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JP3899306B2 - バケットシリンダ保護装置 - Google Patents

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JP3899306B2
JP3899306B2 JP2002326783A JP2002326783A JP3899306B2 JP 3899306 B2 JP3899306 B2 JP 3899306B2 JP 2002326783 A JP2002326783 A JP 2002326783A JP 2002326783 A JP2002326783 A JP 2002326783A JP 3899306 B2 JP3899306 B2 JP 3899306B2
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    • E02FDREDGING; SOIL-SHIFTING
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、旋回作業車等の作業機の技術に関する。
詳細には、作業機の先端に設けられたバケットを回動する油圧装置の破損を防止する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、旋回作業車等の作業機の先端に設けられたバケットを回動する油圧装置の破損を防止する技術は公知となっている。例えば、特開平10―292426号公報や特開平7−305377号公報に記載の如くである。特開平10―292426号公報に記載の油圧シリンダの保護装置においては、図11および図12に示す如く、油圧シリンダ104の保護装置101は、チューブガード102とロッドガード103からなり、チューブガードと102とロッドガード103とは互いに嵌合し、油圧シリンダ104の伸縮に追随して摺動可能に構成される。特開平7−305377号公報に記載の油圧ショベルにおいては、図14および図15に示す如く、バケットシリンダ111は前面112aが開口した断面視略コの字型のアーム112に内蔵されており、前面112a側に張り出したアーム112の左右の側面112bがバケットシリンダ保護装置の役目を果たす。
【0003】
【特許文献1】
特開平10―292426号公報
【特許文献2】
特開平7−305377号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、特開平10―292426号公報に記載の油圧シリンダの保護装置の場合、図13に示す如く、油圧シリンダの保護装置101が障害物等と干渉してチューブガード102またはロッドガード103が少しでも変形すると、チューブガード102とロッドガード103とが摺動不可能となり、油圧シリンダ104自体は全く変形・破損していなくとも油圧シリンダ104が伸縮不可能となる。また、無理して伸縮させると油圧シリンダ自体を傷めてしまうことになる。従って、チューブガード102とロッドガード103とを取り外す、もしくは修理・交換しない限り、アーム106に対してバケット107を回動することが不可能となる。また、特開平7−305377号公報に記載の油圧ショベルの場合、図15および図16に示す如く、バケットシリンダ111が収縮した状態の時にアーム112とバケットシリンダ111との隙間に土砂等が侵入・堆積し(図15中の斜線で示す部分)、続いてバケットシリンダ111を伸長すると、アーム112内に侵入・堆積した土砂等は逃げ場を失い(図16中の斜線で示す部分)、バケットシリンダ111のシリンダロッド111aを変形させる原因となる。従って、バケット113をアーム112に対して回動させることが不可能となる。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0006】
請求項1においては、アーム(11)とバケット(12)とを備え、該バケット(12)をバケットシリンダ(17)の伸縮によりアーム(11)に対して回動可能とし、該バケットシリンダ(17)の外方に配置するバケットシリンダ保護装置(28)を、前記アーム先端に配置されたバケット回動用のバケットリンク(25)と、前記アーム(11)の後部に枢支されたアームリンク(32)の前後のリンクで枢支し、該後部のアームリンク(32)における、枢支点(21a)から連結点(33)までの枢支点間の距離(L 1 )が、前部のバケットリンク(25)における、枢支点(25a)から連結点(26)までの枢支点間の距離(L 2 )よりも大きくなるように構成したものである。
