JP3774286B2 - 銅合金と合金鋼のクラッド材の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、耐食性、耐焼付性、耐摩耗性を必要とする部位に用いられる銅合金と合金鋼、特に銅合金と耐食性および機械強度に優れたステンレス鋼とのクラッド材に関する。
【0002】
【従来の技術】
銅を主成分とした鋼合金はそれ単体で耐食性、耐焼付性、耐摩耗性および熱伝導性に優れるため多くの部材として用いられている。ところが、鋼と比較すると機械的強度に乏しいため、鋼と接合した複合材として用いられることが多く、特に鋼に積層した形態の複合材であるクラッド材が有用とされてきた。また、耐食性、耐摩耗性および耐熱性をさらに必要とする厳しい環境でクラッド材が用いられる場合、クロムおよびニッケルを多く含む合金鋼、特にステンレス鋼が広く用いられる。
【0003】
銅合金と鋼の組合せに限らず、クラッド材の製造方法としては、肉盛溶接、鋳込み、鋳かけ等の溶融接合法、圧延接合、爆着接合、拡散接合等の非溶融接合法、そして焼結、溶射の半溶融接合法が行われてきた。
【0004】
しかしながら、それぞれに以下のような欠点がある。
【0005】
溶融接合法である肉盛溶接の場合には、単位時間当りの溶着金属量が制限され、広い面積をもつクラッド材の場合には製造効率が低く、溶接施工に伴う高い技能が必要となる。また、鋳込み、鋳かけは高温である金属溶湯の保持、運搬を伴う施工作業ため、製造のための装置設備が大がかりなものとなるため製造コストも高くなる。かつ、湯流れ性およびぬれ性促進のために、母材を予熱することが必要となり、接合界面を均一な温度分布とするための制御が困難であるため界面性能が不均一となることがある。合金鋼の場合、融点が炭素鋼より低いものが殆どであり、銅合金の融点との差が炭素鋼の場合よりさらに狭くなるため温度制御がより困難となる。
【0006】
また、圧延接合は特開昭57−94481号公報に記載の通り、母材上の合わせ材上面にフラックスを置いて溶融拡散させたのち圧延して、接合強度を向上させるものである。しかしながら、この圧延接合は、加熱雰囲気を非酸化性雰囲気とする雰囲気制御を必要とし、合金鋼を処理する場合には、炭素鋼より圧延負荷が大きくなるために専用の圧延設備も必要となる。また、この圧延接合の場合は、非溶融接合法であるため、原料の製作組合せが煩雑で、形状の自由度が低く、拡散接合は真空または不活性ガス等の雰囲気制御が必要なため生産効率が低く、製造コストも高くなる。
【0007】
さらに、爆着接合の場合は、バッチ生産方式であるため製造コストが高く、適用できる材料組合せが狭く、厚さの薄い製品への適用が困難であるなどの寸法の自由度に制限があり、同バッチ内でも均一な界面性能を得ることが困難である。その上、爆着接合は方向性のある圧力負荷により接合を行うため形状変形を起こしやすく、機械強度の高い合金鋼の場合には、接合後の形状矯正が炭素鋼の場合より困難となる。
【0008】
さらに、半溶融接合法である焼結によるクラッド材の製造は、連続的な生産方式でも行われているが、比較的小さい部品および板厚の薄いクラッド材への適用が主流であり、寸法的な自由度が乏しく、焼結工程において雰囲気制御を行うために特殊な専用設備を必要とする。かつ、焼結および溶射の場合、鋼等の母材への接合強度は他の接合法より低い傾向があり、合金鋼の場合炭素鋼と比べると接合強度はさらに低くなる。
【0009】
