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JP3735136B2 - 非湿潤性コーティング用組成物 - Google Patents

非湿潤性コーティング用組成物 Download PDF

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JP3735136B2 JP06978595A JP6978595A JP3735136B2 JP 3735136 B2 JP3735136 B2 JP 3735136B2 JP 06978595 A JP06978595 A JP 06978595A JP 6978595 A JP6978595 A JP 6978595A JP 3735136 B2 JP3735136 B2 JP 3735136B2
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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は「非湿潤性」コーティング用組成物及びその製造方法に係る。本発明は更にこのような組成物で被覆した物品及びその製造方法にも係る。
【0002】
本発明により処理される物品は無機又は有機ガラス製品、例えば特に板ガラス、眼鏡用レンズ、又は他の任意の同様の製品である。これらの板ガラスは特に航空又は自動車分野で使用される類である。更に、建築分野や、インテリア分野で使用されるガラス(例えば装飾鏡板として使用される板ガラス、家具用板ガラス等)でもよい。
【0003】
湿潤性なる用語は、例えば極性又は非極性液体が物品に付着して邪魔な膜を形成することを意味する。湿潤性なる用語は、物品が指の跡や、昆虫等のあらゆる種類の粉塵又は汚れを保持する傾向をも意味する。
【0004】
水及び/又は汚れが存在すると、外観を損ない、これらの物品を通した視界が変化し、物品の透明性が低下する。これらの問題は、輸送車両で使用される板ガラス又は眼鏡用レンズ用ガラスの場合に特に重大である。
【0005】
【従来の技術】
種々の非湿潤性コーティングが知られている。
【0006】
公知コーティングの1例は、例えばEP492545に記載されているようにフッ素含有オルガノシランから得られる。公知コーティングの別の例は、EP452723に記載されているようにペルフルオロアルキルシランとフッ素含有オレフィン性テロマーの混合物から得られる。
【0007】
しかしながら、これらのコーティングの湿潤性は経時的に劣化することが判明した。特に車両の板ガラスのコーティングの場合には、特に大気条件(水分、光)に起因する自然老化に加え、特に粒子衝撃(特にワイパー、布片、清掃用スクレーパーの摩擦の衝撃や、不確定な衝撃)に起因する多大な摩耗を受ける。
【0008】
耐摩耗性を改善するために、EP548775では−Si−O−Si−型の結合を含み且つフッ素含有基を含むポリシロキサン型の層が提案された。
【0009】
しかしながら、これらの層の性質から長期使用に完全には満足できるガラスは得られない。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、改善された耐摩耗性を提供する非湿潤性層で被覆された物品、特に摩耗を受けても非湿潤性を維持する物品を提案することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は、ケイ素原子に直接結合したアルコキシ官能を有する少なくとも1種のエポキシ化アルコキシシラン、加水分解性非エポキシ化シラン、コロイド状シリカ、触媒及び少なくとも1種の加水分解性フッ素含有アルキルシランを含有する溶液から得られる水解物を含む、疎水性、疎油性且つ耐摩耗性の熱硬化性コーティングを形成するための組成物に係る。
【0012】
本発明により使用されるフッ素含有アルキルシランは好ましくはペルフルオロアルキルシランであり、その鎖の末端にフッ素原子を有するため、優れた疎水性及び疎油性をガラスに与える。
【0013】
前記ペルフルオロアルキルシランの一般式は、好ましくはCF3−(CF2n−(CH2m−SiX3(I)(式中、n=0〜12、m=2〜5、Xは加水分解性官能基である)である。
【0014】
Xは塩素、水素、アシルオキシ基、又は好ましくは炭素原子数1〜10のアルコキシ基から選択される。
【0015】
