JP3638830B2 - 発光表示パネルの駆動装置 - Google Patents
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Description
【発明が属する技術分野】
本発明は、有機エレクトロルミネセンス素子等の容量性発光素子を用いた発光表示パネルの駆動装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
低消費電力でかつ高表示品質であり、更に薄型化が可能なディスプレイとして、有機エレクトロルミネッセンス素子の複数をマトリクス状に配列して構成されるエレクトロルミネッセンスディスプレイが注目されている。該有機エレクトロルミネッセンス素子は、図1に示すように、透明電極101が形成されたガラス板などの透明基板100上に、電子輸送層、発光層、正孔輸送層などからなる少なくとも1層の有機機能層102、及び金属電極103が積層されたものである。透明電極101の陽極にプラス、金属電極103の陰極にマイナスの電圧を加え、すなわち、透明電極及び金属電極間に直流を印加することにより、有機機能層102が発光する。良好な発光特性を期待することのできる有機化合物を有機機能層に使用することによって、エレクトロルミネッセンスディスプレイが実用に耐えうるものになっている。
【0003】
有機エレクトロルミネッセンス素子(以下、単にEL素子ともいう)は、電気的には、図2のような等価回路にて表すことができる。図から分かるように、EL素子は、容量成分Cと、該容量成分に並列に結合するダイオード特性の成分Eとによる構成に置き換えることができる。よって、有機エレクトロルミネッセンス素子は、容量性の発光素子であると考えられる。有機エレクトロルミネッセンス素子は、直流の発光駆動電圧が電極間に印加されると、電荷が容量成分Cに蓄積され、続いて当該EL素子固有の障壁電圧または発光閾値電圧を越えると、電極(ダイオード成分Eの陽極側)から発光層を担う有機機能層に電流が流れ始め、この電流に比例した強度で発光する。
【0004】
かかるEL素子の電圧V−電流I−輝度Lの特性は、図3に示すように、ダイオードの特性に類似しており、発光閾値Vth以下の電圧では電流Iはきわめて小さく、発光閾値Vth以上の電圧になると電流Iは急激に増加する。また、電流Iと輝度Lはほぼ比例する。このようなEL素子は、発光閾値Vthを超える駆動電圧をEL素子に印加すれば当該駆動電圧に応じた電流に比例した発光輝度を呈し、印加される駆動電圧が発光閾値電圧Vth以下であれば駆動電流が流れず発光輝度もゼロに等しいままである。
【0005】
かかるEL素子の複数を用いた発光表示パネルの駆動方法としては、単純マトリクス駆動方式が知られている。図4に発光表示パネルの単純マトリクス駆動方式の駆動装置の一例の構造を示す。発光表示パネルにおいては、n個の陰極線(金属電極)B1〜Bnを横方向に、m個の陽極線(透明電極)A1〜Amを縦方向に平行に伸長して設けられ、各々の交差した部分(計n×m個)にEL素子E1,1〜Em,nの発光層を挟む。画素を担うEL素子E1,1〜Em,nは、格子状に配列され、垂直方向に沿う陽極線A1〜Amと水平方向に沿う陰極線B1〜Bnとの交差位置に対応して一端(上記の等価回路のダイオード成分Eの陽極線側)が陽極線に、他端(上記の等価回路のダイオード成分Eの陰極線側)が陰極線に接続される。陰極線は陰極線走査回路1に接続されて駆動、陽極線は陽極線ドライブ回路2に接続されてそれぞれ駆動される。
【0006】
陰極線走査回路1は、各陰極線の電位を個々に定める陰極線B1〜Bnに対応する走査スイッチ51〜5nを有し、個々が、電源電圧から得られる逆バイアス電位VCC(例えば10V)及びアース電位(0V)のうちのいずれか一方を、対応する陰極線に接続する。
陽極線ドライブ回路2は、各陽極線を通じて駆動電流をEL素子個々に供給する陽極線A1〜Amに対応した電流源21〜2m(例えば定電流源)及びドライブスイッチ61〜6mを有し、ドライブスイッチが電流を個々に陽極線に流すオンオフ制御するように構成される。駆動源は定電圧源等の電圧源を用いることも可能であるが、上述した電流−輝度特性が温度変化に対して安定しているのに対し電圧−輝度特性が温度変化に対して不安定であること等の理由により、電流源(供給電流量が所望の値となるように制御される電源回路)を用いるのが一般的である。電流源21〜2mの供給電流量は、EL素子が所望の瞬時輝度で発光する状態(以下、この状態を定常発光状態と称する。)を維持するために必要な電流量とされる。また、EL素子が定常発光状態にある時は、上述したEL素子の容量成分Cには供給電流量に応じた電荷が充電されているため、EL素子の両端電圧は瞬時輝度に対応した規定値Ve(以下、これを発光規定電圧と称する。)となる。
【0007】
陽極線はまた、陽極線リセット回路3に接続される。この陽極線リセット回路3は、陽極線毎に設けられたシャントスイッチ71〜7mを有し、該シャントスイッチが選択されることによって陽極線をアース電位に設定する。
陰極線走査回路1、陽極線ドライブ回路2及び陽極線リセット回路3は発光制御回路4に接続される。
【0008】
発光制御回路4は、図示せぬビデオ信号発生系から供給されたビデオ信号に応じて当該ビデオ信号が担う画像を表示させるべく陰極線走査回路1、陽極線ドライブ回路2及び陽極線リセット回路3を制御する。発光制御回路4は、陰極線走査回路1に対して、走査線選択制御信号を発生し、ビデオ信号の水平走査期間に対応する陰極線のいずれかを選択してアース電位に設定し、その他の陰極線は逆バイアス電位VCCが印加されるように走査スイッチ51〜5nを切り換える制御を行う。逆バイアス電位VCCは、ドライブされている陽極線と走査選択がされていない陰極線との交点に接続されたEL素子がクロストーク発光することを防止するために、陰極線に接続される定電圧源によって印加されるものであり、逆バイアス電位VCC=発光規定電圧Veと設定されるのが一般的である。走査スイッチ51〜5nが水平走査期間毎に順次アース電位に切り換えられるので、アース電位に設定された陰極線は、その陰極線に接続されたEL素子を発光可能とする走査線として機能することとなる。
