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JP3796295B2 - 接着性粒子およびその製造方法 - Google Patents

接着性粒子およびその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、接着性粒子およびその製造方法に係り、特に、球状粒子からなるコアの表面を熱接着性樹脂によって被覆してなる接着性粒子およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
液晶表示装置の表示品質を高めるためには、液晶表示パネルにおける液晶層の厚みを均一に保つことが重要である。このため、従来よりガラス短繊維やシリカ粒子等からなるスペーサーを液晶表示パネル内(液晶セル内)に分散配置することによって、液晶層の厚みの均一化が図られている。
上記のスペーサーは、液晶の注入に先立って液晶セル内に分散配置されるが、当該スペーサー自体には移動防止能が無いため、液晶セルへの液晶の注入に先だって行われる超音波洗浄の際や液晶の注入時に移動を起こすことがある。そして、スペーサーの移動が生じると液晶層の厚みが部分的に変動することから、表示品質の高い液晶表示装置を得ることが困難になる。
【0003】
このため近年では、接着性粒子がスペーサーとして使用されるようになってきた。接着性粒子からなるスペーサーは、例えば球状粒子を熱可塑性樹脂層で被覆することによって接着性を付与したものであり、このスペーサーにおいては前記の熱可塑性樹脂層を熱接着成分として利用することができる。したがって、当該スペーサーを従来と同様にして液晶セル内に分散配置した後、液晶セルの基板間に加熱下に荷重を加えて前記の熱可塑性樹脂層を液晶セルの内面(配向膜表面等)に熱接着させることにより、その移動を防止することが可能になる。
また、他の接着性粒子としては、エポキシ樹脂粒子に当該エポキシ樹脂用の硬化剤を含有させ、その表面を水溶性アミンによって硬化させることによりタック性を改善したものがある。この接着性粒子においては、エポキシ樹脂粒子そのものが熱接着成分として機能する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
熱可塑性樹脂は、分散重合法やハイブリダイゼーション法等によってシリカ粒子等のスペーサー材料表面に当該表面を実質的に均一に被覆する層を形成し易いという点で、液晶表示パネル(液晶セル)用のスペーサーの熱接着成分として好適なものではあるが、液晶中での安定性や、ポリイミド等からなる配向膜への固着能力という点ではなお改善の余地がある。
【0005】
液晶中での安定性や、ポリイミド等からなる配向膜への固着能力という点だけをみれば、熱可塑性樹脂よりも熱硬化性樹脂の方が好ましいが、シリカ粒子等のスペーサー材料表面を熱硬化性樹脂によって実質的に均一に被覆することは極めて困難である。そして、熱硬化性樹脂によって表面が不均一に被覆されているスペーサー材料を液晶表示パネル用のスペーサーとして用い、かつ、前記の熱硬化性樹脂を熱接着成分として利用した場合には、(1) 熱接着力が個々のスペーサー間で異なってくることから、移動を起こすスペーサーが出現し易い、(2) 液晶層の厚みが不均一になり易い、(3) 局所的な厚肉部分を形成している熱硬化性樹脂が熱接着時に広がって、液晶分子の異常配向や、光抜けによるコントラストの低下等を引き起こす要因となる、等の問題が生じる。
【0006】
また、エポキシ樹脂粒子に当該エポキシ樹脂用の硬化剤を含有させ、その表面を水溶性アミンによって硬化させることによりタック性を改善した接着性粒子は、前記の水溶性アミンが経時的に液晶中に溶出し易く、当該水溶性アミンが液晶中に溶出した場合には液晶分子の異常配向を引き起こす。
【0007】
本発明の目的は、熱硬化性樹脂を熱接着成分として含有している実質的に均一な熱接着性樹脂層を有し、かつ互いに凝集しにくい接着性粒子およびその製造方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成する本発明の接着性粒子は、球状粒子からなるコアと、このコアの表面を被覆している熱接着性樹脂層とを有し、前記熱接着性樹脂層が、エポキシ樹脂とこのエポキシ樹脂用の潜在型硬化剤とをそれぞれ吸収している熱可塑性樹脂層からなり、かつ、該熱接着性樹脂層に、疎水性基を置換基として有しているシランカップリング剤の部分加水分解物が結合していることを特徴とするものである。
【0009】
また、上記の目的を達成する本発明の接着性粒子の製造方法は、エポキシ樹脂およびこのエポキシ樹脂用の潜在型硬化剤をそれぞれ吸収し得る熱可塑性樹脂層によってコアとなる球状粒子の表面を被覆して樹脂被覆粒子を得る樹脂被覆粒子調製工程と、前記樹脂被覆粒子調製工程で得た樹脂被覆粒子を構成している熱可塑性樹脂層に、エポキシ樹脂と、前記エポキシ樹脂用の潜在型硬化剤と、疎水性基を置換基として有しているシランカップリング剤とが分散しているエマルジョンを含浸させることによって、該熱可塑性樹脂層を膨潤させる膨潤工程と、前記膨潤工程で膨潤した熱可塑性樹脂層中のシランカップリング剤を部分加水分解する部分加水分解工程と、前記部分加水分解工程を経た後の樹脂被覆粒子を乾燥する乾燥工程とを含んでいることを特徴とするものである。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
