JP3818107B2 - 光通信デバイスの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、光素子をマウントしたハウジング内に光ファイバを引き込んだピッグテイル型の光通信デバイスの製造方法に係り、特に、光ファイバの取り付けが容易な光通信デバイスの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
光通信においては、光ファイバ伝送路における光信号と通信処理装置における電気信号とを相互に変換する光送信器及び光受信器が必要になる。光送信器と光受信器とを一体に構成したものを光トランシーバと呼ぶ。ここでは、光送信器、光受信器、光トランシーバを総称して光通信デバイスと呼ぶことにする。
【0003】
一般に、光トランシーバは、図10に示されるように、電気信号により発光モジュールを駆動して光信号を出力する1つの送信部101と、光信号を受光モジュールで電気信号に変換して増幅する1つの受信部102とを一体化したものである。
【0004】
光トランシーバは、通信処理を行う回路基板に部品として搭載される。さらに、その回路基板が通信処理装置の筐体に収容される。
【0005】
従来の光トランシーバは、図11(a)に示されるように、単体の光素子111をパッケージ112に収容しそのパッケージ112にリード113を取り付けて光素子モジュール118を構成し、その光素子モジュール118を図11(b)に示されるように、光トランシーバ内の基板119に取り付けた形態で利用されている。114は光素子に集光するレンズ、115は光素子を固定するマウントベース、116は光素子をリードに繋ぐワイヤボンディングである。パッケージ112に挿入された光ファイバ117は光ファイバ一体型の場合を示している。また、109は光トランシーバ基板の配線パターン、108は電気信号を処理するICモジュールである。ICモジュール108の中には、図11(c)に示されるように、ICチップ107が収容され、そのICチップ107はワイヤボンディング106を介してリード105に接続されている。
【0006】
また、光素子モジュール118に伝送路の光ファイバを結合させるために、図12に示されるように、光トランシーバ121のハウジング122には光ファイバのコネクタを差し込むレセプタクル123が形成される。このような形態の光トランシーバ121をレセプタクル型という。このレセプタクル123の端面が回路基板の端部に位置するように光トランシーバ121を回路基板に配置、実装し、さらに、レセプタクル123の端面が通信処理装置の筐体の正面パネルから開口するように回路基板を配置することになる。ただし、レセプタクルを用いず、光素子モジュールに直接結合させた光ファイバ117を光トランシーバから伸ばし出し、その光ファイバ117にコネクタを取り付けるようにしたピッグテイル型も実現可能である。
【0007】
光トランシーバ121を回路基板に電気的に接続かつ機械的に固定する方法としては、光トランシーバ121のハウジング122から出したリード124を回路基板に半田付けする方法がある。また、ピッグテイル型の場合、光トランシーバのハウジングと相手の回路基板とに雌雄のコネクタを実装しておき、このコネクタを嵌合させる方法でもよい。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
従来の光トランシーバは、送信部及び受信部を1つずつしか持たない。従って、多チャンネルの通信を処理するためには、多数の光トランシーバを使用することになる。多数の光トランシーバをスペースの限られた通信処理装置に収容するには光トランシーバを小型化する必要がある。
【0009】
本発明者らは、光トランシーバを小型化するために、ハウジング内に多芯フラット光ファイバを挿入したピッグテイル型を採用し、光素子としてそれぞれ単体の光素子を用いた光トランシーバを提案するものである。しかし、多芯フラット光ファイバが各芯の光ファイバを光ファイバ径と同じピッチで一列に配置したものであるのに対し、単体の光素子は光ファイバ径と同じピッチで配置するのが困難である。従って、光素子を可能な限り狭いピッチで配置し、多芯フラット光ファイバは端末でばらして光素子に接続するしかない。
【0010】
多芯フラット光ファイバを端末でばらして光素子に接続する場合、各光ファイバのピッチを光素子のピッチに一致させる作業と、各光ファイバの端面から光素子までの間隔を均一にする作業(各光ファイバの長さを調節する作業)とが必要になるが、これらの作業を簡素化する製造方法が望まれる。
【0011】
