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JP3695920B2 - 搬送波再生回路および搬送波再生方法 - Google Patents

搬送波再生回路および搬送波再生方法 Download PDF

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  • Stabilization Of Oscillater, Synchronisation, Frequency Synthesizers (AREA)
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ディジタル変調波の同期復調に使用される搬送波再生回路に係り、特に周波数制御ループと位相同期ループを有する搬送波再生回路に関する。
【0002】
【従来の技術】
ディジタル通信やディジタル放送において、受信側でQPSK(4相位相シフトキーイング)変調波のようなディジタル変調波を復調する際に同期復調を行うと、非同期復調の場合よりも復調データの誤り率を小さくできることが知られている。同期復調に際しては、入力の変調波から搬送波を再生する必要がある。
【0003】
特開平6−78009号公報には、このようなディジタル変調波の同期復調に用いられる搬送波再生回路の基本構成が図5で示されている。この搬送波再生回路においては、周波数制御ループ(AFCループ)と位相同期ループ(PLLループ)を併用し、まずAFC動作によって再生搬送波の周波数がPLLループの位相引き込み範囲内に入るように周波数誤差を除去した後、PLLループで再生搬送波の位相誤差を除去し、再生搬送波を入力変調波に対して位相同期させる。この一連の動作が搬送波再生である。ここで、同一チャネル妨害などにより受信状態が悪い状況や低C/N(キャリア・ノイズ比)の状況では、AFC動作で十分に周波数誤差を除去することができないため、搬送波再生を正しく行うことができなくなる。
【0004】
そこで、このように受信状態が悪い状況でも搬送波再生を可能とするために、AFCループとPLLループを交互に繰り返し動作させて搬送波再生を行う技術が特開平7−30602号公報に記載されている。この場合、PLLループが追従できるようにAFCによる再生搬送波の周波数スイープ動作を低速で行う必要があるため、再生搬送波の周波数が所定周波数に達するまでの引き込み時間が長くなるという問題がある。
【0005】
【発明が解決するための手段】
上述したように、AFC動作で再生搬送波の周波数がPLLループの引き込み範囲内に入る程度まで周波数誤差を除去した後、PLLループで再生搬送波の位相誤差を除去するようにした従来の搬送波再生回路では、受信状態が悪い場合、AFC動作で十分に周波数誤差を除去することができず、搬送波再生を行うことが難しいという問題点があり、またAFCループとPLLループを交互に繰り返し動作させる改良された搬送波再生回路では、PLLループが追従できるようにAFCによるスイープ動作を低速で行う必要があるため、引き込み時間が長くなるという問題点があった。
【0006】
本発明は、このような問題点を解消し、変調波の受信状態が悪い状況下でも良好な搬送波再生が可能であり、また引き込み時間を高速化できる搬送波再生回路を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するため、本発明は入力される変調波に対し第1の局部発振信号を乗算して第1の周波数変換信号を生成する第1の周波数変換手段と、第1の周波数変換信号の周波数誤差を検出し、該周波数誤差が減少するように第1の局部発振信号の周波数を制御する周波数制御手段と、第1の周波数変換信号に対し第2の局部発振信号を乗算して第2の周波数変換信号を生成する第2の周波数変換手段と、第2の周波数変換信号の位相誤差を検出し、該位相誤差が減少するように第2の局部発振信号の位相を制御して変調波に位相同期させる位相同期手段と、第1の局部発振信号または第2の局部発振信号の周波数にオフセットを付与するためのオフセット付与手段と、周波数制御手段を動作させた後、位相同期手段を動作させ、位相同期が確立しなかったときにオフセット付与手段を第1の局部発振信号の周波数に対してプラス方向またはマイナス方向のうち予め定めた一方の方向にオフセットを付与するように動作させてから再度位相同期手段を動作させる制御を行い、該制御によっても位相同期が確立しなかったときはオフセット付与手段を第1の局部発振信号の周波数に対してプラス方向またはマイナス方向のうち他方の方向にオフセットを付与するように動作させてから再度位相同期手段を動作させる制御を行う制御手段とを具備したことを特徴とする。
【0008】
