JP3685881B2 - 車両用内装材の取付構造 - Google Patents

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両の車体内に設けられる衝撃吸収部材等の内装材を、その車体の構成部材に一体に取り付けるための、車両用内装材の取付構造に関するものである。
【０００２】
【従来の技術】
従来車両の車体内に設けられる、ガーニッシュ、ライニング等の内装材を、パネル、ピラー等の車体構成部材に一体に取り付ける手段としては、その内装材とは別体のクリップ、タッピングビス等の固着具を用いてその内装材を車体構成部材に取り付けるのが一般的であり、たとえば特開平８−７２６４２号公報には、内装材としてのクッション体を、車体構成部材としてのピラーにビス止めしたものが開示される。
【０００３】
【発明が解決しようとする課題】
ところでかかる従来の取付手段では、内装材とは別体の固着具により、その内装材を車体構成部材に取り付けるため、
1) 内装材の車体構成部材への取付作業時間が長くなる。
【０００４】
2) 複数本の別体の固着具を必要とするため、全体の重量増を招く。
【０００５】
3) 内装材と固着具との分別作業に手間取り、リサイクリングがしにくい。
【０００６】
4) 部品点数が多くまた取付作業時間が長くなることにより、コストアップになる。
という課題がある。
【０００７】
本発明はこのような事情によりなされたもので、前記課題をすべて解決した、新規な車両用内装材の取付構造を提供することを目的とするものである。
【０００８】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明によれば、車両の車体内に設けられる内装材に、内周面に変形部を有する差込孔を設ける一方、車体構成部材に差込ボスを一体に設け、前記差込孔に、その変形部を塑性変形又は弾性変形させて前記差込ボスを差し込むことにより、前記内装材を車体構成部材に一体に仮固定し、前記差込ボスの先端にはクリップを一体に形成し、前記車体構成部材に仮固定された前記内装材を間に挟んで該車体構成部材と対向する別の車体構成部材には、前記クリップが差込可能なクリップ孔を設け、そのクリップ孔への前記クリップの差込みにより、前記両車体構成部材間を、その相互間に前記内装材を挟持、固定しつつ一体に連結することを特徴とする。
【０００９】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、添付図面に示した参考例及び本発明の実施例に基づいて説明する。
【００１０】
まず図１〜６を参照して参考例について説明する。
【００１１】
図１は自動車の斜視図、図２は、図１の２−２線に沿う部分拡大断面図、図３は、図１の３−３線に沿う部分拡大断面図、図４は図２の４−４線に沿う一部破断部分図、図５は、図４の５−５線に沿う断面図、図６は、内装材を車体構成部材に取り付ける過程を示す、それらの斜視図である。
【００１２】
この参考例では、自動車の車体の上部において、ルーフパネル１とヘッドライニング２間の空隙部に設けられる、車体構成部材としてのルーフサイドレール３に、内装材としての衝撃吸収部材Ｄを仮固定するのに実施される。
【００１３】
前記緩衝吸収部材Ｄは、車体内の上部に設けられて、乗員の主として頭部にかかる外力を緩和するのに用いられるものであって、図４，５に最も明瞭に示すように、ウレタン、ポリプロピレン、ポリエチレン等の合成樹脂材により、細長い長方形状に形成されており、その両端には、その主要部よりも薄く形成し、取付孔を設けた取付部ｄが一体に形成されている。緩衝吸収部材Ｄの裏面には、その長手方向に間隔をあけて一対の差込ボスＢが一体に突出形成されている。各差込ボスＢは、図６に明瞭に示すように、中実の円筒状をなす心部４の外周面に、その周方向に間隔をあけて複数のリブ状の変形部５が放射方向に間隔をあけて突出形成されており、この差込ボスＢの変形部５の外縁の描く仮想円の最大直径は、後に述べる車体構成部材すなわちルーフサイドレール３に設けた差込孔６の直径よりも大きく、この差込ボスＢが、その差込孔６に差し込まれるとき、前記変形部５が弾性もしくは塑性変形される。なお差込ボスＢの心部４は先端に向かって先細りの截頭円錐形状に形成することにより差込孔６への差し込みが容易になる。
【００１４】
図２，３に示すように、車両のルーフパネル１と、その内面側に張られるヘッドライニング２との左右両側部間の空隙部には、そのルーフパネル１の一側に固着される、ルーフサイドレール３がそれぞれ設けられる。このルーフサイドレール３は、アウタパネル３ｏとインナパネル３ｉとを一体に溶接して閉断面構造に形成されており、前記空隙部内を、車体の前後方向に延びている。ルーフサイドレール３のインナパネル３ｉには、その長手方向に間隔をあけて複数の差込孔６が穿たれており、これらの差込孔６の中心間の間隔は、前記衝撃吸収部材Ｄの一対の差込ボスＢの中心間の間隔と等しくしてあり、また前述のように差込孔６の直径は、前記取付差込ボスＢの外縁が描く最大直径よりも小さい。
