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JP3792465B2 - 自動車のブレーキペダル装置 - Google Patents

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JP3792465B2
JP3792465B2 JP37584499A JP37584499A JP3792465B2 JP 3792465 B2 JP3792465 B2 JP 3792465B2 JP 37584499 A JP37584499 A JP 37584499A JP 37584499 A JP37584499 A JP 37584499A JP 3792465 B2 JP3792465 B2 JP 3792465B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は自動車のブレーキペダル装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車のブレーキペダル装置は、例えば実開平6−1113号公報に示されているように、ペダルアームの上端部を回動自在に軸支したペダルブラケットをダッシュロアパネルと、該ダッシュロアパネルに接合されて車室側に張り出したダッシュアッパパネルの下面部とに締結固定してあって、ペダルアームを踏み込むことによって該ペダルアームの上端部に連結したプッシュロッドを前方へ押動して、マスターバックを作動させるようにしてある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
従来の構造によれば、車両の前面衝突時にマスターバック、もしくは該マスターバックを固定したダッシュロアパネルが変形して車室側へ後退移動すると、該マスターバックのプッシュロッドを介してペダルアームに踏み込み方向と逆方向の回動力が作用し、ブレーキペダルの踏み込み位置が後方へずれて違和感を生じるおそれがある。
【0004】
そこで、本発明は車両の前面衝突時にマスターバックのプッシュロッドを介してペダルアームに衝突荷重が作用するのを防止して、違和感を生じるのを回避することができる自動車のブレーキペダル装置を提供するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明にあっては、ダッシュパネルに固定したペダルブラケットと、該ペダルブラケットに設けたシャフトに回転可能に軸支されたピポットブラケットと、前記シャフトよりも車両前方で、該ピポットブラケットに設けたペダルシャフトに回動自在に軸支されると共に、該ペダルシャフトの下部にプッシュロッドが連結されたペダルアームと、前記ダッシュパネルの上後方の車体部材の下面部に固定されると共に、前記ペダルブラケットの後部に設けられ、常態にあっては、ピポットブラケットと係合するロックプレートとを備えると共に、前記ペダルブラケットに所定荷重を越える後退方向の入力が作用すると、少なくとも前記シャフトと前記下面部との車両前後方向の相対移動を許容する衝突吸収手段を、前記ロックプレートと下面部との固定部と前記シャフトとの間に設けて、前記シャフトと前記固定部とが相対的に縮小移動した際に前記ピポットブラケットとロックプレートとの係合が外れて該ピポットブラケットを前記シャフト周りに下後方に回動させるようにしたことを特徴としている。
【0006】
請求項2の発明にあっては、請求項1に記載の衝突吸収手段を、窓部によって構成したことを特徴としている。
【0007】
請求項3の発明にあっては、請求項2に記載の窓部をペダルブラケットに形成したことを特徴としている。
【0008】
請求項4の発明にあっては、請求項3に記載のペダルブラケットは、少なくとも一対の対向する側面部を備え、前記ロックプレートを、ペダルブラケットの後端部に固定すると共に、前記窓部を、ペダルブラケットの側面部に、該ペダルブラケットとロックプレートとの固定部よりも前方側で形成したことを特徴としている。
【0009】
