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JP3818360B2 - 有機ハロシランの製造方法 - Google Patents

有機ハロシランの製造方法 Download PDF

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JP3818360B2
JP3818360B2 JP2000320538A JP2000320538A JP3818360B2 JP 3818360 B2 JP3818360 B2 JP 3818360B2 JP 2000320538 A JP2000320538 A JP 2000320538A JP 2000320538 A JP2000320538 A JP 2000320538A JP 3818360 B2 JP3818360 B2 JP 3818360B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は有機ハロシランの工業的製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
有機ハロシランの合成法に関しては、米国特許第2,380,995号公報において、E.Rochowが銅触媒による金属珪素と有機ハライドとの直接法を開示して以来、銅触媒の存在下で用いる種々の助触媒に関するもの、反応装置に関するもの、反応時の添加物に関するものなど、数多くの研究者によって、その成果が報告されてきた。
【0003】
有機ハロシランの工業的合成においては、シリコーン樹脂に最も多用されるジオルガノジハロシランの選択性、シランの生成速度及び金属珪素の有効シランヘの高転換率が重要とされる。ジオルガノジハロシランの選択性は、生成シラン中の重量比(あるいはモル比)、及びT/D比により評価される。生成する有機ハロシラン中に含まれる物質としては、ジオルガノジハロシラン(D)、トリオルガノハロシラン(M)、オルガノトリハロシラン(T)などが挙げられ、オルガノヒドロジハロシラン(H)やオルガノハロジシラン類も生成する。特にこの直接法によるオルガノハロシラン類を原料とするシリコーンの製造業者において、高留分と呼ばれるジシラン類は有効な製品への誘導が少なく、ほとんどが残渣として廃棄されている。T/D比とは全生成有機ハロシラン中のオルガノトリハロシランとジオルガノジハロシランの組成比であり、T/D比が小さいほど好ましい。
【0004】
一方、有機ハロシランの生成速度はSTY(Space Time Yield)値を用いる。STY値は反応器内に保持される金属珪素重量に対する単位時間あたりの生成粗有機ハロシランの重量である。
【0005】
これら、生成ジオルガノジハロシラン組成の向上あるいはT/D比の低下及びSTY値を向上させるため、触媒、助触媒を中心とした種々の研究がなされてきた。また、不活性固体を反応器中に添加することで、有機ハロシラン合成の成績向上を図る試みも行われている。
【0006】
特開昭61−112085号公報において、流動層反応器内の塩化第一銅の凝集を低減することを目的として、フュームドシリカを添加することが示されている。
【0007】
また、特公平4−59318号公報には、ハロゲン含有シランの製造において、流動床反応器の反応帯域の温度コントロール性を高めることを目的として、流動床反応器内に20〜450μmの範囲の粒度分布を持つ不活性固体粒子を添加することが報告されている。
【0008】
ドイツ特許19919337C1には、より少ない触媒量でメチルクロロシランを製造することを目的として、金属珪素、銅触媒、亜鉛助触媒とフュームドシリカを使用することが示されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
有機ハロシランの工業的製造においては、上記のように生成ジオルガノジハロシランの組成向上、又は、オルガノハロシランの生成速度を向上させることが有機ハロシランの製造においてコスト的に有利となる。しかし、この2つの目標にはトレードオフの関係があり、どちらか一方の改善を行おうとすると、もう一方の目標が低下してしまい、このトレードオフの現象を打破する手法を見つけ出すことが、従来の課題であった。
