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JP3769546B2 - 使い捨て紙おむつ - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、使い捨て紙おむつ、特に好適には、いわゆるトレーニングパンツなどのパンツタイプの紙おむつに関する。
【0002】
【従来の技術】
使い捨て紙おむつ、特にトレーニングパンツは、乳児から幼児に移行する過程で、紙おむつ離れを促進するために使用されている。
【0003】
この種のパンツタイプの紙おむつについては、種々の提案がなされ、かつ一部市販されている。その代表例としては、特許文献1、特許文献2、特許文献3などを挙げることができる。
【0004】
特許文献1に示されたものは、腰部のサイド(脇部)に弾性伸縮シートを設けたものである。幅方向中央部分には、吸収体要素を設け、その脚周りおよび腰周りにそれぞれ弾性伸縮部材を設けてある。
【0005】
特許文献3に示されたものは、図6にも示すように、透液性トップシート51と不透液性バックシート52との間に吸収体53を設け、これに腰周りの全長にわたる弾性部材54および脚周り弾性部材55,55を設けたものである。脚周り弾性部材55,55それぞれは、平面視で上下逆向きで交差をしながら鍔付きの皿状に配置したものである。なお、不透液性バックシートの好適な態様として、同明細書の8頁10行〜9頁4行に記載されているとおり、不織布と弾性伸縮性を有する熱可塑性エラストマーとを接合したものであるが、その接合により、弾性伸縮性は阻害され、後述の本発明のような弾性伸縮性は示さないものである。また、熱可塑性エラストマーは通気性を示さない。ちなみに、同出願人が、同出願に対応して上市しているパンツタイプ「ムーニーマン」(商品名)においても、実質的に弾性伸縮性を示さないものである。示すとしても、熱捲縮した熱可塑性繊維を高圧水流下で交絡するスパンレース法に基づくものであるから、弾性伸縮度は高くとも50〜100%程度である。
【特許文献1】
特開平2−4326号公報
【特許文献2】
特開平4−226658号公報
【特許文献3】
実開平4−44920号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献3に示される程度の弾性伸縮度を有する透液性トップシートおよび不透液性バックシートで紙おむつを構成しても、専ら脚周りおよび腰周りの弾性伸縮部材により横漏れおよび前後漏れを防止することになるから、フィット性の改善には実質的に有効ではない。
【0007】
さらに、特許文献1に示されたものでは、腰部のサイドに弾性伸縮シートにより腰周りの弾性伸縮性を担保しているが、それ以外の部分においては弾性伸縮性を示さないので、効果的なフィット性の改善に至っていない。
【0008】
そこで、本発明の主たる課題は、全体的なフィット性の改善を図ることにある。他の課題は、過度の圧迫を加えることなく、尿の漏れを防止することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記課題は、透液性トップシートと不透液性バックシートと吸収体とを含む吸収体要素が、本体バックシートに配置された紙おむつにおいて、
前記吸収体要素の前後両端部がこの部位に対応する前記本体バックシート上において接合され、かつ前記吸収体要素は幅方向中央部の前後方向中間部分のみにおいて前後方向に沿って前記本体バックシートに接合されているが、両側部の中間部分は接合されておらず、これら接合部分以外の部分は接合されないで自由部分とされ、
前記本体バックシートは、少なくとも幅方向において弾性伸縮性を示す材料からなることで解決できる。
【0010】
(作用効果)
本発明においては、透液性トップシートと不透液性バックシートと吸収体とを含む吸収体要素が、本体バックシートに配置された紙おむつにおいて、前記吸収体要素の前後両端部がこの部位に対応する前記本体バックシート上において接合され、かつ前記吸収体要素は幅方向中央部の前後方向中間部分のみにおいて前後方向に沿って前記本体バックシートに接合されているが、両側部の中間部分は接合されておらず、これら接合部分以外の部分は接合されないで自由部分とされ、前記本体バックシートは、少なくとも方向において弾性伸縮性を示す材料からなるので、おむつを装着させたとき、着用者に対して本体バックシートの全体が締め付けるようになり、着用者の動きが活発であったとしても、常時フィットするようになる。
