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JP3731443B2 - 内燃機関のスロットル制御装置 - Google Patents

内燃機関のスロットル制御装置 Download PDF

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JP3731443B2
JP3731443B2 JP2000144653A JP2000144653A JP3731443B2 JP 3731443 B2 JP3731443 B2 JP 3731443B2 JP 2000144653 A JP2000144653 A JP 2000144653A JP 2000144653 A JP2000144653 A JP 2000144653A JP 3731443 B2 JP3731443 B2 JP 3731443B2
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  • Control Of Throttle Valves Provided In The Intake System Or In The Exhaust System (AREA)
  • Output Control And Ontrol Of Special Type Engine (AREA)
  • Electrical Control Of Air Or Fuel Supplied To Internal-Combustion Engine (AREA)

Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は内燃機関のスロットル制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、内燃機関のスロットルバルブの開度をモータ等で電気的に制御するスロットル制御装置が多数提案されており、アクセル操作量に対するスロットル開度の特性を任意に設定可能なことから、例えば、加速要求等、車両の運転状態に的確に対応できるという利点を有している。これらのスロットル制御装置では、スロットルバルブがアクセルペダルと機械的に連結された一般的なものと相違し、制御系に異常が発生したときには、アクセル操作量に関係なくスロットルバルブが開方向に駆動される可能性があった。
【0003】
そこで、このスロットル制御系の異常に対処可能な内燃機関のスロットル制御装置として、例えば、特開昭62−35039号公報及び特開昭60−159346号公報に記載のものを挙げることができる。
【0004】
前者のスロットル制御装置は、機関回転数が2000rpmを越えた状態でスロットル制御系に異常が発生したときには、各気筒に対する燃料カットを断続して行ない、機関回転数を2000rpm以下に制限し、よって、機関トルクの急激な増加を防止している。
【0005】
また、後者のスロットル制御装置は、例えば、アクセル操作されないにも拘わらずスロットルバルブが開かれているときに、制御系に異常が発生したと見做して、内燃機関の4気筒中の3気筒を燃料カットにより休止させて、機関トルクを抑制し、更に、アクセル操作が行なわれると、燃料カット中の1気筒を回復させて、車両の走行を継続可能な程度の機関トルクを確保している。つまり、以上の2種のスロットル制御装置では、スロットル制御系の異常発生時に燃料カットにより機関トルクの急激な増加を抑制している。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
スロットル制御装置は、アクセル操作量に基づいて内燃機関のスロットルバルブのスロットル開度指令値を設定し、スロットル開度指令値に基づいてモータによりスロットルバルブを制御している。また、スロットル制御装置の異常個所によっては異常の度合いによってスロットル制御が可能な場合もある。しかしながら上記従来技術においてはスロットル制御系の異常しか検出しておらず、他の異常個所、たとえばアクセル系の異常は検出していない。
【0007】
さらに、上記従来技術においては異常検出時にスロットル制御を中止し、燃料供給気筒数を減少させて機関トルクを調整している。しかしながら燃料供給気筒数の減少による機関トルクの制御は減少気筒数を切り替えた時のトルクのバラツキが大きいため可能であればスロットル制御によりフェールセーフすることが好ましい。
【0008】
そこで本発明は、スロットル制御装置の異常に応じた最適なフェールセーフを行うことができる内燃機関のスロットル制御装置の提供を目的とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明にかかる内燃機関のスロットル制御装置は、複数の異常検出手段によりスロットル制御手段の異常を検出し、フェールセーフ手段は複数の異常検出手段により検出された異常の度合いに応じたフェールセーフ処理を行う。
【0010】
これにより、スロットル制御装置の異常に応じた最適なフェールセーフを行うことができる。
【0011】
更に、複数の異常検出手段として、スロットルバルブ開度に関連する異常を検出するスロットル系異常検出手段と、アクセル操作量に関連するアクセル系異常検出手段と、スロットルバルブのロック状態を検出するバルブロック検出手段とを備える構成とし、スロットル系異常検出手段またはバルブロック検出手段により異常が検出された時にはスロットル制御不可能と判断し前記モータを停止させ、アクセル系異常検出手段により異常が検出された時にアクセル操作量に基づいて設定されるスロットル開度指令値を正常時より小さい値となるように設定する。
【0012】
これによりスロットル制御が不可能な場合にはスロットル制御を中止するが、スロットル制御が可能なアクセル系異常の場合にはスロットル制御によりフェールセーフを行うので、燃料供給気筒を減少させるようなフェールセーフに比べてトルクバラツキを生じさせることなくフェールセーフすることができる。
【0013】
【実施の形態】
以下、本発明の実施の形態の一実施例における内燃機関のスロットル制御装置について説明する。図1は本発明の一実施例である内燃機関のスロットル制御装置を示す概略構成図、図2は本発明の一実施例である内燃機関のスロットル制御装置が適用されるスロットルバルブ周辺を示す斜視図である。
【0014】
まず、本実施例のスロットル制御装置が適用される内燃機関の概略構成を説明する。
【0015】
図1に示すように、内燃機関1はV型6気筒の4サイクル内燃機関として構成されている。内燃機関1の吸気通路2の上流側にはエアクリーナ3が設けられ、エアクリーナ3の下流側には吸入空気量を検出するエアフローメータ4が設置されている。
【0016】
吸気通路2のエアフローメータ4より下流側にはスロットルバルブ5が設けられ、このスロットルバルブ5の開閉に応じて内燃機関1に供給される吸入空気量が調整される。吸気通路2はインテークマニホールド6を介して内燃機関1の各気筒に接続され、吸気通路2からの吸入空気がインテークマニホールド6内を経て各気筒に分配供給される。
【0017】
インテークマニホールド6には各気筒に対応してインジェクタ7が設置され、各インジェクタ7から噴射された燃料は、吸入空気と混合して各気筒に供給される。この混合気は吸気バルブ8の開閉に伴って各気筒の燃焼室9内に導入され、点火プラグ10の点火により燃焼し、ピストン11を押し下げてクランクシャフト12にトルクを付与する。燃焼後の排気ガスは排気バルブ13の開閉に伴って排気通路14を経て外部に排出される。また、クランクシャフト12の近接位置にはクランク角センサ15が設置され、クランク角で30度毎にパルス信号を出力する。
【0018】
次に、このように構成された内燃機関のスロットルバルブ周辺の構成を説明する。
【0019】
図2に示すように、本実施例のスロットル制御装置のスロットルバルブ周辺の構成は、スロットルバルブ5をDCモータ31で電気的に開閉するためのモータ駆動機構21と、スロットルバルブ5をアクセル操作に連動して機械的に開閉するためのアクセル連動機構22とに大別される。
【0020】
まず、モータ駆動機構21を説明すると、前記吸気通路2には、スロットル軸23が水平に貫通して軸着され、スロットル軸23には吸気通路2内においてスロットルバルブ5が固着されている。スロットル軸23の回動に伴ってスロットルバルブ5は吸気通路2内を開放及び閉鎖して、吸入空気量を調整する。ここで、スロットルバルブ5に吸気通路2内を開放するときのスロットル軸23の回動方向を開方向とし、吸気通路2を開放するときのスロットル軸23の回動方向を閉方向とする。
【0021】
スロットル軸23の両端は吸気通路2より左右(図において左右方向)に突出し、その左端にはストッパレバー24が固着されている。ストッパレバー24にはL字状の折曲部24aが設けられ、この折曲部24aには2本の弁バネ25が連結されて、スロットル軸23を常に開方向に付勢している。また、折曲部24aの近接位置には全閉位置ストッパ26が配設され、この全閉位置ストッパ26はスロットルバルブ5が全閉位置まで回動したときにストッパレバー24の折曲部24aに当接して、それ以上の回動を規制する。
【0022】
スロットル軸23の右部には、ベアリング27を介して4分の1円形状の従動ギア28が回動自在に軸着され、この従動ギア28は、減速用の大小一対の中間ギア29を介して駆動ギア30と噛合している。
【0023】
駆動ギア30はDCモータ31の出力軸31aに固着され、DCモータ31は駆動ギア30及び中間ギア29を介して従動ギア28を閉方向に回転駆動する。従動ギア28の一側には掛止部28aが突出形成され、この掛止部28aに連結されたリターンバネ32は従動ギア28を常に開方向、つまり、DCモータ31の駆動方向と反対側に付勢している。
【0024】
