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JP3608569B2 - 抵抗器の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は抵抗器の製造方法に関するものであり、特に微細な抵抗器の製造方法に関するものである。
以下、従来の抵抗器およびその製造方法について、図面を参照しながら説明する。
図12は従来の抵抗器の断面図である。
図12において、1はアルミナ等の磁器からなる絶縁性を有する個片状基板である。2は前記個片状基板1の上面の左右両端部に設けられた一対の第1の上面電極層である。3は一対の第1の上面電極層2に一部が重なるように前記個片状基板1の上面に設けられた抵抗層である。4は抵抗層3の全体のみを覆うように設けられた第1の保護層である。5は抵抗値を修正するために抵抗層3および第1の保護層4に設けられたトリミング溝である。6は第1の保護層4の上面のみに設けられた第2の保護層である。7は一対の第1の上面電極層2の上面に位置して前記個片状基板1の幅一杯まで延びるように設けられた一対の第2の上面電極層である。8は前記個片状基板1の両側面に設けられた一対の側面電極層である。9,10は一対の第2の上面電極層7および一対の側面電極層8の表面に設けられた一対のニッケルめっき層および一対のはんだめっき層である。この場合、はんだめっき層10は第2の保護層6よりも低く設けられているものである。
以上のように構成された従来の抵抗器について、次のその製造方法を図面を参照しながら説明する。
図13(a)〜(f)は従来の抵抗器の製造方法を示す工程図である。
まず、図13(a)に示すように、絶縁性を有する個片状基板1の上面の左右両端部に、一対の第1の上面電極層2を塗着形成する。
次に、図13(b)に示すように、一対の第1の上面電極層2に一部が重なるように前記個片状基板1の上面に抵抗層3を塗着形成する。
次に、図13(c)に示すように、抵抗層3の全体のみを覆うように第1の保護層4を塗着形成した後、抵抗層3における全抵抗値が所定の抵抗値の範囲内に入るようにレーザ等により抵抗層3および第1の保護層4にトリミング溝5を施す。
次に、図13(d)に示すように、第1の保護層4の上面のみに第2の保護層6を塗着形成する。
次に、図13(e)に示すように、一対の第1の上面電極層2の上面に位置して前記個片状基板1の幅一杯まで延びるように一対の第2の上面電極層7を塗着形成する。
次に、図13(f)に示すように、一対の第1の上面電極層2および前記個片状基板1の左右両端の側面に一対の第1、第2の上面電極層2,7と電気的に接続されるように一対の側面電極層8を塗着形成する。
最後に、一対の第2の上面電極層7および一対の側面電極層8の表面にニッケルめっきを施した後、はんだめっきを施すことにより、一対のニッケルめっき層9と、一対のはんだめっき層10を形成して従来の抵抗器を製造していた。
また、上記した抵抗器も非常に小形化されてきており、近年では長さ0.6mm×幅0.3mm×厚み0.25mmという非常に小形の抵抗器も製造されるようになってきた。
なお、この出願の発明に関連する先行技術文献情報としては、例えば、特許文献1が知られている。
特開平4−102302号公報
上記した従来の構成および製造方法で長さ0.6mm×幅0.3mm×厚み0.25mmという非常に小形の抵抗器を製造しようとした場合の課題について説明する。
従来におけるアルミナ等の磁器からなるシート状の絶縁基板は、基板分割溝をシート状の絶縁基板の焼成前にあらかじめ形成し、そしてこの絶縁基板を焼成することにより製造している。このため、シート状の絶縁基板にあらかじめ形成された基板分割溝は、シート状の絶縁基板の微妙な組成バラツキや、シート状の絶縁基板の焼成時の微妙な温度バラツキにより寸法バラツキが発生するものである(この寸法バラツキは、約100mm×100mmのシート状の絶縁基板では約0.5mm程度にも達する。)。
