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JP3871562B2 - 光学素子機能を有する透明導電膜およびその製造方法 - Google Patents

光学素子機能を有する透明導電膜およびその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光学素子としての機能を有している透明導電膜およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
酸化インジウムや酸化錫、酸化亜鉛などに代表される金属酸化物はワイドギャップ半導体として利用されており、また可視光の領域で透明且つ電気伝導性を有することから、透明導電膜に幅広く応用されている。特に酸化インジウムに酸化錫を添加した金属酸化物である酸化インジウム錫(「ITO」と称する場合がある)は、良好な透明性と電気伝導性を持ち合わせた材料であるため、ディスプレイ用透明電極、タッチパネル用金属酸化物膜、透明電磁シールド膜、透明平面ヒータ、熱線反射膜などとして極めて広い分野で応用されている。
【0003】
ITO膜は、主にスパッタリング法、真空蒸着法、イオンプレーティング法などのドライプロセスや、熱分解法やゾル−ゲル法などのウェットプロセスなどにより、基板上に形成されているが、なかでもスパッタリング法は、膜質の制御性、膜厚の制御性等に優れているので、広く用いられている。
【0004】
また、インジウムはスパッタリング率が非常に大きい材料であり、スパッタリング法により非常に速い成膜速度で、しかも優れた生産性および制御性で、薄膜を形成することができる。
【0005】
一方、ガラスなどの透明材料に、ナノ秒(10-9秒)のオーダーから、ピコ秒(10-12秒)オーダー、さらにはフェムト秒(10-15秒)のオーダーのパルス幅を有する超短パルスレーザー光を集光して照射し、多光子吸収を利用してガラス内部に屈折率が変調した誘起構造を書き込む技術が注目を浴びており、例えば、特開2000−56112号公報に開示されている。
【0006】
また、酸化インジウム、酸化錫、酸化亜鉛等の金属酸化物膜は一般的に屈折率が高く、しかもスパッタリング法により成膜する際、ターゲットに導電性があるため直流スパッタリングが可能であるので、簡便且つ安価な装置で、しかも速い成膜速度で膜を形成することができるという特徴から、高屈折率材料として広く用いられている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、現在広く応用されているITOなど金属酸化物膜に関して、パルス幅が10-6秒以下である(例えば、パルス幅がナノ秒のオーダー〜フェムト秒のオーダーである)パルスレーザーを照射することや、該照射による誘起構造形成の検討は行われていなかった。
【0008】
従って、本発明の目的は、インジウム、錫および亜鉛のうち少なくとも1つの金属原子を金属原子の主成分とする金属酸化物膜に光加工が施されてなる、光学素子機能を有する導電膜およびその製造方法を提供することにある。
本発明の他の目的は、高屈折率を有しており、しかも透明で且つ電気伝導性を有している光学素子機能を有する導電膜およびその製造方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の目的を達成するため鋭意検討した結果、インジウムを金属原子の主成分として含有している金属酸化物膜に、集光されたレーザーを照射すると、多光子吸収により、その照射部分に極めて微細な誘起構造を、優れた制御性で形成することができることを見出し、本発明を完成させた。
【0010】
すなわち、本発明は、インジウム、亜鉛および錫から選択された少なくとも一種の金属原子を金属原子の主成分として含有している金属酸化物膜に、集光されたパルス幅10 -6 秒以下のレーザーの照射により、構造が変化した構造変化部が形成されていることを特徴とする光学素子機能を有する透明導電膜である。
【0011】
前記金属酸化物膜としては、インジウムを金属原子の主成分として含有していることが好ましい。また、金属酸化物膜は、主成分として含有している金属原子以外の金属原子であって、インジウム、錫、ジルコニウム、亜鉛、チタン、セリウム、タンタル、ゲルマニウム、バナジウム、イットリウムおよびニオブから選択された少なくとも一種の金属原子を含有していてもよい。さらにまた、金属酸化物膜は、ガラス製基板上に形成されていてもよい。
【0012】
ーザーとしては多光束干渉によるコヒーレント光を好適に用いることができる。
【0013】
本発明の光学素子機能を有する透明導電膜は、金属酸化物膜内に、エネルギーバンドギャップが5.0eV以上である透明薄膜を有していてもよい。
【0014】
また、本発明は、インジウム、亜鉛および錫から選択された少なくとも一種の金属原子を金属原子の主成分として含有している金属酸化物膜に、集光されたパルス幅10 -6 秒以下のレーザーの照射により、構造が変化した構造変化部を形成することを特徴とする光学素子機能を有する透明導電膜の製造方法を提供する。
【0015】
【発明の実施の態様】
以下に、本発明を必要に応じて図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、同一の部材については、同一の符号を付している場合がある。
[光学素子機能を有する透明導電膜]
本発明の光学素子機能を有する透明導電膜(「光学機能性導電膜」と称する場合がある)は、インジウム、亜鉛および錫から選択された少なくとも一種の金属原子を金属原子の主成分として含有している金属酸化物膜(「MO膜」と称する場合がある)の所定部位を、集光されたレーザーの照射により、構造が変化した構造変化部を形成することにより作製することができる。集光されたレーザーの照射により構造変化部が形成される所定部位は、MO膜の如何なる部位であってもよく、例えば、上面から下面にかけての部位、いずれかの面(上面や下面など)から内部にかけての部位や、内部の一部などが挙げられる。このように、光学機能性導電膜は、MO膜に部分的に構造変化部が形成された構成、すなわち、構造変化部と構造未変化部とを有する金属酸化物膜である。
【0016】
なお、構造変化部は、構造未変化部と構造が異なっていればよく、該異なる構造としては、例えば、密度が変化したり(例えば、密度が高くなったり又は高密度化したり)、酸素原子が脱離したりすることによる異なった構造であってもよい。そのため、構造変化部と構造未変化部とは、例えば、屈折率が異なっていてもよい。
【0017】
(MO膜)
MO膜において、その材料(又は素材)としては、インジウム、亜鉛および錫から選択された少なくとも一種の金属原子を金属原子の主成分として含有する金属酸化物であれば特に制限されない。該金属酸化物において、主成分としての金属原子(インジウム、亜鉛および錫から選択された少なくとも一種の金属原子)は、金属原子全量に対して70重量%以上、好ましくは90重量%以上、さらに好ましくは95重量%含まれていることが重要である。
【0018】
具体的には、MO膜の材料としての金属酸化物の金属原子において、主成分はインジウム、亜鉛および錫のうち少なくとも1種の金属原子であり、他の含有成分(副成分)としては、ジルコニウム、チタン、セリウム、タンタル、ゲルマニウム、バナジウム、イットリウム、ニオブ等の金属原子を用いることができる。この他の含有成分は単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。また、副成分としてインジウム、亜鉛、錫を用いることもできる。従って、本発明では、副成分の金属原子としては、主成分として含有している金属原子以外の金属原子であって、インジウム、錫、ジルコニウム、亜鉛、チタン、セリウム、タンタル、ゲルマニウム、バナジウム、イットリウムおよびニオブから選択された少なくとも一種の金属原子を用いることができる。
【0019】
本発明では、MO膜としては、インジウムを金属原子の主成分とする金属酸化物(「IO系膜」と称する場合がある)が特に好ましい。なお、該IO系膜の金属原子における他の含有成分としては、錫、亜鉛が好ましく、特に錫が最適である。
【0020】
MO膜は、金属酸化物からなっており、例えば、インジウムは酸化インジウムの形態で、亜鉛は酸化亜鉛の形態で、錫は酸化錫の形態でそれぞれ含まれている。また、他の含有成分の金属原子も、金属酸化物の形態で含まれていてもよい。具体的には、MO膜の材料である金属酸化物としては、酸化インジウムと酸化錫とが混合されている金属酸化物(酸化インジウム錫:ITO)を好適に用いることができる。
【0021】
集光されたレーザーによる光加工を行うMO膜は、アモルファス状態(非晶性)を有していてもよい。MO膜は、完全なアモルファス状態を有していることが好ましいが、部分的に結晶状態(特に微結晶状態)を有していてもよい。MO膜の成膜方法としては、特に制限されず、公知乃至慣用の成膜方法を用いることができる。より具体的には、成膜方法としては、例えば、スパッタリング法、真空蒸着法、イオンプレーティング法等のドライプロセスや、熱分解法やゾル−ゲル法等のウェットプロセスなどを用いることができる。
【0022】
これらの成膜方法では、基板上にMO膜を形成することができる。該基板としては、公知乃至慣用の基板(例えば、ガラス製基板、プラスチック製基板、金属製基板など)であれば特に制限されないが、ガラス製基板(ガラス基板)を好適に用いることができる。ガラス製基板の材質(ガラス)としては特に制限されない。なお、MO膜は、基板(例えば、ガラス製基板など)上に成膜された状態で、光加工を行うことができる。
【0023】