まず本発明の接着性粒子について説明すると、この接着性粒子は、上述したように、球状粒子からなるコアと、このコアの表面を被覆している熱接着性樹脂層とを有している。
【0011】
ここで、上記のコアは球状粒子であれば無機材料および有機材料のいずれからなっていてもよく、その材質はシリカ,WO3 ,SnO2 ,TiO2 ,ZrO2 ,Al23 等の金属酸化物、ケイ酸塩ガラス,ホウ酸塩ガラス,ホウケイ酸塩 ガラス,アルミノホウケイ酸塩ガラス,リン酸塩ガラス,ゲルマン酸塩ガラス,タングステン酸塩ガラス,モリブデン酸塩ガラス,テルル酸塩ガラス等のガラス、WO96/15986号公報に開示されている発明の黒色粒子および絶縁膜付き黒色粒子、アクリレート誘導体,ビニルエーテル誘導体,スチレン誘導体,アクリロニトリル誘導体,塩化ビニル,酢酸ビニル,ブタジエン等の重合性ビニルモノマーを単独使用または併用して得た有機高分子、オルガノシラン等の有機無機複合物等、目的とする接着性粒子の用途等に応じて適宜選択可能である。
【0012】
これらの球状粒子のうち、無機材料からなるものについては、後述する熱可塑性樹脂層の被着性を向上させるために、必要に応じてビニル系もしくはグリシジル系のカップリング剤等によって所望の表面処理を施してもよい。金属酸化物からなる球状粒子や上記の黒色粒子または絶縁膜付き黒色粒子をビニル系シランカップリング剤によって表面処理する場合、ビニル系シランカップリング剤の他に少量のシリコンアルコキシド(ビニル系シランカップリング剤に対するモル比で0.5以下)を併用することにより、粒子表面に後述する熱可塑性樹層を均一に形成することがより容易になる(特願平7−253040号明細書の第33段および特願平7−260185号明細書の第57〜58段参照)。
【0013】
上記の球状粒子からなるコアの粒径は、目的とする接着性粒子の用途等に応じて適宜選択可能である。例えば、本発明の接着性粒子を液晶表示パネル(液晶セル)用のスペーサーとして用いる場合、前記のコアは粒径が0.4〜29μmのシリカ粒子であることが特に好ましい。
【0014】
本発明の接着性粒子において上記のコアの表面を被覆している熱接着性樹脂層は、前述したように、エポキシ樹脂とこのエポキシ樹脂用の潜在型硬化剤とをそれぞれ吸収している熱可塑性樹脂層からなり、かつ、この熱接着性樹脂層には、疎水性基を置換基として有しているシランカップリング剤の部分加水分解物が結合している。
【0015】
上記のエポキシ樹脂は、後述する熱可塑性樹脂に吸収させることができるものであればよく、その具体例としては、ビスフェノールA,ビスフェノールF等のビスフェノール系エポキシ樹脂、ビフェニール型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、ポリグリシジルアミン型エポキシ樹脂、脂肪族または芳香族のアルコール型エポキシ樹脂、脂肪族または芳香族のエステル型エポキシ樹脂等が挙げられる。これらのエポキシ樹脂はそれぞれ単独で使用されていてもよいし、2種以上が併用されていてもよいが、そのエポキシ当量は500以下であることが好ましく、400以下であることがより好ましい。
【0016】
また、潜在型硬化剤は、上記のエポキシ樹脂を硬化させることができ、かつ、常温における可使時間が1日以上のものであればよく、その具体例としては、フェノールノボラック類、ポリビニルフェノール類、フェノール類、多価フェノール化合物、ビスフェノール類、ビスフェノール類のジグリシジルエステル、ポリアミン類、イミダゾール類、酸無水物類等が挙げられる。潜在型硬化剤の種類は、後述する熱可塑性樹脂に当該潜在型硬化剤と共に吸収されるエポキシ樹脂の種類や、その可使時間等に応じて適宜選択される。
【0017】
そして、上述したエポキシ樹脂およびこのエポキシ樹脂用の潜在型硬化剤をそれぞれ吸収し得る熱可塑性樹脂の具体例としては、ポリスチレン,ポリメチルメタクリレート,ポリエチルメタクリレート,ポリブタジエンおよびこれらの共重合物(混合物)等が挙げられる。
ただし、熱可塑性樹脂の数平均分子量が高いと、当該熱可塑性樹脂に上述したエポキシ樹脂およびこのエポキシ樹脂用の潜在型硬化剤を吸収させることが困難になる。したがって、その数平均分子量は、吸収させようとするエポキシ樹脂の種類やその数平均分子量にもよるが、概ね1000〜50000であることが好ましく、1000〜20000であることがより好ましい。
【0018】
エポキシ樹脂およびこのエポキシ樹脂用の潜在型硬化剤をそれぞれ吸収した後の熱可塑性樹脂層の膜厚は、所望の熱接着力を得るという観点、および、熱接着時に接着面が大きくなりすぎないようにするという観点から、0.02〜0.5μmとすることが好ましく、0.05〜0.3μmとすることがより好ましい。また、熱可塑性樹脂層によるエポキシ樹脂の吸収量が少ないと所望の熱接着力を有する接着性粒子を得ることが困難になるので、当該吸収量は熱可塑性樹脂層の重量に対して10〜500wt%とすることが好ましく、30〜300wt%とすることがより好ましい。そして、熱可塑性樹脂層への潜在型硬化剤の吸収量が少なくても所望の熱接着力を有する接着性粒子を得ることが困難になるので、当該吸収量はエポキシ樹脂の吸収量に対して0.3〜3 mol%とすることが好ましく、0.5〜2 mol%とすることがより好ましい。