本願の出願人は、先に、特願平8−108034号出願において、この従来のクラッド材、特に銅合金と鋼とのクラッド材の製造上の欠点を解消し、寸法上の制限が少ない銅合金と鋼とのクラッド材を簡便且つ安価に製造する手段として、クラッド材を形成する銅合金原料とこの銅合金原料を雰囲気中の酸素と遮断する材料とを、その一部を同じクラッド材を形成する鋼によって構成し、且つ、容器中の空気が加熱に伴い容器外へ流出できる程度の隙間を設けた容器中に装入し、装入した銅合金原料をその銅合金原料の少なくとも一部に液相が生じる温度以上に加熱して、この加熱された銅合金を容器の一部を構成する鋼と接合して一体化する銅合金と鋼のクラッド材の製造方法を開示した。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
この発明は、先の出願の発明を、鋼のうちクロムまたはニッケルを合金元素として含む合金鋼、特にステンレス鋼と銅合金のクラッド材の製造への展開を図るもので、寸法上の制限なく、接合性に優れた簡便かつ安価な銅合金と合金鋼とのクラッド材の製造方法を提供するものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
この発明は、クラッド材を形成する銅合金原料とこの銅合金原料を雰囲気中の酸素と遮断する材料とを、一部を同じクラッド材を形成するクロム含有合金鋼によって構成され、且つ、加熱に伴い容器内で生じたガスが加熱に伴い容器外へ流失できる程度の隙間を設けた容器中に装入し、この合金鋼製容器に装入した銅合金原料をその銅合金原料の少なくとも一部に液相が生じる温度以上に加熱し、容器内部を非酸化性雰囲気にするとともに、加熱された銅合金と容器の一部を構成する合金鋼とを接合して一体化する銅合金と合金鋼のクラッド材の製造方法において、銅合金原料と合金鋼との接合面に、銅合金に対して、0.1重量%〜2.5重量%のニッケルを介在させることを特徴とする。
【0013】
空気中の酸素および材料表面の酸化物を吸収あるいは消費または遮断させる材料が、容器内および原料間空隙の残存酸素、および原料表面の酸化物と反応して、酸化物あるいは複合酸化物を形成することにより除去し、さらに容器内の雰囲気を不活性あるいは還元性とし、還元性雰囲気により容器内表面および銅合金原料表面を清浄化する。
【0014】
また、接合界面または銅合金中にニッケルを介在させることによって、クロムまたはニッケルを含む合金鋼表面に形成されるクロム酸化物を主として安定な酸化皮膜の構造および性質が変化し、該酸化皮膜が除去されやすくなるため合金鋼と液相状態の銅合金との濡れが改善され、より健全な接合界面を得ることが可能となる。
【0015】
【発明の実施の形態】
この発明に適用できる材料の組合せのための銅合金としては、通常の条件で溶解可能な銅合金であればよく、特に、圧延等の重加工性の乏しいリン青銅および鉛青銅にも適用可能である。
【0016】
上記の手段とともに、銅合金となるべき原料としては、銅合金の合金組成である板状、棒状あるいはブロック状の塊状物、各種合金粉粒体あるいは純金属粉粒体の混合物を好適に用いることができ、これら数種の原料を併用して用いることも可能であり、原料コスト点からするとスクラップ原料の利用がよい。
【0017】
また、合金鋼は鉄を主成分としその他の合金元秦を適量含むものであり、特にステンレス鋼が代表的な合金鋼であるが、鉄以外の元素としてはクロムまたはニッケルを合金元素として含むものがほとんどである。
【0018】
また、容器中および原材料表面の残存酸素および酸化物を吸収あるいは消費または遮断させる材料としては、炭素または炭素化合物、銅合金より低い融点をもつ塩基性フラックスを用いることができる。
【0019】
この残存酸素および酸化物を吸収あるいは消費または遮断させる材料の使用によって、容器は気密構造である必要はなくなり、通常の溶接構造で充分である。すなわち、銅合金を用いる場合、容器内に微量の炭素または炭素化合物が存在すれば、これが約400°C以上において容器内の残存酸素と反応して二酸化炭素および一酸化炭素となり、不活性あるいは還元性ガスとなり、気相−固相間反応で接合界面を含む銅合金表面および母材表面を含む容器内表面の酸化物を還元する作用があり、また、炭素または炭素化合物と銅合金との反応性はなく、巻き込まれても液相では比重の差により炭素または炭素化合物は浮上し、液相状態の銅合金と容易に分離される。