【0009】
陽極線ドライブ回路2は、かかる走査線に対して発光制御を行う。発光制御回路4は、ビデオ信号が示す画素情報に従って当該走査線に接続されているEL素子のどれをどのタイミングでどの程度の時間に亘って発光させるかについてを示すドライブ制御信号を発生し、陽極線ドライブ回路2に供給する。陽極線ドライブ回路2は、このドライブ制御信号に応じて、ドライブスイッチ61〜6mのいくつかをオンオフ制御し、陽極線A1〜Amを通じて画素情報に応じた該当EL素子への駆動電流の供給をなす。これにより、駆動電流の供給されたEL素子は、当該画素情報に応じた発光をなすこととなる。
【0010】
陽極線リセット回路3のリセット動作は、発光制御回路4からのリセット制御信号に応じて行われる。陽極線リセット回路3は、リセット制御信号が示すリセット対象の陽極線に対応するシャントスイッチ71〜7mのいずれかをオンしそれ以外はオフとする。
本願と同一の出願人による特開平9−232074号公報には、単純マトリクス発光表示パネルにおける、走査線を切り換える直前に格子状に配された各EL素子の蓄積電荷を放出させるリセット動作を行う駆動法(以下、リセット駆動法と呼ぶ)が開示されている。このリセット駆動法は、走査線を切り換えた際のEL素子の発光立上りを早めるものである。この単純マトリクス表示パネルのリセット駆動法について図4〜図6を参照して説明する。
【0011】
なお、以下に述べる図4〜図6に示す動作は、陰極線B1を走査してEL素子E1,1及びE2,1を光らせた後、陰極線B2に走査を移してEL素子E2,2及びE3,2を光らせる場合を例に挙げたものである。また、説明を分かり易くするために、光っているEL素子はダイオード記号にて示され、光っていないEL素子はコンデンサ記号にて示される。また、陰極線B1〜Bnに印加される逆バイアス電位VCCは、EL素子の発光規定電圧Veと同じ10Vとされている。
【0012】
先ず、図4においては、走査スイッチ51のみが0Vのアース電位側に切り換えられ、陰極線B1が走査されている。他の陰極線B2〜Bnには、走査スイッチ52〜5nにより逆バイアス電位VCCが印加されている。同時に、陽極線A1及びA2には、ドライブスイッチ61及び62によって電流源21及び22が接続されている。また、他の陽極線A3〜Amには、シャントスイッチ73〜7mによって0Vのアース電位側に切り換えらている。したがって、図4の場合、EL素子E1,1とE2,1のみが順方向にバイアスされ、電流源21及び22から矢印のように駆動電流が流れ込み、EL素子E1,1及びE2,1のみが発光することとなる。この状態においては、ハッチングして示される非発光のEL素子E3,2〜Em,nは、それぞれ図示の如き極性に充電されることとなる。
【0013】
この図4の定常発光状態から、次のEL素子E2,2及びE3,2の発光をなす状態に走査を移行する直前に、以下のようなリセット制御が行われる。すなわち、図5に示すように全てのドライブスイッチ61〜6mを開放するとともに、全ての走査スイッチ51〜5nと全てのシャントスイッチ71〜7mを0Vのアース電位側に切り換え、陽極線A1〜Amと陰極線B1〜Bnの全てを一旦0Vのアース電位側にシャントし、オールリセットを掛ける。このオールリセットが行われると、陽極線と陰極線の全てが0Vの同電位となるので、各EL素子に充電されていた電荷は図中の矢印で示すようなルートを通って放電し、全てのEL素子の充電電荷が瞬時のうちに無くなる。
【0014】
このようにして全てのEL素子の充電電荷をゼロにした後、今度は図6に示すように、陰極線B2に対応する走査スイッチ52のみを0V側に切り換え、陰極線B2の走査を行う。これと同時に、ドライブスイッチ62及び63を閉じて電流源22及び23を対応の陽極線に接続せしめるとともに、シャントスイッチ71,74〜7mをオンとし、陽極線A1,A4〜Amに0Vを与える。
【0015】
このように、上記リセット駆動法の発光制御は、陰極線B1〜Bnのうちのいずれかをアクティブにする期間である走査モードと、これに後続するリセットモードとの繰り返しである。かかる走査モードとリセットモードは、ビデオ信号の1水平走査期間(1H)毎に行われる。仮にリセット制御をせずに、図4の状態から図6の状態に直接移行したとすると、例えば、電流源23から供給される駆動電流は、EL素子E3,2に流れ込むだけではなく、EL素子E3,3〜E3,nに充電された逆方向電荷(図4に図示)のキャンセルにも費やされるため、EL素子E3,2を定常発光状態にする(EL素子E3,2の両端電圧を発光規定電圧Veにする)には時間を要することとなる。
【0016】
しかしながら、上述したリセット制御を行うと、陰極線B2の走査に切り換わった瞬間において、陽極線A2及びA3の電位は約VCCとなるため、次に発光させるべきEL素子E2,2及びE3,2には、電流源22及び23だけではなく陰極線B1、B3〜Bnに接続された定電圧源からの複数のルートからも充電電流が流れ込み、この充電電流によって寄生容量が充電されて発光規定電圧Veまで瞬時に達し定常発光状態に瞬時に移行できる。その後、陰極線B2の走査期間内においては上述したように電流源から供給される電流量はEL素子が発光規定電圧Veでの定常発光状態を維持できるだけの電流量とされているので、電流源22及び23から供給される電流はEL素子E2,2及びE3,2のみに流れ込み、すべてが発光に費やされる。すなわち図6に示される発光状態を持続する。
【0017】