このように構成される本発明の搬送波再生回路では、同一チャネル妨害のような伝送妨害等により変調波の受信状態が悪く、PLL動作で位相引き込みができないような状況下でも、第1または第2の局部発振信号の周波数にオフセットを与えることにより、再度のPLL動作で位相引き込みが可能となる。
【0009】
また、従来のAFCによるスイープ動作のみでPLLの引き込み範囲に追い込む方式では、スイープ動作をゆっくりと行う必要があったが、本発明のようにオフセットを付与して引き込み範囲に追い込むようにすると、AFC動作を高速に行うことができ、引き込み時間、すなわち同期確立までに要する時間が短縮される。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係る搬送波再生回路を含むディジタル復調装置の構成を示すブロック図である。
【0011】
図1において、入力端子1にはディジタル変調波としてQPSK変調波が入力される。このQPSK変調波は同相検波器2および直交検波器3に入力され、固定周波数の局部発振器5の出力を90°移相器を含む分配器4に通して得られた0°位相および90°位相の局部発振信号とそれぞれ乗算される。同相検波器2および直交検波器3の出力は、それぞれA/D変換器6および7によりディジタル化される。A/D変換器6および7の出力は第1の複素乗算器8に入力され、後述するAFCループによって生成されるサインおよびコサイン特性の第1の局部発振信号と乗算されることにより、I信号およびQ信号からなる第1の周波数変換信号となる。
【0012】
第1の複素乗算器8から出力される第1の周波数変換信号は、ディジタルローパスフィルタ9および10に入力される。ディジタルローパスフィルタ9および10は、ディジタルデータ伝送における符号間干渉を防止するための伝達特性を有し、一般に送信側のフィルタ特性と組み合わせられたとき、いわゆるロールオフ特性が得られるように設計されている。この結果、第1の複素乗算器8からの第1の周波数変換信号は、ディジタルローパスフィルタ9および10によってアイ開口率が十分に大きくなるようにスペクトル整形される。
【0013】
ディジタルローパスフィルタ9および10の出力は、第2の複素乗算器11に入力され、後述するPLLループによって生成されるサインおよびコサイン特性の第2の局部発振信号とそれぞれ乗算されることにより、I信号およびQ信号からなる第2の周波数変換信号となる。第2の複素乗算器11は、中間周波数帯における周波数変換器と同じ動作をベースバンド帯で実現するものである。すなわち、実数形式の乗算器は負の周波数成分を実現できず、周波数変換器とはならないため、本実施形態では複素乗算器を用いている。
【0014】
第2の複素乗算器11から出力される第2の周波数変換信号は、クロック再生回路12、データ再生回路13、位相検波器16および振幅分布検出回路25に入力される。クロック再生回路12では、第2の周波数変換信号中のシンボルタイミング成分を抽出することによって、クロック信号の再生を行う。再生されたクロック信号は、A/D変換器9および10に変換用クロックとしてフィードバックされる。データ再生回路13では、第2の周波数変換信号を識別再生してI信号およびQ信号に2値化し、出力端子14および15にIおよびQの復調データとして出力する。
【0015】
位相検波器16は、第2の周波数変換信号の位相検波を行ってその位相誤差、言い換えれば後述するPLLループからの第2の局部発振信号の位相誤差を検出する。この位相検波器16から出力される位相誤差信号は、さらに周波数検出器17に入力され、ここで第1の複素乗算器8から出力される第1の周波数変換信号の周波数誤差、言い換えれば後述するAFCループからの第1の局部発振信号の周波数誤差が検出される。
【0016】
周波数検出器17から出力される周波数誤差信号は、ディジタルフィルタからなるAFC用ループフィルタ18により平滑化され、さらに後述するオフセット付加回路19を介して数値制御発振器20の周波数制御端子に供給される。数値制御発振器20は、周波数制御端子に供給されるディジタル信号により出力周波数が変化する回路である。すなわち、数値制御発振器20はオーバーフローを禁止しない累積加算回路によって構成され、周波数制御端子に入力される制御信号の値に応じてそのダイナミックレンジまでの加算動作を行うことで発振状態となり、その発振周波数は制御信号の値によって変化するので、アナログ回路におけるVCO(電圧制御発振器)と同様に動作する。この数値制御発振器20の出力は鋸歯状の信号であるため、データ変換器21によってサインおよびコサイン特性の信号に変換され、第1の局部発振信号となる。データ変換器21は、例えばROMにより実現される。
【0017】
ここで、第1の複素乗算器8〜ディジタルローパスフィルタ9および10〜第2の複素乗算器11〜位相検波器16〜周波数検出器17〜AFC用ループフィルタ18〜オフセット付加回路19〜数値制御発振器20〜データ変換器21〜第1の複素乗算器8のループは、AFCループを構成している。
