JP3780641B2 - 紙片挿入装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は紙片の挿入装置に係り、例えば、医薬品の効能や使用方法等を記載した能書、その他の説明書等の紙片を、医薬品等の物品を収容した箱体内に挿入する紙片挿入装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
医薬品等の物品には通常、その効能、使用法等が記載された能書その他の説明書が同梱されている。医薬品の箱体内に挿入される能書は、一般に、物品のサイズよりも長い紙片であり、箱体内の物品に沿って折曲げられた状態で挿入されている。このように折曲げられた状態で箱体内に挿入されている能書等の紙片は、一枚のシート状であり、医薬品等の物品とともに箱体内に挿入する際に折曲げたり(特開平8−58749号公報、特開平8−282639号公報)、または、箱体内に先に充填されている物品と箱体の壁面との間に挿入した後折曲げる等の方法(実公平6−50330号公報)により箱体内に入れられている。
【0003】
能書等の紙片は、当初は折目のない一枚のシート状であるから、前記のように物品とともに箱体内に挿入する際に折曲げる方法をとる場合や、あるいは、フラップの折込みと同時に折曲げるようにした場合には、所定の位置で折曲げられずに、箱体内での紙片の位置がずれたり紙の反発力によりはみ出してしまうおそれがあった。
【0004】
従って、前記第1および第2の公報に記載された能書等の供給装置には、能書等の紙片に予め折りぐせを付けておくための装置(折りぐせ付与手段)が設けられている。また、第3の公報に記載された説明書の挿入折曲げ装置のように、箱体内に物品を充填し、その後、紙片を挿入し、箱体の封緘時にフラップの折込みと同時に紙片を折曲げるようにした構成の場合には、紙片がずれないように押える機構と、紙片を押えた状態で折曲げる折曲げ機構とを備えており、これらの機構によって紙片を折曲げた後フラップを折込むようになっている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
前記従来の各装置はいずれも、能書等の紙片を保持して移送する機構の他に別の機構が必要であり、装置全体が複雑かつ大型化し、従って、コスト高になるという問題があった。
【0006】
本発明は前記課題を解決するためになされたもので、折りぐせを付けるための特別な装置を必要とせず、簡単な構造で紙片に折りぐせを付けることができ、紙片を折曲げる際に箱体内での位置がずれたり、飛び出してしまうおそれのない紙片挿入装置を提供することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る紙片挿入装置は、箱体内に挿入される紙片を一枚ずつ取出す取出し手段と、この取出し手段から前記紙片を受取り、製品が充填された箱体内にこの紙片を挿入する挿入手段とを備えており、特に、前記挿入手段が、一対の開閉部材から成るグリッパを有し、これらの開閉部材は、それぞれ、互いに嵌合する、前記紙片の幅よりも幅の広い凹部と凸部とが形成されており、これら凹部と凸部とによって紙片を挟むことにより、この紙片に折りぐせをつけた後に前記箱体内に挿入するようにしたものである。
【0008】
前記紙片挿入装置では、取出し手段によって取出された紙片を、凹部と凸部を有する開閉部材によって挟んで保持すると、両者の凹部と凸部との間に挟まれた部分に折りぐせが付く。この折りぐせが付いた紙片は、他の手段に引渡すことなく、そのまま開閉部材から成る保持部によって保持されて箱体まで移送されて、物品が収容された箱体内に挿入される。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、図面に示す実施の形態により本発明を説明する。図1は本発明の一実施の形態に係る紙片挿入装置の全体を示す正面図、図2はこの紙片挿入装置を備えた箱詰装置の全体を簡略化して示す平面図である。図2おいて、2はカートン搬送コンベヤであり、矢印X方向から空のカートン(箱体)6が一定の間隔で間欠的に搬送される。また、カートン搬送コンベヤ2と平行して、物品4を搬送する物品搬送コンベヤ5が配置されて同方向に走行しており、カートン搬送コンベヤ2上の物品充填ポジションCにおいて、箱詰めロボット11によって物品搬送コンベヤ5上から取り上げられた物品4が、前記カートン搬送コンベヤ2上のカートン6内に挿入される。一方、8はカートン搬送コンベヤ2と直交して配置された能書マガジン搬送コンベヤであり、能書(紙片)10が多数枚積重ねられて収容された能書マガジン12が一定の間隔で搬送され、取出しポジションAで一時的に停止する。
