JP3724563B2 - 燃料改質装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は燃料改質装置、特に起動時の運転に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
燃料改質装置の一部を構成する一酸化炭素除去器を起動する方法が特開平8−133701公報に開示されている。このものでは燃料改質装置の起動時にまず燃料蒸気生成手段により燃料蒸気を生成し、その燃料蒸気を改質器に導入して水素リッチガスを生成する。次にこの水素リッチガスに過剰量の酸化剤を混合して一酸化炭素除去器に導入する。これにより一酸化炭素除去器では一酸化炭素の酸化反応の進行と並行して水素の酸化反応が促進され、この反応熱により一酸化炭素除去器が昇温する。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、燃料を改質することにより生成した水素リッチガスには一酸化炭素が含まれるのであるが、起動した直後で改質触媒(改質器に用いられている触媒)が低温のときには一酸化炭素を十分に低減できないため起動開始直後の水素リッチガス中の一酸化炭素濃度が通常運転時より高くなる。例えば燃料にメタノールを用いた場合には一時的に例えば3%程度にもなる。
【0004】
一方、一酸化炭素除去触媒(一酸化炭素除去器に用いられている触媒)は、一酸化炭素を選択的に酸化するために一酸化炭素が吸着しやすいように設計されている。また、一酸化炭素除去触媒が低温のときには一酸化炭素が関与する反応の速度が小さい。このため一酸化炭素除去触媒が低温のときには反応しない一酸化炭素に覆われる触媒表面が増大する。
【0005】
以上により、燃料改質装置の起動時には次の現象が生じている。まず水素リッチガス中の高濃度の一酸化炭素が低温状態の一酸化炭素除去触媒に吸着し、未反応のまま触媒表面を覆ってしまう。これにより酸化剤が触媒表面に衝突する頻度が減少するため酸化反応の進行が遅くなる。この結果、一酸化炭素除去器の昇温が遅くなるという問題点があった。
【0006】
そこで本発明は、起動時に一酸化炭素除去器での酸化反応を先に開始させ、その後に改質器での酸化反応を開始させることにより、一酸化炭素除去器の昇温を早め燃料改質装置全体の起動を時間を短縮することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
第1の発明は、燃料蒸気を生成する燃料蒸気生成手段と、この燃料蒸気生成手段からの燃料蒸気と酸化剤との酸化反応により水素リッチガスを生成する改質器と、この水素リッチガスに含まれる一酸化炭素を酸化剤との酸化反応により低減する一酸化炭素除去器とをこの順に直列に備えた燃料改質装置において、起動時に一酸化炭素除去器での酸化反応を先に開始させ、その後に改質器での酸化反応を開始させる制御手段を備える。
【0008】
第2の発明では、第1の発明において起動時の一酸化炭素除去器での酸化反応の反応物が、燃料蒸気と酸化剤とである。
【0009】
第3の発明では、第2の発明において燃料蒸気と酸化剤を一酸化炭素除去器に供給する手段が、燃料蒸気生成手段からの燃料蒸気を酸化反応を起こさせることなく改質器を介して流出させた後に酸化剤を混合して一酸化炭素除去器に流入させる手段である。
【0010】
第4の発明では、第3の発明において燃料蒸気生成手段が、燃料と酸化剤との酸化反応により高温ガスを生成する燃焼器と、この高温ガスと混合することによって燃料を気化して燃料蒸気とする気化器とからなる場合に、燃焼器における燃料の燃焼雰囲気が理論空燃比かそれよりもわずかにリーンの状態となるように燃料流量と空気流量の比率を設定する。
【0011】
