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JP3704384B2 - 印刷プルーフ作成方法およびその装置 - Google Patents

印刷プルーフ作成方法およびその装置 Download PDF

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JP3704384B2
JP3704384B2 JP27329795A JP27329795A JP3704384B2 JP 3704384 B2 JP3704384 B2 JP 3704384B2 JP 27329795 A JP27329795 A JP 27329795A JP 27329795 A JP27329795 A JP 27329795A JP 3704384 B2 JP3704384 B2 JP 3704384B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、輪転機等を利用するカラー印刷機により網点画像によるカラー印刷物を作成する前に、校正のためのカラー印刷プルーフ(カラー印刷校正刷りともいう。)を作成するに際し、濃度階調方式により画素毎の画像をシート上に形成するカラープリンタまたは輝度変調方式により画素毎の画像を表示器上に形成するカラーモニタでそのカラー印刷プルーフを作成する印刷プルーフ作成方法およびその装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、製品としての網点画像によるカラー印刷物をカラー印刷機により作成する前に、色等の校正用のカラー印刷プルーフをカラープリンタにより作成していた。
【0003】
カラー印刷プルーフを作成するために、カラープリンタを使用するのは、カラープリンタが比較的簡易な構成であって廉価であり、また、カラープリンタでは、周知のように、カラー印刷機に係る製版フイルムの作成、刷版(PS版)等の作成が不要であり、短時間に複数回、容易にシート上に画像が形成されたハードコピーを作成できるからである。
【0004】
図10は、従来の技術によるカラー印刷プルーフの作成方法のフローを示している。
【0005】
まず、画像原稿2上の画像がCCDエリアセンサ等を有するカラースキャナ等の画像読取装置によって読み取られ、R(赤)、G(緑)、B(青)の各色毎の階調画像データIaが作成される(ステップS1:画像読取過程)。
【0006】
次に、このRGBの階調画像データIaが色変換処理によりC(シアン)、M(マゼンタ)、Y(黄色)、K(墨色)の各色毎の4版の網点面積率データ(網%データともいわれる。)aj(j=0〜3)に変換される(ステップS2)。この変換は、カラー印刷機との関係により種々の変換が可能であり、通常、そのカラー印刷機に対応して各印刷会社それぞれのノウハウになっている。
【0007】
このカラー印刷機により作成されるカラー印刷物上の画像は網点画像であり、そのため、実際にカラー印刷物を作成する際には、色変換処理後の網点面積率データajをビットマップデータに展開し、これを基に製版フイルム等の作成等を行うが、自動現像機(自現機)等が必要とされ、製版フイルム作成処理工程以降の工程が相当に煩雑である。
【0008】
そのため、カラー印刷プルーフを簡易に作成するために、上述した理由により、カラープリンタ(以下、カラーデジタルプリンタともいい、DPともいう。)が使用されている。DPは、濃度階調方式により、例えば、3原色に対応するLED(発光ダイオード)またはレーザの発光強度と時間を画素毎にデジタル的に制御してドナーフイルムに画像を形成し、これを受像シートに転写し、そのシート上に画像を形成するものであり、刷版からPS版を作成し、これを利用して印刷するカラー印刷機に比較して相当に廉価である。体積も小さく、重量も軽い。
【0009】
そこで、DPを使用するために、ステップS2で作成したCMYKの4版の網点面積率データajを、一旦、いわゆるデバイス(印刷、CRT、写真、LED等)に依存しない画像データ(共通色空間データとも呼ばれる。)である、例えば、3刺激値データX、Y、Zに変換することが必要になる。
【0010】
このため、CMYK4版の網点面積率データajを3刺激値データX、Y、Zに変換する画像データ処理を行う(ステップS4)。この画像データ処理としては、従来、ノイゲバウア方程式を用いる処理が採用されている。
【0011】
この場合、予め、測色計により色毎の測色値データXi、Yi、Zi(iは、CMYKの4版の場合には、24 色=16色)を測定しておく(ステップS3)。この測定に際しては、まず、カラー印刷機によりカラー印刷物を作成する際の印刷紙上に16色の各色を予め印刷する(通常、べた刷りという。)。この16色とは、具体的には、C色、M色、Y色、K色のそれぞれの有無に対応しており、全部で24 色=16色になる。
【0012】
すなわち、何も印刷しないときの印刷紙の地色であるW(白)色、原色であるC、M、Yのみの各色、K色、その他、混色であるC+M、C+Y、C+K、M+Y、M+K、Y+K、C+M+Y、C+M+K、C+Y+K、M+Y+K、C+M+Y+Kの各色の合計16色である。印刷紙上に形成されたこれらの反射色を測色計、例えば、分光計で測定して測色値データXi、Yi、Ziを得ておく。
【0013】
ノイゲバウア方程式を用いる処理では、次の(1)式に示すように、この測色値データXi、Yi、Ziのそれぞれの係数として網点面積率データhiが掛けられて画像データ処理後の3刺激値データX、Y、Zが作成される(ステップS4)。
【0014】
X=Σhi・Xi
Y=Σhi・Yi
Z=Σhi・Zi …(1)
但し、 i =0〜15
h0 =(1−c)・(1−m)・(1−y)・(1−k)
h1 = c ・(1−m)・(1−y)・(1−k)
h2 =(1−c)・ m ・(1−y)・(1−k)
h3 = c ・ m ・(1−y)・(1−k)
h4 =(1−c)・(1−m)・ y ・(1−k)
h5 = c ・(1−m)・ y ・(1−k)
h6 =(1−c)・ m ・ y ・(1−k)
h7 = c ・ m ・ y ・(1−k)
h8 =(1−c)・(1−m)・(1−y)・ k
