JP3779927B2 - 電子的に取得した画像の色彩度を修正する方法及び装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、カラー・フィルタリングによって取得し対数的に圧縮した画像信号を変換する方法であって、記録した画像の色彩度(色飽和度)を修正する方法に関する。更に、本発明は、その方法を実行する彩度変更装置、及びそのような彩度変更装置を持ったディジタルカメラに関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
写真用カメラ及びフィルムカメラの技術分野においては、光学的な強度分布を電子画像信号に変換する電子式イメージ・レコーダが、従来のフィルム装置に代わるものとして、だんだん使用されつつある。そのようなイメージ・レコーダは、半導体素子から成る一以上の感光回路(以降、画像セルと呼ぶ)が各画素に割り当てられる、規則的な構成を有する。これらの画像セルの各々は、その電圧が画像セルに入射する光の強度の関数となる画像信号を発生する。
【0003】
カラー再生用イメージ・レコーダでは、各画素は、一般的に、三つの画像セルから成り、その各々が、3つの分光色(赤、緑、青)の中の一つに対するカラー・フィルタによって覆われている。そのような画像セルの各信号は、該当の分光色に対応する輝度(明度)を再現する。そのため、3つの個別な信号の総和が、該当の画素に対する色情報を含む。
【0004】
このような画像信号によって表される画像を、直接モニタ上で眺めると、その結果は、一般に、記録されたモチーフを直接眺めることによって人が得た現実の視覚的な印象とは、多かれ少なかれ、逸脱している。それ故、画像信号は、一般に、ディジタル化され、ディジタル信号処理で、記録された画像を、現実の視覚的な印象に適応させるべく、種々の変換処理が施される。
【0005】
かかる変換処理は、例えば、カラー・キャストの除去(カラー変換、色カブリの除去)または記録された画像の輝度の全体的な調整(増減、輝度変換)のために使用できる。更に、そのような電子画像の色彩度を変更することができる。色の彩度は、概念上、色(純色)とこれと同じ輝度のグレイ・スケール値(モノクロの階調)との差であると理解されている。それ故、彩度の低い色は薄く、灰色がかってさえみえる。一方、彩度の高い色は、パワフルで明るい印象を与える。
【0006】
かかる変換処理は、通常、いわゆるRGBカラー・モデルに基づいて説明される。というのは、このカラー・モデルは、イメージ・レコーダやカラー・モニタの動作方法に、大いに、対応するからである。その理由は、RGBカラー・モデル及びイメージ・レコーダ・カラー・モニタの双方において、色(カラー)は3警告 1つの分光色である赤、緑及び青の成分によって再現されるからである。カラー・モデルでは、赤、緑及び青は、各々、0と1との間の値をとることができる。この方法では、表示可能な全ての色は、座標系によって表される単位立方体内で表現することができる。3つの色成分はこの座標系の座標軸にプロットされる。もし三原色成分が同じ大きさであるならば、それは単位立方体の空間に存在する対角線上の一点に対応し、純粋なグレイ・スケール値が得られる。彩度の低い色の場合は、この色を表す点が、上記の対角線の近傍に位置する。即ち、分光色成分は、ほんの少し、相互にずれている。
【0007】
RGB色の彩度に対する変換は、ポール・ヘーベルリ(Paul Haeberli)による1993年の論文によって知られている。この論文は、
http://wwp.sqi.com/graphica/matrix/index.htmlをアドレスとするインターネット上で公表されている。もしRが特定された画素における赤の分光色に対する画像信号を示すならば、その論文で記述された変換処理の後、変換された画像信号R’は次の式から算出される。
【0008】
R’=α×(R−L)+L
ここで、Lは該当する画素に対する輝度を示し、αは彩度係数を示す。緑及び青の分光色に対する変換された画像信号について、それぞれ対応の式が当てはまる。彩度係数α、輝度Lは、画素のすべての分光色に対し同一である。この場合、輝度値Lは下記の式に従い決定される。