【0019】
本発明の接着性粒子においては、上述したエポキシ樹脂とこのエポキシ樹脂用の潜在型硬化剤とをそれぞれ吸収している熱可塑性樹脂層からなる熱接着性樹脂層に、疎水性基を置換基として有しているシランカップリング剤の部分加水分解物が結合している。
【0020】
上記のシランカップリング剤は、置換基として疎水性基を1つまたは2つ有し、残りの置換基がアルコキシ基であるものであれば特に限定されるものではない。その具体例としては、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、β−(3,4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、アルキルトリエトキシシラン類、アルキルトリメトキシシラン類、ジアルキルジエトキシシラン類、ジアルキルジメトキシシラン類等が挙げられる。
【0021】
また、本発明で上記のシランカップリング剤についていう「部分加水分解物」とは、シランカップリング剤中の加水分解性基(例えばアルコキシ基)について部分加水分解がなされた後の物質を意味する。この「部分加水分解物」はシロキサン結合(−Si−O−)を含んでおり、当該「部分加水分解物」は有機材料と結合する置換基(有機材料と化学結合する置換基または有機材料に対して親和力を有している置換基を意味する。以下同じ。)、すなわち上記の「疎水性基」によって前述した熱可塑性樹脂またはエポキシ樹脂と結合している一方で、個々の「部分加水分解物」は粒子表面においてシロキサン結合によって互いに結合しているものと推察される。
【0022】
本発明の接着性粒子は、エポキシ樹脂とこのエポキシ樹脂用の潜在型硬化剤とをそれぞれ吸収している熱可塑性樹脂層からなる熱接着性樹脂層を有しており、この熱接着性樹脂層においては熱可塑性樹脂のみならずエポキシ樹脂も熱接着成分として機能する。そして、前記のエポキシ樹脂は潜在型硬化剤によって熱接着時に硬化する。
したがって、本発明の接着性粒子によれば、熱接着成分として熱可塑性樹脂のみを有する従来の接着性粒子よりも高い熱接着力を得ることができる。そして、本発明の接着性粒子を液晶表示パネル(液晶セル)用のスペーサーとして利用した場合には、熱接着成分として熱可塑性樹脂のみを有する従来のスペーサーよりも液晶中での安定性が高く、かつ、ポリイミド等からなる配向膜への固着能力の高いスペーサーを得ることができる。
【0023】
また、コアとなる球状粒子の表面を熱可塑性樹脂によって実質的に均一に被覆することは従来と同様に容易であるので、コアとなる球状粒子の表面をまず熱可塑性樹脂によって実質的に均一に被覆した後、この熱可塑性樹脂にエポキシ樹脂およびこのエポキシ樹脂用の潜在型硬化剤をそれぞれ吸収させることにより、コアとなる球状粒子の表面に実質的に均一な熱接着性樹脂層を容易に形成することができる。
さらに、本発明の接着性粒子は、水溶性アミンを用いていないにも拘わらず互いに凝集しにくい粒子であり、高い分散性を有している。この特性は、前述したシランカップリング剤の部分加水分解物が粒子表面においてシロキサン結合によって互いに結合していることに起因するものと推察される。
【0024】
したがって、コアとなる球状粒子の表面に実質的に均一な熱接着性樹脂層を形成して本発明の接着性粒子を得、この接着性粒子を液晶表示パネル(液晶セル)用のスペーサーとして利用した場合には、(1) 熱接着力が個々のスペーサー間でほぼ同じになることからその移動を防止し易い、(2) 液晶層の厚みを均一にし易い、(3) 液晶分子の異常配向や光抜けによるコントラストの低下等を防止し易い、等の利点が得られる。
【0025】
本発明の接着性粒子を液晶表示パネル(液晶セル)用のスペーサーとして利用する場合には、その平均粒径を概ね0.5〜30μm、粒径についての変動係数を概ね2.5%以下とすることが好ましい。平均粒径は概ね0.6〜17μmとすることがより好ましく、粒径についての変動係数は概ね2.0%以下とすることがより好ましい。そして、この場合のコアとしては、平均粒径が概ね0.4〜29μm、粒径についての変動係数が概ね2.5%以下のシリカ粒子を用いることが好ましく、特に、平均粒径が概ね0.5〜16μm、粒径についての変動係数が概ね2.0%以下のシリカ粒子を用いることが好ましい。
【0026】
また、本発明の接着性粒子においては熱接着時の熱収縮が小さいため、当該接着性粒子は所望の間隙を形成した状態で2以上の部材等を互いに接着するための精密接着剤としても好適である。本発明の接着性粒子を精密接着剤として利用する場合の当該接着性粒子の平均粒径は、精密接着剤としての用途にもよるが、概ね0.5〜50μmとすることが好ましく、粒径についての変動係数は概ね5.0%以下とすることが好ましい。粒径についての変動係数は概ね4.0%以下とすることがより好ましい。そして、この場合のコアとしては、平均粒径が概ね0.3〜49μm、粒径についての変動係数が概ね5.0%以下のシリカ粒子,酸化チタン粒子,ポリスチレン粒子,アクリル粒子,オルガノシラン粒子等を用いることが好ましく、特に、平均粒径が概ね0.5〜30μm、粒径についての変動係数が概ね3.0%以下のシリカ粒子またはオルガノシラン粒子を用いることが好ましい。