本発明では、MO膜としては、スパッタリング法により成膜されていることが好ましい。例えば、スパッタリング法により成膜する場合、微結晶の成長を抑制し、均一なアモルファス構造を得るために、水蒸気分圧が5×10-4〜5×10-2Paとなるような水分を成膜雰囲気内に導入することができる。特に、スパッタリング時にターゲット(金属酸化物)に印加する電力を大きくして成膜速度を高める場合、成膜に伴う輻射熱や、反跳原子などにより基板温度が上昇し、微結晶が発生しやすくなるが、上記条件にて水分を導入することにより、それらを抑制することができる。水分の導入方法やその他の成膜条件は特に制限されるものではないが、特に微結晶がなく均一なアモルファス状態の膜を形成することができる条件が好ましい。
【0024】
なお、MO膜は、上面が平面である形状の膜(又は層)を用いているが、その上面は平面や凹凸形状であってもよく、また、上面の大きさ(面積)も特に制限されない。さらにまた、MO膜の膜厚(又は層厚)としては、例えば、0.01〜50μm(好ましくは0.05〜30μm、さらに好ましくは0.1〜10μm)程度の範囲から選択することができる。MO膜の膜厚が、0.01μm未満であると、平面的に連続したMO膜が得られにくくなり、50μmを越えると、MO膜にクラックが発生するなどの問題が生じる場合がある。
【0025】
また、MO膜は、単層および多層のいずれの構造を有していてもよい。さらにまた、MO膜は、膜内に他の透明膜(又は層)を有していてもよい。このような他の透明膜は、導電性を有していてもよく、導電性を有していなくてもよい。特に、集光されたレーザーによる加工性を高めるためには、他の透明膜のエネルギーバンドギャップが5.0eV以上(好ましくは7.0eV以上、さらに好ましくは8.0eV以上)であることが望ましい。MO膜などの金属酸化物膜のエネルギーバンドギャップは、素材や添加物などに応じて、およそ3.5eV程度であるので、他の透明膜のエネルギーバンドギャップは、5.0eV以上であると、MO膜のエネルギーバンドギャップよりも約1.5eV以上も大きくなる。そのため、レーザー光の強度やその集光の程度を適宜調整することにより、他の透明膜には何ら影響を与えずに(すなわち、何ら誘起構造を生じさせずに)、MO膜のみに誘起構造を形成することができる。このことは、後述するMO膜と基板との関係と同様である。
【0026】
このような他の透明膜の材料(素材)としては、特に制限されないが、例えば、二酸化ケイ素(SiO2)、酸化アルミニウム(Al23)、フッ化アルミニウム(AlF3)、フッ化カルシウム(CaF2)、酸化ハフニウム(HfO2)、フッ化マグネシウム(MgF2)、酸化マグネシウム(MgO)などが挙げられる。該材料は単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
【0027】
なお、他の透明膜は単層および多層のいずれであってもよい。他の透明膜の形成方法は、特に制限されない。また、MO膜内に、他の透明膜が複数設けられていてもよく、この場合、MO膜と他の透明膜とが交互に積層された多層構造の形態に対応する。さらにまた、このような他の透明膜は積層によりMO膜の外部に設けることも可能である。従って、本発明では、MO膜は、他の透明膜と積層された構成を有していてもよい。
【0028】
他の透明膜の厚みとしては、特に制限されないが、薄膜であることが好ましい。具体的には、他の透明膜の厚みとしては、例えば、0.01〜50μm(好ましくは0.05〜30μm、さらに好ましくは0.1〜10μm)程度の範囲から選択することができる。
【0029】
なお、MO膜には、金属酸化物の他に、必要に応じて他の材料や添加剤等が含まれていてもよい。
【0030】
また、MO膜は、通常優れた透明性を有しているが、可視光波長領域(例えば、400nm〜800nm)において全光線透過率が10%以上(好ましくは50%以上、さらに好ましくは85%以上)であることが望ましい。このように、10%以上の光透過性を有していると、波長が可視光波長領域にあるレーザーの照射により、レーザー加工が容易に出来るようになる。
【0031】
(集光されたレーザー)
本発明では、集光されたレーザー(「集光レーザー」と称する場合がある)を用いていることが重要である。集光レーザーをMO膜の外部から照射することにより、MO膜の集光レーザーが照射された照射部及びその周辺部の構造を変化させることができ、微細な構造変化部(誘起構造部)を形成することができる。例えば、照射するレーザーの波長を800nmとすると、集光していないレーザーを照射した際には、MO膜にも、基板にも何の変化も生じないが、集光レーザーを照射すると、多光子の吸収(例えば、2光子の吸収、3光子の吸収、4光子の吸収、5光子の吸収など)が生じて、MO膜に誘起構造を形成することが可能となる。なお、このような多光子吸収の起こる確率は、光の強度に比例して増加し、また、強度が強くなる程、多光子の吸収が起こりやすくなる。
【0032】