h9 = c ・(1−m)・(1−y)・ k
h10=(1−c)・ m ・(1−y)・ k
h11= c ・ m ・(1−y)・ k
h12=(1−c)・(1−m)・ y ・ k
h13= c ・(1−m)・ y ・ k
h14=(1−c)・ m ・ y ・ k
h15= c ・ m ・ y ・ k
であり、c、m、y、kは、C、M、Y、Kの各色の網点面積率データajを表す。
【0015】
このようにして作成された画像データ処理後の3刺激値データX、Y、ZがDP3に供給され、DP3では、この3刺激値データX、Y、Zをルックアップテーブル(LUT)に基づき前記LED等に係る3原色毎のデータ(いわゆるデバイスに依存する画像データであって固有色空間データとも呼ばれる。)に変換した後、シート上に画像を形成したハードコピーであるカラー印刷プルーフCPaを作成する。
【0016】
ところで、上述のように、ノイゲバウア方程式を使用して、DP3用の3刺激値データX、Y、Zを作成した場合には、カラー印刷機によって作成されるカラー印刷物上に形成される画像の色を測色計で測定した測色値を使用しているため、カラー印刷物の色を前記ハードコピー上の画像に忠実に再現することはできるが、カラー印刷物上に現れるモアレ、ロゼット等の干渉縞(以下、偽模様ともいう。)、言い換えれば、印刷特有の特徴である網点の周期構造を原因とする干渉むらを前記ハードコピー上の画像に再現することができないという問題があった。
【0017】
実際にカラー印刷物上で、これらの偽模様が現れるのであれば、カラー印刷プルーフCpa上にもその偽模様を忠実に再現したいという要請に基づくものであり、偽模様が現れない従来の技術によるカラー印刷プルーフCPaは、この点に関して、一般的に言えば、像構造に関してカラー印刷物用の正確な(忠実な)プルーフであるとは言えない。
【0018】
なお、DP3のハードコピー上の画像に偽模様が現れなくなるのは、ノイゲバウア方程式が一種の確率論に基づく式と解され、偽模様に係る微視的な(ミクロの)像構造(網構造)が再現できないことを原因とするものと考えられる。
【0019】
像構造を再現するためには、ハードコピーを出力する画像出力装置上で、近似させたい印刷物と全く同じ構造の機構(閾値マトリクスやビットマップデータ等)を持たなければならず、このような機構により多様な印刷条件に全て対応するのは困難であり、かつ相当高価な装置になる。
【0020】
像構造をもカラープリンタ等の簡易な装置で再現する技術としては、例えば、本出願人による特願平5−327339号に記載された技術がある。
【0021】
この技術は、ノイゲバウア方程式を利用してカラープリンタ用の3刺激値データX、Y、Zを作成した後、モアレ、ロゼット等の像構造に係わる疑似信号である周期性ノイズ信号を前記3刺激値データX、Y、Zに加えて、色と像構造をカラープリンタによりハードコピー上に再現しようとする技術である。この技術により、カラー印刷プルーフ上で色と像構造とを忠実に再現することができる。
【0022】
【発明が解決しようとする課題】
この発明はこのような技術に関連してなされたものであり、比較的廉価で比較的低解像度のカラープリンタ等の画像出力装置により、微視的な像構造(網構造)、例えば、高解像度のカラー印刷物上に現れるモアレ等の干渉縞を一層忠実に再現し、最終印刷物の色補正を的確に行なうことを可能とする印刷プルーフ作成方法およびその装置を提供することを目的とする。
【0023】
【課題を解決するための手段】
この発明は、例えば、図1に示すように、3原色を含む少なくとも3版分の網点面積率データajがビットマップデータに展開され、このビットマップデータに基づいて作成されるカラー印刷物12の印刷プルーフを画像出力装置3を介して作成する印刷プルーフ作成方法において、
前記画像出力装置の解像度が、前記カラー印刷物の解像度より低解像度であるとき、
カラー印刷物12の印刷網に特有の空間周波数応答を保存したまま、前記画像出力装置固有の空間周波数応答を遮断するフィルタ処理を含む像構造シミュレーションを行う過程(ステップS8)と、
像構造シミュレーションを行ったときの色ずれ量を補正する過程(色ずれ量補正LUT21による補正過程)と、
この補正過程後に画像出力装置を使用することによる色ずれ量を補正する過程(色ずれ量補正LUT22による過程)と、
を有することを特徴とする。
【0024】
また、この発明は、例えば、図1に示すように、3原色を含む少なくとも3版分の網点面積率データajがビットマップデータに展開され、このビットマップデータに基づいて作成されるカラー印刷物12の印刷プルーフを画像出力装置3を介して作成する印刷プルーフ作成装置において、
前記画像出力装置の解像度が、前記カラー印刷物の解像度より低解像度であるとき、
カラー印刷物12の印刷網に特有の空間周波数応答を保存したまま、前記画像出力装置固有の空間周波数応答を遮断するフィルタ処理を含む像構造シミュレーションを行う手段S8と、
像構造シミュレーションS8を行ったときの色ずれ量を補正する手段21と、
この補正後に画像出力装置3を使用することによる色ずれ量を補正する手段22と、
を有することを特徴とする。
【0025】
さらに、この発明は、図1および図9に示すように、3原色を含む少なくとも3版分の網点面積率データaiがビットマップデータに展開され、このビットマップデータに基づいて作成されるカラー印刷物の印刷プルーフを画像出力装置を介して作成する印刷プルーフ作成装置において、
前記画像出力装置の解像度が、前記カラー印刷物の解像度より低解像度であるとき、
前記網点面積率データをもとにして前記カラー印刷物の色再現予測処理S21により第1の測色的データαを得る第1の処理手段と、
前記網点面積率データをもとにして前記カラー印刷物の印刷網に特有の空間周波数応答を保持したまま、前記画像出力装置固有の空間周波数応答を遮断するフィルタ処理を含む像構造シミュレーションS8により第2の測色的データβを得る第2の処理手段と、
前記第2の測色的データをもとに前記画像出力装置により予備的印刷プルーフCPaを作成し、該予備的印刷プルーフから測色計により第3の測色的データσを得る第3の処理手段と、
