JP3661351B2 - Binder resin for organic filler and / or inorganic filler - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、機能性を有する有機質フィラーおよび/または無機質フィラー用のバインダー樹脂に関するものであり、特に溶剤に溶解して使用するバインダー樹脂に関する。
【0002】
【従来の技術】
有機質あるいは無機質フィラーをプラスチックあるいはゴムといった高分子に充填し、幅広く各種製品に応用することが検討されている。フィラーは、高分子の力学的性質あるいは熱的性質の改良、磁気的、電気的特性、光学的特性、制振性、遮音性、吸湿性、吸油性、放射線吸収性などの種々の機能の付与などに優れた特徴を持つが、反面、フィラー単独ではフィルム化、シート化などの加工性、成形性が悪く、そのため、高分子系バインダー樹脂との混合系で使用される場合が多い。
【0003】
具体的には、高分子系バインダー樹脂は、磁性塗料、導電性樹脂、光拡散フィルム、摩擦材、摺動材、研磨物品、抗菌性樹脂などの材料に広く応用されている。高分子系バインダー樹脂としては、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエーテル、ポリスチレン、ポリエステルアミド、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、ジエン系ポリマーなどが知られている。
【0004】
一般に、高分子系バインダー樹脂としての基本性能は、例えば、フィラーを高分散あるいは高充填すること、フィラーの結着性を向上させること、基材に対する密着性を向上させることなどが挙げられる。しかしながら、使用される高分子系バインダー樹脂は、これら基本性能を必ずしも満足できるものではなく、さらに特性の向上が求められている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、種々の有機質、無機質フィラーを高濃度で分散可能であり、フィラーの結着性に優れかつ、種々基材に対する密着性の優れた高分子系バインダー樹脂を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、ジエン系(共)重合体の二重結合をスルホン化して得られ、かつスルホン酸(塩)基含量が0.1〜2.5mmol/gのジエン系(共)重合体スルホン化物(以下「ジエン系(共)重合体スルホン化物」あるいは「スルホン化物」ともいう)を主成分とする有機質フィラーおよび/または無機質フィラー用のバインダー樹脂(以下、単に「バインダー樹脂」ともいう)を提供するものである。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明のジエン系(共)重合体スルホン化物は、ジエンモノマーを必須成分とするジエン系(共)重合体(以下「ベースポリマー」ともいう)をスルホン化することによって得られる。
ベースポリマーに使用されるジエンモノマーとしては、例えば、1,3−ブタジエン、1,2−ブタジエン、1,2−ペンタジエン、1,3−ペンタジエン、2,3−ペンタジエン、イソプレン、1,2−ヘキサジエン、1,3−ヘキサジエン、1,4−ヘキサジエン、1,5−ヘキサジエン、2,3−ヘキサジエン、2,4−ヘキサジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、2−エチル−1,3−ブタジエン、1,2−ヘプタジエン、1,3−ヘプタジエン、1,4−ヘプタジエン、1,5−ヘプタジエン、1,6−ヘプタジエン、2,3−ヘプタジエン、2,5−ヘプタジエン、3,4−ヘプタジエン、3,5−ヘプタジエン、シクロペンタジエン、ジシクロペンタジエン、エチリデンノルボルネンなどのほか、分岐した炭素数4〜7の各種脂肪族あるいは脂環族ジエン類が挙げられ、1種単独でまたは2種以上を併用して用いることができる。好ましくは1,3−ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエンである。
【0008】
これらのジエンモノマー以外に、他のモノマーを併用することもできる。他のモノマーとしては、例えば、スチレン、α―メチルスチレン、o−メチルスチレン、p―メチルスチレン、m―メチルスチレン、ビニルナフタレンなどの芳香族モノマー、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチルなどの(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸などのモノあるいはジカルボン酸またはジカルボン酸の無水物、(メタ)アクリロニトリルなどのビニルシアン化合物、塩化ビニル、塩化ビニリデン、ビニルメチルエチルケトン、酢酸ビニル、(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリル酸グリシジルなどの不飽和化合物が挙げられる。これら他のモノマーは、1種単独でまたは2種以上併用して用いることができる。
これら他のモノマーを併用する場合には、ジエンモノマーの使用量は、好ましくは0.5重量%以上、さらに好ましくは1重量%以上、特に好ましくは5重量%以上である。0.5重量%未満では、スルホン化して得られるスルホン化物中に導入されるスルホン酸(塩)基含量が低くなる場合があり好ましくない。
【0009】
ベースポリマーは、ジエンモノマーおよび必要に応じて他のモノマーを、過酸化水素、ベンゾイルパーオキサイド、アゾビスイソブチロニトリルなどのラジカル重合開始剤、あるいはn−ブチルリチウム、ナトリウムナフタレン、金属ナトリウムなどのアニオン重合開始剤の存在下、必要に応じて公知の溶剤を使用して、通常、−100〜150℃、好ましくは0〜130℃で、(共)重合を行うことにより得られる。
【0010】
一方、ジエン系(共)重合体スルホン化物の前駆体であるベースポリマーの残存二重結合の一部を水添して使用することもできる。この場合、公知の水添触媒が使用可能で、例えば、特開平5―222115号公報に記載されているような触媒、方法が挙げられる。ベースポリマーを水添後、後述する方法でスルホン化することもできるが、該(共)重合体をスルホン化したのち、水添してもなんら問題ない。
【0011】
本発明に使用されるベースポリマーは、ランダム型でもAB型あるいはABA型などのブロック型の共重合体でも特に制限なく使用できる。好ましいベースポリマーとしては、例えば、イソプレン単独重合体、ブタジエン単独重合体、イソプレン−スチレンランダム共重合体、イソプレン−スチレンブロック共重合体、スチレン−イソプレン−スチレン三元ブロック共重合体、ブタジエン−スチレンランダム共重合体、ブタジエン−スチレンブロック共重合体、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、およびこれら(共)重合体の水添物、エチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体などが挙げられ、好ましくは芳香族モノマー−共役ジエンブロック共重合体である。
