JP3771163B2 - 誘導機の速度制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、誘導機の2次電力をチョッパと回生インバータを用いて制御するセルビウス方式を用いた誘導機の速度制御装置に係り、特に大容量の誘導機を可変速制御するのに好適な制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
誘導機の速度制御装置として、例えば、特公平3−41024号公報に記載されているような誘導機の速度制御装置が知られている。図3にこの速度制御装置の回路構成図を示す。図3において、1は交流電源系統、2は巻線形誘導電動機、3は巻線形誘導電動機2の2次電圧を直流に変換する順変換器(ダイオード整流器)である。6は巻線形誘導電動機2に直結された速度検出器で各巻線形誘導電動機の速度を検出し出力する。7は電流検出器で順変換器3の出力電流を検出し出力する。8は速度調節器で、速度検出器6より出力される信号と電流検出器7より出力される信号が入力され、この信号に基づき、自己消弧型素子(IGBT)4をオンオフする制御信号が演算され出力される。5は逆流阻止用ダイオードで自己消弧型素子4がオフ状態の時に順変換器3の出力電流がコンデンサ9に流れる。10は巻線形誘導電動機2の2次電力の総合電力を交流電源に回生するための逆変換器(IGBTインバータ)、11は逆変換器用変圧器である。12は電流検出器で逆変換器10の出力電流を検出し出力する。13は電圧検出器でコンデンサ9の端子間の直流電圧を検出し出力する。14は逆変換器10の制御装置で、電流検出器12より出力される信号と電圧検出器13より出力される信号が入力され、この信号に基づき逆変換器10の制御信号が出力される。尚、15は電流高調波を抑制するために付加された直流リアクトルである。
【0003】
各誘導電動機の速度制御部分の構成について説明する。21は速度指令発生器であり速度指令を出力する。22は速度制御器で、速度指令発生器21の出力である速度指令と速度検出器6より出力される速度検出値が入力され、この信号に基づき電流指令信号が演算され出力される。23は電流制御器で、速度制御器22より出力される電流指令信号と電流検出器7より出力される電流検出信号が入力され、この信号に基づき電圧指令信号が出力される。24はPWM制御器で、電流制御器23より出力される電圧指令信号とPWMキャリア信号が入力され、この信号に基づき電圧指令とPWMキャリア信号と比較し、自己消弧型素子4のオンオフ制御信号が出力される。
【0004】
次に速度制御の概要について説明する。巻線形誘導電動機2の回転速度は、速度検出器6により検出され、速度指令発生器21からの速度指令信号と共に速度制御器22に入力され、これにより回転速度は速度指令に一致するように制御される。そして、順変換器3の出力電流は電流検出器7により検出され、速度制御器22より出力される電流指令信号と共に電流制御器23に入力され、これにより順変換器3の出力電流は電流指令値に一致するように制御される。電流制御器23からは電圧指令信号がPWM制御器24に入力されており、ここでPWM制御により自己消弧型素子4をオンオフ制御することで順変換器3の出力電圧を制御し、順変換器3の出力電流を制御する。このように直流電流が制御されるので、巻線形誘導電動機の2次電流、及びトルクは電流指令に比例するように制御され、従って回転速度は速度指令に追従して制御される。
【0005】
次に回生動作について説明する。コンデンサ9の端子間の直流電圧は、電圧検出器13により検出され、電圧指令発生器25からの電圧指令信号と共に電圧制御器26に入力され、これにより直流電圧は電圧指令に一致するように制御される。そして、逆変換器10の出力電流は電流検出器12により検出され、電圧制御器26より出力される電流指令信号と共に電流制御器27に入力され、これにより逆変換器10の出力電流は電流指令値に一致するように制御される。これら電圧制御により、自己消弧型素子4がオンの時に、誘導機の2次側を流れる電流が増加することで配線及び誘導機1のインダクタンスに蓄積したエネルギーは、自己消弧型素子4がオフの時にコンデンサ9に充電されるが、逆変換器10は、コンデンサ9の電圧を一定に制御することで、コンデンサ9に充電されたエネルギーを電源に回生する。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来技術においては、大容量の誘導機を駆動する場合、誘導機の2次電圧が高電圧となり、高耐圧の自己消弧型素子でスイッチングすることになるが、この場合誘導機に加わる電圧の脈動幅が大きくなり、また1次側に生じる高調波電流成分が増加する問題があった。この問題を解決するために、例えば特開平9−135589公報に記載されているような、自己消己型素子を直列に2段接続する速度制御装置が知られている。しかし、特開平9−135589公報に記載されている速度制御装置では、電圧脈動幅や、電流脈動幅は、上記従来技術の場合と比較し1/2にしかならず、より高電圧の誘導機を駆動する場合、電圧や高調波電流を抑制しきれない問題があった。
本発明の目的は、前記した従来技術の問題点を解消し、電圧と電流の脈動を抑制することを可能とした大容量の誘導機を駆動する速度制御装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するため、本発明は、誘導機の2次側を順変換器及び逆変換器を介して交流電源に接続し、誘導機の2次電力を前記交流電源に回生しつつ速度制御を行う制御装置において、順変換器の直流出力端子間に直接またはリアクトルを介して同一極性で直列に接続された複数の自己消弧型素子と、各々の自己消弧素子に並列にダイオードを介して接続されたコンデンサと、各々のコンデンサの端子間に接続された逆変換器と、各々の自己消弧型素子及び逆変換器をオンオフ動作させて、2次電力を交流電源に回生しつつ速度制御を行う制御手段とを具え、ダイオードは自己消弧型素子の動作がオフの時に順変換器の出力電流をコンデンサに導く方向に接続されていることを特徴とする。