以上述べたように、従来のリセット駆動法によれば、次の走査線の発光制御に移行する前に、陰極線と陽極線の全てが一旦アース電位である0V又は逆バイアス電位VCCの同電位に接続されてリセットされるので、次の走査線に切り換えられた際に、発光規定電圧Veまでの充電を速くし、切り換えられた走査線上の発光すべきEL素子の発光の立上りを早くすることができる。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】
図4及び図6に示したように、いずれかの陰極線にアース電位が印加されることにより走査が行われているとき、走査されていない陰極線には電圧VCCが印加され、電流源からの電流供給が行われてない陽極線にはアース電位が印加される。すなわち、図4の場合にはEL素子E3,2〜Em,n各々の陽極・陰極間に、また図6の場合にはEL素子E1,1,E4,1〜Em,1,E1,3〜E1,n,E4,3〜Em,n各々の陽極・陰極間にはほぼ電圧VCCが逆バイアスで印加される。この逆バイアスの電圧Vccが印加されたEL素子は充電され、充電された電荷はその後の走査による陰極線のアース電位供給や電流源からの電流供給により放電してしまう。この充放電した電荷はEL素子の発光には全く寄与しない無駄なものであるという問題点があった。特に、その充放電による電力損失は発光表示パネル内のEL素子の数に比例して大きくなるので、表示面積が大なるほど無駄な電力損失も大きくなる。
【0019】
そこで、本発明の目的は、発光に寄与しない無駄な電力消費を低減させることができる発光表示パネルの駆動装置を提供することである。
【0020】
【課題を解決するための手段】
本発明の発光表示パネルの駆動装置は、互いに交差する複数のドライブ線及び複数の走査線と、ドライブ線及び走査線による複数の交差位置各々にて走査線及びドライブ線間に接続され極性を有する複数の容量性発光素子とからなる発光表示パネルの駆動装置であって、入力ビデオ信号の走査タイミングに応じて複数の走査線のうちから1の走査線を選択する走査期間を設定し、走査期間に入力ビデオ信号に応じて1の走査線上の発光させるべき容量性発光素子に対応する発光ドライブ線を指定し、走査期間各々の間にリセット期間を設定し、リセット期間にその前後の走査期間各々において非発光させるべき容量性発光素子だけが接続されたドライブ線を非リセットドライブ線として指定する制御手段と、走査期間に1の走査線に容量性発光素子の発光閾値電圧より低い第1電位を印加しかつ1の走査線以外の走査線に発光閾値電圧より高い第2電位を印加し、リセット期間に第2電位を複数の走査線の全てに印加する走査手段と、走査期間に発光閾値電圧以上の正電圧を発光させるべき容量性発光素子に順方向に印加するために発光ドライブ線に駆動電流を供給しかつ発光ドライブ線以外のドライブ線に発光閾値電圧を越えない第3電位を印加し、リセット期間には複数のドライブ線のうちの非リセットドライブ線を除くドライブ線に第2電位に等しい電位の第4電位を供給しかつ前記非リセットドライブ線に第3電位を印加するドライブ手段と、を備えたことを特徴としている。
【0021】
かかる本発明の構成によれば、走査期間には、走査のために選択された1の走査線に発光閾値電圧より低い第1電位が印加されかつ1の走査線以外の走査線に発光閾値電圧より高い第2電位が印加され、複数のドライブ線のうちの発光させるべき容量性発光素子が接続された発光ドライブ線以外のドライブ線には発光閾値電圧を越えない第3電位が印加される。この結果、走査期間には1の走査線以外の走査線と発光ドライブ線以外のドライブ線とが交差する位置に配置された容量性発光素子各々には比較的低い逆バイアス電圧が印加される。その逆バイアス電圧によって充電される発光に寄与しない電荷は従来より減少するので、無駄な電力消費を低減させることができる。
【0022】
更に、かかる本発明の構成によれば、リセット期間においてはその前後の走査期間各々において非発光させるべき容量性発光素子だけが接続されたドライブ線を非リセットドライブ線として指定し、第2電位を複数の走査線の全てに印加し、かつ複数のドライブ線のうちの非リセットドライブ線を除くドライブ線に第2電位に等しい電位の第4電位を供給しかつ非リセットドライブ線に第3電位を印加することが行われる。これにより、その非リセットドライブ線に接続された容量性発光素子に逆バイアス電圧による充電電荷が今回のリセット期間に放電されず維持されるので、次の走査期間においてそれらの容量性発光素子に逆バイアス電圧が印加されてもほとんど充電されない故、無駄な電力消費を低減させることができる。
【0023】
また、本発明の発光表示パネルの駆動装置は、互いに交差する複数のドライブ線及び複数の走査線と、ドライブ線及び走査線による複数の交差位置各々にて走査線及びドライブ線間に接続され極性を有する複数の容量性発光素子とからなる発光表示パネルの駆動装置であって、入力ビデオ信号の走査タイミングに応じて複数の走査線のうちから1の走査線を選択する走査期間を設定し、走査期間に入力ビデオ信号に応じて1の走査線上の発光させるべき容量性発光素子に対応する発光ドライブ線を指定し、走査期間各々の間にリセット期間を設定し、リセット期間にその次の走査期間において非発光にさせるべき容量性発光素子だけが接続されたドライブ線を非リセットドライブ線として指定する制御手段と、走査期間に1の走査線に容量性発光素子の発光閾値電圧より低い第1電位を印加しかつ1の走査線以外の走査線に発光閾値電圧より高い第2電位を印加し、リセット期間に第2電位を複数の走査線の全てに印加する走査手段と、走査期間に発光閾値電圧以上の正電圧を発光させるべき容量性発光素子に順方向に印加するために発光ドライブ線に駆動電流を供給しかつ発光ドライブ線以外のドライブ線に発光閾値電圧を越えない第3電位を印加し、リセット期間には複数のドライブ線のうちの非リセットドライブ線を除くドライブ線に第2電位に等しい電位の第4電位を供給しかつ前記非リセットドライブ線に第3電位を印加するドライブ手段と、を備えたことを特徴としている。