【0012】
ジエンモノマーを必須成分とするベースポリマーあるいはその水添物のポリスチレン換算の重量平均分子量(以下「Mw」という)は、好ましくは3,000〜1,000,000、さらに好ましくは5,000〜500,000、特に好ましくは10,000〜400,000である。Mwが3,000未満であると、充分な引っ張り強度が得られず好ましくなく、一方、1,000,000を超えると、有機溶剤への充分な溶解性が得られず好ましくない。
【0013】
本発明のジエン系(共)重合体スルホン化物は、上記ベースポリマーを、公知の方法、例えば日本科学会編集、新実験講座(14巻 III、1773頁)あるいは、特開平2―227403号公報などに記載された方法でスルホン化して得られる。
【0014】
すなわち、上記ベースポリマーは、該ポリマー中の二重結合部分をスルホン化剤を用いて、スルホン化することができる。このスルホン化の際、二重結合は開環して単結合になるか、あるいは二重結合は残ったまま、水素原子がスルホン酸(塩)と置換することになる。なお、他のモノマーを使用した場合には、二重結合部分がジエンユニット部分以外にも、芳香族ユニットがスルホン化されてもかまわない。
この場合のスルホン化剤としては、好ましくは無水硫酸、無水硫酸と電子供与性化合物との錯体のほか、硫酸、クロルスルホン酸、発煙硫酸、亜硫酸水素塩(Na塩、K塩、Li塩など)などが使用される。
【0015】
ここで、電子供与性化合物としては、N,N−ジメチルホルムアミド、ジオキサン、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテルなどのエーテル類;ピリジン、ピペラジン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミンなどのアミン類;ジメチルスルフィド、ジエチルスルフィドなどのスルフィド類;アセトニトリル、エチルニトリル、プロピルニトリルなどのニトリル化合物などが挙げられ、このうちでもN,N−ジメチルホルムアミド、ジオキサンが好ましい。
【0016】
スルホン化剤の量は、ベースポリマー中のジエンユニット1モルに対して、通常、無水硫酸換算で0.005〜1.5モル、好ましくは0.01〜1.0モルであり、0.005モル未満では、目的とするスルホン化率のものが得られないため、種々の性能が発現できず、一方、1.5モルを超えると、未反応の無水硫酸が多くなり、アルカリで中和したのち、多量の硫酸塩を生じ、純度が低下するため好ましくない。
【0017】
このスルホン化の際には、無水硫酸などのスルホン化剤に不活性な溶媒を使用することもでき、この溶媒としては例えばクロロホルム、ジクロロエタン、テトラクロロエタン、テトラクロロエチレン、ジクロロメタンなどのハロゲン化炭化水素;ニトロメタン、ニトロベンゼンなどのニトロ化合物;液体二酸化イオウ、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサンなどの脂肪族炭化水素が挙げられる。
これらの溶媒は、適宜、2種以上混合して使用することができる。
【0018】
このスルホン化の反応温度は、通常、−70〜+200℃、好ましくは−30〜+50℃であり、−70℃未満ではスルホン化反応が遅くなり経済的でなく、一方+200℃を超えると副反応を起こし、生成物が黒色化あるいは不溶化する場合があり好ましくない。
かくて、ベースポリマーに無水硫酸などのスルホン化剤が結合した中間体〔ベースポリマーのスルホン酸エステル、以下「中間体」という〕が生成する。
【0019】
本発明のジエン系(共)重合体スルホン化物は、この中間体に水または塩基性化合物を作用させることにより、二重結合は開環してスルホン酸(塩)が結合した単結合になるか、あるいは二重結合は残ったまま、水素原子がスルホン酸(塩)と置換することによって得られる。
この塩基性化合物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウムなどのアルカリ金属水酸化物;ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムメトキシド、ナトリウム−t−ブトキシド、カリウム−t−ブトキシドなどのアルカリ金属アルコキシド;炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸リチウムなどの炭酸塩;メチルリチウム、エチルリチウム、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、アミルリチウム、プロピルナトリウム、メチルマグネシウムクロライド、エチルマグネシウムブロマイド、プロピルマグネシウムアイオダイド、ジエチルマグネシウム、ジエチル亜鉛、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウムなどの有機金属化合物;アンモニア水、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、ピリジン、アニリン、ピペラジンなどのアミン類;ナトリウム、リチウム、カリウム、カルシウム、亜鉛などの金属化合物を挙げることができる。これらの塩基性化合物は、1種単独で使用することも、また2種以上を併用することもできる。これらの塩基性化合物の中では、アルカリ金属水酸化物、アンモニア水が好ましく、特に水酸化ナトリウム、水酸化リチウムが好ましい。
【0020】
塩基性化合物の使用量は、使用したスルホン化剤1モルに対して、2モル以下、好ましくは1.3モル以下であり、2モルを超えると、未反応アルカリが多く、製品の純度が低下し好ましくない。
この中間体と塩基性化合物の反応の際には、上記塩基性化合物を水溶液の形で使用することもでき、あるいは塩基性化合物に不活性な有機溶媒に溶解して使用することもできる。
この有機溶媒としては、上記各種の有機溶媒のほか、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素化合物;メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、エチレングリコールなどのアルコール類などが挙げられる。これらの溶媒は、適宜、2種以上混合して使用することができる。
【0021】