前記第1および第3の測色的データを所定演算して補正データλを作成する第4の処理手段と、
前記補正データに基づいて前記第2の測色的データを補正して、前記画像出力装置DP3(図1参照)により印刷プルーフCPbを作成する第5の処理手段と、
を有することを特徴とする。
【0026】
さらにまた、この発明は、図1、図3、図8に示すように、3原色を含む少なくとも3版分の網点面積率データajがビットマップデータに展開され、このビットマップデータに基づいて作成されるカラー印刷物12の印刷プルーフを画像出力装置3を介して作成する印刷プルーフ作成装置において、
前記画像出力装置の解像度が、前記カラー印刷物の解像度より低解像度であるとき、
第1、第2、第3段階の処理手段を有し、
前記第1段階の処理手段では、
前記網点面積率データajをもとにしてカラー印刷物12の色再現予測処理S21により第1の測色的データα(図3参照)を得る処理と、
網点面積率データajをもとにしてカラー印刷物12の印刷網に特有の空間周波数応答を保存したまま、前記画像出力装置固有の空間周波数応答を遮断するフィルタ処理を含む像構造シミュレーションS8により第2の測色的データβ(図3参照)を得る処理と、
第1および第2の測色的データα、βから像構造シミュレーションS8を原因とする第1の色ずれ量補正データγ(図3参照)を作成する処理S25と、
第2の測色的データβを第1の色ずれ量補正データγにより補正して第1の測色的補正データδ(図8参照)を得る処理と、を行い、
前記第2段階の処理手段では、
第1の測色的補正データδをもとに画像出力装置3により予備的印刷プルーフCPaを作成して測色計により測色データζ(図8参照)を得る処理S26と、
この測色データζと第1の測色的補正データδとから画像出力装置3の色再現範囲を原因とする第2の色ずれ量補正データη(図8参照)を作成する処理と、を行い、
前記第3段階の処理手段では、
第1の測色的補正データδを第2の色ずれ正データηにより補正して第2の測色的補正データθ(図1参照)を得る処理と、
この第2の測色的補正データθをもとに画像出力装置3により印刷プルーフCPbを作成する処理と、を行う
ことを特徴とする。
【0027】
画像出力装置3としては、カラープリンタまたはカラーモニタが使用される。
【0028】
この発明によれば、像構造シミュレーション中で、カラー印刷物の印刷網に特有の空間周波数応答を保存したまま、カラープリンタやカラーモニタ等の画像出力装置固有の空間周波数応答を遮断するフィルタ処理を行ったときの色ずれ量を補正するとともに、この補正後に画像出力装置を使用することによる色ずれ量を補正するようにしている。
【0029】
このため、印刷プルーフ中で、色と像構造とを忠実に再現することができる。
【0030】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の一形態について図面を参照して説明する。なお、以下に参照する図面において、上記図10に示したものと対応するものには同一の符号を付け、その説明は適宜省略する。
【0031】
図1は、一般的なカラー印刷システム11で作成されるカラー印刷物12に対して、カラーデジタルプリンタ(DP)3によりこの実施の形態に係るカラー印刷プルーフCPbを作成する処理フローを示している。
【0032】
まず、一般的なカラー印刷システム11の内容について説明する。
【0033】
一般的なカラー印刷システム11では、画像原稿2上の画像がCCDエリアセンサ等を有するカラースキャナ等の画像読取装置によって読み取られ、R(赤)、G(緑)、B(青)の各色毎の階調画像データIaが作成される(ステップS1:画像読取過程)。この場合、CCDエリアセンサ等の解像度としては、例えば、400DPI(dot per inch)程度が選択され、ここでいう、1dot(ドット)は、1画素に対応し、256等の階調を有する濃度階調方式(連続調方式ともいう。)による画素を意味している。
【0034】
次に、このRGBの階調画像データIaを構成する各画素データが色変換処理によりC(シアン)、M(マゼンタ)、Y(黄色)、K(墨色)の各色毎の4版の網点面積率データ(網%データともいう。)ajに変換される(ステップS2;色変換過程)。この変換は、後に説明するカラー印刷機との関係により種々の変換が可能であるので、通常、そのカラー印刷機に対応して各印刷会社それぞれのノウハウになっている。なお、UCR処理を行なわない場合には、RGBの階調画像データIaをC、M、Yの3版の網点面積率データajに変換すればよい。また、カラー印刷物12上に、例えば、Y色が存在しない場合には、C、Mの2版の網点面積率データajに変換すればよいことはもちろんである。
【0035】
次いで、画素単位で作成されたCMYK4版分の網点面積率データajに対して、解像度が2000DPI程度(ここでは、理解を容易にするために1600DPIとする。)でCMYK4版のそれぞれに対して所望の網角度、スクリーン線数を有する4つの閾値マトリクス(閾値テンプレートともいう。)14を参照し、閾値マトリクス14の各要素中の各閾値と網点面積率データajの値とを比較して、値「0」または値「1」をとる2値データ、すなわちビットマップデータbjに変換する(ステップS5;比較過程)。なお、通常、網角度は、例えば、Y版用の閾値マトリクス14とM版用の閾値マトリクス14とでは45°等の角度差を有しており、実際上、網角度は、例えば、CMYKの4版では、Y版を基準(0°)にそれぞれ、M版45°、C版75°、K版15°等の角度差を有している。スクリーン線数はこの実施の形態では175線である。
【0036】
図2は、このステップS5の比較過程(ビットマップ展開過程)について詳しく説明するために閾値マトリクス14等を模式的に描いた線図である。
【0037】
図2において、最上段に描いた2つの線図は、400DPIの網点面積率データajの1ドットが、1600DPIのビットマップデータbjの16ドットに変換されることを表している。
【0038】
