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JP3771204B2 - 車両用シート構造 - Google Patents

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JP3771204B2
JP3771204B2 JP2002228939A JP2002228939A JP3771204B2 JP 3771204 B2 JP3771204 B2 JP 3771204B2 JP 2002228939 A JP2002228939 A JP 2002228939A JP 2002228939 A JP2002228939 A JP 2002228939A JP 3771204 B2 JP3771204 B2 JP 3771204B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両用シート構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
車両用シート構造に関する第1の技術として、例えば、特開2001−97080号公報に開示されたものがある。この公報に開示されたものは、左右両側に配置される一対の側部シートと、これら側部シートの間に配置される中央シートとを有する三人掛けの車両用シート構造において、中央シートを車体前後方向に単独でスライド可能に設けることで、一対の側部シートに対し中央シートを車体前側に位置させる逆V字レイアウトが可能とされており、逆V字レイアウトの状態で中央シートによる乗員保持の安定感を得るため、シートバックの両側にサイドプロテクタが開閉可能に設けられたものである。
【0003】
また、車両用シート構造に関する第2の技術として、例えば、特開2000−108744号公報に開示されたものがある。この公報に開示されたものは、車体前側の低位フロアと車体後側の高位フロアとを有する段差フロアの低位フロアに車体前後方向に沿うスライドレールを設け、スライドレールで案内されてスライドする摺動部にシートクッションの前部をリンク結合させるとともに、シートクッションの後部に高位フロア上を転動するローラを設けてなるものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記第1の技術は、一対の側部シートに対し中央シートを車体前側に位置させる逆V字レイアウトとすることにより、三人掛けした場合に隣り合う乗員同士の肩の干渉を防止できるようになっている。しかしながら、幅狭の中央シートが車体前側にずれるため、この中央シートによる乗員のサポートが十分でなく、その結果、上記のように、シートバックの両側にサイドプロテクタを開閉可能に設けなければならない。このため、部品点数およびコストが増大してしまうという問題があった。
【0005】
また、上記第2の技術では、シートクッションは、その前部がスライドレールで案内され、その後部のローラが高位フロア上を転動することで前後移動可能とされており、しかも、シートバックをシートクッション側に倒した状態で、シートクッションを連結されたリンクによって前方に回動させて低位フロアに落とし込む、いわゆるダイブダウンを行うことで、低位フロアにシートを収納するようになっている。しかしながら、シートクッションの後部はローラで高位フロア上を転動するのみであるため、前後移動中にシートクッションの後部が自由に持ち上がってしまう等、安定した状態で前後移動できないという問題があった。
【0006】
したがって、本発明は、三人掛けした場合に隣り合う乗員同士の肩の干渉を防止することができ、その上で、部品点数およびコストを低減できる車両用シート構造の提供を目的とする。他方、本発明は、低位フロアへの落とし込みを可能とした上で、安定して前後移動可能な車両用シート構造の提供を目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1に係る発明は、前後方向に二列設けられ、一列目および二列目が、左右両側に配置される一対の側部シート(例えば実施の形態における側部シート11,21)と、これら側部シートの間に配置される中央シート(例えば実施の形態における中央シート16,26)とを有する三人掛けとされた車両用シート構造において、一列目の中央シートは一列目の両側部シートよりも幅狭にされるとともに、二列目の中央シートも二列目の両側部シートよりも幅狭にされ、前記一列目および二列目の中央シートをスライド機構により車体前後方向に単独でスライド可能に設けることで、前記一列目および二列目において、一対の前記側部シートに対し前記中央シートを車体後側に位置させるV字レイアウトが可能とされており、前記スライド機構(例えば実施の形態におけるスライド機構19,29)による前記中央シートの車体後方へのスライド量は、該中央シートの乗員の肩が前記側部シートの乗員の肩から離間可能なスライド量に設定され、前記二列目の中央シートは、車体前側の低位フロア(例えば実施の形態における低位フロア31)と車体後側の高位フロア(例えば実施の形態における高位フロア32)とを有する段差フロア(例えば実施の形態における段差フロア33)の前記高位フロアに前記スライド機構が設けられるとともに、スライド範囲の前端位置でシートバック(例えば実施の形態におけるシートバック28)を前記高位フロアに保持しつつシートクッション(例えば実施の形態におけるシートクッション27)に重ね合わせて、シートクッション本体(例えば実施の形態におけるシートクッション本体38)を前記低位フロアに落とし込むもので、前記二列目の中央シートのスライド機構は、前記高位フロアに車体前後方向に沿うスライドレール(例えば実施の形態におけるスライドレール41)を設け、該スライドレールで案内されてスライドする摺動部(例えば実施の形態における摺動部42)にシートバックを前傾可能に軸支してなり、該シートバックに、下方に延出したのち前方に延出するシートクッションフレーム(例えば実施の形態におけるシートクッションフレーム39)の後部を回動可能に軸支して、該シートクッションフレームの前部を前記低位フロアとリンクアーム(例えば実施の形態におけるリンクアーム55)を介してリンク結合し、前記リンクアームは、一端が前記シートクッションフレームの前部に回動可能に連結されるとともに他端の連結部(例えば実施の形態における連結部57)が前記低位フロアに回動可能に連結されており、前記摺動部の後端位置から前端位置までの移動および前記シートバックの前傾に対して前記連結部を中心に前記シートクッションフレームの前部側を円弧状の軌跡で移動させることになり、前記摺動部が後端位置と前端位置との間でスライドする間に、前記リンクアームの一端が円弧状の軌跡の最上点を通るとともに、前記摺動部が後端位置にあるとき、前記二列目の中央シートの乗員の肩が前記二列目の側部シートの乗員の肩から離間可能となっていて、前記一列目は、一対の側部シートが後端位置にあり、かつ中央シートが前端位置にあるときに、これら一対の側部シートおよび中央シートが、前後に位置を合わせた直線状のレイアウトになることを特徴としている。
【0008】
このように、一対の側部シートに対し中央シートを車体後側に位置させるV字レイアウトが可能とされているため、三人掛けした場合に隣り合う乗員同士の肩の干渉を防止できる。しかも、一対の側部シートに対し中央シートを車体後側に位置させるため、中央シートの乗員は一対の側部シートで左右両側がホールドされることになり、その結果、シートバックの両側にサイドプロテクタを開閉可能に設ける必要がなくなる。
また、中央シートは、前後スライドする際に、シートバックが高位フロアのスライドレールで案内される摺動部に軸支され、またシートクッションを支持するシートクッションフレームが、シートバックに後部が軸支されるとともに前部が低位フロアにリンク結合されているため、フロアから自由に持ち上がることなく、安定して前後移動できる。また、シートバックを前傾させると、このシートバックに軸支されたシートクッションフレームの後部軸支位置が前側かつ下側に移動し、その結果、シートクッションフレームは保持するシートクッション本体を前方かつ下方に移動させて低位フロア側に落とし込む。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明の一実施形態の車両用シート構造を図面を参照して以下に説明する。なお、以下の説明において用いる前後左右は車体における前後左右である。
【0014】
本実施形態の車両用シート構造は、左右両側に配置される一対の側部シートと、これら側部シートの間に配置される中央シートとを有する三人掛けの構造であり、この場合は前後方向に二列設けられるシートの両方に適用されている
【0015】
図1に示すように、前から一列目の左右一対の側部シート11は、それぞれ、シートクッション12とシートクッション12の後端側に連結されたシートバック13とを有しており、それぞれ単独で、シートクッション12の下側に設けられたスライド機構14によって前後スライド可能となっている。なお、これら側部シート11はスライド機構14による前後スライドの範囲が互いに一致している。
