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JP3875477B2 - 半導体素子 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体素子に係り、特に高速かつ高集積化が可能なMOSトランジスタに関する。
【0002】
【従来の技術】
LSIの高速化・高集積化は、スケーリング則によるMOSデバイスの微細化によって進められてきた。これは、絶縁膜、ゲート長等のMOSデバイスの各部分を、高さ方向および横方向における寸法を同時に縮小することで、微細化時に素子の特性を正常に保ち、また性能を上げることを可能にしてきた。スケーリング則によると、MOSトランジスタは微細化の一途をたどっており、西暦2000年以降の次世代MOSトランジスタにはSiO2ゲート絶縁膜は2nm以下の膜厚が要求されている。しかしながら、この膜厚領域は直接トンネル電流が流れ始める厚さであり、リーク電流の抑制ができず、消費電力の増加等の問題を回避することができない。よって、SiO2よりも誘電率が高い材料を用いてゲート絶縁膜を形成し、シリコン酸化膜換算実効膜厚を2nm以下に抑えつつ、物理膜厚を稼いでリーク電流を抑えることが必要である。また、MOSトランジスタでは、リーク電流の抑制とともに、電界効果トランジスタ(FET:Field−Effective−Transistor)であるために、Si界面特性が特に重要である。よって、高誘電率であり、かつ界面特性を良好に保持できる絶縁膜ゲートが必要となる。
【0003】
近年、ゲート絶縁膜としてSiO2やシリコン窒化膜に代わり、誘電率がより大きい金属酸化物をゲート絶縁膜として用いる、いわゆる高誘電体(High−K)ゲート絶縁膜の研究が盛んに行なわれている。ペロブスカイト型酸化物誘電体は、誘電率が非常に高いことからこのような高誘電体ゲート絶縁膜材料として適した材料といえる。しかしながら、この種のペロブスカイト誘電体を多結晶膜として用いる場合、結晶性が低く、結晶欠陥が多いため誘電率が本来の値より低かったり、リーク電流が大きいといった問題が発生している。
【0004】
近年、分子線エピタキシ(MBE)法を用いて、SrTiO3をSi基板上にエピタキシャル成長させたゲート絶縁膜が報告された。ここでは、シリコン酸化膜の形成を抑制するために、SrTiO3成膜に先立って、Srシリサイドをサブモノレイヤ形成した後、Si上にSrTiO3の直接接合が実現されている。(R.A.McKeeら、Phys.Rev.Lett.81,3014(1998))。
【0005】
このようなエピタキシャル成長したSrTiO3膜は、結晶性が高く、粒界が存在しないことから、極めて均質でかつリーク電流の低いゲート絶縁膜が期待できる。なお、Si上にエピタキシャル成長されたSrTiO3膜においては、SrTiO3は面内で45度回転した形で成長する。したがって、Siの格子定数に対してペロブスカイト誘電体の格子定数の√2倍が一致する場合に格子マッチングが最適である。しかしながら、SrTiO3の格子定数はこの最適マッチングの格子定数よりやや大きく、これによりSrTiO3には格子欠陥や転移が発生し、これに起因したリーク電流の増大や界面電子トラップの発生やこれに起因するスレッショルド電圧のシフト、チャネルモビリティの低下が起こるという問題点があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上述したように、LSIの高集積化を目指し、性能を維持、向上させながら微細化を進めるためには、高誘電率であり、かつ界面特性を良好に保持できる絶縁膜ゲートが必要となる。しかしながら、Si基板との界面にシリコン酸化膜を形成することなく高誘電率を保ち、かつ良好な界面特性をもつゲート絶縁膜は実現されていない。
【0007】
本発明は、このような問題点を解決するためになされたものであり、高誘電率であるとともに界面特性を良好に保持することが可能なゲート絶縁膜を有するMOSトランジスタを提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明は、Siを主成分とする半導体基板と、前記半導体基板上にSrシリサイドを介して接合してエピタキシャル成長されたペロブスカイト誘電体を含むゲート絶縁膜とを具備し、前記ペロブスカイト誘電体は、以下で表わされる組成を有し、格子定数は3.84Å<a<3.88Åであることを特徴とするMOS電界効果トランジスタを提供する。