第5の発明では、第2の発明において燃料蒸気生成手段と改質器を接続する第1流路と、改質器と一酸化炭素除去器とを接続する第2流路と、第1流路から分岐して改質器を迂回し第2流路に合流するバイパス路と、燃料蒸気生成手段からの燃料蒸気の流れる流路をバイパス路と改質器を経る流路とで選択的に切換える流路切換手段とを備え、燃料蒸気と酸化剤を一酸化炭素除去器に供給する手段が、流路切換手段を用いてバイパス路側に流路を切換え、この切換えられた流路であるバイパス路を介して燃料蒸気生成手段からの燃料蒸気を流した後に酸化剤を混合して一酸化炭素除去器に流入させる手段である。
【0012】
第6の発明では、第1から第5までのいずれか一つの発明において起動開始からの時間を計測する手段を備え、この計測される時間に基づいて改質器での酸化反応を開始させる時期を制御する。
【0013】
第7の発明では、第1から第5までのいずれか一つの発明において一酸化炭素除去器の温度を検出する手段を備え、この検出される温度に基づいて改質器での酸化反応を開始させる時期を制御する。
【0014】
【発明の効果】
一酸化炭素除去触媒が活性化する前に一酸化炭素除去器に対して改質器より一酸化炭素を含んだ水素リッチガスが導入されたのでは、一酸化炭素が触媒表面に吸着され、未反応のまま触媒表面を覆ってしまうことになるが、第1の発明によれば、改質器での酸化反応により一酸化炭素が流出するよりも前に、一酸化炭素除去器での酸化反応が開始されるので一酸化炭素除去器が先に昇温し酸化剤が触媒表面に衝突する頻度が高くなる(一酸化炭素除去触媒が活性化してゆく)。これにより、遅れて改質器での酸化反応が開始され改質器で生成された一酸化炭素が一酸化炭素除去器に流入してきても、酸化剤が触媒表面に衝突する頻度が高くなったぶん酸化反応の進行が早くなることから、一酸化炭素を反応よく酸化させることができる。これにより、一酸化炭素が触媒表面に吸着されて未反応のまま触媒表面を覆ってしまう事態を避けることができるととともに、一酸化炭素除去器の昇温を従来技術より早めることができ、燃料改質装置の起動時間を短縮することができる。
【0015】
起動時の一酸化炭素除去器での酸化反応の反応物を燃料蒸気と酸化剤で構成するのであれば燃料蒸気の生成にはすでにある燃料蒸気生成手段を共用できるので、第2の発明によれば燃料改質装置の構成を簡素にすることができる。
【0016】
第3、第4の発明によれば、従来技術における既存の装置構成のまま起動時の運転方法を変えるだけであるので、既存の装置構成を変更する必要がない。
【0017】
第5の発明によれば、燃料蒸気生成手段からの燃料蒸気がバイパス路を介して一酸化炭素除去器に流入する。バイパス路は単なる配管であり熱容量が改質器より小さいので、一酸化炭素除去器に流入する燃料蒸気の温度低下が改質器を経て流れる場合よりも小さくなる。すなわち燃料蒸気の温度が高い方が反応速度が大きくなり酸化反応の進行が早くなることから、第5の発明によれば燃料蒸気を改質器を経て流す場合より一酸化炭素除去器の昇温をさらに早めることができる。
【0018】
第6の発明によれば起動開始からの時間に基づくシーケンシャル制御でよいため制御が簡単である。
【0019】
起動開始からの時間に基づくシーケンシャル制御であれば燃料改質装置の起動前に一酸化炭素除去器の温度が既に高い場合(燃料改質装置の運転を停止した直後に再び燃料改質装置を起動する場合)にも改質器の反応を開始する時期が冷間起動時と同じになってしまうが、第7の発明によれば、燃料改質装置の起動前に一酸化炭素除去器の温度が既に高い場合に合わせて改質器の反応を開始する時期を早めることができる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態を添付図面に基づいて説明する。
【0021】