【0020】
また、銅合金より低い融点をもつ塩基性フラックスを使用すると、このフラックスは、銅合金より低い温度で溶解流動し、接合界面を含む銅合金表面および母材表面を含む容器内表面の酸化物は液相−固相間反応によって溶解除去され、清浄な銅合金表面を生成する。酸化物を溶融したフラックスは複合酸化物を主成分とするスラグとなるが、このスラグは銅合金との反応性がなく、液相では比重の差により浮上分離する。
【0021】
また、銅合金原料として粉粒体の使用は、原料を任意の組成で調合することができ、複雑な母材表面に隙間なく密着させることも可能であり、合金材料の選択の自由度が大きくなるため、本発明の実施には特に好ましい。
【0022】
この銅合金として粉粒体の使用の際は、合金成分組成を調整する段階で、上記の炭素、炭素化合物、更にはフラックスを、銅合金原料に対して均一に添加混合すれば粉粒体間空隙および接合界面を含む粉粒体表面に残存する酸素または酸化物が除去されて、ガス含有の少ない空隙および清浄な粉粒体表面となり、粉粒体原料を使用してもブローホールの発生を防止することが可能となる。
【0023】
しかし、その添加量が0.1%未満であると、残存酸素および酸化物を除去する効果が得られず、また2.0重量%を超すと過剰な酸化物の生成を助長することになり、ブローホール等の欠陥の原因となることがあるので、添加量は0.1〜2.0重量%の範囲が好ましい。
【0024】
ただし、添加量は用いる材料によって異なり、例えば、フラックスとしてホウ砂を用いる場合には0.1〜0.5重量%、黒鉛の場合には0.5〜1.0重量%が好ましい範囲である。この場合、フラックスと黒鉛を複合して添加しても、その合計量が上記の範囲内であればその効果は発揮される。
【0025】
さらに、容器内の酸化防止のためには、容器内に微量の炭素または炭素化合物を配置し残存酸素と反応して消費させるか、容器内を反応性の低い窒素雰囲気に置換する方法でもよく、あるいは容器内に銅合金より低い融点をもつ塩基性フラックスを最表面に銅合金が露出しない程度に散布することによってスラグ層を形成することができる。
【0026】
また銅合金が亜鉛、リンまたは鉛のような蒸気圧の高い組成成分を含有する場合、銅合金表面を炭素または炭素化合物およびフラックスで被覆することにより、雰囲気中に蒸散するのを防止する効果もあり、成分歩留も向上させることが可能となる。
【0027】
いずれの場合でも、容器は必ずしも充分に気密である必要はなく、アーク溶接などによる通常の溶接構造で充分であり、最終製品としての接合材の形状を有する容器構造のもので、容器外からの過剰な大気の流入が防止できる程度の構造であれば良い。その際に、容器内で生じたガスが温度上昇により昇圧および膨張するのを防ぐために、容器にガス抜きのための隙間または小孔を開ける。この場合の隙間は構造部材を溶接をせず、自重により重ね合わせた間隙程度でも充分で、小孔が大き過ぎると逆に空気が流入するため、径2mm程度あれば充分である。
【0028】
さらには、比較的良好な密着が得られるのであれば、容器の上面に耐熱材料であるアルミナ等のセラミックスを蓋として置くだけで、容器内の不活性あるいは還元性雰囲気に対する気密性と、容器内部のガスを逃がすための通気性が適度に保たれ、良好なクラッド材を製造することが出来る。ただし、強度が低く厚さが薄い金属製の蓋を用いる場合は、溶接によって側面材と固定しておかなければ、高温での処理中に過度の変形が生じ適度な気密性が保たれないことがある。