【0009】
L=R×WR+G×WG+B×WB
ここで、WR=0.3086,WG=0.6096,及び WB=0.0820
もし彩度係数αを1より小さく選択すると、これは色彩度の低下となる。1より大きい彩度係数αでは、より彩度の高い(彩度の強調された)色が生じる。
【0010】
更に、前記論文は、この変換は、画像信号R,G及びBが線形である場合にのみ正しい結果となることを指摘する。線形の画像信号は、かかる画像信号の電圧値と該当する画素に入射する光の強度との間に線形な関係があるという事実によって識別される。これは、例えば、特にビデオ・カメラではしばしば用いられているCCD(電荷結合素子)技術を利用したイメージ・レコーダを設けた場合である。対照的に、線形の画像信号が含まれない場合には、ヘーベルリに従い、これらの信号は、前述した、色彩度の変更のための変換が実行可能となる前に、まず、線形の信号に変換しなければならない。
【0011】
欧州特許EPB 0 632 930は、入力信号用の大きなダイナミックレンジを対数的に圧縮して、出力信号用のかなり小さなダイナミックレンジにするイメージ・レコーダを開示する。この公知のイメージ・レコーダの各画素は、その画素に入射する光の強度の対数に対応する出力電圧を発生する。結果として、自然の景色の非常に大きな発光ダイナミックレンジ、これは120dbのオーダの大きさになるが、これを科学技術的な信号手段によって取得することができる。そこで、かかるイメージ・レコーダを、輝度ダイナミックレンジが人間の実際の視覚作用に非常に近似しているところの画像を電子的に取得するために、使用することができる。これは、主として、人間の目もまた近似的に対数の視覚感度を持つという事実のためである。
【0012】
こうした対数圧縮された画像信号は約120dbの輝度ダイナミックレンジを再生するが、個々の分光色の画像信号の間の絶対的な差異は比較的小さい(区別できない)。その結果、公知のイメージ・レコーダを用いて記録された画像はしばしば不適切な色彩度をもつことになる。それ故、前述したヘーベルリの論文でなされた提案に従い、まずディジタル化の前に、対数圧縮された画像信号をリニア(線形化)に戻し、ついでその論文に記述されてある方法で変換し、続いて再度対数化する。しかしながら、明らかなことは、画像信号をそのような線形化(すなわち逆対数化)し、続いて対数化することは、計算上大変複雑になり、それ故、高価なディジタル信号プロセッサによってのみ処理することができる。
【0013】
【問題を解決するための手段及び発明の概要】
それ故、本発明の目的は、導入部で述べたタイプの、色彩度の補正をできるだけ簡単に可能とする方法を提供することである。
【0014】
更に、本発明の目的は、できるだけ簡単に画像の色彩度を補正するための彩度変更(彩度の調整、制御)装置であって、カラー・フィルタリングによって取得され、かつ対数圧縮された画像信号を直接的に変換することができるものを提供することである。
【0015】
導入部で述べたタイプの方法の場合には、本発明の目的は、本発明によれば、画像信号の変換を、少なくとも一つの分光色に対し、対数圧縮された画像信号と対数圧縮された輝度信号との関数として決定することにより達成される。
【0016】
彩度変更装置に関して、本発明は、画像信号の変換を、対数圧縮された画像信号と少なくとも一つの分光色の対数圧縮された輝度信号に基づき直接的に決定する計算手段により達成することを目的とする。
【0017】
これは新たに見出したことだが、前述した予見に反し、対数圧縮された画像信号に基づき直接に実行された変換は、色彩度の改良において、顕著な結果をもたらす。このための唯一の前提条件は、対数圧縮された輝度信号も変換に加えることである。即ち、線形の画像信号に対する既知の変換を、変換式における対応の対数化をすることなしに、驚くべき正確さで、本発明に本質的に適用することができる。例えば、線形信号に対する演算、そこでは線形の信号Sに係数kを乗算するが、かかる演算は、対数圧縮された信号S’の場合におけるk(あるいは値k’)の乗算に継続する。換言すれば、kの乗算が対数化されず、すなわち、log kの加算に変更される。