【0027】
さらに、本発明の熱接着性を層状に配列させ、この状態で互いに熱接着させたものは、精密濾過フィルターとして用いることができる。この場合の当該接着性粒子の平均粒径は、精密濾過フィルターとしての用途にもよるが、概ね1〜50μmとすることが好ましく、粒径についての変動係数は概ね10.0%以下とすることが好ましい。粒径についての変動係数は概ね7.0%以下とすることがより好ましい。そして、この場合のコアとしては、平均粒径が概ね0.9〜49μm、粒径についての変動係数が概ね10%以下のシリカ粒子,ポリスチレン粒子,アクリル粒子,オルガノシラン粒子等を用いることが好ましく、特に、平均粒径が概ね1〜30μm、粒径についての変動係数が概ね7.0%以下のシリカ粒子,ポリスチレン粒子,アクリル粒子等を用いることが好ましい。
【0028】
以上説明した本発明の接着性粒子は、例えば、以下に詳述する本発明の接着性粒子の製造方法、すなわち、
(a) エポキシ樹脂およびこのエポキシ樹脂用の潜在型硬化剤をそれぞれ吸収し得る熱可塑性樹脂層によってコアとなる球状粒子の表面を被覆して樹脂被覆粒子を得る樹脂被覆粒子調製工程と、
(b) 前記樹脂被覆粒子調製工程で得た樹脂被覆粒子を構成している熱可塑性樹脂層に、エポキシ樹脂と、前記エポキシ樹脂用の潜在型硬化剤と、疎水性基を置換基として有しているシランカップリング剤とが分散しているエマルジョンを含浸させることによって、該熱可塑性樹脂層を膨潤させる膨潤工程と、
(c) 前記膨潤工程で膨潤した熱可塑性樹脂層中のシランカップリング剤を部分加水分解する部分加水分解工程と、
(d) 前記部分加水分解工程を経た後の樹脂被覆粒子を乾燥する乾燥工程と、
を含んでいることを特徴とする接着性粒子の製造方法により製造することができる。
【0029】
本発明の方法における上記の樹脂被覆粒子調製工程は、例えば分散重合法やハイブリダイゼーション法等によって、コアとなる球状粒子の表面に特定の熱可塑性樹脂の層を実質的に均一に形成することによって行われる。
ここで、本発明でいう「ハイブリダイゼーション法」とは、コアとなる球状粒子と、この球状粒子の表面に形成しようとする物質層の材料となる粒子(コアとなる球状粒子よりも小粒径のもの)とを、秒速数十メートル以上という高速気流中で分散・移動させながら互いに衝突させ、このときに生じる衝突力,圧縮力,摩擦力,剪断力等の機械的作用に伴う発熱・温度上昇を利用して、コアとなる球状粒子の表面に熱融着によって所望の物質層を形成する方法を意味する。ハイブリダイゼーション法による熱可塑性樹脂層の形成は、例えば奈良機械製作所社製のハイブリダイザー(商品名)を用いて行うことができる。
【0030】
上記の「ハイブリダイゼーション法」を利用した場合には、その処理条件を適宜変更することにより、材料として用いた熱可塑性樹脂粒子がほぼ球状を呈したままの状態でコア粒子の表面に密に熱融着してなる熱可塑性樹脂層を形成することもできるし、コア粒子の表面に熱融着した多数の熱可塑性樹脂粒子がさらに熱溶融してなる実質的に均一な熱可塑性樹脂層を形成することもできるが、前述したように、熱可塑性樹脂層は実質的に均一な層であることが好ましい。
【0031】
樹脂被覆粒子調製工程で使用する「コアとなる球状粒子」の材質の具体例としては、本発明の接着性粒子についての説明の中で例示したものと同じものが挙げられ、当該コアとなる球状粒子の平均粒径および粒径についての変動係数は、本発明の接着性粒子についての説明の中で述べたように、目的とする接着性粒子の用途等に応じて適宜選択される。また、コアとなる球状粒子の表面を被覆する「エポキシ樹脂およびこのエポキシ樹脂用の潜在型硬化剤をそれぞれ吸収し得る熱可塑性樹脂層」の材質の具体例としても、本発明の接着性粒子についての説明の中で例示したものと同じものが挙げられる。
【0032】
本発明の方法では、上記の樹脂被覆粒子調製工程に引き続いて、樹脂被覆粒子を構成している熱可塑性樹脂層を特定のエマルジョンによって膨潤させる膨潤工程が行われる。この膨潤工程で使用するエマルジョンは、エポキシ樹脂と、このエポキシ樹脂用の潜在型硬化剤と、疎水性基を置換基として有しているシランカップリング剤とが分散しているものであり、前記のエポキシ樹脂,潜在型硬化剤およびシランカップリング剤の具体例としては、本発明の接着性粒子についての説明の中で例示したものと同じものがそれぞれ挙げられる。
【0033】
上記のエマルジョンの調製は、水等を分散媒として用い、乳化剤としてポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類,ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル類,ポリオキシエチレンアルキルエーテル類,ポリオキシエチレンアルキレンアルキルエーテル類およびポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックポリマー等のエーテル型非イオン界面活性剤や、多価アルコールの脂肪酸エステル類、ポリエチレングリコールの脂肪酸エステル類等を用いて、上記のエポキシ樹脂,潜在型硬化剤およびシランカップリング剤それぞれの所定量を前記の分散媒に分散させてO/W型のエマルジョンを得ることによって行われる。このときのエポキシ樹脂,潜在型硬化剤およびシランカップリング剤それぞれの使用量は、最終的に得られる接着性粒子におけるこれらの物質の量が、本発明の接着性粒子についての説明の中で述べた量となるように適宜調整される。