【0029】
また、通常の大気炉を用いて一体接合を行う場合に、気密構造となる容器に銅合金を真空封入して行うこともできる。
【0030】
この場合の銅合金原料は、施工後において所定銅合金の組成となれば形状および寸法の制限はなく、板状およびブロック状の塊状物、粒状および粉末状の粉粒体、線状および棒状の棒線材が使用でき、これらを適度の割合で混合した混合物でも使用可能である。
【0031】
原料寸法は容器内に装入できる寸法であればよく、板状およびブロック状の塊状物の原料は適当な寸法および形状に切断して用いればよい。
【0032】
線状および棒状の棒線材は、適当な長さに切断して母材となる鋼上に整列させて並べてもよいし、線径の数倍の長さに切断して用いれば、他の材料と合わせて用いる場合は混合および成分調整が容易である。
【0033】
粒状および粉末状の粉粒体は、銅合金原料としては非常に有用であり、混合などの作業性、成分調整などの管理性に優れている。粒度分布および形状の選択が自由であり、銅合金層を任意の位置に、自由な形状に配置することが可能である。銅合金の組成も自由に調整可能であり、急冷凝固したアトマイズ粉を用いれば、通常の溶解法では得られない成分および組成の銅合金も利用できるため、銅合金の選択の自由度は大きくなる。
【0034】
銅合金原料の一部に液相が生じる温度以上への加熱は、容器外部は大気雰囲気であっても、容器内部を還元性あるいは真空雰囲気として、この雰囲気の下で固相線温度以上でかつ液相線温度+100°C以下の温度範囲に加熱して、銅合金と容器の一部を構成する鋼とを一体接合させる。加熱温度が固相線温度以下では容器の一部を構成する合金鋼との冶金的接合が起こらず、固相線温度+100°Cを越して加熱すると、銅合金の主成分である銅の容器への粒界浸入や容器の一部を構成する合金鋼の成分である鉄、クロムおよびニッケルによる銅合金の希釈等の過剰な反応や、銅合金成分の蒸発等による歩留低下が起こり、健全な一体接合ができない。
【0035】
母材となる合金鋼が容器の一部を構成すれば、例えば角箱状の容器の場合は底板が母材となるように、円筒状の容器の場合はパイプを母材となるように組み立てれば、構造が簡易なため容器製作工程が簡便で、製作コストも低くなる。別途組み立てた容器内に母材となる合金鋼を配置してもよく、この場合には、容器の材質は合金鋼でなく合金元素を含まない炭素鋼やセラミック等の耐熱材料製でもよく、容器の一部を構成する場合よりさらに広く選択でき、安価な容器の製作および材質の選択により容器の再利用も可能となる。したがって、容器はセラミック等の耐熱材料製でもよいが、熱衝撃に弱く、製作コストも高いので、耐熱材料で容器の内面のみを内張りしたり、一部を耐熱材料とした構造の容器であれば、繰返し再利用することも可能であり、容器製作工程の省略とコスト低下も可能となる。
【0036】
ただし合金鋼を容器内に配置する場合、原料状態および溶解状態の銅合金が容器との隙間に浸入するのを防ぐことが必要であり、浸入が起こると原料が損失したり、施工後の分離が困難になる。つまり、容器の一部に合金鋼を点溶接したり、固定用の治具を設置したり、耐熱用接着剤で固定したり、銅合金と反応しない耐熱性粉末を隙間に詰めるだけでもよい。
【0037】
また、容器形状の選択は製造するクラッド材の形状により決まり、板状のクラッド材の場合は底板を母材として箱状の容器、パイプ状のクラッド材の場合は側壁であるパイプを母材として、必要に応じてパイプ内に中子を配置して筒状の容器を組み立てれば、任意の形状のクラッド材を得ることができる。
【0038】
