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JP3654264B2 - オーバーハング部材及びオーバーハング部施工構造 - Google Patents

オーバーハング部材及びオーバーハング部施工構造 Download PDF

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JP3654264B2
JP3654264B2 JP2002171871A JP2002171871A JP3654264B2 JP 3654264 B2 JP3654264 B2 JP 3654264B2 JP 2002171871 A JP2002171871 A JP 2002171871A JP 2002171871 A JP2002171871 A JP 2002171871A JP 3654264 B2 JP3654264 B2 JP 3654264B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は,建物におけるベランダ等のオーバーハング部の前方下端部に配設されるオーバーハング部材に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より,図13に示すごとく,建物におけるベランダ等のオーバーハング部の前方壁面に,外壁板5を配設してなる垂れ壁仕様のオーバーハング部施工構造8がある。
上記外壁板5は,上記オーバーハング部の構造躯体41に,縦胴縁等の下地材42,通気用スペーサ46を介して固定されている。また,上記オーバーハング部の底部には,軒天材43が配設されている。
【0003】
ところが,上記オーバーハング部施工構造8は,斜め前方下方から,即ち屋外から通常の視線角度で見上げたとき,上記外壁板5の下辺部53が見えてしまう。また,上記オーバーハング部の前方壁面を構成する上記外壁板5の外壁意匠面51が,下端部で突然途切れてしまう状態となり,外観意匠性が低下するおそれがある。
【0004】
かかる観点から,図14に示すごとく,上記オーバーハング部の前方下端部に,縦断面L字形状のオーバーハング部材9を配設したオーバーハング部施工構造80がある。これにより,上記オーバーハング部の前方下端部においても,上記外壁板5の外壁意匠面51と同様の意匠面95を構成することができ,オーバーハング部施工構造80の外観意匠性を向上させることができる。
【0005】
該オーバーハング部材9は,例えば以下のごとく製造する。
まず,図15に示すごとく,窯業系外壁板などの板材910を切断して,適当な大きさに板片91を切り出す。次いで,図16に示すごとく,該板片91の一方の側端部911を斜めに切り落し,表側面912及び裏側面913に対して約45°の角度をなす切断面914を形成する。また,表側面912の端部916についても,欠け防止のため,面取りしておく。
【0006】
次いで,図17,図18に示すごとく,2枚の上記板片91の上記切断面914同士を突き合せ,2枚の板片91の表側面912が略直角となるように接合する。このとき,2枚の板片91の上記切断面914の間には,接着剤92を介在させる。これにより,上記2枚の板片91を接着する。
また,上記2枚の板片91の接合部93には,タッカー94を打ち込み,接合強度を確保する。
次いで,図19に示すごとく,上記接合部93の外側角部931を面取り切断し,該外側角部931の欠けを防止すると共に外観意匠性を向上させる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら,上記従来のオーバーハング部材9は,上述のごとく,接着剤92を用いて2枚の板片91を接着する。そのため,接着養生の必要があり,製造に時間がかかる。また,2枚の板片91の突合せ角度(例えば略90°)を保持した状態で乾燥させるための保持治具が必要である。
【0008】
また,上記接着剤92が接合部93からはみ出すこともあり,オーバーハング部材9の外観意匠性を低下させるおそれがある。それ故,この場合には,接着養生後に,はみ出した接着剤92を削り取る必要がある。
また,上述のごとく,上記接合部93にタッカー94を打ったり,上記接合部93の外側角部931を面取り切断する必要もある。そして,面取り面を後から補修塗装する必要もある。
【0009】
更には,上記板片91の表側面912に柄模様が形成されている場合に,その柄模様が上記接合部93の両側においてずれると,違和感を生じ,オーバーハング部材9の外観意匠性が低下するおそれがある。
また,それ故,2枚の板片91を接合するにあたっては,互いの柄模様がずれないよう位置合わせを慎重に行う必要がある。