塩基性化合物を水溶液または有機溶媒溶液として使用する場合には、塩基性化合物濃度は、通常、1〜70重量%、好ましくは10〜50重量%程度である。また、この反応温度は、通常、−30〜+150℃、好ましくは0〜+120℃、さらに好ましくは+50〜+100℃で行われ、また常圧、減圧あるいは加圧下のいずれでも実施することができる。さらに、この反応時間は、通常、0.1〜24時間、好ましくは0.5〜5時間である。
【0022】
以上のようなジエン系(共)重合体スルホン化物のスルホン酸(塩)基含量は、0.1〜2.5mmol/g、好ましくは0.2〜2mmol/gである。0.1mmol/g未満では、基材に対する密着性、フィラーの分散性などの性能が得られず好ましくなく、一方、2.5mmol/gを超えると、有機溶剤への溶解性が不充分となり好ましくない。
【0023】
このような本発明のジエン系(共)重合体スルホン化物の構造は、赤外線吸収スペクトルによってスルホン基の吸収より確認でき、これらの組成比は元素分析などにより知ることができる。また、核磁気共鳴スペクトルにより、その構造を確認することができる。
なお、本発明のジエン系(共)重合体スルホン化物は、共重合体の場合、ジエンモノマー以外の他の単量体に基づく構成成分が導入されることにより、有機フィラー、無機フィラーへの吸着能力をコントロールできるとともに、基材への密着性が向上するといった効果が得られ、フィラーの高充填性、スラリーの安定性および長期信頼性が大幅に改良される。
【0024】
本発明のバインダー樹脂は、上記ジエン系(共)重合体スルホン化物を主成分とし、各種有機質フィラーあるいは無機質フィラーなどと混合、分散して、バインダー組成物として使用される。有機質フィラーあるいは無機質フィラーとしては、剛性、引っ張り強さ、耐衝撃性、靭性、摺動性などの力学的性質を付与するもの、耐熱性、熱膨張性、熱線放射性などの熱的性質を付与するもの、導電性、絶縁性、圧電性、焦電性、誘電性、半導体性、磁性、電磁波吸収性、電磁波反射性などの電気、磁気的特性を付与するもの、光透過性、遮光性、光散乱性、光吸収性、フォトクロミック性、紫外線吸収性、赤外線吸収性、耐光性、抗菌性などの光学的性質を付与するもの、制振性、遮音性、吸湿性、吸ガス性、吸油性、放射線吸収性などを付与するものが使用できる。
【0025】
上記有機質・無機質フィラーの具体例としては、カーボンブラック、ケッチェンブラック、黒鉛、木炭粉、炭素繊維、鉄、銀、銅、鉛、ニッケル、炭化ケイ素、酸化スズ、酸化鉄、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化セリウム、酸化カルシウム、酸化ジルコニウム、酸化アンチモンフェライト、アルミナ、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、チタン酸カリウム、チタン酸バリウム、チタン酸、ジルコン酸鉛、ホウ酸亜鉛、炭酸亜鉛、マイカ、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、硫化モリブデン、ポリテトラフルオロエチレン(テフロン)粉、タルク、アスベスト、シリカビーズ、ガラス粉、ハイドロタルサイト、鉄フタロシアニン、シリカゲル、ゼオライト、セピオライト、ゾノトライト、活性白土、ポリマービーズなどが挙げられる。
【0026】
また、本発明のバインダー樹脂と上記フィラーを混合する際に、溶剤を使用することができる。使用できる溶剤としては、例えば、トルエン、キシレンなどの芳香族系溶媒、ヘキサン、ヘプタンなどの脂肪族系溶剤、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン系溶剤、テトラヒドロフラン、ジオキサンなのエーテル系溶剤、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル系溶剤、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコールなどのアルコール系溶剤、ジメチルホルムアミドなどのアミド系溶剤などが使用される。これら溶剤は、単独で使用しても、2種以上併用して使用してもなんら問題ない。
【0027】
さらに、本発明のバインダー樹脂、フィラーおよび必要に応じて溶剤を混合分散する方法は特に制限はなく、撹拌機、サンドミル、ペイントコンディショナー、ボールミルなど公知の方法が使用できる。また、これら混合物(バインダー組成物)は、ディップコート、スピンコート、バーコートなどの公知の方法により、目的とする被塗物(基材)上に塗布され、必要であれば溶剤を蒸発させて使用することができる。
【0028】
本発明のバインダー樹脂とフィラーの割合は、応用する用途によって各種違っており、一概に定義できないが、バインダー樹脂の使用量は、フィラーに対して、通常、0.3〜100重量%、好ましくは0.5〜80重量%である。
【0029】
また、本発明のバインダー樹脂以外に、他のバインダー樹脂を併用することもできる。他のバインダー樹脂としては、ポリエステル系樹脂、アクリル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、セルロース系樹脂、ポリオルガノシロキサン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリサルフォン樹脂などが挙げられる。
【0030】
また、任意の添加剤として、公知の難燃剤、熱安定剤、酸化防止剤、光安定化剤、離型剤、可塑剤、着色剤、滑剤、発泡剤なども併用することができる。
【0031】
なお、本発明のバインダー樹脂と各種フィラーなどの混合物(バインダー組成物)は、通常、ある種の基材に塗布されて使用されるが、その基材は特に制限はない。例えばポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、ABS樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどの高分子材料、アルミニウム、銅、ジュラルミンなどの非鉄金属、ステンレス、鉄などの鋼板、ガラス、木材、紙、石膏、アルミナ、無機質硬化体、織布あるいは不織布などの多孔質材料などが挙げられる。
【0032】
本発明のバインダー樹脂は、フィラーの高分散性、高充填性、および高結着性を有するため、バインダーとしての必要量が少なくてすみ、その分、フィラーを高充填できることが特徴であり、フィラーのもつ性能を充分発揮することができる。また、基材に対する高密着性を有するため、基材からの剥離などによる性能の低下がほとんどなく、各種特性の性能向上および長期間の使用にあたってもその性能を維持できるという特徴がある。さらには、フィラーと混合したスラリーの静置安定性が優れていることも特徴の一つである。
【0033】