そこで、本発明の目的は、上記課題を解決し、光ファイバの取り付けが容易な光通信デバイスの製造方法を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本発明の第一の方法は、複数の光素子が所定ピッチで配置された光素子用基板を設け、前記光素子と同じピッチで隙間が配置された複数の仕切り部材をその一端のみに有する治具を設け、多芯フラット光ファイバの先端近傍を各芯の光ファイバに分離し、前記各芯の光ファイバを前記仕切り部材間の隙間に1本ずつ挟み込み、前記仕切り部材より先端の所定の位置で前記各芯の光ファイバの全ての端面が揃うように切断し、前記各芯の光ファイバを先端が前記光素子に臨むように位置合わせして前記光素子用基板に固定して光結合させた後、前記治具を除去するものである。
【0013】
また、本発明の第二の方法は、複数の光素子が所定ピッチで配置された光素子用基板を設け、前記光素子と同じピッチで隙間が配置された複数の仕切り部材をその一端のみに有するピッチ変換アダプタを設け、多芯フラット光ファイバの先端近傍を各芯の光ファイバに分離し、前記各芯の光ファイバを前記ピッチ変換アダプタの仕切り部材間の隙間に1本ずつ挟み込み、前記仕切り部材より先端の所定の位置で前記各芯の光ファイバの全ての端面が揃うように切断し、前記各芯の光ファイバを先端が前記光素子に臨むように位置合わせして前記光素子用基板に固定して光結合させ、前記ピッチ変換アダプタを前記光素子用基板に隣接させて固定するものである。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態を添付図面に基づいて詳述する。
【0015】
図1に示されるように、本発明に係る光通信デバイスは、複数の光素子及びICチップを収容したハウジング1内に多芯フラット光ファイバ(テープファイバとも言う)2の一端を挿入し、この多芯フラット光ファイバ2の反対端に多芯一括光コネクタ3を取り付けたピッグテイル型の光通信デバイスである。ハウジング1内では多芯フラット光ファイバ2の各芯の光ファイバに臨ませて各光素子が配置されている。
【0016】
ここでは、多芯フラット光ファイバ2には、シングルモードファイバφ0.25mm×8本を0.25mmピッチで平行に並べた8芯フラット光ファイバを使用している。この8芯フラット光ファイバ2の一端がハウジング1内に挿入され、ハウジング1内に固定されている。8芯フラット光ファイバ2の反対端には8芯一括光コネクタ3が取り付けられている。
【0017】
ハウジング1は、金属製(アルミ)で略直方体状に形成されている。このハウジング1の多芯フラット光ファイバ挿入端の反対端には、光通信デバイスをホスト回路基板から取り外すときに傾倒させるリリース部材4が設けられている。
【0018】
ハウジング1の内部には底部に臨ませて接続用コネクタ5が収容されている。この接続用コネクタ5は、ICチップからの信号をハウジング外のホスト回路基板6へ取り出すと共に、光通信デバイスをホスト回路基板6に固定するためのもので、接続用コネクタ5が雌であればホスト回路基板6上の相手側コネクタ7が雄である。接続用コネクタ5と相手側コネクタ7との雌雄は逆でもよい。
【0019】
図2に示されるように、本発明に係る光通信デバイスのハウジング1は、下ハウジング21と上ハウジング22とに2分割形成されている。このうち下ハウジング21は、底面とその周囲を囲む側壁とからなり、光通信デバイス基板23を収容する空間を形成するものである。上ハウジング22は、上記収容空間の上部を閉じるものであると共に、表面に多数の凹凸(図示せず)を形成して放熱を図るものである。
【0020】
光通信デバイス基板23には、表面に配線パターンが形成されていると共に光素子用基板(シリコン基板)24とICチップ25とが搭載されている。この光通信デバイス基板23の裏面に接続用コネクタ5が取り付けられている。
【0021】
ハウジング1の底面には相手側コネクタ7を挿入する入口26が形成されている。接続用コネクタ5の下端が入口26とほぼ同じ高さに位置することにより、接続用コネクタ5を相手側コネクタ7に嵌合させたとき、ハウジング1の底面がホスト回路基板6にほぼ接することになる。
【0022】
光素子用基板24上には複数の光素子27が一直線上に並べて搭載されている。これら光素子27とICチップ25とがワイヤボンディング28で接続されている。また、光素子用基板24上に多芯フラット光ファイバ2の先端が載せて固定されている。上ハウジング22により下ハウジング21の上部を閉じることにより、多芯フラット光ファイバ2が上下ハウジングの閉じ合わせ部分からハウジング1内に挿入されている状態となる。