請求項5の発明にあっては、ダッシュパネルに固定したペダルブラケットと、該ペダルブラケットに設けたシャフトに回転可能に軸支されたピポットブラケットと、前記シャフトよりも車両前方で、該ピポットブラケットに設けたペダルシャフトに回動自在に軸支されると共に、該ペダルシャフトの下部にプッシュロッドが連結されたペダルアームと、前記ダッシュパネルの上後方の車体部材の下面部に固定されると共に、前記ペダルブラケットの後部に設けられ、常態にあっては、ピポットブラケットと係合するロックプレートとを備え、前記ペダルブラケットは、少なくとも前記車体部材の下面部に固定される上面部を備え、前記ペダルブラケットに所定荷重を越える後退方向の入力が作用したときに、少なくとも前記シャフトと前記下面部との車両前後方向の相対移動を許容する衝突吸収手段としての前後方向に延びる窓部を前記上面部に形成し、前記窓部を介してペダルブラケットを車体部材の下面部に車両後方に向けて摺動可能に固定し、前記シャフトと前記固定部とが相対的に縮小移動した際に前記ピポットブラケットとロックプレートとの係合が外れて該ピポットブラケットを前記シャフト周りに下後方に回動させるようにしたことを特徴としている。
【0010】
請求項6の発明にあっては、請求項1〜5に記載のピポットブラケットの回動作用を促進させる回動促進手段を設けたことを特徴としている。
【0011】
請求項7の発明にあっては、請求項6に記載の回動促進手段は、前記ロックプレートに設けられ、前記衝突吸収手段によりペダルブラケットがロックプレートと下面部との固定部と前記シャフトとの間で縮小移動した際に、シャフトより上方の前記ピポットブラケットの後端部に当接し、ピポットブラケットの回動作用を促進する当接部から成ることを特徴としている。
【0012】
請求項8の発明にあっては、請求項6に記載の回動促進手段は、ピポットブラケットとペダルブラケットとに跨って設けられ、ピポットブラケットの回動作用時に、該ピポットブラケットを下方に向けて付勢する付勢手段から成ることを特徴としている。
【0013】
請求項9の発明にあっては、請求項1〜8に記載のピポットブラケットとペダルアームとに跨って、ピポットブラケットの回動作用時に、該ペダルアームの踏み込み位置を車両前方に向けて付勢する付勢手段を設けたことを特徴としている。
【0014】
請求項10の発明にあっては、請求項1〜8に記載のペダルシャフト、ペダルブラケットおよびペダルアームとに跨って、常態にあってはペダルアームを車両後方に向けて付勢すると共に、ピポットブラケットの回動作用時に、該ピポットブラケットを下方に向けて付勢して該ピポットブラケットの回動作用を促進する付勢手段を設けたことを特徴としている。
【0015】
請求項11の発明にあっては、請求項1〜10に記載のピポットブラケットに設けたペダルシャフトは、該ピポットブラケットの回動中心である前記シャフトよりも、下前方に設定したことを特徴としている。
【0016】
【発明の効果】
請求項1によれば、通常の状態ではロックプレートによって、ピポットブラケットの回動を規制してあるため、ペダルシャフトを支点としてペダルアームを回動して、該ペダルアームに連結したプッシュロッドを介して、通常のマスターバック作動を行わせることができる。
【0017】
一方、車両が前面衝突すると、衝突吸収手段により、ロックプレートと車体部材の下面部との固定部と前記シャフトとの間で縮小移動することにより、前記ピポットブラケットとロックプレートとの係合が外れ、該ピポットブラケットの回動を許容して、前記シャフトを支点として該ピポットブラケットを下後方へ回動させるため、マスターバックが後退移動、もしくはダッシュロアパネルが車室側へ変形してマスターバックのプッシュロッドが後退移動しても、ペダルアームの踏み込み位置が後方にずれて違和感を生じるのを回避することができる。
【0018】
請求項2によれば、請求項1の効果に加えて、前記衝突吸収手段を、窓部によって構成してあるため、構造が簡単でコスト的に有利に得ることができる。
【0019】
請求項3によれば、請求項2の効果に加えて、前記窓部をペダルブラケットに形成してあるため、該窓部を構造上複雑な車体側に形成する場合に比べ、衝突吸収のチューニングを容易に行うことができる。
【0020】