【0024】
かかる本発明の構成によれば、走査期間には、走査のために選択された1の走査線に発光閾値電圧より低い第1電位が印加されかつ1の走査線以外の走査線に発光閾値電圧より高い第2電位が印加され、複数のドライブ線のうちの発光させるべき容量性発光素子が接続された発光ドライブ線以外のドライブ線には発光閾値電圧を越えない第3電位が印加される。この結果、走査期間には1の走査線以外の走査線と発光ドライブ線以外のドライブ線とが交差する位置に配置された容量性発光素子各々には比較的低い逆バイアス電圧が印加される。その逆バイアス電圧によって充電される発光に寄与しない電荷は従来より減少するので、無駄な電力消費を低減させることができる。
【0025】
更に、かかる本発明の構成によれば、リセット期間においてはその次の走査期間において非発光させるべき容量性発光素子だけが接続されたドライブ線を非リセットドライブ線として指定し、第2電位を複数の走査線の全てに印加し、かつ複数のドライブ線のうちの非リセットドライブ線を除くドライブ線に第2電位に等しい電位の第4電位を供給しかつ非リセットドライブ線に第3電位を印加することが行われる。これにより、その非リセットドライブ線に接続された容量性発光素子に逆バイアス電圧による充電電荷が今回のリセット期間に放電されず維持されるので、次の走査期間においてそれらの容量性発光素子に逆バイアス電圧が印加されてもほとんど充電されない故、無駄な電力消費を低減させることができる。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施例を図面を参照しつつ詳細に説明する。
図7は本発明を容量性発光素子としてEL素子を用いた発光表示パネルに適用したディスプレイ装置の概略的な構成を示している。このディスプレイ装置は、容量性発光表示パネル11と、発光制御部12と、陰極線走査回路13と、陽極線ドライブ回路14とを有する。
【0027】
図8に示すように、発光表示パネル11においては、図4〜図6に示したものと同様に、複数のEL素子Ei,j(1≦i≦m,1≦j≦n)は、ドライブ線の陽極線A1〜Am及び走査線の陰極線B1〜Bnの複数の交差位置にマトリクス状に配置されかつ走査線及びドライブ線間に接続されている。すなわち、EL素子は、略平行に伸長した複数のドライブ線及び各々がドライブ線に略垂直で略平行に伸長した複数の走査線の各交差位置に配置されかつ走査線及びドライブ線に接続されている。なお、図8においてEL素子Ei,jはコンデンサ記号にて示されている。
【0028】
発光表示パネル11には、陰極線B1 〜Bnには陰極線走査回路13が接続され、陽極線A1〜Amには陽極線ドライブ回路14が接続されている。陰極線走査回路13は陰極線B1〜Bn各々に対応して備えられた走査スイッチ161〜16nを有し、走査スイッチ161〜16n各々は対応する陰極線に対してアース電位及び逆バイアス電位Vccのいずれか一方の電位を供給する。走査スイッチ161 〜16nが発光制御部12からの制御によって水平走査期間毎に順次アース電位に切り換えられるので、アース電位に設定された陰極線B1 〜Bnは、その陰極線に接続された素子を発光可能とする走査線として機能することとなる。
【0029】
陽極線ドライブ回路14は陽極線A1〜Am各々に対応して備えられた電流源171〜17m、ドライブスイッチ181〜18m及び電圧源201〜20mを有している。電圧源201〜20m各々はその正負端子間に電圧VLを生成する。電圧VLは発光閾値電圧Vthより以下であってその発光閾値電圧Vthに近い電圧である。ドライブスイッチ181〜18m各々は3つの固定接点を有する切換スイッチであり、可動接点は対応する陽極線A1〜Amに接続されている。ドライブスイッチ181〜18m各々の第1固定接点には対応する電圧源201〜20mの正端子が接続され、第2固定接点には電流源171〜17mの出力端子が接続され、第3固定接点には電位Vccが印加されている。なお、電圧源201〜20m各々の負端子はアース接続されている。また、電位Vccは図示していない電圧源から出力される。
【0030】
発光制御部12は、図示せぬビデオ信号発生系から供給されたビデオ信号に応じて当該ビデオ信号が担う画像を発光表示パネル11に表示させるべく陰極線走査回路13及び陽極線ドライブ回路14を制御する。この制御はリセット期間と走査期間とに分けられて行われる。
発光制御部12は、リセット期間にはリセット信号を発生する。リセット信号は陰極線走査回路13及び陽極線ドライブ回路14に供給される。陰極線走査回路13はリセット信号に応じて陰極線B1〜Bnの全てに逆バイアス電位VCCが印加されるように走査スイッチ161〜16nを切り換える制御を行う。陽極線ドライブ回路14はリセット信号に応じて陽極線A1〜Amに電位VCCが印加されるようにドライブスイッチ181〜18mを切り換える制御を行う。ただし、後述するように、前回の走査期間又は今回の走査期間に発光するEL素子が接続されていない陽極線(非リセットドライブ線)については電位VLが印加されるようにドライブスイッチ181〜18mが制御される。
【0031】
発光制御部12は、走査期間において陰極線走査回路13に対して、走査線選択制御信号を発生し、ビデオ信号の水平走査期間に対応する陰極線B1〜Bnのうちのいずれか1を選択してアース電位に設定し、その他の陰極線は逆バイアス電位VCCが印加されるように走査スイッチ161〜16nを切り換える制御を行う。逆バイアス電位VCCは、ドライブされている陽極線と走査選択がされていない陰極線との交点に接続された素子がクロストーク発光することを防止するために、陰極線に接続される定電圧源(図示せず)によって印加される。走査スイッチ161〜16nが水平走査期間毎に順次アース電位に切り換えられるので、アース電位に設定された陰極線B1〜Bnは、その陰極線に接続された素子を発光可能とする走査線として機能することとなる。