【0010】
また,上記オーバーハング部施工構造は,前方下端部が略直角状に形成されるため,緩やかな外観を表出することは困難であり,場合によっては外観意匠性を低下させる原因となる。
【0011】
本発明は,かかる従来の問題点に鑑みてなされたもので,製造容易,安価かつ外観意匠性に優れたオーバーハング部材及びこれを用いたオーバーハング部施工構造を提供しようとするものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
第1の発明は,建物のオーバーハング部の前方下端部に配設されるオーバーハング部材において,
該オーバーハング部材は,一体的に形成された窯業系材料からなる面取本体と,該面取本体に固定された取付板とを有し,
上記面取本体は,上記オーバーハング部の外側に前方下方を向いて配される面取意匠面と,該面取意匠面の反対側に形成された背面と,上記背面の上端において前方へ向って形成された上端面と,上記背面の後端において下方へ向って形成された後端面と,上記面取意匠面の前端において上方へ向って形成された前端面と,上記面取意匠面の下端において後方へ向って形成された下端面とを有し,
上記取付板は,上記面取本体の上記背面に固定する固定板部と,該固定板部の上端から上方に延設された上方脚板部と,上記固定板部の下端から後方に延設された後方脚板部とを有し,
上記上方脚板部は,上記固定板部との間に,前方へ突出した横目地用突出部を設けてなることを特徴とするオーバーハング部材にある(請求項1)。
【0013】
次に,本発明の作用効果につき説明する。
上記面取本体は,上述のごとく一体的に形成されている。そのため,上記面取本体の製造にあたっては,接合,接着の工程を必要としない。それ故,上記面取本体は製造が容易であり,その結果,オーバーハング部材の製造が容易となる。
また,上記面取本体は一体的に形成され,接合部を有しないため,外観意匠性に優れている。
また,上記オーバーハング部材は上記取付板を有するため,該取付板を介して上記オーバーハング部材を上記オーバーハング部に容易に施工することができる。
【0014】
また,上記面取本体は,上記面取意匠面を有しているため,該面取意匠面によって,上記オーバーハング部の前方下端部を面取りしたような外観に形成することができる。それ故,緩やかな印象を与える外観意匠性の高いオーバーハング部を構築することができる。
【0015】
以上のごとく,本発明によれば,製造容易かつ外観意匠性に優れたオーバーハング部材を提供することができる。
【0016】
第2の発明は,建物のオーバーハング部の前方下端部にオーバーハング部材を配設してなるオーバーハング部施工構造において,
該オーバーハング部施工構造は,上記オーバーハング部の構造躯体に下地材を介して,或いは下地材を介さずに上記オーバーハング部材及び該オーバーハング部材の上方に配された窯業系材料からなる外壁板とを留め付けてなると共に,上記構造躯体の底面に軒天材を配設してなり,
該オーバーハング部材は,一体的に形成された窯業系材料からなる面取本体と,該面取本体に固定された取付板とを有し,上記面取本体は,上記オーバーハング部の外側に前方下方を向いて配される面取意匠面と,該面取意匠面の反対側に形成された背面と,上記背面の上端において前方へ向って形成された上端面と,上記背面の後端において下方へ向って形成された後端面と,上記面取意匠面の前端において上方へ向って形成された前端面と,上記面取意匠面の下端において後方へ向って形成された下端面とを有しており,上記取付板は,上記面取本体の上記背面に固定する固定板部と,該固定板部の上端から上方に延設された上方脚板部と,上記固定板部の下端から後方に延設された後方脚板部とを有し,
上記オーバーハング部材は,上記取付板の上記上方脚板部において上記構造躯体に固定されていると共に,上記後方脚板部によって,上記軒天材の前端部を下方から被っており,
上記上方脚板部は,上記固定板部との間に,前方へ突出した横目地用突出部を設けてなり,該横目地用突出部は,上記面取本体の上端面と上記外壁板の下辺部との間に配置されており,
かつ,上記面取本体と上記外壁板の外壁側端面との間には,目地処理材が配設してあることを特徴とするオーバーハング部施工構造にある(請求項)。
【0017】
上記面取本体は一体的に形成され,接合部を有しないため,外観意匠性に優れている。
また,上記面取本体は,上記面取意匠面を有しているため,該面取意匠面によって,上記オーバーハング部の前方下端部を面取りしたような外観に形成することができる。それ故,緩やかな印象を与える外観意匠性の高いオーバーハング部施工構造を得ることができる。
【0018】