従動ギア28の右側においてスロットル軸23には掛止レバー33が固着され、掛止レバー33にはL字状の折曲部33aが設けられている。この折曲部33aは従動ギア28の掛止部28aの閉側に位置し、前記した弁バネ25にてスロットル軸23が開方向に回動付勢されることで掛止部28aに当接している。
【0025】
したがって、DCモータ31が通電されてトルクを発生すると、リターンバネ32及び弁バネ25の付勢力に抗して、従動ギア28が閉方向に回転され、掛止レバー33及びスロットル軸23と共にスロットルバルブ5が閉方向に回転駆動される。また、DCモータ5の通電が中止されると、弁バネ25によりスロットルバルブ5が開方向に付勢されるとともに、リターンバネ32により従動ギア28が開方向に付勢される。
【0026】
なお、スロットル軸23の右端にはスロットル開度センサ34が設置され、この開度センサ34はスロットルバルブ5の開度に応じた電圧Vthを出力する。
【0027】
一方、アクセル連動機構22を説明すると、スロットル軸23の左方には、同軸上に位置するようにガード軸41が回動可能に支持されており、このガード軸41に固着されたアクセルレバー42は、コントロールケーブル43を介して車両のアクセルペダル44と連結されている。ガード軸41の右端にはガードレバー45が固着され、このガードレバー45は、一側に連結されたガードバネ46により常に閉方向に付勢されている。
【0028】
なお、このガードバネ46の付勢力は、前記した2本の弁バネ25の付勢力より十分に強く設定されている。そして、運転者にてアクセルペダル44が踏込操作されると、コントロールケーブル43を介してアクセルレバー42と共にガード軸41及びガードレバー45が、ガードバネ46の付勢力に抗しながら開方向に回転操作される。
【0029】
アクセルペダル44にはアクセルポジションセンサ47が設置され、後述するように、このアクセルポジションセンサ47にて検出されたアクセル操作量Apに基づき、DCモータ31によりスロットルバルブ5が開閉駆動される。このときのスロットル開度θthの特性は、大略的にはアクセル操作量Apの増加に伴って増加するものであるため、アクセル操作が行なわれると、一方でDCモータ31の駆動により電気的にスロットルバルブ5が開閉され、他方でコントロールケーブル43の伝達により機械的にガードレバー45が同一方向に回動する。
【0030】
ガードレバー45の一側にはL字状の折曲部45aが設けられ、この折曲部45aは前記ストッパレバー24の折曲部24aの開側に位置している。両折曲部45a,24aの間には所定量の遊びが設定されており、スロットル軸23及びガード軸41が同一方向に回転したときには、この遊びが常に確保される。
【0031】
また、後述するように、スロットル制御系の異常やバルブロックの発生時には、DCモータ31の通電が中止されるため、弁バネ25の付勢力によりスロットルバルブ5は開方向に回動操作される。このときストッパレバー24の折曲部24aはガードレバー45の折曲部45aに当接して、それ以上のスロットルバルブ5の開放を規制するため、スロットルバルブ5の開度は、ガードレバー45の回動角度(以下、単に『ガード位置』という)以下に規制される。
【0032】
そして、前記のようにアクセル操作によりガード軸41が回動操作されると、ガードレバー45と共にストッパレバー24が同一方向に回動してスロットルバルブ5が開閉される。つまり、その後はアクセル連動機構22によって機械的にスロットルバルブ5が開閉され、車両の走行を継続可能となる。なお、ガード軸41の左端にはガード位置センサ48が設置されて、ガード位置θmgを検出する。
【0033】
ガードレバー45にはガード軸41を中心とする円弧状の長孔45bが形成され、この長孔45b内には、ダイヤフラムアクチュエータ49の操作ロッド49aの先端が長孔45bに沿って移動可能に嵌入している。通常走行時においては、図に示すように、ダイヤフラムアクチュエータ49の操作ロッド49aが伸長状態に保持され、ガードレバー45は長孔45bにより許容されながらアクセル操作に応じて回動する。
【0034】
また、クルーズコントロール走行時においては、ダイヤフラムアクチュエータ49の操作ロッド49aが収縮して、ガードレバー45を開方向に回動操作する。したがって、アクセル操作されなくても、ガード位置が開方向に大幅に変更されるため、DCモータ31にてスロットルバルブ5を開方向に操作して、運転者の設定した走行速度を維持することが可能となる。
【0035】
また、ガードレバー45に一体形成された係合爪45cは、サーモワックス50の操作ロッド50aに係合し、このサーモワックス50の操作ロッド50aは内燃機関の冷却水温に応じて伸縮する。例えば、図に示すように、暖機完了後のように冷却水温が高いときには、ガードレバー45が閉方向に回動するように操作ロッド50aが伸長する。
【0036】
また、コールドスタート時のように冷却水温が低いときには、ガードレバー45が開方向に回動するように操作ロッド50aが収縮する。そして、前記したクルーズコントロール走行時と同様に、DCモータ31にてスロットルバルブ5を開方向に操作して、アイドルアップを行なうことが可能となる。
【0037】
次に、以上のスロットルバルブ周辺の機構の動作をまとめて説明する。
【0038】
図3は本発明の一実施例である内燃機関のスロットル制御装置が適用されるスロットルバルブ周辺の動作原理を模式的に示す説明図である。なお、この図において、上方がスロットルバルブ5の開方向、下方が閉方向である。
【0039】
図に示すように、ガードレバー45はガードバネ46により閉方向に付勢されており、そのガードレバー45によるガード位置は、アクセルペダル44の操作量、ダイヤフラムアクチュエータ49の操作ロッド49aの変位量、サーモワックス50の操作ロッド50aの変位量により決定される。そして、例えば、運転者によりアクセルペダル44が踏み込まれると、ガードバネ46の付勢力に抗してガードレバー45が開方向に操作され(図では上方に引き上げられる)、ガード位置が開方向に変化する。
【0040】
また、スロットルバルブ5は弁バネ25により開方向に付勢されており、同様に、DCモータ31はリターンバネ32により開方向に付勢されている。DCモータ31がスロットルバルブ5を閉方向に駆動するときには、それを妨げる方向に弁バネ25及びリターンバネ32の付勢力が作用する。したがって、両バネ25,32の付勢力とDCモータ31のトルクとの均衡により、スロットルバルブ5の開度が決定され、DCモータ31のトルクが増大するほどスロットルバルブ5は閉じられる。
【0041】
また、DCモータ31の通電が中止されると、弁バネ25によりスロットルバルブ5が開方向に付勢されるとともに、リターンバネ32により従動ギア28が開方向に付勢される。
【0042】
次に、本実施例のスロットル制御装置の電気的構成を説明する。図1に示すように、スロットル制御装置の電子制御装置61は、CPU62、ROM63、RAM64、インジェクタ駆動回路65、ランプ駆動回路68、A/D変換回路66及びD/A変換回路67より構成されている。ROM63には内燃機関1の運転を制御するための各種プログラム、例えば、スロットルバルブ5の開度制御やインジェクタ7の燃料噴射制御等のプログラムが記憶され、CPU62はそれらのプログラムに従って処理を実行する。また、RAM64はCPU62が実行する処理データを一時的に記憶する。
【0043】
CPU62には、前記エアフローメータ4にて検出された吸入空気量Qaが入力されるとともに、クランク角センサ15からのパルス信号、スロットル開度センサ34の出力電圧Vth(=スロットル開度θth)、アクセルポジションセンサ47にて検出されたアクセル操作量Ap、及びガード位置センサ48にて検出されたガード位置θmgがそれぞれA/D変換回路66によりデジタル値に変換されて入力される。
【0044】
そして、CPU62は、例えば、クランク角センサ15のパルス信号から算出した機関回転数Neと吸入空気量Qaとに基づいて、今現在の内燃機関1が要求する燃料噴射量を算出し、その燃料噴射量に対応するパルス幅の制御信号をインジェクタ駆動回路65に出力する。
【0045】
また、CPU62は、後述するスロットル制御系の異常やバルブロックが発生したときには、燃料カット気筒数Nfc(0〜6)を算出し、その燃料カット気筒数Nfcに応じて特定の気筒への前記制御信号の出力を中止する。インジェクタ駆動回路65は、CPU62から入力されたパルス幅に対応する時間だけインジェクタ7を通電して、要求量の燃料を噴射させるとともに、CPU62から制御信号が入力されない特定の気筒については、燃料噴射を中止する。
【0046】
一方、CPU62は、アクセル操作量Apと機関回転数Neとに基づいてスロットル開度制御の目標値であるスロットル開度指令値θcmdを決定し、更に、そのスロットル開度指令値θcmdに対応するスロットル指令電圧Vcmdを決定する。更に、CPU62は、内燃機関1のスロットル機能に後述する各種異常が発生したときには、ランプ駆動回路68に制御信号を出力して、車両の運転席に設けられたウォーニングランプ69を点灯させる。
【0047】
スロットル制御装置のDCモータ駆動回路71は、PID制御回路72、PWM(パルス幅変調)回路73及びドライバ74より構成されている。前記のようにCPU62が算出したスロットル指令電圧Vcmdは、D/A変換回路67によりアナログ値に変換されてPID制御回路72に入力される。PID制御回路72はスロットル指令電圧Vcmdとスロットル開度センサ34の出力電圧Vthとに基づき、その偏差を縮小すべく比例・積分・微分動作を実行して、DCモータ31の制御量を算出する。PWM回路73は算出された制御量を入力して、その制御量を対応するデューティ比信号に変換し、ドライバ74はデューティ比信号に応じてDCモータ31を駆動し、実際のスロットル開度θthをスロットル開度指令値θcmdに調整する。なお、前記PWM回路73のデューティ比信号はCPU62にも入力される。
【0048】
《スロットル制御処理》