図1に燃料改質装置の第1実施形態のブロック構成図を示すと、燃料改質装置は化学反応が生じる反応部、この反応部に燃料であるメタノールを供給する燃料供給系統、反応部に酸化剤としての空気を供給する空気供給系統の3つの部分からなり、各部分の詳細は次の通りである。まず反応部は、燃焼器1、気化器2、改質器4、一酸化炭素除去器6、これらを直列に接続する流路3、5、7、8からなり、さらに通常運転に移行する前にはガスを燃焼器・蒸発器(図示しない)へと流し、通常運転に移行した後に燃料電池スタックへと流す機構(流路28と遮断弁29、30)を備えている。燃料供給系統は、メタノールポンプ9、燃料供給通路10、12、インジェクタ11、13から、これに対して空気供給系統は、空気コンプレッサ14、空気供給通路15、17、19、これら通路の開閉を行うとともに、開いた状態では燃焼器1、改質器4、一酸化炭素除去器6への空気流量を調整するバルブ16、18、20から構成されている。
【0022】
ここで、燃料改質装置の通常運転時の運転方法について簡単に説明する。なお、この状態では燃焼器1と気化器2の運転は停止されている。
【0023】
図示しない燃焼器で生成した高温ガスにより、図示しない蒸発器において気化したメタノール蒸気と水蒸気とが流路21を介して流路5に導入され、ここでバルブ18により調量された空気と混合される。この混合されたメタノール蒸気と水蒸気と空気とが流入する改質器4では、改質触媒であるCu/ZnO上において次に示す反応が生じることにより水素リッチガスが生成され流路7に流出する。
【0024】
2CH3OH+O2→2CO2+4H2 (1)
CH3OH+H2O→CO2+3H2 (2)
この際、次に示す反応も進行しているため水素リッチガス中には一酸化炭素COが例えば約1%程度含まれている。
【0025】
CH3OH→CO+2H2 (3)
この一酸化炭素の濃度を低減するために改質器4からの水素リッチガスに対してバルブ20で調量された空気が混合され、一酸化炭素除去器6に導かれる。一酸化炭素除去器6では一酸化炭素除去触媒であるPt/Ru/Al2O3において次に示す反応が生じることにより、水素リッチガス中の一酸化炭素濃度が例えば約40ppm以下まで低減されて流路8に流出する。
【0026】
2CO+O2→2CO2 (4)
そして、この一酸化炭素濃度の低減された水素リッチガスが、図示しない燃料電池スタックへと導かれる。このとき一方の遮断弁29は開いた状態、他方の遮断弁30は閉じた状態にある。
【0027】
このように運転されるのであるが、通常運転時と異なる冷間状態での起動時には改質器4、一酸化炭素除去器6が低温の状態にあり各触媒が未活性化の状態にあるので、触媒を活性化するため、燃焼器1、気化器2からなる燃料蒸気生成手段の運転並びにバルブ18、20の開閉制御を起動開始からの時間に基づくシーケンシャル制御で行う。このシーケンシャル制御を以下時系列的に説明する。
【0028】
起動開始の前にはメタノールポンプ9、空気コンプレッサ14は作動停止状態にあり、インジェクタ11、13およびバルブ16、18、20、遮断弁29、30は総て全閉状態にある。グロープラグ22も非通電状態である。
【0029】
起動開始時にメタノールポンプ9と空気コンプレッサ14の駆動を開始してインジェクタ11にメタノールを、バルブ16に空気を圧送し、グロープラグ22への通電を開始してグロープラグ22を加熱する。これらの操作と同時にあるいは所定時間後にインジェクタ11、バルブ16、遮断弁30を開くと、メタノールがインジェクタ11により微粒化されて燃焼器1内に噴射され、このメタノールはバルブ16を介して導入される空気中の酸素の存在のもとでグロープラグ22により点火され燃焼する。このメタノールの燃焼により生成される高温のガスが流路3を介して気化器2に流入する。
【0030】
この場合、従来技術と相違して、燃焼器1内でのメタノールの燃焼雰囲気が理論空燃比かそれよりもわずかにリーンの状態となるようにインジェクタ11からの燃料流量に対する空気流量の比率をバルブ16により調量している(バルブ16の開度を設定している)。したがって、燃焼器1からの高温のガス中に酸素は殆ど含まれいないかごく僅かの量しか含まれておらず、そのガスの組成はメタノールの燃焼により生じた水蒸気および二酸化炭素と燃えなかった窒素になる。
【0031】