【0007】
請求項2においては、前記アームリンク(32)のアーム(11)側枢支点(21a)が、伸縮によりブーム(10)に対してアーム(11)を回動させるアームシリンダ(16)のアーム側枢支点(21a)と一致するものである。
【0008】
請求項3においては、前記バケットシリンダ保護装置(28)が左右一対の側板(29L・29R)と、上板(30)とで構成されるものである。
【0009】
請求項4においては、前記上板(30)を断面視山形に形成したものである。
【0010】
請求項5においては、前記アームリンク(32)とバケットシリンダ保護装置(28)との枢支点、およびバケットリンク(25)とバケットシリンダ保護装置(28)との枢支点に自己潤滑性の軸受を設けたものである。
【0011】
請求項6においては、前記アームリンク(32)とバケットシリンダ保護装置(28)との枢支点、およびバケットリンク(25)とバケットシリンダ保護装置(28)との枢支点において、バケットシリンダ保護装置(28)をスラスト方向に弾性的に付勢するワッシャ(38)が設けられるものである。
【0012】
請求項7においては、前記ワッシャ(38)を皿バネワッシャとするものである。
【0013】
【発明の実施の形態】
次に、発明の実施の形態を説明する。
【0014】
図1は本発明のバケットシリンダ保護装置を設けた作業機を備える旋回作業車の側面図、図2はバケットシリンダ収縮時のバケットシリンダ保護装置を示す側面図、図3はバケットシリンダが中間長さの時のバケットシリンダ保護装置を示す側面図、図4はバケットシリンダ伸張時のバケットシリンダ保護装置を示す側面図、図5はバケットシリンダ保護装置が一部変形した時の側面図、図6はバケットシリンダ収縮時におけるアームリンクの別実施例を備えたバケットシリンダ保護装置を示す側面図、図7はバケットシリンダが中間長さの時におけるアームリンクの別実施例を備えたバケットシリンダ保護装置を示す側面図、図8はバケットシリンダ保護装置の斜視図、図9はバケットシリンダ保護装置の別実施例の斜視図、図10はバケットシリンダ保護装置の連結部の断面模式図、図11は従来のバケットシリンダ保護装置を設けた作業機の側面図、図12は従来のバケットシリンダ保護装置の側面一部断面図、図13は従来のバケットシリンダ保護装置が一部変形した時の側面一部断面図、図14は従来のバケットシリンダ保護装置の別実施例を設けた作業機の側面図、図15は従来のバケットシリンダ保護装置の別実施例においてバケットが後方に回動した状態を示す図、図16は従来のバケットシリンダ保護装置の別実施例においてバケットが前方に回動した状態を示す図である。
【0015】
まず、図1を用いて本発明のバケットシリンダ保護装置の第一実施例であるバケットシリンダ保護装置28を設けた作業機5を備える旋回作業車1について説明する。なお、本発明のバケットシリンダ保護装置は旋回作業車1の作業機5に限らず、アームとバケットとを備え、バケットシリンダの伸縮によりバケットやフォーク等の作業機がアームに対して回動する構成のバックホーやローダ等の建設機械に対して広く適用可能である。
【0016】
図1に示す如く、旋回作業車1は、クローラ2の上方に旋回体3が旋回可能に配設される。旋回体3は平面視略円形の構造体であり、該旋回体3の前部には作業機5が配設されている。また、旋回体3上面後部はボンネット7で被覆される。
【0017】
ボンネット7上面には座席8が固設される。該座席8に作業者が着座し、該座席8周囲に設けられた各種レバーおよびステップ上に設けたペダルを操作することにより、ボンネット7内に収納されるエンジン(図示せず)の回転数やクローラ2の駆動(前後進や走行速度)、旋回体3の旋回操作、作業機5の操作などを行う。さらに、旋回体3より安全フレーム9が立設され、座席8に着座した作業者を保護する。
【0018】
作業機5は主にブーム10、アーム11、バケット12、ブームブラケット13等で構成される。
【0019】
ブームブラケット13は、旋回体3の前部左右中央より前方に突出した部分に上下方向に配置した回動軸(図示せず)により、旋回体3に対して平面視で左右方向に回動可能に枢着される。また、ブームブラケット13の上端部の枢支点13aにおいて、ブーム10の下端部が前後方向に回動可能に枢着される。ブームブラケット13の右側面と、旋回体3の右前部との間には油圧シリンダ(図示せず)が介装される。該油圧シリンダ(図示せず)の伸縮により、作業機5は旋回体3に対して平面視で左右方向に回動する。
