JP3633178B2 - 液晶表示装置およびその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は液晶表示装置およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の液晶表示装置には、相対向する面にそれぞれ配向膜が形成されたガラスや樹脂等からなる2枚の透明基板をその間にスペーサを介在させた状態でシール材を介して貼り合わせ、シール材の内側における両透明基板の配向膜間に液晶を封入した構造のものがある。この場合、一方の透明基板には視認性を良くするためにブラックマトリクスが設けられている。
【0003】
ところで、このような液晶表示装置の製造方法には、一例として、各透明基板を複数枚ずつ形成するための長尺状または比較的大きいシート状の2枚のベース基板を用意し、ブラックマトリクス形成工程、配向膜形成工程およびシール材形成工程を経た後、下側ベース基板上に設けられた配向膜の表面にスペーサを分散させ、下側ベース基板上に上側ベース基板をシール材を介して貼り付け、液晶注入工程後にまたは液晶注入工程前に、貼り合わせた2枚のベース基板を切断し、これにより複数個の液晶表示装置を製造する方法がある。
【0004】
次に、図面を参照しながら、液晶表示装置の製造方法について具体的に説明する。ただし、ここではブラックマトリクス形成工程およびスペーサの分散工程を中心に説明する。まず、図5に示すように、下側透明基板を複数枚(図5では12枚)形成するための下側ベース基板1を用意する。この場合、一点鎖線で示すカットラインによって囲まれた長方形状の部分は単体の下側透明基板を形成するための透明基板形成領域2となっており、その周囲は余剰領域3となっている。次に、透明基板形成領域2の中央部にクロム等からなるブラックマトリクス4を形成する。この場合、ハッチングを施した部分が格子状のブラックマトリクス4となっている。次に、図示していないが、ブラックマトリクス4の上面に配向膜を形成し、ブラックマトリクス4の周囲にシール材5を形成する。次に、図示していないが、下側ベース基板1上に設けられた配向膜の表面にスペーサをスプレー等を用いて散布することにより分散する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来のこのような液晶表示装置の製造方法では、スペーサの散布時に下側ベース基板1に静電気が印加した場合、下側ベース基板1の上面の所定の複数箇所にブラックマトリクス4が独立して形成されているのでブラックマトリクス4ごとに帯電する電荷量が異なることとなり、下側ベース基板1の各部分の帯電状態が不均一となる。しかも、このときスペーサ自体も帯電しているので、この結果散布されたスペーサがベース基板1上に均等に分散されず、ひいては両透明基板間の間隔が不均一になり、表示品質が損われるという問題があった。
この発明の課題は、2枚の透明基板間の間隔が均一になるようにすることである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明は、相対向する面のうちのいずれか一方に導電性のブラックマトリクスが形成された2枚の透明基板をその間にスペーサを介在させた状態でシール材を介して貼り合わせ、前記シール材の内側における前記両透明基板間に液晶を封入した液晶表示装置において、前記一方の透明基板の前記ブラックマトリクスが形成されている面に、一端部が前記ブラックマトリクスに接続され、他端部が前記一方の透明基板の端部まで延出された前記ブラックマトリクスと同一の材料からなるダミーブラックマトリクスが液晶注入口内に形成されているものである。請求項3記載の発明は、複数の透明基板形成領域と余剰領域とを備えたベース基板の前記各透明基板形成領域に導電性のブラックマトリクスを形成するとともに、前記各透明基板形成領域の所定の一端部から近傍の余剰領域にわたって前記各ブラックマトリクスと接続された前記ブラックマトリクスと同一の材料からなるダミーブラックマトリクスの接続配線部を形成し、同時に、前記余剰領域に前記各ブラックマトリクスに前記ダミーブラックマトリクスの接続配線部を介して接続された前記ブラックマトリクスと同一の材料からなるダミーブラックマトリクスの共通配線部を形成し、前記各ブラックマトリクスの周囲にシール材を、該シール材の一端側に形成される液晶注入口内を前記ダミーブラックマトリクスの接続配線部が通過するように形成し、前記ブラックマトリクス上にスペーサを分散した後に、前記ベース基板を前記透明基板形成領域と余剰領域との境界で切断するようにしたものである。
【0007】