【0034】
また、上記のエマルジョンによる熱可塑性樹脂層の膨潤は、例えば、前述した樹脂被覆粒子調製工程で得られた樹脂被覆粒子の分散液を調製し、この分散液に上記のエマルジョンを滴下して、樹脂被覆粒子を構成している熱可塑性樹脂層に上述したエポキシ樹脂,潜在型硬化剤およびシランカップリング剤をそれぞれ含浸させることによって行うことができる。上記の分散液を調製するにあたっては、水,水/アルコール混合液または水/アセトン混合液を分散媒として用いる。また、部分鹸化したポリビニルアルコール類やポリビニルピロリドン等の分散安定剤を併用することが好ましい。
熱可塑性樹脂層に含浸したエポキシ樹脂および潜在型硬化剤は熱可塑性樹脂によって吸収され、熱可塑性樹脂層に含浸したシランカップリング剤は、当該シランカップリング剤が有している疎水性基によって熱可塑性樹脂またはエポキシ樹脂と結合する。
【0035】
上述のようにして膨潤工程を行った後、膨潤した熱可塑性樹脂層中のシランカップリング剤を部分加水分解する部分加水分解工程を行う。この部分加水分解工程は、シランカップリング剤中の加水分解性基(例えばアルコキシ基)を加水分解するための工程であり、当該部分加水分解工程は、上記の膨潤工程を行った後の系内に水またはアンモニア水を添加することにより行うことができる。
上記の部分加水分解によって生じた部分加水分解物はシロキサン結合(−Si−O−)を含んでおり、当該部分加水分解物は有機材料と結合する置換基、すなわち前記の疎水性基によって前述した熱可塑性樹脂またはエポキシ樹脂と結合している一方で、個々の部分加水分解物はシロキサン結合によって互いに結合しているものと推察される。
【0036】
上記の部分加水分解工程まで行うことにより、エポキシ樹脂とこのエポキシ樹脂用の潜在型硬化剤とをそれぞれ吸収しており、かつ、疎水性基を置換基として有しているシランカップリング剤の部分加水分解物が結合している熱可塑性樹脂層からなる熱接着性樹脂層を球状粒子の表面に形成することができる。本発明の方法では、上述のようにして部分加水分解工程を行った後、当該部分加水分解工程を経た後の樹脂被覆粒子を乾燥する乾燥工程を行う。
上記の乾燥は、上述した部分加水分解工程を経た後の樹脂被覆粒子について凍結乾燥,減圧乾燥等を行うことにより実施することができる。この乾燥処理を施すことにより、前述したエポキシ樹脂とこのエポキシ樹脂用の潜在型硬化剤とをそれぞれ吸収しており、かつ、疎水性基を置換基として有しているシランカップリング剤の部分加水分解物が結合している熱可塑性樹脂層からなる熱接着性樹脂層の表面が硬化されるので、物理的に安定な接着性粒子が得られる。
【0037】
【実施例】
以下、本発明の実施例について説明する。
実施例1
(1)樹脂被覆粒子の調製
コアとなる球状粒子として、表面にビニル基を導入したMPTMS(γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン)処理シリカ微粒子(平均粒径5.80μm,粒径についての変動係数(以下「CV値」と略記する。)0.9%)30gを用意した。このMPTMS処理シリカ微粒子は、MPTMSと、当該MPTMSに対するモル比で0.15のテトラエトキシシランとを混合液の状態で用いて表面処理した後、150℃のオーブン中で1時間乾燥して得たものである。
【0038】
また、上記のMPTMS処理シリカ微粒子の分散液を得るための分散媒として、メタノール900mlと水300mlとの混合液に分散安定剤としてポリビニルピロリドン(平均分子量36万)100gを溶解させた溶液を用意した。そして、上記の分散媒に上記のMPTMS処理シリカ微粒子を加え、超音波振動を与えてよく分散させて分散液を得た。
【0039】
この分散液に2,2′−アゾビスイソブチロニトリル10g,スチレン45gおよびメルカプト酢酸0.75gを加え、65℃で撹拌しながら重合を行った。8時間後、反応液に水とメタノールとの混合液(水:メタノール=8:2(体積比))500mlを注ぎ、放冷した。この重合によって、MPTMS処理シリカ微粒子の表面にはポリスチレン層が形成され、樹脂被覆粒子が生成した。また、系内にはポリスチレン微粒子も生成した。放冷後、樹脂被覆粒子(表面にポリスチレン層が形成されMPTMS処理シリカ微粒子)を沈降させ、上層のポリスチレン微粒子をデカンテーションにより除去した。
【0040】
デカンテーション後の溶液に水400mlとメタノール400mlとの混合液を加え、沈降粒子が均一に分散されるまで撹拌した後に樹脂被覆粒子を再び沈降させ、このときの上層のポリスチレン微粒子をデカンテーションにより除去するという一連の操作からなる分級を5回以上繰り返した。この後、分散媒を水に置換し、凍結乾燥を行って、MPTMS処理シリカ微粒子の表面をポリスチレン層によって被覆してなる樹脂被覆粒子31gを得た。
【0041】
