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JP3861606B2 - 自動車用ウエザストリップ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車用ウエザストリップ、特に自動車ドアのドアフレームの外周に沿って取付けられるウエザストリップに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図4に示すように、自動車ドア1の周縁にはウエザストリップ3が取付けられ、ドア閉時にドア1と車体側面のドア開口縁との間をシールするようになっている。
【0003】
ドア1の周縁のうち、ドアフレーム2へのウエザストリップ3の取付構造としては、ドアフレーム2の外周にリテーナを設けて、これにウエザストリップ3を嵌着する構造が一般に採用されているが、近時、リテーナを廃止してドアの軽量化およびコスト低減をはかり、クリップでウエザストリップ3を取り付ける構造が採用されるようになってきた。
【0004】
図5は、ドアフレーム2にクリップ5で固定されたウエザストリップを示すもので、ウエザストリップ3はスポンジゴムの押出成形体で、取付基部31、中空状のメインシール部32およびリップ状のサブシール部33を備えており、取付基部31内に頭部を貫挿したクリップ5をドアフレーム2の外周のウエザストリップ取付面22に設けたクリップ孔に圧入することにより取付けられている。そしてドア閉時、メインシール部32およびサブシール部33が車体のドア開口縁7に圧接する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところがクリップ5による上記取付構造には次のような問題がある。ウエザストリップ3のクリップ止めは通常100〜130mm程度の間隔でなされ、各クリップ5間の部分ではドアフレーム2のウエザストリップ取付面22に対する取付基部31の圧接力が低く、また浮上りが生じることもあり、シール性は必ずしも充分でない。
【0006】
一方、サブシール部33とドアフレーム2の外周突縁21との間はサブシール部33の外面に突設した小リップ331でシールはされているが、ウエザストリップ3の取付けバラツキ等で局部的にシールが不充分となることがあり、高圧洗車時などにおいて水がサブシール部33とドアフレーム2の外周突縁21の間から内部に侵入することが起こり得る。
【0007】
侵入した水は、ドアフレーム2のうち特に車体のルーフサイドに沿う部分2A(図4)では、相隣れるクリップ5間の部分で取付基部31の底面とウエザストリップ取付面22との間に入り込み、取付基部底面の下を横切るようにくぐって車室内に漏れるおそれがある。
【0008】
このくぐり水を防止する対策として図6に示すように、クリップ5によりドアフレーム2のウエザストリップ取付面22に固定されるウエザストリップ3の取付基部31の車外側の下端部に切欠き状の段差部310を取付基部31長手方向に一連に形成して、段差部310にその深さよりも厚い止水スポンジ8を一体的に形成することが提案されている(特開2000−185560)。
【0009】
しかし、この止水スポンジ8は当然のことながらウエザストリップ3本体よりも発泡倍率の高い軟質のものが用いられるから、クリップ75間での取付基部31の浮上り防止に役立つものではなく、また面圧も低いから、充分な止水効果は望めない。また高い発泡倍率で発泡成形された部材は厚さが局部的にばらつくから上記止水スポンジ8のシール性能を各部均一に設定しにくいという問題もある。
【0010】
本発明は上記実情に鑑み、クリップ止め部間で取付基部の下面を横切るくぐり水が発生しないウエザストリップを提供することを課題としてなされたものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は、自動車ドアのドアフレームの外周に沿って取付けられるウエザストリップであって、取付基部とドア閉時に車体のドア開口縁に圧接するシール部を備え、取付基部が間隔をおいて複数のクリップでドアフレーム外周に固定されるウエザストリップにおいて、取付基部のクリップ位置よりも車外側の端部に、車外側へ張り出し、底面が車外方向斜め上方に向けて傾斜する突出部を形成するとともに、上記底面からこれとほぼ直角方向に突出して先端がドアフレームのウエザストリップ取付面にその上方から圧接する止水リップを形成し、上記突出部内に、取付基部よりも硬質のゴムまたは熱可塑性エラストマーからなり断面形状が突出部とほぼ相似形の棒状の硬質部材を取付基部長手方向に埋設した(請求項1)。硬質部材によりクリップ間での取付基部の浮上を防止する。かつ、硬質部材が止水リップに対するドアフレームからの反力を受け止めて止水リップのドアフレームに対する圧接力を確保する。
【0012】
上記硬質部材を、上記突出部に埋設される断面形状が突出部とほぼ相似形の主部と、主部の車内側の上端から起立して突出部よりも上方へ延びる縦壁部とで全体を断面ほぼL字状に形成する(請求項2)。ウエザストリップをドアフレームの湾曲部に沿って湾曲させて取付けたときに、縦壁部によりウエザストリップの湾曲中心軸がウエザストリップの上部側、すなわちシール部側となり、シール部の倒れや変形を防止する。