網点面積率データajの1ドットが、例えば、C版であって、網点面積率データajの値がaj=30%(0〜255表現では75)であるとすると、これとY版用の閾値マトリクス14とが参照される。閾値マトリクス14は、例えば、図2に示すような閾値Tがマトリクスの要素中に渦巻き状に配されている。この場合の閾値Tは、0〜100%を量子化数(8ビットであれば0〜255)で割り振った値を渦巻き状に配置する例を示している。
【0039】
ビットマップデータへの展開、すなわち、2値データ化は、周知のように、次の(2)式、(3)式に示すように行われる。
【0040】
aj>T → 1 …(2)
aj≦T → 0 …(3)
このようにして図2の最下段に示す版の当該1画素(網点面積率データajがaj=30%の画素)に対するビットマップデータbjが作成される。なお、上述のように、Y版用の閾値マトリクス14に対してM、C、K版用の閾値マトリクス14は選択可能な所定の網角度を有している。また、本例では、閾値マトリクス14として無理数網を使用しているが、有理数網としてもよいことはもちろんである。
【0041】
次に、このようにして作成したビットマップデータbjに基づき、図1に示すように、写植機、自動現像機等による処理を行い(ステップS6;版作成過程)、版下としての網点画像を有する4版の製版フイルム16、刷版としてのPS版17を作成する。
【0042】
最後に、このPS版17を用いて輪転機等を有するカラー印刷機により網点画像で形成されたカラー印刷物12を作成する(ステップS7;印刷過程)。
【0043】
このカラー印刷物12上の網点画像には、画像原稿2には存在しない、網角度の異なる閾値マトリクス14を用いたことによって発生するモアレ、ロゼット等の干渉縞等の像構造が現れる。
【0044】
以上が、一般的なカラー印刷システム11の内容の説明である。
【0045】
この発明では、カラー印刷システム11によって作成されるカラー印刷物12の色と像構造とがカラー印刷プルーフCPb上に忠実に再現されるようにする。
【0046】
後に詳しく説明する像構造シミュレーション処理(ステップS8)を行うことによりカラー印刷物12の像構造を正確に再現することができるようになるが色ずれが発生するので、これを補正するための色ずれ量補正ルックアップテーブル(以下、LUTという。)21が必要であり、また、DP3の色再現範囲と印刷の色再現範囲とが異なることを原因として発生する色ずれを補正するための色ずれ量補正LUT22が必要である。
【0047】
なお、色ずれ量補正LUT21、22は、1個のLUTにまとめてもよい。また、色ずれ量補正LUT21、22に代替してこれらを近似した補正関数としてもよい。
【0048】
色ずれ量補正LUT21、22による補正後のデータは、従来の技術の項で述べた共通色空間データであり、この共通色空間データは、従来の技術の項でも述べたように、DP3の固有の色空間データに変換された後(図1では、符号23で示すLUTで表している。)、DP3に供給されることで、像構造と色を忠実に再現できるカラー印刷プルーフCPbを作成することができる。LUT23はDP3中に組み込んでおいてもよい。
【0049】
そこで、次に、色ずれ量補正LUT21と色ずれ量補正LUT22の作成について説明する。
【0050】
図3は、像構造シミュレーション処理(ステップS8)によって発生する色ずれ量を補正する色ずれ量補正LUT21を作成するための構成を示している。
【0051】
色ずれ量補正LUT21を作成する際には、まず、色再現予測処理(ステップS21)と像構造シミュレーション処理(ステップS8)を行う。
【0052】
ステップS21での色再現予測処理としては、例えば、上述のノイゲバウア方程式を用いる処理またはCMYK4版の網点面積率データajのそれぞれを所定%(所定量)ずつ変化させたときに、これに対応して印刷したカラー印刷物12上の複数の色サンプルを測色計で測定して、所定%ずつ変化させたときの色サンプル毎にCIE表色系における測色データ、例えば、3刺激値データXi、Yi、Ziを得、前記所定%ずつ変化させたときの色サンプルの間の測色データを補間処理により求め、前記測色系で測定した測色値および前記補間処理により求めた測色データを前記網点面積率データajを入力データとするルックアップテーブルまたは補正関数として持つ処理が上げられる。いずれの処理の場合においても、少なくとも測色計により色毎の測色値データXi、Yi、Zi(iは、CMYKの4版の場合には、24 色=16色)を測定しておくことが必要である(図10中のステップS3)。
【0053】
このようにして、ステップS21の色再現予測処理では、入力端51から供給される解像度400DPI網点面積率データajに対して、例えば、測色値データXi、Yi、Ziがかけられて測色的データαが得られる。
【0054】
次にステップS8の像構造シミュレーション処理では、まず、この像構造シミュレーション処理に特有のビットマップ展開処理が行われる(ステップS22)。
【0055】
この場合、入力端52から供給される印刷と同じ条件のスクリーン線数、網角度に応じて閾値マトリクス24を選択することになるが、種々のモアレ、例えば、合板モアレにも対応し、また多様な網生成条件に対応してモアレ再現を可能にするために、図2に示した閾値マトリクス14に比較して解像度の高い閾値マトリクス24が選択される。ビットマップデータb’jの解像度を上げるためである。閾値マトリクス24に係るスクリーン線数、網角度は印刷の場合と同じスクリーン線数、網角度であることがモアレ等を再現するために必須であるので、スクリーン線数は175線とする。網角度は、上述のように、Y版を基準として、CMYKの各版それぞれがM版45°、C版75°、K版15°の角度を持つように選択されている。
【0056】
一方、解像度を上げるために、網点を作成するための閾値マトリクス24として要素数256×256=65536の閾値マトリクス24を用いる。各要素中の閾値としては、例えば、値0、1、2、…、255をとるようにする。このような閾値マトリクス24と網点面積率データajとを比較してビットマップデータb’jを作成する(ステップS10)。
【0057】
このようにして作成したCMYK4版分のビットマップデータb’jの解像度は44800(256×175)DPIである。この解像度は、2000DPI以上必要であるが、ここでは上記のように種々の条件に対応する望ましい例として、44800DPIの場合について説明する。
