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JP3881117B2 - 圧延材の案内方法及び圧延材のローラーガイド - Google Patents

圧延材の案内方法及び圧延材のローラーガイド Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、圧延ロールの出側で例えば異形棒鋼用圧延材を誘導案内する際に、圧延材の捻れを防ぐことができる圧延材の案内方法及びそのローラーガイドに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、異形棒鋼用圧延材の捻れを防止するための圧延材の案内方法及びその案内装置としては、特公昭52−7430号公報に示すように、異形棒鋼の外形より若干大きい孔型を有する矯正ローラーにこの異形棒鋼のリブと節が同時に矯正ローラーの孔型に接触するような角度で噛ませることにより、異形棒鋼用圧延材の捻れを防止するものが開示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来例では、矯正時に圧延材を鋼材サイズ毎に所要の角度に矯正ローラーに噛ませること自体が難しく、またこの案内装置のみで圧延中の圧延材を正確に捻転させることは大変難しく実務上の実施は容易ではなかった。
本発明の目的は、案内時に圧延材の捻れ防止の効果を高めて、製品の寸法精度と歩留まりとを向上させることにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
例えば異形棒鋼用の圧延材には節やネジ節である節部分があるために、ガイドローラーでこの圧延材の捻れを防止しながら案内誘導する際、節部分が圧延されない二面幅部分を抱合する方法に着目した。しかしながら、この二面幅部分は幅が狭いためにガイドローラーと接触できる面積が非常に少ないために、僅かな捻れ防止トルクアームしか得られない課題がある。
そこで、本発明では圧延材の捻れを防止するために、下記の内容の案内方法及びローラーガイドを採用した。
本発明の圧延材の案内方法は、圧延ロールにより圧下された圧延材の節部分が形成されていない二面幅部分を少なくとも二対のガイドローラーで抱合し案内するものであって、二対のうちの一対の前ガイドローラーは、上記圧延ロールから出た圧延材を誘導案内するものであって、上記圧延材の二面幅部分と平行でかつこの圧延材の進行方向と直交するよう設けられており、残る一対の後ガイドローラーは、上記前ガイドローラーで誘導されてきた圧延材を案内するものであって、上記圧延材の二面幅部分と平行であり、かつこの圧延材の進行方向に対して所定の傾斜角度を有するものである。
本発明のローラーガイドは、圧延ロールの出側に配置されたガイドボックスの前方側に回動可能に軸支してある少なくとも一対の支持軸に前ガイドローラーを回転自在に軸支してあり、各支持軸を前ガイドローラーが圧延材の節部分が形成されていない二面幅部分に平行であり、かつこの圧延材の進行方向と直交するように設けて、これらの前ガイドローラーが圧延材の二面幅部分を案内可能とし、また上記ガイドボックスの後方側にはローラーホルダーを設けてあり、このローラーホルダーには一対の支持軸を回動可能に軸支し、各支持軸を上記圧延材の進行方向に直交する方向に配置してあり、上記後ガイドローラーは上記圧延材の二面幅部分と平行であり、かつ圧延材の進行方向に対して所定角度で傾斜して接触するように所定の傾斜角度で回転自在に軸支されている。
【0005】
【作用】
まず、圧延ロールで節部分が圧延された圧延材の二面幅部分は、前ガイドローラーにより抱合され圧延材に捻れが生じないように補助誘導される。
ついで、上記圧延材はガイドボックスの後方側に配置されており、上記圧延材の二面幅部分と直交しかつこの圧延材の進行方向に対して所定の傾斜角度を有する後ガイドローラーにより、しかも上記圧延材の節部分の傾斜角度と後ガイドローラーの傾斜角度を合せることで、圧延材の進行方向とローラーの圧延材の接触点の回転方向(進行方向)が上記傾斜角度がずれることから、圧延材の進行方向からローラー回転方向に向って例えば下向きの修正力が発生し、この鉛直方向成分が2面幅部分の片側の面に伝えられ、その反対面にも同様の角度がずれることから、修正力が発生し、その鉛直方向成分が上向きに発生する。これにより、圧延材には左右の面から圧延材を捻り、捻れようとする圧延材を矯正する力が加えられ、圧延材の捻れが防止される。
【0006】
【発明の実施の形態】
図1及び図2に示す仕上げ圧延ロールRの出側に設けてあるローラーガイドにおいて、保持架台となるサドル1上にはガイドボックス2を設置し固定してある。ガイドボックス2は、図の例では左右に2分割されており、異形鋼棒用の圧延材S(図8)の進行方向側(図1右側から左側に向かう方向)すなわち図1矢印方向側と反対方向側の前部分に配置している前ガイドボックス部2aと、進行方向側の後部分に配置している後ガイドボックス部2bとからなる。