【0010】
従って、本発明は、ジオルガノジハロシランの生成組成を低下させることなく、オルガノハロシランの生成速度を向上させることができる有機ハロシランの製造方法を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段及び発明の実施の形態】
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討を行った結果、使用する触媒及び/又は助触媒粒子と微粉末シリカとの混合物を機械的に剪断力を与えてこすり合わせ、微粉末シリカが表面に融合した触媒及び/又は助触媒を1種類以上使用することにより、生成ジオルガノジハロシランの組成を低下させることなく、オルガノハロシランの生成速度を向上させ得ることを偶然にも発見した。
【0012】
従って、本発明は、上記の如く、機械的に剪断力を与えて触媒粒子及び/又は助触媒粒子と微粉末シリカをこすり合わせる操作を加えた後に、有機ハロシラン合成用触媒及び/又は助触媒として使用すると、驚くべきことに、単純にそれらを混合した場合とは異なり、有機ハロシラン合成における反応性が、大幅に向上することの知見に基づくものである。
【0013】
ここで、反応性が向上するメカニズムは、現在明確には解明されていないが、微粉末シリカは、剪断力を与えられて触媒又は助触媒表面にこすりつけられると、触媒又は助触媒表面と微粉末シリカ表面との融合、いわゆる「メカニカルアロイング」が起こり、触媒又は助触媒の物理化学的特性が改質され、結果としてオルガノハロシランの生成速度を著しく増大させたものと考えられる。メカノケミカル効果に伴う触媒作用の質的な変化、及び物理的特性として触媒粒子、助触媒粒子の形状の変化、触媒粒子、助触媒粒子表面形状の変化、その他の要因が複合的に作用し、オルガノクロロシランの生成速度増加に結びついたと考えられる。このような剪断力を与える操作による触媒作用の改質は、単に触媒と微粉末シリカを混合しただけでは起こらず、剪断力を与えた場合のみ起こる特異な効果であることは、後に述べる実施例より明らかである。
【0014】
従って、本発明は、反応器内に金属珪素粉末と銅触媒及び助触媒とを含む触体を仕込み、オルガノハライドを含むガスを導入、反応させて、下記一般式(1)
n(H)mSiX(4-n-m) (1)
(式中、Rは炭素数1〜6の1価炭化水素基、Xはハロゲン原子を示し、n、mは0〜3の整数で、n+m=1〜3を満足する。)
で示される有機ハロシランを製造する方法において、使用する触媒及び/又は助触媒粒子と微粉末シリカとの混合物を機械的に剪断力を与えてこすり合わせ、微粉末シリカが表面に融合した触媒及び/又は助触媒を1種類以上使用することを特徴とする有機ハロシランの製造方法を提供する。
【0015】
以下、本発明につき更に詳しく説明する。
本発明のハロシランの製造方法は、金属珪素粉末と、微粉末シリカを機械的に表面にこすりつけた触媒粒子及び/又は助触媒粒子のうち少なくとも1種類以上を含む混合物を反応器に仕込み、オルガノハライドを含むガスを導入して下記一般式(1)で示されるハロシランを製造する方法である。
n(H)mSiX(4-n-m) (1)
(式中、Rは炭素数1〜6の1価炭化水素基、Xはハロゲン原子を示し、n、mは0〜3の整数で、n+m=1〜3を満足する。)
【0016】
ここで、金属珪素は、通常、珪素の純度が97重量%以上、特に純度が98重量%以上のものを用いることが好ましい。
また、金属珪素は粉砕し、適当な粒度を持った粉末として使用することが好ましく、反応器として流動層反応器又は撹拌層反応器を用いる場合は、金属珪素粉末に良好な流動性を持たせるために、金属珪素粉末の粒子径は篩分による重量基準累積分布曲線の50%に相当する粒径として5〜150μmの範囲とすることが好ましい。
【0017】