【0016】
一列目の両側部シート11の間に設けられる中央シート16は、両側部シート11の左右方向幅よりも幅狭とされている。中央シート16は、シートクッション17とシートクッション17の後端側に連結されたシートバック18とを有しており、シートクッション17の下側に設けられたスライド機構19によって単独で前後スライド可能となっている。なお、中央シート16はスライド機構19による前後スライドの範囲が側部シート11のスライド機構14によるスライド範囲に対し一部重なり合いながら後側に所定量ずれている。また、中央シート16のスライド機構19によるスライド範囲は、側部シート11のスライド機構14によるスライド範囲よりも大きく設定されている。
【0017】
具体的には、図1に二点鎖線で示すように、一対の側部シート11をスライド機構14により前端位置に位置させるとともに中央シート16をスライド機構19により前端位置に位置させると、一対の側部シート11よりも中央シート16が所定量後側にずれることになり、V字レイアウトとなる。
【0018】
また、図1に実線で示すように両側の側部シート11をスライド機構14により後端位置に位置させるとともに、図1に二点鎖線で示すように中央シート16をスライド機構19により前端位置に位置させると、図2にも示すように、両側の側部シート11と中央シート16とが前後に位置を合わせる直線状のレイアウトになる。
【0019】
さらに、図1に二点鎖線で示すように両側の側部シート11をスライド機構14により前端位置に位置させるとともに、図1に実線で示すように中央シート16をスライド機構19により後端位置に位置させると、一対の側部シート11よりも中央シート16が所定量後側にずれることになり、V字レイアウトとなる。このとき、シートバック13,18の角度を合わせた状態では、中央シート16の乗員の肩が側部シート11の乗員の肩から完全に離間するように中央シート16のスライド機構19によるスライド量が設定されている。
【0020】
加えて、図1に実線で示すように、両側の側部シート11をスライド機構14により後端位置に位置させるとともに中央シート16をスライド機構19により後端位置に位置させると、図3にも示すように、一対の側部シート11よりも中央シート16が所定量後側にずれることになり、V字レイアウトとなる。このときも、シートバック13,18の角度を合わせた状態では、中央シート16の乗員の肩が側部シート11の乗員の肩から完全に離間するように中央シート16のスライド機構19によるスライド量が設定されている。
つまり、中央シート16が後端位置に位置する状態では、側部シート11の位置に拘わらず常に中央シート16の乗員の肩が側部シート11の乗員の肩から完全に離間する設定となる。
【0021】
以上により、一列目においては、一対の側部シート11に対し中央シート16を車体後側に位置させるV字レイアウトが可能とされているため、三人掛けした場合に隣り合う乗員同士の肩の干渉を防止できる。しかも、一対の側部シート11に対し中央シート16を車体後側に位置させるため、中央シート16の乗員は一対の側部シート11で体の左右両側がホールドされることになり、その結果、シートバックの両側にサイドプロテクタを開閉可能に設ける必要がなくなる。したがって、三人掛けした場合に隣り合う乗員同士の肩の干渉を防止することができ、その上で、部品点数およびコストを低減できる。
【0022】
前から二列目の左右一対の側部シート21は、それぞれ、シートクッション22とシートクッション22の後端側に連結されたシートバック23とを有しており、前後スライド不可となっている。なお、二列目の側部シート21の左右方向幅は、一列目の側部シート11の左右方向幅よりも幅狭となっている。
【0023】
二列目の両側部シート21の間に設けられる中央シート26は、両側部シート21の左右方向幅よりも幅狭とされており、一列目の中央シート16の左右方向幅よりも幅広となっている。また、中央シート26の左右方向の中央位置は中央シート16の左右方向の中央位置と左右方向で一致している。中央シート26は、シートクッション27とシートクッション27の後端側に連結されたシートバック28とを有しており、シートクッション27の下側に設けられたスライド機構29によって単独で前後スライド可能となっている。なお、中央シート26はスライド機構29による前後スライドの範囲が位置固定の側部シート21から後側に延びている。
【0024】