次に、上記のように構成された内燃機関のスロットル制御装置のCPUが実行するスロットル制御処理を説明する。
【0049】
図4は本発明の一実施例である内燃機関のスロットル制御装置のCPUが実行するスロットル制御ルーチンを示すフローチャート、図5は本発明の一実施例である内燃機関のスロットル制御装置のCPUが実行するフェイル判定ルーチンを示すフローチャート、図6は本発明の一実施例である内燃機関のスロットル制御装置のCPUが実行する第1のスットル制御系異常判定ルーチンを示すフローチャート、図7は本発明の一実施例である内燃機関のスロットル制御装置のスロットル開度指令値に対する実際のスロットル開度の制御遅れを示す説明図である。
【0050】
また、図8は本発明の一実施例である内燃機関のスロットル制御装置のCPUが実行する第2のスロットル制御系異常判定ルーチンを示すフローチャート、図9は本発明の一実施例である内燃機関のスロットル制御装置のCPUが実行するアクセル連動機構異常判定ルーチンを示すフローチャート、図10は本発明の一実施例である内燃機関のスロットル制御装置のCPUが実行するバネ切損判定ルーチンを示すフローチャート、図11は本発明の一実施例である内燃機関のスロットル制御装置のCPUが実行するバルブロック判定ルーチンを示すフローチャートである。
【0051】
図4のスロットル制御ルーチンは8msec毎に実行される。まず、CPU62はステップS1でフェイル判定処理を実行する。
【0052】
〈フェイル判定ルーチン〉
フェイル判定ルーチンがコールされると、CPU62は図5のステップS10に移行する。そして、ステップS10で第1のスロットル制御異常判定処理を、ステップS20で第2のスロットル制御異常判定処理を、ステップS30でアクセル連動機構異常判定処理を、ステップS40でバネ切損判定処理を、ステップS50でバルブロック判定処理をそれぞれ実行する。
【0053】
〈第1のスロットル制御系異常判定ルーチン〉
以下、各異常判定処理の詳細を説明すると、ステップS10で第1のスロットル制御系異常判定ルーチンがコールされると、CPU62は図6のステップS11に移行する。まず、このステップS11で、この第1のスロットル制御系異常判定ルーチン或いは後述する第2のスロットル制御系異常判定ルーチンにより、スロットル制御系の異常発生を示すフェイルフラグXFAIL1が既にセットされているか否かを判定する。
【0054】
フェイルフラグXFAIL1がセットされていないときには、ステップS12でスロットル開度制御の目標値であるスロットル開度指令値θcmdに基づいて、制御上の現在のスロットル開度(以下、単に『制御推定スロットル開度』という)θcmdoを次式に従って算出する。
【0055】
θcmdo=K1・θcmdi+K2・θcmdi−1+K2・θcmdoi−1+K3・θcmdoi−2
ここで、K1〜K3は予め設定された定数であり、θcmdiは今回のスロットル開度指令値、θcmdi−1は前回のスロットル開度指令値、θcmdoi−1は前回の制御推定スロットル開度、θcmdoi−2は前々回の制御推定スロットル開度である。
【0056】
図7に示すように、スロットル開度指令値θcmdが変化したとき、実際の制御推定スロットル開度θcmdoは所定の遅れで追従し、この制御遅れは、DCモータ31及びその駆動回路71の特性によって決定される。そして、上記した式は、このDCモータ31及び駆動回路71を2次遅れフィルタで近似させて作成したものであり、この式に従ってスロットル開度指令値θcmdから算出された制御推定スロットル開度θcmdoは、スロットル制御系が現在有する誤差を含むことになる。
【0057】
次いで、CPU62はステップS13で制御推定スロットル開度θcmdoと、スロットル開度センサ34の出力電圧Vthから換算した実際のスロットル開度θthとの差の絶対値が、予め設定された所定値θa未満であるか否かを判定する。ステップS13で肯定判断したとき(|θcmdo−θth|<θa)には、ステップS14で異常状態の継続時間をカウントするカウンタCaをリセットする。更に、ステップS15でこのときのスロットル開度θthをフェイル時スロットル開度θsaveとしてRAM64に格納して、ステップS16に移行する。
【0058】
また、ステップS13で否定判断したとき(|θcmdo−θth|≧θa)には、ステップS17でカウンタCaを「+1」インクリメントして、ステップS16に移行する。そして、ステップS16でカウンタCaが予め設定された所定値KCa未満であるか否かを判定し、肯定判断したとき(Ca<KCa)には、このルーチンを終了し、また、否定判断したとき(Ca≧KCa)には、ステップS18でフェイルフラグXFAIL1をセットして、このルーチンを終了する。
【0059】
ここで、制御上のスロットル開度である制御推定スロットル開度θcmdoは、本来は実際のスロットル開度θthと一致するはずである。したがって、前記のように制御推定スロットル開度θcmdoと実際のスロットル開度θthとの間に、ある程度の差が継続して発生した場合には、何らかの原因でスロットル制御系に異常が発生して、DCモータ31によるスロットル開度制御が正常に実行されていないと見做すことができる。よって、このときにはCPU62によりスロットル制御系のフェイル判定が下されて、フェイルフラグXFAIL1がセットされるのである。
【0060】
そして、このフェイルフラグXFAIL1のセット後に、第1のスロットル制御系異常判定ルーチンが再度実行されたときには、ステップS11で肯定判断されて直ちにこのルーチンを終了する。したがって、ステップS15の処理は実行されず、RAM64にはフェイル判定が下された時点のスロットル開度θthが、フェイル時スロットル開度θsaveとして格納され続ける。
【0061】
〈第2のスロットル制御系異常判定ルーチン〉
また、フェイル判定ルーチンのステップS20で第2のスロットル制御系異常判定ルーチンがコールされると、CPU62は図8のステップS21に移行する。第1のスロットル制御系異常判定ルーチンのステップS11と同様に、まず、このステップS21でフェイルフラグXFAIL1が既にセットされているか否かを判定し、フェイルフラグXFAIL1がセットされていないときには、ステップS22に移行する。
【0062】
次いで、ステップS22でガード位置センサ48にて検出されたガード位置θmgとスロットル開度センサ34にて検出されたスロットル開度θthとの差が、予め設定された所定値θb以上であるか否かを判定する。ステップS22で肯定判断したとき(|θmg−θth|≧θb)には、ステップS23で異常状態の継続時間をカウントするカウンタCbをリセットし、ステップS24でこのときのスロットル開度θthをフェイル時スロットル開度θsaveとしてRAM64に格納して、ステップS25に移行する。
【0063】
また、ステップS22で否定判断したとき(|θmg−θth|<θb)には、ステップS26でカウンタCbを「+1」インクリメントして、ステップS25に移行する。そして、ステップS25でカウンタCbが予め設定された所定値KCb未満であるか否かを判定し、肯定判断したとき(Cb<KCb)には、このルーチンを終了し、また、否定判断したとき(Cb≧KCb)には、ステップS27でフェイルフラグXFAIL1をセットして、このルーチンを終了する。
【0064】
ここで、実際のスロットル開度θthは、ガード位置θmgに対し常に所定以上の差をもって閉側に位置しているはずである。したがって、前記のようにガード位置θmgとスロットル開度θthとの差が狭まった状態が継続して発生した場合には、前記した第1のスロットル制御系異常判定ルーチンと同様に、DCモータ31によるスロットル開度制御が正常に実行されていないとして、フェイルフラグXFAIL1がセットされるのである。
【0065】
そして、このフェイルフラグXFAIL1のセット後は、ステップS21で肯定判断されてステップS24の処理が実行されないことから、RAM64にはフェイル判定が下された時点のスロットル開度θthが、フェイル時スロットル開度θsaveとして格納され続ける。
【0066】
〈アクセル連動機構異常判定ルーチン〉
一方、フェイル判定ルーチンのステップS30でアクセル連動機構異常判定ルーチンがコールされると、CPU62は図9のステップS31に移行する。まず、このステップS31で内燃機関1が通常の運転中であるか否かを判定し、クルーズコントロールやコールドスタートを実行していなければ、通常の運転中であるとしてステップS32に移行する。
【0067】
次いで、ステップS32でガード位置センサ48にて検出されたガード位置θmgと、アクセルポジションセンサ47にて検出されたアクセル操作量Apとの差の絶対値が、予め設定された所定値θc未満であるか否かを判定する。ステップS32で肯定判断したとき(|θmg−Ap|<θc)には、ステップS33で異常状態の継続時間をカウントするカウンタCcをリセットして、ステップS34に移行する。
【0068】
また、ステップS32で否定判断したとき(|θmg−Ap|≧θc)には、ステップS35でカウンタCc を「+1」インクリメントして、ステップS34に移行する。そして、ステップS34でカウンタCcが予め設定された所定値KCc 未満であるか否かを判定し、肯定判断したとき(Cc<KCc)には、このルーチンを終了し、また、否定判断したとき(Cc≧KCc)には、ステップS36でアクセル連動機構22の異常発生を示すフェイルフラグXFAIL2をセットして、このルーチンを終了する。
【0069】
ここで、クルーズコントロールやコールドスタートが実行されていないときのガード位置θmgは、ダイヤフラムアクチュエータ49やサーモワックス50により開方向に変更されていないため、常にアクセル操作量Apと対応するはずである。したがって、前記のようにガード位置θmgとアクセル操作量Apとの間に、ある程度の差が継続して発生した場合には、何らかの原因でアクセル連動機構22に過大な遊びが発生したと見做すことができる。