銅触媒としては銅粉末、スタンピング銅などの単体銅(金属銅)、あるいは酸化第一銅、酸化第二銅、塩化銅等のハロゲン化銅、酢酸銅などの種々の形態のものを用いることができる。また、助触媒として、亜鉛、錫、アンチモン、砒素、リンなどの種々の促進剤を用いてもよいが、この場合、銅との合金等の形態で用いてもよく、銅との合金としては、Cu−Zn、Cu−Sn、Cu−Zn−Sn(又はSb、As、P)などが例示される。また、単独で用いる形態において、助触媒として具体的には金属亜鉛、塩化亜鉛、酸化亜鉛、酢酸亜鉛等の亜鉛化合物、金属錫、塩化錫、酸化錫等の錫化合物、金属アンチモン、塩化アンチモン、酸化アンチモン等のアンチモン化合物、金属アルミニウム、塩化アルミニウム、酸化アルミニウム等のアルミニウム化合物、金属リン、リン化銅、三塩化リン、酸化リン等の無機リン化合物などを例示することができる。
【0018】
銅触媒の配合量は、金属珪素粉末100部(重量部、以下同じ)に対して銅量に換算して0.1〜10部、特に2〜8部とすることが好ましい。また、助触媒の配合量は、その種類、形態等に応じた公知の配合量において適宜選択され、例えば、亜鉛の配合量は金属珪素粉末100部に対して0.05〜1部、錫、アンチモン及び砒素の配合量は金属珪素粉末100部に対していずれか1種類あるいは合計で0.001〜0.05部、特に0.005〜0.01部とするのが好ましい。
【0019】
一方、金属珪素と反応させて、有機ハロシランを得るためのオルガノハライドとしては、製造すべき有機ハロシラン、即ち、式(1)
n(H)mSiX(4-n-m) (1)
(式中、Rは炭素数1〜6のアルキル基、アリール基等の1価炭化水素基、Xは塩素、臭素等のハロゲン原子を示し、n、mは0〜3の整数で、n+m=1〜3を満足する。)
の有機ハロシランのRの種類に応じて選定され、具体的には、塩化メチル、塩化エチル、塩化プロピル、臭化メチル、臭化エチル、臭化メチル、臭化ベンゼン等を例示することができる。この中で塩化メチル、塩化ベンゼンが好ましく、特に工業的に最も有用なものは塩化メチルであり、これを用いて製造されるジメチルジクロロシランは多くのシリコーン樹脂の原料として幅広い用途がある。オルガノハライドは予め昇温し、ガス化した後、反応器へ送入する。この場合、オルガノハライドガスを単独で送入してもよいし、不活性ガスと併せて粉末が流動化する量として算出され、用いる反応器の直径と空塔速度から適宜決定される。
【0020】
而して、本発明においては、反応性を向上させる目的で、使用する触媒及び/又は助触媒粒子と微粉末シリカとの混合物を機械的に剪断力を与えてこすり合わせ、微粉末シリカが表面に融合した触媒及び/又は助触媒を1種類以上使用する。
【0021】
ここで、微粉末シリカを触媒粒子、助触媒粒子に機械的に表面にこすりつける工程についての方法は問わない。特に、微粉末シリカを触媒粒子又は助触媒粒子の表面に効率的にこすりつけられるような剪断力を与えることのできる装置が好ましい。このような剪断力を与える装置としては、メカノフュージョン装置、ボールミル、撹拌ミル、遊星ミル、高速回転粉砕機、ジェット粉砕機、剪断ミル、又はローラーミル等が好ましく、特にメカノフュージョン装置、ボールミル、剪断ミルが好ましい。
【0022】
例えば、メカノフュージョン装置(AM−15F)は、図1に示したように、ケーシング1内に原料(触媒粒子又は助触媒粒子と微粉末シリカ)を投入し、ケーシング1を回転させ、原料をケーシング1内周壁に遠心力で押し付けると共に、インナーピース2とケーシング1との間で剪断力を与え、触媒粒子又は助触媒粒子の表面に微粉末シリカを付着させる。ケーシング1内周壁とインナーピース2との間で改質された原料は、インナーピース2後方に固定されたスクレーバー3で掻き落とされ、再度上記剪断力が与えられる処理が繰り返される。なお、ケーシング1は、摩擦熱による異常昇温を避けるために冷却される。即ち、メカノフュージョンは、回転するケーシング1と固定されたインナーピース2によって粉体粒子に圧縮、剪断、序枠作用を与えることができる。スクレーバー3は、インナーピース2とケーシング1の間で圧縮された粉体をケーシング1から掻き落とすためにある。本装置は、単一のあるいは複数の素材粒子に機械的エネルギーを加えて、▲1▼表面融合、▲2▼分散・混合、▲3▼粒径制御を行うことができる。
【0023】