また,上記面取本体は,上述のごとく一体的に形成されているため,上記面取本体の製造にあたっては,接合,接着の工程を必要としない。それ故,上記面取本体は製造が容易であり,その結果,オーバーハング部材の製造が容易となる。これにより,上記オーバーハング部施工構造を安価に得ることが可能となる。
また,上記オーバーハング部材は上記取付板を有し,該取付板における脚板部において,下地材及び構造躯体に上記オーバーハング部材を固定することができる。そのため,上記オーバーハング部材を容易に施工することができる。
【0019】
以上のごとく,本発明によれば,施工容易かつ外観意匠性に優れたオーバーハング部施工構造を提供することができる。
【0020】
【発明の実施の形態】
上記第1の発明(請求項1)においては,上記取付板は,例えば厚み0.3〜1.0mmの金属板を折り曲げ加工してなる。また,該金属板の材質としては,例えば,メッキ鋼板,ステンレス鋼板等を用いることができる。また,上記取付板は,アルミや樹脂等の押出成形等によって形成することもできる。
【0021】
また,「一体的に形成」とは,複数の部材を接合して形成することなく,例えば,一体成形により形成したり,一体成形体等を切断,切削加工して形成したりすることをいう。以下においても同様である。
なお,本明細書においては,上記オーバーハング部材を施工した状態において,上,下,左,右となる向きを,それぞれ,上,下,左,右として表す。
【0022】
また,上記後方脚板部は,該後方脚板部の後端よりも前方に,上記建物の軒天材の前端面を当接させることが可能な軒天当接板部を,上方に向って立設してなることが好ましい(請求項2)。
この場合には,上記軒天材を上記オーバーハング部材の取付け後に,容易に固定することができる。
【0023】
また,上記取付板は,上記後方脚板部の上方に,上記建物の軒天材の前端部を収容するためのソケット部を形成してなるものであってもよい(請求項3)。
この場合には,上記軒天材が,上記ソケット部を介して上記オーバーハング部材の後方脚板部を支持することとなるため,上記オーバーハング部材の固定力が向上する。また,上記軒天材の前端面の位置が多少前後にずれても,外観等に影響を与えることがないという利点もある。
【0024】
また,上記後方脚板部は,上記軒天当接板部又は上記ソケット部よりも前方に,通気及び水抜きのための開口穴を形成してなることが好ましい(請求項4,請求項)。
この場合には,上記開口穴から上記外壁板の後方へ空気を導入し,通気性を確保することができる。また,万一上記外壁板の後方に雨水が浸入した場合にも,この雨水を上記開口穴から排出することができる。
これにより,上記外壁板,構造躯体等の腐食,劣化を防ぐことができ,耐久性に優れたオーバーハング部施工構造を得ることができる。
【0025】
また,上記上方脚板部は,上記固定板部との間に,前方へ突出した横目地用突出部を設けてなる。
これにより,上記面取本体を,取付板における正確な位置に固定することができる。また,上記オーバーハング部材を施工するにあたり,該オーバーハング部材の上方に配設される外壁板を正確な位置に施工することが容易となる。
【0026】
次に,上記第2の発明(請求項)において,上記オーバーハング部材の面取本体は,上記外壁板と同質の材料からなることが好ましい。これにより,上記オーバーハング部において,外壁板とオーバーハング部材とが連続した外観を表出し,より外観意匠性に優れたオーバーハング部施工構造を得ることができる。
また,上記目地処理材としては,例えば,シーリング材を用いることもでき,乾式のドライシール部材を用いることもできる。
【0027】
また,上記後方脚板部は,該後方脚板部の後端よりも前方に,軒天当接板部を,上方に向って立設してなり,該軒天当接板部に上記軒天材の前端面を当接させてなることが好ましい(請求項)。
この場合には,上記軒天材を上記オーバーハング部材の取付け後に,容易に固定することができる。
【0028】
また,上記取付板は,上記後方脚板部の上方にソケット部を形成してなり,該ソケット部に上記軒天材の前端部を収容してあってもよい(請求項)。
この場合には,上記軒天材が,上記ソケット部を介して上記オーバーハング部材の後方脚板部を支持することとなるため,上記オーバーハング部材の固定力が向上する。また,上記軒天材の前端面の位置が多少前後にずれても,外観等に影響を与えることがないという利点もある。
【0029】
また,上記上方脚板部は,上記固定板部との間に,前方へ突出した横目地用突出部を設けてなり,該横目地用突出部は,上記面取本体の上端面と上記外壁板の下辺部との間に配置されている。