このような寸法バラツキを有するシート状の絶縁基板を用いて、非常に微細な抵抗器を製造する場合には、個片状基板の寸法を縦方向と横方向のそれぞれに非常に細かい寸法ランクに分類し、そしてそれぞれの寸法ランクに相当する上面電極層2、抵抗層3、保護層4等のスクリーン印刷マスクをそろえる必要があるとともに、個片状基板の寸法ランクに応じてマスクを交換する必要があるもので、その結果、非常に工程が煩雑になるという課題を有していた(寸法ランクを0.05mm刻みで分類する場合には縦方向、横方向合わせて、それぞれ25ランクで縦横合計約600ランク以上の寸法分類が必要となる。)。
本発明は上記従来の課題を解決するもので、個片状基板の寸法分類が不要となって、従来のような個片状基板の寸法ランクに応じてマスクを交換するという工程をなくすることができるとともに、安価で、かつ微細な抵抗器が容易に得られる抵抗器の製造方法を提供することを目的とするものである。
上記目的を達成するために、本発明は以下の構成を有するものである。
本発明の請求項1に記載の発明は、シート状の絶縁基板の上面に複数対の上面電極層と複数の抵抗層を両者が電気的に接続されるように形成する工程と、前記複数の抵抗層における前記複数対の上面電極層間の抵抗値を調整するためにトリミングを行う工程と、少なくとも前記複数の抵抗層を覆うように保護層を形成する工程と、前記シート状の絶縁基板に、前記複数対の上面電極層を分離して複数の短冊状基板に分割するためのスリット状の第1の分割部を複数形成する工程と、前記スリット状の第1の分割部が複数形成された状態のシート状の絶縁基板の裏面にマグネットの磁力によりマスクを設置する工程と、前記マスクを設置した状態で前記絶縁基板の裏面および複数のスリット状の第1の分割部の内面にスパッタ工法により複数対の側面電極層を形成する工程と、前記側面電極層を形成した後、前記マスクを前記シート状の絶縁基板から取り外す工程と、前記シート状の絶縁基板における複数の短冊状基板に、前記複数の抵抗層が個々に分離されて個片状基板に分割されるように前記スリット状の第1の分割部と直交する方向に複数の第2の分割部を形成する工程とを備えたもので、この製造方法によれば、スリット状の第1の分割部が複数形成された状態のシート状の絶縁基板の裏面にマグネットの磁力によりマスクを設置し、このマスクを設置した状態で前記絶縁基板の裏面および複数のスリット状の第1の分割部の内面にスパッタ工法により複数対の側面電極層を形成するようにしているため、この側面電極層は従来のように複数の短冊状基板毎に形成することなく、シート状の絶縁基板の状態で一括して形成することができるという作用効果を有するものである。
本発明の請求項2に記載の発明は、シート状の絶縁基板の上面に複数対の上面電極層または複数の抵抗層を形成する工程と、前記複数対の上面電極層または複数の抵抗層を形成したシート状の絶縁基板に、前記複数対の上面電極層または複数の抵抗層を分離して複数の短冊状基板に分割するためのスリット状の第1の分割部を複数形成する工程と、前記複数対の上面電極層または複数の抵抗層に一部が重なるように複数の抵抗層または複数対の上面電極層を形成する工程と、前記複数の抵抗層における前記複数対の上面電極層間の抵抗値を調整するためにトリミングを行う工程と、少なくとも前記複数の抵抗層を覆うように保護層を形成する工程と、前記スリット状の第1の分割部が複数形成された状態のシート状の絶縁基板の裏面にマグネットの磁力によりマスクを設置する工程と、前記マスクを設置した状態で前記絶縁基板の裏面および複数のスリット状の第1の分割部の内面にスパッタ工法により複数対の側面電極層を形成する工程と、前記側面電極層を形成した後、前記マスクを前記シート状の絶縁基板から取り外す工程と、前記シート状の絶縁基板における複数の短冊状基板に、前記複数の抵抗層が個々に分離されて個片状基板に分割されるように前記スリット状の第1の分割部と直交する方向に複数の第2の分割部を形成する工程とを備えたもので、この製造方法によれば、スリット状の第1の分割部が複数形成された状態のシート状の絶縁基板の裏面にマグネットの磁力によりマスクを設置し、このマスクを設置した状態で前記絶縁基板の裏面および複数のスリット状の第1の分割部の内面にスパッタ工法により複数対の側面電極層を形成するようにしているため、この側面電極層は従来のように複数の短冊状基板毎に形成することなく、シート状の絶縁基板の状態で一括して形成することができるという作用効果を有するものである。