【0018】
一方、位相検波器16から出力される位相誤差信号は、ディジタルフィルタからなるPLL用ループフィルタ22により平滑化された後、数値制御発振器23の周波数制御端子に供給される。数値制御発振器23は、AFCループの数値制御器20と同様、周波数制御端子に供給されるディジタル信号により出力周波数が変化する回路である。この数値制御発振器23の出力も鋸歯状の信号であるため、例えばROMにより実現されるデータ変換器24によってサインおよびコサイン特性の信号に変換され、第2の局部発振信号となる。
【0019】
ここで、第2の複素乗算器11〜位相検波器16〜PLL用ループフィルタ22〜数値制御発振器23〜データ変換器24〜第2の複素乗算器11のループは、PLLループを構成している。
【0020】
振幅分布検出回路25は、第2の複素乗算器11から出力される第2の周波数変換信号のアイパターンの振幅分布を検出する回路であり、この検出信号は同期判定回路26に入力される。同期判定回路26は、振幅分布検出回路25より出力される検出信号から搬送波再生回路が同期確立状態にあるか否かを判定し、同期確立状態にある場合は同期状態判定信号、同期確立状態にない場合は非同期状態判定信号をそれぞれループ制御回路27に供給する。
【0021】
ループ制御回路27は、同期判定回路26から供給される判定信号に従ってオフセット付加回路19を制御する回路であり、同期判定信号が供給されるとオフセット付加回路19を非動作状態、非同期判定信号が供給されるとオフセット付加回路19を動作状態とする。これによりオフセット付加回路19は、AFC用ループフィルタ18から出力される周波数誤差信号にオフセット信号が重畳し、このオフセット信号重畳後の信号が数値制御発振器20の周波数制御端子に供給されることによって、第1の局部発振信号の周波数にオフセットが付与される。
【0022】
図2に、オフセット付加回路19の構成例を示す。入力端子101にはAFC用ループフィルタ18の出力信号が入力され、入力端子102にはループ制御回路27からの制御信号が入力される。入力端子101に入力されたAFC用ループフィルタ18の出力信号は加算器103に供給され、スイッチ104からの出力信号と加算される。スイッチ104は、入力端子102に入力されたループ制御回路102からの制御信号によって、搬送波再生回路が同期確立状態にある場合は“0”を出力し、同期確立状態にない場合は“+a”または“−a”をオフセット信号として出力する。すなわち、加算器103では搬送波再生回路が同期確立状態にない場合は、入力端子102から入力されたAFC用ループフィルタ18の出力信号にオフセット信号を加算する。この加算器103の出力信号は、出力端子105を介して数値制御発振器20の周波数制御端子に供給される。
【0023】
次に、図3を用いて本実施形態の動作を説明する。
図3は本実施形態における搬送波再生動作を示す図であり、横軸は時間、縦軸は第2の複素乗算器11から出力される第2の周波数変換信号の周波数誤差(第2の局部発振信号の周波数誤差)、またTaはAFC動作期間、TpはPLL動作期間をそれぞれ表している。
【0024】
図3(a)は、AFC動作によって周波数誤差を十分に除去できた場合の搬送波再生動作を示しており、周波数誤差はAFC動作によってPLLの位相引き込み範囲内に収まる程度にまで小さくなり、この後、PLL動作によって位相同期が確立される。
【0025】
図3(b)は、AFC動作によって周波数誤差を十分に除去できなかった場合の搬送波再生動作を示している。同一チャネル妨害等があると、AFCループが特定の周波数に収束してしまうことがある。この場合、周波数誤差はAFC動作によってPLLの位相引き込み範囲内に収まる程度にまで十分小さくならないため、この状態でAFC動作からPLL動作に移行しても、位相同期をとることはできない。
【0026】
このような場合、本実施形態ではループ制御回路27によってAFC用ループフィルタ18およびオフセット付加回路19を制御し、Tpの期間にわたるPLL動作の終了後、オフセット付加回路19を動作状態とし、まずTp−の期間にわたり図2中のスイッチ104を“−a”側に接続して、AFC用ループフィルタ18の出力にマイナスのオフセット信号を付加し、この状態でPLLを再動作させる。こうしてAFC用ループフィルタ18の出力にマイナスのオフセット信号を付加すると、第1の局部発振信号の周波数はプラス側にオフセットし、周波数誤差もプラス側にオフセットして、PLLの位相引き込み範囲から遠ざかる方向に制御がかかるため、位相同期を確立することはできない。
【0027】