なお、実際の運転では、モーター動力とインナーピース部での粉体粒子の温度を測定して、運転の目安とする。
【0024】
ここで、上記ケーシング1の回転数、ケーシング1とインナーピース2との間のクリアランスSは、使用する装置に応じて適宜選択されるが、AM−15F型メカノフュージョン装置の場合、回転数は300〜3,000rpm、特に800〜2,200rpmであることが好ましく、クリアランスは0.1〜10mm、特に0.5〜5mmであることが好ましい。
【0025】
上記処理は、非酸化性雰囲気下で行うことが好ましい。この非酸化性雰囲気としては、窒素ガス、アルゴンガス、水素ガス又はこれらの混合ガスとすることができる。
【0026】
触媒粒子及び/又は助触媒粒子と、微粉末シリカとの適切な配合量は、触媒粒子、助触媒粒子、微粉末シリカの比表面積によって異なるが、触媒粒子、助触媒粒子と微粉末シリカとの重量比で、1,000:1〜10:1が好ましく、より好ましくは200:1〜20:1、特に好ましくは150:1〜50:1である。
【0027】
なお、微粉末シリカとしては、特に制限されるものではないが、フュームドシリカ(煙霧状シリカ)、沈降シリカ等を用いることができる。この場合、これらのシリカは、メチル基等で疎水化処理されているものが好ましい。シリカの比表面積は50〜400m2/g、特に100〜300m2/gが好ましい。
【0028】
微粉末シリカを触媒粒子、助触媒粒子の表面に機械的にこすりつけたものを走査型電子顕微鏡で観察すると表面は微粉末シリカで覆われていることが観察されたが、予想に反して、この被覆のために反応活性が損なわれることがないことは、後に述べる実施例より明らかである。
【0029】
本発明の有機ハロシランの製造方法において、触体の加熱又は触体への触媒活性付与工程で反応器の触体の流動化に用いる不活性ガスは、窒素ガス、ヘリウムガス、アルゴンガス等が例示されるが、経済性の点から、窒素ガスを用いることが好ましい。これらの工程における不活性ガスの流速は触体の流動化開始速度以上であればよいが、特に流動化開始速度の5倍程度が好ましい。不活性ガスの流速をこの範囲より小さくすると触体の均一な流動化が困難となり、一方、不活性ガスの流速をこの範囲よりも大きくすると、金属珪素粉末の飛散が増加し、また不活性ガスのロスや熱のロスが増加する場合がある。また、不活性ガスとオルガノハライドを循環使用することが好ましい。
【0030】
上記のようにして触体への触媒の活性付与を行った後、反応器にアルキルハライドを導入し、オルガノハライドと金属珪素とを気−固接触反応させることにより有機ハロシランを得ることができる。
【0031】
なお、本発明において、反応は230〜600℃、特に250〜500℃の温度範囲で行うことが好ましい。また、反応器としては、流動層反応器、撹拌層反応器、固定層反応器等を用いることができ、工業的には連続的な流動層反応器が好ましい。
【0032】
【実施例】
以下、実施例及び比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。なお、下記の例において部は重量部を示す。
【0033】
[実施例1]
比表面積0.06m2/gのリン化銅助触媒粉と比表面積120m2/gの疎水化処理フュームドシリカとを重量比100:1の割合で混合し、ホソカワミクロン(株)製「メカノフュージョン」装置(AM−15F)を用い、撹拌動力1.0kW、ケーシング回転数1,200rpmの条件で窒素気流下で処理を行った。上記メカノフュージョン処理を行ったフュームドシリカ付着リン化銅粉の比表面積は0.06m2/gであった。走査型電子顕微鏡による観察結果を図2に示す。比表面積及び電子顕微鏡写真の結果から、メカノフュージョン処理で高剪断力を与えたことにより、フュームドシリカはリン化銅粉表面に融合していることがわかる。
【0034】
次に金属珪素粉(Fe0.26%、Al0.13%、Ca0.07%)100部、電解銅粉3部、亜鉛粉0.1部、錫粉0.005部、及び、上記のメカノフュージョン処理を行ったフュームドシリカ融合リン化銅粉0.36部を内径50mm、高さ500mmの反応器で、塩化メチルを流し、下記条件で反応を行った。結果を表1に示す。