図1乃至図3において前ガイドボックス部2aには、圧延材Sの進行方向に沿って配置している二対の支持軸3を回転自在に軸支してある。各支持軸3には前ガイドローラー4を回転自在に取付けてある。各対の双方の前ガイドローラー4は、圧延材Sの節部分Sb(図8)が形成されていない二面幅部分Saに平行であり、かつこの圧延材の進行方向と直交するように配置されており、これらの前ガイドローラーが圧延材の二面幅部分を案内可能としている。また各支持軸3の上部には、支持軸と一体の偏芯軸部3aを介してウォーム3bを設けてある。各ウォーム3bには、前ガイドボックス部2aに取付けてあるペデスタル5で回動可能に軸支され、互いに逆ネジのピニオン6がそれぞれ噛み合っている。このために、ピニオン6を操作してウォーム3bを回転させることにより、前ガイドローラー4は偏芯回転し、前ガイドローラーの面間距離が調整可能となる。
前ガイドボックス部2aの仕上げ圧延ロールR側(図2右側)には、仕上げ圧延ロールから圧延されて出てきた圧延材Sを前ガイドローラー4に補助誘導するためのデリバリーガイド7がボルト8により固定されている。
後ガイドボックス部2bには、図1、図2、図4及び図5に示すようにガイドスリーブ9を挿入しているローラーホルダー10の基部10aが、回動可能に挿入され支持されている。基部10aの先端側(図2左端側)の上部外周にはウォーム10a1を設けてある。ウォーム10a1には、後ガイドボックス部2bの軸受け部2b1に回動可能に設けてあるピニオン11が噛み合わされている。またローラーホルダー10の先端側のホルダー部10b,10cは互いに反対方向(図2では互いに上下方向)に屈曲されており、各ホルダー部には圧延材Sの進行方向に対して所定の傾斜角度α(図2)を有する支持軸12,13が設けられている。各支持軸12,13には後ガイドローラー14,15を回転自在に軸支してある。後ガイドローラー14と15とは、圧延材Sの進行方向に直交する方向に、換言すれば圧延材の進行方向を挾んで対向して配置されていると共に、圧延材の二面幅部分Saと平行であり、かつ圧延材の進行方向に対して所定の角度で傾斜して接触するように所定の傾斜角度αを有する。支持軸12,13の先端側(図5上端側)の上部外周には偏芯軸部12a1,13a1を介してウォーム12b1,13b1を設けてある。ウォーム12b1,13b1には、後ガイドボックス部2bの軸受け部に回動可能に設けてあるピニオン16が噛み合わされている。ピニオン16の操作によりウォーム12b1,13b1を通じて両後ガイドローラー14,15間の面間距離を調整可能である。
後ガイドローラー14,15は、図6及び図8に示すように圧延材Sの二面幅部分Saに平行に接触し、かつ、この圧延材の進行方向に対してその軸心が所定の傾斜角度α(図1)を有する。このために、図7及び図9に示すように圧延材Sのねじ山の傾斜角度α1と後ガイドローラーの傾斜角度αをあわせることで、傾斜する後ガイドローラーに対する圧延材Sの二面幅部分Saの接触部分T1(図9斜線図示部分)は、後ガイドローラーを垂直にして二面幅部分に当てた場合の接触部分T2(同図斜線図示部分)に比べ、最大の接触面積で圧延材に接触している時間が長く、かつ圧延材の中心線に対して上下で接触面の形がほぼ対称となっている。また図10に示すように、圧延材Sの進行方向と後ガイドローラー14,15に対する圧延材接触点の回転方向(進行方向)が+αずれることから、圧延材の進行方向G1から後ガイドローラーの回転方向に向って、例えば下向きの修正力G2が発生し、この鉛直方向成分が二面幅部分Saの片側に伝えられる。また二面幅部分Saの反対の面は同様の−αずれることから、修正力が発生し、その鉛直方向成分が上向きに発生する。このことにより、圧延材Sには左右の面から圧延材を捻り、捻れようとする圧延材を矯正する力が加えられる。この結果、後ガイドローラー14,15で誘導案内される圧延材Sの捻れを確実に防止できる。
また後ガイドボックス部2bにはローラーホルダー10が回動可能に取付けられているから、捻転角度が調整可能となる。換言すると、傾斜角度αを有する後ガイドローラー14,15は、ローラーホルダー10が後ガイドボックス部2bに回動可能に設けてあるから、このローラーホルダーを後ガイドボックス部に所要の角度に捻転させることにより、圧延材の捻れをより確実に防止することができる。
図2において17は前ガイドボックス部2a上に設置されるカバーである。
【0007】
次に使用方法について説明する。
ピニオン6を回動することで、ウォーム3bを介して支持軸3を偏芯しながら回動させ、前ガイドローラー4の面間距離の調整を行い、前ガイドローラーの面間距離を適正に設定する。
同様な手順で、ピニオン16を回動する操作により、後ガイドローラー14,15の面間距離を調整する。また、圧延材Sの捻れの程度を確認し、捻れを完全に防止するための事前調整として、ホルダー部10b,10cを通じて後ガイドローラー14,15を所要の角度に回転させるため、ピニオン11を回動させてウォーム10a1を介してローラーホルダー10を回動させる。それにより後ガイドローラー14,15が所要の角度に回動し、圧延材の捻転角度の調整操作を終える。