本発明のバインダー樹脂とフィラーを組み合わせることにより、種々用途に適用可能である。例えば、一般塗料、回路基板用塗料、導電性材料、電池材料、電池電極材料、電磁波シールド材料、帯電防止塗料、面状発熱体、電気化学的反応電極板、電気接点材料、摩擦材、抗菌材料、摺動材、研磨材料、磁気記録媒体、感熱記録材料、エレクトロクロミック材料、光拡散フィルム、通信ケーブル用遮水材、遮光フィルム、遮音シート、プラスチック磁石、X線増感スクリーン、印刷インキ、農薬粒剤、電子写真トナーなどの用途に有用である。
【0034】
【実施例】
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明がこれらによって限定されるものではない。なお、実施例中の部および%は、特に断らない限り、重量基準である。また、実施例における各種の測定、調製方法、評価は、下記方法により実施した。
【0035】
重量平均分子量(Mw)
ゲルパーミエションクロマトグラフィー(GPC)により、標準サンプルとしてポリスチレンを用いて測定した。
スルホン酸基の総含量
合成したスルホン化物を、トルエン/イソプロピルアルコール(重量比=95/5)溶液に溶解し、溶解後、硫酸塩、水酸化物などの不溶物をフィルターで除去したのち、溶剤を除去してスルホン酸基含量測定サンプルを得た。サンプル中のイオウ含量を元素分析から求め、スルホン化物中のスルホン酸基の量を算出した。
【0036】
バインダー樹脂とフィラーの混合方法
以下の配合処方で、バインダー樹脂、フィラー、溶剤〔トルエン/イソプロピルアルコール(IPA)(重量比)=90/10〕および直径4mmのSUSボール30gを500ccポリビン中に秤取り、ペイントコンディショナーを用いて、30分間、分散・混合した。混合後、ナイロンメッシュでSUSボールを除去したのち、スラリー(バインダー組成物)を回収した。スラリーの粘度をB型粘度計で測定し、分散性の尺度とした。
【0037】
配合処方1;
バインダー樹脂 : 10g
カーボンブラック : 90g
〔三菱化学(株)製、No.10B〕
トルエン/IPA(重量比=90/10):300g
配合処方2;
バインダー樹脂 : 20g
酸化鉄 : 80g
〔チタン工業(株)製、AX−1000〕
トルエン/IPA(重量比=90/10):200g
【0038】
配合処方3;
バインダー樹脂 : 20g
導電性酸化チタン : 80g
〔チタン工業(株)製、EC−210〕
トルエン/IPA(重量比=90/10):300g
配合処方4;
バインダー樹脂 : 20g
銅粉 : 80g
〔三井金属工業(株)製、MF−D2〕
トルエン/IPA(重量比=90/10):200g
【0039】
スラリー(バインダー組成物)の塗布方法
上記スラリーを、各種基板上に3ミルのアプリケータを用いて、塗布した。塗布後、80℃で、1時間、乾燥後、試験サンプルとした。
スラリーの安定性
1週間、スラリーを静置し、フィラーの沈降状況およびスラリーの流動性を目視にて判断した。沈降、流動性ともに問題無い場合を○、沈降あるいは流動性のどちらか一つが不良の場合を△、沈降および流動性ともに不良の場合を×とした。
密着性
基材への密着性を碁盤目粘着テープ(セロハンテープ使用)剥離試験で評価した。
表面光沢
塗膜表面の光沢をグロスメーター〔堀場製作所(株)製、IG−330〕にて測定した。
【0040】
参考例(スルホン化物A〜Eの調製)
▲1▼ガラス製反応容器に規定量のジオキサン(100g)を入れ、これに規定量の無水硫酸(スルホン化物A;4.2g、同B;13.8g、同C;9.9g、同D;6.9g、同E;3.3g)を内温を25℃に保ちながら添加し、2時間攪拌して、無水硫酸−ジオキサン錯体を得た。
▲2▼表1に示すベースポリマー(100g)のシクロヘキサン溶液(濃度=25%)中に上記▲1▼で得られた錯体全量を、内温を25℃に保ちながら添加し、さらに2時間攪拌を続けた。これに、規定量の水酸化物〔スルホン化物A;水酸化ナトリウム(2.5g)、同B;水酸化リチウム1水和物(8.7g)、同C;水酸化ナトリウム(6.0g)、同D;水酸化リチウム1水和物(4.3g)、同E;水酸化ナトリウム(2.0g)〕を50gの水に溶解した水溶液およびメタノール(50g)を添加し、80℃で1時間攪拌した。攪拌後、減圧下で水および溶剤を留去してバインダー樹脂となるスルホン化物を得た。スルホン酸基の含量およびMwの測定結果を、表1に示す。
【0041】
実施例1〜5、比較例1〜2
表1のスルホン化物をバインダー樹脂として用い、上記配合処方1に従って、各種のスラリー(バインダー組成物)を調製し、このスラリーを基材に塗布(乾燥目付=15g/m2 )して試験サンプルを作製し、評価した。結果を表2に示す。
【0042】
実施例6〜10、比較例3〜4
表1のスルホン化物をバインダー樹脂として用い、上記配合処方2に従って、各種のスラリーを調製し、このスラリーを基材に塗布(乾燥目付=15g/m2 )して試験サンプルを作製し、評価した。結果を表3に示す。
【0043】
実施例11〜15、比較例5〜6
表1のスルホン化物をバインダー樹脂として用い、上記配合処方3に従って、各種のスラリーを調製し、このスラリーを基材に塗布(乾燥目付=15g/m2 )して試験サンプルを作製し、評価した。結果を表4に示す。
【0044】
実施例16〜20、比較例7〜8
表1のスルホン化物をバインダー樹脂として用い、上記配合処方4に従って、各種のスラリーを調製し、このスラリーを基材に塗布(乾燥目付=15g/m2 )して試験サンプルを作製し、評価した。結果を表5に示す。
なお、上記各比較例において用いた、バインダー樹脂R−1は、ポリエステル樹脂〔東洋紡(株)製、バイロン200〕、バインダー樹脂R−2は、イソプレン−スチレンランダム共重合体〔ST/IP(モル比)=20/80、重量平均分子量=10万〕である。
【0045】
【表1】
【0046】
【表2】
【0047】
【表3】
【0048】
【表4】
【0049】
【表5】
【0050】
【発明の効果】
本発明のバインダー樹脂は、有機系・無機系フィラーの高分散性、高充填性、および高結着性を有するため、バインダーとしての必要量が少なくてすみ、その分、フィラーを高充填できることが特徴であり、フィラーの持つ性能を充分発揮することができる。また、基材に対する高密着性を有するため、基材からの剥離などによる性能の低下がほとんどなく、各種特性の性能向上および長期間の使用にあたっても、その性能を維持することができるという特徴を有する。さらには、フィラーと混合したスラリーの静置安定性が優れていることも特徴の一つである。[0001]
BACKGROUND OF THE INVENTION
The present invention relates to a binder resin for organic fillers and / or inorganic fillers having functionality, and particularly relates to a binder resin used by being dissolved in a solvent.