本発明の請求項3に記載の発明は、シート状の絶縁基板の上面に複数対の上面電極層と複数の抵抗層を両者が電気的に接続されるように形成する工程と、前記複数対の上面電極層および複数の抵抗層を形成したシート状の絶縁基板に、前記複数対の上面電極層を分離して複数の短冊状基板に分割するためのスリット状の第1の分割部を複数形成する工程と、前記複数の抵抗層における前記複数対の上面電極層間の抵抗値を調整するためにトリミングを行う工程と、少なくとも前記複数の抵抗層を覆うように保護層を形成する工程と、前記スリット状の第1の分割部が複数形成された状態のシート状の絶縁基板の裏面にマグネットの磁力によりマスクを設置する工程と、前記マスクを設置した状態で前記絶縁基板の裏面および複数のスリット状の第1の分割部の内面にスパッタ工法により複数対の側面電極層を形成する工程と、前記側面電極層を形成した後、前記マスクを前記シート状の絶縁基板から取り外す工程と、前記シート状の絶縁基板における複数の短冊状基板に、前記複数の抵抗層が個々に分離されて個片状基板に分割されるように前記スリット状の第1の分割部と直交する方向に複数の第2の分割部を形成する工程とを備えたもので、この製造方法によれば、スリット状の第1の分割部が複数形成された状態のシート状の絶縁基板の裏面にマグネットの磁力によりマスクを設置し、このマスクを設置した状態で前記絶縁基板の裏面および複数のスリット状の第1の分割部の内面にスパッタ工法により複数対の側面電極層を形成するようにしているため、この側面電極層は従来のように複数の短冊状基板毎に形成することなく、シート状の絶縁基板の状態で一括して形成することができるという作用効果を有するものである。
本発明の請求項4に記載の発明は、シート状の絶縁基板の上面に複数対の上面電極層と複数の抵抗層を両者が電気的に接続されるように形成するとともに、前記複数の抵抗層における前記複数対の上面電極層間の抵抗値を調整するためにトリミングを行う工程と、前記トリミングを行ったシート状の絶縁基板に、前記複数対の上面電極層を分離して複数の短冊状基板に分割するためのスリット状の第1の分割部を複数形成する工程と、少なくとも前記複数の抵抗層を覆うように保護層を形成する工程と、前記スリット状の第1の分割部が複数形成された状態のシート状の絶縁基板の裏面にマグネットの磁力によりマスクを設置する工程と、前記マスクを設置した状態で前記絶縁基板の裏面および複数のスリット状の第1の分割部の内面にスパッタ工法により複数対の側面電極層を形成する工程と、前記側面電極層を形成した後、前記マスクを前記シート状の絶縁基板から取り外す工程と、前記シート状の絶縁基板における複数の短冊状基板に、前記複数の抵抗層が個々に分離されて個片状基板に分割されるように前記スリット状の第1の分割部と直交する方向に複数の第2の分割部を形成する工程とを備えたもので、この製造方法によれば、スリット状の第1の分割部が複数形成された状態のシート状の絶縁基板の裏面にマグネットの磁力によりマスクを設置し、このマスクを設置した状態で前記絶縁基板の裏面および複数のスリット状の第1の分割部の内面にスパッタ工法により複数対の側面電極層を形成するようにしているため、この側面電極層は従来のように複数の短冊状基板毎に形成することなく、シート状の絶縁基板の状態で一括して形成することができるという作用効果を有するものである。
以上のように本発明の抵抗器の製造方法は、従来のように個片状基板の寸法ランクに応じてマスクを交換するという工程をなくすることができるとともに、安価で、かつ微細な抵抗器を提供することができるというすぐれた効果を有するものである。
(実施の形態1)
以下、実施の形態1を用いて、本発明の請求項1〜4に記載の発明について説明する。
図1は本発明の実施の形態1における抵抗器の断面図である。