【0023】
ハウジング1内には、多芯フラット光ファイバ2の挿入端に臨ませて光素子27が配置され、これら光素子27の背後側にICチップ25が配置され、さらにそのICチップ25の後方に接続用コネクタ5が配置されていることになる。
【0024】
図3に示されるように、本発明に係る光通信デバイスの内部では、光素子用基板24に、8個の光素子27が実装可能な最小ピッチ0.5mmで一列に並べられている(この図では簡略化して3個だけ示した)。この光素子用基板24には、予め光素子27の配列ピッチと同じピッチ0.5mmでV溝31が形成されている。各V溝31に沿わせて1本ずつ光ファイバ32が載せてあり、各々の光ファイバ32が接着により光素子用基板24に固定されている。
【0025】
各光素子27とICチップ25の各端子とがワイヤボンディング28で接続されている。また、光通信デバイス基板23の表面には予め配線パターン33が形成されており、この配線パターン33は接続用コネクタ5の各端子に繋がっている。そして、ICチップ25の各端子と各配線パターン33とがワイヤボンディング34で接続されている。
【0026】
尚、これまで光素子27を発光素子とも受光素子とも限定しなかったが、8個の光素子27を全て発光素子とし、ICチップ25を8回路ドライバとすることにより、この光通信デバイスは8チャンネル用光送信器となり、8個の光素子27を全て受光素子とし、ICチップ25を8回路増幅器とすることにより、この光通信デバイスは8チャンネル用光受信器となる。また、発光素子と受光素子とを複合して使用し、ドライバのICチップと増幅器のICチップとを搭載することにより、4チャンネル送受信を行う光トランシーバを形成してもよい。
【0027】
また、チャンネル数を8としたのは、通信処理装置を構成するコンピュータが8を単位とする慣例に合わせたものであり、他の数であってもよいことは言うまでもない。
【0028】
図1〜図3に示した本発明の光通信デバイスは、ピッグテイル型とし、単体の光素子27やICチップ25を使用したので、1回路当たりの占有スペースが小さくできる。また、各芯の光ファイバ32に臨ませて光素子27を配置すると共にその光素子27の背後側にICチップ25を配置したので、幅の狭い光通信デバイスが形成され、ホスト回路基板6上への密集配置が可能となる。また、光素子27からICチップ25までワイヤボンディング28で接続したので、接合箇所が少なく信頼性が高くなると共に、光通信デバイス内での伝送距離が短くなり、外部に対してはもとより、光通信デバイス内部相互間でも不要輻射が出にくく、受けにくくなる。
【0029】
この結果、従来の1チャンネル送受信を行うレセプタクル型光トランシーバとほぼ同サイズ(端面幅約13mm)で、8チャンネルの光送信器又は光受信器或いは4チャンネル送受信を行う光トランシーバを実現できる。
【0030】
次に、光素子の配置について説明する。
【0031】
図4(a)に示した配置では、光素子用基板24に各々単体の光素子27が8個一列に等間隔で並べてある。8芯フラット光ファイバ2の各芯を構成する光ファイバ32が光素子27と同じピッチで並べてあり、各光素子27と一対一で光結合されている。
【0032】
図4(b)に示した配置では、2個に分割された光素子用基板41,41に、4個の光素子を一列に並べて一体化した4素子アレイ42が各々搭載されている。このように、4素子アレイ42を2個並べることによって、光素子が8個一列に並べてある。
【0033】
8素子アレイ等の多数素子の複合体を用いると、マウント工数が節減できるが、素子1つが不良でもアレイを交換しなければならないので、歩留まりが悪い。一方、単体の光素子27を複数用いると、不良のときはその光素子27のみ交換すればよいので、歩留まりが向上するが、単体の光素子27を一つ一つ位置合わせしてマウントするのは工数がかかる。4素子アレイ42等の小数素子の複合体を用いると、そのうちの1個の素子が不良となる確率が多数素子複合体よりも低いため、あまり歩留まりが落ちることなく、しかも、マウント工数が節減されるので、総合的にはコスト削減を図ることができる。尚、単体の光素子27を使用した図4(a)の形態と4素子アレイ42を使用した図4(b)の形態とのいずれがコスト的に優れているかは、各部品の単価や歩留まり率、マウント工数及び単価などの数量を比較して判断することになる。
【0034】