本願の各請求項に記載の発明によれば、ブラックマトリクスがシール材の液晶注入口を通過したダミーブラックマトリクスに接続されているので、静電気が印加したときにブラックマトリクスごとに帯電する電荷量が異なっても、ダミーブラックマトリクスのシール材の液晶注入口を通過した部分を介して電荷が速やかに移動することにより、すべてのブラックマトリクスが同電位に保たれることになるので、スペーサを均一に分散させることができ、2枚の透明基板間の間隔が均一になるようにすることができる。また、ダミーブラックマトリクスがシール材の液晶注入口を通過してブラックマトリクスに接続されるため、ダミーブラックマトリクスがシール材を横断する箇所がなく、シール材の平坦性を損なうようなことがないので、液晶の表示品位を確保することができるという効果を奏する。
【0008】
【発明の実施の形態】
図1〜図3はそれぞれこの発明の一実施形態における液晶表示装置の各製造工程を示したものである。そこで、これらの図を順に参照しながら、この実施形態の液晶表示装置の構造についてその製造方法と併せて説明する。
【0009】
まず、図1に示すように、下側透明基板を複数枚形成するための下側ベース基板11を用意する。この下側ベース基板11はガラスや樹脂等によって長尺状または比較的大きいシート状に形成されている。そして、後で説明するように、図1において一点鎖線で示すカットラインに沿って切断すると、単体の下側透明基板が複数枚得られるようになっている。この場合、単体の下側透明基板を形成するための長方形状の透明基板形成領域12の周囲には余剰領域13が設けられている。すなわち、格子状の余剰領域13によってそれぞれ囲まれた領域が透明基板形成領域12となっている。
【0010】
次に、下側ベース基板11の上面にクロム等の導電性材料からなるブラックマトリクス14およびこのブラックマトリクス14と同一の材料からなるダミーブラックマトリクス15を同時に形成する。すなわち、透明基板形成領域12の中央部に格子状のブラックマトリクス14を形成し、透明基板形成領域12の所定の一端部からその近傍の余剰領域13にわたってブラックマトリクス14と接続されるダミーブラックマトリクス15の接続配線部16aを形成する。また、格子状の余剰領域13の幅方向中央部に格子状のダミーブラックマトリクス15の共通配線部16bを形成する。この場合、ブラックマトリクス14は共通配線部16bに接続配線部16aを介して接続されている。なお、ダミーブラックマトリクス15は接続配線部16aと共通配線部16bとからなっている。
【0011】
次に、図示していないが、各透明基板形成領域12内のブラックマトリクス14の上面にITO等からなる共通電極を形成し、その上面にポリイミド等からなる配向膜を形成する。次に、下側ベース基板11上のブラックマトリクス14の周囲にエポキシ樹脂等からなるシール材17をスクリーン印刷により形成する。この場合、各シール材17の一端側には液晶注入口18が形成され、この液晶注入口18内を接続配線部16aが通過している。次に、図示していないが、下側ベース基板11の配向膜の上面にスペーサを散布する。この場合、すべてのブラックマトリクス14がダミーブラックマトリクス15に接続されているので、下側ベース基板11に静電気が印加したときにブラックマトリクス14ごとに帯電する電荷量が異なっても、ダミーブラックマトリクス15を介して電荷が速やかに移動することにより、すべてのブラックマトリクス14が同電位に保たれることになる。この結果、スペーサが帯電していても、これを均一に分散させることができる。
【0012】
次に、図2に示すように、シール材17の上面に上側ベース基板19を重ね合わせる。上側ベース基板19は下側ベース基板11と同一の材料からなり、その下面には、図示していないが、画素電極およびスイッチング素子としての薄膜トランジスタが予め形成され、その下面にはポリイミド等からなる配向膜が予め形成されている。
【0013】
次に、両ベース基板11、19の上下から熱圧着すると、シール材17が硬化し、この硬化したシール材17を介して両ベース基板11、19が貼り合わされる。次に、貼り合わされた両ベース基板11、19を、図1において示す一点鎖線に沿って切断する。次に、図示していないが、液晶注入口18を介して液晶をシール材17の内側における両ベース基板11、19間に注入し、次いで液晶注入口18を封止材20で封止すると、図3に示すような単体の液晶表示装置が複数個得られる。かくして、この実施形態の液晶表示装置の製造が終了する。
【0014】
このように、すべてのブラックマトリクス14がダミーブラックマトリクス15に接続されているので、下側ベース基板11に静電気が印加したときにブラックマトリクス14ごとに帯電する電荷量が異なっても、ダミーブラックマトリクス15を介して電荷が速やかに移動することにより、すべてのブラックマトリクス14が同電位に保たれることになる。この結果、スペーサを均一に分散させることができる。したがって、2枚の透明基板間の間隔が均一になるようにすることができ、表示品質の低下を防止することができる。また、スペーサの密集による光透過率の低下を防止することができる。