【0011】
この点において、前記の各従来例では、弾性伸縮性を有するとしても、充分でないか、脇部のみにおいて部分的にしか弾性伸縮性を示さないので、かかる効果は得られないものである。
【0012】
高い弾性伸縮性を有する本体バックシートまたは吸収体要素に脚周り弾性部材、および腰周り弾性部材の少なくとも一方を設けることができる。従来例においては、脚周り弾性部材および腰周り弾性部材は、これらの単独で漏れを防止するとの考えのために、ある程度強い弾性伸縮度を有するものが必要となる。しかし、この場合には、他の部位に対しての締め付け度合いの差が大きく、過度の圧迫感を与えてしまう。
【0013】
これに対して、本発明の態様の下では、本体バックシートの弾性伸縮性と脚周り弾性部材または腰周り弾性部材の弾性伸縮性とがプラスされるので、脚周り弾性部材または腰周り弾性部材の弾性伸縮度は小さいもので足り、その配設部位と他の部位との弾性伸縮度の差異が小さいもので足りるから過度の圧迫を防止できる。しかも、本体バックシートによる締め付けにより、尿の横方向および前後方向の拡散が抑制されるので、脚周り部分および腰周り部分に達する量が少なくなり、結果として、脚周り弾性部材または腰周り弾性部材の弾性伸縮度は小さいもので足りる利点もある。
【0014】
他方、前記吸収体要素は、その前後両端部、ならびに両側部の中間部分のみを前記本体バックシートに接合し、他の部分は接合されないで自由部分とすることができる。この場合には、着用者の装着態様および動きに応じて前記自由部分が良好に伸張し、良好なフィット性を与える。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、実施の形態を参照しながら、本発明を詳述する。
(第1実施例)
図1および図2は本発明の第1の実施例を示したもので、不織布などからなる透液性トップシート1とポリエチレンシートなどからなる不透液性バックシート2とにより吸収体3を包んだ構造の吸収体要素10が、本体バックシート20に設けられている。
【0016】
この吸収体要素10における、吸収体3の側縁外方の透液性トップシート1と不透液性バックシート2とで構成されるサイドフラップ部において、それらの間に糸ゴムなどからなる脚周り弾性伸縮部材4が1本または複数本、吸収体3の前後端縁外方の前後フラップ部において、それらの間にウレタン発泡帯などからなる腰周り弾性伸縮部材5が、それぞれ設けられている。
【0017】
吸収体要素10には、好ましくは図示のとおり、サイドバリヤーカフス6および前後バリヤーカフス7が設けられる。これらのバリヤーカフス6,7は好ましくは不透液性または撥水性を示すシートからなる。サイドバリヤーカフス6は、サイドフラップ部において、あるいは吸収体3の側部上面位置から起立するように透液性トップシート1に固定することができる。サイドバリヤーカフス6の自由部分(起立部分)には、糸ゴムなどからなるバリヤーカフス用弾性伸縮部材8がその伸張下で固定され、使用状態においてサイドバリヤーカフス6を起立させるようにしてある。前後バリヤーカフス7の前後方向端部は、前後フラップ部においてあるいは吸収体3の前後端部上面位置から起立するように透液性トップシート1に固定することができる。さらに、前後バリヤーカフス7の幅方向端部は、サイドバリヤーカフス6,6の下にまたは上に重合し、それぞれサイドバリヤーカフス6,6の端部内面にまたは外面に固定され、サイドバリヤーカフス6,6が起立したとき同時に非固定部分が起立するようになっている。必要により、前後バリヤーカフス7の起立自由端部に沿って弾性伸縮部材を設けるまたはそれ自体で弾性を有する材料により形成することにより弾性伸縮性を与えることができる。
【0018】
かかる吸収体要素10において、サイドバリヤーカフス6および前後バリヤーカフス7は必要により省略できる。弾性伸縮部材4,5を設けることが最適であるが、これを省略することもできる。
【0019】
吸収体要素10は、本体バックシート20に対して固定される。この本体バックシート20は、吸収体要素10より少なくとも幅方向に広いものとされ、本体バックシート20上の幅方向中間に吸収体要素10が接合される。