そこで、次にループ制御回路27はオフセット付加回路19における図2中のスイッチ104をTp+の期間にわたり“+a”側に接続して、AFC用ループフィルタ18の出力にプラスのオフセット信号を付加し、この状態でPLLを再動作させる。AFC用ループフィルタ18の出力にプラスのオフセット信号を付加すると、第1の局部発振信号の周波数がマイナス側にオフセットし、周波数誤差もマイナス側にオフセットして、PLLの位相引き込み範囲に収まるようになるため、位相同期を確立することができる。
【0028】
なお、図3では第2の周波数変換信号の周波数誤差がプラス側の場合を示しているが、実際には周波数誤差はプラス側とマイナス側の両方になり得る。周波数誤差がプラス側、マイナス側のいずれの方向に発生するかは不確定である。このため、本実施形態ではAFC動作で位相同期が確立しない場合、まず最初に第1の局部発振信号の周波数を予め定めた方向、例えば上記のように一定期間マイナス側にオフセットさせ、この後一定期間プラス側にオフセットさせるようにしている。
【0029】
このように本実施形態によれば、搬送波再生回路が同期確立状態にない場合、AFCおよびPLLを順次動作させた後、第1の局部発振信号の周波数にオフセットを付与して、第2の周波数変換信号の周波数誤差をPLLの位相引き込み範囲内に追い込んでからPLLを再動作させることによって、同一チャネル妨害等により変調波の受信状態が悪い状況下でも搬送波再生が可能であり、またAFC動作を低速で行う必要がないため、引き込み時間を短縮することができる。
【0030】
(第2の実施形態)
図4は、本発明の第2の実施形態に係る搬送波再生回路を含むディジタル復調装置の構成を示すブロック図である。図1と同一部分に同一符号を付して第1の実施形態との相違点を説明すると、本実施形態では受信状態検出回路28が追加されている。
【0031】
受信状態検出回路28は、第2の複素乗算器11より出力される第2の周波数変換信号から、QPSK変調波の受信状態(例えばC/N)を検出する回路であり、その検出結果はループ制御回路27に送られる。ループ制御回路27は、この検出結果を受けて搬送波再生動作を切り替える。
【0032】
図5は、本実施形態においてAFCで十分に周波数誤差を除去できなかった場合の搬送波再生動作を示しており、図3と同様に横軸は時間、縦軸は第2の複素乗算器11から出力される第2の周波数変換信号の周波数誤差(第2の局部発振信号の周波数誤差)、TaはAFC動作期間、TpはPLL動作期間をそれぞれ表している。
【0033】
第1の実施形態では、1回のAFC動作により周波数誤差がPLLの引き込み範囲内に収まる場合について説明したが、低C/Nで周波数誤差が大きい場合には、AFCによる引き込み動作が遅く、1回の所定期間(Ta)にわたるAFC動作では周波数誤差をオフセット付加回路19でPLLの位相引き込み範囲内に追い込む程度まで小さくすることができないことがある。この場合、Taを長く設定すれば1回のAFC動作で周波数誤差を十分に小さくすることができるが、こうすると高C/N時でもAFC動作期間が長くなるため、位相同期確立までに要する時間が長くなってしまう。
【0034】
そこで、第2の実施形態では受信状態検出回路28がQPSK変調波の受信状態が悪く、例えばC/Nが所定値以下に低下したときは、ループ制御回路27によって図5に示すように期間TaにわたるAFC動作と期間TpにわたるPLL動作を所定回数N(図の例ではN=3)交互に繰り返した後、図3(a)の場合と同様に、オフセット付加回路19を動作させてAFC用ループフィルタ18の出力にオフセット信号を付加し、第1の局部発振信号の周波数をオフセットさせて周波数誤差がPLLの引き込み範囲に追い込むことにより、位相同期を確立させる。但し、Taは変調波の高C/N時に引き込み時間が最適となるように設定される。
【0035】
ここで、上述したようにPLL動作後、位相同期が確立していない場合にオフセット付加回路19を動作させていると、PLLの動作期間は(Tp)+(Tp−)+(Tp+)となる。AFC動作とPLL動作を繰り返した場合には、繰り返し回数が増える度に(Tp−)+(Tp+)だけPLLの動作期間が長くなるため、低C/Nとなるほど同期確立に要する時間が長くなってしまう。
【0036】
これに対し、本実施形態では図5に示したようにAFCとPLLの繰り返し動作時に、所定の繰り返し回数(N)まではオフセット付加回路19を非動作状態とし、AFC動作とPLL動作をN回繰り返した後にオフセット付加回路19を動作させて、第1の局部発振信号の周波数にオフセットを付与することにより、低C/N時の引き込み時間を増大させることなく、搬送波再生を可能とすることができる。
【0037】
なお、本実施形態において受信状態検出回路28の検出を多段階とし、例えばC/Nの大きさに応じてAFC動作とPLL動作の繰り返し回数Nを変更してもよい。
【0038】
(第3の実施形態)