【0013】
自動車ドアのドアフレームの外周に沿って取付けられるウエザストリップであって、取付基部とドア閉時に車体のドア開口縁に圧接するシール部を備え、取付基部が間隔をおいて複数のクリップでドアフレーム外周に固定されるウエザストリップにおいて、取付基部のクリップ位置よりも車外側の端部に、底面がドアフレームのウエザストリップ取付面に接して車外側へ張り出す突出部を形成するとともに、突出部の側面上端から起立し先端部側面がドアフレームの外周突縁の内側面の膨出部の下部に圧接する止水リップを形成し、上記突出部内に、取付基部よりも硬質のゴムまたは熱可塑性エラストマーからなり、断面形状が突出部とほぼ相似形の棒状の硬質部材を取付基部長手方向に埋設したことを特徴とする(請求項3)。硬質部材により取付基部の浮上を防止し、かつ止水リップのドアフレームに対する圧接力を確保する。
【0014】
【発明の実施の形態】
図1に示す実施形態において、ドアフレーム2の外周には平坦なウエザストリップ取付面22が形成してあり、該取付面22の車外側の端部から外周突縁21が起立している。
【0015】
ウエザストリップ3AはEPDMスポンジゴムの押出成形体で、取付基部31、取付基部31から膨出する中空状のメインシール部32およびメインシール部32よりも車外側で取付基部31から上方へ延出するリップ状のサブシール部33を一体に備えている。取付基部31の中央には肉抜き311が形成してある。取付基部31の底面には車内側の端部に突起35が、中央部よりも車外側に突起36がそれぞれ形成してある。これら突起35,36は取付基部長手方向にリブ状に延びている。
【0016】
取付基部31の車外側の側端下部には車外方向へ張り出す突出部37が形成してある。突出部37は丸味のある先端が車外方向へ突出する断面ほぼ三角形状で、その下面は、上記突起36から車外方向斜め上方へ向けて傾斜し、取付基部31の車外側の端部傾斜底面38を形成している。そして該底面38の幅方向ほぼ中央からこれとほぼ直角方向に止水リップ34が突出し、ウエザストリップ取付面22に対しその上方から圧接している。
【0017】
上記突出部37内には、突出部37とほぼ相似の断面形状の硬質部材4が埋設してある。硬質部材4は取付基部31長手方向に棒状に延びており、ウエザストリップ3Aの本体を押出成形するときに同時押出成形される。硬質部材4はEPDMスポンジゴムからなるウエザストリップ3Aの取付基部31よりも硬度が高い、例えば非発泡のEPDMゴム、取付基部31よりも発泡倍率が小さいEPDMスポンジゴム、あるいはオレフィン系熱可塑性エラストマーあるいはオレフィン系樹脂からなる。
【0018】
上記の構造のウエザストリップ3Aは、取付基部31の幅方向ほぼ中央の底部に設けたクリップ孔39にクリップ5の頭部51を基部底面側から圧入挿通し、このようにして間隔をおいて複数のクリップ5を装着し、各クリップ5の係止部52を、ドアフレーム2のウエザストリップ取付面22に形成したクリップ孔23に圧入することによりウエザストリップ3Aはドアフレーム2に取付けられる。そしてドア閉時、ウエザストリップ3Aのメインシール部32およびサブシール部33がドアフレーム2と対向する車体のドア開口縁7に弾接する。
【0019】
ウエザストリップ取付状態において、各クリップ5付近では突起35,36および止水リップ34はドアフレーム2のウエザストリップ取付面22に強く圧接する。しかしながら従来のウエザストリップでは各クリップ5間では圧接力は必ずしも充分でない。これに対し本実施形態によるウエザストリップ3Aでは、各クリップ5間において止水リップ34に作用するウエザストリップ取付面22からの反力は、硬質部材4により剛性が高められた突出部37で受け止められるから、止水リップ34は浮上らず止水リップ34のウエザストリップ取付面22に対する圧接力はクリップ5付近とほぼ同等に維持される。これにより、ドアフレーム2の外周突縁21とウエザストリップ3のサブシール部33の小リップ331との当接部から水が侵入しても、この水が更に止水リップ34よりも奥へ侵入することはない。
【0020】
図2は本発明の他の実施形態を示すもので、取付基部の車外側の端部の構造が図1に示す先の実施形態と相違する。
ドアフレーム2の外周突縁21の内側面には車内方向へ凸状に湾曲する膨出部210が形成してある。ウエザストリップ3Bの取付基部31の車外端の突出部37は底面がドアフレーム2のウエザストリップ取付面22と当接する形状としてあり、側面の上端から止水リップ34が起立し、止水リップ34の先端部の車外側の側面が上記膨出部210の下部に圧接している。そして突出部37内には、その外周形状に沿うように丸味のあるほぼ四角形断面の硬質部材4が埋設してある。他の構造は図1に示す実施形態と実質的に同じである。
【0021】
本実施形態では、各クリップ5間において、剛性を高めた取付基部31の突出部37に変形は生じず、突出部37の底面および止水クリップ34の側面のドアフレーム2に対する圧接力は充分に確保される。
【0022】
図3は本発明の更に他のウエザストリップ3Cの要部断面を示すものである。