気化器2にはメタノールポンプ9から圧送されるメタノールがインジェクタ13により微粒化して噴射され、気化器2内において流路3より導入される高温のガスの熱エネルギーによりこの微粒化されたメタノールの気化が促進されメタノール蒸気が生成される。そしてこのメタノール蒸気に対して、水蒸気と窒素と二酸化炭素とを主成分とする高温のガスとが混合されたガスが気化器2から流出し、流路5を介して改質器4に導入される。
【0032】
改質器4に導入されるこの混合ガスには前述したように酸素が含まれていないかごく僅かの量であり、起動開始当初はバルブ18は従来技術と異なり全閉位置にあって空気が改質器4に対して導入されることがないため、上記の化学反応式(1)に示す反応はほとんど生じない。一方、気化器2から流出した混合ガスの熱エネルギーは改質器4の触媒層の昇温に消費されるため、吸熱反応である蒸気の化学式(2)および(3)に示す反応もほとんど生じることがない。そのため改質器4に流入した混合ガスはその混合組成のまま流路7に流出して一酸化炭素除去器6に流入する。
【0033】
燃焼器1の運転を開始してから所定時間が経過したt1でバルブ20を先に開くと(図2参照)、上記の混合ガスにバルブ20で調量された空気が混合され、この空気混合ガスが一酸化炭素除去器6に流入する。バルブ20を開いた後ではこのバルブ20より流入する空気中の酸素の存在により、一酸化炭素除去器4では低温においても前記空気混合ガスに含まれるメタノールと酸素とを反応物として次に示す発熱反応が容易に生じるので一酸化炭素除去器6が速やかに昇温する。
【0034】
2CH3OH+3O2→2CO2+4H2O (5)
この一酸化炭素除去器4の昇温をしばらく継続した後でバルブ18を開く。つまりバルブ20の開弁より所定時間が経過したt3になってバルブ20よりも遅らせてバルブ18を開く(図2参照)。このバルブ18の開弁により気化器2より流出する混合ガスに対して空気が混合され、この空気混合ガスが改質器4に流入すると、主として上記の化学反応式(1)に示す発熱反応が進行し、改質器4の昇温が開始される。
【0035】
これ以降、一酸化炭素除去器6では上記の化学反応式(4)と次に示す反応が主として進行し昇温がさらに継続される。
【0036】
2H2 +O2→2H2O (6)
そして、図示しない蒸発器が、メタノールと水とを十分に気化できる状態になったら、その蒸気を流路5に供給されるが、そのタイミングで燃焼器1と気化器2の運転を停止する(インジェクタ11、13とバルブ16を全閉とし、グロープラグ22への通電を遮断する)。
【0037】
本実施形態では図示しない蒸発器が、メタノールと水とを十分に気化できる状態になったかどうかも起動開始からの時間に基づいて行っている。つまり起動開始から所定時間が経過したら、図示しない蒸発器が、メタノールと水とを十分に気化できる状態になったと判定させる。もちろんこれに限らず、図示しない蒸発器出口の燃焼ガス温度をセンサにより検出して判断するようにしてもかまわない。
【0038】
起動開始時には前述のように遮断弁29は閉じられこれに対して遮断弁30が開かれた状態にあるので、起動開始直後で一酸化除去触媒が未活性状態にあり一酸化炭素除去器6からの改質ガス中の一酸化炭素濃度が所定値(例えば40ppm)以下にまで低減されていない状態の改質ガスは燃料電池スタックヘと供給されることがなく図示しない燃焼器へと導入される。
【0039】
一方、改質器4と一酸化炭素除去器6とが十分に昇温することにより一酸化炭素除去器6から流出する改質ガス中の一酸化炭素濃度が40ppm以下に低減した(つまり一酸化炭素除去触媒が活性化した)と判断したら遮断弁29を開き遮断弁30を閉じて一酸化炭素濃度が40ppm以下に低減したこの改質ガスを燃料電池スタックへと供給する。これによって通常運転に移行する。
【0040】