これにより,上記オーバーハング部材と,その上方に配設される外壁板との間隔を一定にすることができる。また,例えば,上記横目地用突出部の前面にボンドブレーカを貼着して,その上(面取本体と外壁板との間の隙間部)に適正な量の目地処理材を充填することができる。
【0030】
【実施例】
(実施例1)
本発明の実施例にかかるオーバーハング部材及びオーバーハング部施工構造につき,図1〜図8を用いて説明する。
本例のオーバーハング部材1は,図1,図2に示すごとく,建物のオーバーハング部の前方下端部に配設される。
【0031】
図1,図3に示すごとく,該オーバーハング部材1は,一体的に形成された面取本体2と,該面取本体2に固定された取付板3とを有する。
上記面取本体2は,図1,図4に示すごとく,上記オーバーハング部の外側に前方下方を向いて配される面取意匠面21と,該面取意匠面21の反対側に形成された背面22とを有している。
【0032】
上記取付板3は,図3,図5に示すごとく,上記面取本体2の上記背面22に固定する固定板部31と,該固定板部31の上端から上方に延設された上方脚板部32と,上記固定板部31の下端から後方に延設された後方脚板部33とを有する。
【0033】
図1,図4に示すごとく,上記面取本体2は,上記背面22の上端において前方へ向って形成された上端面221と,上記背面22の後端において下方へ向って形成された後端面222とを有する。また,上記面取本体2は,上記面取意匠面21の前端において上方へ向って形成された前端面211と,上記面取意匠面21の下端において後方へ向って形成された下端面212とを有する。
【0034】
また,図1,図3,図5に示すごとく,上記後方脚板部33は,該後方脚板部33の後端よりも前方に,上記建物の軒天材43の前端面431を当接させることが可能な軒天当接板部34を,上方に向って立設してなる。
また,上記後方脚板部33は,上記軒天当接板部34よりも前方に,通気及び水抜きのための開口穴331を形成してなる。該開口穴331は,図3,図7に示すごとく,所定の間隔をもって複数形成されている。
【0035】
また,図1,図3,図5に示すごとく,上記上方脚板部32は,上記固定板部31との間に,前方へ突出した横目地用突出部35を設けてなる。該横目地用突出部35は,断面略コ字状に形成されており,その下面352は上記面取本体2の上端面221に対面し,上面353は後述する外壁板5の下辺部53に対面する。
【0036】
また,図1,図5に示すごとく,上記後方脚板部33は,後方に向って若干上方に傾斜して形成されている。
また,上記固定板部31は,上記面取本体2の上記後端面222を含めた背面22の形状に沿って形成されている。そして,上記面取本体2は,上記背面22において,上記取付板3の固定板部31に,接着剤11を介在させることにより接着固定されている。なお,面取本体11と取付板3との固定方法は,金具固定等,他の方法であってもよい。
【0037】
次に,上記オーバーハング部材1を用いた,本例のオーバーハング部施工構造4につき説明する。
該オーバーハング部施工構造4は,図1に示すごとく,上記オーバーハング部の構造躯体41に下地材42を介して上記オーバーハング部材1及び該オーバーハング部材1の上方に配された外壁板5とを留め付けてなると共に,上記構造躯体41の底面に軒天材43を配設してなる。
【0038】
上記オーバーハング部材1は,上記取付板3の上記上方脚板部32において上記構造躯体41に固定されていると共に,上記後方脚板部33によって,上記軒天材43の前端部432を下方から被っている。
また,上記面取本体2と上記外壁板5の外壁側端面53との間には,目地処理材47が配設してある。即ち,上記横目地用突出部35の前面にボンドブレーカを貼着して,その上(面取本体2と外壁板5との間の隙間部)に適正な量の目地処理材47を充填してある。該目地処理材47としては,シーリング材を用いている。
【0039】
上記下地材42としては,上記構造躯体41の前面に水平方向に固定された横胴縁421と,該横胴縁421の上方に縦方向に配された縦胴縁422とがある。該縦胴縁422は,図1に示すごとく,防水紙44を介して,釘45によって構造躯体41に固定されている。また,上記横胴縁421の前面には,防水紙44,通気用スペーサ46を介して,上記オーバーハング部材1の取付板3の上方脚板部32が配置されている。そして,この部分において,上記オーバーハング部材1は釘45によって構造躯体41に固定されている。
【0040】
また,上記取付板32の上方脚板部32の前方には,上記外壁板5が釘45によって上記横胴縁32に固定されている。
上記通気用スペーサ46は,図8に示すごとく,上下方向に貫通した通気セル461を複数有している。
【0041】