さらに、この発明においては、加熱温度を固相−液相共存域に設定することにより、銅合金層の構造を本来の溶解鋳造組織とは異なる空隙が適度に分散した構造をもつ銅合金層と合金鋼が一体接合したクラッド板を製造することも可能である。つまり、加熱皿度を固相線温度以上でかつ液相線温度+50°C以下とすることにより、銅合金材料は固相と液相が混在した固相−液相共存状態となり、適度の時間保持した上で固相線温度以下に冷却すれば固相−液相共存状態を保存した組織構造の銅合金層を形成することが可能となる。
【0039】
この場合、固相−液相共存状態に占める固相部分の割合が過度に多いと、銅合金層が形状を保てず、合金鋼との良好な接合強度も得られないので、空隙を適度の大きさおよび分布形態に形成することが必要である。空隙の大きさおよび分布を制御するためには、粉粒体の銅合金原料を用いることが適しており、粉粒体の形状および粒度を調整することで空隙を適度の大きさおよび分布形態に制御することが可能である。
【0040】
銅合金層に適度の大きさおよび分布に形成された空隙は、軸受ライナーとして用いられた場合に潤滑油の保持および貯蔵を行う場所としての機能があり、粉末焼結法で形成される含油軸受の粉末間空隙と同等の役割を果たすことが期待される。
【0041】
そして、鋼のうちでも炭素鋼と異なり合金元素を適量含む合金銅は、炭素鋼と比較すると耐食性、機械的強度および耐熱性に優れるため炭素鋼より厳しい環境で使用される。合金鋼のほとんどは耐食性、機械的強度および耐熱性を付与するためクロムおよびニッケルを含み、代表的な合金鋼であるステンレス鋼はクロムを12重量%以上またはニッケルを3重量%以上含むが、合金元素であるクロムおよびニッケルのうち、特にクロムは合金鋼表面に安定な酸化皮膜を形成することで、高温大気中においても酸素の透過を防止し耐酸化腐食性を改善する効果をもつとされている。
【0042】
ところが、このクロムにより合金鋼表面に形成される安定な酸化皮膜は、組成的にはほぼCr2O3とされるが、液相状態の銅合金と合金鋼の接合界面における冶金的反応を阻害し、クロムの酸化物が形成されると一般的にいわれるところの銅合金と合金鋼の濡れが悪くなる。クロムの酸化物であるCr2O3は熱力学的にも安定で、酸化物生成のための標準自由エネルギーと温度の関係を示したエリンガム図においても低い自由エネルギーを示し、容易に還元できないことが判る。したがって、液相状態の銅合金と合金鋼の接合界面における冶金的反応を進め、接合性の優れた界面性能を得るためにはクロム酸化物Cr2O3をはじめとする安定な合金鋼表面の酸化皮膜を除去することが必要である。
【0043】
そこで、これらの酸化皮膜除去に及ぼす作用のある元素について検討した結果、合金鋼の組成成分でもあるニッケルが効果のあることが判った。ニッケルを介在させることにより安定な酸化皮膜の構造および性質が変化するため破壊除去されやすくなり、液相状態の銅合金と合金鋼が濡れやすくなり、接合界面における冶金的反応が促進されやすくなることが確認された。したがって、合金鋼の代表であるステンレス鋼でもニッケルを含むオーステナイト系ステンレス鋼のほうが、クロムのみを含むフェライト系やマルテンサイト系ステンレス鋼よりニッケルを介在させない場合でも液相状態の銅合金との接合性は比較的良好である。
【0044】
液相状態の銅合金と合金鋼におけるニッケルの介在する形態は、例えば膜状、線状、格子状および点状の形態で広く選択でき、ニッケルの介在物を生成させる方法としては従来から知られた方法としてメッキ、溶射、溶接、最新の方法としてスパッタリング、CVD、PVDが挙げられるが、作業性が簡便で作業コストの安価な方法として箔、粉末、細線または網を接合界面に配置する方法が推奨される。
【0045】
ニッケルの介在物形成方法は特に制限されるものではないが、概略的に膜状の形態に換算した場合、厚さは5μm以上でかつ100μm以下が好ましく、5μm未満であると形成方法によっては膜厚を均一に形成できないことがあり、介在量が不足するため効果が充分に得られず、100μmを越えると介在物が過剰となり接合界面に残留し接合性を劣化させることがある。