[0002]
[Prior art]
It has been studied to fill organic or inorganic fillers with polymers such as plastic or rubber and apply them to various products. Fillers give various functions such as improvement of mechanical or thermal properties of polymers, magnetic, electrical, optical, vibration control, sound insulation, moisture absorption, oil absorption, radiation absorption, etc. However, the filler alone has poor processability and moldability such as film formation and sheet formation, and is therefore often used in a mixed system with a polymer binder resin.
[0003]
Specifically, polymer binder resins are widely applied to materials such as magnetic paints, conductive resins, light diffusion films, friction materials, sliding materials, abrasive articles, and antibacterial resins. As the polymer binder resin, urethane resin, phenol resin, acrylic resin, polyester resin, polyamide resin, polyether, polystyrene, polyesteramide, polycarbonate, polyvinyl chloride, diene polymer, and the like are known.
[0004]
In general, basic performance as a polymer binder resin includes, for example, highly dispersing or highly filling a filler, improving the binding property of the filler, and improving the adhesion to a substrate. However, the polymer binder resin to be used does not necessarily satisfy these basic performances, and further improvement in characteristics is required.
[0005]
[Problems to be solved by the invention]
An object of the present invention is to provide a polymer binder resin that can disperse various organic and inorganic fillers at a high concentration, has excellent binder binding properties, and has excellent adhesion to various substrates. .
[0006]
[Means for Solving the Problems]
The present invention is a diene (co) polymer sulfonated product obtained by sulfonating a double bond of a diene (co) polymer and having a sulfonic acid (salt) group content of 0.1 to 2.5 mmol / g. Provided a binder resin (hereinafter also simply referred to as “binder resin”) for organic fillers and / or inorganic fillers comprising as a main component (hereinafter also referred to as “diene (co) polymer sulfonated product” or “sulfonated product” ) . To do.
[0007]
DETAILED DESCRIPTION OF THE INVENTION
The diene (co) polymer sulfonated product of the present invention is obtained by sulfonating a diene (co) polymer (hereinafter also referred to as “base polymer”) containing a diene monomer as an essential component.
Examples of the diene monomer used in the base polymer include 1,3-butadiene, 1,2-butadiene, 1,2-pentadiene, 1,3-pentadiene, 2,3-pentadiene, isoprene, and 1,2-hexadiene. 1,3-hexadiene, 1,4-hexadiene, 1,5-hexadiene, 2,3-hexadiene, 2,4-hexadiene, 2,3-dimethyl-1,3-butadiene, 2-ethyl-1,3 -Butadiene, 1,2-heptadiene, 1,3-heptadiene, 1,4-heptadiene, 1,5-heptadiene, 1,6-heptadiene, 2,3-heptadiene, 2,5-heptadiene, 3,4-heptadiene , 3,5-heptadiene, cyclopentadiene, dicyclopentadiene, ethylidene norbornene, etc., and branched carbon number To 7 various aliphatic or alicyclic dienes may be mentioned, it is possible to use in combination of at least one kind alone or in combination. 1,3-butadiene, isoprene and 1,3-pentadiene are preferred.
[0008]
In addition to these diene monomers, other monomers can be used in combination. Examples of other monomers include aromatic monomers such as styrene, α-methylstyrene, o-methylstyrene, p-methylstyrene, m-methylstyrene, vinylnaphthalene, methyl (meth) acrylate, and (meth) acrylic acid. (Meth) acrylic acid alkyl esters such as ethyl, butyl (meth) acrylate, (meth) acrylic acid, crotonic acid, maleic acid, fumaric acid, itaconic acid and other mono- or dicarboxylic acid or dicarboxylic acid anhydrides, ) Unsaturated compounds such as vinylcyan compounds such as acrylonitrile, vinyl chloride, vinylidene chloride, vinyl methyl ethyl ketone, vinyl acetate, (meth) acrylamide, and glycidyl (meth) acrylate. These other monomers can be used alone or in combination of two or more.
When these other monomers are used in combination, the amount of diene monomer used is preferably 0.5% by weight or more, more preferably 1% by weight or more, and particularly preferably 5% by weight or more. If it is less than 0.5% by weight, the sulfonic acid (salt) group content introduced into the sulfonated product obtained by sulfonation may be low, which is not preferable.
[0009]
The base polymer is composed of diene monomer and other monomer as required, radical polymerization initiator such as hydrogen peroxide, benzoyl peroxide, azobisisobutyronitrile, or n-butyllithium, sodium naphthalene, metallic sodium, etc. In the presence of an anionic polymerization initiator, it can be obtained by (co) polymerization at -100 to 150 ° C., preferably 0 to 130 ° C., using a known solvent as necessary.
[0010]
On the other hand, a part of the residual double bond of the base polymer, which is a precursor of the diene (co) polymer sulfonated product, can be used by hydrogenation. In this case, a known hydrogenation catalyst can be used, and examples thereof include a catalyst and a method described in JP-A-5-222115. After the hydrogenation of the base polymer, it can be sulfonated by the method described later, but there is no problem even if the (co) polymer is sulfonated and then hydrogenated.
[0011]
The base polymer used in the present invention may be a random type or a block type copolymer such as AB type or ABA type without particular limitation. Preferred base polymers include, for example, isoprene homopolymers, butadiene homopolymers, isoprene-styrene random copolymers, isoprene-styrene block copolymers, styrene-isoprene-styrene ternary block copolymers, butadiene-styrene random copolymers. Preferred examples include copolymers, butadiene-styrene block copolymers, styrene-butadiene-styrene block copolymers, hydrogenated products of these (co) polymers, ethylene-propylene-diene terpolymers, and the like. Is an aromatic monomer-conjugated diene block copolymer.