【0018】
特定の画素に対し、対数圧縮された輝度信号は、例えば、カラー・フィルタリングされていない光を受光しそれ故純粋な輝度信号をこの画素に供給する付加的な画像セルによって、提供することができる。もちろん、3つの分光色に対し、対数圧縮された画像信号(もし適当な方法で適切に重み付けられているならば)を用いることによって、該当の画素に対する対数圧縮された輝度信号を決定することは、同様に可能である。更に、一つあるいはそれ以上の隣接する画素の画像信号を用いても、特定の画素に対する輝度信号を決定することが可能である。
【0019】
もし個々の画素に対する対数圧縮された輝度信号が、該当する画素の、別の分光色に割り当てられた画像信号の算術平均に等しいならば、それは特に有利である。
【0020】
このような輝度信号の決定は、コンピュータの使用によって非常に簡単に行うことができるが、もし本発明に従い、対数圧縮された画像信号と対数圧縮された輝度信号が、直接、変換に加わるならば、色彩度の修正に、驚くほど優れた結果をもたらす。平均値は、純粋なアナログ回路素子の使用を認めるアナログ方法で、すなわちディジタル化する前に、形成することもできる。
【0021】
本発明の好ましい改良では、変換された画像信号Lc’は、下記の式に従う、少なくとも一つの分光色cに対する画像信号Lcから決定される。この式でαcは分光色cに対する彩度係数、Lは対数圧縮された輝度信号である。
【0022】
Lc’=αc×(Lc−L)+L
この場合、分光色の画像信号Lcと該当する画素における輝度Lとの間の差は、彩度係数αcを1より大きく選ぶとその彩度係数αcによって増幅された(強調された)実際のカラー成分を表す。全ての分光色に対し彩度係数が等しい公知の変換に比して、本発明の改良では、また個々の分光色cに対し異なる彩度係数αcを選ぶことができる。この方法では、色彩度を目標に合わせて増加することができるので、普通の視覚慣習に対応した非常に現実に近い印象の画像を得ることができる。
【0023】
もし分光色cに対する利得係数αcが一定であるならば、前述の変換は、コンピュータを用い非常に簡単に実行できる線形変換となる。
【0024】
しかしながら、極めて現実に近くなる彩度の増加は、彩度係数αcが、コントラスト係数γ、これは、補正の状況において、変換前に、対数圧縮された画像信号に掛け合わせる係数であるが、かかる係数に依存するとき、多くの場合得ることができる。
【0025】
それ自身公知であり、線形の信号の場合にコントラスト係数γとの指数演算に対応するγ補正は、対数の画像信号の場合、コントラスト係数γの乗算として表される。対数の画像信号の場合は、また、γ補正は、コントラストの変化、すなわち、二つの隣接する画素の間の絶対的な輝度の差となる。これはまた色彩度に影響し、その結果、多くの場合に、彩度係数を利得の値に適用するとより優れた結果となる。
【0026】
この場合に、もし彩度係数αcを、コントラスト係数γが増大するにつれて減少するならば、特に好ましい。
【0027】
この理由は、より高い利得、そのためより高いコントラストは、輝度ダイナミックレンジを減少させることとなり、それ故、また色彩度の利得をより低下させることを必要とする。
【0028】
本発明の有利な改良では、彩度係数αcとコントラスト係数γとの間の関係は区分的に線形であり単調に降下する関数によって表されるほうが好ましい。
【0029】
この方法では、コンピュータを用いた簡単なやり方で、色彩度を、非常に良好に、増加できる。
【0030】
彩度係数αcは、利得(増加)係数に従うが、これに替わるものとして、または別のものとして、対数圧縮された輝度信号に従うことであってもよい。
【0031】