【0070】
そして、このような場合、仮にスロットル制御系に異常が発生して、スロットルバルブ5をアクセル連動機構22によって開閉するときでも、アクセル操作量Apに応じた正確なスロットル開閉操作が期待できない。よって、このときにはCPU62によりアクセル連動機構22のフェイル判定が下されて、フェイルフラグXFAIL2がセットされるのである。
【0071】
なお、前記ステップS31で内燃機関1が通常の運転中でないと判定したときには、既にダイヤフラムアクチュエータ49やサーモワックス50によりガード位置θmgが開側に変更されているため、異常の有無を判定不能であるとして、直ちにこのルーチンを終了する。
【0072】
〈バネ切損判定ルーチン〉
また、フェイル判定ルーチンのステップS40でバネ切損判定ルーチンがコールされると、CPU62は図10のステップS41に移行する。まず、このステップS41でアクセルポジションセンサ47にて検出されたアクセル操作量Apに基づいて、内燃機関1がアイドル運転中であるか否かを判定する。アイドル運転中のときには、ステップS42でPWM回路73からデューティ比信号を入力して、そのデューティ比Dutyの所定時間当たりの平均値DutyAVが、予め設定された所定値Dutyd以上であるか否かを判定する。ステップS42で肯定判断したとき(DutyAv≧Dutyd)には、ステップS43で異常状態の継続時間をカウントするカウンタCdをリセットして、ステップS44に移行する。
【0073】
また、ステップS42で否定判断したとき(Dutyav<Dutyd)には、ステップS45でカウンタCdを「+1」インクリメントして、ステップS44に移行する。そして、ステップS44でカウンタCdが予め設定された所定値KCd 未満であるか否かを判定し、肯定判断したとき(Cd<KCd)には、このルーチンを終了し、また、否定判断したとき(Cd≧KCd)には、ステップS46でバネ切損の発生を示すフェイルフラグXFAIL3をセットして、このルーチンを終了する。
【0074】
ここで、内燃機関1のアイドル運転中において、ISC制御によりスロットルバルブ5は全閉付近のほぼ一定開度に保持されるため、弁バネ25及びリターンバネ32の付勢力の総和もほぼ一定の値となる。したがって、その付勢力に抗するべくDCモータ31に与えられるデューティ比Dutyの平均値DutyAVも、ほぼ一定の値に収束しているはずであり、平均値DutyAVが通常より下回った状態が継続して発生した場合には、いずれかのバネ25,32が切損して、スロットル開度制御が円滑に行なわれない可能性があると見做すことができる。よって、このときにはCPU62によりバネ切損のフェイル判定が下されて、フェイルフラグXFAIL3がセットされるのである。
【0075】
なお、平均値DutyAVに基づいてバネ25,32の切損を判定しているのは、このときのデューティ比Dutyがアイドル回転数を維持すべく変動しているため、デューティ比Duty自体からでは的確な判定が望めないためである。また、前記ステップS41で内燃機関1がアイドル運転中でないと判定したときには、アイドル時に比較してスロットルバルブ5が開放されているため、弁バネ25及びリターンバネ32の付勢力が所期の値に達しておらず、切損の有無を判定不能であるとして、直ちにこのルーチンを終了する。
【0076】
〈バルブロック判定ルーチン〉
更に、フェイル判定ルーチンのステップS50でバルブロック判定ルーチンがコールされると、CPU62は図11のステップS51に移行する。まず、このステップS51でPWM回路73からデューティ比信号を入力して、そのデューティ比Dutyが、予め設定された所定値Dutye未満であるか否かを判定する。ステップS51で肯定判断したとき(Duty<Dutye)には、ステップS52で異常状態の継続時間をカウントするカウンタCeをリセットして、ステップS53に移行する。
【0077】
また、ステップS51で否定判断したとき(Duty≧Dutye)には、ステップS54でカウンタCeを「+1」インクリメントして、ステップS53に移行する。そして、ステップS53でカウンタCeが予め設定された所定値KCe未満であるか否かを判定し、肯定判断したとき(Ce<KCe)には、このルーチンを終了し、また、否定判断したとき(Ce≧KCe)には、ステップS55でバルブロックの発生を示すフェイルフラグXFAIL4をセットして、このルーチンを終了する。
【0078】
ここで、吸気通路2中に紛れ込んだ異物等によりバルブロックが発生したときには、DCモータ31にてスロットルバルブ5を開閉駆動しても、実際のスロットル開度θthはスロットル開度指令値θcmdに到達しない。したがって、このときのデューティ比DutyはPID制御回路72の制御によって急激に増大され、その事態が通常の制御状態では継続し得ない時間だけ継続すると、スロットルバルブ5が開閉不能に陥ったと見做すことができる。よって、このときにはCPU62によりバルブロックのフェイル判定が下されて、フェイルフラグXFAIL4がセットされるのである。
【0079】
図12は本発明の一実施例である内燃機関のスロットル制御装置における通常制御時のスロットル開度指令値を決定するためのマップを示す説明図、図13は本発明の一実施例である内燃機関のスロットル制御装置におけるスロットル指令電圧を決定するためのマップを示す説明図、図14は本発明の一実施例である内燃機関のスロットル制御装置におけるリンプホーム制御時のスロットル開度指令値を決定するためのマップを示す説明図、図15は本発明の一実施例である内燃機関のスロットル制御装置におけるスロットル制御系の異常発生時のタイムチャートである。
【0080】
以上のようにして、各フェイル判定処理が完了すると、CPU62は図4のスロットル制御ルーチンに戻り、ステップS2で全てのフェイルフラグXFAIL1〜XFAIL4がクリアされているか否かを判定する。ステップS2で全てのフェイルフラグXFAIL1〜XFAIL4がクリアされているとき(XFAIL1〜4=0)には、内燃機関1の全てのスロットル機能、例えば、スロットル制御系やアクセル連動機構22等が正常であるとして、ステップS3以降の処理で通常のスロットル制御を実行する。
【0081】
即ち、CPU62はステップS3で図12に示す予めROM63に格納されたマップに従って、アクセルポジションセンサ47にて検出されたアクセル操作量Apとクランク角センサ15からのパルス信号に基づいて算出した機関回転数Neとから、通常のスロットル制御時におけるスロットル開度指令値θcmdを決定する。
【0082】
次いで、CPU62はステップS4で図13に示す予めROM63に格納されたマップに従って、スロットル開度指令値θcmdからスロットル指令電圧Vcmdを決定する。更に、そのスロットル指令電圧VcmdをステップS5でD/A変換回路67を介してDCモータ駆動回路71のPID制御回路72に出力して、このスロットル制御ルーチンを終了する。
【0083】
そして、CPU62から出力されたスロットル指令電圧Vcmdは、PID制御回路72でスロットル開度センサ34の出力電圧Vthと比較され、その偏差を縮小すべく比例・積分・微分動作が実行されて、スロットルバルブ5の制御量が算出される。更に、その制御量はPWM回路73でデューティ比信号に変換され、デューティ比信号に応じてドライバ74によりDCモータ31が駆動される。そして、以上のCPU62によるステップS1乃至ステップS5の処理と、DCモータ駆動回路71によるDCモータ31の駆動制御が繰り返して実行されて、実際のスロットル開度θthがスロットル開度指令値θcdに調整される。
【0084】
一方、前記ステップS2でいずれかのフェイルフラグXFAIL1〜XFAIL4がセットされているとき(XFAIL1〜4≠0)には、ステップS6でランプ駆動回路68に制御信号を出力してウォーニングランプ69を点灯させる。次いで、ステップS7でセットされているフェイルフラグXFAIL1〜XFAIL4の種別を判別し、フェイルフラグXFAIL3がセットされているときには、弁バネ25やリターンバネ32が切損したと見做してステップS3に移行し、前記した全てのスロットル機能が正常である場合と同様に、通常のスロットル制御を実行する。
【0085】
即ち、弁バネ25及びリターンバネ32のいずれかが切損しても、直ちに車両の走行に支障は生じないため、ウォーニングランプ69の点灯により運転者に点検・修理を促すに止めているのである。また、ステップS7でフェイルフラグXFAIL2がセットされていると判定したときには、アクセル連動機構22に過大な遊びが発生していると見做してステップS8に移行し、所謂リンプホーム制御を実行する。
【0086】
即ち、CPU62はステップS8で図14に示す予めROM63に格納されたマップに従って、アクセルポジションセンサ47にて検出されたアクセル操作量Apからリンプホーム制御時におけるスロットル開度指令値θcmdを決定する。図12との比較から明らかなように、同一アクセル操作量Apにおいて、このリンプホーム制御ではより小さな値のスロットル開度指令値θcmdが設定される。そして、ステップS4でスロットル開度指令値θcmdからスロットル指令電圧Vcmdを決定し、ステップS5でそのスロットル指令電圧VcmdをPID制御回路72に出力する。
【0087】
つまり、通常のスロットル制御からリンプホーム制御に切り換えられた時点で、スロットル開度指令値θcmdは大きく低下して、スロットルバルブ5が閉方向に制御される。したがって、アクセル操作に関係なく機関トルクが低下し、運転者はウォーニングランプ69を視認するまでもなく、このトルク低下に基づいて速やかに異常を察知可能となる。また、リンプホーム制御への切換後にも、スロットル開度制御が行なわれるため、車両の走行を継続させることができ、かつ、スロットル開度が抑制されるため、運転者の慎重な運転が促される。
【0088】