【0058】
次に、44800DPIのビットマップデータb’jを解像度が1600DPIのデータに変換する。このためには、ビットマップデータb’jの28×28(784)ドットを数え上げ、数え上げデータpの1ドットに変換する数え上げ処理を行えばよい(ステップS12)。
【0059】
ステップS12の数え上げ処理を分かり易く説明するために、C版のビットマップデータb’jの28×28ドット分の例を図4Aに示し、M版のビットマップデータb’jの28×28ドット分の例を図4Bに示す。図4A、図4B中、図示していない要素の値は全て値「0」であるとする。また、残りのY版、K版のビットマップデータb’jの各要素もすべて値「0」であると仮定する。
【0060】
そこで、28×28ドットについて、CMYK4版分のビットマップデータb’j(ここでは、C版とM版の2版分のビットマップデータb’jでよいことはいうまでもない。)を同時に参照して、色毎(版数が4版であるので24 色の各色毎)の面積率ciを数え上げる処理を行う。
【0061】
図4A、B例の画素(28×28ドット対応)において、色毎の面積率ciは、次のように算出される。
【0062】
C色;ci=cC =3/784
(面積率cC はC版とM版とを重ねて透過的に見た場合、C色のみが存在している部分を表し、C色とM色の重複している部分はC+M=B色の面積率cC+M とする。)
Figure 0003704384
(C版とM版とを重ねて透過的に見た場合、C色とM色のいずれの色も存在しない部分)
残りの色(Y色、K色等の13色分)についての面積率ciはゼロ値である。
このようにして28×28ドット毎に面積率ciを作成することで、1600DPIの数え上げデータp(各要素値は面積率ciで表される。)が作成される。
【0063】
次に、カラー印刷物12上に印刷された16色のべた色を測色計により測定する処理(ステップS3)により予め測色しておいた色毎の測色値データXi、Yi、Zi(iは、CMYKの4版の場合には、24 色=16色)に対してステップS12で数え上げた色毎の面積率ciを重み係数として測色的データq(3刺激値データX、Y、Z)を(4)式に示すように求める(ステップS13)。言い換えれば、測色値データXi、Yi、Ziを色毎の面積率ciで加重平均して3刺激値データX、Y、Z(測色的データq)を求める。
【0064】
Figure 0003704384
このように、784(28×28)ドット毎の数え上げ処理(ステップS12)と加重平均処理(ステップS13)を44800DPIのビットマップデータb’jの全範囲で行うことにより、1600DPIの測色的データqが得られる。
【0065】
次に、得られた1600DPIの測色的データqに図5に示すアンチエリアジングフィルタAFを使用したアンチエリアジングフィルタ処理を行い、アンチエリアジングフィルタ処理後のDP3の解像度に等しい400DPIの測色的データβ(3刺激値データX、Y、Z)を作成する。(ステップS14)
ステップS14のアンチエリアジングフィルタ処理過程は、DP3の解像度(この実施の形態では、400DPI)でカラー印刷プルーフCPbを作成しようとするとき、このDP3の解像度を原因とするエリアジング雑音(折り返し雑音)の発生を予め回避するために挿入した過程である。アンチエリアジングフィルタ処理を有効に行うためには、アンチエリアジングフィルタAFがかけられる原信号である画像データ(この場合、測色的データq)の解像度がDP3の解像度(400DPI)より高い解像度になっていることが必要である。この実施の形態では、その解像度が1600DPIに選択されている。
【0066】
図5に示したアンチエリアジングフィルタAFのマトリクス(ここでは、要素数がn×nの正方マトリクス)の構成について考える。
【0067】
解像度1600DPIの画像データである測色的データqを解像度400DPIの画像データである測色的データβに変換するためには、400DPIの1ドットが1600DPIの16ドットに対応することからアンチエリアジングの効果を考えない場合のフィルタの最小限の要素数は4×4である。
【0068】
そして、エリアジング雑音をできるだけ小さくするためには、アンチエリアジングフィルタAFの要素数は大きければ大きいほど望ましいが、演算速度、ハードウェア等との関係で制限される。
【0069】
一方、色情報はノイゲバウア方程式によって再現できることからも類推できるように、直流成分を含む比較的低周波の成分を通過させる必要があることから、直流成分の近傍ではできるだけ挿入損失が発生しないような周波数特性にする必要がある。したがって、マトリクスの中心の応答が0dBになることが理想である。
【0070】
また、モアレ等の干渉縞成分{網周波数(スクリーン線数)成分以下の成分}はアンチエリアジングフィルタ処理(ステップS14)を行ってもすべて残すようにしたい。
【0071】
さらに、アンチエリアジングフィルタAFの減衰特性が急峻であると、このアンチエリアジングフィルタ処理を行うことによる新たな偽模様が現れてしまうことも考慮しなければならない。
【0072】
図5は、このような観点を総合して作成された要素数が9×9のアンチエリアジングフィルタAFの構成例を示している。なお、各要素をdijで表すとき、各要素dijの値(フィルタ係数ともいう。)は全部加えて1.0にする必要性があることから、各要素dijの実際の値は各要素dijの総和(Σdij)で割っておく。
【0073】
このように構成したアンチエリアジングフィルタAFのフィルタ係数の配置は、図5から分かるように、中央部分から外方に向かうにしたがってほぼ釣り鐘状に単調減少的に減衰する周波数特性になっている。
【0074】
図6は、このアンチエリアジングフィルタAFの周波数特性を示している。図6において、横軸は解像度を示し、DP3の解像度Ra=400DPIを値1.0に規格化している。したがって、網周波数であるスクリーン線数175線は、値0.44に規格化される。縦軸は応答を示し、図5中、中央の要素d55=121を値1.0に規格している。
【0075】