【0046】
また、上記の形態をもつ介在物は組成としては純ニッケルが最も目的に適したものであるが、組成成分としてニッケルを含む合金であれば同様の効果が得られるため、ニッケルを含む合金を用いる場合、施工後の銅合金の組成は介在物である合金と銅合金原料の組成および配合量から求めることが可能であるので、その他に価格、寸法および作業性から最適のニッケルを含む介在物を選択すれば良い。
【0047】
さらに、ニッケルは接合界面に介在させるだけではなく、予め銅合金原料中に添加混合しても接合界面に介在させるのと同等の効果が得られ、添加混合する場合は成分分布の均一性から粉末または細粒状の粉粒体の形態が好適であり、施工時の混合および散布作業も簡便である。
【0048】
ただし、ニッケルの介在する形態およびニッケルを接合界面に介在させるかまたは銅合金中にニッケルを添加するかに依らず、介在させたニッケルは施工後の銅合金中に含有されることになり、液相状態の銅合金と合金鋼の界面接合性にも大きく影響を与えるだけではなく、施工後の銅合金の性質にも影響する。
【0049】
つまり、施工後の銅合金中に占めるニッケルの含有量が0.1重量%未満の場合、ニッケルを介在させて液相状態の銅合金と合金鋼の冶金反応を促進する効果が得られず、2.5重量%を越してニッケルが含有されると、銅合金の性質および銅合金と合金鋼の接合性への影響が無視できなくなる。例えば、ニッケルが銅合金中に含有されると、銅合金の硬さの増加、融点の上昇、湯流れ性の低下、熱伝導度の低下等が起こり、さらに接合界面にニッケルが残留したり、新たな反応生成物が形成されたりして、逆に液相状態の銅合金と合金鋼の界面接合性を劣化させることになる。さらに好ましくは、施工後の銅合金中に占めるニッケルの含有量が0.3重量%以上でかつ1.5重量%以下の範囲である。
【0050】
さらに、介在させるニッケルがニッケル以外の合金元素を含む合金である場合、鉄、クロム、モリブデン等の合金元素が銅合金に含有されることがあり、特に鉄は母材となる合金鋼の主成分であるため鉄による希釈は容易に起こるが、鉄およびニッケルは銅合金に含まれると包晶反応により組織微細化の効果もあり、銅合金中の鉄、ニッケルおよびクロム含有量は合計で3.0重量%以下であれば銅合金の性質および銅合金と合金鋼の接合性への影響は小さい。
【0051】
【実施例】
添付各図は本発明に基づくクラッド材の作成要領を示す。
【0052】
図1は角形容器を用いて大型クラッド板を製造する例を示す。同図に示す角箱容器は、それぞれ接合すべき合金鋼の底板2と側板3、それに、蓋4からなり、底板2と側板3は溶接部5により組立てられており、蓋4には小孔7が設けられている。そして、接合界面となる底板2上にはニッケルを含む介在物8を箔、網、線または粉末の形態で配置する。また、この配置に代えて、めっきや溶射等の膜形成方法により事前に底板表面に膜を形成することもできる。その上に、銅合金粉末原料1を配置する。ニッケルを事前に銅合金原料中に添加混合した場合には、表面を平坦にした上で粒径80μ以下の黒鉛粉末を散布して銅合金が露出しない程度の黒鉛皮膜層6を形成する。
【0053】
図2は、円筒容器を用いて小型クラッド材を製造する場合の例を示すもので、ニッケルを含む介在物8を接合界面に配置した状態を示す。底板2と側板3は溶接部のない一体構造として作られており、蓋4との間に僅かな隙間7が形成されている。
【0054】
図2に示す状態で、表1に示す組合せの小型クラッド材を製作した。表1は、クラッド材を製造した時の材料の組合せとニッケル介在物8の組成、その形態、それに銅合金に対するニッケル含有量と接合処理後の特性と評価を示す。