【0032】
また、発光制御部12は、走査期間においてビデオ信号が示す画素情報に従って走査線に接続されている素子のどれをどのタイミングでどの程度の時間に亘って発光させるかについてを示すドライブ制御信号を発生し、ドライブ制御信号は陽極線ドライブ回路14に供給される。陽極線ドライブ回路14では、このドライブ制御信号に応じて、ドライブスイッチ181〜18mのうちの発光させるべきEL素子が接続された陽極線に対応するものが電流源側に切り換え制御され、陽極線A1〜Amのうちの対応する陽極線を通じて画素情報に応じた該当素子への駆動電流の供給が行われ、それ以外のドライブスイッチは第1固定接点を選択して電圧源201〜20mによる電位VLの供給が行われる。
【0033】
発光制御部12内は、図7に示すように構成されている。図7において、同期分離回路41は、供給された入力ビデオ信号中から水平及び垂直同期信号を抽出してこれらをタイミングパルス発生回路42に供給する。タイミングパルス発生回路42は、これら抽出された水平及び垂直同期信号に基づいた同期信号タイミングパルスを発生してこれをA/D変換器43、制御回路45及び走査タイミング信号発生回路47の各々に供給する。A/D変換器43は、上記同期信号タイミングパルスに同期して入力ビデオ信号を1画素毎に対応したディジタル画素データに変換し、これをメモリ44に供給する。制御回路45は、後述する駆動方法に基づいて上記同期信号タイミングパルスに同期した書込信号及び読出信号をメモリ44に供給する。メモリ44は、書込信号に応じて、A/D変換器43から供給された各画素データを順次取り込む。また、メモリ44は、読出信号に応じて、このメモリ44内に記憶されている画素データを順次読み出して次段の出力処理回路46へ供給する。走査タイミング信号発生回路47は、走査スイッチ及びドライブスイッチを制御するための各種タイミング信号を発生してこれらを陰極線走査回路13及び出力処理回路46の各々に供給する。これにより陰極線走査回路13には走査タイミング信号発生回路47から走査選択制御信号が供給される。出力処理回路46は、走査タイミング信号発生回路47からのタイミング信号に同期させて、メモリ44から供給された画素データに応じたドライブ制御信号を陽極線ドライブ回路14に供給する。また、制御回路45はリセット期間にはリセット信号を出力処理回路46を介して陽極線ドライブ回路14に供給し、走査タイミング信号発生回路47を介して陰極線走査回路13に供給する。
【0034】
発光制御部12の制御回路45における容量性発光表示パネルの駆動動作を図9のフローチャートに基づいて説明する。
制御回路45は、供給される画素データの1水平走査期間毎に発光制御ルーチンを実行する。発光制御ルーチンにおいては、先ず、1水平走査期間分の画素データを取り込み(ステップS1)、その画素データに応じて今回の走査期間に電位VLが印加されるべき陽極線のうち前回の走査期間において電位VLが印加された陽極線(非リセットドライブ線)があるか否かを判別する(ステップS2)。前回及び今回の走査期間の各々において電位VLが印加される陽極線とはその陽極線に接続された全てのEL素子はいずれの期間でも発光しないことを意味する。この判別では、今回の走査期間に第1固定接点に切換られるべく制御するドライブスイッチのうち前回の走査期間においても第1固定接点に切換られるべく制御したドライブスイッチがあるか否かを判別しても良い。
【0035】
前回の走査期間及び今回の走査期間のうちの少なくとも一方の期間に電位VLが印加されない陽極線があるならば、全ての陽極線A1〜Am及び陰極線B1〜Bnに電位Vccを印加させるリセット信号を発生する(ステップS3)。一方、前回の走査期間において電位VLが印加され、今回の走査期間も電位VLが印加されるべき陽極線があるならば、その陽極線に電位VLを印加させて残りの陽極線及び全ての陰極線B1〜Bnに電位Vccを印加させるべくリセット信号を発生する(ステップS4)。リセット信号は陰極線走査回路13及び陽極線ドライブ回路14に供給される。
【0036】
ステップS3のリセット信号の場合、陰極線走査回路13はリセット信号に応じて全ての走査スイッチ161〜16nの可動接点を電位Vcc側固定接点に切り換える。陽極線ドライブ回路14はリセット信号に応じて全てのドライブスイッチ181〜18nの可動接点を電位Vcc側の第3固定接点に切り換える。これにより全てのEL素子Ei,jの両端が電位Vccとなり、蓄電されていた素子の電荷は放電されることになる。
【0037】
ステップS4のリセット信号の場合には、陰極線走査回路13はリセット信号に応じて全ての走査スイッチ161〜16nの可動接点を電位Vcc側固定接点に切り換えるが、陽極線ドライブ回路14は前回及び今回の走査期間各々において電位VLが印加される陽極線に対応するドライブスイッチは電位VL側の第1固定接点に切り換えられたままとなり、その他の陽極線に対応するドライブスイッチは電位Vcc側の第3固定接点に切り換えられる。前回及び今回の走査期間各々において電位VLが印加される陽極線がAk(kは1〜mのうちの少なくとも1)であるならば、EL素子Ek,jを除くEL素子Ei,jの両端が電位Vccとなり、蓄電されていた素子の電荷は放電されることになる。EL素子Ek,jには電圧Vcc−VLが逆バイアスで印加される。
【0038】
リセット期間は一定であっても良いし、走査期間Tに応じて変化する長さであっても良い。
制御回路45は、リセット期間の終了後、ステップS1で取り込んだ1水平走査期間分の画素データが示す画素情報に応じて走査選択制御信号及びドライブ制御信号を発生する(ステップS5)。