この場合、一酸化炭素濃度が40ppm以下に低減したかどうかの判定も起動開始からの経過時間に基づいて行っている。すなわち起動開始から所定時間が経過したt4で一酸化炭素除去器6からの改質ガス中の一酸化炭素濃度が40ppm以下に低減したと判断している(図2参照)。これに限らず一酸化炭素除去器6出口の一酸化炭素濃度をセンサにより検出して判断するようにしてもかまわない。
【0041】
図2は本実施形態と従来技術とで燃料改質装置の起動時間を比較したものである。燃料改質装置の起動時間とは起動開始から、一酸化炭素除去器6から流出する改質ガス中の一酸化炭素濃度が40ppm以下となり燃料電池スタックへの改質ガスの導入が可能となるまでの時間のことである。
【0042】
従来技術の燃料改質装置もその構成は図1とほぼ同様である。ただし、バルブ18、20を開く順序が本実施形態と異なり、図示のようにバルブ18を先に開くことでまず改質器4において水素リッチガスを生成し、これと空気中の酸素とを反応物とし、上記の化学反応式(4)と(6)とに示す反応を利用することにより、一酸化炭素除去器6を昇温している。しかしながら、起動した直後で改質触媒が低温のときには改質器4において一酸化炭素を十分に低減できないため、水素リッチガス中の一酸化炭素濃度が通常よりも高い例えば3%程度にもなる。このガスが同じく低温のために一酸化炭素除去触媒が未活性化状態にある一酸化炭素除去器6に流入すると、一酸化炭素がその触媒に吸着し未反応のまま触媒表面を覆ってしまう。これにより酸素が触媒表面に衝突する頻度が減少するため上記の化学反応式(4)と(6)とに示す反応の進行を遅くしていた。
【0043】
これに対して本実施形態によれば、バルブ20のほうを先に開いて一酸化炭素除去器6の昇温を優先させることとしたので、一酸化炭素除去触媒の昇温が従来技術より早くなり、図2のように燃料改質装置全体の起動時間をt5からt4へと短縮することができた。
【0044】
図3は第2実施形態の燃料改質装置の構成を示すブロック図で、第1実施形態の図1と同一部分には同一符号を付けている。
【0045】
第2実施形態は、第1実施形態に対して、流路5から分岐して改質器4を迂回し流路7に合流するバイパス路23を設けると共に、バイパス路23およびこのバイパス路23が合流する点より上流側の流路7に常閉の遮断弁24、25を介装したものである。2つの遮断弁24、25はバイパス路23へのガス流れと改質器4へのガス流れとを切換えるためのもので、流路を切換えることができれば他の構成でもよい。例えばバイパス路23の分岐点や合流点に三方弁を設置すればよい。
【0046】
第2実施形態による燃料改質装置の起動時の運転方法について説明する。
【0047】
気化器2からメタノール蒸気、水蒸気、窒素、二酸化炭素を主成分とする混合ガスが流路5に流出する行程までは第1実施形態と同じである。起動開始時には遮断弁24を開き、遮断弁25を全閉としておく。このため起動開始当初は気化器2からの混合ガスが改質器4へは流入せずにバイパス路23を介して一酸化炭素除去器6に流入する。その後、バルブ20が開いて空気が上記の混合ガスに混合されると、この空気混合ガスが流入する一酸化炭素除去器6では昇温が開始され、一酸化炭素除去器6がある程度まで昇温したら遮断弁24を全閉位置へ、遮断弁25を開位置へと切換えると共にバルブ18を開き、気化器2からの混合ガスに空気を混合させて改質器4に流入させる。これによって改質器4では発熱反応が進行し改質器4が昇温する。以後の運転は第1実施形態と同様である。
【0048】
このように、第2実施形態においては混合ガスが改質器4をバイパスして一酸化炭素除去器6にまず流入する。バイパス路23は単なる配管であり改質器4よりも熱容量が小さいので、改質器4を介して混合ガスを一酸化炭素除去器6に流入させるようにしている第1実施形態の場合より一酸化炭素除去器6に流入する混合ガスの温度低下が小さくなる。すなわち一酸化炭素除去器6に流入する混合ガスの温度が高くなる第2実施形態の方が一酸化炭素除去器6での反応速度が大きくなり酸化反応の進行が早くなるので、第2実施形態によれば一酸化炭素除去触媒6が昇温するのを第1実施形態の場合よりもさらに早めることができる。