図1において、11は焼成済みの96%純度のアルミナからなるシート状の絶縁基板をスリット状の第1の分割部とこの第1の分割部に直交関係にある第2の分割部で分割することにより個片化された個片状基板である。12は個片状基板11の上面に形成された銀を主成分とする一対の上面電極層である。13は一対の上面電極層12に一部が重なるように個片状基板11の上面に形成された酸化ルテニウム系の抵抗層である。14は抵抗層13の上面に形成されたプリコートガラス層からなる第1の保護層である。15は一対の上面電極層12間の抵抗層13の抵抗値を修正するために設けられたトリミング溝である。16はプリコートガラス層からなる第1の保護層14を覆うように形成された樹脂を主成分とする第2の保護層である。17は一対の上面電極層12の一部に重なるとともに、個片状基板11の両側面および裏面の両端部を覆うように形成されたニッケルからなる一対の側面電極層である。18は一対の側面電極層17および一対の上面電極層12の一部を覆うように形成されたスズからなるはんだ層である。
以上のように構成された本発明の実施の形態1における抵抗器について、次にその製造方法を図面を参照しながら説明する。
図2は本発明の実施の形態1における抵抗器を製造する場合に用いられるシート状の絶縁基板の全周囲の端部に不要領域部を形成した状態を示す上面図、図3(a)〜(e)、図4(a)〜(e)、図5(a)〜(d)、図6(a)〜(d)、図7(a)〜(c)および図8(a)〜(c)は本発明の実施の形態1における抵抗器の製造方法を示す工程図である。
まず、図2、図3(a)、図4(a)に示すように、焼成済みの96%純度のアルミナからなる厚み0.2mmの絶縁性を有するシート状の絶縁基板21を準備する。この場合、シート状の絶縁基板21は、図2に示すように、全周囲の端部に最終的には製品とならない不要領域部21aを有しているものである。そしてこの不要領域部21aは略ロ字状に構成されているものである。
次に図2、図3(b)、図4(b)に示すように、シート状の絶縁基板21の上面にスクリーン印刷工法により銀を主成分とする複数対の上面電極層22を形成し、ピーク温度850℃の焼成プロファイルで焼成することにより、上面電極層22を安定な膜とした。
次に、図2、図3(c)、図4(c)に示すように、複数対の上面電極層22を跨ぐように、スクリーン印刷工法により酸化ルテニウム系の複数の抵抗層23を形成し、ピーク温度850℃の焼成プロファイルで焼成することにより、抵抗層23を安定な膜とした。
次に、図3(d)、図4(d)に示すように、複数の抵抗層23を覆うように、スクリーン印刷工法により複数のプリコートガラス層からなる第1の保護層24を形成し、ピーク温度600℃の焼成プロファイルで焼成することにより、プリコートガラス層からなる第1の保護層24を安定な膜とした。
次に、図3(e)、図4(e)に示すように、複数対の上面電極層22間の抵抗層23の抵抗値を一定の値に調整するために、レーザートリミング工法によりトリミングを行い、複数のトリミング溝25を形成した。
次に、図5(a)、図6(a)に示すように、図面上の縦方向に並ぶ複数のプリコートガラス層からなる第1の保護層24を覆うように、スクリーン印刷工法により樹脂を主成分とする複数の第2の保護層26を形成し、ピーク温度200℃の硬化プロファイルで硬化することにより、第2の保護層26を安定な膜とした。
次に、図2、図5(b)、図6(b)に示すように、シート状の絶縁基板21の全周囲の端部に形成された不要領域部21aを除いて、複数対の上面電極層22を分離して複数の短冊状基板21bに分割するためのスリット状の第1の分割部27をダイシング工法により複数形成する。この場合、複数のスリット状の第1の分割部27は700μmピッチで形成されており、かつこのスリット状の第1の分割部27の幅は120μm幅となっている。また前記複数のスリット状の第1の分割部27は、シート状の絶縁基板21を上下方向に貫通する貫通孔で形成されているものである。そしてまた前記シート状の絶縁基板21は、不要領域部21aを除いてダイシング工法により複数のスリット状の第1の分割部27を形成しているため、スリット状の第1の分割部27を形成した後も複数の短冊状基板21bは不要領域部21aにつながっているため、シート状態を呈しているものである。