具体的には、図1に二点鎖線で示すように、中央シート26をスライド機構29により前端位置に位置させると、図2にも示すように、両側の側部シート21と中央シート26とが前後に位置を合わせる直線状のレイアウトになる。
【0025】
また、図1に実線で示すように、中央シート26をスライド機構29により後端位置に位置させると、一対の側部シート21よりも中央シート26が所定量後側にずれることになり、図3にも示すように、V字レイアウトとなる。このとき、シートバック23,28の角度を合わせた状態では、中央シート26の乗員の肩が側部シート21の乗員の肩から完全に離間するように中央シート26のスライド機構29によるスライド量が設定されている。
【0026】
以上により、二列目においても、一対の側部シート21に対し中央シート26を車体後側に位置させるV字レイアウトが可能とされているため、三人掛けした場合に隣り合う乗員同士の肩の干渉を防止できる。しかも、一対の側部シート21に対し中央シート26を車体後側に位置させるため、中央シート26の乗員は一対の側部シート21で左右両側がホールドされることになり、その結果、シートバックの両側にサイドプロテクタを開閉可能に設ける必要がなくなる。したがって、三人掛けした場合に隣り合う乗員同士の肩の干渉を防止することができ、その上で、部品点数およびコストを低減できる。
【0027】
次に、二列目の中央シート26についてさらに説明する。
二列目の中央シート26は、図4に示すように、車室内における車体前側の低位フロア31と、この低位フロア31より高い車体後側の高位フロア32とが隣接して構成される段差フロア33に設けられている。
【0028】
ここで、中央シート26のシートバック28は、クッション性を有し乗員の背部を支承するシートバック本体35と、このシートバック本体35を保持するシートバックフレーム36とを有している。
【0029】
また、中央シート26のシートクッション27は、クッション性を有し乗員の臀部を支承するシートクッション本体38と、このシートクッション本体38を保持するシートクッションフレーム39とを有している。
【0030】
そして、高位フロア32上には、図5にも示すように、車体前後方向に沿うスライドレール41が左右に離間して一対設けられており、これらスライドレール41は、それぞれ前後方向にのみスライド可能に摺動部42を保持している。これらスライドレール41および摺動部42はスライド機構29を構成している。
【0031】
シートバックフレーム36は略長方形状の枠部44と、枠部44の長さ方向における一側の左右両側に、枠部44から長さ方向に沿って外側に延出するように固定された一対の支持部45とを有しており、これら支持部45の延出先端側には、左右方向に中心軸線を配置した回動軸46がそれぞれ設けられている。そして、これら回動軸46が、両側の摺動部42にそれぞれ支持されている。これにより、シートバックフレーム36は回動軸46を中心にほぼ鉛直に沿う立設状態から前傾可能となっており、このシートバックフレーム36の枠部44に支持されるシートバック本体35を含むシートバック28が、全体として、回動軸46を中心にほぼ鉛直に沿う立設状態から前傾可能となっている。
以上の結果、スライドレール41で案内されてスライドする摺動部42にシートバック28が前傾可能に軸支されている。
【0032】
シートバックフレーム36の立設状態において両支持部45の回動軸46よりも所定量上側となる位置には、左右方向に中心軸線を配置した支持軸48がそれぞれ取り付けられている。そして、これら支持軸48には、シートクッションフレーム39の後部が回動可能に軸支されている。すなわち、シートクッションフレーム39は、各支持軸48からそれぞれ下方に延出したのち前方に延出する一対の延出部49と、これら延出部49の延出先端側を連結させる左右方向に沿う連結部50とを有するコ字状をなしている。そして、このシートクッションフレーム39の若干連結部50側にシートクッション本体38が支持される。
【0033】
シートクッションフレーム39の前端の連結部50には、左右一対の支持部材52が取り付けられており、これら支持部材52には、左右方向に中心軸線を配置した回動軸53がそれぞれ設けられている。これら回動軸53にはリンクアーム55の一端が回動可能に連結されている。すなわちリンクアーム55は回動軸53から延出する一対の延出部56と、これら延出部56の延出先端側を連結させる左右方向に沿う連結部57とを有するコ字状をなしている。
【0034】
そして、低位フロア31には、リンクアーム55の先端側の連結部57を着脱可能に連結させるとともに連結状態において連結部57を回動可能に支持する着脱支持部59が取り付けられている。