【0049】
図4は第3実施形態の燃料改質装置の構成を示すブロック図で、第1実施形態と同一部分には同一符号を付けている。
【0050】
第1実施形態では一酸化炭素除去器6がある程度まで昇温したかどうかの判定を起動開始からの経過時間に基づいて行ったが、第3実施形態は一酸化炭素除去器6の温度をセンサ26により検出し、コントローラ27によりその検出温度に基づいて一酸化炭素除去器6がある程度まで昇温したかどうかを判定させるとともに、一酸化炭素除去器6がある程度まで昇温したと判定したときバルブ18を開かせるようにしたものである。
【0051】
コントローラ27で行われる制御内容を図5のフローチャートに基づいて説明する。ただし、バルブ18以外については第1実施形態と同様に起動開始からの時間に基づいてシーケンシャル制御することに変わりなく、したがって図5にはバルブ18の駆動に関してだけ記載している。図5のフローが開始されるのはバルブ20が開かれた後である。なお、必要に応じてバルブ18以外についても触れる。
【0052】
まずS1でバルブ20が開かれているかどうかをみる。バルブ20が開かれていれば混合ガスに空気が混合されて一酸化炭素除去器6に流入し、酸化反応によって一酸化炭素除去器6の温度が上昇するのでS2以降に進む。
【0053】
S2ではセンサ26により検出される一酸化炭素除去器6の温度T0を読み込み、これと所定値T1とをS3において比較する。低温時には水素リッチガス中の高濃度の一酸化炭素が一酸化炭素除去触媒に吸着し未反応のまま触媒表面を覆ってしまう事態が生じるが、所定値T1はこうした事態が生じることがなくなる温度で、例えば60℃である。T0がT1以下であればS2に戻る。
【0054】
T0がT1を超えるとS4に進みバルブ18を開く。これにより気化器2からの混合ガスに空気が混合されて改質器4に流入し酸化反応によって改質器4の温度が上昇する。そして、改質器4からは水素リッチガスが流出し、一酸化炭素除去器6ではこれを酸化することにより一酸化炭素除去器6の昇温が継続される。その後、図示しない蒸発器がメタノールと水とを十分に気化できる状態になったらその蒸気を流路5に供給し、燃焼器1と気化器2との運転を停止する。
【0055】
S5では一酸化炭素除去器6の温度T0を読み込みこれと所定値T2とをS6で比較する。所定値T2は水素リッチガス中の一酸化炭素濃度を例えば40ppm以下に低減できる温度(一酸化炭素除去触媒が活性化した温度)で、例えば150℃である。T0がT2以下であればS5に戻り、T0がT2を超えると一酸化炭素除去触媒が活性化したと判断し、図5のフローを終了する。これ以降の操作は第1実施例と同様である。
【0056】
このように第3実施形態では一酸化炭素除去器6の温度に基づいて一酸化炭素除去触媒が活性化したかどうかを判定するようにしたので、特に燃料改質装置の再起動時のように起動前の一酸化炭素除去器6の温度が冷間時と異なり既に高い場合には、改質器4の反応を開始する時期を早めることができ、これによって燃料改質装置の起動時間を短縮することができる。
【0057】
図6は第4実施形態の燃料改質装置の構成を示すブロック図で、第2実施形態と同一部分には同一符号を付けている。
【0058】
第4実施形態は、第3実施形態と同じに一酸化炭素除去器6の温度をセンサ26により検出し、その検出温度に基づいてコントローラ31によりバルブ18の開閉をコントロールすると共に、遮断弁24、25の開閉についてもコントローラ31により行わせるようにしたものである。このため、コントローラ31で行われる制御内容を図7にフローチャートとして示すと、第3実施形態の図5のフローチャートと比較すればわかるように第3実施形態とほぼ同様であり、S11でバルブ18を開くタイミングでガス流れを切換える(遮断弁25を開き、遮断弁24を閉じる)点が追加されている点が相違するのみである。第4実施形態においても第3実施形態と同様の作用効果が生じる。