特に本発明では、レーザー光の強度やその集光の程度を適宜調整することにより、基板(特に、ガラス製基板)には何ら影響を与えず(すなわち、何ら誘起構造を生じさせず)に、MO膜のみに誘起構造を形成することができる。MO膜などの金属酸化物膜のエネルギーバンドギャップは、素材や添加物などに応じて、およそ3.5eV程度である。一方、基板のエネルギーバンドギャップとしては、例えば、ガラス製基板である場合、ガラスの種類や添加剤などに応じて、およそ8.9eV程度であり、MO膜などの金属酸化物膜のエネルギーバンドギャップよりも約5.4eV程度大きい。そのため、例えば、基板がガラス製基板である場合、該ガラス製基板に多光子吸収を生じさせるには、およそ6光子以上の多光子吸収が生じる必要があり、極めて高強度のレーザー照射が必要となる。従って、基板としてはエネルギーバンドギャップが5.0eV以上(好ましくは7.0eV以上、さらに好ましくは8.0eV以上)であるものが好ましい。
【0033】
従って、本発明では、集光レーザーの照射により、必要に応じてレーザー光の強度やその集光の程度を適宜調整して、集光レーザーが照射された部位に誘起構造を形成することができ、しかも、基板上に成膜されたMO膜の厚みが、集光レーザーの集光スポット径の大きさよりも薄い厚み(又は小さい厚み)であっても、MO膜のみに誘起構造を形成することができる。また、他の透明膜が積層されていても、MO膜の部分のみに誘起構造を形成することができる。
【0034】
このようなレーザーとしては、パルス幅が10-6秒以下(例えば、1×10-6秒〜1×10-15秒程度)のレーザーを用いることができ、好ましくは1×10-9秒〜1×10-15秒であり、特に1×10-12秒〜1×10-15秒のレーザー(「超短パルスレーザー」と称する場合がある)が好ましい。パルス幅が小さいもの(特に、パルス幅が1×10-12秒〜1×10-15秒である超短パルスレーザー)ほど、容易に高い光強度が得られる点で好ましい。また、より一層微細な誘起構造部を形成することも可能となる。
【0035】
なお、パルス幅が1×10-12秒〜1×10-15秒である超短パルスレーザーとしては、パルス幅が10×10-15秒〜500×10-15秒(好ましくは50×10-15秒〜300×10-15秒)程度であるパルスレーザーが好適である。このような超短パルスレーザーは、例えば、チタン・サファイア結晶を媒質とするレーザーや色素レーザーを再生・増幅して得ることができる。
【0036】
レーザー(特に、超短パルスレーザー)において、その波長としては、例えば、可視光の波長領域(例えば、400〜800nm)であることが好ましい。また、その繰り返しとしては、例えば、1Hz〜80MHzの範囲から選択することができ、通常、10Hz〜500kHz程度である。
【0037】
なお、レーザー(特に、超短パルスレーザーの)平均出力又は照射エネルギーとしては、特に制限されず、目的とする構造変化部の大きさや構造の変化の程度等に応じて適宜選択することができ、例えば、500mW以下(例えば、1〜500mW)、好ましくは5〜300mW、さらに好ましくは10〜100mW程度の範囲から選択することができる。このように、本発明では、レーザー(特に、超短パルスレーザー)の照射エネルギーは低くてもよい。
【0038】
本発明では、レーザーは多光束干渉(例えば、2光束干渉や、3以上の光束による干渉など)によるコヒーレント光を用いることも可能である。レーザーとして2光束干渉等の多光束干渉によるコヒーレント光を用いることにより、レーザー光の波長オーダーの周期構造を目的とする周期構造に容易にコントロールして形成することができる。例えば、2光束干渉による照射の場合、その光束間の角度を制御することにより、周期構造の間隔を制御することもできる。さらに、照射時にMO膜又は基板を適宜スキャンさせたり、さらに複数の光束を用いたりすることで自在に複雑な周期構造を形成することができ、これらの方法についても特に制限されるものではない。
【0039】
レーザーを集光させる方法としては、特に制限されず、例えば、集光レンズを用いる方法を好適に採用することができる。このような集光レンズとしては、特に制限されず、MO膜の材質、目的とする構造変化部の大きさや構造の変化の程度などに応じて適宜選択することができる。
【0040】
集光レーザーの照射スポット径としては、特に制限されず、目的とする構造変化部の大きさや構造の変化の程度、集光レンズの大きさや開口数又は倍率などに応じて適宜選択することができ、例えば、1.0〜50μm(好ましくは10〜30)程度の範囲から選択することができる。
【0041】
(照射方法)
集光レーザーの照射方法としては、特に制限されず、例えば、任意の部位(又は箇所)の一点のみに又は一点毎に照射したり、焦点の位置を移動させながらライン状に照射したりする方法を採用することができる。集光レーザー光の焦点位置を移動させながら、集光レーザー光を照射する際のライン状としては、特に制限されず、任意のライン状であってもよく、例えば、直線状や曲線状などが挙げられる。また、集光レーザー光の焦点位置は、連続的又は間欠的に移動させることもできる。なお、集光レーザー光をコンピュータ制御して照射することにより、どんな複雑なライン状であっても、集光レーザー光の焦点位置を移動させながら照射することが可能である。