図6に、本発明の第3の実施形態に係る搬送波再生回路を含むディジタル復調装置の構成を示す。図1と同一部分に同一符号を付して第1の実施形態との相違点を説明すると、本実施形態ではPLLループにおけるPLL用ループフィルタ22と数値制御発振器23との間にオフセット付加回路29を挿入し、数値制御発振器23から出力される第2の局部発振信号の周波数にオフセットを付与するようにしている。オフセット付加回路29は、第1の実施形態におけるオフセット付加回路19と同様に構成されている。
【0039】
図7は、本実施形態においてAFCで十分に周波数誤差を除去できなかった場合の搬送波再生動作を示しており、横軸は時間、縦軸は第2の複素乗算器11から出力される第2の周波数変換信号の周波数誤差(第2の局部発振信号の周波数誤差)、TA はAFC動作期間、TP はPLL動作期間をそれぞれ表している。図7の実線に示すように、まずAFC動作をTA の期間にわたり行う。ここで、同一チャネル妨害等により周波数誤差が特定の周波数に収束しているため、次のTP の期間にわたるPLL動作で位相同期を確立することはできない。
【0040】
そこで、このような場合は同期判定回路26からの非同期判定信号に基づき、ループ制御回路27によってPLL用ループフィルタ22およびオフセット付加回路29を制御し、TA の期間にわたるAFC動作およびTP の期間にわたるPLL動作の後、オフセット付加回路29を動作状態とし、まずTP-の期間にわたりループフィルタ28の出力にマイナスのオフセット信号を付加し、この状態でPLLを再動作させる。こうしてループフィルタ28の出力にマイナスのオフセット信号を付加すると、第2の局部発振信号の周波数がマイナス側にオフセットし、PLLの引き込み範囲は図7に示すようにマイナス側にオフセットする。この結果、マイナスの周波数誤差に対してはPLLの引き込み範囲が広がるが、プラスの周波数誤差に対してはPLLの引き込み範囲が狭まってしまうことになるため、位相同期を確立することはできない。
【0041】
そこで、次にループ制御回路27はオフセット付加回路29をループフィルタ28の出力にプラスのオフセット信号を付加するように制御し、TP-の期間にわたりPLLを再動作させる。ループフィルタ28の出力にプラスのオフセット信号を付加すると、第2の局部発振信号の周波数がプラス側にオフセットし、PLLの引き込み範囲も図7に示すようにプラス側にオフセットすることによって、プラスの周波数誤差がPLLの引き込み範囲内に収まるようになり、位相同期を確立することができる。
【0042】
なお、図7では第2の周波数変換信号の周波数誤差がプラス側の場合を示しているが、前述したように周波数誤差はプラス側とマイナス側の両方になり得るので、本実施形態ではAFC動作で位相同期が確立しない場合、まず最初に第2の局部発振信号の周波数を予め定めた方向、例えば上記のように一定期間マイナス側にオフセットさせ、この後一定期間プラス側にオフセットさせるようにしている。
【0043】
このように本実施形態によれば、搬送波再生回路が同期確立状態にない場合、AFCおよびPLLを順次動作させた後、第2の局部発振信号の周波数にオフセットを付与して、第2の周波数変換信号の周波数誤差をPLLの引き込み範囲内に追い込んでからPLLを再動作させることによって、第1の実施形態と同様に同一チャネル妨害等により変調波の受信状態が悪い状況下でも搬送波再生が可能であり、またAFC動作を低速で行う必要がないため、同期引き込み時間を短縮することができる。
【0044】
なお、本実施形態の変形として、第2の実施形態と同様に受信状態を検出し、この受信状態に応じてAFCおよびPLLを繰り返し動作させた後にオフセット付加回路29を動作させて第2の局部発振信号の周波数にオフセットを付与することにより、低C/N時の引き込み時間を増大させることなく、搬送波再生を可能とすることができる。この場合も、受信状態検出回路28の検出を多段階として、例えばC/Nの大きさに応じてAFC動作とPLL動作の繰り返し回数Nを変更してもよい。
【0045】
(第4の実施形態)
図8に、本発明の第4の実施形態に係る搬送波再生回路を含むディジタル復調装置の構成を示す。本実施形態では、AFC用ループフィルタ31にオフセット付加機能を持たせている。本実施形態の搬送波再生動作は第1の実施形態と同様であるため、説明を省略する。
【0046】
図9は、本実施形態におけるオフセット付加機能を有するAFC用ループフィルタ31の構成例を示す図であり、入力端子201には周波数検出器17の出力信号が入力され、入力端子202に入力されるループ制御回路27からの制御信号に従って切り替えられるスイッチ203によってAFC動作時に選択されて乗算器204に導かれる。乗算器204では、入力信号に係数αが乗じられる。
【0047】
乗算器204の出力信号は、加算器205とラッチ206で構成されるディジタル積分器により平滑化され、ホールド回路208に供給される。ホールド回路208は,入力端子207に入力されるループ制御回路27からの制御信号に従って、AFC動作時には積分器からの平滑化信号をそのまま出力端子209を経て数値制御発振器20へ供給し、PLL動作時には平滑化信号をホールドして出力端子209を経て数値制御発振器20へ供給する。