【0020】
本体バックシート20は、最終製品の外面全体に及んで全体形状を規定する連続シートであり、前後方向および幅方向の少なくとも一方向において弾性伸縮性を示す材料からなり、その弾性伸縮度は150%以上である。実施例での本体バックシート20は砂時計形状に成形されている。
【0021】
製品の製造過程において、たとえば予め吸収体要素10が組み立てられた状態で、本体バックシート20にたとえばホットメルト接着剤などにより全面または好ましくは間欠的に接合される。その後、本体バックシート20が前後方向に折り重ねられの側部20A,20A相互が熱溶着またはホットメルト接着剤などにより接合され、パンツ型の紙おむつが組み立てられる。
【0022】
紙おむつに要求される特性として、最重要点はフィット性に関するものである。しかし、尿の高い吸収性も必要なために、吸収体要素が必要となる。この吸収体要素は半剛性を示すために、その形状を保持するように作用する。
【0023】
しかるに、本発明に係る紙おむつにおいては、本体バックシート20が弾性伸縮性を示す。したがって、おむつを装着させたとき、着用者に対して本体バックシート20の全体が締め付けるようになり、これに伴って着用者の動きが活発であったとしても、吸収体要素10が肌から離れることなく、常時フィットするようになる。
【0024】
また、吸収体要素10の接合領域以外の部分、実施例においては、脇部においては、本体バックシート20そのものの弾性伸縮性が作用するので、伸縮度合いが大きい。
【0025】
(第2実施例)
図3は第2実施例を示したもので、吸収体要素10を、前後方向に関して本体バックシート20の実質的に全長にわたって配置し、吸収体要素10の前後両端部30A,30A、ならびに両側部の中間部分30B,30Bのみを本体バックシート20にホットメルト接着剤などにより接合し、他の部分は接合されないで自由部分31としたものである。かかる態様の下では、本体バックシート20が前後および幅方向に弾性伸縮性を有する場合、おむつを組み立てたとき、図4の白抜き矢印が示すように、半剛性の吸収体要素10の配設領域においても、本体バックシート20が前後および幅方向に伸縮するので、より好適なフィット性を示すようになる。
【0026】
この実施例の変形例として、仮想線とハッチングで示すように、吸収体要素10を中央部において前後方向において固定部30Cとして本体バックシート20に接合することもできる。この変形例は本体バックシート20が幅方向に伸縮性を有するとき、優れた伸縮性を示す。本体バックシート20が前後方向に伸縮性を示す場合には、両側部の中間部分30B,30Bと前後両端部30A,30Aの幅方向端部のみとを接合することもできる。また、固定部30Dとして示すように、前後方向中間部において幅方向に沿って固定するとともに、この固定部30Dと前後両端部30A,30Aのみで固定することもできる。
【0027】
一般には、幅方向の伸縮性がより重要となるので、前後両端部30A,30Aと固定部30Cのみで(すなわち、中間部分30B,30Bを設けないで)、固定することは有効である。
【0028】
(第3実施例)
上記各例においては、吸収体要素10に腰周り弾性伸縮部材および脚周り弾性伸縮部材を設けたが、図5に示すように、吸収体要素10Aとは別に脚周り弾性伸縮部材4Aおよび腰周り弾性伸縮部材5Aを設けることができる。同図に示すように、脚周り弾性伸縮部材4Aは本体バックシート20の脚周りカットに沿わせるほか、前後方向に直線的に配設することもできる。
【0029】
ところで、脚周り弾性伸縮部材4Aおよび腰周り弾性伸縮部材5Aが内面(使用面)がわに露出していると肌に対する感触性が悪化するので、それらの部分を不織布などによりカバーできる。また、同図に示すように、透液性カバーシート40によりおむつ全体を被覆することができる。この場合における透液性カバーシート40は、本体バックシート20に追従するように、これと同じ方向に弾性伸縮性を示すものであることが必要である。
【0030】