【0042】
図1は本発明の集光レーザー光の照射方法の一例を示す概略鳥瞰図である。図1において、1は光学機能性導電膜、11はMO膜、2は構造変化部、3は構造未変化部、4は基板である。また、51はパルス幅が10-12秒以下である超短パルスレーザー(単に「レーザー」と称する場合がある)、52は集光レンズであり、5は集光レーザーである。光学機能性導電膜1は、MO膜11から作製されており、構造変化部2は集光レーザー5の照射による影響を受けて構造が変化した部位であり、また、構造未変化部3は集光レーザー5の照射による影響を受けておらず、元の状態を保持している部位である。
【0043】
また、MO膜11は、基板4上に成膜されて作製されており、該MO膜11の上面は、平面であり、X−Y平面に対して平行、又はZ軸に対して垂直となっている。
【0044】
このMO膜11の所定部位に、集光レーザー5を焦点を合わせて照射している。なお、集光レーザー5は、集光レンズ52によりレーザー51が集光されたレーザーである。
【0045】
6aは集光レーザー5の照射をし始めたときの焦点を合わせた最初の位置又はその中心位置(「照射開始位置」と称する場合がある)、6bは集光レーザー5の照射を終えたときの焦点を合わせた最終の位置又はその中心位置(「照射終了位置」と称する場合がある)、6cは集光レーザー5の照射の焦点又はその中心位置(単に「焦点位置」と称する場合がある)が照射開始位置6aから照射終了位置6bに移動する移動方向である。6は集光レーザー5の照射の焦点位置又は焦点の中心位置が移動した軌跡(「焦点位置軌跡」と称する場合がある)である。すなわち、図1では、集光レーザー5の焦点位置を、照射開始位置6aから照射終了位置6bにかけて、焦点位置の移動方向6cの方向で、連続的に直線的に移動させており、該移動した焦点位置の軌跡が焦点位置軌跡6である。
【0046】
具体的には、MO膜11に集光レーザー5が照射されて、前記集光レーザー5の焦点位置軌跡6上の各焦点位置及びその周辺部(近辺部)における構造が変化しており、この部分的な構造の変化により、光学機能性導電膜1は、ライン状の構造変化部2と、元の状態の構造未変化部3とを有している。
【0047】
また、集光レーザー5の照射に際して、その焦点の位置を連続的に移動させているので、MO膜11に、構造が変化している部位も焦点位置の移動に応じて連続的に移動して、移動方向に延びて変化した部位からなる構造変化部2が形成されている。図1に示すように、集光レーザー5の焦点位置を、移動方向6の方向に、照射開始位置6aから照射終了位置6bに移動させた場合、移動方向6cの方向に沿って形成された構造変化部2を形成することができる。従って、構造変化部2の長手方向は、移動方向6cの方向である。
【0048】
集光レーザー5の焦点位置を移動させる速度(移動速度)は、特に制限されず、MO膜11の材質や集光レーザー5の照射エネルギーの大きさ等に応じて適宜選択することができる。なお、前記移動速度をコントロールすることにより、構造変化部2の大きさ等をコントロールすることも可能である。
【0049】
なお、集光レーザー5の焦点位置の移動は、レーザー51及び集光レンズ52と、MO膜11との相対位置を動かせることにより、例えば、レーザー51及び集光レンズ52、及び/又はMO膜11を移動させることにより、行うことができる。具体的には、例えば、2次元又は3次元の方向に精密に動かすことができるステージ上にMO膜(照射サンプル)を設置し、レーザー発生装置及び集光レンズを前記MO膜に対して焦点が合うよう(任意の部位でよい)に固定し、前記ステージを動かせて焦点位置を移動させることにより、MO膜の任意の部位に構造変化部を作製することができる。
【0050】
このように、光学機能性導電膜は、集光レーザー(特に、パルス幅が10-12秒以下の超短パルスレーザーが集光されたレーザー)を照射して、必要に応じて前記焦点位置を移動させるという簡単な操作により、任意の部位に構造が変化した部位(構造変化部)を形成して作製することができる。
【0051】
また、図1では、集光レーザー5の焦点位置を、MO膜11の上面から一定の深さに保持して、移動させている。しかし、集光レーザー5の焦点位置が、多少上下に変化して基板や他の透明膜に焦点位置がずれたとしても、集光レーザー光5の強度を、MO膜11に誘起構造が形成されるのに(多光子吸収を起こすのに)十分な強度で、且つ基板(ガラス製基板など)4や他の透明膜には誘起構造が形成されないような強度に調整することにより、極めて優れた再現性で、MO膜11のみにライン状の誘起構造部(構造変化部2)を形成することができる。
【0052】
なお、図1では、集光レーザー5の焦点位置を移動させることにより、構造変化部2が移動方向に連続的に形成されており、焦点位置の移動方向が長手方向となっている。従って、長手方向における構造変化部2の長さは、例えば、集光レーザー5の焦点位置を移動させた移動距離に対応させて、調整することができる。例えば、集光レーザー5の焦点位置を直線的に移動させた場合、構造変化部2の焦点移動方向における長さとしては、集光レーザー5の焦点位置を移動させた移動距離と同等又はほぼ同等にすることができる。