【0055】
図2に示す容器としては、内径100mm、深さ40mm、母材となる底部および側壁とも10mmの内側寸法のステンレス鋼容器をオーステナイト系であるSUS304とマルテンサイト系であるSUS410の2種類の材質で製作した。
【0056】
【表1】
銅合金原料としては、粒度分布が120メッシュ以下である青銅粉(スズ10重量%、残銅および不可避不純物)と粒度分布が100メッシュ以下である黄銅粉(亜鉛20重量%、残銅および不可避不純物)を原料とした青銅鋳物BC2(スズ8重量%、亜鉛4重量%、残銅および不可避不純物)、または黄銅粉(亜鉛40重量%、残銅および不可避不純物)のみを原料とした黄銅鋳物YBsC3となるように配合した合金粉末混合物450gと、乾燥した無水ホウ砂0.9gを均一に混合したものを使用した。
【0057】
この原料を配置した容器を電気炉内に置き、途中の400°Cで1時間の乾燥保持を行った上で200°C/Hrで加熱し、1050°Cで4時間保持して溶解した上で、800°Cまで冷却した後、炉外へ引出して自然空冷させた。
【0058】
得られたクラッド板は、母材となる厚さ10mmの底板2上に厚さ6mmの銅合金層が形成されており、ブローホール等の欠陥も観察されず、母材と銅合金層は全面に渡って健全な接合状態を有するものであった。
【0059】
また、得られた銅合金層である青銅BC2または黄銅YBsC3における合金元素であるスズおよび亜鉛の成分歩留はいずれも95%以上であり、本法は成分組成の制御においても良好であった。
【0060】
表1において、接合性を評価する指標として接合界面における剪断強さ(kgf/mm2)または剥離強さ(kgf/mm2)を採用し、両者の値で界面の接合性の総合評価を行った。剪断強さおよび剥離強さはいずれもJIS−G−0601に準拠した試験片または規格値を採用し、一般に剪断強さは界面に対して平行な方向における強さ、剥離強さは界面に対し直角な方向における強さを代表する。
【0061】
No.1〜No.3は比較例であるが、銅合金を青銅BC2(スズ8重量%、亜鉛4重量%、残銅および不可避不純物)または黄銅YBsC3(亜鉛40重量%、残銅および不可避不純物)と合金鋼としてステンレス鋼SUS304(ニッケル18重量%、クロム8重量%)またはSUS410(クロム13重量%)を組合わせ、ニッケルを含む介在物を介在させないで施工を行った。ただし、No.1における銅合金の分析の結果、ニッケルが0.009重量%含有されていたが、これは母材の希釈によるものである。この場合剪断強さのバラツキが大きく品質が不安定であり、ニッケルが接合性に影響を与えるとする本発明の範囲には含まれない。
【0062】
ニッケルを含む介在物を介在させないと施工後において全面もしくは一部で剥離しており、剪断試験片の機械加工中に界面部で分離するものがあり、健全な接合はされていなかった。
【0063】
No.4〜No.17が本発明において優れたものであり、銅合金中のニッケル含有量が0.10重量%〜2.20重量%の範囲となっている。ニッケルを含む介在物の形態はめっき、箔、網および粉末と異なっていても、ニッケル含有量が0.10重量%〜2.20重量%の範囲であれば剪断強さはJIS−G−0601に規定された10kgf/mm2を十分に満足し、剥離強さも母材強さに匹敵するような値を示し、十分な界面強度をもっていることが判る。剪断および剥離試験片における剪断および剥離位置はすベて銅合金部であり、界面の接合性が非常に優れていることが試験片の形態からも確認された。
【0064】