【0010】
Sr1-xCaxTi1-yZry3-d
(ここで、0.8≦x≦1.0、0<y≦0.5、dは酸素欠損を表わし、0≦d≦0.1である。
【0011】
本発明者らは、半導体基板上にSrシリサイドを介して接合してエピタキシャル成長させた特定の格子定数を有するペロブスカイト誘電体層は、高誘電率であるとともに、界面特性を良好に保持することができるゲート絶縁膜となり得ることを見出して、本発明をなすに至ったものである。
【0012】
ここで示した格子定数は、立方晶で表示した室温の値であるが、このペロブスカイト結晶が正方晶あるいは斜方晶の場合には、擬立方晶として換算した際に、この値に相当する格子定数あるいは単位胞体積を有するペロブスカイト誘電体であればよい。
【0013】
また、Siを主成分とする半導体基板上にこうした格子定数を有するペロブスカイト誘電体をSiO2なしに形成するために、基板上にサブモノレイヤから1,2モノレイヤー程度のアルカリ土類シリサイドあるいは希土類シリサイド等を形成した後、ペロブスカイト誘電体を堆積してもよい。
【0014】
さらに、3.84Å<a<3.88Åの格子定数を有する第一のペロブスカイト誘電体層を中間層として半導体基板上にエピタキシャル成長させ、この中間層の上により大きな格子定数を有する第二のペロブスカイト誘電体を堆積してゲート絶縁膜を形成した場合には、Si界面近傍の格子欠陥を低減することも可能である。
【0015】
本発明のような特定のペロブスカイト誘電体を含むゲート絶縁膜を形成することによって、Siと格子整合の良好な誘電体/Si直接接合が得られ、ミスマッチの低減により界面欠陥の低減か可能となり、界面特性の良好なゲート絶縁膜が実現できる。
【0016】
なお、サブ100nm領域において、超高速ロジックULSIの実現には、そのCMOS回路の高速化が必須である。そのためには、MOSFETのキャリア移動度の向上、およびその寄生素子(ソース/ドレイン抵抗、接合容量等)の低減化を両立することが重要となる。したがって、薄膜SOI素子構造は、チャネルに高濃度不純物が不要(SOI層の薄膜化によって短チャネル効果を抑制)のため、キャリアの高移動度が実現でき(キャリアの不純物とのクーロン散乱の抑制)、また厚い埋め込み酸化膜構造によるソース/ドレイン接合の低容量化が達成できるため、非常に有望な素子構造である。
【0017】
本発明におけるゲート絶縁膜は、通常のSi基板上に形成されたMOSトランジスタと同様、このようなSOI基板上に作製されたMOSトランジスタに適用することももちろん可能である。
【0018】
さらに最近、CMOS回路の高速化のため、SOI基板のSi層に応力ひずみを加えることによって、キャリア移動度の向上が実現できる。このひずみSiにおいては、格子定数の大きなSiGe層上にSi層を堆積してSi層に基板面内方向の引っ張り応力を与え、面内方向の格子定数を延伸させる。その結果として、Siのバンド構造が変調され、キャリアのサブバンド間の散乱が減少するとともに、その実効質量も低減することを利用したものである。これにより、ひずみSi層中ではキャリア移動度の向上が実現できるわけである。
【0019】
本発明におけるゲート絶縁膜は、このようなひずみシリコンSOI基板上に作製されたMOSトランジスタに適用することも、もちろん可能である。この際には、MOSトランジスタを形成するSi層の面内格子定数が通常のバルクSiに比べて大きな値を有しているため、ゲート絶縁膜に用いるエピタキシャル絶縁膜の格子定数もひずみSiのそれに合わせて調整することが必要になる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しつつ、本発明を具体的に説明する。
【0021】
図1は、本発明の基本的な実施例に係るnチャネルMOSトランジスタの一例の断面構造を示した図である。図示するように、p型シリコン基板1中には素子分離領域2が離間して形成され、n型不純物が導入された拡散層(ソース・ドレイン領域)5がそれぞれに隣接して設けられている。また、基板1上にはゲート絶縁膜3を介してゲート電極4が形成され、ゲート電極4の側壁には、例えばCVDシリコン窒化膜などからなる絶縁膜6が設けられている。
【0022】
ゲート電極4、側壁絶縁膜6および素子分離領域2の上には、例えばCVDシリコン酸化膜などからなる層間絶縁膜7が形成され、この層間絶縁膜7に設けられたコンタクト孔を介して、ゲート電極4およびソース・ドレイン領域5にAl配線8が接続されている。