次に、図5(c)、図6(c)に示すように、スリット状の第1の分割部27が複数形成された状態のシート状の絶縁基板21の裏面に磁性金属からなるマスク28を設置するとともに、前記シート状の絶縁基板21の上面側に前記マスク28を所定位置に固定するためのマグネット29を設置する。次に、図5(d)、図6(d)に示すように、この設置状態で、スパッタ工法を用いて、シート状の絶縁基板21の裏面および複数のスリット状の第1の分割部27の内面にニッケルまたはニッケル系合金、例えばニッケル−クロム合金による厚みが約0.1〜1μmの複数対の側面電極層30を形成する。この場合、複数のスリット状の第1の分割部27の内面に形成された側面電極層30は、シート状の絶縁基板21の上面に形成された上面電極層22に接して電気的に接続されるものである。
次に、図7(a)、図8(a)に示すように、マスク28とマグネット29を取り外す。
次に、図7(b)、図8(b)に示すように、電気めっき工法を用いて、露出している複数対の側面電極層30および複数対の上面電極層22の一部を覆うように、厚みが約4〜6μmのニッケルからなる複数対のニッケル層31と厚みが約4〜6μmのスズからなる複数対のはんだ層32を形成する。
上記スパッタ工法により形成される側面電極層30の厚みは約0.1〜1μmの厚みとなっているが、この範囲に限定されるものではなく、ニッケル層31およびはんだ層32を加えた厚みは1〜15μmの厚みが妥当である。
また、上記はんだ層32はスズで構成しているが、これに限定されるものではなく、スズ合金系の材料でもよく、これらの材料で形成した場合は、リフローはんだ付け時に安定したはんだ付けができるものである。
そしてまた、上記上面電極層22は銀系の材料で構成するとともに、抵抗層23は酸化ルテニウム系の材料で構成しているため、耐熱性および耐久性に優れた抵抗特性を確保できるものである。
さらに、上記抵抗層23等を覆う保護層は、抵抗層23を覆うプリコートガラス層からなる第1の保護層24と、この第1の保護層24を覆うとともに、トリミング溝25を覆う樹脂を主成分とする第2の保護層26の2層で構成しているため、前記第1の保護層24でレーザートリミング時のクラックの発生を防止して電流雑音を小さくできるとともに、前記樹脂を主成分とする第2の保護層26で抵抗層23全体が覆われることにより耐湿性に優れた抵抗特性を確保できるものである。
最後に、図2、図7(c)、図8(c)に示すように、シート状の絶縁基板21の全周囲の端部に形成された不要領域部21aを除いて、シート状の絶縁基板21における複数の短冊状基板21bに、複数の抵抗層23が個々に分離されて個片状基板21cに分割されるようにスリット状の第1の分割部27と直交する方向にダイシング工法を用いて複数の第2の分割部33を形成する。この場合、複数の第2の分割部33は400μmピッチで形成されており、かつこの第2の分割部33の幅は100μm幅となっている。そしてこの複数の第2の分割部33は不要領域部21aを除いて複数の短冊状基板21bにダイシング工法により形成するようにしているため、この複数の第2の分割部33を形成する毎に個片状基板21cに切断分割され、そして個片化された製品は不要領域部21aから分離されるものである。
以上のような工程により、本発明の実施の形態1における抵抗器は製造されるものである。
上記工程により製造した抵抗器の長さ寸法および幅寸法はダイシング工法により形成されたスリット状の第1の分割部27および第2の分割部33の間隔が正確(±0.005mm以内)であるとともに、側面電極層30、ニッケル層31およびはんだ層32の厚みも正確であるため、製品である抵抗器の全長および全幅は、正確に長さ0.6mm×幅0.3mmとなるものである。また上面電極層22および抵抗層23のパターン精度も個片状基板の寸法ランク分類が不要であるとともに同一の個片状基板の寸法ランク内での寸法ばらつきを考慮する必要がないため、抵抗層23の有効面積も従来品に比べて大きくとることができるものである。すなわち、従来品における抵抗層は長さ約0.20mm×幅0.19mmであったのに対し、本発明の実施の形態1における抵抗器の抵抗層23は長さ約0.25mm×幅0.24mmとなって面積では約1.6倍以上となるものである。