【0048】
第1の局部発振信号の周波数に対するオフセットの付与動作は、AFC動作終了後にスイッチ203がプラスのオフセット信号+bまたはマイナスのオフセット信号−bを選択して積分器に供給し、平滑化信号にオフセットを付加することにより行われる。PLLの動作期間にはオフセットが付加された平滑化信号がホールド回路208でホールドされ、出力端子209を経て数値制御発振器20に供給される。このとき、スイッチ203でオフセット信号+bが選択されるとプラスのオフセットが、またオフセット信号−bが選択されるとマイナスのオフセットがそれぞれ第2の局部発振信号の周波数に付与されることになる。
【0049】
(第5の実施形態)
図10に、本発明の第5の実施形態に係る搬送波再生回路を含むディジタル復調装置の構成を示す。本実施形態では、PLL用ループフィルタ32にオフセット付加機能を持たせている。本実施形態の搬送波再生動作は第3の実施形態と同様であるため、説明を省略する。
【0050】
図11は、本実施形態におけるオフセット付加機能を有するPLL用ループフィルタ32の構成例を示す図であり、入力端子301には位相検出器16の出力信号が入力され、入力端子302に入力されるループ制御回路27からの制御信号に従って切り替えられるスイッチ303によってPLL動作時に選択されて乗算器304および307に導かれる。乗算器304では入力信号に係数βが乗じられ、乗算器307では入力信号に係数γが乗じられる。乗算器304の出力信号は加算器305とラッチ306で構成されるディジタル積分器により平滑化され、この平滑化信号が加算器308に供給される。
【0051】
乗算器307の出力信号は加算器308に直接供給され、平滑化信号と加算される。加算器308の出力信号は、ラッチ回路309に入力される。ラッチ回路309は入力端子310を経由してループ制御回路27から入力される制御信号に従って、PLL動作時には積分器からの平滑化信号をそのまま出力端子311を経て数値制御発振器23へ供給し、AFC動作時にはクリアされる。
【0052】
第2の局部発振信号の周波数に対するオフセットの付与動作は、PLL動作が開始する前にスイッチ303でプラスのオフセット信号+cまたはマイナスのオフセット信号−cを選択して積分器に供給し、平滑化信号にオフセットを付加することにより行われる。こうしてオフセットが付加された平滑化信号は、出力端子311を経て数値制御発振器23に供給される。なお、PLLの動作期間にはスイッチ303は入力端子301を経由して入力される位相検出器16の出力信号を選択し、通常のループフィルタとして動作することになる。
【0053】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によればAFC動作により周波数誤差を除去した後にPLLで位相引き込み動作を行い、位相引き込みができず同期確立ができなかった場合に、AFCループにおける第1の局部発振信号の周波数またはPLLループにおける第2の局部発振信号の周波数に適当なオフセットを付与した後、再びPLLを動作させて位相引き込み動作を行うことによって、同一チャネル妨害のような伝送妨害等により変調波の受信状態が悪く、PLL動作で位相引き込みができないような状況下でも、位相引き込みを確実にかつ高速に行い、短時間で同期確立が可能となる。
【0054】
また、AFCとPLLの繰り返し動作を複数回行った後にオフセットの付与を行うことにより、特に低C/Nの状態での位相引き込み時間を増大させることなく位相同期を確立することができる。さらに、この場合に変調波のC/Nなどにより受信状態を検出し、それ応じてAFCとPLLの繰り返し動作回数を設定すれば、より効果的である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る搬送波再生回路を含むディジタル復調装置の構成を示すブロック図
【図2】同実施形態におけるオフセット付加回路の構成例を示すブロック図
【図3】同実施形態における搬送波再生動作を説明するための図
【図4】本発明の第2の実施形態に係る搬送波再生回路を含むディジタル復調装置の構成を示すブロック図
【図5】同実施形態における搬送波再生動作を説明するための図
【図6】本発明の第3の実施形態に係る搬送波再生回路を含むディジタル復調装置の構成を示すブロック図
【図7】同実施形態における搬送波再生動作を説明するための図
【図8】本発明の第4の実施形態に係る搬送波再生回路を含むディジタル復調装置の構成を示すブロック図
【図9】同実施形態におけるオフセット付加可能を有するAFC用ループフィルタの構成例を示すブロック図