【００１５】
図６（Ａ）に示すように、衝撃吸収部材Ｄの裏面側を、ルーフサイドレール３のインナパネル３ｉの外面に対向させたのち、同図（Ｂ）に示すように、差込ボスＢを差込孔６にそれぞれ差し込めば、差込ボスＢの複数のリブ状の変形部５が潰され、すなわち塑性もしくは弾性変形されて、それらの差込ボスＢは、差込孔６にそれぞれ嵌合され、前記変形部５からの反力によりそこに固定され、これにより衝撃吸収部材Ｄは、ルーフサイドレール３に仮固定される。
【００１６】
前述したようにルーフサイドレール３に仮固定された衝撃吸収部材Ｄは、図４，５に示すように、ヘッドライニング２と、車室内上部に設けられる、アシストグリップ７，８と共にルーフサイドレール３にしっかりと固定される。すなわち衝撃吸収部材Ｄの仮固定されたルーフサイドレール３のインナパネル３ｉ側にヘッドライニング２を重ね、さらにその前、後部にそれぞれアシストグリップ７，８を重ねて、それらの取付孔にそれぞれビス９を貫通してルーフサイドレール３のウエルドナット１０にねじ込めば、ルーフサイドレール３に、アシストグリップ７，８、ヘッドライニング２および衝撃吸収部材Ｄの三者を一体に共締めして最終的にそれらを一体に取り付けることができる。
【００１７】
なお、図２，３中、１２はサイドドアパネル、１３はサイドウインドガラス、１４はドリップシール、１５はドアアウタシール、１６はドアインナシールである。
【００１８】
ところでこの参考例では、ルーフサイドレール３に衝撃吸収部材Ｄをワンタッチで仮固定することができ、その後に衝撃吸収部材Ｄ、ヘッドライニング２およびアシストグリップ７，８の三者を、車体構成部材であるルーフサイドレール３に共締めしてそこに最終的にしっかりと固定することができる。そして前記衝撃吸収部材Ｄは、車室内の乗員の側頭部に対向しており、乗員の側頭部がヘッドライニング２に当たった時の、当たり力を緩和することができる。
【００１９】
次に図１に、図７〜９を併せて参照して本発明の実施例について説明するに、図７は、図１の７−７線に沿う部分拡大断面図、図８は、図７の８−８線に沿う衝撃吸収部材の裏面図、図９は、図８の仮想円部の拡大図であり、前記参考例と同一部材には同一符号が付される。
【００２０】
この参考例では、車体構成部材である、フロントピラーガーニッシュ２１に、内装材としての衝撃吸収部材Ｄ′を一体に仮固定するのに、本発明が実施される。
【００２１】
前記緩衝吸収部材Ｄ′は、前記参考例のものと同じく、ウレタン、ポリプロピレン、ポリエチレン等の合成樹脂材により、フロントピラー２０の内面に沿うように上下方向に細長く形成されている。この衝撃吸収部材Ｄ′には、その長手方向に間隔をあけて、その表裏両面を貫通する四角形状の複数の差込孔２２が設けられており、この差込孔２２の内面の各辺には、図９に明瞭に示すように、それぞれリブ状の変形部２３が内方に向けて一体に設けられている。
【００２２】
フロントピラー２０は、アウタパネル２０ｏとインナーパネル２０ｉとを溶接して閉断面構造に形成され、そのインナパネル２０ｉの外側にこれを被覆するように設けられるフロントピラーガーニッシュ２１の裏面には、前記複数の差込孔２２に対応して複数の差込ボス２４が、その長手方向に間隔をあけて一体に形成されている。これらの差込ボス２４は、図７に示すように先端に向けて先細りの角錐台状に形成されており、さらに各差込ボス２４の頂面には、このフロントピラーガーニッシュ２１を、フロントピラー２０に取り付けるためのクリップ２５がそれぞれ一体に形成されている。なお、図７，９に示すようにフロントピラーガーニッシュ２１の裏面には、複数条の補強用リブ２６が一体に形成されている。
【００２３】
まずフロントピラーガーニッシュ２１は、その裏面に衝撃吸収部材Ｄ′が仮固定されたのち、最終的にフロントピラー２０に一体に取り付けられるものであって、衝撃吸収部材Ｄ′をフロントピラーガーニッシュ２１の裏面側に対応させたのち、この衝撃吸収部材Ｄ′の複数の差込孔２２を、フロントピラーガーニッシュ２１の複数の差込ボス２４にそれぞれ差し込めば、その差込孔２２内面の複数のリブ状変形部２３が潰され、すなわち塑性あるいは弾性変形されて、図７，９に示すようにそれらの差込孔２２はそれぞれ差込ボス２４に嵌合され、変形部２３からの反力により両者が一体に仮固定される。
【００２４】