上記複数のスリット状の第1の分割部27および複数の第2の分割部33はダイシング工法を用いて形成しているもので、この複数のスリット状の第1の分割部27および複数の第2の分割部33は個片状基板の寸法分類が不要なシート状の絶縁基板21にダイシングにより形成するようにしているため、従来のような個片状基板の寸法分類は不要となり、これにより、従来のようなマスク交換による工程の煩雑さをなくすることができるとともに、ダイシングも半導体等で一般的なダイシング設備を用いて容易に行うことができるものである。
また、上記シート状の絶縁基板21は全周囲の端部に最終的には製品とならない不要領域部21aを形成し、かつ複数のスリット状の第1の分割部27および複数の第2の分割部33は前記不要領域部21aには形成しないようにしているため、複数のスリット状の第1の分割部27を形成した後も複数の短冊状基板21bは不要領域部21aにつながっており、そのため、シート状の絶縁基板21が複数の短冊状基板21bに細かく分離されるということはなく、したがって、複数のスリット状の第1の分割部27を形成した後も、不要領域部21aを有するシート状の絶縁基板21の状態で後工程を行うことができるため、工法設計が簡略化できるものである。また複数の第2の分割部33を形成すると、この複数の第2の分割部33を形成する毎に個片状基板21cに切断分割され、そして個片化された製品は不要領域部21aから分離されるため、不要領域部21aと製品とを後で選別するという工法は不要となるものである。
そしてまた、複数対の側面電極層30、ニッケル層31および複数対のはんだ層32はシート状の絶縁基板21の状態で形成するようにしているため、側面電極層30をシート状の絶縁基板21の必要箇所に形成することができるとともに、電気めっき工法によりニッケル層31およびはんだ層32を形成する際には電位差を小さくすることができ、これにより、安定したニッケル層31およびはんだ層32を形成できるものである。
なお、上記本発明の実施の形態1においては、最終的には製品とならない不要領域部21aをシート状の絶縁基板21の全周囲の端部に形成して略ロ字状に構成したものについて説明したが、この不要領域部21aはシート状の絶縁基板21の全周囲の端部に必ずしも形成する必要はなく、例えば、図9に示すようにシート状の絶縁基板21の一端部に不要領域部21dを形成した場合、図10に示すようにシート状の絶縁基板21の両端部に不要領域部21eを形成した場合、図11に示すようにシート状の絶縁基板21の3つの端部に不要領域部21fを形成した場合においても、上記本発明の実施の形態1と同様の作用効果を奏するものである。
また、上記本発明の実施の形態1においては、複数の第2の分割部33をダイシング工法により形成したものについて説明したが、これ以外に、例えば、この複数の第2の分割部33をシート状の絶縁基板21の裏面側、上面側、中央部のいずれかに薄肉部を残してシート状の絶縁基板21の上面側、裏面側、中央部のいずれかをレーザー工法、ダイシング工法等で切断することにより形成してもよく、これらの場合は、第2の分割部33を形成する毎に個片化されるのではなく、2段階で個片化されるものである。
そしてまた、上記本発明の実施の形態1においては、上面電極層22として銀系の材料を用い、かつ抵抗層23として酸化ルテニウム系の材料を用いたが、これらは他の材料系でも本発明の実施の形態1と同様の効果を得ることができるものである。
さらに、上記本発明の実施の形態1においては、スリット状の第1の分割部27および第2の分割部33をダイシング工法を用いて形成したものについて説明したが、このダイシング工法以外に、レーザーやウォータージェット等の分割手段を用いてスリット状の第1の分割部27および第2の分割部33を形成するようにした場合でも、上記本発明の実施の形態1と同様の作用効果を奏するものである。
