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JP3652643B2 - 脚式移動ロボットの着床衝撃緩衝装置 - Google Patents

脚式移動ロボットの着床衝撃緩衝装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、脚式移動ロボットの脚体の着床動作時の衝撃荷重を緩衝するための着床衝撃緩衝装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
二足移動ロボット等、複数の脚体を備えた脚式移動ロボットでは、各脚体はその先端部に設けられた足平機構の接地面部を介して床に接地される。ここで、該足平機構は、より詳しくは、各脚体の最も先端側の関節(足首関節)に連結された機構である。そして、脚式移動ロボットは、各脚体の離床・着床動作により移動する。該離床・着床動作は、より詳しく言えば、複数の脚体のうちの少なくとも一つの脚体を支持脚として、該支持脚の足平機構を接地状態に維持する一方、他の脚体を遊脚として、該遊脚の足平機構をその接地箇所から空中に持ち上げて移動させ、他の接地箇所に接地させるという動作の繰り返しである。
【0003】
この種の脚式移動ロボットでは、各脚体の着床動作によって、該脚体の足平機構の接地面部を接地させた時に、該脚体の足平機構を介して瞬間的に比較的大きな衝撃荷重(過渡的な床反力)が作用する。特に、脚式移動ロボットを比較的速い移動速度で移動させるような場合には、脚体の足平機構が接地する直前における脚体の運動エネルギーが大きいために、前記衝撃荷重が大きなものとなる。そして、この衝撃荷重が大きいと、それに耐え得るように各脚体の各部の剛性を高める必要が生じ、ひいては、各脚体の小型化や軽量化の妨げとなる。このため、このような衝撃荷重を軽減(緩衝)することが望まれる。
【0004】
このような衝撃緩衝装置としては、例えば本願出願人が特開平5−305578号公報に提案したものが知られている。この衝撃緩衝装置では、足平機構の踵部に作動油が充填されたシリンダを備え、このシリンダ内を摺動可能なピストンから足平機構の踵部の底面側に向かってロッドが延設されている。そして、該ロッドの先端部にはきのこ状に拡径してなる接地体が設けられている。また、ピストンは、その上側でシリンダ内に収容されたスプリングにより、前記接地体が足平機構の底面側に突出する方向に付勢されている。さらに、該ピストンには、その上側の室と下側の室との間での作動油の流通を可能とする流通路が穿設されている。
【0005】
このように構成された衝撃緩衝装置では、脚体の着床動作の際に、前記接地体が接地し、ピストンと共に前記スプリングの付勢力と逆方向に押圧される。このとき、シリンダ内の作動油がピストンの流通路を介して流通しつつ、ピストンがスプリングを圧縮する方向に摺動し、これにより、脚体の着床動作時の衝撃荷重が軽減される。
【0006】
しかしながら、かかる衝撃緩衝装置では、脚体の着床状態(脚体の支持脚期の状態)においては、足平機構の踵部の接地体が接地して、前記スプリングの付勢力に抗して押圧されるので、足平機構の踵部に常時、床反力が作用することとなる。さらに、ロボットの歩容形態によっては、脚体の離床直後においても前記接地体が接地している場合がある。このため、ロボットの移動時の脚体の離床動作を円滑に行えず、つまづきを生じる場合がある。また、脚体の着床状態において、足平機構の踵部に常時、床反力が作用することから、ロボットの姿勢の安定性を確保するために床反力を足平機構の所望の箇所(例えばつま先部等)に集中的に作用させたりすることができない。このため、床形状や外力等によってロボットの姿勢の安定性が損なわれ易い。
【0007】
さらに前記衝撃緩衝装置では、作動油を用いているために、緩衝装置の重量が大きいものとなり、ロボットの軽量化の妨げとなる。