請求項4によれば、請求項3の効果に加えて、前記ペダルブラケットは、少なくとも一対の対向する側面部を備え、前記ロックプレートを、ペダルブラケットの後端部に固定すると共に、前記窓部を、ペダルブラケットの側面部に、該ペダルブラケットとロックプレートとの固定部よりも前方側で形成してあるため、車両の前面衝突時に、この窓部が変形してロックプレートと車体部材の下面部との固定部と前記シャフトとの間を確実に縮小移動させることができる。
【0021】
請求項5によれば、請求項3の効果に加えて、前記ペダルブラケットは、少なくとも前記車体部材の下面部に固定される上面部を備え、前記ペダルブラケットに所定荷重を越える後退方向の入力が作用したときに、少なくとも前記シャフトと前記下面部との車両前後方向の相対移動を許容する衝突吸収手段としての前後方向に延びる窓部を前記上面部に形成し、前記窓部を介してペダルブラケットを車体部材の下面部に車両後方に向けて摺動可能に固定し、前記シャフトと前記固定部とが相対的に縮小移動した際に前記ピポットブラケットとロックプレートとの係合が外れて該ピポットブラケットを前記シャフト周りに下後方に回動させるようにしてあるため、車両の前面衝突時に、この窓部によってペダルブラケットが後方に摺動し、ロックプレートと車体部材の下面部との固定部と前記シャフトとの間を確実に縮小移動させることができる。
【0022】
請求項6によれば、請求項1〜5の効果に加えて、前記ピポットブラケットの回動作用を促進させる回動促進手段を設けてあるため、該回動促進手段により、ピポットブラケットの回動作用をスムーズに行わせることができる。
【0023】
請求項7によれば、請求項6の効果に加えて、前記回動促進手段を、前記ロックプレートに設けられ、前記衝突吸収手段によりペダルブラケットがロックプレートと下面部との固定部と前記シャフトとの間で縮小移動した際に、シャフトより上方の前記ピポットブラケットの後端部に当接し、ピポットブラケットの回動作用を促進する当接部で構成してあるため、簡単な構造で、ピポットブラケットの回動をスムーズ、かつ、確実に行わせることができる。
【0024】
請求項8によれば、請求項6の効果に加えて、前記回動促進手段を、ピポットブラケットとペダルブラケットとに跨って設けられ、ピポットブラケットの回動作用時に、該ピポットブラケットを下方に向けて付勢する付勢手段で構成してあるため、簡単な構造で、ピポットブラケットの回動をスムーズ、かつ、確実に行わせることができる。
【0025】
請求項9によれば、請求項1〜8の効果に加えて、前記ピポットブラケットとペダルアームとに跨って、ピポットブラケットの回動作用時に、該ペダルアームの踏み込み位置を車両前方に向けて付勢する付勢手段を設けてあるため、車両の前面衝突時にペダルアームを車両前方側へ積極的に引き寄せることができる。
【0026】
請求項10によれば、請求項1〜8の効果に加えて、前記ペダルシャフト、ペダルブラケットおよびペダルアームとに跨って、常態にあってはペダルアームを車両後方に向けて付勢すると共に、ピポットブラケットの回動作用時に、該ピポットブラケットを下方に向けて付勢して該ピポットブラケットの回動作用を促進する付勢手段を設けてあるため、常態ではペダルアームをイニシャル位置に配置でき、しかも、車両の前面衝突時にはピポットブラケットの回動作用を促進することができる。
【0027】
請求項11によれば、請求項1〜10の効果に加えて、前記ピポットブラケットに設けたペダルシャフトを、該ピポットブラケットの回動中心である前記シャフトよりも、下前方に設定してあるため、ペダルシャフトには軸支されているペダルアーム等の荷重がかかっているので、ピポットブラケットの回動作用時の重心位置が回転中心である前記シャフトよりも下方になり、該ピポットブラケットの回動作用を促進することができる。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態を図面と共に詳述する。
【0029】
図1〜3において、1はブレーキペダル装置を示しており、2は、ダッシュパネル12のダッシュロアパネルに12Aに図外のボルト・ナットにより締結固定したペダルブラケットを示している。
【0030】