また,上記後方脚板部33に立設された軒天当接板部34には,上記軒天材43の前端面431を当接させている。なお,該前端面431は,必ずしも上記軒天当接板部34に当接させる必要はない。
上記上方脚板部33における横目地用突出部35は,上記面取本体2の上端面221と上記外壁板5の下辺部53との間に配置されている。即ち,上記横目地用突出部35の上面353は,上記外壁板5の下辺部53に当接し,上記横目地用突出部35の下面352は,上記面取本体2の上端面221に当接している。
【0042】
また,上記オーバーハング部材1の面取本体2は,上記外壁板5と同質の材料からなる。また,本例において,上記面取本体2は窯業系材料からなるが,樹脂等の他の材料を用いることもできる。
【0043】
また,上記オーバーハング部の上下左右に関するコーナー部に,上記オーバーハング部材1を配設するに当っては,該オーバーハング部材1を,図6に示すごとく,下面視略L字状に配設する。即ち,該オーバーハング部材1の一端を略45°に切断したものを,その切断面12同士を突き合わせるようにして配設する。
【0044】
なお,図7に示すごとく,上記取付板3を予めL字状に形成しておいて,その固定板部31に上記面取本体2を固定してもよい。この場合,通常の取付板3(図5)の横目地用突出部35の部分を残して切断して切込みを入れ,残った上記横目地用突出部35において,折り曲げることにより,上記略L字状の取付板3を得ることもできる。
【0045】
次に,本例の作用効果につき説明する。
上記面取本体2は,上述のごとく一体的に形成されている。そのため,上記面取本体2の製造にあたっては,接合,接着の工程を必要としない。それ故,上記面取本体2は製造が容易であり,その結果,オーバーハング部材1の製造が容易となる。
【0046】
また,上記面取本体2は一体的に形成され,接合部を有しないため,外観意匠性に優れている。
また,上記オーバーハング部材1は上記取付板3を有するため,該取付板3を介して上記オーバーハング部材1を上記オーバーハング部に容易に施工することができる。これにより,上記オーバーハング部施工構造4を安価に得ることが可能となる。
【0047】
また,上記面取本体2は,上記面取意匠面21を有しているため,該面取意匠面21によって,上記オーバーハング部の前方下端部を面取りしたような外観に形成することができる(図2)。それ故,緩やかな印象を与える外観意匠性の高いオーバーハング部施工構造4を構築することができる。
【0048】
また,図1に示すごとく,上記取付板3の後方脚板部33は,上記軒天材43の前端部432を下方から被っている。そのため,上記軒天材43の前端部432が外部から見えず,外観意匠性に優れたオーバーハング部施工構造4を得ることができる。
【0049】
また,上記後方脚板部33は上記軒天当接板部34を立設してなり,該軒天当接板部34に上記軒天材43の前端面431を当接させてなる。そのため,上記軒天材43を上記オーバーハング部材1の取付け後に,容易に固定することができる。また,軒天材43が少々短くても,取付板3によって前端部432を被覆することができる。
【0050】
また,上記後方脚板部33は,上記開口穴331を形成してなるため,図1に示すごとく,該開口穴331から上記外壁板5の後方へ空気6を導入することができる。この空気6は,上記通気用スペーサ46の通気セル461(図8)を通って外壁板5の後方に導入される。これにより,オーバーハング部施工構造4の通気性を確保することができる。また,万一上記外壁板5の後方に雨水が浸入した場合にも,この雨水を上記開口穴331から排出することができる。
これにより,上記外壁板5,構造躯体41等の腐食,劣化を防ぐことができ,耐久性に優れたオーバーハング部施工構造4を得ることができる。
【0051】
また,上記上方脚板部33は,上記横目地用突出部35を設けてなり,該横目地用突出部35は,図1に示すごとく,上記面取本体2の上端面221と上記外壁板5の下辺部53との間に配置されている。そのため,上記オーバーハング部材1と,その上方に配設される外壁板5との間隔を一定にすることができる。また,上記横目地用突出部35の前面にボンドブレーカを介して,適正な量の目地処理材47を充填することができる。
【0052】
また,上記面取意匠面21は,上記前端面211を有しているため,図1に示すごとく,面取本体2の面取意匠面21と,これに隣接して配される外壁板5の外壁意匠面51との面合わせをすることができる。それ故,一層外観意匠性に優れたオーバーハング部施工構造4を得ることができる。
【0053】