これは、人間の視覚的認知は、暗いところでは色の差をほとんど区別できないという事実を考慮している。従って、この場合には色彩度を増加させる必要はない。一方、輝度が高い場合には、高くなればなるほど色はより薄く知覚される。これは、そのような場合では、色彩度を増加することがますます重要となる理由である。それ故、特定の画素に対する彩度係数αcは、この画素に対し決められた、対数圧縮された輝度信号の単調に増加する関数である方が好ましい。
【0032】
この場合、彩度係数αcが対数圧縮された輝度信号に比例するならば、特に好ましい。
【0033】
結果として、色彩度の増加は、コンピュータを用いた簡単な方法で、輝度に対し、非常にうまく適用できる。
【0034】
上述した特徴および以下に説明する特徴は、本発明の範囲を逸脱しないかぎり、それぞれ説明した組み合わせにおいてのみならず、他の組み合わせにおいても、あるいは単独で使用することができるものと、理解されなければならない。
【0035】
更に、本発明の特徴及び効果は、図面を参照した、以下の例示的な実施形態の説明から明らかとなる。
【0036】
【発明の実施の形態】
図1はディジタルカメラ10の非常に簡素化した略図を示す。ディジタルカメラは写真用カメラまたはフィルムカメラでもよい。ディジタルカメラ10は、電子式イメージ・レコーダ12を有する。この装置の感光面で、モチーフ14がレンズシステム16(ここでは単に図示されているだけ)によって映される。電子ユニット18では、イメージ・レコーダ12によって記録された画像が、更に、ディジタル処理される。その結果、(ディジタル処理された)画像が、最終的にカメラの出力端子20を介して読み出すことができる。電子ユニット18には、図1には図示されていない画像メモリを割り当てる(指定する)ことができ、そのメモリに処理された画像を記憶することができる。更に、電子ユニット18の一部分のみをディジタルカメラ10内に配置することができる。残りの部分はディジタルカメラ10の外部で、例えばパーソナルコンピュータで実行可能なソフトウェアとして実現される。
【0037】
図2はイメージ・レコーダ12と電子ユニット18を更に詳細に示す。イメージ・レコーダ12は規則的な配列の画素22を有し、その画素は、それ自体知られている方法で、各々に、異なるカラー・フィルタで覆われた3つの感光画像セルを持つ。画素の各画像セルは、この画像セルに割り当てられたフィルタを通過できる分光色の光の強度の関数となる出力電圧を発生する。その結果、3つの相互に独立した画像信号が各画素22で発生し、その画像信号は、3つの分光色である赤、緑及び青の一つにそれぞれ割り当てられる。この場合、イメージ・レコーダ12に用いられる画像セルは、出力電圧と入射光の強度との間の関数関係が対数となる、半導体素子の回路として実現される。それゆえ、画像セルは、対数的に圧縮された画像信号を発生する。このような画像セルの詳細な構成は、前述したEPB 0 632 930から知ることができる。
【0038】
画素22で発生した画像信号は、一行づつ及び一列づつ読み出されマルチプレクサ24で結合し、オーバオール(全体に亘る)信号を形成する。そこで、このオーバオール信号は、時間シーケンスに、個々の画素22に割り当てられた画像信号を含む。それ故、説明の前後が何か別のものを示していない限り、以降において、画像信号に関する説明は、常に、対応のオーバオール信号にも関係し、またその逆も同様である。
【0039】
オーバオール信号は、続いて、オフセット回路26で、個々の画像セルの特性上の変動、特に画像セルに含まれるフォト・トランジスタの閾値の変動を補償するように調整される。この処理は、ホワイトバランスとも呼ばれ、一回だけ、実行する必要がある。この処理で、オーバオール信号が、まず、最初のアナログ/ディジタル・コンバータ28でディジタル化される。ここでは、例えば、白の領域のような単一色の領域が被記録モチーフとして選ばれる。この画像は、反転画像であれ、差分画像であれ、メモリ30に蓄積され、その結果、その画像は、その後の記録中、常に利用可能である。メモリ30に蓄積された画像は、ディジタル/アナログ・コンバータ32でアナログ信号に戻され、マルチプレクサ24から出力されたアナログのオーバオール信号と重ね合わされる。