【0039】
走査選択制御信号は陰極線走査回路13に供給される。陰極線走査回路13は走査選択制御信号が示す今回の水平走査期間に対応する陰極線B1〜Bnのうちの1の陰極線をアース電位に設定するためにその1の陰極線に対応する走査スイッチ(161〜16nのうちの1の走査スイッチ16S、なお、Sは1〜nのうちの1)をアース側に切り換える。その他の陰極線には逆バイアス電位VCCを印加するために走査スイッチ(161〜16nのうちの1の走査スイッチ16S以外の全て)をアース側に切り換える。
【0040】
ドライブ制御信号は陽極線ドライブ回路14に供給される。陽極線ドライブ回路14では、ドライブ制御信号が示す今回の水平走査期間内で陽極線A1〜Amのうちの発光駆動すべきEL素子が接続された陽極線に対応するドライブスイッチ(181〜18mのうちのいずれかのドライブスイッチ)が電流源(171〜17mのうちの対応するもの)側の第2固定接点に切り換えられ、その他の陽極線に対応するドライブスイッチは電圧源(201〜20mのうちの対応するもの)側の第1固定接点に切り換えられる。
【0041】
これにより、例えば、ドライブスイッチ181が電流源171側に切り換えられた場合には電流源171からドライブスイッチ181、陽極線A1、EL素子E1,S、陰極線BS、走査スイッチ16S、そしてアースへと駆動電流が流れ、駆動電流の供給されたEL素子E1,Sは、当該画素情報に応じた発光をなすこととなる。第1固定接点に切換られたドライブスイッチが例えば、183であれば、陽極線A3には電圧源203の電位VLがドライブスイッチを介して印加され、EL素子E3,Sを除くEL素子E3,1〜E3,nには電圧Vcc−VLが印加される。EL素子E3,Sには発光閾値電圧Vthより低い電圧VLが順方向に印加される。よって、EL素子E3,1〜E3,nは印加電圧により充電される。
【0042】
制御回路45は、ステップS5の実行後、予め定められた走査期間Tが経過したか否かを判別する(ステップS6)。走査期間Tは、例えば、予め定められた水平走査期間及び画素データ中の輝度情報に対応して設定されている。走査期間の計測は図示しない内部カウンタによって実行される。走査期間Tが経過したならば、ドライブ停止信号を発生する(ステップS7)。これにより
走査期間Tが経過した場合には、制御回路45は、ステップS7に進んでドライブ停止信号を発生して発光制御ルーチンを終了し、次の水平走査期間が開始されるまで待機することになる。次の水平走査期間が開始されると、上記のステップS1〜S7の動作が繰り返される。図10はかかる発光駆動動作によるリセット期間と走査期間Tとの関係を示している。図10の走査期間Tはリセット期間の終了から次の水平走査期間の開始までである。このように走査期間Tが次の水平走査期間の開始までならば、ステップS6及びS7を省略しても良い。
【0043】
次に、かかる制御回路45の制御動作によって陰極線B1を走査して素子E1,1及びE2,1を光らせた後、陰極線B2に走査を移して素子E2,2及びE3,2を光らせる場合について図11〜図13を参照しつつ説明する。また、図11〜図13においては図4〜図6の場合と同様に説明を分かり易くするために、光っているEL素子はダイオード記号にて示され、光っていないEL素子はコンデンサ記号にて示されている。
【0044】
先ず、図11においては、走査スイッチ161のみが0Vのアース電位側に切り換えられ、陰極線B1が走査されている。他の陰極線B2〜Bnには、走査スイッチ162〜16nにより逆バイアス電位VCCが印加されている。同時に、陽極線A1及びA2には、ドライブスイッチ181及び182によって電流源171及び172が接続され、他の陽極線A3〜Amには、ドライブスイッチ183〜18mによって電位VLが印加される。従って、図11の場合、EL素子E1,1とE2,1のみが順方向にバイアスされ、電流源171及び172から矢印のように駆動電流が流れ込み、素子E1,1及びE2,1のみが発光することとなる。この発光状態においては、ハッチングによって示されている非発光のEL素子E3,2〜Em,nの陽極陰極間には、電圧Vcc−VLが逆バイアスで印加され、それぞれ図示の如き極性で充電が行われることとなる。電圧Vcc−VLは十分に低い電圧であるので、充電電荷は従来に比べて小さい。また、ハッチングによって示されている非発光のEL素子E3,1〜Em,1の陽極陰極間には順方向に電圧VLが印加されるが、この電圧VLは発光閾値電圧Vthより低い電圧であるので、EL素子E3,1〜Em,1は発光せず、充電されるだけである。
【0045】
この図11の発光状態が走査期間Tだけ経過すると、次の水平走査期間のEL素子E2,2及びE3,2の発光をなす状態に走査を移行する前に、リセット制御が行われる。図12に示すようにドライブスイッチ181〜183及び全て走査スイッチ161〜16nが電位Vcc側に切り換えられるので、陽極線A1〜A3と陰極線B1〜Bnとが電位Vccに等しくされる。このリセット制御により、各EL素子E1,1〜E3,nに充電されていた電荷は図中の矢印で示すようなルートを通って放電し、全ての素子の充電電荷が瞬時のうちに無くなる。一方、陽極線A4〜Amには今回の走査期間においても発光のための駆動電流が供給されないので、ドライブスイッチ184〜18mによって陽極線A4〜Amには電位VLが印加される。よって、EL素子E4,1〜Em,nには電圧Vcc−VLが印加されるので、EL素子E4,2〜Em,nについては図11の走査期間に充電された電荷はそのまま保持されることになる。EL素子E4,1〜Em,1についてはそれまでの蓄積電荷が直ちに放電され、印加電圧Vcc−VLによる充電が行われる。
【0046】