【図10】本発明の第5の実施形態に係る搬送波再生回路を含むディジタル復調装置の構成を示すブロック図
【図11】同実施形態におけるオフセット付加可能を有するPLL用ループフィルタの構成を示すブロック図
【符号の説明】
1…変調波入力端子、2…同相検波器、3…直交検波器、4…分配器、5…局部発振器、6,7…A/D変換器、8…第1の複素乗算器、9,10…ディジタルローパスフィルタ、11…第2の複素乗算器、12…クロック再生回路、13…データ再生回路、14,15…復調データ出力端子、16…位相検波器、17…周波数検出器、18…AFC用ループフィルタ、19…オフセット付加回路、20…数値制御発振器、21…データ変換器、22…PLL用ループフィルタ、23…数値制御発振器、24…データ変換器、25…振幅分布検出回路、26…同期判定回路、27…ループ制御回路、28…受信状態検出回路、29…オフセット付加回路、31…オフセット付加可能を有するAFC用ループフィルタ、32…オフセット付加可能を有するPLL用ループフィルタ。

Claims (8)

  1. 入力される変調波に対し第1の局部発振信号を乗算して第1の周波数変換信号を生成する第1の周波数変換手段と、
    前記第1の周波数変換信号の周波数誤差を検出し、該周波数誤差が減少するように前記第1の局部発振信号の周波数を制御する周波数制御手段と、
    前記第1の周波数変換信号に対し第2の局部発振信号を乗算して第2の周波数変換信号を生成する第2の周波数変換手段と、
    前記第2の周波数変換信号の位相誤差を検出し、該位相誤差が減少するように前記第2の局部発振信号の位相を制御して前記変調波に位相同期させる位相同期手段と、
    前記第1の局部発振信号の周波数にオフセットを付与するためのオフセット付与手段と、
    前記周波数制御手段を動作させた後、前記位相同期手段を動作させ、位相同期が確立しなかったときに前記オフセット付与手段を前記第1の局部発振信号の周波数に対してプラス方向またはマイナス方向のうち予め定めた一方の方向にオフセットを付与するように動作させてから再度前記位相同期手段を動作させる制御を行い、該制御によっても位相同期が確立しなかったときは前記オフセット付与手段を前記第1の局部発振信号の周波数に対してプラス方向またはマイナス方向のうち他方の方向にオフセットを付与するように動作させてから再度前記位相同期手段を動作させる制御を行う制御手段と
    を具備したことを特徴とする搬送波再生回路。
  2. 入力される変調波に対し第1の局部発振信号を乗算して第1の周波数変換信号を生成する第1の周波数変換手段と、
    前記第1の周波数変換信号の周波数誤差を検出し、該周波数誤差が減少するように前記第1の局部発振信号の周波数を制御する周波数制御手段と、
    前記第1の周波数変換信号に対し第2の局部発振信号を乗算して第2の周波数変換信号を生成する第2の周波数変換手段と、
    前記第2の周波数変換信号の位相誤差を検出し、該位相誤差が減少するように前記第2の局部発振信号の位相を制御して前記変調波に位相同期させる位相同期手段と、
    前記第1の局部発振信号の周波数にオフセットを付与するためのオフセット付与手段と、
    前記周波数制御手段および前記位相同期手段を交互に前記変調波の受信状態に応じた回数だけ繰り返し動作させた後、位相同期が確立しなかったときに前記オフセット付与手段を動作させてから再度前記位相同期手段を動作させる制御を行う制御手段と
    を具備したことを特徴とする搬送波再生回路。
  3. 入力される変調波に対し第1の局部発振信号を乗算して第1の周波数変換信号を生成する第1の周波数変換手段と、
    前記第1の周波数変換信号の周波数誤差を検出し、該周波数誤差が減少するように前記第1の局部発振信号の周波数を制御する周波数制御手段と、
    前記第1の周波数変換信号に対し第2の局部発振信号を乗算して第2の周波数変換信号を生成する第2の周波数変換手段と、
    前記第2の周波数変換信号の位相誤差を検出し、該位相誤差が減少するように前記第2の局部発振信号の位相を制御して前記変調波に位相同期させる位相同期手段と、
    前記第2の局部発振信号の周波数にオフセットを付与するためのオフセット付与手段と、
    前記周波数制御手段を動作させた後、前記位相同期手段を動作させ、位相同期が確立しなかったときに前記オフセット付与手段を前記第1の局部発振信号の周波数に対してプラス方向またはマイナス方向のうち予め定めた一方の方向にオフセットを付与するように動作させてから再度前記位相同期手段を動作させる制御を行い、該制御によっても位相同期 が確立しなかったときは前記オフセット付与手段を前記第1の局部発振信号の周波数に対してプラス方向またはマイナス方向のうち他方の方向にオフセットを付与するように動作させてから再度前記位相同期手段を動作させる制御を行う制御手段と