【0040】
オフセット回路26で平衡(バランス)されたオーバオール信号の輝度が、次に調整される。これは加算器34でlog gの値を加算することによって行われる。log gの値を加算することは、オーバオール信号に係数gで増幅することに対応する。これは例えばCCDセンサのような線形のイメージ・レコーダにおいて輝度を適用することになる。
【0041】
増幅されたオーバオール信号は、次にγ補正を受ける。この補正によって、とりわけ、記録された画像のコントラストが修正される、即ち、画像信号のひずみが等化される。線形信号の空間における指数演算によって実現されるγ補正は、対数信号の空間では、コントラスト係数γを単に掛けあわせるものと説明できる。それ故、この目的のために設けたマルチプレクサ36は、もしコントラスト係数γが当然とることができるとされる値が2の累乗に限定されるならば、簡単なビットシフタとして具現化可能である。
【0042】
増幅されかつ補正されたオーバオール信号は次いで彩度変更装置38に供給される。ここでは記録された画像の色彩度が修正、特に、目標に向けて増加(強調)される。この目的のために、彩度係数αcが彩度変更装置38に、制御ユニットによって、あるいはユーザによって直接供給される。彩度係数は、彩度変更装置38における色彩度の修正方法を画定する。
【0043】
彩度変更装置38において実行されたオーバオール信号の変換を、図3乃至7を参照して、以下で、更に詳しく説明する。
【0044】
図3は、RGBカラー・モデルを説明するためにのみ役立つが、カラー・キューブ(色立方体)40を示す。このカラー・キューブ40は、このカラー・モデルにおける色を表すために使用される。そのカラー・キューブ40は、このカラー・キューブの下に、縮小されたサイズで図示された三脚42によって表される。三脚42は座標系を画定し、その軸上に、分光色の赤、緑及び青の色成分がプロットされる。それぞれボックスで囲まれた大文字のR、G及びBは、図における分光色を指定するために役立つ。各色は、これらの3つの分光色である赤、緑及び青の混合によって表すことができ、色相はこれらの3つの分光色の成分の比によって画定され、また輝度はその絶対値によって画定される。この成分は、各々、0と1との間の値をとることができ、その結果、各色はカラー・キューブ40内の点によって再現される。
【0045】
参照番号44によって表されるカラー・キューブ40のコーナーは、緑と青の分光色に対する色成分が、それぞれゼロであるので、例えば最大輝度の純粋な赤に対応する。カラー・キューブ40のコーナー46によって再現される点は、この点での赤と緑の色成分がそれぞれ1であるので、最大輝度の黄色を表す。この黄色は混合色の黄色となる。コーナー48は緑に対応し、コーナー50はマゼンタに対応し、コーナー52はシアンに対応し、またコーナー54は青に対応する。
【0046】
三脚42の原点を形成する、カラー・キューブ40のコーナー56では、色成分は各々ゼロである。これは黒に対応し、これは図3において黒の四角形58によって表されている。空間的な対角線で対向するコーナー58は、3つの分光色である赤、緑、青の成分がそれぞれ1である点で特徴がある。色(成分)が最大の値であると、ボックスで囲まれた大文字Wによって示された、混合色の白となる。コーナー56とコーナー60の間の空間に存在する対角線上に位置する点は、更に、色成分が、それぞれ等しいという事実によって区別される。従って、空間に存在する対角線62は、全て、その輝度がコーナー56(黒)からこれと対向するコーナー60(白)まで連続的に増加するところのグレイ・スケールを表す。図3では、この対角線は、参照番号62で表され、グレイ・スケール値を表現できるために、幅広に図示されている。
【0047】