【0020】
ブーム10は、その中途部において側面視で前方に「く」の字型に屈曲した形状の構造体であり、該ブーム10の下端部は前述の如く枢支点13aにおいてブームブラケット13に回動可能に枢着されるとともに、ブーム10の上端部は、枢支点10aにおいてアーム11の基部と回動可能に枢着される。
【0021】
ブーム10の屈曲部前面にはブラケット20が固設され、ブームシリンダ15の一端は、該ブラケット20に設けられた枢支点20aに回動可能に枢着される。一方、ブームシリンダ15の他端は、ブームブラケット13の前面に設けられた枢支点13bに回動可能に枢着される。
【0022】
すなわち、ブーム10の屈曲部前面に設けられたブラケット20と、ブームブラケット13の前面との間にはブームシリンダ15が介装され、ブームシリンダ15の伸縮により作業機5は前後方向に回動する。
【0023】
アーム11の基部は前述の如く、枢支点10aにてブーム10に回動可能に枢着されるとともに、アーム11の先端部には、枢支点22aにてバケット12が前後方向に回動可能に枢着される。
【0024】
アーム11の基部下面にはブラケット21が固設され、アームシリンダ16の一端は、該ブラケット21に設けられた枢支点21aに回動可能に枢着される。一方、アームシリンダ16の他端は、前述のブラケット20に設けられた枢支点20bに回動可能に枢着される。
【0025】
すなわち、アーム11の基部下面に設けられたブラケット21とブーム10の屈曲部前面に設けられたブラケット20との間にはアームシリンダ16が介装され、該アームシリンダ16の伸縮により、アーム11はブーム10に対して前後方向に回動する。なお、ブラケット20には枢支点20aにおいてブームシリンダ15の一端が枢着され、枢支点20bにおいてアームシリンダ16の一端が枢着されているが、ブーム10およびアーム11の回動時にブームシリンダ15とアームシリンダ16とが互いに干渉しないように、二箇所の枢支点20a・20bの位置が定められている。
【0026】
バケット12は土や砂、瓦礫等の掘削および搬送に使用される。バケット12には二箇所の枢支点22a・22bを有するバケットブラケット22が固設される。枢支点22aにおいてバケット12はアーム11の先端部に回動可能に枢着される。一方、枢支点22bにおいてバケット回動機構23を構成する部材の一つであるバケットロッド24の一端が回動可能に枢着される。
【0027】
バケット回動機構23は、主にバケットロッド24とバケットリンク25からなる。バケットロッド24の一端は、バケット12に固設されたバケットブラケット22の枢支点22bに回動可能に枢着される。また、バケットロッド24の他端は、連結点26においてバケットリンク25の一端と回動可能に枢着される。一方、バケットリンク25の他端は枢支点25aにてアーム11に回動可能に枢着される。枢支点25aはバケット12をアーム11に回動可能に枢着する枢支点22aよりもアーム11の基部寄りの位置に配置される。
【0028】
連結点26には、バケットシリンダ17の一端が回動可能に枢着される。一方、バケットシリンダ17の他端は、アーム11の基部上面に固設されたブラケット27の枢支点27aに回動可能に枢着される。
【0029】
すなわち、バケット回動機構23と、アーム11の基部上面に固設されたブラケット27との間にバケットシリンダ17が介装され、該油圧シリンダ17の伸縮によりバケット回動機構23が回動し、バケット12がアーム11に対して前後方向に回動する。
【0030】
続いて、本発明の要部であるバケットシリンダ保護装置28の詳細構成について説明する。図8に示す如く、バケットシリンダ保護装置28はバケットシリンダ17の外方(反アーム11側)に配置され、主に左右一対の側板29L・29R、上板30、ネジ31等で構成される。
【0031】
側板29L・29Rは断面視略L字型の部材であり、上面29aには螺孔29c・29c・・・が穿設される。また、側面29bの一端(前端)には枢支孔29dが穿設される。そして、バケット回動機構23を構成するバケットロッド24とバケットリンク25とを、連結点26において回動可能に枢着する枢支軸(図示せず)の両端に該枢支孔29d・29dを嵌装することにより、バケットシリンダ保護装置28は前記バケット回動機構23の連結点26に回動可能に枢着される。一方、側面29bの他端(後端)にも枢支孔29eが穿設される。そして、アームリンク32の一端に突設された枢支軸34(図10において図示)を枢支孔29eに遊嵌することにより、連結点33においてバケットシリンダ保護装置28とアームリンク32とが回動可能に枢着される。