前記ペルフルオロアルキルシランは特に式:CF3−(CF25−(CH22−Si(OR)3、CF3−(CF27−(CH22−Si(OR)3、CF3−(CF29−(CH22−Si(OR)3(式中、Rはメチル、エチル又はプロピルである)で表されるペルフルオロアルキルアルコキシシランから選択すると有利である。
【0016】
エポキシ化アルコキシシランは、好ましくは式(II):
【0017】
【化5】
Figure 0003735136
【0018】
(式中、p=0又は1、r=0、1又は2、sは1〜6の整数であり、M=H又は炭素原子数1〜4のアルキル、M’及びM”=炭素原子数1〜3のアルキルである)を有する。
【0019】
エポキシ化アルコキシシランの例は、γグリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γグリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γグリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γグリシドキシプロピルメチルジエトキシシランである。
【0020】
非エポキシ化シランは好ましくは下式(III):
【0021】
【化6】
Figure 0003735136
【0022】
(式中、N及びN’はSi−C結合を介してケイ素原子に結合され且つ組成物中に存在する加水分解シランと反応し得る基を含まない有機基であり、Q及びQ’は加水分解性官能基である)を有する。
【0023】
Q及びQ’は例えば塩素原子、水素原子、アシルオキシ基、又は好ましくは炭素原子数1〜10のアルコキシ基から独立して選択される。
【0024】
式(III)のシランのN及びN’基は、組成物中に存在する加水分解シランと反応し得る基(例えばSiOH)又は架橋基(例えばエポキシ基)をもたない。
【0025】
N及びN’基は好ましくは炭素原子数1〜10のアルキル基又は炭素原子数6〜10のアリール基(例えばフェニル基)から独立して選択される。
【0026】
式(III)のシランの例は、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、メチルフェニルジメトキシシランである。
【0027】
使用される触媒はエポキシ結合を開裂し得る触媒である。触媒はアルミニウムキレート又は式(IV)もしくは(V):
【0028】
【化7】
Figure 0003735136
【0029】
[式中、T、T’及びT”は炭素原子数1〜10の直鎖又は分枝鎖アルキル基であり、T”’は炭素原子数1〜10の直鎖もしくは分枝鎖アルキル基、フェニル基、式:
【0030】
【化8】
Figure 0003735136
【0031】
(式中、Tは上記と同義である)の基であり、qは1〜3の整数である]の化合物から選択される。
【0032】
アルミニウム化合物がアルミニウムキレートであるとき、組成物は好ましくは大気圧下で70〜140℃の沸点を有する有機溶剤を含有する。溶剤としては、エタノール、イソプロパノール、酢酸エチル、メチルエチルケトン、テトラヒドロピランを使用することができる。
【0033】
触媒が式IV又はVの触媒であるときにもこのような溶剤を使用し得る。
【0034】
本発明の組成物は更に他の有機溶剤を含有してもよく、該溶剤は好ましくはアルコール類(例えばメタノール)であり、組成物の粘度を調節するのに役立つ。
【0035】
アルミニウムキレートなる用語は、窒素及び硫黄を含まず且つ配位原子として酸素を含む金属イオン封鎖剤とアルミニウムアルコレート又はアルミニウムアシレートとを反応させることにより形成される化合物を意味する。例えば、式(VI):Al(OL)v3-v[式中、v=0、1又は2であり、Lは炭素原子数1〜10のアルキルであり、Yは式(1):R1COCH2COR2又は式(2):R3COCH2COOR4(式中、R1、R2、R3及びR4は炭素原子数1〜10のアルキルである)の化合物から生成される配位子である]を有するアルミニウムキレートを意味する。
【0036】
式(VI)の化合物の例としては、アルミニウムアセチルアセトネート、アルミニウムビスアセチルアセトネートエチルアセトアセテート、アルミニウムアセチルアセトネートビスエチルアセトアセテート、アルミニウムジn−ブトキシドモノエチルアセトアセテート、アルミニウムジプロポキシドモノメチルアセトアセテートを挙げることができる。