【0053】
また、本発明では、構造変化部2において、構造の変化の程度は、均一であってもよく、不均一であってもよい。従って、構造変化部2は、構造の変化の程度が均一的であってもよく、また、構造未変化部側の端部から内部又は焦点位置若しくはその中心に向かって、構造の変化の程度が徐々に連続的に増加するように構造が変化していてもよい。なお、本発明では、構造変化部2と、構造未変化部3との界面(又は境界)は、明瞭又は不明瞭となっていてもよいが、明瞭であることが望ましい。
【0054】
構造変化部の大きさとしては、特に制限されず、直径又は1辺の長さが1mm以下(好ましくは500μm以下)の極めて小さななものであっても、精密に制御して形成することができる。特に、レーザーとして超短パルスレーザーを用いることにより、構造変化部をより一層精密に制御することが可能となる。
【0055】
本発明では、1つの光学機能性導電膜において、構造変化部の数は、特に制限されず、単数であってもよく、複数であってもよい。構造変化部が複数設けられている場合、適度な間隔を隔てて形成することができる。この構造変化部間の間隔は、任意に選択することができる。前記構造変化部間の間隔は、例えば、5μm以上であることが好ましい。構造変化部間の間隔が5μm未満であると、構造変化部の作製時に構造変化部同士が融合して、独立した複数の構造変化部とすることができない場合がある。
【0056】
なお、構造変化部の大きさ、形状、構造の変化の程度などは、集光レーザーの照射時間、集光レーザーの焦点位置の移動方向やその速度、MO膜の材質の種類、レーザーのパルス幅の大きさや照射エネルギーの大きさ、集光レンズの開口数や倍率などにより適宜調整することができる。
【0057】
このように、MO膜に、集光レーザーの照射を行うと、集光レーザーの照射部において、金属酸化物の構造が変化した構造変化部が形成されて、図2に示されるように、構造変化部及び構造未変化部を有する光学機能性導電膜が作製される。図2は、本発明の光学機能性導電膜の一例を示す概略断面図である。図2において、1〜4は図1と同様に、それぞれ、光学機能性導電膜、構造変化部、構造未変化部、基板である。光学機能性導電膜1は、構造変化部2と、構造未変化部3とから構成され、基板4上に形成されている。
【0058】
また、図3は、本発明の光学機能性導電膜の他の例を示す概略断面図である。図3において、1aは光学機能性導電膜、1bは他の透明膜、2aは構造変化部、3aは構造未変化部である。4は図1及び図2と同様に基板である。光学機能性導電膜1aは他の透明膜1bと積層された構成を有しており、これらの多層は基板4上に形成されている。また、光学機能性導電膜1aは、構造変化部2aと構造未変化部3aとから構成されている。一方、他の透明膜1bは単一構造(又は状態)の層であり、集光されたレーザーの照射による影響を受けていない。
【0059】
本発明の光学機能性導電膜は、構造の変化により、前述のように屈折率などの物性が変化していてもよい。このような変化する物性は、特に制限されず、例えば、電気的特性(耐電圧、抵抗率、誘電率など)、光学的特性(着色性、光吸収性、発光性、屈折率、光線透過率、光学的角度偏差など)、機械的特性(強度、伸度、粘弾性など)、熱的特性(耐熱性など)、物理的特性(溶解度、ガス透過性、吸湿性など)などが挙げられる。特に本発明では、構造の変化により屈折率が変化して(例えば、高くなって)、互いに屈折率が異なっている構造変化部および構造未変化部を有している。従って、光学機能性導電膜は、透明性及び電気伝導性を有するとともに、光学素子機能を有していてもよい。そのため、例えば、文献“菊田他、光学、27巻、第1号、p12、1998年”で解説されているような回折格子、偏光素子、位相差板、偏光ビームスプリッター、波長選択フィルタ、光導波路などの光学素子や、これらに導電性が付与された光学素子、導電膜(特に、透明導電膜)などとして好適に用いることができる。
【0060】
本発明の光学機能性導電膜は、求められる機能や要求特性に応じて、適宜集光レーザーによるレーザー加工が施されている。また、そのまま金属酸化物膜として用いてもよく、他の部材と組み合わせて用いてもよい。さらにまた、光学機能性導電膜には、任意の加工や処理(各種の後処理など)を施すことが可能である。
【0061】
【発明の効果】
本発明の光学機能性導電膜は、インジウム等を金属原子の主成分とする金属酸化物膜に、微細な光加工が施された透明導電膜であるので、透明で且つ電気伝導性を有しているとともに、高屈折率を有している。従って、電気伝導性と光学特性とを有する部材として極めて有用である。しかも、本発明の光学機能性導電膜の製造方法によれば、容易に作製することができる。
【0062】
【実施例】
以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