また、脚体の着床動作の際に接地する接地体は、ピストンの摺動方向(シリンダの軸心方向)にしか移動できないと共に固体状のものであるため、床の形状によっては該接地体にその可動方向と交差する方向に衝撃荷重が作用して、該衝撃荷重を十分に軽減できなかったり、衝撃緩衝装置の損傷を生じる虞れがある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明はかかる背景に鑑みてなされたものであり、脚式移動ロボットの脚体の着床動作時の衝撃荷重を軽減しながら、該ロボットの姿勢の安定性の確保を容易に行うことができ、さらには、軽量な構成とすることができる着床衝撃緩衝装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の脚式移動ロボットの着床衝撃緩衝装置はかかる目的を達成するために、足平機構の接地面部を介してそれぞれ接地可能な複数の脚体の離床・着床動作により移動する脚式移動ロボットにおいて、各脚体の着床動作の際に床反力を受けて圧縮されると共に少なくとも該脚体の離床動作により該床反力を受けなくなったときには膨張し得るように該脚体の足平機構に設けられ、その膨縮に伴い内部に流体を入出可能な可変容積体と、各脚体の離床状態で該可変容積体を膨張させつつ該可変容積体に流体を流入させると共に前記床反力による該可変容積体の圧縮に伴い該可変容積体から流体を流出させる流入・流出手段とを備え、該流入・流出手段による前記可変容積体内の流体の流出の際に流出抵抗を発生させるようにした着床衝撃緩衝装置であって、少なくとも各脚体の着床動作により前記可変容積体が圧縮された後、該脚体がその離床動作により離床状態となった直後までの期間内において該可変容積体を圧縮状態に維持する圧縮状態維持手段を備えたことを特徴とするものである。
【0010】
尚、本発明において、各脚体の着床動作は、該脚体の足平機構の接地面部が床から離反した状態から、該足平機構を下降させてその接地面部を床に接地させる動作を意味し、各脚体の離床動作は、該脚体の足平機構の接地面部を床に接地させた状態から、該足平機構を空中に持ち上げてその接地面部を床から離反させる動作を意味する。また、各脚体もしくは足平機構の離床状態は、該脚体の足平機構の接地面部を床から離反させた状態を意味する。さらに、各脚体もしくは足平機構の着床状態は、該脚体の足平機構の接地面部の全部もしくは一部を床に接地させた状態を意味する。
【0011】
かかる本発明によれば、各脚体の着床動作の際に、膨張状態の可変容積体が圧縮され、このとき、可変容積体内の流体が前記流入・流出手段によって該可変容積体内から流出抵抗を伴って流出する。これにより、着床動作を行なう脚体の運動エネルギーが吸収されて、該脚体の足平機構の運動量が減少し、その着床動作の際に該脚体に作用する衝撃荷重が軽減される。そして、本発明では、各脚体の着床動作の際に圧縮される可変容積体は、少なくとも各脚体の着床動作により圧縮された後、該脚体がその離床動作により離床状態となった直後までの期間内において前記圧縮状態維持手段によって、圧縮状態に維持される。このため、可変容積体の圧縮後の脚体の着床状態において可変容積体に作用する床反力を極力小さくし、基本的には足平機構の接地面部の箇所にのみ床反力を作用させることができる。この結果、足平機構の姿勢制御等により、容易にロボットの姿勢の安定性を確保することができる。また、脚体の離床動作により該脚体が着床状態から離床状態に移行する際、及びその移行直後にも、可変容積体を圧縮状態に維持することができるため、ロボットのつまづき等を生じることなく脚体の離床動作も円滑に行うことができる。
【0012】
従って、本発明によれば、脚式移動ロボットの脚体の着床動作時の衝撃荷重を軽減しながら、該ロボットの姿勢の安定性を容易に確保することができる。
【0013】
尚、本発明において、脚体がその離床動作により離床状態となった直後のタイミング(前記圧縮状態維持手段により可変容積体を圧縮状態に維持する期間の終了タイミング)は、該タイミング以後に可変容積体が膨張しても、該可変容積体やこれと一体に可動な部分、もしくは足平機構の底面部等、脚体の運動時に足平機構と一体的に動く部分が接地することがないようなタイミングであることが好適である。
【0014】
かかる本発明では、前記流体は圧縮性流体であることが好適である。すなわち、圧縮性流体は、ばね性を有するため、各脚体の着床動作の際に、脚体の運動エネルギーの一部は可変容積体の内部の圧縮性流体の弾性エネルギーに変換される。そして、その弾性エネルギーは、圧縮性流体が可変容積体の圧縮に伴って該可変容積体から流出する過程で流出抵抗によって消散する。この結果、各脚体の着床動作の際に、可変容積体及びその内部の圧縮性流体を介して脚体に作用する床反力の瞬時的な急変が生じるのを回避しつつ、衝撃荷重(以下、着床衝撃ということがある)をより効果的に軽減することができる。
【0015】
尚、前記圧縮性流体としては、空気等の気体や、気泡を含有する液体もしくはゲル等が挙げられる。この場合、特に、圧縮性流体として気体を用いた場合には、該圧縮性流体が軽量なものとなり、ひいては本発明の着床衝撃緩衝装置を軽量なものとすることができる。