【0059】
第1、第2の実施形態では起動開始からの時間に基づいたシーケンシャル制御で説明したが、第3、第4実施形態のようにコントローラを設け、コントローラに備えるタイマ機能を用いてシーケンシャル制御を行わせるようにすることもできる。
【0060】
第3実施形態では一酸化炭素除去器6の温度をセンサにより検出しその検出値に基づいて一酸化炭素除去触媒が活性化したかどうかを判定する場合で説明したが、一酸化炭素除去器6の出口の一酸化炭素濃度をセンサにより検出し、その検出値に基づいて一酸化炭素除去触媒が活性化したかどうかを判定するようにしてもかまわない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態のブロック構成図。
【図2】第1実施形態と従来技術との起動時間の比較を示す特性図。
【図3】第2実施形態のブロック構成図。
【図4】第3実施形態のブロック構成図。
【図5】第3実施形態の制御方法を示すフローチャート。
【図6】第4実施形態のブロック構成図。
【図7】第4実施形態の制御方法を示すフローチャート。
【符号の説明】
1 燃焼器
2 気化器
3、5、7、8 流路
4 改質器
6 一酸化炭素除去器
9 メタノールポンプ
14 空気コンプレッサ
18、20 バルブ
23 バイパス路
24、25 遮断弁
26 温度センサ
27、31 コントローラ
Claims (7)
- 燃料蒸気を生成する燃料蒸気生成手段と、
この燃料蒸気生成手段からの燃料蒸気と酸化剤との酸化反応により水素リッチガスを生成する改質器と、
この水素リッチガスに含まれる一酸化炭素を酸化剤との酸化反応により低減する一酸化炭素除去器と
をこの順に直列に備えた燃料改質装置において、
起動時に一酸化炭素除去器での酸化反応を先に開始させ、その後に改質器での酸化反応を開始させる制御手段
を備えることを特徴とする燃料改質装置。 - 起動時の一酸化炭素除去器での酸化反応の反応物は燃料蒸気と酸化剤とであることを特徴とする請求項1に記載の燃料改質装置。
- 燃料蒸気と酸化剤を一酸化炭素除去器に供給する手段は、燃料蒸気生成手段からの燃料蒸気を酸化反応を起こさせることなく改質器を介して流出させた後に酸化剤を混合して一酸化炭素除去器に流入させる手段であることを特徴とする請求項2に記載の燃料改質装置。
- 燃料蒸気生成手段が、燃料と酸化剤との酸化反応により高温ガスを生成する燃焼器と、この高温ガスと混合することによって燃料を気化して燃料蒸気とする気化器とからなる場合に、燃焼器における燃料の燃焼雰囲気が理論空燃比かそれよりもわずかにリーンの状態となるように燃料流量と空気流量の比率を設定することを特徴とする請求項3に記載の燃料改質装置。
- 燃料蒸気生成手段と改質器を接続する第1流路と、改質器と一酸化炭素除去器とを接続する第2流路と、第1流路から分岐して改質器を迂回し第2流路に合流するバイパス路と、燃料蒸気生成手段からの燃料蒸気の流れる流路をバイパス路と改質器を経る流路とで選択的に切換える流路切換手段とを備え、燃料蒸気と酸化剤を一酸化炭素除去器に供給する手段が、流路切換手段を用いてバイパス路側に流路を切換え、この切換えられた流路であるバイパス路を介して燃料蒸気生成手段からの燃料蒸気を流した後に酸化剤を混合して一酸化炭素除去器に流入させる手段であることを特徴とする請求項2に記載の燃料改質装置。
- 起動開始からの時間を計測する手段を備え、この計測される時間に基づいて改質器での酸化反応を開始させる時期を制御することを特徴とする請求項1から5までのいずれか一つに記載の燃料改質装置。
- 一酸化炭素除去器の温度を検出する手段を備え、この検出される温度に基づいて改質器での酸化反応を開始させる時期を制御することを特徴とする請求項1から6までのいずれか一つに記載の燃料改質装置。
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