このようにしてEL素子E1,1〜E3,nの充電電荷をゼロにした後、次の水平走査期間が開始されると、今度は図13に示すように、陰極線B2に対応する走査スイッチ162のみがアース電位側に切り換えられ、陰極線B2の走査が行われる。これと同時に、ドライブスイッチ182及び183が電流源172及び173側に切り換えられて電流源172及び173の出力が対応の陽極線A2及びA3に接続されるとともに、ドライブスイッチ181が新たに電位VL側の第1固定接点に切り換えられ、陽極線A1,A4〜Amには電位VLが与えられる。従って、図13の場合、素子E2,2及びE3,2のみが順方向にバイアスされ、電流源172及び173から矢印のように駆動電流が流れ込み、素子E2,2及びE3,2のみが発光することとなる。この発光状態においては、ハッチングによって示されている非発光のEL素子E1,1、E1,3〜E1,n、E4,1〜Em,1、E4,3〜Em,nの陽極陰極間には、電圧Vcc−VLが逆バイアスで印加され、EL素子E1,1、E1,3〜E1,nについては図示の如き極性で充電が新たに行われることとなる。EL素子E4,3〜Em,nについては電荷が保持されているので、電圧Vcc−VLが印加されても充電はほとんど行われない。
【0047】
このように、走査期間に非発光のEL素子に印加される逆バイアス電圧Vcc−VLは従来よりも低く、その逆バイアス電圧によって充電される発光に寄与しない電荷は従来より減少する。また、前回の走査期間に電位VLが印加され、今回の走査期間にも電位VLが印加されるべき陽極線(非リセットドライブ線)は、その非リセットドライブ線に接続されたEL素子はいずれもそれら前回及び今回の走査期間では発光しないので、逆バイアス電圧Vcc−VLによる充電電荷が今回のリセット期間に放電されず維持されるので、今回の走査期間における逆バイアス電圧Vcc−VLによる充電電荷量を上記の例ではEL素子E4,3〜Em,nの分だけ減少させることができる。
【0048】
なお、上記した実施例において、ステップS2では、今回の走査期間に電位VLが印加されるべき陽極線のうち前回の走査期間において電位VLが印加された陽極線(非リセットドライブ線)があるか否かが判別されたが、図14に示すように、ステップS2では今回の走査期間に電位VLが印加されるべき陽極線(非リセットドライブ線)があるか否かを判別しても良い。今回の走査期間に電位VLが印加されるべき陽極線がないならば、ステップS3に進み、今回の走査期間に電位VLが印加されるべき陽極線があるならば、ステップS4に進むのである。
【0049】
図15〜図17は、図14に示した制御動作によって陰極線B1を走査してEL素子E1,1及びE2,1を光らせた後、陰極線B2に走査を移してEL素子E2,2及びE3,2を光らせる場合の動作状態を各々示している。図15はEL素子E1,1及びE2,1を発光させる走査期間であり、図11と同様である。
図15の発光状態が走査期間Tだけ経過すると、次の水平走査期間のEL素子E2,2及びE3,2の発光をなす状態に走査を移行する前に、リセット制御が行われる。図16に示すようにドライブスイッチ182〜183及び全て走査スイッチ161〜16nが電位Vcc側に切り換えられるので、陽極線A2,A3と陰極線B1〜Bnとが電位Vccに等しくされる。このリセット制御により、各EL素子E2,1〜E2,n及びE3,1〜E3,nに充電されていた電荷は図中の矢印で示すようなルートを通って放電し、全ての素子の充電電荷が瞬時のうちに無くなる。一方、陽極線A1,A4〜Amには今回の走査期間においても発光のための駆動電流が供給されないので、ドライブスイッチ181,184〜18mによって陽極線A1,A4〜Amには電位VLが印加される。よって、EL素子E1,1〜E1,n,E4,1〜Em,nには電圧Vcc−VLが印加されるので、EL素子E4,2〜Em,nについては図11の走査期間に充電された電荷はそのまま保持されることになる。EL素子E1,1,E4,1〜Em,1についてはそれまでの充電電荷が直ちに放電され、印加電圧Vcc−VLによる充電が行われる。EL素子E1,2〜E1,nはそれまでに電荷がほとんど充電されていないので、印加電圧Vcc−VLによる充電が行われる。
【0050】
このようにしてEL素子E2,1〜E3,nの充電電荷をゼロにした後、次の水平走査期間が開始されると、今度は図17に示すように、陰極線B2に対応する走査スイッチ162のみがアース電位側に切り換えられ、陰極線B2の走査が行われる。これと同時に、ドライブスイッチ182及び183が電流源172及び173側に切り換えられる。この切換は図13の場合と同様であり、EL素子E2,2及びE3,2のみが順方向にバイアスされ、電流源172及び173から矢印のように駆動電流が流れ込み、素子E2,2及びE3,2のみが発光することとなる。この動作は図13と同様である。この発光状態においては、ハッチングによって示されている非発光のEL素子E1,1、E1,3〜E1,n、E4,1〜Em,1、E4,3〜Em,nの陽極陰極間には、電圧Vcc−VLが逆バイアスで印加され、EL素子E1,1、E1,3〜E1,n、E4,3〜Em,nには電荷が保持されているので、電圧Vcc−VLが印加されても充電はほとんど行われない。
【0051】
また、上記した実施例においては、第1電位はアース電位に等しくされ、第2電位及び第4電位は容量性発光素子の発光規定電圧Veにほぼ等しい電位Vccにされているが、これに限定されることはない。
【0052】
【発明の効果】
以上の如く、本発明によれば、1の走査線以外の走査線と発光ドライブ線以外のドライブ線とが交差する位置に配置された容量性発光素子各々には比較的低い逆バイアス電圧が印加され、その逆バイアス電圧によって充電される発光に寄与しない電荷は従来より減少するので、無駄な電力消費を低減させることができる。
【0053】