【0016】
さらに、このように前記流体として圧縮性流体を用いた場合には、前記可変容積体は、前記各脚体の着床動作の際に該脚体の足平機構の接地面部に先行して接地するように該脚体の足平機構の底面側に設けられた変形自在な袋状部材により構成されていることが好適である。すなわち、前記袋状部材は、各脚体の着床動作の際に、該脚体の足平機構の接地面部に先行して接地し、圧縮される。このとき、該袋状部材は、床の表面形状に沿うようにして変形できるため、該袋状部材が接地し得る限り、床の形状等によらずに本発明の着床衝撃緩衝装置の緩衝機能を発揮できる。従って、脚体の着床動作時の衝撃荷重の軽減効果の確実性を高めることができる。また、袋状部材は、その変形の自由度が高いことから、各脚体の着床動作の際に該袋状部材に種々様々な方向から床反力が作用しても、該袋状部材が破損するような事態を回避できる。
【0017】
また、本発明では、前記圧縮状態維持手段は、少なくとも前記流入・流出手段による前記可変容積体への流体の流入を遮断せしめることにより該可変容積体を圧縮状態に維持する。
【0018】
これによれば、可変容積体への流体の流通路に備えた電磁弁等を用いて、簡単な構成で容易に可変容積体の圧縮状態への維持を行うことができる。尚、可変容積体の圧縮状態の維持は、該可変容積体に係合させた機械的な手段や電磁力手段により力学的に行うようにすることも可能である。
【0019】
また、本発明では、前記圧縮状態維持手段は、例えば前記脚式移動ロボットの移動時の目標歩容に応じて定まる各脚体の離床・着床動作の時刻情報(どの時刻に各脚体の足平機構を接地させるか等の情報)に基づき、前記可変容積体を圧縮状態に維持する時期を判断する。これによれば、センサを使用することなく、可変容積体の圧縮状態への維持制御を容易に行うことができる。
【0020】
あるいは、本発明では、前記各脚体の足平機構が前記接地面部を介して接地しているか否かを検知するためのセンサが備えられており、前記圧縮状態維持手段は、該センサの検知データに基づき、前記可変容積体を圧縮状態に維持する時期を判断する。これによれば、確実に所望の時期に可変容積体を圧縮状態に維持することができる。
【0021】
尚、可変容積体を圧縮状態に維持する時期の判断は、ロボットの目標歩容に応じた各脚体の離床・着床動作の時刻情報と、足平機構の接地の有無を検知するセンサの検知データとの両者を併用して行うようにしてもよい。
【0022】
また、本発明では、前記各脚体の離床状態での前記可変容積体の膨張時に、該可変容積体の圧縮方向のサイズ(長さ)が前記脚式移動ロボットの歩容形態に応じた所定のサイズになるように、前記流入・流出手段による可変容積体への前記流体の流入量を該歩容形態に応じて制御する膨張制御手段を備えることが好ましい。
【0023】
これによれば、各脚体の着床動作による可変容積体の圧縮の開始前に、可変容積体への流体の流入量を制御することにより、前記可変容積体の圧縮方向のサイズがロボットの歩容形態に応じた所定のサイズに制御されることとなる。このため、各脚体の着床動作による可変容積体の圧縮量、ひいては、該可変容積体からの流体の流出量をロボットの歩容形態(例えば移動速度等の歩容形態)に整合したものにすることができる。その結果、本発明の着床衝撃緩衝装置による着床衝撃の緩衝効果をロボットの歩容形態に適したものにすることができる。すなわち、各脚体の着床動作時に該脚体に作用する床反力の過渡的な変化をロボットの歩容形態に適したものにすることができ、ひいては、ロボットの姿勢の安定化をより適切に図ることができる。
【0024】
尚、一般的には、ロボットの移動速度が速いほど、各脚体の着床動作前における可変容積体の圧縮方向のサイズを大きくすることが好ましい。このようにすると、可変容積体の圧縮時に可変容積体から流出する流体の流量が多くなって、その流出抵抗が増加し、着床衝撃緩衝装置のダンピング効果(運動エネルギーの減衰効果)を高めることができる。
【0025】
このように膨張制御手段を備えた本発明では、前記膨張制御手段は、例えば前記圧縮状態維持手段による前記可変容積体の圧縮状態の維持作動が解除された後における該可変容積体への前記流体の流入時間に基づき、該可変容積体の圧縮方向におけるサイズが前記所定のサイズに膨張したか否かを判断し、該可変容積体の圧縮方向のサイズが前記所定のサイズに膨張したと判断したとき、前記流入・流出手段による可変容積体への流体の流入を遮断せしめる。これによれば、センサ等を必要とせずに、比較的簡単な構成で可変容積体の膨張を制御することができる。