図4は、図3のカラー・キューブ40を示すが、ここでは、空間に存在する対角線62の代わりに、対角線と同軸に配置された円筒64が描かれている。この円筒64は、画像信号が、彩度変更装置38で色彩度を増加させるための本発明に従う変換を受ける前に、その画像信号がとり得る値の範囲を示す。この対角線62と同軸に配置された円筒64は、比較的、互いが近い、即ち、対角線62に近接して位置する。このことは、記録された画像は、比較的灰色がかっている、即ち、色彩度が低いことを意味する。
【0048】
図5は、同様に、カラー・キューブ40を示す。このカラー・キューブでは、別の円筒66が、コーナー56とコーナー60の間の空間に存在する対角線と同軸に描かれている。この円筒66は変換された画像信号の値の範囲を再現する。この略図による例示から直接判別可能であるように、変換された画像信号は、カラー・キューブ40の内側でかなり広い範囲の値をとることができる。その値は、平均で、コーナー56とコーナー60の間で、グレイ・スケールを再現する、空間に存在する対角線から、より大きく離れており、これは色彩度がより高いことに対応する。
【0049】
この場合、赤、緑及び青に対する、それぞれの変換された画像信号R’、G’及びB’は対数圧縮された画像信号R、G及びBから次の変換式に従い導出される。
【0050】
R’=αR×(R−L)+L
G’=αG×(G−L)+L
B’=αB×(B−L)+L
この画像信号R、G及びBに対しては、次の比例関係が真であることが保持される。
【0051】
R 〜 γ(log IR +log g)
G 〜 γ(log IG +log g)
B 〜 γ(log IB +log g)
ここで、gは利得係数を示し、その対数値が加算器34で画像信号に付加されている。IR、IG及びIBは、画素の個々の画像セルで生じる、分光され濾光された光の照射量である。
【0052】
輝度信号Lは、画素ごとに、個々の分光色に割り当てられた画像信号の算術平均値を形成することによって、決められる。即ち、以下の式が輝度信号Lに対し、真であることが保持される。
【0053】
L=1/3×(R+G+B)
この場合、色彩度の利得は、彩度係数が1より大きい場合にのみ生じる。もし全ての彩度係数αR、αG及びαBが等しく1であるならば、色彩度は変化しない。一方、これらの彩度係数が1より小さい場合は、色彩度は、最終的に(全ての彩度係数=0)純粋のグレイ・スケール値の画像が生じるまで減少する。
【0054】
図5において略図で示した変換の場合は、彩度係数αR、αG及びαBが等しく、その結果、変換された画像信号に対する値は円筒の内側に位置する。これらの彩度係数が異なって選ばれる場合は、楕円の基底区域を持った円筒となる。彩度係数αR、αG及びαBをこのように選択すると、色彩度を増加させる場合には、付加的な色強調を生じさせることができる。これは、記録させた画像を、実際の視覚的印象に、いっそう良好に適合させる。
【0055】
更に、図5に示された変換の場合には、彩度係数αR、αG及びαBは定数であって、これは、ディジタルカメラ10の使用者が定義してもよいが、更なる変数に依存しない。これは、変換された画像信号R’、G’及びB’に対する上述の等式が線形であることを意味する。しかしながら、また、彩度係数αR、αG及びαBを、他の変数に関数的に依存させることは可能である。
【0056】
図6は、円錐台68がコーナー56とコーナー60の間の空間に存在する対角線に対し同軸に描かれている、カラー・キューブ40を示す。円錐台68の頂点はコーナー56に一致する。円錐台68は、彩度係数αR、αG及びαBが以下の式を満たすように、輝度の関数となる変換の、値の範囲を再現する。
【0057】
αR=αR(L)
αG=αG(L)
αB=αB(L)
輝度に依存する彩度係数の導入の結果として、前述した変換式は、もはや、輝度信号Lに対し線形ではない。
【0058】
図6に示した典型的な実施形態では、彩度係数αR、αG及びαBと、輝度Lとの間の関係は線形である。即ち、下記の式を満たす。
【0059】
αR=KR×L
αG=KG×L
αB=KB×L