【0037】
式(IV)又は(V)の化合物としては、T’及びT”がイソプロピル基又はエチル基であり且つT及びT”’がメチル基である化合物を選択するのが好ましい。
【0038】
触媒としては式(IV)、(V)又は(VI)の化合物の1種以上を使用することができる。
【0039】
触媒は、60〜200℃の温度で数時間のオーダーの間に本発明の組成物の硬化を得るようにエポキシ結合を開裂し得る割合で使用する。触媒は、溶液の総重量の0.1〜5重量%の割合で使用する。
【0040】
架橋末端と反対側の鎖の末端にフッ素を有するフルオロシランが存在する結果、網状構造に強く固定するのに役立ち、耐摩耗性を改善する所望の疎水性及び疎油性を本発明のコーティングに与えることができる。
【0041】
本発明によると、このコーティングは反応基を含むポリシロキサン型の水解物から得られる。
【0042】
この水解物は、官能性オルガノシラン、特にエポキシ化アルコキシシラン、非エポキシ化シラン、フッ素含有アルキルシラン及びコロイド状シリカを特にシラノール及びエポキシ官能基により加水分解及び予備重合することにより得られる。
【0043】
組成物中にエポキシ化シラン及びコロイド状シリカが存在すると、架橋により所望の特性を改善し、特に最良の耐摩耗性を備えるコーティングが得られる。本発明をこの解釈に結び付けないならば、この特性はエポキシ化アルコキシシランの構造の特性に近似すると考えられ、実際に、エポキシ化アルコキシシランは少なくとも3個の反応基を含み、そのうちの少なくとも1個は末端の各々に存在し、従って、これらの両末端の炭素鎖は少なくとも3個のSi−O結合を形成しながらケイ素原子に結合する。
【0044】
他方、2個の反応基を含むシランを使用すると、良好な耐摩耗性を与える所定の硬度を備えながら、剛性がさほど高くないコーティングを得ることができ、亀裂が入りにくくなる。
【0045】
層中に存在する他の成分(即ちエポキシ化アルコキシシラン、非エポキシ化シラン及びコロイド状シリカ)に対するフッ素含有アルキルシランの比は、有利には組成物の乾燥抽出物を基にして0.1〜6質量%、好ましくは0.1〜4質量%である。フッ素含有成分が少量であるにも拘わらず、コーティングは満足な疎水性及び疎油性を有する。これとは対照的に従来技術の層では層中に存在する他の成分に対するフッ素含有成分の比が著しく高いのでこれらのコーティングの費用は増加するが、得られるガラスの疎水性は改善されない。
【0046】
理論的乾燥抽出物中のエポキシ化アルコキシシランの割合は、好ましくは≧30%である。30%を下回ると、層の耐摩耗性は不良になる。
【0047】
触媒は、本発明に従ってコポリマーを得るために有用なエポキシ結合を開裂するために十分な量で使用される。
【0048】
また、理論的乾燥抽出物が非エポキシ化シランに由来する固体材料5〜20重量%、好ましくは8〜16重量%、最適には10〜15重量%を含有する組成物を使用すると好適である。層中の非エポキシ化シランの相対比率は特に、得られる層の耐衝撃性に影響する。
【0049】
最良の特性をもたらす本発明の組成物は、理論的乾燥抽出物中にコロイド状シリカに由来する固体材料少なくとも40重量%、好ましくは約50重量%を含有する。コロイド状シリカに由来する固体材料の重量なる表記はSiO2重量を意味する。>50%の量では層に亀裂が生じる。他方、<40%の割合では層の耐摩耗性が比較的低くなる。
【0050】
成分A又はBに由来する固体材料の重量なる表記は、単位QkSiO(4-R)/2(式中、QはSi−C結合によりケイ素原子に直接結合した有機基であり、QkSiO(4-R)/2はQkSiR’に由来し、SiR’は加水分解処理によりSiOHをもたらし、kは0、1又は2を表す)で計算される重量を意味する。
【0051】
理論的乾燥抽出物重量はエポキシ化アルコキシシラン、非エポキシ化シラン、コロイド状シリカ及び触媒に由来する固体材料の合計計算重量である。
【0052】
実際に、理論的乾燥抽出物は測定乾燥抽出物にほぼ対応する。
【0053】
層は好ましくは、溶液の乾燥抽出物を基にしてエポキシ化アルコキシシラン30〜50重量%、コロイド状シリカ30〜55重量%、加水分解性非エポキシ化シラン10〜20重量%、1種以上の加水分解性フッ素含有アルキルシラン0.1〜6重量%、触媒0.1〜5重量%を含有する溶液から得られる。
【0054】