さらに、吸収体要素には、バリヤーカフスを設けることができ、その態様として、同図の右側に示すとおり、吸収体3と実質的に同一の形状として吸収体要素10A内にバリヤーカフス6Aを設けるほか、同図の左側に示すとおり、吸収体3と実質的に同一の形状で透液性トップシート1を設け、バリヤーカフス6Bは本体バックシート20まで延在させてこれと実質的に同一の形状となるようにすることができる。この後者のバリヤーカフス6Bの場合には、これが少なくとも本体バックシート20に接合されている部分において、弾性伸縮性を有することが必要であるので、バリヤーカフス6Bを形成するシートとして弾性伸縮性を有するものを使用することができる。また、シートそのものは実質的に弾性伸縮性は有しないが、本体バックシート20に間欠的たとえば散点状に接合する、あるいは幅方向に間隔を置いて前後方向にストライプ状に接合するなどにより、少なくとも幅方向の非接合部分において幅方向に伸縮可能に形成することができる。
【0031】
(その他の例)
本発明における本体バックシート20は、前後方向および幅方向の少なくとも一方向において弾性伸縮性を示す材料からなるもので足り、もちろん両方向に弾性伸縮性を示す態様とすることができる。素材の製造上、一方向のみに弾性伸縮性を付与することが容易であるので、これを通常は、幅方向に弾性伸縮性を示すように方向性を与えるのが好ましい。
【0032】
弾性伸縮部材を設ける場合、本体バックシートの弾性伸縮方向以外の方向に沿って脚周りまたは腰周りに配置するのが好ましい。もちろん、弾性伸縮方向に沿ってプラスした状態で脚周りまたは腰周りに配置することもできる。
【0033】
本体バックシートの弾性伸縮度は150%以上とされる。すなわち、当初の長さをLとしたとき、2.5L以上に伸張することを要する。この値より弾性伸縮度が小さいと、吸収体3の半剛性に打ち勝って、フィット性を高める効果が充分でないことを本発明者は知見した。また、100%伸張応力は200〜700g/50mm幅、特に200〜500g/50mm幅が、150%伸張応力は300〜1800g/50mm幅、特に300〜600g/50mm幅が好ましい。さらに100%回復応力は100〜500g/50mm幅、特に100〜300g/50mm幅が好適である。
【0034】
本体バックシートは、ムレ防止などの点から、通気性および防水性(撥水性)の少なくとも一方、より好ましくは両者の特性を有するのが望まれる。その素材は適宜選択できるが、その例としては、ポリプロピレン主体の熱融着繊維とレーヨン繊維を混綿したレーヨンスパンレース不織布と、ウレタンやイソプレンゴム系の材料を主体とするメルトブロー不織布を熱融着、超音波接合、ホットメルト接着剤による接合などにより一体化し、前者の不織布を着用者の肌側に使用するものを挙げることができる。
【0035】
【発明の効果】
以上のとおり、本発明によれば、全体的なフィット性の改善を図ることができるとともに、過度の圧迫を加えることなく、尿の漏れを防止することができるなどの利点がもたらされる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1実施例に従う紙おむつの最終組み立て前の状態の要部分解斜視図である。
【図2】 その吸収体要素の要部拡大斜視図である。
【図3】 第2実施例の平面図である。
【図4】 その組み立て状態の斜視図である。
【図5】 第3実施例の平面図である。
【図6】 従来例の分解斜視図である。
【符号の説明】
1…透液性トップシート、2…不透液性バックシート、3…吸収体、4、4A…脚周り弾性伸縮部材、5、5A…腰周り弾性伸縮部材、6…サイドバリヤーカフス、7…前後バリヤーカフス、10、10A…吸収体要素、20…本体バックシート。

Claims (1)

  1. 透液性トップシートと不透液性バックシートと吸収体とを含む吸収体要素が、本体バックシートに配置された紙おむつにおいて、
    前記吸収体要素の前後両端部がこの部位に対応する前記本体バックシート上において接合され、かつ前記吸収体要素は幅方向中央部の前後方向中間部分のみにおいて前後方向に沿って前記本体バックシートに接合されているが、両側部の中間部分は接合されておらず、これら接合部分以外の部分は接合されないで自由部分とされ、
    前記本体バックシートは、少なくとも幅方向において弾性伸縮性を示す材料からなることを特徴とする使い捨て紙おむつ。
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