【0023】
(実施例1)
ここで、図2を参照して、本発明におけるゲート絶縁膜の製造方法の一例について詳細に説明する。
【0024】
まず、面方位(100)、比抵抗4〜6Ωcmのp型シリコン基板11上に、反応性イオンエッチングにより、素子分離のための溝を形成する。続いて、例えばLP−TEOS膜を埋め込むことによって、図2(a)に示すように素子分離領域12を形成する。
【0025】
一例として、MBE法を用いてゲート絶縁膜を形成する場合について説明する。
【0026】
Si基板11は、希フッ酸でウェット処理を行なって表面を水素でターミネイトした後、MBE装置に導入する。基板温度を300℃とし、金属Srを蒸発源として用いてSi基板上にSrを1モノレイヤ蒸着する。その後、Si基板温度を600℃に昇温することによって、1モノレイヤのSrシリサイド(SiSr2)13を形成し、Si表面をターミネイトする。この後、SiならびにSiSr2モノレイヤー膜と格子定数がマッチしたペロブスカイト誘電体Sr0.2Ca0.8TiO3膜14を100Å堆積して、図2(b)に示すような構造を得る。
【0027】
なお、Siの格子定数は5.43Åであり、ここで形成されたSiSr2およびSr0.2Ca0.8TiO3の格子定数は、それぞれ3.85Åおよび3.85Åである。
【0028】
本実施例においては、Siあるいはその上に極薄く形成したSiと同一の格子定数を有するシリサイド膜と格子マッチングの良好なペロブスカイト誘電体を堆積してゲート絶縁膜を形成している。これによって、界面準位が少なく移動度が大きく、ゲートリークが少ないといった特性の優れたトランジスタを得ることができる。
【0029】
上述したような製造方法を用いることにより、Si基板との界面にシリコン酸化膜が形成されるのを回避して、ゲート絶縁膜を作製することが可能となった。本実施例で作製したゲート絶縁膜のシリコン酸化膜換算実効膜厚は、1nmを達成することができた。
【0030】
一方、SrシリサイドでSi表面をターミネイトすることなく、Sr0.2Ca0.8TiO3を成膜した場合には、界面にシリコン酸化膜が2.5nm形成されてしまい、基板上に直接接合してSr0.2Ca0.8TiO3をエピタキシャル成長することができなかった。この場合、シリコン酸化膜換算実効膜厚は3nm以上となり、次世代LSIに代表される2nm以下の換算膜厚を実現することは不可能であった。
【0031】
図2(b)に示されるようにゲート絶縁膜を形成した後には、以下のような手法によって、図1に示されるMOSデバイスを作製することができる。
【0032】
まず、化学気相成長法によってポリシリコン膜を全面に堆積し、このポリシリコン膜をパターニングしてゲート電極4を形成する。続いて、例えば450℃、圧力10mTorr〜1気圧の条件下において、窒素ガスで希釈したSiH4ガスとNH3ガスとの混合ガスを用いて、例えば5〜200nmのCVDシリコン窒化膜を堆積して側壁絶縁膜6を形成する。
【0033】
以後の工程は、通常のMOSトランジスタの製造工程と同様である。すなわち、例えば加速電圧20keV、ドーズ量1×1015cm-2で砒素のイオン注入を行なってソース領域・ドレイン領域5を形成する。続いて、化学気相成長法によって全面にCVDシリコン酸化膜を堆積して層間絶縁膜7を形成し、この層間絶縁膜にコンタクト孔を開口する。続いて、スパッタ法によって全面にAl膜を堆積し、このAl膜を反応性イオンエッチングによってパターニングして配線8を形成することにより、図1に示したようなゲート絶縁膜を有するMOSトランジスタが完成する。
【0034】
こうして作製された本発明のMOSトランジスタは、界面準位が少なく、かつ反転層のモビリティが高いことに起因して、良好な特性が得られていることが確認された。
【0035】
(実施例2)
図3を参照して、本発明におけるゲート絶縁膜の製造方法の他の例について説明する。
【0036】
まず、面方位(100)、比抵抗4〜6Ωcmのp型シリコン基板21上に、反応性イオンエッチングにより素子分離のための溝を形成する。続いて、例えばLP−TEOS膜を埋め込むことによって、図3(a)に示すように素子分離領域22を形成する。
【0037】
一例として、MBE法を用いてゲート絶縁膜を形成する場合について説明する。
【0038】