反応温度 :310℃
反応時間 :6時間
反応器内圧:1.2kg/cm2
ガス流速 :0.7NL/min
【0035】
[比較例1]
金属珪素粉(Fe0.26%、Al0.13%、Ca0.07%)100部、電解銅粉3部、亜鉛粉0.1部、錫粉0.005部、リン化銅助触媒粉0.36部を内径50mm、高さ500mmの反応器で、塩化メチルを流し、実施例1と同一条件で反応を行った。結果を表1に示す。実施例1と比較して反応活性を示す生成速度が低いことがわかる。
【0036】
[比較例2]
比表面積0.06m2/gのリン化銅助触媒粉と比表面積120m2/gの疎水化処理フュームドシリカとを重量比100:1の割合で混合した。上記フュームドシリカ混合リン化銅粉の比表面積は1.58m2/gであった。走査型電子顕微鏡による観察結果を図3に示す。比表面積及び電子顕微鏡写真の結果から、単なる混合ではフュームドシリカはリン化銅粉表面に付着するのみで、融合は起こっていないことがわかる。
【0037】
次に、金属珪素粉(Fe0.26%、Al0.13%、Ca0.07%)100部、電解銅粉3部、亜鉛粉0.1部、錫粉0.005部、及び、上記操作により調製したフュームドシリカ混合リン化銅粉0.36部を内径50mm、高さ500mmの反応器で、塩化メチルを流し、実施例1と同一条件で反応を行った。結果を表1に示す。比較例1と比較すると生成速度は高いものの、実施例1ほどの著しい生成速度の向上は起こらなかった。
【0038】
[実施例2]
比表面積0.06m2/gのリン化銅助触媒粉と比表面積120m2/gの疎水化処理フュームドシリカとを重量比100:1の割合で混合し、ホソカワミクロン(株)製「メカノフュージョン」装置(AM−15F)を用い、撹拌動力1.0kW、ケーシング回転数1,200rpmの条件で窒素気流下で処理を行った。
【0039】
次に、金属珪素粉(Fe0.26%、Al0.13%、Ca0.07%)100部、酸化銅粉4部、亜鉛粉0.1部、錫粉0.005部、及び、上記のメカノフュージョン処理を行ったフュームドシリカ融合リン化銅粉0.36部を内径50mm、高さ500mmの反応器で、塩化メチルを流し、下記条件で反応を行った。結果を表1に示す。
反応温度 :320℃
反応時間 :6時間
反応器内圧:1.2kg/cm2
ガス流速 :0.7NL/min
【0040】
[比較例3]
金属珪素粉(Fe0.26%、Al0.13%、Ca0.07%)100部、酸化銅粉4部、亜鉛粉0.1部、錫粉0.005部、リン化銅助触媒粉0.36部を内径50mm、高さ500mmの反応器で、塩化メチルを流し、実施例2と同一条件で反応を行った。結果を表1に示す。実施例2と比較して反応活性を示す生成速度が低いことがわかる。
【0041】
[比較例4]
比表面積0.06m2/gのリン化銅助触媒粉と比表面積120m2/gの疎水化処理フュームドシリカとを重量比100:1の割合で混合した。
【0042】
次に、金属珪素粉(Fe0.26%、Al0.13%、Ca0.07%)100部、酸化銅粉4部、亜鉛粉0.1部、錫粉0.005部、及び、上記操作により調製したフュームドシリカ混合リン化銅粉0.36部を内径50mm、高さ500mmの反応器で、塩化メチルを流し、実施例2と同一条件で反応を行った。結果を表1に示す。比較例3と比較すると生成速度は高いものの、実施例2ほどの著しい生成速度の向上は起こらなかった。
【0043】
[実施例3]
電解銅粉と疎水化処理フュームドシリカとを重量比100:1の割合で混合し、ホソカワミクロン(株)製「メカノフュージョン」装置(AM−15F)を用い、撹拌動力1.0kW、ケーシング回転数1,200rpmの条件で窒素気流下で処理を行った。
【0044】
次に、金属珪素粉(Fe0.26%、Al0.13%、Ca0.07%)100部、上記のメカノフュージョン処理を行ったフュームドシリカ融合電解銅粉3部、亜鉛0.1部、錫粉0.005部を内径50mm、高さ500mmの反応器で、塩化メチルを流し、実施例1と同一条件で反応を行った。結果を表1に示す。
【0045】
[比較例5]