    を具備したことを特徴とする搬送波再生回路。
  4. 入力される変調波に対し第1の局部発振信号を乗算して第1の周波数変換信号を生成する第1の周波数変換手段と、
    前記第1の周波数変換信号の周波数誤差を検出し、該周波数誤差が減少するように前記第1の局部発振信号の周波数を制御する周波数制御手段と、
    前記第1の周波数変換信号に対し第2の局部発振信号を乗算して第2の周波数変換信号を生成する第2の周波数変換手段と、
    前記第2の周波数変換信号の位相誤差を検出し、該位相誤差が減少するように前記第2の局部発振信号の位相を制御して前記変調波に位相同期させる位相同期手段と、
    前記第2の局部発振信号の周波数にオフセットを付与するためのオフセット付与手段と、
    前記周波数制御手段および前記位相同期手段を交互に前記変調波の受信状態に応じた回数だけ繰り返し動作させた後、位相同期が確立しなかったときに前記オフセット付与手段を動作させてから再度前記位相同期手段を動作させる制御を行う制御手段と
    を具備したことを特徴とする搬送波再生回路。
  5. 入力される変調波に対し第1の局部発振信号を乗算して第1の周波数変換信号を生成し、前記第1の周波数変換信号の周波数誤差が減少するように前記第1の局部発振信号の周波数を制御し、前記第1の周波数変換信号に対し第2の局部発振信号を乗算して第2の周波数変換信号を生成し、前記第2の周波数変換信号の位相誤差が減少するように前記第2の局部発振信号の位相を制御して前記変調波に位相同期させることにより搬送波再生を行う方法において、
    前記第1の局部発振信号の周波数制御を行った後、前記位相同期を行い、位相同期が完了しなかったときに前記第1の局部発振信号の周波数に対してプラス方向またはマイナス方向のうち予め定めた一方の方向にオフセットを付与してから再度位相同期を行い、該再度位相同期を行っても位相同期が確立しなかったときは前記第1の局部発振信号の周波数に対してプラス方向またはマイナス方向のうち他方の方向にオフセットを付与してから再度位相同期を行うことを特徴とする搬送波再生方法。
  6. 入力される変調波に対し第1の局部発振信号を乗算して第1の周波数変換信号を生成し、前記第1の周波数変換信号の周波数誤差が減少するように前記第1の局部発振信号の周波数を制御し、前記第1の周波数変換信号に対し第2の局部発振信号を乗算して第2の周波数変換信号を生成し、前記第2の周波数変換信号の位相誤差が減少するように前記第2の局部発振信号の位相を制御して前記変調波に位相同期させることにより搬送波再生を行う方法において、
    前記第1の局部発振信号の周波数制御を行った後、前記位相同期を行い、位相同期が確立しなかったときに前記第2の局部発振信号の周波数に対してプラス方向またはマイナス方向のうち予め定めた一方の方向にオフセットを付与してから再度位相同期を行い、該再度位相同期を行っても位相同期が確立しなかったときは前記第2の局部発振信号の周波数に対してプラス方向またはマイナス方向のうち他方の方向にオフセットを付与してから再度位相同期を行うことを特徴とする搬送波再生方法。
  7. 入力される変調波に対し第1の局部発振信号を乗算して第1の周波数変換信号を生成し、前記第1の周波数変換信号の周波数誤差が減少するように前記第1の局部発振信号の周波数を制御し、前記第1の周波数変換信号に対し第2の局部発振信号を乗算して第2の周波数変換信号を生成し、前記第2の周波数変換信号の位相誤差が減少するように前記第2 の局部発振信号の位相を制御して前記変調波に位相同期させることにより搬送波再生を行う搬送波再生方法において、
    前記第1の局部発振信号の周波数制御および前記位相同期を交互に前記変調波の受信状態に応じた回数だけ繰り返し動作させた後、前記位相同期が確立しなかったときに前記第1の局部発振信号の周波数にオフセットを付与してから再度前記位相同期を行うことを特徴とする搬送波再生方法。
  8. 入力される変調波に対し第1の局部発振信号を乗算して第1の周波数変換信号を生成し、前記第1の周波数変換信号の周波数誤差が減少するように前記第1の局部発振信号の周波数を制御し、前記第1の周波数変換信号に対し第2の局部発振信号を乗算して第2の周波数変換信号を生成し、前記第2の周波数変換信号の位相誤差が減少するように前記第2の局部発振信号の位相を制御して前記変調波に位相同期させることにより搬送波再生を行う搬送波再生方法において、
    前記第1の局部発振信号の周波数制御および前記位相同期を交互に前記変調波の受信状態に応じた回数だけ繰り返し動作させた後、前記位相同期が確立しなかったときに前記第2の局部発振信号の周波数にオフセットを付与してから再度前記位相同期を行うことを特徴とする搬送波再生方法。
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