【0026】
あるいは、前記可変容積体の圧縮方向のサイズ(長さ)に応じて変化する物理量を検出するセンサを備えており、前記膨張制御手段は、前記圧縮状態維持手段による前記可変容積体の圧縮状態の維持作動が解除された後における該センサの検出データに基づき該可変容積体の圧縮方向のサイズが前記所定のサイズに膨張したか否かを判断し、該可変容積体の圧縮方向のサイズが前記所定のサイズに膨張したと判断したとき、前記流入・流出手段による可変容積体への流体の流入を遮断せしめる。これによれば、各脚体の離床状態で可変容積体を膨張させたときの該可変容積体の最終的な圧縮方向のサイズを確実に歩容形態に応じた所定のサイズに制御することができる。
【0027】
尚、可変容積体の圧縮方向のサイズに応じて変化する物理量としては、該可変容積体の圧縮方向の長さや、該可変容積体の内部の圧力等が挙げられる。
【0028】
さらに、前記膨張制御手段を備えた本発明では、前記可変容積体内の圧力を検出する第1センサと該可変容積体の圧縮方向におけるサイズ(長さ)を検出する第2センサとを備えており、前記圧縮状態維持手段及び膨張制御手段は、前記脚式移動ロボットの歩容形態に応じて前記可変容積体内の目標圧力の経時変化パターンと該可変容積体の膨張状態における該可変容積体の圧縮方向の目標サイズの経時変化パターンを設定し、前記第1センサ及び第2センサによりそれぞれ検出される圧力及びサイズがそれぞれ前記目標圧力及び目標サイズの経時変化パターンに沿って変化するように前記流入・流出手段による可変容積体の流体の流出・流入を制御するようにしてもよい。
【0029】
これによれば、可変容積体の圧縮方向のサイズと、該可変容積体の内部の圧力との両者を、逐次、ロボットの歩容形態に適したものに制御することが可能となる。従って、本発明の着床衝撃緩衝装置による緩衝効果、並びに、ロボットの姿勢の安定化の効果を高めることができる。
【0030】
【発明の実施の形態】
本発明の第1実施形態を図1〜図6を参照して説明する。図1は本実施形態の脚式移動ロボットの全体の基本構成を模式化して示す側面図である。同図示のように、本実施形態の脚式移動ロボット1は、例えば、その上体2(胴体)の下端部から延設された左右一対(2本)の脚体3,3を備える二足移動ロボットである。尚、上体2には、腕体や頭部が取り付けられていてもよい。
【0031】
各脚体3は、大腿部4、下腿部5、足平機構6を上体2の下端部から股関節7、膝関節8、足首関節9を順番に介して連接して構成されている。より詳しく言えば、各脚体3は、上体2の下端部から股関節7を介して大腿部4を延設すると共に、この大腿部4の先端部に膝関節8を介して下腿部5を連結し、さらに、この下腿部5の先端部に足首関節9を介して足平機構6を連結した構成とされている。そして、各脚体3はその最先端側に存する足平機構6を介して床Aに接地可能とされ、その接地により上体2を支持する。この場合、各脚体3の股関節7は、ロボット1の上下方向、前後方向、左右方向の3軸回りの回転動作が可能とされ、膝関節8は、左右方向の1軸回りの回転動作が可能とされ、足首関節9は、前後方向及び左右方向の2軸回りの回転動作が可能とされている。これらの各関節7〜9の回転動作により、各脚体3は人間の脚体とほぼ同様の運動を行うことができるようになっている。
【0032】
また、各脚体3の各関節7〜9には、その各軸回りの回転動作を行なうためのアクチュエータとしての電動モータ(図示しない)が設けられている。さらに、ロボット1の上体2には、該ロボット1の脚体3,3の動作制御(各関節7〜9の電動モータの動作制御)を行う制御装置10や、ロボット1の動作用電源としての蓄電装置11等が搭載されている。制御装置10はマイクロコンピュータ等を含む電子回路により構成されたものである。この場合、制御装置10は、ロボット1の移動に際しては、人間と同様に、両脚体3,3の離床・着床動作を交互に繰り返すことにより、ロボット1を移動させるようにしている。その離床・着床動作の繰り返しは、より詳しく言えば、次のような動作である。すなわち、両脚体3,3のうちのいずれか一方を支持脚とし、他方を遊脚とする。そして、支持脚側の脚体3を着床させた状態(該脚体3の足平機構6を床Aに接地させた状態)で、遊脚側の脚体3を離床させる(該脚体3の足平機構6を床A上から空中に持ち上げる)。さらに、離床させた遊脚側の脚体3の足平機構6を空中で移動させた後、所望の場所に着床させる。そして、その着床させた遊脚側の脚体3を新たに支持脚とすると共に、今まで支持脚となっていた脚体3を新たに遊脚とし、その新たに遊脚とされた脚体3を上記と同様に動かす。このような脚体3,3の動作の繰り返しが、ロボット1の移動の際の両脚体3,3の離床・着床動作の繰り返しである。