上記の樹脂被覆粒子について走査型電子顕微鏡写真を撮影し、この写真からその粒径を測定した結果、平均粒径は5.88μm、CV値は1.0%であり、当該樹脂被覆粒子は材料として用いたMPTMS処理シリカ微粒子の単分散性を維持していた。また、粒子間の合着は認められず、個々の樹脂被覆粒子には実質的に均一なポリスチレン層が形成されていることが確認された。そして、ポリスチレン層を形成しているポリスチレンの数平均分子量は、GPC(ゲルパーミネーションクロマトグラフィー)でのポリスチレン換算で3000であった。
【0042】
(2)ポリスチレン層の膨潤
まず、油化シェルエポキシ社製のエポキシ樹脂(エピコートYL980)15gと、同社製のエポキシ樹脂用潜在型硬化剤(エピキュア171N)10gと、シランカップリング剤の1つであるフェニルトリエトキシシラン5gと、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル系乳化剤2gを容器に入れ、90℃に加熱しながら撹拌して、均一な溶液とした。次いで、この溶液を50℃に冷却し、1000rpmで撹拌しながら水30mlをゆっくり添加して、油滴の粒径が1μm以下の均一なO/W型エマルジョンを得た。
【0043】
また、メタノール60mlと水240mlとの混合液に分散安定剤としてポリビニルピロリドン(平均分子量36万)6gを溶解させた溶液に上記(1)で得た樹脂被覆粒子12.0gをよく分散させて、分散液を得た。
この分散液を90rpmで撹拌しながら当該分散液に上記のエマルジョン7.2gをゆっくり滴下した後、90rpmで20時間撹拌した。この操作により、樹脂被覆粒子を構成しているポリスチレン層に上記のエマルジョン中のエポキシ樹脂,潜在型硬化剤およびシランカップリング剤がそれぞれが含浸し、ポリスチレン層が膨潤した。
【0044】
(3)シランカップリング剤の部分加水分解
上記(2)でポリスチレン層を膨潤させた後の系内に濃度8wt%のアンモニア水300mlを添加し、90rpmで24時間撹拌した。この操作により、シランカップリング剤として用いたフェニルトリエトキシシランが部分加水分解された。
この部分加水分解まで行うことにより、エポキシ樹脂とこのエポキシ樹脂用の潜在型硬化剤とをそれぞれ吸収しており、かつ、疎水性基を置換基として有しているシランカップリング剤の部分加水分解物が結合しているポリスチレン層からなる実質的に均一な熱接着性樹脂層が、MPTMS処理シリカ微粒子の表面に形成された。
【0045】
(4)樹脂被覆粒子の乾燥
上記(3)でフェニルトリエトキシシランを部分加水分解した後の系を放冷し、樹脂被覆粒子が沈降した後に上澄み液をデカンテーションによって除去した。
デカンテーション後の溶液に水250mlを加え、樹脂被覆粒子が均一に分散されるまで撹拌した後に樹脂被覆粒子を再び沈降させ、この後に上澄み液をデカンテーションにより除去するという一連の操作からなる洗浄を5回以上繰り返した。この後、さらに水を添加し、凍結乾燥を行った。
上記の凍結乾燥を行うことによって、上記(3)で形成された熱接着性樹脂層の表面が硬化され、物理的に安定な接着性粒子12.5gが得られた。
【0046】
この接着性粒子について走査型電子顕微鏡写真を撮影し、この写真からその粒径を測定した結果、平均粒径は5.98μm、CV値は1.1%であり、当該接着性粒子は材料として用いたMPTMS処理シリカ微粒子の単分散性を維持していた。また、粒子間の合着は認められず、個々の接着性粒子には実質的に均一な熱接着性樹脂層が形成されていることが確認された。
【0047】
(5)熱接着試験
上記(4)で得られた接着性粒子を50mm角のガラス基板上に500個/mm2 の密度で均一に散布し、この上に50mm角のガラス基板を重ねて1kgf/cm2 の荷重を加えながら150℃で2時間加熱した。これにより、2枚のガラス基板が前記の接着性粒子によって5.8μm間隔で貼り合わされた。
貼り合わされた上記2枚のガラス基板間の接着力を確認するため、引っ張り力を徐々に上げながら引っ張り試験を行ったところ、3.0kgfの引っ張り力のときに両ガラス基板が剥がれた。
【0048】
実施例2
(1)樹脂被覆粒子の調製
実施例1(1)と同様にして、MPTMS処理シリカ微粒子(平均粒径5.80μm,CV値0.9%)の分散液を調製した。ただし、分散媒としてはメタノールと水の重量比が55:45の混合液750gを用い、分散安定剤としては平均分子量40万のポリビニルピロリドンを用いた。また、MPTMS処理シリカ微粒子の使用量は25gとした。
【0049】
上記の分散液に2,2′−アゾビスイソブチロニトリル1.0gを加えてよく撹拌した後、メタクリル酸メチル8.5gを加え、65℃で撹拌しながら重合を行った。8時間後、反応液に水とメタノールとの混合液(水:メタノール=8:2(体積比))500mlを注ぎ、放冷した。この重合によって、MPTMS処理シリカ微粒子の表面にはポリメチルメタクリレート層が形成され、樹脂被覆粒子が生成した。重合反応を終了させた後の液をそのまま静置し、樹脂被覆粒子(表面にポリメチルメタクリレート層が形成されMPTMS処理シリカ微粒子)が沈降した後に上澄み液を除去した。
【0050】
この後、洗浄液としてメタノールと水との混合液(メタノール:水=8:2(体積比))を注ぎ、沈降粒子が均一に分散されるまで撹拌した後に樹脂被覆粒子を再び沈降させ、このときの上澄み液を除去するという一連の操作からなる洗浄を7回繰り返し、MPTMS処理シリカ微粒子の表面をポリメチルメタクリレート層によって被覆してなる樹脂被覆粒子27gを得た。