また、自己消弧素子が2直列接続に対し逆変換器を1台の構成にすることを特徴とする。そして、各々の自己消弧型素子のスイッチング位相をずらし、また、各々の逆変換器のスイッチング位相をずらすように制御することを特徴とする。
本発明によれば、自己消弧型素子を直列に複数段に接続することにより、各素子に加わる電圧を多段にした段数分の1に下げることが可能となり、定格電圧の低い素子を用いて高圧の誘導機を駆動することができる。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1に本発明の一実施形態である巻線形誘導電動機制御装置の回路構成を示す。尚、図1において図3と同一部品には同符号が付してある。
図1において、4a〜4dは順変換器3の出力端子間に、同一極性で直列に接続された複数の自己消弧型素子(IGBT)である。5a〜5dは逆流阻止用ダイオード、また、9a〜9dはコンデンサで各々の自己消弧型素子4a〜4dに対応して設けられており、自己消弧型素子がオフ状態の時に順変換器3の出力電流がコンデンサ9a〜9dに流れるように接続されている。10a〜10dは巻線形誘導電動機2の2次電力の総合電力を交流電源に回生するための逆変換器(IGBTインバータ)、11a〜11dは逆変換器用変圧器である。12a〜12dは電流検出器で逆変換器10a〜10dの出力電流を検出し出力する。13a〜13dは電圧検出器でコンデンサ9a〜9dの端子間の直流電圧を検出し出力する。14a〜14dは逆変換器10a〜10dの制御装置で、電流検出器12a〜12dより出力される信号と電圧検出器13a〜13dより出力される信号が入力され、この信号に基づき逆変換器10a〜10dの制御信号が出力される。
本実施形態によれば、自己消弧型素子を直列に多段に構成する回路とすることにより、各素子に加わる電圧を多段にした段数分の1に下げることが可能となり、定格電圧の低い素子を用いて高圧の誘導機を駆動することができる。
【0009】
図2に本発明の他の実施形態である巻線形誘導電動機制御装置の回路構成を示す。図1とは、自己消弧素子が2直列接続に対し逆変換器(3レベルインバータ)は1台の構成とする点が異なる。本実施形態によれば、図1に対して逆変換器30a〜30dとその制御装置31a〜31d及び変圧器32a〜32d及び電流センサ33a〜33dの数が1/2化されるため、低コストに装置が実現できる。
【0010】
また、その他の実施形態として、図1及び図2において各自己消弧型素子4a〜4bのスイッチング位相をずらすチョッパキャリア位相設定器と、各逆変換器内の自己消弧型素子のスイッチング位相をずらす逆変換器キャリア位相設定器を設けることができる。本実施形態によれば、直列に接続された自己消弧型素子のスイッチング位相を、リプル成分が減少するようにずらすことにより、誘導機の2次側に発生する電圧や電流の脈動成分を低減することが可能となる。同様に、各々の逆変換器のスイッチング位相を、逆変換器が発生するリプル成分を各々打ち消しあうようにずらすことにより、逆変換器が系統に出力する高調波を抑制することが可能となる。
上記の実施形態は、4個の自己消弧型素子を直列に接続した4段の構成を示しているが、段数に制限はない。
【0011】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば誘導機の2次側が高圧となる大容量の誘導機を駆動する場合において、自己消弧型素子を直列に多段に構成する回路構成にすることで、低容量の素子を用いて高圧の誘導機を駆動することができる。
また、各々の自己消弧型素子のスイッチング動作により発生するリプル成分が減少するように、各々の自己消弧型素子のスイッチング位相をずらすことにより、誘導機側の電圧、電流の脈動成分を低減することができる。
また、各々の逆変換器のスイッチング動作により発生するリプル成分を打ち消すように、各々の逆変換器のスイッチング位相をずらすことにより、逆変換器から系統に流出する電流の高調波成分を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態である巻線形誘導電動機制御装置の回路構成を示す図である。
【図2】本発明の他の実施形態である巻線形誘導電動機制御装置の回路構成を示す図である。
【図3】従来の巻線形誘導電動機制御装置の回路構成を示す図である。
【符号の説明】
1…交流電源系統、2…巻線形誘導電動機、3…順変換器、4…自己消弧型素子、5…ダイオード、6…速度検出器、7…電流検出器、8…速度制御装置、9…コンデンサ、10…逆変換器、11…トランス。
Claims (2)
- 2次電圧が高電圧になる巻線形誘導機の2次側を順変換器及び逆変換器を介して交流電源に接続し、前記巻線形誘導機の2次電力を前記交流電源に回生しつつ速度制御を行う制御装置において、前記順変換器の直流出力端子間に直接またはリアクトルを介して同一極性で直列に多段に接続された複数の自己消弧型素子と、前記各々の自己消弧型素子に並列にダイオードを介して接続されたコンデンサと、前記各々のコンデンサの端子間に接続された逆変換器と、前記各々の自己消弧型素子をオンオフ動作させて、2次電力を前記交流電源に回生しつつ速度制御を行う制御手段とを具え、前記制御手段は前記多段接続された各々の自己消弧型素子のスイッチング位相をずらしてオンオフ動作させることを特徴とする誘導機の速度制御装置。
- 請求項1記載の速度制御装置において、自己消弧型素子が2直列接続に対し前記逆変換器を1台の構成にすることを特徴とする誘導機の速度制御装置。
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