このペダルブラケット2は一対の対向する側面部として、離間して配置される板部材2A,2Aと、これらをその前方で結合する取付部材2Bとから基本的に構成されている。
【0031】
3は、該ペダルブラケット2に設けたシャフト4に回転可能に軸支された上方視略コ字状のピポットブラケットで、該ピポットブラケット3には、前記シャフト4よりも車両前方で、該ピポットブラケット3の対向する側板部3A,3Aに跨るように設けたペダルシャフト5にペダルアーム6が回動自在に軸支されている。
【0032】
7は、前記ダッシュロアパネル12Aの上端に接合されて車両後方へ延びるダッシュアッパパネル12Bの下面部に固定されると共に、前記ペダルブラケット2の板部材2A,2Aの後端部に固設された略平板状のロックプレートを示している。
【0033】
また、前記ペダルブラケット2に所定荷重を越える後退方向の入力が作用すると、前記シャフト4とダッシュアッパパネル12Bの下面部との車両前後方向の相対移動を許容する衝突吸収手段を、ペダルブラケット2とロックプレート3との固定点と前記シャフト4との間に設けてあり、特にこの実施形態にあっては、前記衝突吸収手段は、板部材2A,2Aの後部に設けた窓部8によって構成してある。
【0034】
前述のロックプレート7は具体的には、その後端部で、ダッシュアッパパネル12Bの下面に接合配置された車体側ブラケット13の下面に、ボルト14およびナット15で締結固定されると共に、前記ペダルブラケット2の対向する板部材2A,2Aの後端部にスポット溶接等により固設してある。
【0035】
一方、該ロックプレート7の前端部は、その側端部に突設した係合部17を前記ペダルブラケット2の側面に設けた車両前後方向のスリット16に挿通して係合固定すると共に、該前端部の係合部17をピポットブラケット3の側板部3Aの前端部に設けた切欠部18に係合してある。
【0036】
従って、非衝突時である常態にあっては、前述したように前記ロックプレート7の前端部の係合部17とピポットブラケット3の前端部の切欠部18とが係合していることにより、前記ピポットブラケット3の下方への回動を規制し、ペダルシャフト5を支点としてペダルアーム6を回動して、該ペダルアーム6に連結したプッシュロッド9を介して、通常のマスターバック作動を行わせることができる。
【0037】
そして、車両の前面衝突時にあっては、前記衝突吸収手段としての窓部8の部分でペダルブラケット2が車両前後方向に潰れ、この潰れによる縮小変形により、ダッシュアッパパネル12Bに固定されたロックプレート7がスリット16にガイドされつつ前記ピポットブラケット3に対して相対的に前方に移動するため、該ピポットブラケット3とロックプレート7との係合が外れ、ピポットブラケット3の回動を許容して、前記シャフト4を支点として該ピポットブラケット3を後下方に回動させ、後述するスプリング(付勢手段)11によって、ペダルアーム6の踏み込み位置を車両前方側へ引き寄せるようにしてある。すなわち、ペダルアーム6のペダルシャフト5が車両後方へ移動することになるため、その分ペダルアーム6の踏み込み位置が前方に移動することになるわけである。
【0038】
また、特にこの実施形態にあっては、前記ピポットブラケット3の回動作用を促進する回動促進手段として、前述の車両の前面衝突時に、前記窓部8が潰れ、ペダルブラケット2がロックプレート7の固定部と前記シャフト4との間で縮小変形し、該ロックプレート7がピポットブラケット3に対して前後方向に相対移動して近づいた際に、シャフト4より上方の前記ピポットブラケット3の後端部3Bに当接して、該ピポットブラケット3の回動作用を促進する当接部10を設けてある。
【0039】
しかも、ピポットブラケット3とペダルアーム6とに跨って、ピポットブラケット3の回動作用時に、該ペダルアーム6の踏み込み位置を車両前方に向けて付勢する付勢手段として、スプリング11を設けてある。このスプリング11は、図2における常態では、ペダルアーム6の戻し方向(矢印A方向)に作用するが、ピポットブラケット3の回動が所定範囲を超えるとターンオーバーして、図3における矢印B方向に作用して、ペダルアーム6の踏み込み位置を車両前方に向けて付勢するようになる。