この式で、KR、KG及びKBは、正の比例定数である。もし比例定数、KR、KG及びKBが同一であると、円錐台の基底区域は円形な区域となる。この、輝度に依存する彩度係数による変換は、該当する画素の輝度が大きければ、それだけ大きく色彩度を増加させる結果となる。一方、輝度の低いときは、彩度を減少させ、最終的に、ゼロの輝度L=0に対しては、完全に消える。多くの場合では、この変換は、画像の印象を特に自然なものにする。というのは、暗い画像領域では、色の差異を作り出すことはどうしてもできない、そのため、そこでは、色彩度を減少させる。一方、明るい領域では、しばしば、色が不自然に薄くなる。このため、そのようなところでは、色彩度を特に大きく上げる。
【0060】
言うまでもなく、図4乃至図6は単なる略図であって、円錐台68だけでなく円筒64、66も、変換された画像信号の値の範囲を正確に再現してはいない。特に、略図であるために、円筒及び円錐台の基底区域はカラー・キューブ40の内側に描いている。しかし、実際には、少なくとも、コーナー60またはその近傍に在る点は、値の範囲内に位置する。というのは、もちろん、白が正しく描かれていることは確実に違いないからである。逆に、変換された画像信号の値の範囲がカラー・キューブ40の外に存在しないからであると言うことも、もちろん可能である。このことは、変換をプログラミングする際に、付加的な正規化関数によって考慮されるが、ここでは詳細に述べる必要はない。
【0061】
更に、あるいは輝度値Lへの依存性に替るものとして、彩度係数αR、αG及びαBは、コントラスト係数γに依存するようにしてもよい。コントラスト係数γは、変換前に、乗算器36で、オーバオール信号に掛け合わせる。
【0062】
図7に示すグラフは、例示のため、赤に対する彩度係数αRがコントラスト係数γに対しプロットされている。これら二つの量(数)の間の関数関係は、単調に降下し、かつ区間的に線形な関数によって描かれている。コントラスト係数γの値は、一般に、表現しなければならない画像のダイナミックレンジに依存し、それ故、画像から画像まで変化することが可能である。コントラスト係数γは、記録される画像のダイナミックレンジが小さくなればなるほど、一般には大きくなる。コントラスト係数γが大きいことは、画像のコントラストがオーバオールで増えることを意味し、その結果、観察者によって知覚された彩度も増大する。この事実は、図7に示すように、利得が増加するにつれて彩度係数αR、αG及びαBが減少することによって考慮されている。区分的に線形な関数は、コンピュータによる計算がより短くなるが、同様に、もちろん、別の関数関係によって置き換えることができる。
【0063】
図8は、彩度変更段38の構成を非常に簡素化して示している。彩度変更装置38はディジタル信号プロセッサ70として具現化される。このディジタルプロセッサは、計算ユニット72と、プログラミングの自由なROMのプログラムメモリ74とからなる。計算ユニット72において上記で例示した変換の実行を制御するコンピュータプログラムはプログラムメモリ74に記憶されている。ディジタル信号プロセッサ70は付加的に、揮発性のメモリ76を持っている。このメモリに、オペレータによって修正できる変数、例えば所望の色彩度について仕様を記憶することができる。ディジタル信号プロセッサ70は、付加的に入力端子78と出力端子80を有する。入力端子78からは変換されるべき調整されたオーバオール信号を供給することができる。出力端子80は、変換された画像信号を、例えばスクリーン82またはイメージメモリに出力する。
【0064】
言うまでもないが、彩度変更装置38は別の方法で実現することも可能である。また、彩度変更装置は、例えば、ディジタルカメラの外に設け、次いで、例えば、パーソナルコンピュータとして具現化することも可能である。パーソナルコンピュータには、電子式画像処理のためのプログラムがロードされている。このプログラムは、パーソナルコンピュータのプロセッサによって前述した変換の実行を制御する。更に、彩度変更装置はディジタルまたはアナログの電子回路として実現化することもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 カメラとこれに内蔵したイメージ・レコーダを示す非常に簡素化した略図である。