また、ステップS7でフェイルフラグXFAIL1またはフェイルフラグXFAIL4がセットされていると判定したときには、スロットル制御系に異常が発生しているか、或いはバルブロックが発生していると見做してステップS9に移行する。そして、ステップS9でDCモータ31の通電を中止して、このルーチンを終了する。
【0089】
ここで、バルブロックの発生時には、スロットルバルブ5の開閉が阻止されているため、DCモータ31が通電中止されても、スロットル開度θthは変化しない。これに対して、スロットル制御系の異常発生時には、スロットルバルブ5が開閉自在であるため、DCモータ31の通電中止により、弁バネ25及びリターンバネ32の付勢力でスロットルバルブ5が開方向に回動操作され、図15に示すように、スロットル開度θthはガード位置θmgまで変化する。そして、その後はアクセル操作に応じてアクセル連動機構22により機械的にスロットルバルブ5が開閉される。
【0090】
また、以上のDCモータ31の通電中止に加えて、スロットル制御系の異常及びバルブロックが発生したときには、内燃機関1の特定の気筒に対して燃料噴射を中止する所謂燃料カットが行なわれ、その気筒が休止状態に保持される。そこで、次にCPU62が実行する燃料噴射制御処理を説明する。
【0091】
《燃料噴射制御処理》
図16は本発明の一実施例である内燃機関のスロットル制御装置のCPUが実行する燃料噴射制御ルーチンを示すフローチャート、図17は本発明の一実施例である内燃機関のスロットル制御装置のCPUが実行する燃料カットフラグ設定ルーチンを示すフローチャートである。
【0092】
図16の燃料噴射制御ルーチンは、内燃機関1のクランク角で720度毎に実行される。まず、CPU62はステップS101でエアフローメータ4にて検出された吸入空気量Qaとクランク角センサ15にて検出された機関回転数Neとから、今現在の内燃機関1が要求する燃料噴射量を算出し、その燃料噴射量に対応するパルス幅を設定する。次いで、ステップS102で燃料カットフラグ設定処理を実行する。
【0093】
〈燃料カットフラグ設定ルーチン〉
燃料カットフラグ設定ルーチンがコールされると、CPU62は図17のステップS111に移行する。今、仮にスロットル制御系の異常やバルブロックが発生せず、フェイルフラグXFAIL1及びフェイルフラグXFAIL4が共にクリアされているものとして説明する。
【0094】
CPU62はステップS111で今現在までクリアされていたフェイルフラグXFAIL1またはフェイルフラグXFAIL4がセットされたか否かを判定する。いずれのフェイルフラグXFAIL1,XFAIL4もセットされていないため、ステップS112に移行して、いずれかのフェイルフラグXFAIL1,XFAIL4が現在セットされているか否かを判定する。ステップS111の場合と同じく、いずれのフェイルフラグXFAIL1,XFAIL4もセットされていないため、このルーチンを終了する。つまり、スロットル制御系の異常やバルブロックが発生していない限り、このルーチンにおける対処は何らなされない。
【0095】
また、スロットル制御系の異常やバルブロックの発生によりフェイル判定が下されて、いずれかのフェイルフラグXFAIL1,XFAIL4がセットされると、ステップS111からステップS113に移行して、燃料カット処理の実行を示す燃料カットフラグXFCをセットする。次いで、ステップS112を経てステップS114に移行して、アクセル操作量Apが0か否かを判定し、アクセル操作量Apが0でない(Ap≠0)、つまりアクセル操作が行なわれているときには、このルーチンを終了する。その後は、アクセル操作されている限りステップS111、ステップS112、ステップS114の処理を繰り返して実行し、ステップS114でアクセル操作量Apが0になる(Ap=0)と、ステップS115で燃料カットフラグXFCをクリアする。
【0096】
したがって、図15に示すように、燃料カットフラグXFCは、フェイル判定が下されてからアクセル操作が中止されるまでの間、セット状態に保持されることになる。以上のようにして、燃料カットフラグ設定処理が完了すると、CPU62は図16の燃料噴射制御ルーチンに戻り、ステップS103で燃料カットフラグXFCがクリアされているか否かを判定する。
【0097】
燃料カットフラグXFCがクリアされているとき(XFC=0)、つまり、スロットル制御系の異常やバルブロックが発生していないときには、ステップS104に移行して燃料カット気筒数Nfcを0に設定(Nfc=0)し、ステップS105で、全気筒について前記ステップS101で設定したパルス幅の制御信号をインジェクタ駆動回路65に出力する。したがって、インジェクタ駆動回路65より全てのインジェクタ7が通電されて燃料を噴射し、内燃機関1の全気筒が作動する。即ち、この場合には、通常の燃料噴射制御が実行される。
【0098】
また、前記ステップS103で燃料カットフラグXFCがセットされているとき(XFC=1)、つまり、スロットル制御系の異常またはバルブロックが発生したときには、ステップS106に移行してフェイルフラグXFAIL4がセットされているか否かを判定する。フェイルフラグXFAIL4がセットされているときには、異常がバルブロックにありと見做して、ステップS107で燃料カット気筒数Nfcを6に設定(Nfc=6)し、ステップS105で全気筒についてインジェクタ駆動回路65への制御信号の出力を中止する。
【0099】
したがって、全てのインジェクタ7の燃料噴射が中止されて、内燃機関1の全気筒が休止する。よって、このバルブロックの発生時には、ロックしたスロットルバルブ5の開度に関係なく、燃料噴射の中止によって機関トルクが確実に0に抑制されて、車両の走行が中止される。また、前記ステップS106でフェイルフラグXFAIL1がセットされているときには、異常がスロットル制御系にありと見做して、ステップS108で燃料カット気筒数Nfcの設定処理を実行する。
【0100】
図18は本発明の一実施例である内燃機関のスロットル制御装置のCPUが実行する燃料カット気筒数設定ルーチンを示すフローチャート、図19は本発明の一実施例である内燃機関のスロットル制御装置における推定トルクを決定するためのマップを示す説明図、図20は本発明の一実施例である内燃機関のスロットル制御装置における燃料カット気筒数を決定するためのマップを示す説明図である。
【0101】
燃料カット気筒数Nfcの設定ルーチンがコールされると、CPU62は図18のステップS121に移行する。まず、このステップS121で図19に示す予めROM63に格納されたマップに従って、RAM64に格納されているフェイル時スロットル開度θsaveとクランク角センサ15にて検出された機関回転数Neとから、フェイル判定時における内燃機関1の機関トルクであるフェイル時推定トルクTfaを決定する。なお、図19のマップの特性は、実際の内燃機関1のトルク特性から求めたものであり、例えば、機関回転数Neが低い場合には、アクセル操作量Apに対する実際の機関トルクの上限が低いことから、フェイル時推定トルクTfaも小さな値に抑制されている。
【0102】
次いで、ステップS122で前記した図19のマップに従って、アクセルポジションセンサ47にて検出されたアクセル操作量Apとクランク角センサ15にて検出された機関回転数Neとから、フェイル判定後の現在の機関トルクであるフェイル後推定トルクTapを決定する。更に、ステップS123でフェイル後推定トルクTapからフェイル時推定トルクTfaを減算して、トルク増加分ΔT(ΔT=Tap−Tfa)を算出する。このトルク増加分ΔTは、スロットル開度θthがDCモータ31の通電中止によってガード位置θmgまで開方向に変化したときの機関トルクの増加分を示す。
【0103】
ここで、図12のマップに示すように、スロットル開度指令値θcmdは、全閉及び全開付近の領域でアクセル操作量Apに近似し、中間領域ではアクセル操作量Apに比較してより低い値に設定され、かつ、特に中間領域では、機関回転数Neが低いほど低い値に設定される。したがって、フェイル判定時にスロットル開度θthがガード位置θmgまで変化するときの変化量は、その時点のアクセル操作量Apや機関回転数Neに応じて相違し、それに伴いトルク増加分ΔTも変化する。そこで、ステップS121乃至ステップS123の処理により、フェイル判定の前後の機関トルク(フェイル時推定トルクTfa、フェイル後推定トルクTap)をそれぞれ推定して、そのトルク増加分ΔTを求めているのである。
【0104】
そして、CPU62はステップS124で図20に示す予めROM63に格納されたマップに従って、トルク増加分ΔTから燃料カット気筒数Nfcを決定して、このルーチンを終了する。図から明らかなように、このときの燃料カット気筒数Nfcは、トルク増加分ΔTの増加に伴って大きな値に設定される。
【0105】
その後、CPU62は図16の燃料噴射制御ルーチンに戻り、ステップS105で燃料カット気筒数Nfcに応じた気筒について制御信号をインジェクタ駆動回路65に出力する。その結果、インジェクタ駆動回路65により、燃料カット気筒数Nfcに対応する数のインジェクタ7が通電されて燃料を噴射し、それらの気筒が作動する。
【0106】
したがって、スロットル制御系の異常によりフェイル判定が下されて、図15に示すように、スロットル開度θthがガード位置θmgまで開方向に変化したときには、そのトルク増加分ΔTに基づいて燃料カット気筒数Nfcが設定される。そして、この燃料カット気筒数Nfcに対応して特定の気筒が燃料カットされて休止し、前記トルク増加分ΔTにほぼ等しい量だけ機関トルクが低減される。即ち、フェイル判定の前後での機関トルクの変動が防止され、フェイル後の車両加速度Gは、フェイル判定前と同様のごく小さな値に維持される。よって、運転者の意図に反する機関トルクの増加が確実に抑制され、アクセル操作量Apを調整し直すことなく運転を継続可能となる。
【0107】