[0012]
The polystyrene-equivalent weight average molecular weight (hereinafter referred to as “Mw”) of the base polymer having a diene monomer as an essential component or a hydrogenated product thereof is preferably 3,000 to 1,000,000, more preferably 5,000 to 500. 1,000, particularly preferably 10,000 to 400,000. If the Mw is less than 3,000, a sufficient tensile strength cannot be obtained, which is not preferable. On the other hand, if it exceeds 1,000,000, a sufficient solubility in an organic solvent cannot be obtained.
[0013]
In the diene (co) polymer sulfonated product of the present invention, the above base polymer can be prepared by a known method, for example, edited by the Japan Society of Science, New Experiment Course (Vol. 14, III, 1773) or JP-A-2-227403. Obtained by sulfonation by the method described in 1. above.
[0014]
That is, in the base polymer, a double bond portion in the polymer can be sulfonated using a sulfonating agent. During the sulfonation, the double bond is opened to form a single bond, or the hydrogen atom is replaced with a sulfonic acid (salt) while the double bond remains. When other monomers are used, the aromatic unit may be sulfonated in addition to the double bond portion other than the diene unit portion.
In this case, the sulfonating agent is preferably sulfuric anhydride, a complex of sulfuric anhydride and an electron donating compound, sulfuric acid, chlorosulfonic acid, fuming sulfuric acid, bisulfite (Na salt, K salt, Li salt, etc.) Etc. are used.
[0015]
Here, examples of the electron donating compound include ethers such as N, N-dimethylformamide, dioxane, dibutyl ether, tetrahydrofuran, and diethyl ether; amines such as pyridine, piperazine, trimethylamine, triethylamine, and tributylamine; dimethyl sulfide, diethyl Sulfides such as sulfide; nitrile compounds such as acetonitrile, ethyl nitrile, propyl nitrile, and the like, and among them, N, N-dimethylformamide and dioxane are preferable.
[0016]
The amount of the sulfonating agent is usually 0.005 to 1.5 mol, preferably 0.01 to 1.0 mol in terms of sulfuric anhydride, with respect to 1 mol of the diene unit in the base polymer. If the amount is less than 1 mol, the desired sulfonation rate cannot be obtained, so that various performances cannot be exhibited. On the other hand, if the amount exceeds 1.5 mol, the amount of unreacted sulfuric anhydride increases and neutralized with alkali. After that, a large amount of sulfate is produced, and the purity is lowered.
[0017]
In the sulfonation, a solvent inert to the sulfonating agent such as sulfuric anhydride can be used. Examples of the solvent include halogenated hydrocarbons such as chloroform, dichloroethane, tetrachloroethane, tetrachloroethylene, and dichloromethane; nitromethane And nitro compounds such as nitrobenzene; aliphatic hydrocarbons such as liquid sulfur dioxide, propane, butane, pentane, hexane, and cyclohexane.
These solvents can be used as a mixture of two or more.
[0018]
The sulfonation reaction temperature is usually −70 to + 200 ° C., preferably −30 to + 50 ° C. If the temperature is lower than −70 ° C., the sulfonation reaction is slow and is not economical. And the product may be blackened or insolubilized.
Thus, an intermediate in which a sulfonating agent such as sulfuric anhydride is bonded to the base polymer [sulfonic acid ester of the base polymer, hereinafter referred to as “intermediate”] is formed.
[0019]
In the diene (co) polymer sulfonated product of the present invention, when water or a basic compound is allowed to act on this intermediate, the double bond is ring-opened to form a single bond to which a sulfonic acid (salt) is bonded. Alternatively, it is obtained by replacing a hydrogen atom with a sulfonic acid (salt) while leaving a double bond.
Examples of the basic compound include alkali metal hydroxides such as sodium hydroxide, potassium hydroxide, and lithium hydroxide; sodium methoxide, sodium ethoxide, potassium methoxide, sodium-t-butoxide, potassium-t-butoxide, and the like. Alkali metal alkoxides; carbonates such as sodium carbonate, potassium carbonate, lithium carbonate; methyl lithium, ethyl lithium, n-butyl lithium, sec-butyl lithium, amyl lithium, propyl sodium, methyl magnesium chloride, ethyl magnesium bromide, propyl magnesium Organometallic compounds such as iodide, diethylmagnesium, diethylzinc, triethylaluminum, triisobutylaluminum; ammonia water, trimethylamine, triethylamino , Tripropylamine, tributylamine, pyridine, aniline, amines such as piperazine; include sodium, lithium, potassium, calcium, a metal compound such as zinc. These basic compounds can be used alone or in combination of two or more. Among these basic compounds, alkali metal hydroxides and ammonia water are preferable, and sodium hydroxide and lithium hydroxide are particularly preferable.
[0020]
The amount of the basic compound used is 2 mol or less, preferably 1.3 mol or less with respect to 1 mol of the sulfonating agent used. When the amount exceeds 2 mol, there are many unreacted alkalis and the purity of the product is lowered. It is not preferable.
In the reaction of the intermediate and the basic compound, the basic compound can be used in the form of an aqueous solution, or can be used by dissolving in an organic solvent inert to the basic compound.
Examples of the organic solvent include the above-mentioned various organic solvents, aromatic hydrocarbon compounds such as benzene, toluene, and xylene; alcohols such as methanol, ethanol, propanol, isopropanol, and ethylene glycol. These solvents can be used as a mixture of two or more.
[0021]
When the basic compound is used as an aqueous solution or an organic solvent solution, the concentration of the basic compound is usually 1 to 70% by weight, preferably about 10 to 50% by weight. The reaction temperature is usually from -30 to + 150 ° C, preferably from 0 to + 120 ° C, more preferably from +50 to + 100 ° C, and can be carried out at normal pressure, reduced pressure, or increased pressure. Furthermore, this reaction time is 0.1 to 24 hours normally, Preferably it is 0.5 to 5 hours.
[0022]
The sulfonic acid (salt) group content of the diene (co) polymer sulfonated product as described above is 0.1 to 2.5 mmol / g, preferably 0.2 to 2 mmol / g. If it is less than 0.1 mmol / g, performance such as adhesion to the substrate and dispersibility of the filler cannot be obtained. On the other hand, if it exceeds 2.5 mmol / g, the solubility in an organic solvent becomes insufficient. Absent.