【0032】
上板30は平板状の部材であり、上板30の上下板面を貫通する貫通孔30a・30a・・・が穿設される。このとき、上板30の下面左右端部に側板29L・29Rの上面29a・29aを当接させると、前記貫通孔30a・30a・・・と螺孔29c・29c・・・とが略一致する。従って、ネジ31・31・・・により側板29L・29Rと上板30とを締結して、断面視略コの字型の強固な構造体であるバケットシリンダ保護装置28が形成される。
【0033】
図1に示す如く、アームリンク32の一端は、枢支軸34(図10中に図示)によりバケットシリンダ保護装置28の他端(後端)の連結点33において回動可能に枢着される。一方、アームリンク32の他端は、前記アーム11の基部下面に固設されたブラケット21の枢支点21aに回動可能に枢着される。但し、枢支点21aはアーム11の中途部に配置することも可能である。
【0034】
このように構成することにより、障害物にバケットシリンダ保護装置28が干渉するなどしてバケットシリンダ保護装置28が変形した場合でも、本発明の如く、バケットシリンダ保護装置28が一対の側板29L・29Rと、上板30とで構成され、ネジ31を緩めることにより側板29L・29Rと、上板30とを分離可能とすることで、上板30の交換など修理・メンテナンス時の作業性に優れる。
【0035】
なお、修理・メンテナンス時の作業性は低下するが、側板29L・29R、上板30を一体的に形成し、ネジ31を省略することも可能である。
【0036】
また、図9に示すバケットシリンダ保護装置の別実施例であるバケットシリンダ保護装置58の如く、側板59L・59Rを断面視略「く」の字型とし、上板60を断面視略山形に形成して、ネジ61により側板59L・59Rと上板60とを螺合することも可能である。但し、上板60は断面視「V」字状や「U」字状であっても良い。
【0037】
このように構成することにより、バケットシリンダ保護装置58は上板30が平板状であるバケットシリンダ保護装置28に比べて、障害物と干渉したときの強度が向上する。また、同じ強度でも上板60の肉厚を上板30に比べて小さくし、バケットシリンダ保護装置58を軽量化することが可能である。また、泥や土等が付着したり、載置されてもより落下し易く、シリンダと上板30との間隙も大きくできて、詰まり難く排出し易い構造となる。
【0038】
本発明のバケットシリンダ保護装置28は、従来のバケットシリンダ保護装置(例えば特開平10―292426号公報や特開平7−305377号公報に記載)と比較して、以下のような利点を有する。
【0039】
本発明のバケットシリンダ保護装置28は、アーム11(本実施例においては、厳密にはアーム11の基部下面に固設されたブラケット21)に枢支(回動可能に枢着)されたアームリンク32と、バケット12を回動するためのバケット回動機構23とに枢支(回動可能に枢着)されている。
【0040】
このように構成することにより、本発明のバケットシリンダ保護装置28は図5に示す如く障害物等との干渉により多少変形したとしても、バケットシリンダ17の伸縮時には上板30はバケットシリンダ17より浮き上がり、別方向に動くため、伸縮を阻害したり、バケットシリンダ17と干渉して破損させたりすることがない。従って、バケットシリンダ保護装置28の変形の度に作業を中断し、バケットシリンダ保護装置28の修理・交換をせずとも作業を継続可能であり、作業性に優れる。また、掘削作業中などにバケットシリンダ保護装置28およびバケットシリンダ17と、アーム11との隙間に土砂が入り込んだ場合でも、これらの隙間から容易に土砂を排出可能であり、バケットシリンダ17の伸縮を阻害したり、バケットシリンダ17と干渉して破損させたりすることがない。
【0041】
図2から図5、および図11から図16を用いて前述の利点(バケットシリンダ保護装置が多少変形しても作業可能であり、かつアームとの隙間に土砂が入り込んでも作業続行可能であること)について詳細説明する。
【0042】