以上の結果、シートクッションフレーム39の前部である連結部50が低位フロア31とリンク結合されている。
【0035】
なお、中央シート26の後側には、中央シート26の背面に当接可能な当接板61が中央シート26よりも後方の収納室フロア62に揺動可能に連結されている。
【0036】
次に、上記中央シート26の作動について説明する。
まず、通常の乗員が着座可能な着座状態について図4および図6を参照して説明する。
着座状態においては、シートバック28が立設状態で図示せぬロック機構により摺動部42に対し固定されている。また、リンクアーム55の連結部57は着脱支持部59に連結されている。なお、ロック機構はシートバック28を着座可能な着座姿勢で摺動部42に固定可能および固定解除可能となっている。
【0037】
この着座状態において、摺動部42がスライドレール41に沿って摺動する。ここで、摺動部42は、スライドロック機構63によりスライドレール41に対し複数の位置において固定可能および固定解除可能となっている。
【0038】
そして、摺動部42が、例えば図4に示すようにスライド範囲の後端位置に位置する状態から図6に示すようにスライド範囲の前端位置に位置する状態まで高位フロア32に固定されたスライドレール41に案内されてスライドすると、摺動部42に固定された状態のシートバック28はそのままの姿勢でスライドする一方、シートバック28の支持軸48に回動可能に連結されたシートクッション27は、前部の回動軸53に回動可能に連結されたリンクアーム55を、着脱支持部59に支持された連結部57を中心に回動させることにより、前部側を若干円弧状の軌跡を描かせるように上下させながらスライドする。また、後方にスライドする場合は上記とは逆の作動を行う。
【0039】
以上により、前後スライドする際に、シートバック28は高位フロア32のスライドレール41で案内される摺動部42に軸支され、またシートクッション本体38を支持するシートクッションフレーム39は、シートバック28に後部が軸支されるとともに前部が低位フロア31にリンク結合されているため、フロアから自由に持ち上がることなく、安定して前後移動できる。
【0040】
次に、ダイブダウン収納状態について説明する。
摺動部42が、図6に示すようにスライド範囲の前端位置に位置する状態で、ロック機構によるロックを解除すると、図示せぬスプリングの付勢力でシートバック28が回動軸46を中心に回動して前傾する。すると、シートバック28において回動軸46よりも上側に位置していた支持軸48が前側かつ下側に移動し、その結果、図7に示すように、シートクッションフレーム39は、支持軸48に連結されている後部側が前側かつ下側に移動するとともに、前部の回動軸53に回動可能に連結されたリンクアーム55が着脱支持部59に支持された連結部57を中心に前傾することで、前部側も前側かつ下側に移動し、その結果、全体として前側かつ下側に移動して、保持するシートクッション本体38を前側かつ下側に移動させて低位フロア31側に落とし込む。このとき、シートバック28はシートクッション27に重なり合って上面がほぼ水平となる。これに合わせて、中央シート26の背面に当接する当接板61もほぼ水平となり、収納室フロア62と当接板61と中央シート26とがフラットになる。
【0041】
以上により、中央シート26は、低位フロア31への落とし込みを可能とした上で、安定して前後移動可能となる。
【0042】
なお、シートバック28を立設状態とし、リンクアーム55を着脱支持部59から取り外してシートクッション27を支持軸48を中心に回動させて、シートバック28に立てかけることも可能である。このとき、リンクアーム55は自重により下方に延在する状態となる。
【0043】
ここで、図示を略するが、シートベルトのインナーアンカーをスライドレール41で案内される摺動部42に取り付けることにより、シートベルト取付点がスライド位置に左右されなくなるので、シートバルトのフィット感がスライドしても常に得られる。
【0044】
【発明の効果】
以上詳述したように、請求項1に係る発明によれば、一対の側部シートに対し中央シートを車体後側に位置させるV字レイアウトが可能とされているため、三人掛けした場合に隣り合う乗員同士の肩の干渉を防止できる。しかも、一対の側部シートに対し中央シートを車体後側に位置させるため、中央シートの乗員は一対の側部シートで左右両側がホールドされることになり、その結果、シートバックの両側にサイドプロテクタを開閉可能に設ける必要がなくなる。したがって、三人掛けした場合に隣り合う乗員同士の肩の干渉を防止することができ、その上で、部品点数およびコストを低減できる。