好適態様によると、層は溶液の乾燥抽出物を基にしてエポキシ化アルコキシシラン35〜40重量%、コロイド状シリカ40〜55重量%、加水分解性非エポキシ化シラン10〜15重量%、1種以上の加水分解性フッ素含有アルキルシラン0.1〜4重量%、触媒0.1〜5重量%を含有する溶液から得られる。
【0055】
特に有利な態様によると、層は溶液の乾燥抽出物を基にしてグリシドキシプロピルトリメトキシシラン35〜40重量%、コロイド状シリカ40〜55重量%、ジメチルジエトキシシラン10〜15重量%、式:CF3−(CF25−(CH22−Si(OEt)3、CF3−(CF27−(CH22−Si(OEt)3、CF3−(CF29−(CH22−Si(OEt)3で表されるペルフルオロアルキルアルコキシシランの群から選択される1種以上のペルフルオロアルキルアルコキシシラン0.1〜4重量%、アルミニウムアセチルアセトネート0.1〜5重量%を含有する溶液から得られる。
【0056】
他の成分を溶液に加えてもよい。例えば、被覆しようとする支持体上の溶液の湿潤性を改善するために界面活性剤を添加し得る。この界面活性剤は例えばシリコーン型又はフッ素含有界面活性剤である。架橋を改善するための触媒、酸化防止剤、顔料、紫外線吸収剤又は、ガラスの所定の特性を改善又は付与するための他の任意成分も添加し得る。
【0057】
本発明者らは、このコーティングの製造方法がコーティングの構造、従ってその特性に影響することを立証した。
【0058】
まず第1に加水分解に必要な水の量を十分に制御することが好ましい。この量は純水又は、例えば酸性の溶液として混合物に導入することができる。
【0059】
水を加えずに加水分解を行ってもよく、その場合には縮合反応により生成される水分子を利用する。また、水の量はアルコキシシランの重合に直接影響する。水の量が多ければ多いほど、網状構造は緻密になり、耐摩耗性は増加する。他方、網状構造が過度に緻密になると一方では亀裂を生じる危険があり、他方では粘度が過大になって溶液がガラスに堆積しにくくなる危険がある。従って、折衷を見いだす必要がある。
【0060】
有利な態様によると、酸性溶液を出発アルコキシシランに加え、水の量はエポキシ化及び非エポキシ化アルコキシシランのシラノール基に対して化学量論的量とする。他方、シリカは付加的な水を加えずにアルコール溶液中の懸濁液として導入すると有利である。場合によっては支持体への堆積時に溶液の粘度を調節するために溶剤を加えてもよい。
【0061】
層の形成方法は例えば、エポキシ化アルコキシシランと非エポキシ化シランを部分加水分解及び縮合する段階と、他の成分、特にコロイド状シリカ及び触媒を別々又は同時に加える段階と、アルコキシシランの加水分解及び/又は縮合中に1種以上のフッ素含有アルキルシランを加える段階とを含む。
【0062】
これらの種々の段階を得るためには、二次反応が発生しないようにすることが重要である。
【0063】
そこでフッ素含有アルキルシランが相互に反応しないようにするために、加水分解性基がハロゲン(例えば塩素)であるフッ素含有アルキルシランよりもフッ素含有アルキルアルコキシシランのほうが好適である。更に、この反応によりHClが発生すると、溶液のpHが変化し、ひいては操作条件が変化しかねない。
【0064】
より詳細には、まず最初にエポキシ化アルコキシシラン及び非エポキシ化シランのシラノール基に対して化学量論的量の酸性溶液の存在下でこれらの2種のシランの水解物を形成する。フッ素含有アルキルシランは非エポキシ化アルコキシシランの導入前、導入中又は導入後に導入する。他の成分、特にコロイド状シリカ及びエポキシ結合を開裂し得る触媒はこのときに導入する。存在する水の量を制御するためにシリカをアルコール溶液に懸濁する。シリカの粒径は10〜20ナノメーターである。
【0065】
好適態様によると、他の成分は数時間経過後に導入する。他方、シリカはすぐに添加してもよいし、このような時間の経過後に添加してもよい。
【0066】
得られる溶液の粘度は1〜6センチポイズである。
【0067】
支持体の少なくとも片面の作製後、少なくとも1種のエポキシ化アルコキシシラン、非エポキシ化シラン、コロイド状シリカ、触媒及び少なくとも1種のフッ素含有アルキルシランを含有する溶液と前記支持体とを接触させる。この接触時に溶剤は蒸発し始め、こうして溶液はゲルを形成する。その後、このゲルは架橋される。
【0068】