【図2】 図1に示したイメージ・レコーダによって発生した画像信号を更に処理するための電子ユニットの基本的な回路を示す略図である。
【図3】 RGBカラー・モデルを説明するためのカラー・キューブ(色立方体)を示す。
【図4】 カラー・キューブにおける未変換の画像信号値の範囲を示す略図である。
【図5】 彩度係数が輝度に依存していない場合の、カラー・キューブにおける変換された画像信号値の範囲を示す略図である。
【図6】 彩度係数が輝度に依存する場合の、カラー・キューブにおける変換された画像信号値の範囲を示す略図である。
【図7】 彩度係数対利得係数をプロットしたグラフを示す。
【図8】 本願発明に従う変換を実行するための彩度変更装置を示す非常に簡素化した略図である。
Claims (10)
- カラー・フィルタリングによって取得され、かつ対数圧縮された赤色、緑色、青色の画像信号の少なくとも1つの分光色を変換し、記録された画像の色彩度を修正するための方法において、変換された画像信号は、前記対数圧縮された前記画像信号といずれもの分光色の対数圧縮された輝度信号に基づいて直接的に決定され、
変換された画像信号Lc’が、少なくとも一つの分光色cに対する画像信号Lcから、式 Lc’=αc×(Lc−L)+L によって決定され、この式において、αcが分光色cに対する彩度係数であり、Lが対数圧縮された輝度信号であることを特徴とする方法。 - 個々の画素に対する対数圧縮された前記輝度信号が、その該当する画素の、別の分光色に割り当てられた、対数圧縮された画像信号の算術平均に等しいことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
- 彩度係数αcはコントラスト係数γに依存し、γ補正の状況において、変換前に、このコントラスト係数を対数圧縮された画像信号に掛け合わせることを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
- 彩度係数αcはコントラスト係数γが増加するにつれて減少することを特徴とする、請求項3に記載の方法。
- 彩度係数αcとコントラスト係数γとの間の関係が区分的に線形であり単調に降下する関数によって表されることを特徴とする、請求項4に記載の方法。
- 彩度係数αcが対数圧縮された輝度信号に依存することを特徴とする、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の方法。
- 彩度係数αcが対数圧縮された輝度信号に比例することを特徴とする、請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
- カラー・フィルタリングによって取得され、かつ対数圧縮された赤色、緑色、青色の画像信号の少なくとも1つの分光色の画像信号を変換することができ、画像の色彩度を修正するための彩度変更装置において、
変換された画像信号が、前記対数圧縮された画像信号といずれもの分光色の対数圧縮された輝度信号に基づいて直接的に決定される計算手段(70)を有し、
前記計算手段(70)は、変換された画像信号Lc’が、少なくとも一つの分光色cに対する画像信号Lcから、式 Lc’=αc×(Lc−L)+L に従って決定されるようにプログラムされ、この式において、αcが分光色cに対する彩度係数であり、Lが対数圧縮された輝度信号であることを特徴とする、彩度変更装置。 - 前記計算手段が、所定の変換式に従いディジタル化された画像信号を処理するディジタル信号プロセッサ(70)を有することを特徴とする、請求項8に記載の彩度変更装置。
- 対数圧縮された画像信号を発生する、電子式イメージ・レコーダ(12)を有するディジタルカメラ(10)であって、請求項8または9に従う、記録された画像の色彩度を修正するための彩度変更装置(38)を有することを特徴とするディジタルカメラ。
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