本発明の光通信デバイスの回路図は、図5(a)又は図5(b)のようになる。図5(a)に示した回路では、8個の光素子27が全て発光素子、例えば、LD(レーザダイオード)51であり、ICチップ25は8回路の駆動回路アレイ52である。これにより、8チャンネルの光送信器が実現される。
【0035】
図5(b)に示した回路では、8個の光素子27が全て受光素子、例えば、PD(フォトダイオード)53であり、ICチップ25は8回路の増幅回路アレイ54である。これにより、8チャンネルの光受信器が実現される。
【0036】
図5(a)や図5(b)の光通信デバイスは、光素子や回路の機能が統一されているので、必要な複数の回路を1つのICチップ25で実現することができる。これにより、ハウジング内に収容する部品点数が削減され、小型化及びコスト削減につながる。
【0037】
ICチップ25から接続用コネクタ5を介してホスト回路基板6に信号を送受する伝送線は、1信号について2本配線されている。そして、一方の伝送線の信号論理を他方の伝送線の信号論理と反転させて伝送するようになっている。図6(a)には光送信器の例を示した。
【0038】
図示のように、接続用コネクタ5内の隣接する2つのコネクタ端子61,62より信号「データ」と信号「データバー」とが1つの駆動回路63のために入力される。配線パターンの形状は図示しないが、この信号「データ」の配線パターンと信号「データバー」の配線パターンとは、互いに近接かつ隣接し、好ましくは平行に設けてある。駆動回路63は、信号「データ」が0、信号「データバー」が1のときのみLD51を発光させ、それ以外の論理ではLD51を発光させない。ホスト回路基板6からの信号「データ」及び「データバー」は、図6(b)のように常に逆の論理である。
【0039】
図示しない光受信器の場合は、PD出力が増幅回路に入力され、増幅回路から正逆論理の信号「データ」「データバー」が出力される。そして、この信号「データ」の配線パターンと信号「データバー」の配線パターンとは、互いに近接かつ隣接し、好ましくは平行に設けられ、接続用コネクタ5内の隣接する2つのコネクタ端子に繋がる。
【0040】
このように、信号伝送線を1信号について2本配線し、論理を互いに反転させて伝送するので、両線からの輻射ノイズは、一方が正なら他方が負となり、少し離れた輻射空間においては互いに相殺される。これにより、他の信号伝送線とのクロストークが解消される。
【0041】
次に、本発明の光通信デバイスを通信処理装置に利用する形態を説明する。
【0042】
図7(a)に示されるように、ホスト回路基板6は、片端にバックボードコネクタ71を有するスロット差し込み式の基板である。このホスト回路基板6には複数の相手側コネクタ7が実装されており、それぞれの相手側コネクタ7に光通信デバイス72を装着することができる。図に示した光通信デバイス72の配置形態は、互いにハウジング1の長手方向を平行にし、ホスト回路基板6の自由端寄りに一列ないし複数列に並べたものである。ハウジング1は多芯フラット光ファイバ2の挿入端がバックボードコネクタ71に向けてあり、これより延出された多芯フラット光ファイバ2の反対端の多芯一括光コネクタ3はバックボードコネクタ71に挿入されている。バックボードコネクタ71と光通信デバイス72との間には通信処理回路が搭載されている。
【0043】
各光通信デバイス72は、これまで説明した8チャンネル光送信器又は光受信器であり、従来の1チャンネル光トランシーバとほぼ同一サイズなので、ホスト回路基板6が同一面積であれば従来に比べて4倍のチャンネルを載せることができる。
【0044】
図7(b)に示されるように、通信処理装置73は、複数の基板を差し込むことのできる多段スロット74を有し、複数のホスト回路基板6を装着することができる。勿論、1枚のホスト回路基板6からなる通信処理装置を構成してもよい。この通信処理装置73の裏側より図示しない他の通信処理装置への光ファイバケーブル75を配線する。これにより、他の通信処理装置との間で多チャンネル光通信が可能となる。
【0045】
図7(c)は、バックボードコネクタ71に対する1つの光通信デバイス72からの多芯フラット光ファイバ2と、通信処理装置73の裏側より配線する光ファイバケーブル75との接続関係の一例を示したものである。多芯フラット光ファイバ2には、第一チャンネルch1から第NチャンネルchNまでの光伝送路が含まれている。これに対し、光ファイバケーブル75は、各チャンネルがそれぞれ独立しており、複数の通信相手76へと配線されている。このように、1つの光通信デバイス72における各チャンネルは、1つ1つ独立して任意の通信処理装置に配線することができる。従って、通信相手76となる各通信処理装置において必要なチャンネル数がまちまちである場合に、任意の光通信デバイス72の任意のチャンネルを通信相手76となる任意の通信処理装置に割り当てることが可能となる。これにより、例えば、LANのホスト装置に対して多数の端末や中継装置や他のホスト装置からの光ファイバケーブルを配線することが容易になる。