なお、仮に、燃料カットされずに全気筒が作動し続けた場合には、スロットル開度θthと共に機関トルクが増加するため、車両加速度Gは運転者の意図に反して2点鎖線で示すように増大する。よって、このときの運転者は、アクセルペダル44の踏込を抑制する必要が生じる。そして、以上のように、スロットル開度θthがガード位置θmgまで変化した後には、アクセル連動機構22を介しアクセル操作に機械的に連動してスロットルバルブ5が開閉駆動される。したがって、スロットル制御系の異常の影響を全く受けることなく、確実なスロットル操作を継続して行なうことができる。
【0108】
また、フェイル判定後に、車両を停止させるべく運転者のアクセル操作量Apが次第に低下したときには、図18のステップS122で決定されるフェイル後推定トルクTapが低下し、ステップS123のトルク増加分ΔTと共に、ステップS124の燃料カット気筒数Nfcが次第に減少する。そして、図15に示すように、アクセル操作量Apがフェイル時スロットル開度θsaveまで減少した時点で、燃料カット気筒数Nfcは0に復帰し、アクセル操作量Apが更に低下して0になると、図17のステップS115で燃料カットフラグXFCがクリアされる。したがって、アクセル操作により車両の走行が再開されたときには、図16のステップS104で燃料カット気筒数Nfcが0に保持され、全気筒に対して燃料噴射を行なう通常の燃料噴射制御が実行される。
【0109】
つまり、本実施例のスロットル制御装置は、フェイル判定によりスロットル開度θthがガード位置θmgまで開かれたときの機関トルクの増加を抑制することを目的としており、その後の走行では、アクセル操作量Apに対してスロットルバルブがやや開き気味になるものの、走行には支障ないとして対処していないのである。しかも、後述するように、燃料カット気筒数Nfcに応じて燃料カットする気筒は、内燃機関1の回転バランスを考慮した上で決定されているものの、全気筒に対して燃料噴射を行なう通常時に比較すれば、内燃機関1の振動が増大するのは避けられない。したがって、前記のようにアクセル操作量Apが0になった時点で燃料カット気筒数Nfcを0に保持することにより、フェイル判定後において、気筒の休止による振動の増大が防止される。
【0110】
なお、参考までに、前記ステップS124で実行される燃料カット気筒数Nfcに応じた燃料カット気筒の選択例を説明する。図21は本発明の一実施例である内燃機関のスロットル制御装置における燃料カット気筒数から燃料噴射を中止する気筒を決定するためのマップを示す説明図である。
【0111】
前記のように、本実施例の内燃機関1はV型6気筒であり、その点火順序はシリンダ番号順、つまり#1〜#6の順に設定されている。但し、図21における燃料カット気筒は、シリンダ番号ではなく、フェイル判定後に最初に燃料噴射される気筒を「1」として定めている。したがって、例えば、#4の気筒への燃料噴射が終了した時点でフェイル判定が下され、燃料カット気筒数Nfcとして3が設定されたときには、燃料カット気筒は「1」、「3」、「5」が設定されるが、次に燃料噴射される気筒が#5であることから、実際には#5、#1、#3の気筒が燃料カットされる。なお、当然のことであるが、図に示す燃料カット気筒は、内燃機関1の回転バランスを考慮した上で決定されている。
【0112】
なお、本実施例ではアクセル操作量Ap、スロットル開度θth及びエンジン回転数Neからトルク増加分ΔTを推定しているが、これらパラメータの代わりに吸入空気量Qa又は吸気管圧力Pmで推定してもよい。つまり、フェイル時推定トルクTfa=フェイル発生時の吸入空気量Qa又は吸気管圧力Pm、フェイル後推定トルクTap=フェイル判定後の吸入空気量Qa又は吸気管圧力Pmとしてトルク増加分ΔTを推定してもよい。
【0113】
また、上記実施例では、第1のスロットル制御系異常判定ルーチンで、制御推定スロットル開度θcmdoと実際のスロットル開度θthとの間にある程度の差が継続して発生した場合、及び第2のスロットル制御系異常判定ルーチンで、ガード位置θmgとスロットル開度θthとの差が狭まった状態が継続して発生した場合に、スロットル制御系のフェイル判定を行なった。しかしながら、本発明におけるスロットル制御系の異常とは、これに限定されるものでなく、DCモータ31によるスロットル制御が実行不能となり、アクセル連動機構22による機械的なスロットル操作を必要とする全ての事態を含む。したがって、例えば、モータ制御機構22に機械的な異常が発生したときに、スロットル制御系のフェイル判定を行なってもよい。
【0114】
更に、上記実施例では、車両の走行を制御するための通常のスロットル制御をDCモータ31にて行なったが、本発明を実施する場合には、これに限定されるものではなく、スロットルバルブ5を電気的に開閉制御するものであれば、そのスロットル制御の内容については限定されない。
【0115】
したがって、例えば、実開平2−37245号公報に記載のスロットル制御装置のように、本発明を、トラクションコントロール(以下、単に『TRC』という)のためのスロットル制御に適用することもできる。
【0116】
公報の例について説明すると、このスロットル制御装置では、一対のスロットルバルブを備えており、一方の主スロットルバルブは、アクセル操作に機械的に連動して開閉駆動されて、車両の走行を制御する役割を果たす。また、他方の補助スロットルバルブは、車両の駆動輪にスリップが発生したときにTRCで閉側に制御され、機関トルクを低減してスリップを抑制する役割を果たす。
【0117】
ここで、公報に記載されているように、TRC中にスロットル制御系に異常が発生すると、直ちにTRCを中止すべく、閉側に制御された補助スロットルバルブは全開に保持される。よって、主スロットルバルブの開度に相当する値まで内燃機関の吸入空気量は増大し、機関トルクが増加することになる。そこで、上記実施例と同様に、機関トルクの増加分に応じて特定の気筒を休止すれば、このときの急激なトルクの増加を抑制することができる。
【0118】
なお、上記図2に示したスロットル制御装置では、クルーズコントロール走行時には、ダイヤフラムアクチュエータ49によって、ガードレバー45を開方向に回動操作し、アクセル操作されなくてもDCモータ31にてスロットルバルブ5を回動制御している。また、アイドリングでの、暖機中と暖機後のスロットル弁開度をサーモワックス50および操作ロッド50aによって制御している。
【0119】
上記のようなダイヤフラムアクチュエータ49、サーモワックス50および操作ロッド50aに代えて電磁クラッチ等を備えて通常時、クルーズコントロール、アイドリングの制御を実行する他の実施例を図22に示す。図22は、電磁クラッチを備えたスロットル制御装置の構成を、図3のようにスロットルバルブ周辺の動作原理を模式的に示したものである。なお、この図において、上方がスロットルバルブ5の開方向、下方が閉方向である。
【0120】
図22に示す本実施例では、図2に示す実施例のアクセル開度センサ47は取り付けられておらず、アクセル操作量はガード位置センサ48によって代用される。また、スロットル開度センサ34は、従動ギア28に取り付けられる。以下、上記スロットル制御装置の作動を説明する。通常時、電磁クラッチ80のクラッチコイル80aへの通電が遮断される。そして、運転者がアクセルペダル44を操作すると、ガード位置センサ48からこのアクセル操作量に対応する信号θmgが出力され、この信号に基づきDCモータ31が駆動される。すると、従動ギア28は開側へ回動し、これに従ってスロットルバルブ5が開く。
【0121】
一方、クルーズコントロール時、電磁クラッチ80のクラッチコイル80aへ通電され、従動ギア28とスロットル軸23とが直結される。これにより、DCモータ31にてスロットルバルブ5が開閉制御される。なお、図22に示す実施例では、ガードレバー45のスロットルバルブ5閉方向側にそれ以上の閉側回動を規制するガードストッパ90が設けられる。このガードストッパ90に相当するスロットルバルブ開度は、スロットルバルブ5の全閉位置を示す全閉位置ストッパ26の開度よりも若干大きな開度となるように設定される。これにより、スロットルバルブ5が全閉位置にあり、ガードレバー45がガードストッパ90に当接するときにはガードレバー45とストッパレバー24との間に所定の隙間が形成される。
【0122】
こうすることにより、アイドリング中において、スロットルバルブ5は全閉位置からガードストッパ90の位置に相当する開度範囲でDCモータ31によって制御可能となる。そして、内燃機関1の負荷に変動があった場合でも、DCモータ14を制御することによりアイドル回転数を一定に保つことができる。さらに、本実施例では、スロットルバルブ5をバイパスするバイパス通路100が設けられ、この通路100を開閉制御するエアバルブ110が設けられる。このエアバルブ110は、機関冷間時にはバイパス空気量が増大するように開き、暖機終了後には閉じ、バイパス空気量を減少させる。そして暖機後には、DCモータ31によって、上記所定隙間内でスロットルバルブ5を制御する。
【0123】
ここで、上記のようなバイパス通路100を備えず冷間時にもスロットルバルブ5によってアイドル回転数制御されるスロットル制御装置では、DCモータ31や制御装置61等の故障により、暖機後にもスロットルバルブ5が所望のアイドル回転数に対応する開度以上で開いたままとなって機関回転数が異常に上昇してしまうといった不具合が起こる恐れがある。しかしながら、上述のようにバイパス通路100を備えることで、このような不具合を起こすことはない。
【0124】
そして、このスロットル制御装置においても図2の実施例で述べた、種々のフェイル判定を行い、スロットル制御系の異常、バルブロックが生じたと判定されたときには、この異常に対応したフェールセーフ処理を図2の実施例と同様に実行するとともに、気筒数制御および推定トルク演算を行う。ところが、図22に示した電磁クラッチ80は、クラッチコイル80aが通電状態から、非通電状態となったときに確実にクラッチが解除されず、スロットルバルブ5と従動ギア42との直結が解除されなくなるクラッチロックが生じる場合がある。
