、スライムや有機物等の膜汚染物を効果的に洗浄除去して膜性能を高めることができる。
【0023】
このRO給水のpHを10〜12のアルカリ性に調整する頻度及び期間は、特に3〜10日に一度の割合で15〜300分間とするのが好ましく、このような条件で定期的なpH調整を行うことにより、膜汚染物の蓄積を未然に防止して、アルカリ性のRO給水により効果的に膜汚染物の洗浄除去を行うことができる。
【0024】
なお、洗浄間隔は短い程、また、洗浄時間は長い程、洗浄効果がある反面、その期間の水質が低下する。従って、洗浄時間は短い程良い。
【0025】
本実施の形態においては、リモート入力型のPID調節計7を用い、例えば168時間(1週間)に1回の割合で3時間、RO給水のpHを10とし、その他はpH7とするように、RO給水のpH調整条件をプログラミングしたシーケンサ8から制御信号を出力して自動制御にてRO給水のpH調整を行う。
【0026】
本発明においては、このpH調整期間中も処理水としての膜透過水の取り出しを継続する。
【0027】
RO給水のpHを10〜12のアルカリ性とすると、膜透過水の水質は低下し、例えば電気伝導度は25μS/cmとなるが、本実施の形態では、膜透過水を更にイオン交換装置2でイオン交換処理するため、得られる処理水(イオン交換水)の水質は殆ど影響を受けることはなく、高水質を維持できる(例えば、電気伝導度で0.667μS/cm以下)。
【0028】
なお、アルカリ性のRO給水を行った時の膜透過水もイオン交換装置2に通水することで、イオン交換装置2の負荷が増大し、イオン交換樹脂の再生頻度は若干高くなることが予想されるが、この負荷の増大は一時的なものであるため、再生頻度を大きく悪化させることはない。
【0029】
なお、このイオン交換装置2としては、混床型又は多床型イオン交換装置(非再生型であっても良い。)等各種のものを用いることができる。また、イオン交換装置、RO膜分離装置等の脱塩装置組み合わせても良い。負荷変動に対応する点からはイオン交換装置が好適である。
【0030】
このような本発明のRO膜処理方法は、特にスライム等の膜汚染物が付着し易い原水のRO膜分離処理に有効である。
【0031】
【実施例】
以下に実施例及び比較例を挙げて本発明をより具体的に説明する。
【0032】
実施例1
図1に示す方法に従って、RO膜分離処理を行った。原水としては、工業用水の凝集、加圧浮上、濾過処理水を用い、RO膜分離装置(日東電工(株)製4インチRO膜「NTR−759HR」)に運転圧力16kg/cm2、回収率70%で通水した。
【0033】
また、混床型イオン交換装置としては、陰イオン交換樹脂(栗田工業(株)製「EXAG」)と陽イオン交換樹脂(栗田工業(株)製「EXCG」)とを2:1で混合したものを用い、SV=50hr-1で通水した。
【0034】
RO給水のpHは通常時は7.0の中性条件とし、168時間に一回の頻度で3時間、RO給水のpHを10.0のアルカリ性とし、このアルカリ性にpH調整する間も、採水を行った。
【0035】
RO生産水(膜透過水)量(25℃換算)の経時変化及びこの通水期間中の処理水(膜透過水のイオン交換水)の平均水質(電気伝導度)を調べ、結果を表1に示した。
【0036】
比較例1
実施例1において、RO給水のpHを常時7.0の一定pHとしたこと以外は同様にして通水を行い、RO生産水量の経時変化及び処理水の平均水質を調べ、結果を表1に示した。
【0037】
【表1】
Figure 0003944973
【0038】
表1より明らかなように、定期的にRO給水をアルカリ性とすることにより、膜性能の低下を防止して、長期に亘り安定な処理を行える。しかも、後段にイオン交換装置を設けることにより、アルカリ性のRO給水を通水することによる処理水の水質低下を防止することができる。
【0039】
【発明の効果】
以上詳述した通り、本発明のRO膜処理方法によれば、RO膜分離装置の運転を停止することなく、即ち採水を継続して、RO膜分離装置の生産水量の低下や差圧上昇の要因となる膜汚染物を効果的に洗浄除去することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のRO膜処理方法の実施の形態を示す系統図である。
【符号の説明】
1 RO膜分離装置
2 イオン交換装置
3 アルカリ注入手段
3A アルカリタンク
3B,4B 薬注ポンプ
4 酸注入手段
4A 酸タンク
5 攪拌機
6 pH計
7 PID調節計
8 シーケンサ

Claims (2)

  1. 逆浸透膜分離装置に、中性条件で原水を供給し、膜透過水を処理水として取り出す逆浸透膜処理方法において、
    逆浸透膜分離装置の連続運転中に逆浸透膜分離装置に供給される原水のpHを一時的に10〜12とするpH調整を行い、該pH調整中も膜透過水を処理水として取り出し、該膜透過水をイオン交換装置でイオン交換処理することを特徴とする逆浸透膜処理方法。
  2. 請求項1において、該pH調整を3〜10日に一度の頻度で15〜300分間行うことを特徴とする逆浸透膜処理方法。
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