[0023]
The structure of the diene (co) polymer sulfonated product of the present invention can be confirmed from the absorption of the sulfone group by infrared absorption spectrum, and the composition ratio thereof can be known by elemental analysis or the like. Moreover, the structure can be confirmed by a nuclear magnetic resonance spectrum.
In the case of the copolymer, the diene (co) polymer sulfonated product of the present invention is adsorbed on organic fillers and inorganic fillers by introducing constituents based on monomers other than diene monomers. The ability to control the capacity and the effect of improving the adhesion to the substrate are obtained, and the high filler filling property, the slurry stability and the long-term reliability are greatly improved.
[0024]
The binder resin of the present invention contains the above diene (co) polymer sulfonated product as a main component, and is mixed and dispersed with various organic fillers or inorganic fillers and used as a binder composition. Organic fillers or inorganic fillers impart mechanical properties such as rigidity, tensile strength, impact resistance, toughness, and slidability, and impart thermal properties such as heat resistance, thermal expansion, and heat radiation. Things, conductivity, insulation, piezoelectricity, pyroelectricity, dielectricity, semiconductivity, magnetism, electromagnetic wave absorptivity, electromagnetic wave imparting properties, etc., light transmission, light shielding, light Those that impart optical properties such as scattering, light absorption, photochromic, ultraviolet absorption, infrared absorption, light resistance, antibacterial properties, vibration damping, sound insulation, moisture absorption, gas absorption, oil absorption, Those imparting radiation absorbability can be used.
[0025]
Specific examples of the organic / inorganic filler include carbon black, ketjen black, graphite, charcoal powder, carbon fiber, iron, silver, copper, lead, nickel, silicon carbide, tin oxide, iron oxide, titanium oxide, magnesium oxide. , Zinc oxide, cerium oxide, calcium oxide, zirconium oxide, antimony ferrite, alumina, aluminum hydroxide, magnesium hydroxide, potassium titanate, barium titanate, titanate, lead zirconate, zinc borate, zinc carbonate, mica , Barium sulfate, calcium carbonate, molybdenum sulfide, polytetrafluoroethylene (Teflon) powder, talc, asbestos, silica beads, glass powder, hydrotalcite, iron phthalocyanine, silica gel, zeolite, sepiolite, zonotlite, activated clay, polymer beads, etc. And the like.
[0026]
Moreover, a solvent can be used when mixing the binder resin of this invention and the said filler. Examples of usable solvents include aromatic solvents such as toluene and xylene, aliphatic solvents such as hexane and heptane, ketone solvents such as acetone and methyl ethyl ketone, ether solvents such as tetrahydrofuran and dioxane, ethyl acetate, and butyl acetate. An ester solvent such as methanol, ethanol or isopropyl alcohol, an amide solvent such as dimethylformamide, or the like is used. These solvents may be used alone or in combination of two or more.
[0027]
Furthermore, the method for mixing and dispersing the binder resin, filler and, if necessary, the solvent of the present invention is not particularly limited, and known methods such as a stirrer, a sand mill, a paint conditioner, and a ball mill can be used. In addition, these mixtures (binder compositions) are applied onto a target object (base material) by a known method such as dip coating, spin coating, or bar coating, and if necessary, the solvent is evaporated. Can be used.
[0028]
The ratio between the binder resin and the filler of the present invention varies depending on the application to be applied and cannot be defined generally. However, the amount of the binder resin used is usually 0.3 to 100% by weight, preferably based on the filler. 0.5 to 80% by weight.
[0029]
In addition to the binder resin of the present invention, other binder resins can be used in combination. Other binder resins include polyester resins, acrylic resins, polystyrene resins, polyvinyl chloride resins, polyvinylidene chloride resins, polyethylene resins, polypropylene resins, polyurethane resins, polyamide resins, polyvinyl acetate resins, polyvinyl alcohol resins, epoxy resins. , Phenol resin, cellulose resin, polyorganosiloxane resin, polyimide resin, polysulfone resin and the like.
[0030]
As optional additives, known flame retardants, heat stabilizers, antioxidants, light stabilizers, mold release agents, plasticizers, colorants, lubricants, foaming agents and the like can be used in combination.
[0031]
In addition, the mixture (binder composition) of the binder resin and various fillers of the present invention is usually used by being applied to a certain type of substrate, but the substrate is not particularly limited. For example, polycarbonate resin, acrylic resin, ABS resin, polymer materials such as polyethylene terephthalate and polybutylene terephthalate, non-ferrous metals such as aluminum, copper and duralumin, steel plates such as stainless steel and iron, glass, wood, paper, gypsum, alumina, inorganic Examples thereof include porous materials such as cured bodies, woven fabrics, and non-woven fabrics.
[0032]
Since the binder resin of the present invention has a high dispersibility, high filling property, and high binding property of the filler, the amount required as a binder can be reduced, and the filler can be highly filled accordingly. The performance of can be fully demonstrated. In addition, since it has high adhesion to the base material, there is almost no deterioration in performance due to peeling from the base material, etc., and there is a feature that the performance can be maintained even when the performance of various properties is improved and used for a long period of time. Furthermore, one of the features is that the stationary stability of the slurry mixed with the filler is excellent.
[0033]
By combining the binder resin and filler of the present invention, it can be applied to various uses. For example, general paint, circuit board paint, conductive material, battery material, battery electrode material, electromagnetic shielding material, antistatic paint, sheet heating element, electrochemical reaction electrode plate, electrical contact material, friction material, antibacterial material , Sliding materials, polishing materials, magnetic recording media, thermal recording materials, electrochromic materials, light diffusion films, water shielding materials for communication cables, light shielding films, sound insulation sheets, plastic magnets, X-ray intensifying screens, printing inks, agricultural chemicals Useful in applications such as granules and electrophotographic toners.
[0034]
【Example】
Examples of the present invention will be described below, but the present invention is not limited thereto. In addition, unless otherwise indicated, the part and% in an Example are a basis of weight. Further, various measurements, preparation methods, and evaluations in the examples were carried out by the following methods.
[0035]
Weight average molecular weight (Mw )
It was measured by gel permeation chromatography (GPC) using polystyrene as a standard sample.