【0125】
そこで、上記のようなクラッチロックが生じたとき、この異常を確実に検出する必要がある。以下、このクラッチロック検出処理を説明する。
【0126】
上記クラッチロック検出処理は、クルーズコントロール解除時に行われる。クルーズコントロールはブレーキが踏み込まれたとき、すなわち図23(a)に示すように、ブレーキ信号がONとなったときに、電磁クラッチ80による従動ギア28とスロットルバルブ5との連結状態を解除するように、クラッチコイル80aへのクラッチ信号がOFF(図23(b))となる。
【0127】
ここで、ブレーキが踏み込まれたとき、アクセル踏み込み量はほぼ零と考えてよいため、ガードレバー45、ストッパーレバー24、スロットル軸23等は、スプリング46の付勢力により閉方向へ回動しようとする。したがって、図23(c)の実線に示すようにガード位置センサ48の出力値θmgはガードストッパ90の位置に対応する値に近づく。そこで、このクルーズコントロール解除時に、従動ギア28をそのときの位置に所定時間(KC1)保持するように、図23(c)の破線の如くDCモータ31へスロットル開度指令値θcmdを出力し、所定時間後従動ギア28も全閉位置ストッパ26の位置となるようにする。すると、確実にクラッチが切れていれば、従動ギア28は上記所定時間後に、全閉位置ストッパ26の位置となり、従動ギア28に取り付けられるスロットル開度センサ34の出力値であるθthは、図23(c)の一点鎖線のようになる。
【0128】
一方、もしもクラッチロックが生じていれば、クルーズコントロール解除後も、ガードレバー45、ストッパーレバー24、スロットル軸23等はそのままの位置で保持される。そして、上記所定時間後に、従動ギア28が閉方向へ回動されるとき、これに応じて回動するため、θmgは図23(d)の実線に示すようにθcmdと一致する。
【0129】
したがって、クルーズコントロール解除後、所定時間DCモータ31により従動ギア28を保持し、このときのθmgとθcmdとを検出すればクラッチロックが生じているか否かが判別できる。以下、図24に示すフローチャートによってクルーズコントロール解除時におけるクラッチロック検出処理を説明する。なお、このクラッチロック検出処理は、図2の実施例の、図4のスロットル制御ルーチンのステップS1で実行される図5のフェイル判定処理ルーチン内の複数のフェイル判定処理の1つに組み込まれる。
【0130】
そして、図5に示したフェイル判定ルーチンで、クラッチロック検出ルーチンがコールされると、図24のステップS201へ移行する。ステップS201において、クラッチロック発生を示すクラッチロック判定フラグXFCLTが既にセットされているか否かを判定する。判定フラグXFCLTがセットされているときには、そのまま本処理を終了する。
【0131】
一方、ステップS201において、判定フラグXFCLTがセットされていないならば、ステップS202へ進み、以下ステップS202〜206で、クルーズコントロール解除時から所定時間KC1遅れて、θcmdを閉じるようにする処理を行う。すなわち、ステップS202でクラッチ信号がONからOFFへと移行し、クルーズコントロールが解除されたか否かを判定する。そして、クラッチ信号がONからOFFへ移行したと判断されたならば、ステップS203においてカウンタCCLTをゼロとする。そうでないなら、ステップS204でカウンタCCLTをインクリメント(CCLT=CCLT+1)する。これによって、クラッチ信号がONからOFFされた時点から、カウンタCCLTはカウントアップされる。
【0132】
そして、ステップS205において、カウンタCCLTのカウント値が、所定時間KC1より小さいか否かを判定する。カウンタ値CCLTがKC1より小さいならば、ステップS206へ進み、そうでないなら本処理を終了する。そして、カウンタ値CCLTがKC1より小さい、すなわちクルーズコントロール解除時から所定時間KC1に達していないとき、ステップS206で、今回のθcmdiを前回のθcmdi−1と同一とする。そして、ステップS208へ進み、θmgがθcmdよりも小さいか否かを判別する。θmgがθcmdよりも小さいならば、ステップS210へ進み、そうでないなら、ステップS209へと進む。そして、ステップS209では、カウンタCCLTFをインクリメント(CCLTF=CCLTF+1)し、ステップS211へ進む。一方、ステップS210では、カウンタCCLTFをゼロにセットし、ステップS211へ進む。これによって、クラッチロック異常が生じ、θmgとθcmdとの値が同一である状態がどれだけ継続するかを検出することが可能である。
【0133】
そして、ステップS211で、上記カウンタCCLTFが、所定時間KCFより小さいか否かを判別する。カウンタCCLTFが、所定時間KCFより小さいと判断されたときにはそのまま本処理を終了し、そうでないときにはステップS212においてクラッチロック判定フラグXFCLTをセットし、本処理を終了する。そして、この処理を終え、図4のスロットル制御ルーチンへ戻る。このとき、クラッチロック判定フラグXFCLTがセットされているならば、図4のスロットル制御ルーチンのステップS2、S6、S7、S9と進み、ウォーニングランプを点灯するとともに、DCモータ31への通電を中止する。一方、クラッチロック判定フラグXFCLTがセットされていないならば、図4のスロットル制御ルーチンのステップS2、S3、S4、S5と進み、通常のスロットル制御時のスロットル開度指令値θcmdを設定するとともに、θcmdをVcmdに変換して、このVcmdを出力する。
【0134】
これによって、クルーズコントロール解除時において、電磁クラッチ80のクラッチロックを判定することができる。また、電磁クラッチ80のクラッチロック検出を、上記のようなクルーズコントロール解除時ではなく、機関始動時、すなわちイグニッションスイッチ(以下、IGSWを記す)がONとなったときに行ってもよい。
【0135】
つまり、図25(a)に示すうように、IGSWがONとなったときに、図25(b)、図25(c)に示すように、DCモータ31への出力値θcmdを、スロットルバルブ5がガードストッパ90の位置よりも所定開度(例えば、+5°)開いた位置となる値(KMG)とし、所定時間(KC2)、この値を保持する。そして、この間に、θmgとθcmdとを比較する。ここで、クラッチロックが生じていないならば、スロットルバルブ5は、ガードストッパ90の位置にあるため、図25(b)のようにθmg<θcmdとなり、一方、クラッチロックが生じているならば、図25(c)のようにθmg=θcmdとなる。そして、θmg=θcmdの状態が所定時間(KCF)続いたらロックと判断する。
【0136】
以下、この処理によるクラッチロック検出処理を図26に示す。なお、この処理は、上述の図24に示した処理とほぼ同一であり、同一であるところは図24と同じ番号をつけ、説明を省略する。ステップS222では、IGSWがOFFからONとなったか否かを判別し、OFFからONとなったと判断されたらステップS203へ進み、そうでないならばステップS204へ進む。これによって、IWSWがONとなった時点からカウントアップされる。
【0137】
また、ステップS225において、カウンタCCLTのカウント値が、所定時間KC2より小さいか否かを判定する。カウンタ値CCLTがKC1より小さいならば、ステップS226へ進み、そうでないなら本処理を終了する。そして、ステップS226では、θcmdを上記KMGとして保持する。次に、ステップS208で、θmgとθcmd(=KMG)とを比較することにより、クラッチロックが生じているか否かを検出することができる。
【0138】
また、上述の図26に示したクラッチロック検出処理は、通常時、アクセルペダル全閉かつ機関回転数が所定回転数以上のときに実行される減速燃料カットの開始時に実行してもよい。これは、減速燃料カット時には、スロットルバルブ5がどのように駆動されても、機関の挙動には影響しないためである。以下、減速燃料カット時におけるクラッチロック検出処理を図27で示す。なお、この処理は、上記図26の処理とほぼ同一であり、異なる点はステップS232であるため他の処理の説明は省略する。
【0139】
ステップS232では、減速燃料カットフラグXDFCが0から1へセットされたか否かを判別する。このフラグXDFCは、通常時、アクセルペダル全閉位置であり、かつ機関回転数が所定回転数(例えば、1500rpm)のとき、セットされるように設定される。そして、XDFCがセットされたと判断されたならば、ステップS203へ進み、そうでないならばカウンタCCLTをインクリメント(CCLT=CCLT+1)する。これによって、減速燃料カットが実行された時点からカウントアップされる。また、ステップS226で、θcmd を上記KMGで保持する。そして、ステップS208で、θmgとθcmdとを比較することにより、クラッチロックが生じているか否かを検出することができる。
【0140】
次に、他の実施例として燃料カット気筒数Nfcを車速、またはエンジン回転数に基づいて設定するようにしてもよい。この実施例の概略構成図を図28に示す。図28は図1に示した概略構成図に車速センサ121およびシフト位置センサ122を追加したものである。他の構成については図1と同様のため説明は省略する。
【0141】
このような構成において、CPU62が図16の代わりに実行するフローチャートを図29に示し、以下、このフローチャートに従って説明する。なお、このフローチャートはIGSWのオン時にイニシャライズ処理としてフェイルフラグXFAIL1を“0”とする。さらに、このフローチャートは内燃機関1のクランク角で720度毎に実行される。
【0142】