図5例では、図6から分かるように、解像度1.0において、応答は約0.23であり、解像度0.44において、応答は、約0.77である。
【0076】
なお、種々の例を検討した結果、解像度が網周波数(スクリーン線数相当)のときに応答が0.5(50%)以上で、解像度がカラーデジタルプリンタであるDP3の解像度1.0であるときに応答が0.3(30%)以下であれば、カラー印刷物12に現れるモアレ等の干渉縞をカラー印刷プルーフCPbで再現できることが分かり、かつエリアジング雑音が視認できない程度にできることが分かった。
【0077】
以上の説明がアンチエリアジングフィルタAFのマトリクス(ここでは、要素数がn×n(9×9)の正方マトリクス)の構成の説明である。
図7は、このアンチエリアジングフィルタ処理の説明に供される線図である。図7Aに示すように、1600DPIの測色値データqの左上の9×9ドット分に対して図5に示した要素がdijで表される9×9のアンチエリアジングフィルタAFを対応させ、対応する各要素を掛け算して、それらの総和を求めてアンチエリアジングフィルタ処理を行う。すなわち、測色的データqの各要素をeijと表すとき、Σ(dij×eij)(9×9要素分)を求め、これを解像度400DPIの測色的データβとする。なお、上述したようにアンチエリアジングフィルタAFの総和はΣdij=1に規格化しているが、小数を含む掛け算は時間がかかるので、アンチエリアジングフィルタAFの各要素の値は図5に示した値をそのまま用いて、d’ijとするとき、Σ(d’ij×eij)/Σd’ijとしてアンチエリアジングフィルタ処理後の値を求めてもよい。
【0078】
この場合、アンチエリアジングフィルタ処理では、解像度1600DPIの測色的データqを解像度400DPIの測色的データβに変換するのであるから、測色的データqに対する2回目のアンチエリアジングフィルタ処理は、図7Bに示すように、アンチエリアジングフィルタAFを測色的データqの4ドット分、例えば、右側にずらして行えばよい。以下、同様にして4ドット分ずつずらしてアンチエリアジングフィルタ処理を行い、アンチエリアジングフィルタAFの右端が測色的データqの右端に等しい位置でアンチエリアジングフィルタ処理を行った後には、図7Bに示す、上から5番面の要素e51にアンチエリアジングフィルタAFの要素d11を対応させて行い、以下同様にして要素e16001600と要素d99とが対応するまで4ドットずつずらしてアンチエリアジングフィルタ処理を行うことで、1600DPIの測色的データqの解像度を低下させて400DPIの測色的データβを得ることができる。アンチエリアジングフィルタ処理は、カラー印刷物12の印刷網に特有の空間周波数応答を保存したまま、DP3に固有の空間周波数応答を遮断するフィルタ処理であるともいえる。
【0079】
次に、ステップS8で作成した測色的データβとステップS21で作成しておいた測色的データαとから、ステップS8の像構造シミュレーション処理を実行したことによる色ずれ量を補正するための色ずれ量補正データγを作成する(ステップS25)。出力端53に現れる色ずれ量補正データγは、各測色的データの単純な差β−α(=γ)や比(α/β)(=γ)といった数学的演算で得られる。
【0080】
色ずれ量補正データγを図1に示す入力端54から供給することで、色ずれ量補正LUT21を作成することができる。
【0081】
以上が像構造シミュレーション処理(ステップS8)を実行することにより発生する色ずれ量を補正するための色ずれ量補正LUT21の作成についての説明である。
【0082】
図8は、カラー印刷物12の色再現範囲より狭い色再現範囲を有するDP3を使用することにより発生する色ずれ量補正LUT22の作成に供される図である。
【0083】
この場合、入力端51に供給される網点面積率データajが像構造シミュレーション処理(ステップS8)によって測色的データβに変換され、この像構造シミュレーション処理を原因とする色ずれ量が色ずれ量補正LUT21で補正された測色的補正データδ(例えば、δ=β−γ=α、δ=β×γ=α)が得られる。
【0084】
この測色的補正データδは、共通色空間データであり、例えば、3刺激値データX、Y、Zであるので、これが、LUT23でDP3に固有の色空間データ、この場合RGBデータに変換される。このようにして作成されたRGBデータをもとにDP3でハードコピーである予備的印刷プルーフCPaを作成する。
【0085】
次にこの予備的印刷プルーフCPaを測色計で測定して測色データζを得る(ステップS26)。次いで、この測色データζと測色的補正データδとからDP3を使用したことによる色ずれ量補正を行うための色ずれ量補正データηを作成する(ステップS27)。出力端55に現れる色ずれ量補正データηも、色ずれ量補正データγと同様に、データの差δ−ζ(=η)または各測色的データの比(ζ/δ)(=η)とする簡単な数学的演算で得られる。
【0086】
色ずれ量補正データηを図1に示す入力端56から供給することで、色ずれ量補正LUT22を作成することができる。
【0087】
このような準備のもとで、図1において、カラー印刷プルーフCPbを作成する際には、まず、像構造シミュレーション処理(ステップS8)で発生する色ずれ量を色ずれ量補正LUT21で補正して測色的補正データδを得、次に、DP3を利用することにより発生する色ずれ量を色ずれ量補正LUT22により補正して測色的データθを得る。得られた測色的データθをLUT23でRGBデータに変換する。このRGBデータによりDP3で作成されたハードコピー上の画像、すなわち、カラー印刷プルーフCPbは、カラー印刷物12と色が一致し、かつ、網点画像の像構造も再現し得る。すなわち、カラー印刷プルーフCPb上には、カラー印刷物12上に現れるのとほぼ等しいモアレ、ロゼット等の干渉縞、すなわち、像構造が忠実に再現される。
【0088】
この場合、DP3の解像度が400DPIと比較的低い値であるのにもかかわらず、2000DPI(この実施の形態では1600DPI)の解像度を有するカラー印刷機で作成されたカラー印刷物12上に現れるとのほぼ等しいモアレ、ロゼット等の干渉縞をカラー印刷プルーフCPb上に再現することができるとともに、色再現予測処理および色ずれ量補正処理により色も忠実に再現できるので、カラー印刷プルーフCPbを簡易かつ廉価に作成することができる。