【0046】
次に、光ファイバと光素子との位置合わせの方法を説明する。
【0047】
第一の方法は、位置合わせ後に除去される治具を使用するものである。まず、光素子のほうは、図3、図4に示されるように、ピッチ0.5mmでV溝31が形成された光素子用基板24に、V溝31に位置合わせして光素子27をピッチ0.5mmで一列に並べる。一方、多芯フラット光ファイバ2は先端近傍を各芯の光ファイバに分離し、治具に取り付ける。図8に示されるように、治具81は、略直方体状に形成され、その上面に多芯フラット光ファイバ2を合わせるマーカ82が形成され、一端にピッチ0.5mmで隙間が配置された複数の仕切り部材83が形成されたものである。多芯フラット光ファイバ2の先端を引き裂いて(或いはカッタ等で切り別けて)1芯毎の光ファイバ32に分離したら、この多芯フラット光ファイバ2をマーカ82に合わせて治具81に載せる。マーカ82より先の光ファイバ32は、1本ずつ仕切り部材83の各隙間に挟み入れる。これにより光ファイバ32がピッチ0.5mmで並ぶことになる。
【0048】
このピッチ0.5mmで並ぶ光ファイバ32を仕切り部材より先端の所定の位置で全ての端面が揃うように切断する。即ち、多芯フラット光ファイバ2の延長方向に直交するカット線(破線で示す)にて全光ファイバ32を切断する。そして、光素子用基板24の各V溝31に各光ファイバ32を載せる。治具81から出ている光ファイバ32は、仕切り部材83によってV溝31と同じピッチになっているので、容易に各V溝31に載せることができる。また、各光ファイバ32の先端は、端面が揃うように切断されているので、V溝31の終端に容易に合わせることができる。V溝31の終端には、光素子27が設けられているので、光ファイバ32は光素子27に位置合わせされたことになる。
【0049】
光ファイバ32は、接着剤等により光素子用基板24に固定する。固定が完了したら、治具81を除去する。
【0050】
以上の工程において、多芯フラット光ファイバ2の先端を1芯毎の光ファイバ32に分離してピッチを広げると、光ファイバの並びの中央にある光ファイバ32に比べて端の方にある光ファイバ32は、多芯フラット光ファイバ2の延長方向の長さが短くなる。よって、一列に並べた各光素子27に光結合させようとすると、中央にある光ファイバ32の端面から光素子27までの間隔は短く、端の方にある光ファイバ32の端面から光素子27までの間隔は長くなる。言い換えると、端の方にある光ファイバ32の端面を光素子27に近付けたとき、中央にある光ファイバ32には余長が生じる。従って、切断により各光ファイバ32の端面を揃えなくてはならないが、ピッチが不定であると余長も不定であるため、切断する位置が決まらない。
【0051】
そこで、本発明では、分離した各芯の光ファイバ32を治具81にあてがうようにした。治具81には光素子27と同じピッチで隙間が配置された複数の仕切り部材83が形成されているので、この隙間に光ファイバ32を挟み込むことで、まずピッチが決まる。ピッチが決まれば、多芯フラット光ファイバ2の延長方向に直交するカット線で全光ファイバ32を切断することにより、端面を揃えることができる。
【0052】
このように、本発明では治具81を用いて光ファイバ32を最終的な取り付けピッチに規制して切断を行うので、位置合わせや長さ調整の作業が非常に簡単になる。
【0053】
次に、第二の方法は、位置合わせ後に除去される治具ではなく、製品に組み込まれるピッチ変換アダプタを使用するものである。
【0054】
図9に示されるように、ピッチ変換アダプタ91は、略直方体状に形成され、その一端にピッチ0.5mmで隙間が配置された複数の仕切り部材93が形成されたものである。
【0055】
光素子のほうは、図3、図4に示されるように、ピッチ0.5mmでV溝31が形成された光素子用基板24に、V溝31に位置合わせして光素子27をピッチ0.5mmで一列に並べる。一方、多芯フラット光ファイバ2は先端近傍を各芯の光ファイバに分離し、ピッチ変換アダプタ91に取り付ける。多芯フラット光ファイバ2の先端を引き裂いて(或いはカッタ等で切り別けて)1芯毎の光ファイバ32に分離したら、1本ずつ仕切り部材83の各隙間に挟み入れる。これにより光ファイバ32がピッチ0.5mmで並ぶことになる。
【0056】