また、ダミーブラックマトリクス15の接続配線部16aを液晶注入口18に対応する部分に設けたので、液晶注入口18を封止材20で封止することにより、封止材20によって接続配線部16aを絶縁して外部からの静電気等の影響を受けないようにすることができるとともに、接続配線部16aの腐食を防止することができる。
【0015】
なお、上記実施形態では、ダミーブラックマトリクス15の接続配線部16aの幅を共通配線部16bの幅とほぼ等しくしたが、これに限らず、図4に示すように、接続配線部16aの幅を幅広、例えば4mm程度に形成してもよい。このようにすると、スペーサの散布数を接続配線部16aの部分で容易にカウントすることができ、高価な検査装置が不要となる。
また、上記実施形態では、ブラックマトリクス14を格子状としたが、これに限らず、ストライプ状またはデルタ状であってもよい。
また、上記実施形態では、アクティブマトリクス型の液晶表示装置について説明したが、これに限らず、例えば単純マトリクス型の液晶表示装置にも適用することができる。
【0016】
【発明の効果】
以上説明したように、本願の各請求項に記載の発明によれば、ブラックマトリクスがシール材の液晶注入口を通過したダミーブラックマトリクスに接続されているので、静電気が印加したときにブラックマトリクスごとに帯電する電荷量が異なっても、ダミーブラックマトリクスのシール材の液晶注入口を通過した部分を介して電荷が速やかに移動することにより、すべてのブラックマトリクスが同電位に保たれることになるので、スペーサを均一に分散させることができ、2枚の透明基板間の間隔が均一になるようにすることができる。また、ダミーブラックマトリクスがシール材の液晶注入口を通過してブラックマトリクスに接続されるため、ダミーブラックマトリクスがシール材を横断する箇所がなく、シール材の平坦性を損なうようなことがないので、液晶の表示品位を確保することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施形態における液晶表示装置の製造に際し、下側ベース基板の上面にブラックマトリクス、ダミーブラックマトリクスおよびシール材を形成した状態の平面図。
【図2】同液晶表示装置の製造に際し、下側ベース基板上にシール材を介して上側ベース基板を貼り合わせた状態の平面図。
【図3】同液晶表示装置の製造に際し、単体の液晶表示装置を得た状態の平面図。
【図4】この発明の他の実施形態を説明するために示す図1同様の平面図。
【図5】従来の液晶表示装置の製造に際し、下側ベース基板の上面にブラックマトリクスおよびシール材を形成した状態の平面図。
【符号の説明】
11 下側ベース基板
12 透明基板形成領域
13 余剰領域
14 ブラックマトリクス
15 ダミーブラックマトリクス
Claims (3)
- 相対向する面のうちのいずれか一方に導電性のブラックマトリクスが形成された2枚の透明基板をその間にスペーサを介在させた状態でシール材を介して貼り合わせ、前記シール材の内側における前記両透明基板間に液晶を封入した液晶表示装置において、前記一方の透明基板の前記ブラックマトリクスが形成されている面に、一端部が前記ブラックマトリクスに接続され、他端部が前記一方の透明基板の端部まで延出された前記ブラックマトリクスと同一の材料からなるダミーブラックマトリクスが液晶注入口内に形成されていることを特徴とする液晶表示装置。
- 前記ブラックマトリクスが形成された一方の透明基板は、前記ブラックマトリクスが形成された複数の透明基板形成領域と前記各透明基板形成領域間に配置された余剰領域とを備え、前記ダミーブラックマトリクスは、前記余剰領域に形成された共通配線部と前記液晶注入口内に形成された接続配線部とからなり、前記接続配線部の幅が前記ダミーブラックマトリクスの共通配線部の幅よりも幅広となっていることを特徴とする請求項1記載の液晶表示装置。。
- 複数の透明基板形成領域と余剰領域とを備えたベース基板の前記各透明基板形成領域に導電性のブラックマトリクスを形成するとともに、前記各透明基板形成領域の所定の一端部から近傍の余剰領域にわたって前記各ブラックマトリクスと接続された前記ブラックマトリクスと同一の材料からなるダミーブラックマトリクスの接続配線部を形成し、同時に、前記余剰領域に前記各ブラックマトリクスに前記ダミーブラックマトリクスの接続配線部を介して接続された前記ブラックマトリクスと同一の材料からなるダミーブラックマトリクスの共通配線部を形成し、前記各ブラックマトリクスの周囲にシール材を、該シール材の一端側に形成される液晶注入口内を前記ダミーブラックマトリクスの接続配線部が通過するように形成し、前記ブラックマトリクス上にスペーサを分散した後に、前記ベース基板を前記透明基板形成領域と余剰領域との境界で切断する、ことを特徴とする液晶表示装置の製造方法。
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