さらにまた、上記本発明の実施の形態1においては、複数の短冊状基板21bに分割するためのスリット状の第1の分割部27を複数形成する場合、複数対の上面電極層22、複数の抵抗層23、複数の第1の保護層24、複数のトリミング溝25、複数の第2の保護層26を形成したシート状の絶縁基板21にスリット状の第1の分割部27を複数形成するようにしたものについて説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、これ以外に、シート状の絶縁基板21に、最初にスリット状の第1の分割部27を複数形成するようにした場合、スリット状の第1の分割部27をあらかじめ複数形成したシート状の絶縁基板21を用いた場合、シート状の絶縁基板21に複数対の上面電極層22を形成した後、このシート状の絶縁基板21にスリット状の第1の分割部27を複数形成するようにした場合、シート状の絶縁基板21に複数の抵抗層23を形成した後、このシート状の絶縁基板21にスリット状の第1の分割部27を複数形成するようにした場合、シート状の絶縁基板21の複数対の上面電極層22を形成し、かつこの複数対の上面電極層22に一部が重なるように複数の抵抗層23を形成した後、このシート状の絶縁基板21にスリット状の第1の分割部27を複数形成するようにした場合、シート状の絶縁基板21に複数の抵抗層23を形成し、かつこの複数の抵抗層23に一部が重なるように複数対の上面電極層22を形成した後、このシート状の絶縁基板21にスリット状の第1の分割部27を複数形成するようにした場合、シート状の絶縁基板21に複数対の上面電極層22、複数の抵抗層23を形成し、かつこの複数の抵抗層23における前記複数対の上面電極層22間の抵抗値を調整するためにトリミングを行った後、このシート状の絶縁基板21にスリット状の第1の分割部27を形成するようにした場合においても、上記本発明の実施の形態1と同様の効果を奏するものである。
本発明の実施の形態1における抵抗器の断面図 同抵抗器を製造する場合に用いられるシート状の絶縁基板の全周囲の端部に不要領域部を形成した状態を示す上面図 (a)〜(e)同抵抗器の製造工程を示す断面図 (a)〜(e)同抵抗器の製造工程を示す平面図 (a)〜(d)同抵抗器の製造工程を示す断面図 (a)〜(d)同抵抗器の製造工程を示す平面図 (a)〜(c)同抵抗器の製造工程を示す断面図 (a)〜(c)同抵抗器の製造工程を示す平面図 同抵抗器を製造する場合に用いられるシート状の絶縁基板の一端部に不要領域部を形成した状態を示す上面図 同抵抗器を製造する場合に用いられるシート状の絶縁基板の両端部に不要領域部を形成した状態を示す上面図 同抵抗器を製造する場合に用いられるシート状の絶縁基板の3つの端部に不要領域部を形成した状態を示す上面図 従来の抵抗器の断面図 (a)〜(f)従来の抵抗器の製造工程を示す斜視図
符号の説明
21 シート状の絶縁基板
21a,21d〜21f 不要領域部
21b 短冊状基板
21c 個片状基板
22 上面電極層
23 抵抗層
24 第1の保護層
25 トリミング溝
26 第2の保護層
27 スリット状の第1の分割部
28 マスク
30 側面電極層
31 ニッケル層
32 はんだ層
33 第2の分割部

Claims (4)

  1. シート状の絶縁基板の上面に複数対の上面電極層と複数の抵抗層を両者が電気的に接続されるように形成する工程と、前記複数の抵抗層における前記複数対の上面電極層間の抵抗値を調整するためにトリミングを行う工程と、少なくとも前記複数の抵抗層を覆うように保護層を形成する工程と、前記シート状の絶縁基板に、前記複数対の上面電極層を分離して複数の短冊状基板に分割するためのスリット状の第1の分割部を複数形成する工程と、前記スリット状の第1の分割部が複数形成された状態のシート状の絶縁基板の裏面にマグネットの磁力によりマスクを設置する工程と、前記マスクを設置した状態で前記絶縁基板の裏面および複数のスリット状の第1の分割部の内面にスパッタ工法により複数対の側面電極層を形成する工程と、前記側面電極層を形成した後、前記マスクを前記シート状の絶縁基板から取り外す工程と、前記シート状の絶縁基板における複数の短冊状基板に、前記複数の抵抗層が個々に分離されて個片状基板に分割されるように前記スリット状の第1の分割部と直交する方向に複数の第2の分割部を形成する工程とを備えた抵抗器の製造方法。