このピッチ0.5mmで並ぶ光ファイバ32を仕切り部材より先端の所定の位置で全ての端面が揃うように切断する。切断の仕方は第一の方法と同じで、多芯フラット光ファイバ2の延長方向に直交するカット線で全光ファイバ32を切断するが、カット線の位置は光素子用基板24のV溝31へ載せる長さを含めて決定する。そして、切断後、ピッチ変換アダプタ91を光素子用基板24に隣接させ、光素子用基板24の各V溝31に各光ファイバ32を載せる。ピッチ変換アダプタ91から出ている光ファイバ32は、仕切り部材93によってV溝31と同じピッチになっているので、容易に各V溝31に載せることができる。また、各光ファイバ32の先端は、端面が揃うように切断されているので、V溝31の終端に容易に合わせることができる。V溝31の終端には、光素子27が設けられているので、光ファイバ32は光素子27に位置合わせされたことになる。
【0057】
光ファイバ32は、接着剤等により光素子用基板24に固定する。また、ピッチ変換アダプタ91は光通信デバイス基板23に固定する。
【0058】
このように、ピッチ変換アダプタ91を用いた第二の方法においても、位置合わせや長さ調整の作業が非常に簡単になる。
【0059】
【発明の効果】
本発明は次の如き優れた効果を発揮する。
【0060】
(1)仕切り部材には光素子と同ピッチで隙間が配置されているので、光ファイバを仕切り部材間の隙間に1本ずつ挟み込むと、光ファイバが光素子と同ピッチに保持される。その状態で、全光ファイバの端面を揃えて切断するので、光ファイバ端面と光素子との間隔が均一になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態を示す光通信デバイスの外観図である。
【図2】本発明の一実施形態を示す光通信デバイスの断面図である。
【図3】本発明の一実施形態を示す光通信デバイスの内部構造図である。
【図4】本発明の実施形態を示す光素子の配置図である。
【図5】本発明の実施形態を示す光通信デバイスの回路図である。
【図6】本発明の一実施形態を示す光通信デバイスにおける、(a)1チャンネル分の回路図、(b)信号波形図である。
【図7】本発明の一実施形態を示す通信処理装置における、(a)ホスト回路基板の構成図、(b)ホスト回路基板の取り付け図、(c)チャンネル分配図である。
【図8】本発明の第一の方法に使用する治具の平面図である。
【図9】本発明の第二の方法に使用するピッチ変換アダプタの平面図である。
【図10】従来の光トランシーバの回路図である。
【図11】従来の光トランシーバにおける、(a)光素子モジュールの内部構造図、(b)光トランシーバ基板の実体配置図、(c)ICモジュールの内部構造図である。
【図12】従来の光トランシーバの外観図である。
【符号の説明】
2 多芯フラット光ファイバ
24 光素子用基板
27 光素子
31 V溝
32 光ファイバ
81 治具
83 仕切り部材
91 ピッチ変換アダプタ
93 仕切り部材
Claims (3)
- 複数の光素子が所定ピッチで配置された光素子用基板を設け、前記光素子と同じピッチで隙間が配置された複数の仕切り部材をその一端のみに有する治具を設け、多芯フラット光ファイバの先端近傍を各芯の光ファイバに分離し、前記各芯の光ファイバを前記仕切り部材間の隙間に1本ずつ挟み込み、前記仕切り部材より先端の所定の位置で前記各芯の光ファイバの全ての端面が揃うように切断し、前記各芯の光ファイバを先端が前記光素子に臨むように位置合わせして前記光素子用基板に固定して光結合させた後、前記治具を除去することを特徴とする光通信デバイスの製造方法。
- 複数の光素子が所定ピッチで配置された光素子用基板を設け、前記光素子と同じピッチで隙間が配置された複数の仕切り部材をその一端のみに有するピッチ変換アダプタを設け、多芯フラット光ファイバの先端近傍を各芯の光ファイバに分離し、前記各芯の光ファイバを前記ピッチ変換アダプタの仕切り部材間の隙間に1本ずつ挟み込み、前記仕切り部材より先端の所定の位置で前記各芯の光ファイバの全ての端面が揃うように切断し、前記各芯の光ファイバを先端が前記光素子に臨むように位置合わせして前記光素子用基板に固定して光結合させ、前記ピッチ変換アダプタを前記光素子用基板に隣接させて固定することを特徴とする光通信デバイスの製造方法。
- 前記多芯フラット光ファイバを前記治具の他端に設けられたマーカに合わせて前記治具に載せることを特徴とする請求項1記載の光通信デバイスの製造方法。
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