ただし、No.4における母材であるSUS410のめっき処理は電気ニッケルめっきであり、めっき厚さは5μmであった。No.5、No.7、No.10およびNo.11で用いた純ニッケル箔(純度:99.5重量%以上)は厚さ50μm、No.9で用いたパーマロイ箔(45重量%ニッケル、残鉄および不可避不純物)は厚さ100μm,No.14で用いた純ニッケル網は(純度:99.5重量%以上、線径100μm)は100メッシュ、No.16で用いたインコネル600箔(75重量%ニッケル、15重量%クロム、8重量%鉄および不可避不純物)は厚さ50μmである。
【0065】
そして、No.12ではニッケル−銅合金粉末(20重量%ニッケル−残銅およびおよび不可避不純物、平均粒径10μm)を接合界面に散布して介在させたが、その他の粉末状介在物の場合純ニッケル粉末(純度99.5%以上、平均粒径10μm)を事前に銅合金中に添加混合して介在させた。
【0066】
そして、No.18およびNo.19は、No.4〜No.17の銅合金中のニッケル含有量を超えて含有された場合である。銅合金と合金鋼の接合は一部の界面のみで行われ、界面に新たな反応生成物が残留しているのがミクロ組織観察で確認された。また、銅合金表面に反応生成物の一部が浮上して表面性状を劣化させ、No.4〜No.17に対し品質が総合的に劣るものであった。
【0067】
【発明の効果】
(1)簡便な装置および施工方法で、製造コストを低く抑えて、寸法上の制限の少ない銅合金と合金鋼のクラッド材を製造することができる。
【0068】
(2)融点差のみを利用した接合であるため、溶解できる銅合金であれば適用が可能であり、広い範囲の銅合金と合金鋼の組合せによるクラッド材が製造できる。
【0069】
(3)ニッケルを含む介在物を選択して用いることによる冶金的な反応により一体化する接合であるため、界面強度の優れたクラッド材を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 角形容器を用いて大型クラッド板を製造する場合の実施態様を示す。
【図2】 円筒容器を用いて小型クラッド材を製造する場合の実施態様を示す。
【符号の説明】
1 銅合金粉末原料
2 底板
3 側板
4 蓋
5 溶接部
6 黒鉛被覆層
7 小孔,隙間
8 ニッケルを含む介在物
Claims (5)
- クラッド材を形成する銅合金原料とこの銅合金原料を雰囲気中の酸素と遮断する材料とを、一部を同じクラッド材を形成するクロム含有合金鋼によって構成され、且つ、加熱に伴い容器内で生じたガスが加熱に伴い容器外へ流失できる程度の隙間を設けた容器中に装入し、この合金鋼製容器に装入した銅合金原料をその銅合金原料の少なくとも一部に液相が生じる温度以上に加熱し、容器内部を非酸化性雰囲気にするとともに、加熱された銅合金と容器の一部を構成する合金鋼とを接合して一体化する銅合金と合金鋼のクラッド材の製造方法において、
銅合金原料と合金鋼との接合面に、銅合金に対して、0.1重量%〜2.5重量%のニッケルを介在させる銅合金と合金鋼のクラッド材の製造方法。 - 銅合金と合金鋼との間の接合面に介在するニッケルの形態が、5μm以上でかつ100μm以下の厚みの膜状、線状、格子状および点状である請求項1に記載の銅合金と合金鋼のクラッド材の製造方法。
- 銅合金と合金鋼との間の接合面に介在するニッケルの形態が、銅合金に含有させたものである請求項1に記載の銅合金と合金鋼のクラッド材の製造方法。
- 銅合金原料の少なくとも一部に液相が生じる温度が銅合金原料の固相線温度以上でかつ液相線温度+100°C以下である請求項1に記載の銅合金と合金鋼のクラッド材の製造方法。
- 銅合金原料を雰囲気中の酸素と遮断する材料が炭素または炭素化合物あるいは銅合金より低い融点をもつ塩基性フラックスであることを特徴とする請求項1に記載の銅合金と合金鋼のクラッド材の製造方法。
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