【0010】
カートン搬送コンベヤ2の、能書マガジン搬送コンベヤ8と交差する位置が、能書10の挿入ポジションBになっており、これら能書マガジン搬送コンベヤ8の下流端(取出しポジションA)とカートン搬送コンベヤ2との交差部に本発明の一実施例に係る能書挿入装置(全体として符号14で示す)が設けられている。この能書挿入装置14によって、能書マガジン12から能書10が一枚ずつ取出され、上流側ですでに物品4が充填されて搬送されてきたカートン6内に挿入される。この実施例では、能書10は図3に示すように折り畳まれた状態になっており、この能書10を、カートン6の壁面6aとカートン6内に充填された物品4との間に縦方向に挿入し、その後、物品4よりも上方に出ている部分10aを、フラップ6bの折込み時に物品4に沿って折曲げるようになっている(図4参照)。
【0011】
カートン搬送コンベヤ2上の、前記挿入ポジションBで、停止している間に能書10が挿入されたカートン6は、下流側の封緘ポジション(図示せず)まで搬送されて停止している間に、フラップ折り手段によってフラップ6bが折込まれる。フラップ6bが折込まれると同時に能書10もこのフラップ6bによって物品4上に折曲げられる。カートン6は封緘された後、次の工程へ搬送される。
【0012】
次に、能書挿入装置14の構成について図1により詳細に説明する。能書マガジン搬送コンベヤ8の下流端の能書取出しポジションAの上方には、能書取出しユニット16が設けられている。この能書取出しユニット16は、図示しない真空源に接続されて能書10を吸着可能な一対の吸盤18と、これら吸盤18を昇降させるシリンダ20とを備えている。取出しユニット16は、シリンダ20によって吸盤18を昇降させて能書10の取出しを行なうようになっているので、常に同一高さでの取出しができるように、能書マガジン12には、収容されている能書10を徐々に上昇させるリフターが設けられており、センサ22により高さを確認して能書10の取出しに応じてその上端の高さを徐々に上昇させるようになっている。
【0013】
定位置で昇降する取出しユニット16に隣接して、能書10をカートン6内に挿入する挿入手段(ロボット)24が配置されている。この挿入手段24のロボットハンド26には、開閉して前記能書10を掴むグリッパ28が取付けられている。このグリッパ28は、図6に拡大して示すように、支柱30に沿って昇降可能な上部の固定板32と、この固定板32の下方に配置されて揺動可能な揺動板34とを備えている。上方の固定板32は、シリンダ36のロッドに取付けられており、シリンダ36の作動によってシリンダ36と平行な支柱30に沿って昇降する。固定板32の後部には、揺動板34を揺動させるためのローラ38が取付けられている。一方、下方の揺動板34は、前記支柱30の下端に設けたピン40を支点に揺動可能になっており、前記固定板32が下降すると、その後部に取付けられたローラ38によって支点ピン40よりも後方側が押し下げられて前端側が上昇し、前記固定板34との間で能書10を上下から挾持する。
【0014】
前記グリッパ28を構成する上方の固定板32の下面と、下方の揺動板34の上面とにはそれぞれ、凹凸が形成されている。図5に拡大して示すように、固定板32の下面には、その先端32aに下方へ突出する突出部32aが設けられており、この突出部32aよりも後方側は上方へ向けて凹陥した凹陥部32bになっている。また、下方の揺動板34は、前記固定板32の突出部32aに対応する先端部が切欠かれて凹部34aになっており、その後方側は一定の厚さで固定板32側へ突出した凸部34bになっている。
【0015】
これら固定板32と揺動板34とを向かい合わせて閉じた状態にすると、固定板32の突出部32aが揺動板34の凹部34aと一致して噛合い、揺動板34の一定厚さの凸部34bが固定板32の凹陥している部分32bに嵌入するようになっている。従って、この一対の開閉部材(固定板32と揺動板34)から成るグリッパ28で能書10を上下から挟んで保持すると、この能書10の、固定板32の突出部32aと凹陥部32bとの間の段部32cおよび、揺動板34の切欠かれた凹部34aと一定厚さの凸部34bとの間の段部34cとに挟まれた部分10aに折りぐせが付けられる。なお、固定板32と揺動板34は、いずれも能書10の幅W(図3参照)よりも広い幅を有しており、グリッパ28で能書10を挟むと、能書10の幅W全体に渡って折りぐせが付けられるようになっている。