Si基板21は、希フッ酸でウェット処理を行なって表面を水素でターミネイトした後、MBE装置に導入する。基板温度を300℃とし、金属Laを蒸発源として用いてSi基板上にLaを1モノレイヤ蒸着する。その後、Si基板温度を600℃に昇温することによって、1モノレイヤのLaシリサイド(LaSi2)23を形成し、Si表面をターミネイトする。この後、MBE装置を用いて、第一のペロブスカイト誘電体としてCa0.8Sr0.2TiO3膜を15Å堆積して、格子定数調整用のバッファー層24を形成する。この上に、さらに、第二のペロブスカイト誘電体としてSrZrO3層25を堆積して、図3(b)に示すようなゲート絶縁膜を形成した。
【0039】
ここで形成されたLaSi2、Ca0.8Sr0.2TiO3およびSrZrO3の格子定数は、それぞれ5.43Å、3.85Åおよび4.10Åである。
【0040】
SrZrO3誘電体は、このように格子定数が大きいので、通常はSi上にエピタキシャル成長するのが困難であるが、上述したような方法を用いることによって、SrZrO3誘電体をゲート絶縁膜として用いるゲートスタックを形成することが可能となった。
【0041】
本実施例で作製したゲート絶縁膜のシリコン酸化膜換算実効膜厚は、0.4nmを達成することができた。また、Ga0.8Sr0.2TiO3のバンドギャップが3.3eVであるのに対し、SrZrO3は6eVと大きなバンドギャップを有しているので、これを用いることによって、リーク電流が1.0V印加時に10×-4A/cm2と極めて低いことが明らかになった。
【0042】
本実施例によるゲート絶縁膜を形成した後、実施例1と同様の手法により、図1に示したMOSトランジスタを作製した。得られたMOSトランジスタは、界面準位が少なく、かつ、反転層のモビリティが高いことに起因して、良好な特性が得られていることが確認された。
【0043】
(実施例3)
前述の実施例2では、バッファー層としてCa0.8Sr0.2TiO3を用いて、誘電体層としてSrZrO3を用いたが、これらに限定されるものではない。バッファー層のためのペロブスカイトは、3.84Å<a<3.88Åの格子定数を有することが必要であり、また誘電体層の格子定数はこれより大きいことが必要であるので、こうした格子定数を有する任意のABO3ペロブスカイト(AはSr,Caより選ばれる少なくとも一種、BはTi、Zrから選ばれる少なくとも一種)を、バッファー層や誘電体層として用いることができる。
【0044】
図4には、バッファー層ならびに誘電体層に適した組成を示す。図4中、R1で示される領域は、Siと格子整合する組成領域であり、R2で示される領域は、バッファー層として適する組成領域であり、R3で示される領域は、誘電体層として適する組成領域である。領域R1に含まれるものとしては、例えばSr0.1Ga0.9Ti0.5Zr0.53等が挙げられ、領域R2に含まれるものとしては、例えばSr0.1Ga0.9Ti0.3Zr0.73等が挙げられ、領域R3に含まれるものとしては、例えばSr0.2Ga0.8Ti0.5Zr0.53等が挙げられる。
【0045】
このようにバッファー層を介して、格子定数がより大きなペロブスカイト誘電体Ba1-xSrxTiO3をエピタキシャル成長した場合、その当該誘電体は、バッファー層との格子ミスマッチにより膜垂直方向に延伸した格子ひずみを生じて、強誘電体特性を示すことが確認された。このようなゲートスタックを用いることにより、不揮発性メモリ特性を有する強誘電体ゲート電界効果トランジスタ(MFISFET)を容易に作製することができる。
【0046】
ここで用いられるペロブスカイト誘電体Ba1-xSrxTiO3におけるxとしては、良好な強誘電体特性を得るために0以上0.6以下の値を選択することが好ましい。また、この誘電体をバッファー層上に堆積する際には、ある程度の成膜粒子エネルギーを有するスパッタ法等により成膜することが望ましい。
【0047】
さらに、バッファー層を介して堆積する誘電体層の格子定数を適切に選定して、基板Siに引っ張り応力を与えることによって、Si価電子帯、伝導帯の縮退を解き、電子有効質量を低減して移動度を上げて動作速度を改善したMOSFETを作製することも可能である。特に、ゲート電極として熱膨張率が小さなインバー合金等を用いた場合には、熱応力の効果も加わって、さらに有効な移動度向上の効果を得ることができる。
【0048】
(実施例4)
ひずみSiを最上面に有するひずみSi−SOI上に、本発明のゲート絶縁膜を用いて作製したMOSトランジスタの例を説明する。