【0040】
以上の実施形態の構造によれば、通常の状態ではロックプレート7によって、ピポットブラケット3の回動を規制してあるため、ペダルシャフト5を支点としてペダルアーム6を回動して、該ペダルアーム6に連結したプッシュロッド9を介して、通常のマスターバック作動を行わせることができる。
【0041】
一方、車両が前面衝突すると、衝突吸収手段である窓部8が潰れて、ペダルブラケット2がロックプレート7の固定部と前記シャフト4との間で縮小変形することにより、前記ピポットブラケット3とロックプレート7との係合が外れ、該ピポットブラケット3の回動を許容して、前記シャフト4を支点として該ピポットブラケット3を下後方へ回動させ、スプリング11によってペダルアーム6の踏み込み位置を車両前方側へ引き寄せるようにしてあるから、図外のマスターバックが後退移動、もしくはダッシュロアパネル12Aが車室側へ変形して図外のマスターバックのプッシュロッド9が後退移動しても、ペダルアーム6の踏み込み位置が後方にずれて違和感を生じるのを回避することができる。
【0042】
特に本実施形態では前記衝突吸収手段を、ペダルブラケット2に形成した窓部8によって構成してあるため、構造が簡単でコスト的に有利に得ることができる。さらに、該窓部8を構造上複雑な車体側に形成する場合に比べ、衝突吸収のチューニングを容易に行うことができる。
【0043】
また、ピポットブラケット3の回動作用時における回動促進手段として、ロックプレート7の前端部に当接部10を設け、前記衝突吸収手段によりペダルブラケットがロックプレートの固定部と前記シャフトとの間で縮小変形して、該ロックプレート7がピポットブラケット3に近づいた際に、該当接部10が前記ピポットブラケット3の後端部に当接して、該ピポットブラケット3の回動作用を促進するようにしてあるから、ピポットブラケット3の回動をスムーズ、かつ、確実に行わせることができる。
【0044】
しかも、前記ピポットブラケット3とペダルアーム6とに跨って、ピポットブラケット3の回動作用時に、該ペダルアーム6の踏み込み位置を車両前方に向けて付勢する付勢手段としてのスプリング11を設けてあるため、車両の前面衝突時にペダルアーム6の踏み込み位置を車両前方側へ積極的に引き寄せることができる。
【0045】
図4〜7は、本発明の第2実施形態を示しており、この第2実施形態は、前述の第1実施形態とは衝突吸収手段の構成が異なっており、衝突吸収手段として所定値以上の荷重入力に対して摺動可能なスライド機構を用いてある。
【0046】
この第2実施形態では、ペダルブラケット2は一対の対向する側面部として、離間して配置される板部材2A,2Aと、その後部に溶接等により接合される上面板部材2Z、そして、板部材2A,2Aを前方で結合する取付部材2Cとから基本的に構成されている。
【0047】
また、該上面板部材2Zには、後述する衝突吸収手段の窓部として前後方向に長孔2Yが形成してある。
【0048】
3’は、該ペダルブラケット2に設けたシャフト4に回転可能に軸支されたピポットブラケットで、このピポットブラケット3’は後方視で、上方が開放した略コ字状に形成してあり、該ピポットブラケット3’の対向する側板部3’A,3’Aを繋ぐ下面部には、ペダルアーム6が配設可能なように前方側に開口した切欠部3’Cが設けてある。
【0049】
また、該ピポットブラケット3’は側方視略く字状に形成され、ペダルアーム6を回動自在に軸支したペダルシャフト5は、該ピポットブラケット3’の回動中心である前記シャフト4よりも下前方になるように、この略く字状の屈曲部付近に設けてある。
【0050】
7’は、その後部を前記ダッシュロアパネル12Aの上端に接合されて車両後方へ延びるダッシュアッパパネル12Bの下面部に、前記ペダルブラケット2の上面板部材2Zと共に固定されるロックプレートを示している。
【0051】
具体的には、該ロックプレート7’は、その後方側に平板状の固定部を備え、該固定部にボルト孔7’Aが形成してあり、該ボルト孔7’Aを介してダッシュアッパパネル12Bの下面に接合配置された車体側ブラケット13の下面に、前記ペダルブラケットの上面板部材2Zと共に、ボルト14およびナット15によって締結固定される。この際、ボルト14は前記上面板部材2Zの長孔2Yの後方側を通るように取り付けられる。