【0016】
図8に示すように、能書挿入ポジションBには、カートン6内に収容されている物品4を片側に寄せることにより、能書10を挿入しやすくするために、カートン6を傾斜させる押出しユニット42が設けられている。この押出しユニット42は、カートン搬送コンベヤ2の搬送面2aよりも僅かに上方に配置されて、カートン6の底部を押圧する押圧部材44と、この押圧部材44を進退動させるシリンダ46とを備えている。この押出しユニット42の向かい側の、押出しユニット42よりも高い位置には、受け部材48が配置されており、前記押出しユニット42の押圧部材44によってカートン6の下部が押出された際に、その押された位置よりも上部を受けることによりカートン6を傾斜させるようになっている。
【0017】
前記受け部材48の上方には、カートン6内に能書10を挿入する際に、カートン6内にすでに充填されている物品4とカートン6の側壁6aとの間に間隙を形成するための吸盤50が進退動可能に設けられている。能書10をカートン6内に挿入する際には、この吸盤50を前進させてカートン6の一方の側壁6aを吸着し、その後、吸盤50を後退させることにより、カートン6と内部に収容されている物品4との間に間隙をあける。
【0018】
以上の構成に係る能書挿入装置14の作動について説明する。能書取出しユニット16のシリンダ20が作動して吸盤18が下降し、能書マガジン搬送コンベヤ8の能書取出しポジションAに停止している能書マガジン12から、一枚の能書10を吸着して取出す。取出しユニット16に取出されて水平状態で保持されている能書10に対して、ロボットハンド24のグリッパ28が、下方の揺動板34を下方に揺動させて開放した状態で接近する(図6参照)。
【0019】
この位置で、ロボットハンド26のシリンダ36が作動してグリッパ28の上方の固定板32を水平状態のまま下降させる。固定板32が下降すると、その後部(図1の左側)に取付けられているローラ38が、下方の揺動板34の支点ピン40よりも後方側の部分を押し下げて、その先端側を上方へ揺動させる。揺動板34の先端が上方へ揺動すると、上方の固定板32と下方の揺動板34との間が閉じて能書10の端部寄りの部分を上下から挾持する。このように能書10を上方の固定板32と下方の揺動板34とで挟むことにより、図5に示すように、所定の位置10aに折りぐせが付けられる。グリッパ28の固定板32と揺動板34とにより能書10を挾持した後、能書取出しユニット16の吸盤18のエアを遮断して能書10を離す。その後、能書取出しユニット16から水平な状態で能書10を受け取って保持しているロボットハンド26(図7参照)は、能書10をカートン6内に縦方向に挿入するため、下方へ向けてスイングする(図8の状態)。
【0020】
前記のように、能書取出しユニット16が能書マガジン12から能書10を取出し、ロボットハンド26のグリッパ28がこの能書10を受取って保持している間に、カートン搬送コンベヤ2では、上流側で物品4が充填されたカートン6を搬送し、能書挿入ポジションBに停止させる。続いて、押出しユニット42のシリンダ46を作動させて押出し部材44を前進させ、カートン6の下端部を押出し、向かい側の受け部材48によって上部を受けることによりカートン6を傾斜させる。次に、吸盤50を前進させてカートン6の側壁6aを吸着した後、後退することにより、カートン6内の物品4とカートン6の側壁6aとの間に能書挿入用の間隙を形成する。
【0021】
カートン6に能書挿入用の間隙が形成された後、ロボットハンド26が能書挿入軌跡に沿って動作し、カートン6内の物品4と側壁6aとの間に能書10を縦方向に挿入する(図8参照)。能書10を挿入した後、グリッパ26のシリンダ36を作動させて固定板32を上昇(図8の状態では図の右方へ移動)させて、グリッパ26を開放し能書10を離す。このグリッパ26は再び、上方の待機位置に移動する。
【0022】