【0049】
まず、UHV−CVD法(Ultra−High−Vacuum Chemical Vapor Deposition)により、Si基板上にSiGeバッファー層と、第一の応力緩和SiGe層とを形成する。次いで、SIMOX(Separation−by−Implanted−Oxygen)法により、酸素注入(ドーズ量4×1017cm-2)、およびその後の高温アニール(1350℃)を6時間行なって、第一SiGe層中に埋め込み酸化膜を形成する。その後、第一SiGe層を多少エッチングした後、第二SiGe層とSi層とをUHV−CVD法により再成長することによって、ひずみSOI基板が作製される。nおよびpチャネルMOSFETを、通常の熱酸化(800℃)によるゲート絶縁膜(9nm)形成と、通常のイオン注入法によるソース/ドレイン拡散層形成とにより作製した。このときの最上面ひずみSi層の面内格子定数は、通常のSiに比べて延伸したa=5.48Åである。
【0050】
この後、かかるひずみシリコンSOI基板上に、反応性イオンエッチングにより、素子分離のための溝を形成する。続いて、例えばLP−TEOS膜を埋め込むことにより素子分離領域を形成する。ここで一例として、MBE法を用いてゲート絶縁膜を形成する場合について説明する。ひずみSiSOI表面を、希フッ酸でウェット処理して表面を水素でターミネイトした後、この基板をMBE装置に導入する。基板温度を300℃とし、金属Srを蒸発源として用いて、Si基板上にSrを0.5モノレイヤー蒸着する。次いで、Si基板温度を600℃に昇温することによって、1モノレイヤのSrシリサイド(SrSi2)を形成し、Si表面をターミネイトする。この後、SiならびにSiSr2モノレイヤー層と格子定数がマッチしたペロブスカイト誘電体Sr0.5Ca0.5TiO3を100Å堆積する。
【0051】
なお、歪みSiの格子定数は5.48Åであり、ここで形成されたSiSr2およびSr0.5Ca0.5TiO3の格子定数は、それぞれ5.48Åおよび5.89Åである。
【0052】
本実施例においては、ひずみSiあるいはその上に極薄く形成したひずみSiと同一の格子定数を有するシリサイド層と格子マッチングの良好なペロブスカイト誘電体を堆積して、ゲート絶縁膜を形成している。これによって、界面準位が少なく、移動度が大きく、ゲートリークが少ないといった特性の優れたトランジスタを得ることができる。
【0053】
【発明の効果】
以上詳述したように本発明によれば、高誘電率であるとともに界面特性を良好に保持することが可能なゲート絶縁膜を有するMOSトランジスタが提供される。本発明を用いることによって、LSIの性能を維持しつつ、さらなる微細化を図ることが可能となり、その工業的価値は絶大である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るMOSトランジスタの一例の構成を表わす概略図。
【図2】本発明におけるゲート絶縁膜の製造方法の一例を表わす工程断面図。
【図3】本発明におけるゲート絶縁膜の製造方法の他の例を表わす工程断面図。
【図4】本発明におけるバッファー層および誘電体層に適した組成を説明する図。
【符号の説明】
1…シリコン基板
2…素子分離領域
3…ゲート絶縁膜
4…ゲート電極
5…拡散層(ソース・ドレイン領域)
6…CVDシリコン窒化膜
7…層間絶縁膜
8…Al配線
11…シリコン基板
12…素子分離領域
13…シリサイド
14…高誘電体
21…シリコン基板
22…素子分離領域
23…シリサイド
24…バッファー層
25…高誘電体
R1…Siと格子整合する組成領域
R2…バッファー層として適する組成領域
R3…誘電体層として適する組成領域

Claims (1)

  1. Siを主成分とする半導体基板と、前記半導体基板上にSrシリサイドを介して接合してエピタキシャル成長されたペロブスカイト誘電体を含むゲート絶縁膜とを具備し、
    前記ペロブスカイト誘電体は、以下で表わされる組成を有し、格子定数は3.84Å<a<3.88Åであることを特徴とするMOS電界効果トランジスタ。
    Sr1-xCaxTi1-yZry3-d
    (ここで、0.8≦x≦1.0、0<y≦0.5、dは酸素欠損を表わし、0≦d≦0.1である。)
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