ウエザストリップ3C本体の構造は図1に示すものが実質的に同じであるが、硬質部材4の断面形状が相違する。硬質部材4は、突出部37とほぼ相似の断面形状の主部41と、主部41の車内側の上端から起立する縦壁部42とが一体となった全体が厚みのあるほぼL字形の断面形状としてある。縦壁部42は突出部37よりも上方へ延びサブシール部33の根元に向かって起立している。
【0023】
ウエザストリップは、一般に、長手方向にテンションを加えながらドアフレーム2にクリップ止めされる。そしてドアフレーム2のうち、ルーフサイドに沿う上枠部2A(図4)では、テンションを加えつつ、かつ湾曲状の上枠部2Aに沿いシール部32,33を湾曲外径側として湾曲させて上枠部2Aに取付けられる。このため、シール部32,33は伸ばされて中空状のメインシール部32ではつぶれ変形が生じ、リップ状のサブシール部33では倒れ変形が生じる傾向がある。
【0024】
そこで、本実施形態では、硬質部材4に上方に向けて延びる縦壁部42を形成したので、この縦壁部42により、ウエザストリップ3Cを湾曲させたときの湾曲中心軸が上方、すなわちシール部32,33側に移行する。このように湾曲中心軸をシール部32,33に近ずけることで、中空のメインシール部32におけるつぶれ変形を、リップ状のサブシール部33では倒れ変形を少なくすることができる。
【0025】
なお、上記各実施形態では、ウエザストリップの本体をEPDMゴムで構成したが熱可塑性エラストマーで構成してもよい。
【0026】
【発明の効果】
本発明によれば、クリップによりドアフレームに固定されるウエザストリップにおいて、各クリップ間における止水リップのドアフレームに対する圧接力の低下を防止し、ウエザストリップ全長にわたりほぼ均一かつ充分な圧接力を確保して、車外からの水がウエザストリップの取付基部の下を横切るようにくぐって、車室内に漏れるおそれをなくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図4のY−Y線に沿う位置での本発明のウエザストリップの取付状態断面図である。
【図2】上記と同位置での本発明の他のウエザストリップの要部断面を示す図である。
【図3】上記と同位置での本発明の更に他のウエザストリップの要部断面を示す図である。
【図4】自動車の側面図である。
【図5】図4のY−Y線に沿う位置での従来のウエザストリップの取付状態断面図である。
【図6】上記と同位置での従来の他のウエザストリップの取付状態断面図である。
【符号の説明】
1 ドア
2 ドアフレーム
21 外周突縁
210 膨出部
22 ウエザストリップ取付面
3,3A,3B,3C ウエザストリップ
31 取付基部
32,33 シール部
34 止水リップ
37 突出部(取付基部端部)
38 傾斜底面
4 硬質部材
41 主部
42 縦壁部
5 クリップ
7 車体のドア開口縁

Claims (3)

  1. 自動車ドアのドアフレーム(2)の外周に沿って取付けられるウエザストリップであって、取付基部31とドア閉時に車体のドア開口縁に圧接するシール部(32、33)を備え、取付基部(31)が間隔をおいて複数のクリップ(5)でドアフレーム外周に固定されるウエザストリップ(3)において、取付基部(31)のクリップ位置よりも車外側の端部に、車外側へ張り出し、底面(38)が車外方向斜め上方に向けて傾斜する突出部(37)を形成するとともに、上記底面(38)からこれとほぼ直角方向に突出して先端がドアフレーム(2)のウエザストリップ取付面(22)にその上方から圧接する止水リップ(34)を形成し、上記突出部(37)内に、取付基部(31)よりも硬質のゴムまたは熱可塑性エラストマーからなり断面形状が突出部(37)とほぼ相似形の棒状の硬質部材(4)を取付基部(31)長手方向に埋設したことを特徴とする自動車用ウエザストリップ。
  2. 上記硬質部材(4)を、上記突出部(37)に埋設される断面形状が突出部(37)とほぼ相似形の主部(41)と、主部(41)の車内側の上端から起立して突出部(37)よりも上方へ延びる縦壁部(42)とで全体を断面ほぼL字状に形成した請求項1記載の自動車用ウエザストリップ。
  3. 自動車ドアのドアフレーム(2)の外周に沿って取付けられるウエザストリップであって、取付基部(31)とドア閉時に車体のドア開口縁に圧接するシール部(32、33)を備え、取付基部(31)が間隔をおいて複数のクリップ(5)でドアフレーム外周に固定されるウエザストリップ(3)において、取付基部(31)のクリップ位置よりも車外側の端部に、底面がドアフレーム(2)のウエザストリップ取付面(22)に接して車外側へ張り出す突出部(37)を形成するとともに、突出部(37)の側面上端から起立し先端部側面がドアフレーム(2)の外周突縁(21)の内側面の膨出部(210)の下部に圧接する止水リップ(34)を形成し、上記突出部(37)内に、取付基部(31)よりも硬質のゴムまたは熱可塑性エラストマーからなり、断面形状が突出部(37)とほぼ相似形の棒状の硬質部材(4)を取付基部(31)長手方向に埋設したことを特徴とする自動車用ウエザストリップ。
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