支持体の作製はアルコキシシラン及び、場合によっては非湿潤性層を形成するためのフッ素含有オルガノシランと反応し得る支持体の反応部位の数を決定するので重要な段階である。
【0069】
この作製は、支持体の表面に吸着し、アルコキシシランが後で支持体の反応部位と反応するのを妨げ得る本質的に有機性の全汚染物質を除去する役割を有する。
【0070】
支持体の所謂処理は、ガラスを溶液と接触させることにより実施される。この接触は任意手段により実施することができ、例えば鋳造、粉砕、遠心分離、浸漬、含浸又はコーティングローラーを用いることにより実施することができる。この接触は、架橋後のコーティングの厚さが被覆物品に必要な特性を満たするように実施される。コーティングの厚さは、例えば所望の疎水性、疎油性及び耐摩耗性を与えながらガラスの光学特性を変えないように選択しなければならない。この厚さは有利には0.1〜10μm、好ましくは0.1〜4μmである。
【0071】
ゲルの架橋は60〜200℃の温度に少なくとも1時間維持することにより得られる。
【0072】
被覆し得る支持体は、例えば「フロート」ガラス法により得られるガラスから構成することができ、予め熱又は化学的浸漬してもよいし、しなくてもよい。このガラスは例えば酸化錫又はITOをベースとする無機層を予め被覆しておいてもよい。場合により例えばSiO2型の無機層を予め被覆したポリマー材料から構成してもよい。
【0073】
以下、非限定的な実施例により本発明の特徴及び利点を説明する。
【0074】
【実施例】
実施例1
実施例1は本発明の組成物の疎水性を立証する。フッ素含有オルガノシラン0.2%を含有する溶液と、フッ素含有オルガノシラン1%を含有する溶液との2種類の溶液を調製した。
【0075】
これらの溶液は、グリシドキシプロピルトリメトキシシラン及びジメチルジエトキシシランを含有する溶液にHClの酸性溶液を滴下した後、フッ素含有オルガノシランを加えることにより調製した。
【0076】
溶液を室温で24時間撹拌後、コロイド状シリカ30%、アルミニウムアセチルアセトネート、メチルエチルケトン及びシリコーン型界面活性剤を含有するアルコール懸濁液を導入した。
【0077】
割合は以下の通りである。
【0078】
【表1】
Figure 0003735136
【0079】
まず最初に界面活性剤を含有する溶液に浸漬することにより2つの無機「フロート」ガラス支持体を洗浄した。次に塩基性溶液に浸漬し、濯ぎ、乾燥した。
【0080】
支持体1及び2に夫々溶液1及び2を浸漬により堆積した。堆積中に溶剤、アルコール及びメチルエチルケトンは蒸発し始め、溶液はゲルを形成した。
【0081】
次に層を被覆した支持体を3時間100℃でオーブン乾燥した。層の厚さは約3μmであった。
【0082】
こうして処理したガラス上の水の接触角は、支持体1が104°、支持体2が102°であった。
【0083】
本実施例は本発明により得られる層の疎水性を立証する。
【0084】
実施例2
実施例2は無機ガラス支持体に堆積した本発明の層の耐摩耗性を立証する。
【0085】
第3の無機「フロート」ガラス支持体の3種のサンプルを試験した。
【0086】
前記サンプルを実施例1の溶液2で被覆した。
【0087】
100℃で1時間オーブン乾燥した。層の厚さは約3μmであった。
【0088】
サンプル上の水の初期接触角の平均値は104°であった。
【0089】
第1のサンプルにASTM1044−78規格に従ってTABER試験を実施した。CS−10F型の回転砥石により500gの荷重で研磨した。100回転後、支持体3上の水の接触角を測定した処、90°であった。
【0090】
第2のサンプルは沸騰水に2時間浸漬した。支持体上の水の接触角の測定値は102°であった。
【0091】
第3のサンプルは沸騰水に4時間浸漬した。支持体上の水の接触角は92°であった。
【0092】
本実施例は無機ガラス支持体上の本発明の層の耐摩耗性を立証する。
【0093】
実施例3
実施例1に記載した溶液2を使用し、ジ(アルキルカーボネート)ジエチレングリコールのポリマーから構成される有機ガラス製眼鏡用レンズORMAを遠心分離法(回転速度:1500rpm)により被覆した。
【0094】
これらのレンズを次に3時間100°でオーブン乾燥した。
【0095】
コーティングの厚さは2.75μmであった。
【0096】
耐摩耗性を測定するために、ASTMF735−81規格に従ってBAYER試験を使用した。