また、中央シートは、前後スライドする際に、シートバックが高位フロアのスライドレールで案内される摺動部に軸支され、またシートクッションを支持するシートクッションフレームが、シートバックに後部が軸支されるとともに前部が低位フロアにリンク結合されているため、フロアから自由に持ち上がることなく、安定して前後移動できる。また、シートバックを前傾させると、このシートバックに軸支されたシートクッションフレームの後部軸支位置が前側かつ下側に移動し、その結果、シートクッションフレームは保持するシートクッション本体を前方かつ下方に移動させて低位フロア側に落とし込む。したがって、低位フロアへの落とし込みを可能とした上で、安定して前後移動可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態の車両用シート構造を示す平面図である。
【図2】 本発明の一実施形態の車両用シート構造の一状態を示す斜視図である。
【図3】 本発明の一実施形態の車両用シート構造の別の状態を示す斜視図である。
【図4】 本発明の一実施形態の車両用シート構造を示すものであって、中央シートが後端位置に位置する状態を示す側面図である。
【図5】 本発明の一実施形態の車両用シート構造を示す斜視図である。
【図6】 本発明の一実施形態の車両用シート構造を示すものであって、中央シートが前端位置に位置する状態を示す側面図である。
【図7】 本発明の一実施形態の車両用シート構造を示すものであって、中央シートのダイブダウン収納状態を示す側面図である。
【符号の説明】
11,21 側部シート
16,26 中央シート
19,29 スライド機構
28 シートバック
31 低位フロア
32 高位フロア
33 段差フロア
39 シートクッションフレーム
41 スライドレール
42 摺動部

Claims (1)

  1. 前後方向に二列設けられ、一列目および二列目が、左右両側に配置される一対の側部シートと、これら側部シートの間に配置される中央シートとを有する三人掛けとされた車両用シート構造において、
    一列目の中央シートは一列目の両側部シートよりも幅狭にされるとともに、二列目の中央シートも二列目の両側部シートよりも幅狭にされ、
    前記一列目および二列目の中央シートをスライド機構により車体前後方向に単独でスライド可能に設けることで、前記一列目および二列目において、一対の前記側部シートに対し前記中央シートを車体後側に位置させるV字レイアウトが可能とされており、
    前記スライド機構による前記中央シートの車体後方へのスライド量は、該中央シートの乗員の肩が前記側部シートの乗員の肩から離間可能なスライド量に設定され、
    前記二列目の中央シートは、車体前側の低位フロアと車体後側の高位フロアとを有する段差フロアの前記高位フロアに前記スライド機構が設けられるとともに、スライド範囲の前端位置でシートバックを前記高位フロアに保持しつつシートクッションに重ね合わせて、シートクッション本体を前記低位フロアに落とし込むもので、
    前記二列目の中央シートのスライド機構は、前記高位フロアに車体前後方向に沿うスライドレールを設け、該スライドレールで案内されてスライドする摺動部にシートバックを前傾可能に軸支してなり、
    該シートバックに、下方に延出したのち前方に延出するシートクッションフレームの後部を回動可能に軸支して、該シートクッションフレームの前部を前記低位フロアとリンクアームを介してリンク結合し、
    前記リンクアームは、一端が前記シートクッションフレームの前部に回動可能に連結されるとともに他端の連結部が前記低位フロアに回動可能に連結されており、前記摺動部の後端位置から前端位置までの移動および前記シートバックの前傾に対して前記連結部を中心に前記シートクッションフレームの前部側を円弧状の軌跡で移動させることになり、
    前記摺動部が後端位置と前端位置との間でスライドする間に、前記リンクアームの一端が円弧状の軌跡の最上点を通るとともに、前記摺動部が後端位置にあるとき、前記二列目の中央シートの乗員の肩が前記二列目の側部シートの乗員の肩から離間可能となっていて、
    前記一列目は、一対の側部シートが後端位置にあり、かつ中央シートが前端位置にあるときに、これら一対の側部シートおよび中央シートが、前後に位置を合わせた直線状のレイアウトになることを特徴とする車両用シート構造。
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