次に前述のようにして衝撃吸収部材Ｄ′の仮固定されたフロントピラーガーニッシュ２１の、各差込ボス２４の外端のクリップ２５をフロントピラー２０に設けたクリップ孔２７にそれぞれ差し込めば、このフロントピラーガーニッシュ２１は、フロントピラー２０に一体に取り付けられ、それらの間に衝撃吸収部材Ｄ′が最終的に固定される。
【００２５】
ところでこの実施例では、フロントピラーガーニッシュ２１に衝撃吸収部材Ｄ′をワンタッチで仮固定することができ、その後にこのフロントピラーガーニッシュ２１をフロントピラー２０に取り付けることにより、衝撃吸収部材Ｄ′は、フロントピラー２０とフロントピラーガーニッシュ２１との間にしっかりと固定される。そしてこの衝撃吸収部材Ｄ′は、車室内の乗員がフロントピラーガーニッシュ２１に当たった時の当たり力を緩和することができる。
【００２６】
なお、図７中、３０はフロントガラス、３１はピラー見切りシール、３２はドアリップシール、３３はシーラである。
【００２７】
以上、本発明の実施例について説明したが、本発明はその実施例に限定されることなく、本発明の範囲内で種々の実施例が可能である。たとえば前記実施例では、内装材としての衝撃吸収部材を車体構成部材に取り付ける場合について説明したが、車体内に設けられる他の内装材たとえばガーニッシュ、ライニング、ピラー等を車体構成部材に取り付ける場合にも本発明構造を実施できることは勿論であり、また前記実施例では内装材を車体構成部材に仮固定する場合について説明したが、これを車体構成部材に最終的に固定する場合にも適用できる。
【００２８】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、車両の車体内に設けられる内装材に、内周面に変形部を有する差込孔を設ける一方、車体構成部材に差込ボスを一体に設け、前記差込孔に、その変形部を塑性変形又は弾性変形させて前記差込ボスを差し込むことにより、その内装材を車体構成部材に別体の固着具を用いることなく、ワンタッチにて一体に仮固定することができる。次にその内装材の仮固定された車体構成部材の差込ボス先端のクリップを、別の車体構成部材に設けたクリップ孔に差し込めば、その内装材の仮固定された車体構成部材を別の車体構成部材に一体に取り付けることができ、それらの間に内装材が最終的に固定される。その結果、内装材の車体構成部材への組立作業能率を向上させることができると共に部品点数を削減することができて大幅なコストダウンを達成することができ、また内装材と車体構成部材との分別が容易であり、それらのリサイクリング性に優れ、さらに車体全体の重量軽減にも寄与する。また車体構成部材に内装材をワンタッチで仮固定でき、その後にこの車体構成部材を別の車体構成部材にクリップで取り付けることにより、内装材を両車体構成部材間にしっかりと固定することができる。
【図面の簡単な説明】
【図１】 本発明構造を備えた自動車の斜視図
【図２】 図１の２−２線に沿う部分拡大断面図
【図３】 図１の３−３線に沿う部分拡大断面図
【図４】 図２の４−４線に沿う一部破断部分図
【図５】 図４の５−５線に沿う断面図
【図６】 内装材を車体構成部材に取り付ける過程を示す、それらの斜視図
【図７】 図１の７−７線に沿う部分拡大断面図
【図８】 図７の８−８線に沿う衝撃吸収部材の裏面図
【図９】 図８の仮想円部の拡大図
【符号の説明】
２０・・・・・・・別の車体構成部材（フロントピラー）
２１・・・・・・・車体構成部材（フロントピラーガーニッシュ）
２２・・・・・・・差込孔
２３・・・・・・・変形部
２４・・・・・・・差込ボス
２５・・・・・・・クリップ
２７・・・・・・・クリップ孔
Ｂ・・・・・・・・差込ボス
Ｄ′・・・・・・・内装材（衝撃吸収部材）

Claims (1)

1. 車両の車体内に設けられる内装材（Ｄ′）に、内周面に変形部（２３）を有する差込孔（２２）を設ける一方、車体構成部材（２１）に差込ボス（２４）を一体に設け、前記差込孔（２２）に、その変形部（２３）を塑性変形又は弾性変形させて前記差込ボス（２４）を差し込むことにより、前記内装材（Ｄ′）を車体構成部材（２１）に一体に仮固定し、前記差込ボス（２４）の先端にはクリップ（２５）を一体に形成し、前記車体構成部材（２１）に仮固定された前記内装材（Ｄ′）を間に挟んで該車体構成部材（２１）と対向する別の車体構成部材（２０）には、前記クリップ（２５）が差込可能なクリップ孔（２７）を設け、そのクリップ孔（２７）への前記クリップ（２５）の差込みにより、前記両車体構成部材（２１，２０）間を、その相互間に前記内装材（Ｄ′）を挟持、固定しつつ一体に連結することを特徴とする、車両用内装材の取付構造。

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