  2. シート状の絶縁基板の上面に複数対の上面電極層または複数の抵抗層を形成する工程と、前記複数対の上面電極層または複数の抵抗層を形成したシート状の絶縁基板に、前記複数対の上面電極層または複数の抵抗層を分離して複数の短冊状基板に分割するためのスリット状の第1の分割部を複数形成する工程と、前記複数対の上面電極層または複数の抵抗層に一部が重なるように複数の抵抗層または複数対の上面電極層を形成する工程と、前記複数の抵抗層における前記複数対の上面電極層間の抵抗値を調整するためにトリミングを行う工程と、少なくとも前記複数の抵抗層を覆うように保護層を形成する工程と、前記スリット状の第1の分割部が複数形成された状態のシート状の絶縁基板の裏面にマグネットの磁力によりマスクを設置する工程と、前記マスクを設置した状態で前記絶縁基板の裏面および複数のスリット状の第1の分割部の内面にスパッタ工法により複数対の側面電極層を形成する工程と、前記側面電極層を形成した後、前記マスクを前記シート状の絶縁基板から取り外す工程と、前記シート状の絶縁基板における複数の短冊状基板に、前記複数の抵抗層が個々に分離されて個片状基板に分割されるように前記スリット状の第1の分割部と直交する方向に複数の第2の分割部を形成する工程とを備えた抵抗器の製造方法。
  3. シート状の絶縁基板の上面に複数対の上面電極層と複数の抵抗層を両者が電気的に接続されるように形成する工程と、前記複数対の上面電極層および複数の抵抗層を形成したシート状の絶縁基板に、前記複数対の上面電極層を分離して複数の短冊状基板に分割するためのスリット状の第1の分割部を複数形成する工程と、前記複数の抵抗層における前記複数対の上面電極層間の抵抗値を調整するためにトリミングを行う工程と、少なくとも前記複数の抵抗層を覆うように保護層を形成する工程と、前記スリット状の第1の分割部が複数形成された状態のシート状の絶縁基板の裏面にマグネットの磁力によりマスクを設置する工程と、前記マスクを設置した状態で前記絶縁基板の裏面および複数のスリット状の第1の分割部の内面にスパッタ工法により複数対の側面電極層を形成する工程と、前記側面電極層を形成した後、前記マスクを前記シート状の絶縁基板から取り外す工程と、前記シート状の絶縁基板における複数の短冊状基板に、前記複数の抵抗層が個々に分離されて個片状基板に分割されるように前記スリット状の第1の分割部と直交する方向に複数の第2の分割部を形成する工程とを備えた抵抗器の製造方法。
  4. シート状の絶縁基板の上面に複数対の上面電極層と複数の抵抗層を両者が電気的に接続されるように形成するとともに、前記複数の抵抗層における前記複数対の上面電極層間の抵抗値を調整するためにトリミングを行う工程と、前記トリミングを行ったシート状の絶縁基板に、前記複数対の上面電極層を分離して複数の短冊状基板に分割するためのスリット状の第1の分割部を複数形成する工程と、少なくとも前記複数の抵抗層を覆うように保護層を形成する工程と、前記スリット状の第1の分割部が複数形成された状態のシート状の絶縁基板の裏面にマグネットの磁力によりマスクを設置する工程と、前記マスクを設置した状態で前記絶縁基板の裏面および複数のスリット状の第1の分割部の内面にスパッタ工法により複数対の側面電極層を形成する工程と、前記側面電極層を形成した後、前記マスクを前記シート状の絶縁基板から取り外す工程と、前記シート状の絶縁基板における複数の短冊状基板に、前記複数の抵抗層が個々に分離されて個片状基板に分割されるように前記スリット状の第1の分割部と直交する方向に複数の第2の分割部を形成する工程とを備えた抵抗器の製造方法。
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