【0089】
また、アンチエリアジングフィルタ処理をかけているので、DP3の解像度を原因として発生するエリアジング雑音(画像上ではビートによる偽模様とも呼ばれる。)、言い換えれば、DP3を使用することによる網周期とプリンタの解像度(DP3の解像度)との干渉に基づく偽の像構造をも取り除くことができる。
【0090】
図9は、他の実施の形態の構成を示している。この図9例において、図10、図1、図3、図8に示したものと対応するものには同一の符号を付け、その説明は省略する。
【0091】
この図9例は、図1に示す、ステップS8の像構造シミュレーション処理で発生する色ずれ量を補正する色ずれ量補正LUT21と、DP3を使用することにより発生する色ずれ量を補正する色ずれ量補正LUT22とを、1つの色ずれ量補正LUTにすることを考えた場合に、その新たな色ずれ量補正LUTに設定するための色ずれ量補正データλの作成装置(作成過程)を示している。
【0092】
すなわち、アンチエリアジングフィルタ処理S14の出力である測色的データβをLUT23を通じてRGBデータに変換し、このRGBデータに基づきDP3で予備的カラー印刷プルーフCPaを作成する。これを測色計で測定して測色的データσを得る。
【0093】
この測色的データσと色再現予測処理S21で得られている測色的データαを入力データとして、測色的補正データの作成処理S28により色ずれ量補正データλ(λは、例えば、λ=α−σ、またはλ=α/σ)を得る。この色ずれ量補正データλを出力端子62を通じて上記新たな色ずれ量補正LUTに設定する。
【0094】
この図9例を利用することにより、新たな色ずれ量補正LUTは唯一つで、像構造シミュレーションによる色ずれとDP3による色ずれとを同時に補正することができるという効果が付加される。
【0095】
なお、上述の実施の形態においては、画像出力装置としてDP3を使用しているが、これに限らず、DP3に代替してビットマップメモリとビットマップディスプレイを有するカラーモニタを利用できることはもちろんである。
【0096】
また、この発明は上述の実施の形態に限らず、この発明の要旨を逸脱することなく種々の構成を採り得ることはもちろんである。
【0097】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明によれば、像構造シミュレーション中で、カラー印刷物の印刷網に特有の空間周波数応答を保存したまま、カラープリンタやカラーモニタ等の画像出力装置固有の空間周波数応答を遮断するフィルタ処理を行ったときの色ずれ量を補正するとともに、この補正後に画像出力装置を使用することによる色ずれ量を補正するようにしている。
【0098】
このため、印刷プルーフ(カラープリンタを利用する、いわゆるハードプルーフと、カラーモニタを利用する、いわゆるソフトプルーフ)で、カラー印刷物の色と像構造とを、比較的廉価な低解像度の画像出力装置で忠実かつ簡易に再現することができるという効果が達成される。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の一形態の処理フローを含み、全体としては、カラー印刷物に対応するカラー印刷プルーフを作成する工程の説明に供されるフロー図である。
【図2】図1の処理フロー中、カラー印刷物を作成する際の一般的なビットマップデータを作成する際の説明に供される線図である。
【図3】像構造シミュレーションによる色ずれ量補正データを作成する説明に供される線図である。
【図4】図1の処理フロー中、カラー印刷プルーフを作成する際の比較的高解像度のビットマップデータから平均測色値データを作成する際の説明に供される線図であって、図4Aは28×28ドット分のC版のビットマップデータを示す線図であり、図4Bは28×28ドット分のM版のビットマップデータを示す線図である。
【図5】アンチエリアジングフィルタの構成を示す線図である。
【図6】アンチエリアジングフィルタの周波数応答を示す線図である。
【図7】測色値データに対してアンチエリアジングフィルタをかける際の説明に供される線図であって、図7Aはその最初の処理過程に係る線図であり、図7Bは次の処理過程に係る線図である。
【図8】カラープリンタを使用することに伴う色ずれ量補正データを作成する説明に供される線図である。
【図9】他の実施の形態の構成を示す線図である。
【図10】従来の技術の説明に供されるフロー図である。
【符号の説明】
2…画像原稿 3…カラーデジタルプリンタ
11…カラー印刷システム 12…カラー印刷物
21、22…色ずれ量補正LUT aj…網点面積率データ
bi…ビットマップデータ ci…面積率
CPb…カラー印刷プルーフ S7…印刷機による処理
S8…像構造シミュレーション処理

Claims (10)

  1. 3原色を含む少なくとも3版分の網点面積率データがビットマップデータに展開され、このビットマップデータに基づいて作成されるカラー印刷物の印刷プルーフを画像出力装置を介して作成する印刷プルーフ作成方法において、
    前記画像出力装置の解像度が、前記カラー印刷物の解像度より低解像度であるとき、
    前記カラー印刷物の印刷網に特有の空間周波数応答を保存したまま、前記画像出力装置固有の空間周波数応答を遮断するフィルタ処理を含む像構造シミュレーションを行う過程と、
    前記像構造シミュレーションを行ったときの色ずれ量を補正する過程と、
    この補正過程後に前記画像出力装置を使用することによる色ずれ量を補正する過程と、
    を有することを特徴とする印刷プルーフ作成方法。
  2. 3原色を含む少なくとも3版分の網点面積率データがビットマップデータに展開され、このビットマップデータに基づいて作成されるカラー印刷物の印刷プルーフを画像出力装置を介して作成する印刷プルーフ作成装置において、
    前記画像出力装置の解像度が、前記カラー印刷物の解像度より低解像度であるとき、
    前記カラー印刷物の印刷網に特有の空間周波数応答を保存したまま、前記画像出力装置固有の空間周波数応答を遮断するフィルタ処理を含む像構造シミュレーションを行う手段と、