また,上記オーバーハング部材1の面取本体2は,上記外壁板5と同質の材料からなる。そのため,上記オーバーハング部において,外壁板5とオーバーハング部材1とが連続した外観を表出し,より外観意匠性に優れたオーバーハング部施工構造4を得ることができる。
【0054】
以上のごとく,本例によれば,製造容易かつ外観意匠性に優れたオーバーハング部材及びオーバーハング部施工構造を提供することができる。
【0055】
(実施例2)
本例は,図9,図10に示すごとく,取付板3の後方脚板部33の上方にソケット部36を形成してなるオーバーハング部材1の例である。そして,これを用いたオーバーハング部施工構造4は,図9に示すごとく,上記ソケット部36に軒天材43の前端部432を収容してなる。
【0056】
即ち,図10に示すごとく,上記ソケット部36は,上記後方脚板部33の後端から前方へ折り返された底板部361と,該底板部361の前端から上方へ立設した前板部362と,該前板部362の上端から後方へ屈曲した上板部363とによって形成されている。
その他は,実施例1と同様である。
【0057】
この場合には,上記軒天材43が,上記ソケット部36を介して上記オーバーハング部材1の後方脚板部33を支持することとなるため,上記オーバーハング部材1の固定力が向上する。また,上記軒天材43の前端面431の位置が多少前後にずれても,外観等に影響を与えることがないという利点もある。
その他,実施例1と同様の作用効果を有する。
【0058】
(実施例3)
本例は,図11に示すごとく,面取本体2の背面22を,互いに直交する上端面221と後端面222とによって形成したオーバーハング部材1の例である。該オーバーハング部材1における取付板3の固定板部31は,上記面取本体2の背面22の形状に合わせた形状となっている。即ち,上記固定板部31は,上記面取本体2の上端面221に固定する水平板部312と,後端面222に固定する鉛直板部313とからなる。
【0059】
また,上記オーバーハング部材1を用いたオーバーハング部施工構造4においては,図11に示すごとく,上記取付板3の水平板部312の上面に,下地材42としての縦胴縁421の下端部423を当接させている。また,上記取付板3の上方脚板部32は,上記縦胴縁421を介して構造躯体41に固定してある。
なお,本例においては,横胴縁は配設していない。
その他は,実施例1と同様である。
この場合にも,実施例1と同様の作用効果を有する。
【0060】
(実施例4)
本例は,図12に示すごとく,面取本体2の前端面211の上下方向の幅を大きくしたオーバーハング部材1の例である。
上記前端面211の反対側には,該前端面211に略平行に形成した上部背面223が形成されている。この面取本体2の形状に合わせて,上記オーバーハング部材1における取付板3の固定板部31が形成されている。
その他は,実施例1と同様である。
【0061】
この場合には,上記オーバーハング部材1における面取本体2の上端面221の位置が,比較的高い位置に配される。従って,上記面取本体2とその上方に配される外壁板5との間に配設する目地処理材47が,比較的高い位置に配される。
それ故,上記オーバーハング部を斜め下方から,即ち屋外から通常の視線角度で見上げたとき,上記目地処理材47が目立ち難い。これにより,一層外観意匠性に優れたオーバーハング部施工構造4を得ることができる。
その他は,実施例1と同様の作用効果を有する。
【0062】
【発明の効果】
上述のごとく,本発明によれば,製造容易かつ外観意匠性に優れたオーバーハング部材及びこれを用いたオーバーハング部施工構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1における,オーバーハング部施工構造の縦断面図。
【図2】実施例1における,オーバーハング部の斜視図。
【図3】実施例1における,オーバーハング部材の斜視図。
【図4】実施例1における,面取本体の斜視図。
【図5】実施例1における,取付板の斜視図。
【図6】実施例1における,コーナー部分に配設するオーバーハング部材の下面図。
【図7】実施例1における,コーナー部分に配設する取付板の下面図。
【図8】実施例1における,通気用スペーサの斜視図。
【図9】実施例2における,オーバーハング部施工構造の縦断面図。
【図10】実施例2における,オーバーハング部材の斜視図。
【図11】実施例3における,オーバーハング部施工構造の縦断面図。
【図12】実施例4における,オーバーハング部施工構造の縦断面図。
【図13】従来例における,オーバーハング部施工構造の縦断面図。
【図14】従来例における,他のオーバーハング部施工構造の縦断面図。
【図15】従来例における,板材及び板片の平面図。
【図16】従来例における,切断面を形成した一対の板片の断面図。