【0097】
BAYER試験の値が高いと、耐摩耗性は高い。
【0098】
コーティングの測定値は2.94であった。
【0099】
スチールウール試験により耐引掻性を次のように測定した。超微細スチールウールNo.000 STARWAXを使用した。約3cm×3cmのスチールウール片を折り曲げてこの操作時に一定圧力で繊維の方向に被覆ガラスを10往復摩擦した。次にガラスを乾燥した布片で拭い、アルコールで濯いだ。次いでガラスの状態を視覚的に評価し、以下の得点:0−引掻観察されず、1−非常に僅かなガラス引掻(0〜5本)、2−僅かなガラス引掻(20本まで)、3−かなりのガラス引掻(50本まで)、4−多数のガラス引掻(>50本)、5−露出支持体(ORMA)以下に従って評点した。
【0100】
コーティングの測定値は0.5〜1であった。
【0101】
本実施例は有機ガラス支持体上の層の耐摩耗性を立証する。

Claims (20)

  1. 一般式(II):
    Figure 0003735136
    (式中、p=0又は1、r=0、1又は2、sは1〜6の整数であり、M=H又は炭素原子数1〜4のアルキル、M’及びM”=炭素原子数1〜3のアルキルである)のエポキシ化アルコキシシラン、一般式(III):
    Figure 0003735136
    (式中、N及びN’はSi−C結合を介してケイ素原子に結合し且つ組成物中に存在する加水分解シランと反応し得る基を含まない有機基であり、Q及びQ’は加水分解性官能基である)の非エポキシ化シラン、コロイド状シリカ、エポキシ結合を開裂し得る触媒及び少なくとも1種の一般式(I):
    Figure 0003735136
    (式中、n=0〜12、m=2〜5、Xは加水分解性官能基である)を有するペルフルオロアルキルシランである加水分解性フッ素含有アルキルシランを含有する溶液から得られる水解物を含む、疎水性、疎油性且つ耐摩耗性の無機ガラス支持体コーティング用熱硬化性組成物。
  2. ペルフルオロアルキルシランが、式:CF−(CF−(CH−Si(OR)、CF−(CF−(CH−Si(OR)、CF−(CF−(CH−Si(OR)(式中、Rはメチル、エチル又はプロピルである)で表されるペルフルオロアルキルアルコキシシランからなる群から選択されることを特徴とする請求項1に記載の組成物。
  3. 溶液の乾燥抽出物を基にしたフッ素含有アルキルシランの割合が0.1〜6重量%であることを特徴とする請求項1または2に記載の組成物。
  4. 溶液の乾燥抽出物を基にしたフッ素含有アルキルシランの割合が0.1〜4重量%であることを特徴とする請求項3に記載の組成物。
  5. エポキシ化アルコキシシランが、γグリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γグリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γグリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン及びγグリシドキシプロピルメチルジエトキシシランからなる群から選択されることを特徴とする請求項1に記載の組成物。
  6. 非エポキシ化シランが、炭素原子数1〜10のアルキル基及び炭素原子数6〜10のアリール基から選択されるN及びN’基を有するジアルコキシシランであることを特徴とする請求項1に記載の組成物。
  7. 触媒がアルミニウムキレートであることを特徴とする請求項1に記載の組成物。
  8. 溶液がシリコーン型の界面活性剤又はフッ素含有界面活性剤を含有することを特徴とする請求項1に記載の組成物。
  9. 溶液の乾燥抽出物を基にしてエポキシ化アルコキシシラン30〜50重量%、コロイド状シリカ30〜55重量%、加水分解性非エポキシ化シラン10〜20重量%、1種以上の加水分解性フッ素含有アルキルシラン0.1〜6重量%及び触媒0.1〜5重量%を含有する溶液から得られる水解物を含むことを特徴とする請求項1から8のいずれか一項に記載の組成物。
  10. 溶液の乾燥抽出物を基にしてエポキシ化アルコキシシラン35〜40重量%、コロイド状シリカ40〜55重量%、加水分解性非エポキシ化アルコキシシラン10〜15重量%、1種以上の加水分解性フッ素含有アルキルシラン0.1〜4重量%及び触媒0.1〜5重量%を含有する溶液から得られる水解物を含むことを特徴とする請求項9に記載の組成物。