図11から図13に示す如く、特開平10―292426号公報に記載の従来の油圧シリンダの保護装置101(本発明のバケットシリンダ保護装置28に相当)では、油圧シリンダ104(本発明のバケットシリンダ17に相当)を保護する部材は、主にチューブガード102とロッドガード103である。そして、チューブガード102は油圧シリンダ104のチューブ104b(本発明のシリンダ部17bに相当)に取り付けられ、ロッドガード103はピン105(本発明の連結部26に設けられる枢支軸(図示せず)に相当)に取り付けられるとともに、チューブガードと102とロッドガード103とは互いに嵌合して、油圧シリンダ104の伸縮に追随して摺動可能に構成される。
【0043】
しかし、このような構成とした場合、図13に示す如く、油圧シリンダの保護装置101が障害物等と干渉してチューブガード102またはロッドガード103が少しでも変形すると、チューブガードと102とロッドガード103とが摺動不可能となり、油圧シリンダ104自体は全く変形・破損していなくとも油圧シリンダ104が伸縮不可能となる。従って、チューブガード102とロッドガード103とを取り外す、もしくは修理・交換しない限り、アーム106に対してバケット107を回動することが不可能となる。
【0044】
一方、図14から図16に示す如く、特開平7−305377号公報に記載の従来の油圧ショベルにおいては、バケットシリンダ111は前面112aが開口した断面視略コの字型のアーム112に内蔵されており、前面112a側に張り出したアーム112の左右の側面112bがバケットシリンダ保護装置の役目を果たす。
【0045】
しかし、このような構成とした場合、図15に示す如く、バケットシリンダ111が収縮した状態の時にアーム112とバケットシリンダ112との隙間に土砂等が侵入・堆積し(図15中の斜線で示す部分)、続いてバケットシリンダ111を伸長すると、図16に示す如く、アーム112内に侵入・堆積した土砂等は逃げ場を失い(図16中の斜線で示す部分)、バケットシリンダ111のシリンダロッド111aを変形させる原因となる。従って、バケット113をアーム112に対して回動させることが不可能となる。
【0046】
一方、本発明のバケットシリンダ保護装置28と、バケットシリンダ17およびアーム11との位置関係は、バケットシリンダ17が伸張することにより、図2の状態(収縮位置)から図3の状態(中間位置)を経て、図4の状態(伸張位置)まで変化する。
【0047】
図2に示す「収縮位置」では、バケットシリンダ17の全長が最小(すなわちバケットシリンダ17が最も収縮した状態)であり、アームリンク32およびバケット回動機構23はアーム11の基部側へ回動している。そして、バケットシリンダ保護装置28はバケットシリンダ17の略全体を被覆・保護している。
【0048】
図3に示す「中間位置」では、バケットシリンダ17の全長は最小長さと最大長さの略中間であり、アームリンク32およびバケット回動機構23はアーム11の長手方向と側面視で略直交する位置に回動している。そして、バケットシリンダ保護装置28はアーム11から最も離間するとともに、バケットシリンダ17のシリンダロッド17aの略全体、およびシリンダ部17bの前半部を被覆・保護している。
【0049】
図4に示す「伸長位置」では、バケットシリンダ17の全長が最大(すなわちバケットシリンダ17が最も伸長した状態)であり、アームリンク32およびバケット回動機構23はアーム11の先端側(バケット12側)へ回動している。そして、バケットシリンダ保護装置28はバケットシリンダ17のシリンダロッド17aの略全体を被覆・保護している。
【0050】
従って、図11から図13に示す従来のバケットシリンダ保護装置と異なり、本発明のバケットシリンダ保護装置28は摺動部を持たないので、図5に示す如く、バケットシリンダ保護装置28が少々変形してもバケットシリンダ17の伸縮は可能であり、バケット12をアーム11に対して回動可能である。また、図14から図16に示す従来のバケットシリンダ保護装置と異なり、本発明のバケットシリンダ保護装置28、バケットシリンダ17およびアーム11との間には大きな隙間が設けられているので、仮に該隙間に作業中に土砂等が侵入しても、アーム11の側面方向に土砂等は容易に退避可能であり、バケットシリンダ17のシリンダロッド17aが変形することはない。
【0051】
図2から図4に示す如く、本発明のバケットシリンダ保護装置28は、バケットシリンダ17の伸縮に追随して回動しつつ、バケットシリンダ17、特に少しでも変形するとバケットシリンダ17の伸縮が不可能となるシリンダロッド17aを確実に被覆・保護する構成である。
【0052】