【0052】
一方、該ロックプレート7’の前端部は、その側端部に突設した係合部17を前記ペダルブラケット2の板部材2A,2Aの上縁フランジ部にスライド可能に載置すると共に、該前端部の係合部17を前記ピポットブラケット3’の側板部3’Aの前端部に設けた切欠部18に係合してある。
【0053】
従って、非衝突時である常態にあっては、前述したように前記ロックプレート7’の前端部の係合部17とピポットブラケット3’の前端部の切欠部18とが係合していることにより、前記ピポットブラケット3’の下方への回動を規制し、ペダルシャフト5を支点としてペダルアーム6を回動して、該ペダルアーム6に連結したプッシュロッド9を介して、通常のマスターバック作動を行わせることができる。
【0054】
そして、車両の前面衝突時にあっては、ペダルブラケット2が相対的に後退してきた際、前記衝突吸収手段としての窓部である長孔2Yの部分でペダルブラケット2が車両後方向に摺動し、この摺動による縮小変形により、ダッシュアッパパネル12Bに固定されたロックプレート7’がペダルブラケット2の上縁フランジ部にガイドされつつ前記ピポットブラケット3’に対して相対的に前方に移動するため、該ピポットブラケット3’とロックプレート7’との係合が外れ、ピポットブラケット3’の回動を許容して、前記シャフト4を支点として該ピポットブラケット3’を後下方に回動させ、ペダルアーム6の踏み込み位置を車両前方側へ引き寄せる。すなわち、ペダルアーム6のペダルシャフト5を車両後方へ移動させ、その分ペダルアーム6の踏み込み位置を前方に移動させることができるという、前述の第1実施形態と基本的に同様の作用をする。
【0055】
また、この実施形態では、前記ロックプレート7’を、後方の前記固定部と前端部との間で一段下がるような有段状に形成し、さらにこの段差部の略中央部分に車両前後方向に延びるビード部7’Bを形成して、前後方向の入力作用に対しての変形強度を高めていると共に、平板状の前記固定部の側縁に、下方に向けフランジ7’Cを折曲成形して剛性を高めている。
【0056】
特にこの実施形態にあっては、前記ピポットブラケット3’の回動作用を促進する回動促進手段として、該ピポットブラケット3’の回動作用時に、該ピポットブラケット3’を下方に向けて付勢するスプリング21をピポットブラケット3’とペダルアーム6とに跨って設けてある。具体的には、該スプリング21をシャフト4に巻装し、その両端部をピポットブラケット3’の側板部3’Aとペダルアーム6の上部に係着させている。
【0057】
また、ペダルブラケット2、ペダルシャフト5およびペダルアーム6とに跨って、常態にあってはペダルアーム6を車両後方に向けて付勢すると共に、ピポットブラケット3’の回動作用時に、該ピポットブラケット3’を下方に向けて付勢して該ピポットブラケット3’の回動作用を促進する付勢手段として、スプリング22を設けてある。具体的には、該スプリング22をペダルシャフト5に巻装し、その両端部をペダルブラケット2の下縁とペダルアーム6の前面とが、側面視して下方に向かうに従って開くように交差している部分に係着させている。つまり、このスプリング22は、図6における常態では、これらペダルブラケット2とペダルアーム6とを拡開する方向(矢印C方向)にのみ作用して該ペダルアーム6を車両後方のイニシャル位置に向けて付勢するが、ピポットブラケット3’とロックプレート7’の係合が外れると、図7における矢印D方向に作用して、ピポットブラケット3’を下方に向けて付勢し、該ピポットブラケット3’の下方への回動を促進するようになる。
【0058】
図6,7中、23はペダルアーム6に固定されて、ペダルアーム6をイニシャル位置に規制するストッパを、またSBはこのストッパ23を受けるペダルブラケット2に固定されたストッパブラケットを示している。
【0059】