  11. グリシドキシプロピルトリメトキシシラン35〜40重量%、コロイド状シリカ40〜55重量%、ジメチルジエトキシシラン10〜15重量%、式:CF−(CF−(CH−Si(OEt)、CF−(CF−(CH−Si(OEt)、CF−(CF−(CH−Si(OEt)で表されるペルフルオロアルキルアルコキシシランの群から選択される1種以上のペルフルオロアルキルアルコキシシラン0.1〜4重量%及びアルミニウムアセチルアセトネート0.1〜5重量%を含有する溶液から得られる水解物を含むことを特徴とする請求項1に記載の組成物。
  12. 一般式(II):
    Figure 0003735136
    (式中、p=0又は1、r=0、1又は2、sは1〜6の整数であり、M=H又は炭素原子数1〜4のアルキル、M’及びM”=炭素原子数1〜3のアルキルである)のエポキシ化アルコキシシラン及び一般式(III):
    Figure 0003735136
    (式中、N及びN’はSi−C結合を介してケイ素原子に結合し且つ組成物中に存在する加水分解シランと反応し得る基を含まない有機基であり、Q及びQ’は加水分解性官能基である)の非エポキシ化シランを部分加水分解及び縮合する段階と、他の成分、特にコロイド状シリカ及びエポキシ結合を開裂し得る触媒を別々又は同時に加える段階と、エポキシ化アルコキシシラン及び非エポキシ化シランの部分加水分解及び/又は縮合中に1種以上の一般式(I):
    Figure 0003735136
    (式中、n=0〜12、m=2〜5、Xは加水分解性官能基である)を有するペルフルオロアルキルシランである加水分解性フッ素含有アルキルシランを加える段階とを含むことを特徴とする疎水性、疎油性且つ耐摩耗性の無機ガラス支持体用層の製造方法。
  13. エポキシ化アルコキシシラン及び非エポキシ化シランの加水分解が、エポキシ化アルコキシシラン及び非エポキシ化シラン中のシラノール基に加水分解し得る基に対して化学量論的な量の酸性溶液を加えることにより得られることを特徴とする請求項12に記載の方法。
  14. エポキシ化シランの一般式が式(III):
    Figure 0003735136
    (式中、N及びN’=炭素原子数1〜10のアルキル又は炭素原子数6〜10のアリール基であり、Q及びQ’は加水分解性官能基である)であることを特徴とする請求項13に記載の方法。
  15. 層が請求項1から11のいずれか一項に記載の組成物から得られることを特徴とする、疎水性、疎油性且つ耐摩耗性の層で被覆した無機ガラス支持体。
  16. 層が請求項1から11のいずれか一項に記載の組成物から得られることを特徴とする、疎水性、疎油性且つ耐摩耗性の層で被覆した無機板ガラス。
  17. 層の厚さが0.1〜10μmであることを特徴とする請求項16に記載の板ガラス。
  18. 支持体が眼鏡用レンズであることを特徴とする請求項15に記載の支持体。
  19. 支持体の少なくとも片面を作製する段階と、一般式(II):
    Figure 0003735136
    (式中、p=0又は1、r=0、1又は2、sは1〜6の整数であり、M=H又は炭素原子数1〜4のアルキル、M’及びM”=炭素原子数1〜3のアルキルである)のエポキシ化アルコキシシラン、一般式(III):
    Figure 0003735136
    (式中、N及びN’はSi−C結合を介してケイ素原子に結合し且つ組成物中に存在する加水分解シランと反応し得る基を含まない有機基であり、Q及びQ’は加水分解性官能基である)の非エポキシ化シラン、コロイド状シリカ、エポキシ結合を開裂し得る触媒及び少なくとも1種の一般式(I):
    Figure 0003735136
    (式中、n=0〜12、m=2〜5、Xは加水分解性官能基である)を有するペルフルオロアルキルシランである加水分解性フッ素含有アルキルシランを含有し、接触時にゲルを形成する溶液と支持体とを接触させる段階と、支持体上に形成されたゲルを架橋する段階とを含むことを特徴とする、疎水性、疎油性且つ耐摩耗性の層で被覆した無機板ガラスの製造方法。
  20. ゲルの架橋が60〜200℃に少なくとも1時間維持することにより得られることを特徴とする請求項19に記載の方法。
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