このとき、アームリンク32の長さ(図3に示す枢支点21aから連結点33までの距離L1 )はバケットリンク25の長さ(図3に示す枢支点25aから連結点26までの距離L2 )よりも大きくすることが望ましい。
【0053】
これは、バケットシリンダ保護装置28がバケットシリンダ17の伸縮に追随して回動するときに、アーム11からの突出量が変化することによる。そして、バケットシリンダ保護装置28のアーム11からの突出量が大きいと、作業時に障害物との干渉が起こりやすくなる傾向があることから、該突出量を小さく、かつ突出量の変化量も小さく抑えることが望ましいのである。
【0054】
図2から図4の如く、アームリンク32の長さ(図3に示す枢支点21aから連結点33までの距離L1 )をバケットリンク25の長さ(図3に示す枢支点25aから連結点26までの距離L2 )よりも大きくすることにより、バケットシリンダ保護装置28の回動時における突出量の変化量、すなわちアーム11からの突出量の最大値(図3に示すH1max)と突出量の最小値(図2に示すH1min)との差を小さく抑えることが可能である。
【0055】
さらに、アームリンク32のアーム11側枢支点(本実施例では枢支点21a)を、バケットシリンダ17およびバケットシリンダ保護装置が配置されているアーム11の上面から極力離れた位置に配置することにより、アーム11からの突出量の最大値(図3に示すH1max)自体も小さく抑えることが可能となる。
【0056】
一方、図6および図7に示す如く、アームリンク32よりも短いアームリンク42(アーム11との枢支点42aから連結点33までの距離L3 )を用いた場合、バケットシリンダ保護装置28の回動時における突出量の変化量、すなわちアーム11からの突出量の最大値(図7に示すH2max)と突出量の最小値(図6に示すH2min)との差はアームリンク32の場合と比較して大きくなる。
【0057】
また、本実施例のバケットシリンダ保護装置28では、該バケットシリンダ保護装置28を枢支するアームリンク32のアーム側枢支点21aは、伸縮によりアーム11をブーム10に対して回動させる油圧シリンダであるアームシリンダ16のアーム11側枢支点と一致している。
【0058】
このように構成することにより、枢支軸等の部品点数を削減することが可能である。
【0059】
続いて、バケットシリンダ保護装置28の連結部26および連結部33の構成について図10を用いて説明する。なお、連結部26の構成は、バケットシリンダ保護装置28、バケットリンク25およびバケットロッド24を枢支する枢支軸が、枢支孔29d・29dにてバケットシリンダ保護装置28の左右の側板29L・29Rを貫通している以外は連結部33と略同じ構成であるので、以下では説明を省略する。
【0060】
図10に示す如く、連結部33はバケットシリンダ保護装置28の後端部と、アームリンク32とが枢支される部位である。該連結部33において、バケットシリンダ保護装置28には枢支孔29eが穿設され、該枢支孔29eには軸受35が嵌設されている。
【0061】
このとき、軸受35は通常のボールベアリング等の他に、自己潤滑性の材料からなる軸受を使用することが可能である。自己潤滑性の材料を用いた軸受としては、(1)天然の木材、(2)黒鉛やMoS2 やその他セラミックスなどの固体潤滑材軸受、(3)成長鋳鉄含油軸受や粉末焼結含油軸受や鋳成銅合金含油軸受などの金属系含油軸受、(4)ポリアセタール、ポリアミド、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフェニレンサルファイド、エラストマー系、ポリオレフィン系、フェノール樹脂、ポリエステルなどのプラスチック軸受、が挙げられる。
【0062】
このように、軸受35を自己潤滑性材料からなる軸受とすることにより、給油箇所を削減してメンテナンス作業を簡便化することが可能であるとともに、後述する枢支軸34や枢支孔29d・29eの錆付き等により不快な音が発生するといった問題を解消することが可能である。
【0063】
なお、バケットシリンダ保護装置28をバケットリンク25またはアームリンク32に枢支する枢支孔29d・29eには、該バケットシリンダ保護装置28の回動中において、通常はバケットシリンダ保護装置28の自重以上の負荷が加わることはないので、大きな負荷が加わる環境下では摩耗が問題となる自己潤滑性材料からなる軸受を使用することが可能である。
【0064】
アームリンク32の一端に突設された枢支軸34は、前記軸受35に遊嵌される。そして、中央に貫通孔が穿設された円盤状部材であるプレート36が嵌装されたボルト37を、枢支軸34の先端部に穿設された螺孔に螺合・締結することにより、アームリンク32からバケットシリンダ保護装置28が脱落しないように構成されている。