【0051】
上記の樹脂被覆粒子について走査型電子顕微鏡写真を撮影し、この写真からその粒径を測定した結果、平均粒径は6.04μm、CV値は1.28%であり、当該樹脂被覆粒子は材料として用いたMPTMS処理シリカ微粒子の単分散性を維持していた。また、粒子間の合着は認められず、個々の樹脂被覆粒子には実質的に均一なポリメチルメタクリレート層が形成されていることが確認された。そして、ポリメチルメタクリレート層を形成しているポリメチルメタクリレートの数平均分子量は、GPCでのポリスチレン換算で5000であった。
【0052】
(2)ポリメチルメタクリレート層の膨潤
実施例1(2)と同様にしてO/W型エマルジョンを得、このエマルジョンを用いて、樹脂被覆粒子を構成しているポリメチルメタクリレート層を実施例1(2)と同様にして膨潤させた。
【0053】
(3)シランカップリング剤の部分加水分解
実施例1(3)と同様にして、シランカップリング剤として用いたフェニルトリエトキシシランを部分加水分解した。
この部分加水分解まで行うことにより、エポキシ樹脂とこのエポキシ樹脂用の潜在型硬化剤とをそれぞれ吸収しており、かつ、疎水性基を置換基として有しているシランカップリング剤の部分加水分解物が結合しているポリメチルメタクリレート層からなる実質的に均一な熱接着性樹脂層が、MPTMS処理シリカ微粒子の表面に形成された。
【0054】
(4)樹脂被覆粒子の乾燥
実施例1(4)と同様にして、フェニルトリエトキシシランを部分加水分解した後の樹脂被覆粒子を乾燥した。
これにより、上記(3)で形成された熱接着性樹脂層の表面が硬化され、物理的に安定な接着性粒子12.5gが得られた。
【0055】
この接着性粒子について走査型電子顕微鏡写真を撮影し、この写真からその粒径を測定した結果、平均粒径は6.16μm、CV値は1.50%であり、当該接着性粒子は材料として用いたMPTMS処理シリカ微粒子の単分散性を維持していた。また、粒子間の合着は認められず、個々の接着性粒子には実質的に均一な熱接着性樹脂層が形成されていることが確認された。
【0056】
(5)熱接着試験
上記(4)で得られた接着性粒子を用いて、実施例1(5)と同様にして2枚のガラス基板を5.8μm間隔で貼り合わせた。
貼り合わせた上記2枚のガラス基板間の接着力を確認するため、引っ張り力を徐々に上げながら引っ張り試験を行ったところ、3.8kgfの引っ張り力のときに両ガラス基板が剥がれた。
【0057】
実施例3
(1)ポリスチレン微粒子の作製
まず、メタノール900mlと水300mlとの混合液に分散安定剤としてポリビニルピロリドン(平均分子量36万)100gを溶解させた溶液を用意した。次いで、この溶液に2,2′−アゾビスイソブチロニトリル10g,スチレン45gおよびメルカプト酢酸0.75gを加え、65℃で撹拌しながら重合を行った。8時間後、反応液に水とメタノールとの混合液(水:メタノール=8:2(体積比))500mlを注ぎ、放冷した。この重合によって、数平均分子量がGPCでのポリスチレン換算で2000のポリスチレン微粒子が生成した。
【0058】
放冷後、遠心分離によってポリスチレン微粒子を沈降させ、上澄み液をデカンテーションにより除去した。デカンテーション後の溶液に水400mlとメタノール400mlとの混合液を加え、ポリスチレン微粒子が均一に分散されるまで撹拌した後に遠心分離によってポリスチレン微粒子を再び沈降させ、このときの上澄み液をデカンテーションにより除去するという一連の操作からなる分級を5回以上繰り返した。この後、分散媒を水に置換し、凍結乾燥を行って、ポリスチレン微粒子40gを得た。
上記のポリスチレン微粒子について走査型電子顕微鏡写真を撮影し、この写真からその粒径を測定した結果、平均粒径は0.4μmであった。
【0059】
(2)樹脂被覆粒子の調製
コアとなる球状粒子として、表面にビニル基を導入したMPTMS処理シリカ微粒子(平均粒径5.80μm,CV値0.9%)30gを用い、このMPTMS処理シリカ微粒子と上記(1)で作製したポリスチレン微粒子2.0gとを均一に混合した。得られた混合物を、奈良機械製作所社製のハイブリダイザー(商品名)によって16000rpm,処理時間15分の条件で処理して、MPTMS処理シリカ微粒子の表面をポリスチレン層によって被覆してなる樹脂被覆粒子31.0gを得た。
【0060】
上記の樹脂被覆粒子について走査型電子顕微鏡写真を撮影し、この写真からその粒径を測定した結果、平均粒径は6.00μm、CV値は1.0%であり、当該樹脂被覆粒子は材料として用いたMPTMS処理シリカ微粒子の単分散性を維持していた。また、粒子間の合着は認められず、個々の樹脂被覆粒子には実質的に均一なポリスチレン層が形成されていることが確認された。
【0061】
(3)ポリスチレン層の膨潤
実施例1(2)と同様にしてO/W型エマルジョンを得、このエマルジョンを用いて、上記(2)で得られた樹脂被覆粒子を構成しているポリスチレン層を実施例1(2)と同様にして膨潤させた。
【0062】
(4)シランカップリング剤の部分加水分解
実施例1(3)と同様にして、シランカップリング剤として用いたフェニルトリエトキシシランを部分加水分解した。