従って、以上の第2実施形態の構造によれば、図外のマスターバックが後退移動、もしくはダッシュロアパネル12Aが車室側へ変形して図外のマスターバックのプッシュロッド9が後退移動しても、ペダルアーム6の踏み込み位置が後方にずれて違和感を生じるのを回避することができるという前述の第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0060】
また特にこの実施形態では、前述の第1実施形態とは異なり、衝突吸収手段としての窓部をペダルブラケット2の上面板部2Zに形成した長孔2Yで構成し、この長孔2Yによってペダルブラケット2を後方に摺動可能なスライド機構としてあるため、第1実施形態のように窓部8を潰す場合に比べ、衝撃吸収を安定して行うことができると共に、衝撃吸収のチューニングを一層容易に行うことができる。
【0061】
また、ピポットブラケット3’の回動作用時における回動促進手段として、該ピポットブラケット3’の回動作用時に、該ピポットブラケット3’を下方に向けて付勢するスプリング21を前記シャフト4に巻装するようにピポットブラケット3’とペダルアーム6とに跨って設けてあるから、ピポットブラケット3’の回動をスムーズ、かつ、確実に行わせることができる。
【0062】
しかも、ペダルブラケット2、ペダルシャフト5およびペダルアーム6とに跨って、常態にあってはペダルアーム6を車両後方に向けて付勢すると共に、ピポットブラケット3’の回動作用時に、該ピポットブラケット3’を下方に向けて付勢して該ピポットブラケット3’の回動作用を促進する付勢手段としてのスプリング22を設けてあるため、常態ではペダルアーム6をイニシャル位置に配置でき、しかも、車両の前面衝突時にはピポットブラケット3’の回動作用をさらに促進することができる。
【0063】
また、前記ピポットブラケット3’に設けたペダルシャフト5を、該ピポットブラケット3’の回動中心であるシャフト4よりも、下前方に設定してあるため、ペダルシャフト5には軸支されているペダルアーム6等の荷重がかかっているので、ピポットブラケット3’の回動作用時の重心位置が回転中心である前記シャフト4よりも下方になり、該ピポットブラケット3’の回動作用を促進することができる。
【0064】
なお、上記第1,第2実施形態では何れの場合も、ペダルブラケット1をダッシュアッパパネル5の下面部に固定するようにした例を示したが、これに限らず、ダッシュロアパネルの上後方に位置する、例えば車幅方向に延在するステアリングメンバなどの車体部材に固定するようにしても良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態を示す斜視図。
【図2】同実施形態の常態を示す側面図。
【図3】同実施形態の衝突作動時を示す側面図。
【図4】本発明の第2実施形態を示す斜視図。
【図5】本発明の第2実施形態のピポットブラケットとロックプレートを示す斜視図。
【図6】本発明の第2実施形態の常態を示す側面図。
【図7】本発明の第2実施形態の衝突作動時を示す側面図。
【符号の説明】
1 ブレーキペダル装置
2 ペダルブラケット
2A 板部材(側面部)
2Z 上面部材
3,3’ ピポットブラケット
4 シャフト
5 ペダルシャフト
6 ペダルアーム
7,7’ ロックプレート
8 窓部(衝突吸収手段)
10 当接部(回動促進手段)
11 スプリング(付勢手段)
21 スプリング(回動促進手段)
22 スプリング(付勢手段・回動促進手段)
12A ダッシュロアパネル(ダッシュパネル)
12B ダッシュアッパパネル(車体部材)

Claims (11)

  1. ダッシュパネルに固定したペダルブラケットと、
    該ペダルブラケットに設けたシャフトに回転可能に軸支されたピポットブラケットと、
    前記シャフトよりも車両前方で、該ピポットブラケットに設けたペダルシャフトに回動自在に軸支されると共に、該ペダルシャフトの下部にプッシュロッドが連結されたペダルアームと、
    前記ダッシュパネルの上後方の車体部材の下面部に固定されると共に、前記ペダルブラケットの後部に設けられ、常態にあっては、ピポットブラケットと係合するロックプレートとを備えると共に、
    前記ペダルブラケットに所定荷重を越える後退方向の入力が作用すると、少なくとも前記シャフトと前記下面部との車両前後方向の相対移動を許容する衝突吸収手段を、前記ロックプレートと下面部との固定部と前記シャフトとの間に設けて、