能書10が挿入されたカートン6は、押出しユニット42のシリンダ46の作動によって押圧部材44が後退することにより、傾斜した状態から解放されて直立した状態に戻る。その後、カートン搬送コンベヤ2が一ピッチずつ走行することにより搬送される。このカートン6は下流側の封緘ポジション(図示せず)に停止している間に、フラップ6bが折込まれて封緘される。能書10が、前記グリッパ28によって挾持されることにより、折りぐせが付けられた位置10aは、このフラップ折込み工程でフラップ6bが折込まれる位置に一致している。従って、折曲げられる際に能書10がずれたりカートン6からはみ出してしまうおそれがない。なお、この実施例では、能書10の端部寄りをグリッパ28によって挟んで折りぐせを付けたが、折りぐせを付ける位置は、図示の位置に限定されるものではなく、カートン6を封緘する際にフラップ6bが折込まれる位置に一致する部分に折りぐせをつければ良い。
【0023】
このようにロボットハンド26に取付けたグリッパ28によって、能書10を挟んで保持することにより同時に折りぐせを付けることができるので、折りぐせを付けるための別の仮折り装置を必要とせず、装置全体がシンプルになりコストダウンを図ることができる。また、能書10を掴んで折りぐせを付けたグリッパ28はそのまま移動して能書10をカートン6内に挿入するので、能書10に折りぐせを付けた後、別の保持手段と受渡しをする必要がなく、移送中のトラブルを少なくすることができる。
【0024】
前記のように封緘ポジションでフラップ6bを折込むと同時に能書10を折曲げて封緘を終了したカートン6は、カートン搬送コンベヤ2の間欠的な走行により、次の工程に移送される。以上の動作を繰り返すことにより、物品4が充填されて搬送されてきたカートン6内に一枚ずつ能書10を挿入し、このカートン6を封緘する。なお、前記実施例では、医薬品等の物品4を充填したカートン6内に能書10を挿入する装置について説明したが、能書10に限定されるものではなく、その他、シート状の紙片であれば同様に本発明を適用しうることはいうまでもない。また、能書10を能書マガジン12内に収容して搬送するようにしたが、必ずしも能書マガジン12に収容して搬送する構成に限定されるものではなく、位置決めして搬送された能書10を一枚ずつ取出すものであれば良い。
【0025】
【発明の効果】
以上述べたように本発明によれば、箱体内に挿入される紙片を、一枚ずつ取出す取出し手段と、取出し手段が取出した紙片を受取り、すでに物品が充填された状態の箱体内にこの紙片を挿入する挿入手段とを備えた紙片挿入装置において、前記挿入手段に、一対の開閉部材から成るグリッパを設け、この開閉部材に、それぞれ、互いに嵌合する、前記紙片の幅よりも幅の広い凹部と凸部とを形成し、これら凹部と凸部とによって前記紙片を挟むことにより、この紙片に折りぐせをつけた後、そのまま保持して前記箱体内に挿入するようにしたので、挿入手段以外に、折りぐせを付けるための仮折装置等を設ける必要がなく、装置全体の構成が簡素化し、コストダウンを図ることができる。また、折りぐせを付けた後に、他の移送手段等に紙片の受渡しをしないので、移送中のトラブルを少なくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例に係る紙片挿入装置を示す正面図である。
【図2】前記紙片挿入装置を備えた箱詰装置の全体を示す平面図である。
【図3】能書の形態の一例を示す斜視図である。
【図4】物品を充填した箱体(カートン)内に紙片(能書)を挿入し折曲げた状態を示す斜視図である。
【図5】グリッパにより能書を掴んだ状態を示す拡大図である。
【図6】紙片挿入装置の動作を説明する図である。
【図7】紙片挿入装置の動作を説明する他の図である。
【図8】紙片挿入装置の動作を説明する他の図である。
【符号の説明】
6 箱体(カートン)
10 紙片(能書)
14 紙片挿入装置(能書挿入装置)
16 取出し手段(取出しユニット)
26 挿入手段(ロボットハンド)
28 グリッパ
32 開閉部材(固定板)
34 開閉部材(揺動板)
32a 凸部(固定板の突出部)
32b 凹部(固定板の凹陥部)
34a 凹部(揺動板の凹部)
34b 凸部(揺動板の凸部)
Claims (1)
- 箱体内に挿入される紙片を一枚ずつ取出す取出し手段と、取出し手段から紙片を受取り、物品が充填された箱体内にこの紙片を挿入する挿入手段とを備えた紙片挿入装置において、
前記挿入手段は、一対の開閉部材から成るグリッパを有し、開閉部材は、それぞれ、互いに嵌合する前記紙片の幅よりも幅の広い凹部と凸部とを有し、これら凹部と凸部とによって紙片を挟むことにより、この紙片に折りぐせをつけて前記箱体内に挿入することを特徴とする紙片挿入装置。
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