    前記像構造シミュレーションを行ったときの色ずれ量を補正する手段と、
    この補正後に前記画像出力装置を使用することによる色ずれ量を補正する手段と、
    を有することを特徴とする印刷プルーフ作成装置。
  3. 3原色を含む少なくとも3版分の網点面積率データがビットマップデータに展開され、このビットマップデータに基づいて作成されるカラー印刷物の印刷プルーフを画像出力装置を介して作成する印刷プルーフ作成装置において、
    前記画像出力装置の解像度が、前記カラー印刷物の解像度より低解像度であるとき、
    前記網点面積率データをもとにして前記カラー印刷物の色再現予測処理により第1の測色的データを得る第1の処理手段と、
    前記網点面積率データをもとにして前記カラー印刷物の印刷網に特有の空間周波数応答を保持したまま、前記画像出力装置固有の空間周波数応答を遮断するフィルタ処理を含む像構造シミュレーションにより第2の測色的データを得る第2の処理手段と、
    前記第2の測色的データをもとに前記画像出力装置により予備的印刷プルーフを作成し、該予備的印刷プルーフから測色計により第3の測色的データを得る第3の処理手段と、
    前記第1および第3の測色的データを所定演算して補正データを作成する第4の処理手段と、
    前記補正データに基づいて前記第2の測色的データを補正して、前記画像出力装置により印刷プルーフを作成する第5の処理手段と、
    を有することを特徴とする印刷プルーフ作成装置。
  4. 3原色を含む少なくとも3版分の網点面積率データがビットマップデータに展開され、このビットマップデータに基づいて作成されるカラー印刷物の印刷プルーフを画像出力装置を介して作成する印刷プルーフ作成装置において、
    前記画像出力装置の解像度が、前記カラー印刷物の解像度より低解像度であるとき、
    第1、第2、第3段階の処理手段を有し、
    前記第1段階の処理手段では、
    前記網点面積率データをもとにして前記カラー印刷物の色再現予測処理により第1の測色的データを得る処理と、
    前記網点面積率データをもとにして前記カラー印刷物の印刷網に特有の空間周波数応答を保存したまま、前記画像出力装置固有の空間周波数応答を遮断するフィルタ処理を含む像構造シミュレーションにより第2の測色的データを得る処理と、
    前記第1および第2の測色的データから前記像構造シミュレーションを原因とする第1の色ずれ量補正データを作成する処理と、
    前記第2の測色的データを前記第1の色ずれ量補正データにより補正して第1の測色的補正データを得る処理と、を行い、
    前記第2段階の処理手段では、
    前記第1の測色的補正データをもとに前記画像出力装置により予備的印刷プルーフを作成して測色計により測色データを得る処理と、
    この測色データと前記第1の測色的補正データとから前記画像出力装置の色再現範囲を原因とする第2の色ずれ量補正データを作成する処理と、を行い、
    前記第3段階の処理手段では、
    前記第1の測色的補正データを前記第2の色ずれ量補正データにより補正して第2の測色的補正データを得る処理と、
    この第2の測色的補正データをもとに前記画像出力装置により印刷プルーフを作成する処理と、
    を行うことを特徴とする印刷プルーフ作成装置。
  5. 請求項2〜4のいずれか1項に記載の装置において、
    前記画像出力装置がカラープリンタであって、前記印刷プルーフがそのカラープリンタにより出力されるハードコピーであることを特徴とする印刷プルーフ作成装置。
  6. 請求項2〜4のいずれか1項に記載の装置において、
    前記画像出力装置がカラーモニタであって、
    前記印刷プルーフがその画面上に映出される画像であることを特徴とする印刷プルーフ作成装置。
  7. 請求項2〜4のいずれか1項に記載の装置において、
    前記像構造シミュレーションは、前記3原色を含む少なくとも3版分の網点面積率データのそれぞれに対してカラー印刷物の解像度よりも高い解像度を有する閾値マトリクスを参照し、前記少なくとも3版分の網点面積率データをそれぞれビットマップデータに変換する処理と、
    前記少なくとも3版分のビットマップデータを同時に参照して、色毎(前記版数がn版であるとき2n色の各色毎)の面積率をビットマップデータの一定範囲毎に数え上げる処理と、
    予め求めておいた前記色毎の測色値データに対して前記一定範囲毎に数え上げた面積率を重み係数として第1の測色的データを計算する処理と、
    前記第1の測色的データに対して、前記画像出力装置の画素より大きい範囲で順次アンチエリアジングフィルタ処理を行い前記画像出力装置の画素に対応する測色的データに変換する処理と、
    を有することを特徴とする印刷プルーフ作成装置。
  8. 請求項4記載の装置において、
    前記第2の測色的補正データを前記第1の色ずれ量補正データにより補正して前記第2の測色的補正データを得る処理および前記第2の測色的データを前記第2の色ずれ量補正データにより補正して前記第3の測色的補正データを得る処理はそれぞれルックアップテーブルまたは補正関数処理で行う
    ことを特徴とする印刷プルーフ作成装置。
  9. 請求項3または4記載の装置において、
    前記色再現予測処理は、前記3原色を含む少なくとも3版分の網点面積率データを所定量ずつ変化させたときに、これに対応して印刷したカラー印刷物上の色サンプルを測色計で測定して所定量ずつ変化させたときの色サンプル毎に測色データを得、前記所定量ずつ変化させたときの色サンプルの間の測色データを補間処理により求め、前記測色計で測定した測色値および前記補間処理により求めた測色データを、前記網点面積率データを入力データとするルックアップテーブルまたは補正関数として持つ処理であることを特徴とする印刷プルーフ作成装置。
  10. 請求項3または4記載の装置において、前記色再現予測処理は、ノイゲバウア方程式を利用した処理である
    ことを特徴とする印刷プルーフ作成装置。
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