(実施例1)
市販の青板ガラス基板、および直径が15インチのITOターゲット[酸化インジウムと酸化錫とが90重量部(酸化インジウム):10重量部(酸化錫)の割合で混合された金属酸化物]をスパッタリング装置(商品名「高周波スパッタリング装置」日本真空社製)に装着した。真空チャンバー内を4×10-4Paまで真空排気した後、アルゴンガスを30SCCM、酸素ガスを0.5SCCM導入し、高真空ポンプのメインバルブ開閉度を調整することで、圧力を0.4Paに調整した。但し、アルゴンガスは洗浄用ビンに入れた蒸留水にバブリングさせたものを導入した。その結果、真空チャンバー内の水蒸気分圧が3×10-3Paに保持された。その後、直流電源にてITOターゲットに300Wの電力を印加し、ガラス製基板上に厚さ100nmの酸化インジウム錫膜(ITO膜)を成膜し、ITO膜がガラス製基板上に成膜されたサンプル(照射サンプルA)を得た。
【0063】
この照射サンプルAのガラス製基板上に成膜されたITO膜の上面から、該上面又はその付近に焦点を合わせて、チタン・サファイア・フェムト秒パルスレーザー装置及び対物レンズ(倍率:10倍)を使用して、超短パルスレーザー(照射波長:800nm、パルス幅:150×10-15秒、繰り返し:200kHz)を、照射エネルギー(平均出力):60mW、照射スポット径:約20μmの条件で、照射サンプルAを照射方向に垂直な方向に移動速度:約500μm/秒で移動させながら照射したところ、照射サンプルAのITO膜部分のみに、超短パルスレーザーの照射を開始した焦点位置(照射開始位置)から、照射を止めた焦点位置(照射終了位置)にかけて、元のITO膜とは異なる構造を有する構造変化部(誘起構造部)が形成された金属酸化物膜(透明導電膜)が得られた。
【0064】
この超短パルスレーザーが照射された照射サンプルAの断面観察を行ったところ、構造変化部の幅は約20μmであり、膜厚方向に関しては照射部全体が構造変化を起こしていた(すなわち、構造変化部の厚みは100nm)。すなわち、幅が約20μm、厚さが100nmの断面を有するライン状の構造変化部が形成されていた。
【0065】
従って、ガラス製基板上に、誘起構造部と、元の状態の部(誘起されていない部)とを有しているITO膜が形成された。
【0066】
(比較例1)
実施例1と同様の市販のガラス製基板(厚さ:1.5mm)に、実施例1と同様の条件で、超短パルスレーザーを照射したところ、ガラス基板にはなんら構造変化は発生しなかった。
【0067】
(比較例2)
超短パルスレーザーの強度(照射エネルギー)を500mWに増加させたこと以外は比較例1と同様の条件で、超短パルスレーザーを照射したところ、ガラス基板の表面から内部に沿って、横幅20μm、縦幅100μmの範囲にわたって構造変化が生じていた。すなわち、形成された誘起構造は、超短パルスレーザーの照射部において縦方向に長い構造となった。
【0068】
従って、実施例1と、比較例1〜2とにより、実施例1の方法により、ITO膜のみに選択的に誘起構造を形成することができることは明らかである。
【0069】
(実施例2)
実施例1と同様にして、ガラス製基板上に厚さ1.5μmのITO膜が成膜されたサンプル(照射サンプルB)を作製した。この照射サンプルBに、実施例1と同様の条件で、超短パルスレーザーを照射したところ、幅20μm、長さ8mmのラインを15μmの間隔で15本形成し、約0.5mmの回折格子(回折格子A)を作製した。
【0070】
この回折格子Bに、波長が632.8nmのHe−Ne(ヘリウム−ネオン)レーザーを照射したところ、透過回折のスポットの出現を確認した。すなわち、サンプルBにおいて、レーザーが照射された部位に屈折率変調が生じていることが確認された。また、照射するラインの間隔を適宜変化させたサンプルについて、同様の回折スポットを確認したところ、回折スポットに古典理論のとおりの変化が生じることが確認された。
【0071】
(実施例3)
市販のガラス製基板(厚さ:1.5mm)上に実施例1と同様の方法で、厚さ200nmのITO膜を成膜したサンプル(照射サンプルC)を得た。この照射サンプルCに、図4に示す光学系を用いて、2光束照射によるレーザー照射を行った。用いたレーザー発生装置は、実施例1と同様のチタン・サファイア・フェムト秒パルスレーザー装置であり、照射エネルギー(平均出力)を20mW、照射時間を10秒間、2光束のなす角度(θ)を60°として、図5に示されるようなレーザー光の干渉を用いて、ITO膜上に周期的な構造変化を書き込んだ。その結果、直径約60μmの円形領域にその光干渉に応じた周期構造が形成され、その周期は約900nmであった。
【0072】
また、2光束のなす角度を適宜変化させたサンプルを作製したところ、その周期はブラッグの回折条件に厳密に従って変化した。
【0073】
従って、例えば、狭帯域の波長選択フィルタである導波モード型共振フィルタなどを極めて容易にしかも再現性よく作製できることが確認できた。