この部分加水分解まで行うことにより、エポキシ樹脂とこのエポキシ樹脂用の潜在型硬化剤とをそれぞれ吸収しており、かつ、疎水性基を置換基として有しているシランカップリング剤の部分加水分解物が結合しているポリスチレン層からなる実質的に均一な熱接着性樹脂層が、MPTMS処理シリカ微粒子の表面に形成された。
【0063】
(5)樹脂被覆粒子の乾燥
実施例1(4)と同様にして、フェニルトリエトキシシランを部分加水分解した後の樹脂被覆粒子を乾燥した。
これにより、上記(4)で形成された熱接着性樹脂層の表面が硬化され、物理的に安定な接着性粒子12.5gが得られた。
【0064】
この接着性粒子について走査型電子顕微鏡写真を撮影し、この写真からその粒径を測定した結果、平均粒径は6.17μm、CV値は1.2%であり、当該接着性粒子は材料として用いたMPTMS処理シリカ微粒子の単分散性を維持していた。また、粒子間の合着は認められず、個々の接着性粒子には実質的に均一な熱接着性樹脂層が形成されていることが確認された。
【0065】
(6)熱接着試験
上記(5)で得られた接着性粒子を用いて、実施例1(5)と同様にして2枚のガラス基板を5.8μm間隔で貼り合わせた。
貼り合わせた上記2枚のガラス基板間の接着力を確認するため、引っ張り力を徐々に上げながら引っ張り試験を行ったところ、4.0kgfの引っ張り力のときに両ガラス基板が剥がれた。
【0066】
比較例1
実施例1(1)と同様にして樹脂被覆粒子を得た。また、シランカップリング剤を使用しなかった以外は実施例1(2)と同様にしてO/W型エマルジョンを得た。
メタノール60mlと水240mlとの混合液に分散安定剤としてポリビニルピロリドン(平均分子量36万)6gを溶解させた溶液に上記の樹脂被覆粒子12.0gをよく分散させて分散液を得、この分散液を90rpmで撹拌しながら当該分散液に上記のエマルジョン7.2gをゆっくり滴下した後、90rpmで20時間撹拌した。この後、濃度8wt%のアンモニア水300mlを添加し、90rpmで24時間撹拌し、放冷後に樹脂被覆粒子を沈降させて、上澄み液をデカンテーションにより除去した。沈降した樹脂被覆粒子は互いに接着しており、再分散させることができなかった。
【0067】
比較例2
MPTMS処理シリカ微粒子の表面をポリスチレン層によって被覆してなる樹脂被覆粒子を実施例1(1)と同様にして得、この樹脂被覆粒子を用いて実施例1(5)と同様にして2枚のガラス板を貼り合わせようとしたが、500個/mm2 の散布密度では前記2枚のガラス板を貼り合わせることができなかった。
【0068】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば熱硬化性樹脂を熱接着成分として含有している実質的に均一な熱接着性樹脂層を有し、かつ互いに凝集しにくい接着性粒子を容易に提供することが可能になる。
本発明の接着性粒子を例えば液晶表示パネル(液晶セル)のスペーサーとして利用した場合には、表示品質の高い液晶表示装置を容易に提供することが可能になる。

Claims (8)

  1. 球状粒子からなるコアと、このコアの表面を被覆している熱接着性樹脂層とを有し、
    前記熱接着性樹脂層が、エポキシ樹脂とこのエポキシ樹脂用の潜在型硬化剤とをそれぞれ吸収している熱可塑性樹脂層からなり、かつ、該熱接着性樹脂層に、疎水性基を置換基として有しているシランカップリング剤の部分加水分解物が結合していることを特徴とする接着性粒子。
  2. コアがシリカ粒子からなる、請求項1に記載の接着性粒子。
  3. 熱接着性樹脂層を構成している熱可塑性樹脂の数平均分子量が1000〜50000である、請求項1または請求項2に記載の接着性粒子。
  4. 請求項1〜請求項3のいずれかに記載の接着性粒子からなり、平均粒径が0.5〜30μm、粒径についての変動係数が2.5%以下であることを特徴とする液晶表示パネル用スペーサー。
  5. 請求項1〜請求項3のいずれかに記載の接着性粒子からなり、平均粒径が0.5〜50μm、粒径についての変動係数が5.0%以下であることを特徴とする精密接着剤。
  6. エポキシ樹脂およびこのエポキシ樹脂用の潜在型硬化剤をそれぞれ吸収し得る熱可塑性樹脂層によってコアとなる球状粒子の表面を被覆して樹脂被覆粒子を得る樹脂被覆粒子調製工程と、
    前記樹脂被覆粒子調製工程で得た樹脂被覆粒子を構成している熱可塑性樹脂層に、エポキシ樹脂と、前記エポキシ樹脂用の潜在型硬化剤と、疎水性基を置換基として有しているシランカップリング剤とが分散しているエマルジョンを含浸させることによって、該熱可塑性樹脂層を膨潤させる膨潤工程と、
    前記膨潤工程で膨潤した熱可塑性樹脂層中のシランカップリング剤を部分加水分解する部分加水分解工程と、
    前記部分加水分解工程を経た後の樹脂被覆粒子を乾燥する乾燥工程と、
    を含んでいることを特徴とする接着性粒子の製造方法。
  7. 樹脂被覆粒子調製工程において、コアとなる球状粒子として球状のシリカ粒子を用いる、請求項6に記載の方法。
  8. 樹脂被覆粒子調製工程において、数平均分子量が1000〜50000の熱可塑性樹脂によって熱可塑性樹脂層を形成する、請求項6または請求項7に記載の方法。
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