【0065】
このとき、連結部33(すなわち、アームリンク32とバケットシリンダ保護装置28との枢支点)において、プレート36と側板29L(29R)との隙間にはワッシャ38が遊嵌されている。該ワッシャ38は皿バネワッシャであり、弾性変形によりバケットシリンダ保護装置28をスラスト方向(すなわち、枢支軸34の長手方向)に付勢している。
【0066】
このように構成することにより、作業中に連結部33にてバケットシリンダ保護装置28がガタつき、不快な音を発生させることがない。また、ワッシャ38を皿バネワッシャとした場合、安価であるとともに、耐久性にも優れている。
【0067】
なお、ワッシャ38は、弾性変形によりバケットシリンダ保護装置28をスラスト方向(すなわち、枢支軸34の長手方向)に付勢するものであれば良く、図10に示す皿バネワッシャに限定されない。例えば、巻きバネを装着したり、ゴムや樹脂製の部材を介装したりしても良い。
【0068】
【発明の効果】
本発明は、以上のように構成したので、以下に示すような効果を奏する。
【0069】
即ち、請求項1に示す如く、アーム(11)とバケット(12)とを備え、該バケット(12)をバケットシリンダ(17)の伸縮によりアーム(11)に対して回動可能とし、該バケットシリンダ(17)の外方に配置するバケットシリンダ保護装置(28)を、前記アーム先端に配置されたバケット回動用のバケットリンク(25)と、前記アーム(11)の後部に枢支されたアームリンク(32)の前後のリンクで枢支し、該後部のアームリンク(32)における、枢支点(21a)から連結点(33)までの枢支点間の距離(L 1 )が、前部のバケットリンク(25)における、枢支点(25a)から連結点(26)までの枢支点間の距離(L 2 )よりも大きくなるように構成したので、バケットシリンダ保護装置28は障害物等との干渉により多少変形したとしても、バケットシリンダの伸縮を阻害したり、バケットシリンダと干渉して破損させたりすることがない。
従って、バケットシリンダ保護装置の変形の度に作業を中断し、バケットシリンダ保護装置の修理・交換をせずとも作業を継続可能であり、作業性に優れる。
また、掘削作業中などにバケットシリンダ保護装置およびバケットシリンダと、アームとの隙間に土砂が入り込んだ場合でも、これらの隙間から容易に土砂を排出可能であり、バケットシリンダの伸縮を阻害したり、バケットシリンダと干渉して破損させたりすることがなく、作業性に優れる。
【0070】
また、アームリンクにおける枢支点間の距離が、バケットリンクにおける枢支点間の距離よりも大きいので、バケットシリンダ保護装置の回動時における突出量の変化量を小さく抑えることが可能であり、作業時における障害物等とバケットシリンダ保護装置との干渉を防止可能である。
【0071】
請求項2に示す如く、アームリンクのアーム側枢支点が、伸縮によりブームに対してアームを回動させるアームシリンダのアーム側枢支点と一致するので、部品点数を削減することが可能である。
【0072】
請求項3に示す如く、前記バケットシリンダ保護装置が左右一対の側板と、上板とで構成されるので、障害物にバケットシリンダ保護装置が干渉・変形した場合でも、一対の側板と、上板とを分離でき、上板の交換など修理・メンテナンス時の作業性に優れる。
【0073】
請求項4に示す如く、前記上板を断面視山形に形成したので、障害物と干渉したときのバケットシリンダ保護装置の強度が向上する。
また、上板の肉厚を小さくし、バケットシリンダ保護装置を軽量化することが可能である。
【0074】
請求項5に示す如く、アームリンクとバケットシリンダ保護装置との枢支点、およびバケットリンクとバケットシリンダ保護装置との枢支点に自己潤滑性の軸受を設けたので、給油箇所を削減してメンテナンス作業を簡便化することが可能であるとともに、連結部の錆付き等により不快な音が発生するといった問題を解消することが可能である。
【0075】
請求項6に示す如く、アームリンクとバケットシリンダ保護装置との枢支点、およびバケットリンクとバケットシリンダ保護装置との枢支点において、バケットシリンダ保護装置をスラスト方向に弾性的に付勢するワッシャが設けられるので、バケットシリンダ保護装置が回動するときに不快な音を発生させることがない。
【0076】