【0074】
(実施例4)
ガラス製基板上に、二酸化ケイ素による膜(SiO2膜)(厚み100nm)/ITO膜(厚み100nm)/SiO2膜(厚み100nm)/ITO膜(厚み100nm)/SiO2膜(厚み100nm)の5層の積層体(多層膜)が成膜されたサンプル(照射サンプルD)を作製した。なお、ITO膜は実施例1と同様のスパッタリング条件により成膜し、SiO2膜はSiターゲットを用い、アルゴンガスと酸素ガスとの流量を調整し、反応性スパッタリング方法により形成した。
【0075】
この照射サンプルDに、実施例2と同様の条件で、超短パルスレーザーを15本のライン状で照射した後、この照射後のサンプルについて走査型電子顕微鏡により断面観察を行ったところ、構造変化はITO膜のみに生じており、ガラス製基板やSiO2膜には何ら構造変化は生じていなかった。
【0076】
(比較例3)
ガラス製基板上に、二酸化チタンによる膜(TiO2膜)(厚み100nm)/ITO膜(厚み100nm)/TiO2膜(厚み100nm)/ITO膜(厚み100nm)/TiO2膜(厚み100nm)の5層の積層体(多層膜)が成膜されたサンプル(照射サンプルE)を作製した。なお、ITO膜は実施例1と同様のスパッタリング条件により成膜し、TiO2膜はTiターゲットを用い、アルゴンガスと酸素ガスとの流量を調整し、反応性スパッタリング方法により形成した。
【0077】
この照射サンプルEに、実施例4と同様の条件で、超短パルスレーザーを15本のライン状で照射した後、この照射後のサンプルについて走査型電子顕微鏡により断面観察を行ったところ、ガラス製基板には何ら構造変化は生じていなかったが、ITO膜およびTiO2膜の両方に構造変化が生じていた。
【0078】
実施例4及び比較例4を比較すると、比較例4で用いられたTiO2膜のエネルギーバンドギャップは、3.3eVであり、ITO膜のエネルギーバンドギャップ3.5eVとほぼ同じである。一方、実施例4で用いられたSiO2膜のエネルギーバンドギャップは、8.9eVであり、ITO膜のエネルギーバンドギャップよりも約5.4eV程度大きい。従って、比較例4では、TiO2膜にITO膜と同様の多光子吸収が発生したために構造変化が生じ、実施例4では、SiO2膜に吸収をきたすような高次の多光子吸収が発生していないために構造変化が生じていないことが確認された。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の集光レーザー光の照射方法の一例を示す概略鳥瞰図である。
【図2】本発明の光学機能性導電膜の一例を示す概略断面図である。
【図3】本発明の光学機能性導電膜の他の例を示す概略断面図である。
【図4】2光束干渉の光学系を示す概略図である。
【図5】レーザー光の干渉を示す概略図である。
【符号の説明】
1 光学機能性導電膜
11 MO膜
2 構造変化部
3 構造未変化部
4 基板
5 集光されたレーザー
51 パルス幅が10-12秒以下である超短パルスレーザー
52 集光レンズ
6 集光レーザー5の焦点位置軌跡
6a 集光レーザー5の照射開始位置
6b 集光レーザー5の照射終了位置
6c 集光レーザー5の焦点位置の移動方向
1a 光学機能性導電膜
1b 他の透明膜
2a 構造変化部
3a 構造未変化部

Claims (7)

  1. インジウム、亜鉛および錫から選択された少なくとも一種の金属原子を金属原子の主成分として含有している金属酸化物膜に、集光されたパルス幅10 -6 秒以下のレーザーの照射により、構造が変化した構造変化部が形成されていることを特徴とする光学素子機能を有する透明導電膜。
  2. 金属酸化物膜が、インジウムを金属原子の主成分として含有している請求項1記載の光学素子機能を有する透明導電膜。
  3. 金属酸化物膜が、主成分として含有している金属原子以外の金属原子であって、インジウム、錫、ジルコニウム、亜鉛、チタン、セリウム、タンタル、ゲルマニウム、バナジウム、イットリウムおよびニオブから選択された少なくとも一種の金属原子を含有している請求項1記載の光学素子機能を有する透明導電膜。
  4. 金属酸化物膜が、ガラス製基板上に形成されている請求項1〜3の何れかの項に記載の光学素子機能を有する透明導電膜。
  5. レーザーが多光束干渉によるコヒーレント光である請求項1〜4の何れかの項に記載の光学素子機能を有する透明導電膜。
  6. 金属酸化物膜内に、エネルギーバンドギャップが5.0eV以上である透明薄膜を有している請求項1〜5の何れかの項に記載の光学素子機能を有する透明導電膜。
  7. インジウム、亜鉛および錫から選択された少なくとも一種の金属原子を金属原子の主成分として含有している金属酸化物膜に、集光されたパルス幅10 -6 秒以下のレーザーの照射により、構造が変化した構造変化部を形成することを特徴とする光学素子機能を有する透明導電膜の製造方法。
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