仕上げ圧延ロールRを通過した圧延材Sは、デリバリーガイド7によって前ガイドボックス部2a内に誘導され、二対の前ガイドローラー4により二面幅部分Saを押さえられながら,後ガイドボックス部2b側へ誘導されるために、誘導時の圧延材の倒れ、回転の防止が図られる。
その際、圧延材の回転が収まらず捩じれる場合には、ローラーホルダー10に軸支してあり、圧延材の進行方向に対して所定の傾斜角度αで傾斜して圧延材と接するように調整されている後ガイドローラー14,15により、圧延材Sが補助誘導され、このことによって捻れが効果的に防止される。
加えて、後ガイドローラー14,15及び支持軸12,13を有するローラーホルダー10が後ガイドボックス部2bに回動可能に設けてあるから、このローラーホルダーを後ガイドボックス部に対して所要の角度に捻転させることにより圧延材の捻れはより確実に防止される。
【0008】
図1及び図2に示す前ガイドローラー4に関して、一対の前ガイドローラー4が圧延材Sの進行方向に沿って2組、全体として二対の前ガイドローラー4が配置されているが、少なくとも一対の前ガイドローラー4が配置されていれば良く、二対のものに限定されない。
【0009】
【発明の効果】
本発明によれば、圧延ロールで節部分が圧延された圧延材の二面幅部分を、ガイドボックスに設けている前ガイドローラー及び傾斜している後ガイドローラーにより圧延材に捻れが生じないように、圧延材の進行方向に沿って補助誘導するので、圧延材の捻れを確実に防止することができ、これによって歩留まりの向上と、製品形状の高精度化が図れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るローラーガイドの平面図であって、カバーを省略している図である。
【図2】本発明に係るローラーガイドの正面図である。
【図3】前ガイドローラーの取付け状態を示す拡大断面図である。
【図4】ローラーホルダーのウォームとピニオンとの関係を示す側面図である。
【図5】後ガイドローラーの取付け状態を示す拡大断面図である。
【図6】対の後ガイドローラーと圧延材との関係を示す拡大側面図である。
【図7】圧延材の要部の拡大正面図である。
【図8】図7VIII−VIII線断面図である。
【図9】後ガイドローラーと圧延材との接触関係を示す拡大側面図である。
【図10】圧延材の捩れに対する修正力を説明するための図である。
【符号の説明】
2 ガイドボックス
2a 前ガイドボックス部
2b 後ガイドボックス部
3 支持軸
4 前ガイドローラー
10 ローラーホルダー
10a1 ウォーム
11 ピニオン
12 支持軸
13 支持軸
14 後ガイドローラー
15 後ガイドローラー
R 仕上げ圧延ロール(圧延ロール)
S 圧延材
Sa 圧延材の二面幅部分
Sb 圧延材の節部分
α 傾斜角度

Claims (3)

  1. 圧延ロールにより圧下され節部分を有する異形棒鋼用の圧延材の節部分が形成されていない二面幅部分を少なくとも二対のガイドローラーで順次抱合しながら案内する方法であり、
    二対のうちの一対の前ガイドローラーは、上記圧延ロールから出た圧延材を誘導案内するものであって、上記圧延材の二面幅部分と平行でかつこの圧延材の進行方向と直交するよう設けられ、
    残る一対の後ガイドローラーは、上記前ガイドローラーで誘導されてきた圧延材を案内するものであって、上記圧延材の二面幅部分と平行であり、かつこの圧延材の進行方向に対して傾斜して上記圧延材に接触する
    ことを特徴とする圧延材の案内方法。
  2. 圧延ロールにより圧下され節部分を有する異形棒鋼用の圧延材の節部分が形成されていない二面幅部分を案内するローラーガイドであり、
    上記圧延ロールの出側に設けてあるガイドボックスと、
    このガイドボックスの上記圧延ロール側に回転可能に設けてある少なくとも一対の支持軸に回転自在に軸支してあって、上記圧延材の二面幅部分に平行でかつこの圧延材の進行方向に直交するように配置されている前ガイドローラーと、
    上記ガイドボックスの上記圧延ロール側と反対側に回動可能に設けてあるローラーホルダーと、
    このローラーホルダーに設けてあると共に上記圧延材の進行方向に対して軸心が傾斜している支持軸に回転自在に軸支してあり、上記圧延材の二面幅部分と平行であり、かつこの圧延材の進行方向に対して傾斜して上記圧延材に接触するように配置されている後ガイドローラーと
    を具備することを特徴とする圧延材のローラーガイド。
  3. 後ガイドローラーは、圧延材の進行方向に直交する方向に圧延材の捻転角度を調整可能であることを特徴とする請求項2記載の圧延材のローラーガイド。
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