請求項7に示す如く、前記ワッシャを皿バネワッシャとするので、バケットシリンダ保護装置が回動するときに不快な音を発生させることがない。また、皿バネワッシャは、安価であるとともに、耐久性にも優れている。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のバケットシリンダ保護装置を設けた作業機を備える旋回作業車の側面図。
【図2】 バケットシリンダ収縮時のバケットシリンダ保護装置を示す側面図。
【図3】 バケットシリンダが中間長さの時のバケットシリンダ保護装置を示す側面図。
【図4】 バケットシリンダ伸張時のバケットシリンダ保護装置を示す側面図。
【図5】 バケットシリンダ保護装置が一部変形した時の側面図。
【図6】 バケットシリンダ収縮時におけるアームリンクの別実施例を備えたバケットシリンダ保護装置を示す側面図。
【図7】 バケットシリンダが中間長さの時におけるアームリンクの別実施例を備えたバケットシリンダ保護装置を示す側面図。
【図8】 バケットシリンダ保護装置の斜視図。
【図9】 バケットシリンダ保護装置の別実施例の斜視図。
【図10】 バケットシリンダ保護装置の連結部の断面模式図。
【図11】 従来のバケットシリンダ保護装置を設けた作業機の側面図。
【図12】 従来のバケットシリンダ保護装置の側面一部断面図。
【図13】 従来のバケットシリンダ保護装置が一部変形した時の側面一部断面図。
【図14】 従来のバケットシリンダ保護装置の別実施例を設けた作業機の側面図。
【図15】 従来のバケットシリンダ保護装置の別実施例においてバケットが後方に回動した状態を示す図。
【図16】 従来のバケットシリンダ保護装置の別実施例においてバケットが前方に回動した状態を示す図。
【符号の説明】
5 作業機
11 アーム
12 バケット
16 アームシリンダ
17 バケットシリンダ
21a アーム側枢支点
25 バケットリンク
25a 枢支点
26 連結点
28 バケットシリンダ保護装置
29L・29R 側板
30 上板
32 アームリンク
33 連結点
35 軸受
38 ワッシャ

Claims (7)

  1. 請求項1においては、アーム(11)とバケット(12)とを備え、該バケット(12)をバケットシリンダ(17)の伸縮によりアーム(11)に対して回動可能とし、該バケットシリンダ(17)の外方に配置するバケットシリンダ保護装置(28)を、前記アーム先端に配置されたバケット回動用のバケットリンク(25)と、前記アーム(11)の後部に枢支されたアームリンク(32)の前後のリンクで枢支し、該後部のアームリンク(32)における、枢支点(21a)から連結点(33)までの枢支点間の距離(L 1 )が、前部のバケットリンク(25)における、枢支点(25a)から連結点(26)までの枢支点間の距離(L 2 )よりも大きくなるように構成したことを特徴とするバケットシリンダ保護装置。
  2. 前記アームリンク(32)のアーム(11)側枢支点(21a)が、伸縮によりブーム(10)に対してアーム(11)を回動させるアームシリンダ(16)のアーム側枢支点(21a)と一致することを特徴とする請求項1記載のバケットシリンダ保護装置。
  3. 前記バケットシリンダ保護装置(28)が左右一対の側板(29L・29R)と、上板(30)とで構成されることを特徴とする請求項1及び請求項2記載のバケットシリンダ保護装置。
  4. 前記上板(30)を断面視山形に形成したことを特徴とする請求項3に記載のバケットシリンダ保護装置。
  5. 前記アームリンク(32)とバケットシリンダ保護装置(28)との枢支点、およびバケットリンク(25)とバケットシリンダ保護装置(28)との枢支点に自己潤滑性の軸受を設けたことを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載のバケットシリンダ保護装置。
  6. 前記アームリンク(32)とバケットシリンダ保護装置(28)との枢支点、およびバケットリンク(25)とバケットシリンダ保護装置(28)との枢支点において、バケットシリンダ保護装置(28)をスラスト方向に弾性的に付勢するワッシャ(38)が設けられることを特徴とする請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載のバケットシリンダ保護装置。
  7. 前記ワッシャ(38)を皿バネワッシャとすることを特徴とする請求項6に記載のバケットシリンダ保護装置。
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