Total content of sulfonic acid group The synthesized sulfonated product is dissolved in a toluene / isopropyl alcohol (weight ratio = 95/5) solution, and after dissolution, insoluble materials such as sulfates and hydroxides are removed with a filter. Thereafter, the solvent was removed to obtain a sample for measuring the sulfonic acid group content. The sulfur content in the sample was determined from elemental analysis, and the amount of sulfonic acid groups in the sulfonated product was calculated.
[0036]
Mixing method of binder resin and filler With the following formulation, binder resin, filler, solvent [toluene / isopropyl alcohol (IPA) (weight ratio) = 90/10] and 30 g of 4 mm diameter SUS balls are weighed in a 500 cc polybin. The mixture was dispersed and mixed for 30 minutes using a paint conditioner. After mixing, the SUS balls were removed with a nylon mesh, and then the slurry (binder composition) was recovered. The viscosity of the slurry was measured with a B-type viscometer and used as a measure of dispersibility.
[0037]
Formulation 1;
Binder resin: 10g
Carbon black: 90g
[Mitsubishi Chemical Corporation, No. 10B]
Toluene / IPA (weight ratio = 90/10): 300 g
Formulation 2;
Binder resin: 20g
Iron oxide: 80g
[Manufactured by Titanium Industry Co., Ltd., AX-1000]
Toluene / IPA (weight ratio = 90/10): 200 g
[0038]
Formulation 3;
Binder resin: 20g
Conductive titanium oxide: 80g
[Titanium Industry Co., Ltd., EC-210]
Toluene / IPA (weight ratio = 90/10): 300 g
Formulation 4;
Binder resin: 20g
Copper powder: 80g
[MF-D2 manufactured by Mitsui Kinzoku Kogyo Co., Ltd.]
Toluene / IPA (weight ratio = 90/10): 200 g
[0039]
Method of applying slurry (binder composition) The slurry was applied on various substrates using a 3 mil applicator. After application, the test sample was dried at 80 ° C. for 1 hour and then used as a test sample.
The stability of the slurry was allowed to stand for 1 week, and the sedimentation state of the filler and the fluidity of the slurry were visually determined. The case where there was no problem in both sedimentation and fluidity was marked as ◯, the case where either sedimentation or fluidity was poor was marked as Δ, and the case where sedimentation and fluidity were poor was marked as x.
Adhesion The adhesion to the substrate was evaluated by a cross-cut adhesive tape (using cellophane tape) peel test.
Surface gloss The gloss of the coating film surface was measured with a gloss meter (manufactured by Horiba, Ltd., IG-330).
[0040]
Reference example (preparation of sulfonated products A to E)
(1) A prescribed amount of dioxane (100 g) was placed in a glass reaction vessel, and a prescribed amount of sulfuric anhydride (sulfonated product A: 4.2 g, the same B; 13.8 g, the same C; 9.9 g, the same D). 6.9 g and E; 3.3 g) were added while maintaining the internal temperature at 25 ° C., and the mixture was stirred for 2 hours to obtain an anhydrous sulfuric acid-dioxane complex.
(2) The total amount of the complex obtained in (1) above was added to a cyclohexane solution (concentration = 25%) of the base polymer (100 g) shown in Table 1 while maintaining the internal temperature at 25 ° C., and further stirred for 2 hours. Continued. To this, a prescribed amount of hydroxide [sulfonate A: sodium hydroxide (2.5 g), B: lithium hydroxide monohydrate (8.7 g), C: sodium hydroxide (6.0 g) D: Lithium hydroxide monohydrate (4.3 g), E: Sodium hydroxide (2.0 g)] in 50 g of water and methanol (50 g) were added. Stir for hours. After stirring, water and the solvent were distilled off under reduced pressure to obtain a sulfonated product that became a binder resin. Table 1 shows the content of sulfonic acid groups and the measurement results of Mw.
[0041]
Examples 1-5, Comparative Examples 1-2
Using the sulfonated product of Table 1 as a binder resin, various types of slurries (binder compositions) were prepared according to the above compounding formula 1, and this slurry was applied to a substrate (dry basis weight = 15 g / m 2 ). Prepared and evaluated. The results are shown in Table 2.
[0042]
Examples 6-10, Comparative Examples 3-4
Using the sulfonated product of Table 1 as a binder resin, various types of slurries were prepared according to the above compounding formula 2, and this slurry was applied to a substrate (dry basis weight = 15 g / m 2 ) to prepare a test sample and evaluated. . The results are shown in Table 3.
[0043]
Examples 11-15, Comparative Examples 5-6
Using the sulfonated product of Table 1 as a binder resin, various types of slurries were prepared according to the above compounding formula 3, and this slurry was applied to a substrate (dry basis weight = 15 g / m 2 ) to prepare a test sample and evaluated. . The results are shown in Table 4.
[0044]
Examples 16-20, Comparative Examples 7-8
Using the sulfonated product of Table 1 as a binder resin, various types of slurries were prepared according to the above formulation 4 and this slurry was applied to a substrate (dry basis weight = 15 g / m 2 ) to prepare a test sample and evaluated. . The results are shown in Table 5.
The binder resin R-1 used in each of the above comparative examples is a polyester resin [Toyobo Co., Ltd., Byron 200], and the binder resin R-2 is an isoprene-styrene random copolymer [ST / IP (mol). Ratio) = 20/80, weight average molecular weight = 100,000].
[0045]
[Table 1]
[0046]
[Table 2]
[0047]
[Table 3]
[0048]
[Table 4]
[0049]
[Table 5]
[0050]
【The invention's effect】
Since the binder resin of the present invention has high dispersibility, high filling property, and high binding property of organic and inorganic fillers, the amount required as a binder can be reduced, and accordingly, the filler can be highly filled. It is a feature and can fully exhibit the performance of the filler. In addition, since it has high adhesion to the base material, there is almost no deterioration in performance due to peeling from the base material, etc., and it is possible to maintain the performance even in the performance improvement of various characteristics and long-term use. Have. Furthermore, one of the features is that the stationary stability of the slurry mixed with the filler is excellent.
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