また、かかる本発明によれば、非リセットドライブ線に接続された容量性発光素子に逆バイアス電圧による充電電荷が今回のリセット期間に放電されず維持されるので、次の走査期間においてそれらの容量性発光素子に逆バイアス電圧が印加されてもほとんど充電されない故、無駄な電力消費を低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】EL素子の断面図である。
【図2】EL素子の等価回路を示す図である。
【図3】EL素子の駆動電圧−電流−発光輝度特性を概略的に示す図である。
【図4】EL素子を用いた発光表示パネルの従来の駆動装置に適用されるリセット駆動法を説明するためのブロック図である。
【図5】EL素子を用いた発光表示パネルの従来の駆動装置に適用されるリセット駆動法を説明するためのブロック図である。
【図6】EL素子を用いた発光表示パネルの従来の駆動装置に適用されるリセット駆動法を説明するためのブロック図である。
【図7】本発明による発光表示パネルの駆動装置の構成を示すブロック図である。
【図8】図7の装置の発光表示パネル、陰極線走査回路及び陽極線ドライブ回路を具体的に示す図である。
【図9】発光制御回路によって実行される発光駆動動作を示すフローチャートである。
【図10】走査期間とリセット期間との関係を示す図である。
【図11】図9の発光駆動動作を説明するためのブロック図である。
【図12】図9の発光駆動動作を説明するためのブロック図である。
【図13】図9の発光駆動動作を説明するためのブロック図である。
【図14】発光制御回路によって実行される発光駆動動作の他の例を示すフローチャートである。
【図15】図14の発光駆動動作を説明するためのブロック図である。
【図16】図14の発光駆動動作を説明するためのブロック図である。
【図17】図14の発光駆動動作を説明するためのブロック図である。
【符号の説明】
1,13 陰極線走査回路
2,14 陽極線ドライブ回路
21〜2m,171〜17m 電流源
3 陽極線リセット回路
51〜5n,161〜16n 走査スイッチ
61〜6m,181〜18m ドライブスイッチ
71〜7m シャントスイッチ
11 発光表示パネル
A1〜Am 陽極線
B1〜Bn 陰極線
E1,1〜Em,n 有機エレクトロルミネッセンス素子
Claims (5)
- 互いに交差する複数のドライブ線及び複数の走査線と、前記ドライブ線及び前記走査線による複数の交差位置各々にて前記走査線及び前記ドライブ線間に接続され極性を有する複数の容量性発光素子とからなる発光表示パネルの駆動装置であって、
入力ビデオ信号の走査タイミングに応じて前記複数の走査線のうちから1の走査線を選択する走査期間を設定し、前記走査期間に前記入力ビデオ信号に応じて前記1の走査線上の発光させるべき容量性発光素子に対応する発光ドライブ線を指定し、前記走査期間各々の間にリセット期間を設定し、前記リセット期間にその前後の走査期間各々において非発光にさせるべき容量性発光素子だけが接続されたドライブ線を非リセットドライブ線として指定する制御手段と、
前記走査期間に前記1の走査線に前記容量性発光素子の発光閾値電圧より低い第1電位を印加しかつ前記1の走査線以外の走査線に前記発光閾値電圧より高い第2電位を印加し、前記リセット期間に前記第2電位を前記複数の走査線の全てに印加する走査手段と、
前記走査期間に前記発光閾値電圧以上の正電圧を前記発光させるべき容量性発光素子に順方向に印加するために前記発光ドライブ線に駆動電流を供給しかつ前記発光ドライブ線以外のドライブ線に前記発光閾値電圧を越えない第3電位を印加し、前記リセット期間には前記複数のドライブ線のうちの前記非リセットドライブ線を除くドライブ線に前記第2電位に等しい電位の第4電位を供給しかつ前記非リセットドライブ線に前記第3電位を印加するドライブ手段と、を備えたことを特徴とする発光表示パネルの駆動装置。 - 前記第1電位はアース電位であり、前記第2電位は前記容量性発光素子の発光規定電圧に等しいことを特徴とする請求項1記載の駆動装置。
- 前記駆動電流は電流源から供給されることを特徴とする請求項1記載の駆動装置。
- 前記容量性発光素子は有機エレクトロルミネッセンス素子であることを特徴とする請求項1記載の駆動装置。
- 互いに交差する複数のドライブ線及び複数の走査線と、前記ドライブ線及び前記走査線による複数の交差位置各々にて前記走査線及び前記ドライブ線間に接続され極性を有する複数の容量性発光素子とからなる発光表示パネルの駆動装置であって、
入力ビデオ信号の走査タイミングに応じて前記複数の走査線のうちから1の走査線を選択する走査期間を設定し、前記走査期間に前記入力ビデオ信号に応じて前記1の走査線上の発光させるべき容量性発光素子に対応する発光ドライブ線を指定し、前記走査期間各々の間にリセット期間を設定し、前記リセット期間にその次の走査期間において非発光にさせるべき容量性発光素子だけが接続されたドライブ線を非リセットドライブ線として指定する制御手段と、
前記走査期間に前記1の走査線に前記容量性発光素子の発光閾値電圧より低い第1電位を印加しかつ前記1の走査線以外の走査線に前記発光閾値電圧より高い第2電位を印加し、前記リセット期間に前記第2電位を前記複数の走査線の全てに印加する走査手段と、
前記走査期間に前記発光閾値電圧以上の正電圧を前記発光させるべき容量性発光素子に順方向に印加するために前記発光ドライブ線に駆動電流を供給しかつ前記発光ドライブ線以外のドライブ線に前記発光閾値電圧を越えない第3電位を印加し、前記リセット期間には前記複数のドライブ線のうちの前記非リセットドライブ線を除くドライブ線に前記第2電位に等しい電位の第4電位を供給しかつ前記非リセットドライブ線に前記第3電位を印加するドライブ手段と、を備えたことを特徴とする発光表示パネルの駆動装置。
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