金属珪素粉(Fe0.26%、Al0.13%、Ca0.07%)100部、電解銅粉3部、亜鉛粉0.1部、錫粉0.005部を内径50mm、高さ500mmの反応器で、塩化メチルを流し、実施例1と同一条件で反応を行った。結果を表1に示す。
【0046】
[比較例6]
電解銅粉と疎水化処理フュームドシリカとを重量比100:1の割合で十分に混合した。金属珪素粉(Fe0.26%、Al0.13%、Ca0.07%)100部、上記操作により調製したフュームドシリカ混合電解銅粉3部、亜鉛粉0.1部、錫粉0.005部を内径50mm、高さ500mmの反応器で、塩化メチルを流し、実施例1と同一条件で反応を行った。結果を表1に示す。
【0047】
[実施例4]
酸化銅粉と疎水化処理フュームドシリカとを重量比100:1の割合で混合し、ホソカワミクロン(株)製「メカノフュージョン」装置(AM−15F)を用い、撹拌動力1.0kW、ケーシング回転数1,200rpmの条件で窒素気流下で処理を行った。
【0048】
次に、金属珪素粉(Fe0.26%、Al0.13%、Ca0.07%)100部、上記のメカノフュージョン処理を行ったフュームドシリカ融合酸化銅粉4部、亜鉛粉0.1部、錫粉0.005部を内径50mm、高さ500mmの反応器で、塩化メチルを流し、実施例1と同一条件で反応を行った。結果を表1に示す。
【0049】
[比較例7]
金属珪素粉(Fe0.26%、Al0.13%、Ca0.07%)100部、酸化銅粉4部、亜鉛粉0.1部、錫粉0.005部を内径50mm、高さ500mmの反応器で、塩化メチルを流し、実施例2と同一条件で反応を行った。結果を表1に示す。
【0050】
[比較例8]
酸化銅粉と疎水化処理フュームドシリカとを重量比100:1の割合で十分に混合した。金属珪素粉(Fe0.26%、Al0.13%、Ca0.07%)100部、上記操作により調整したフュームドシリカ混合酸化銅粉4部、亜鉛粉0.1部、錫粉0.005部を内径50mm、高さ500mmの反応器で、塩化メチルを流し、実施例2と同一条件で反応を行った。結果を表1に示す。
【0051】
【表1】
Figure 0003818360
【0052】
【発明の効果】
本発明によれば、ジオルガノジハロシランの生成組成を低下させることなく有機ハロシランの生成速度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】メカノフュージョン装置の説明図である。
【図2】 実施例1で得られたフュームドシリカ融合リン化銅粉のSEM写真(3,000倍)である。
【図3】比較例1のフュームドシリカ混合リン化銅粉のSEM写真(3,000倍)である。
【符号の説明】
1 ケーシング
2 インナーピース
3 スクレーバー

Claims (5)

  1. 反応器内に金属珪素粉末と銅触媒及び助触媒とを含む触体を仕込み、オルガノハライドを含むガスを導入、反応させて、下記一般式(1)
    n(H)mSiX(4-n-m) (1)
    (式中、Rは炭素数1〜6の1価炭化水素基、Xはハロゲン原子を示し、n、mは0〜3の整数で、n+m=1〜3を満足する。)
    で示される有機ハロシランを製造する方法において、使用する触媒及び/又は助触媒粒子と微粉末シリカとの混合物を機械的に剪断力を与えてこすり合わせ、微粉末シリカが表面に融合した触媒及び/又は助触媒を1種類以上使用することを特徴とする有機ハロシランの製造方法。
  2. 微粉末シリカと触媒粒子を機械的に表面にこすりつける手段として、メカノフュージョン装置、ボールミル、撹拌ミル、遊星ミル、高速回転粉砕機、ジェット粉砕機、剪断ミル、又はローラーミルを使用することを特徴とする請求項1記載の製造方法。
  3. 反応温度が230〜600℃であることを特徴とする請求項1記載の製造方法。
  4. オルガノハライドが塩化メチル又は塩化ベンゼンであることを特徴とする請求項1、2又は3記載の製造方法。
  5. 反応器が流動層反応器、撹拌層反応器、又は固定層反応器であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項記載の製造方法。
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