    前記シャフトと前記固定部とが相対的に縮小移動した際に前記ピポットブラケットとロックプレートとの係合が外れて該ピポットブラケットを前記シャフト周りに下後方に回動させるようにしたことを特徴とする自動車のブレーキペダル装置。
  2. 前記衝突吸収手段を、窓部によって構成したことを特徴とする請求項1に記載の自動車のブレーキペダル装置。
  3. 前記窓部をペダルブラケットに形成したことを特徴とする請求項2に記載の自動車のブレーキペダル装置。
  4. 前記ペダルブラケットは、少なくとも一対の対向する側面部を備え、
    前記ロックプレートを、ペダルブラケットの後端部に固定すると共に、
    前記窓部を、ペダルブラケットの側面部に、該ペダルブラケットとロックプレートとの固定部よりも前方側で形成したことを特徴とする請求項3に記載の自動車のブレーキペダル装置。
  5. ダッシュパネルに固定したペダルブラケットと、
    該ペダルブラケットに設けたシャフトに回転可能に軸支されたピポットブラケットと、
    前記シャフトよりも車両前方で、該ピポットブラケットに設けたペダルシャフトに回動自在に軸支されると共に、該ペダルシャフトの下部にプッシュロッドが連結されたペダルアームと、
    前記ダッシュパネルの上後方の車体部材の下面部に固定されると共に、前記ペダルブラケットの後部に設けられ、常態にあっては、ピポットブラケットと係合するロックプレートとを備え、
    前記ペダルブラケットは、少なくとも前記車体部材の下面部に固定される上面部を備え、前記ペダルブラケットに所定荷重を越える後退方向の入力が作用したときに、少なくとも前記シャフトと前記下面部との車両前後方向の相対移動を許容する衝突吸収手段としての前後方向に延びる窓部を前記上面部に形成し、
    前記窓部を介してペダルブラケットを車体部材の下面部に車両後方に向けて摺動可能に固定し、
    前記シャフトと前記固定部とが相対的に縮小移動した際に前記ピポットブラケットとロックプレートとの係合が外れて該ピポットブラケットを前記シャフト周りに下後方に回動させるようにしたことを特徴とする自動車のブレーキペダル装置。
  6. 前記ピポットブラケットの回動作用を促進させる回動促進手段を設けたことを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載の自動車のブレーキペダル装置。
  7. 前記回動促進手段は、前記ロックプレートに設けられ、前記衝突吸収手段によりペダルブラケットがロックプレートと下面部との固定部と前記シャフトとの間で縮小移動した際に、シャフトより上方の前記ピポットブラケットの後端部に当接し、ピポットブラケットの回動作用を促進する当接部から成ることを特徴とする請求項6に記載の自動車のブレーキペダル装置。
  8. 前記回動促進手段は、ピポットブラケットとペダルブラケットとに跨って設けられ、ピポットブラケットの回動作用時に、該ピポットブラケットを下方に向けて付勢する付勢手段から成ることを特徴とする請求項6に記載の自動車のブレーキペダル装置。
  9. 前記ピポットブラケットとペダルアームとに跨って、ピポットブラケットの回動作用時に、該ペダルアームの踏み込み位置を車両前方に向けて付勢する付勢手段を設けたことを特徴とする請求項1〜8の何れかに記載の自動車のブレーキペダル装置。
  10. 前記ペダルシャフト、ペダルブラケットおよびペダルアームとに跨って、常態にあってはペダルアームを車両後方に向けて付勢すると共に、ピポットブラケットの回動作用時に、該ピポットブラケットを下方に向けて付勢して該ピポットブラケットの回動作用を促進する付勢手段を設けたことを特徴とする請求項1〜8の何れかに記載の自動車のブレーキペダル装置。
  11. 前記ピポットブラケットに設けたペダルシャフトは、該ピポットブラケットの回動中心である前記シャフトよりも、下前方に設定したことを特徴とする請求項1〜10の何れかに記載の自動車のブレーキペダル装置。
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