【図17】従来例における,切断面同士を対向させて配置した一対の板片の断面図。
【図18】従来例における,一対の板片を接合した状態を表す断面図。
【図19】従来例における,出隅柱の断面図。
【符号の説明】
1...オーバーハング部材,
2...面取本体,
21...面取意匠面,
22...背面,
3...取付板,
31...固定板部,
32...上方脚板部,
33...後方脚板部,
4...オーバーハング部施工構造,
5...外壁板,

Claims (8)

  1. 建物のオーバーハング部の前方下端部に配設されるオーバーハング部材において,
    該オーバーハング部材は,一体的に形成された窯業系材料からなる面取本体と,該面取本体に固定された取付板とを有し,
    上記面取本体は,上記オーバーハング部の外側に前方下方を向いて配される面取意匠面と,該面取意匠面の反対側に形成された背面と,上記背面の上端において前方へ向って形成された上端面と,上記背面の後端において下方へ向って形成された後端面と,上記面取意匠面の前端において上方へ向って形成された前端面と,上記面取意匠面の下端において後方へ向って形成された下端面とを有し,
    上記取付板は,上記面取本体の上記背面に固定する固定板部と,該固定板部の上端から上方に延設された上方脚板部と,上記固定板部の下端から後方に延設された後方脚板部とを有し,
    上記上方脚板部は,上記固定板部との間に,前方へ突出した横目地用突出部を設けてなることを特徴とするオーバーハング部材。
  2. 請求項1において,上記後方脚板部は,該後方脚板部の後端よりも前方に,上記建物の軒天材の前端面を当接させることが可能な軒天当接板部を,上方に向って立設してなることを特徴とするオーバーハング部材。
  3. 請求項1において,上記取付板は,上記後方脚板部の上方に,上記建物の軒天材の前端部を収容するためのソケット部を形成してなることを特徴とするオーバーハング部材。
  4. 請求項2又は3において,上記後方脚板部は,上記軒天当接板部又は上記ソケット部よりも前方に,通気及び水抜きのための開口穴を形成してなることを特徴とするオーバーハング部材。
  5. 建物のオーバーハング部の前方下端部にオーバーハング部材を配設してなるオーバーハング部施工構造において,
    該オーバーハング部施工構造は,上記オーバーハング部の構造躯体に下地材を介して,或いは下地材を介さずに上記オーバーハング部材及び該オーバーハング部材の上方に配された窯業系材料からなる外壁板とを留め付けてなると共に,上記構造躯体の底面に軒天材を配設してなり,
    該オーバーハング部材は,一体的に形成された窯業系材料からなる面取本体と,該面取本体に固定された取付板とを有し,上記面取本体は,上記オーバーハング部の外側に前方下方を向いて配される面取意匠面と,該面取意匠面の反対側に形成された背面と,上記背面の上端において前方へ向って形成された上端面と,上記背面の後端において下方へ向って形成された後端面と,上記面取意匠面の前端において上方へ向って形成された前端面と,上記面取意匠面の下端において後方へ向って形成された下端面とを有しており,上記取付板は,上記面取本体の上記背面に固定する固定板部と,該固定板部の上端から上方に延設された上方脚板部と,上記固定板部の下端から後方に延設された後方脚板部とを有し,
    上記オーバーハング部材は,上記取付板の上記上方脚板部において上記構造躯体に固定されていると共に,上記後方脚板部によって,上記軒天材の前端部を下方から被っており,
    上記上方脚板部は,上記固定板部との間に,前方へ突出した横目地用突出部を設けてなり,該横目地用突出部は,上記面取本体の上端面と上記外壁板の下辺部との間に配置されており,
    かつ,上記面取本体と上記外壁板の外壁側端面との間には,目地処理材が配設してあることを特徴とするオーバーハング部施工構造。
  6. 請求項において,上記後方脚板部は,該後方脚板部の後端よりも前方に,軒天当接板部を,上方に向って立設してなり,該軒天当接板部に上記軒天材の前端面を当接させてなることを特徴とするオーバーハング部施工構造。
  7. 請求項において,上記取付板は,上記後方脚板部の上方にソケット部を形成してなり,該ソケット部に上記軒天材の前端部を収容してなることを特徴とするオーバーハング部施工構造。
  8. 請求項又はにおいて,上記後方脚板部は,上記軒天当接板部又は上記ソケット部よりも前方に,通気及び水抜きのための開口穴を形成してなることを特徴とするオーバーハング部施工構造。
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