この処理が実行されると、ステップS301において、エアフロメータ4にて検出された吸入空気量Qaとクランク角センサ15にて検出された機関回転数Neとから、今現在の内燃機関1が要求する燃料噴射量を算出し、その燃料噴射量に対応するパルス幅を設定する。次に、ステップS302ではフェイルフラグXFAIL1が“1”であるかを判定する。“1”でなければステップS303に進み燃料カット気筒数Nfcを“0”に設定し、ステップS307へと進む。
【0143】
ステップS302において、フェイルフラグXFAIL1が“1”であればステップS304に進み、現在、エンジンの駆動力が駆動輪に伝わっているかを判定する。これは、シフト位置センサ122の検出信号から、オートマチックトランスミッション(AT)車の場合は、ギアのシフト位置がドライブまたはリバース位置にあるかを判定する。また、マニュアルトランスミッション(MT)車の場合には、ギアがつながっており、かつ、クラッチが係合しているかを判定する。ここで、駆動力が伝わっているときには、ステップS306に進む。伝わっていないときにはステップS305に進む。
【0144】
ステップS306では、図30に示したマップから、車速センサ121によって検出された車速に応じた燃料カット気筒数Nfcを設定する。つまり、車速が遅いほど燃料カット気筒数Nfcの数を多くする。また、ステップS305では、図31に示したマップから燃料カット気筒数Nfcを設定する。つまり、エンジン回転数が高いときほど燃料カット気筒数Nfcを多くする。ステップS305,ステップS306にて燃料カット気筒数Nfcが設定されると、ステップS307にて、ステップS301で燃料カット気筒数Nfcに応じた気筒について制御信号をインジェクタ駆動回路65に出力する。その結果、インジェクタ駆動回路65により、燃料カット気筒数Nfcに対応する数のインジェクタ7が通電されて燃料を噴射し、それらの気筒が作動する。
【0145】
以上の処理を実行することにより、駆動力が伝わっているときには車速に応じて燃料カット気筒数Nfcを設定する。詳しくは、車速が遅いほど燃料カット気筒数Nfcを多くする。これにより、車両が静止しているときには燃料カット気筒数Nfcを多くしてトルクを抑え、車両の飛びだしを防ぐようにしている。また、車速が速くなるにしたがい、燃料カット気筒数Nfcが少なくなるように設定しているので、ドライバビリティの悪化も防止している。
【0146】
また、駆動力が伝わっていないときには、エンジン回転数に応じて燃料カット気筒数Nfcを設定している。詳しくはエンジン回転数が大きくなるほど燃料カット気筒数Nfcを多くなるように設定している。これにより、ギアのシフト位置がニュートラル状態等のエンジンの駆動力が車輪に伝わっていないときのエンジン回転数の増加を防止することができる。また、ニュートラル時の過大なエンジン回転は運転車の不安を招くものであるが、これを防止することができる。
【0147】
以上の処理は、一度フェイルが検出されるとIGSWがオフするまで続けられる。そして、次にIGSWをオンしたときにフェイルフラグXFAIL1が“0”にリセットされるため、正常状態に戻っていれば正常時の燃料噴射処理を、まだ異常状態が継続されていれば、再びフェイルフラグXFAIL1が“1”となるため、燃料カットが実行され、それにともなう燃料噴射処理が実行される。
【0148】
また上記実施例において、図30,図31に示したマップの燃料カット気筒数Nfc切り換え条件にヒステリシス特性を持たせるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態の一実施例である内燃機関のスロットル制御装置を示す概略構成図である。
【図2】本発明の一実施例である内燃機関のスロットル制御装置が適用されるスロットルバルブ周辺を示す斜視図である。
【図3】本発明の一実施例である内燃機関のスロットル制御装置が適用されるスロットルバルブ周辺の動作原理を模式的に示す説明図である。
【図4】本発明の一実施例である内燃機関のスロットル制御装置のCPUが実行するスロットル制御ルーチンを示すフローチャートである。
【図5】本発明の一実施例である内燃機関のスロットル制御装置のCPUが実行するフェイル判定ルーチンを示すフローチャートである。
【図6】本発明の一実施例である内燃機関のスロットル制御装置のCPUが実行する第1のスロットル制御系異常判定ルーチンを示すフローチャートである。
【図7】本発明の一実施例である内燃機関のスロットル制御装置のスロットル開度指令値に対する実際のスロットル開度の制御遅れを示す説明図である。
【図8】本発明の一実施例である内燃機関のスロットル制御装置のCPUが実行する第2のスロットル制御系異常判定ルーチンを示すフローチャートである。
【図9】本発明の一実施例である内燃機関のスロットル制御装置のCPUが実行するアクセル連動機構異常判定ルーチンを示すフローチャートである。
【図10】本発明の一実施例である内燃機関のスロットル制御装置のCPUが実行するバネ切損判定ルーチンを示すフローチャートである。
【図11】本発明の一実施例である内燃機関のスロットル制御装置のCPUが実行するバルブロック判定ルーチンを示すフローチャートである。
【図12】本発明の一実施例である内燃機関のスロットル制御装置における通常制御時のスロットル開度指令値を決定するためのマップを示す説明図である。
【図13】本発明の一実施例である内燃機関のスロットル制御装置におけるスロットル指令電圧を決定するためのマップを示す説明図である。
【図14】本発明の一実施例である内燃機関のスロットル制御装置におけるリンプホーム制御時のスロットル開度指令値を決定するためのマップを示す説明図である。
【図15】本発明の一実施例である内燃機関のスロットル制御装置におけるスロットル制御系の異常発生時のタイムチャートである。
【図16】本発明の一実施例である内燃機関のスロットル制御装置のCPUが実行する燃料噴射制御ルーチンを示すフローチャートである。
【図17】本発明の一実施例である内燃機関のスロットル制御装置のCPUが実行する燃料カットフラグ設定ルーチンを示すフローチャートである。
【図18】本発明の一実施例である内燃機関のスロットル制御装置のCPUが実行する燃料カット気筒数設定ルーチンを示すフローチャートである。
【図19】本発明の一実施例である内燃機関のスロットル制御装置における推定トルクを決定するためのマップを示す説明図である。
【図20】本発明の一実施例である内燃機関のスロットル制御装置における燃料カット気筒数を決定するためのマップを示す説明図である。
【図21】本発明の一実施例である内燃機関のスロットル制御装置における燃料カット気筒数から燃料噴射を中止する気筒を決定するためのマップを示す説明図である。
【図22】本発明の他の実施例である内燃機関のスロットル制御装置が適用されるスロットルバルブ周辺の動作原理を模式的に示す説明図である。
【図23】クルーズコントロール解除時における各信号のタイムチャートである。
【図24】クラッチロック検出ルーチンを示すフローチャートである。
【図25】イグニッションスイッチON時における各信号のタイムチャートである。
【図26】クラッチロック検出ルーチンを示すフローチャートである。
【図27】クラッチロック検出ルーチンを示すフローチャートである。
【図28】他の実施例の内燃機関のスロットル制御装置を示す概略構成図である。
【図29】他の実施例において、CPUにて実行される処理を示したフローチャートである。
【図30】他の実施例において、内燃機関のスロットル制御装置における車速から燃料カット気筒数を決定するためのマップを示す説明図である。
【図31】他の実施例において、内燃機関のスロットル制御装置におけるエンジン回転数から燃料カット気筒数を決定するためのマップを示す説明図である。
【符号の説明】
1 内燃機関
5 スロットルバルブ
7 インジェクタ
22 アクセル連動機構
31 DCモータ
62 CPU
65 インジェクタ駆動回路
121 車速センサ
122 シフト位置センサ

Claims (4)

  1. アクセル操作量に基づいて内燃機関のスロットルバルブのスロットル開度指令値を設定し、前記スロットル開度指令値に基づいてモータにより前記スロットルバルブを制御するスロットル制御手段と、
    前記スロットル制御手段の異常を検出する複数の異常検出手段と、
    前記複数の異常検出手段により検出された異常の度合いに応じたフェールセーフ処理を行うフェールセーフ手段とを備え
    前記複数の異常検出手段は、スロットルバルブ開度に関連する異常を検出するスロットル系異常検出手段と、アクセル操作量に関連するアクセル系異常検出手段と、前記スロットルバルブのロック状態を検出するバルブロック検出手段とからなり、
    前記フェールセーフ手段は、前記スロットル系異常検出手段または前記バルブロック検出手段により異常が検出された時に前記モータを停止させる第1のフェールセーフ手段と、前記アクセル系異常検出手段により異常が検出された時にアクセル操作量に基づいて設定されるスロットル開度指令値を正常時より小さい値となるように設定する第2のフェールセーフ手段とを備えることを特徴とする内燃機関のスロットル制御装置。
  2. 前記第1のフェールセーフ手段は、更に燃料を供給する気筒数を減少させる手段を備えることを特徴とする請求項に記載の内燃機関のスロットル制御装置。
  3. 前記第1のフェールセーフ手段は、運転状態に基づいたトルク推定値に基づいて燃料を供給しない気筒数を設定することを特徴とする請求項に記載の内燃機関のスロットル制御装置。
  4. 前記スロットルバルブは、前記スロットルバルブを所定の方向に付勢するバネを備え、
    前記複数の異常検出手段は、更に前記バネの切損を検出するバネ切損検出手段を備え、
    前記フェールセーフ手段は、前記バネ切損検出手段によりバネの切損が検出された時には通常のスロットル制御を実行することを特徴とする請求項乃至に記載の内燃機関のスロットル制御装置。
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