【0033】
各脚体3の足平機構6の構成を図2及び図3を参照してさらに説明する。図2は足平機構6の側面示の断面図、図3は該足平機構6の底面側から見た平面図である。
【0034】
足平機構6は、大略平板状の足平プレート部材12を骨格部材として備えている。この足平プレート部材12は、その前端部(つま先部)と後端部(踵部)とが若干上方に湾曲されているが、他の部分は平坦な平板状になっている。また、足平プレート部材12の上面部には、横断面方形状の筒部材13がその軸心を上下方向に向けて固設されている。この筒部材13の内部には、該筒部材13の内周面に沿うようにして略上下方向に移動可能に設けられた可動板14が設けられ、該可動板14が足首関節9に6軸力センサ15を介して連結されている。該6軸力センサ15は足平機構6に作用する床反力(詳しくは、前後、左右、及び上下方向の3軸方向の並進力、並びに、その3軸回りのモーメント)を検出するものであり、その検出出力は制御装置10に入力される。
【0035】
また、可動板14は、その下面の周縁部がばね、ゴム等の弾性材からなる複数の弾性部材16(図ではばねとして記載している)を介して足平プレート部材12の上面部に連結されている。従って、足平プレート部材12は、弾性部材16、可動板14及び6軸力センサ15を介して足首関節9に連結されている。尚、筒部材13の内部(可動板14の下側の空間)は、図示を省略する穴や隙間を介して大気側に開放されており、大気中の空気が筒部材13の内部に入出自在となっている。
【0036】
足平プレート部材12の底面(下面)には、接地部材17が取着されている。該接地部材17は、足平プレート部材12の接地時に、該足平プレート部材12と床面との間に介在させる弾性部材(床面に直接的に接触する弾性部材)であり、本実施形態では、足平プレート部材12の底面の四隅(足平プレート部材12のつま先部の両側部並びに踵部の両側部)に固着されている。また、接地部材17は、本実施形態では、比較的軟質のゴム材から成る軟質層17aと、比較的硬質のゴム材から成る硬質層17bとを上下に重合してなる2層構造に形成され、硬質層17bが、脚体3の着床時に直接的に床面に接触する接地面部として最下面側に設けられている。
【0037】
足平機構6には、上記の構成の他、本発明に係わる着床衝撃緩衝装置18が備えられている。この着床衝撃緩衝装置18は、足平プレート部材12の底面に取着された袋状部材19と、該袋状部材19の内部に対して圧縮性流体としての空気(大気中の空気)を入出させるための流入・流出手段20とを備えている。
【0038】
袋状部材19は、その周囲に前記接地部材17が存するようにして、足平プレート部材12の底面の大略中央部に設けられている。この袋状部材19は、ゴム等の弾性材により変形自在に構成されており、外力による弾性変形が生じていない自然状態では、図2に示すように、上方に開口した樽型の有底容器形状を呈する。そして、該袋状部材19は、その開口端部が全周にわたって足平プレート部材12の底面に固着され、該足平プレート部材12により閉蓋されている。また、袋状部材19は、樽型の有底容器形状を呈する自然状態では、該袋状部材19の底部が前記接地部材17よりも下方に突出するように設けられている。つまり、該袋状部材19の高さ(足平プレート部材12の下面から袋状部材19の底部までの距離)は、接地部材17の厚さよりも大きいものとされている。従って、足平プレート部材12が接地部材17を介して接地した状態(脚体3の着床状態)では、袋状部材19は、図1で着床状態の脚体3(図ではロボット1の前方側の脚体3)に関して示すように、床反力により袋状部材19の高さ方向に圧縮される。
【0039】
ここで袋状部材19が樽型の有底容器形状を呈する自然状態は該袋状部材19の膨張状態であり、この膨張状態では、以下に説明する流入・流出手段20を介して大気圧と同等圧力の空気が充填されている。また、袋状部材19は、弾性材により構成されているため、圧縮されたとき、自然状態の形状(樽型の有底容器形状)への形状復元力を有する。尚、袋状部材19の自然状態の形状は必ずしも樽型である必要はなく、例えば、有底円筒形状であってもよい。
【0040】
前記流入・流出手段20は、袋状部材19の内部と前記筒部材13の内部とを連通させるように足平プレート部材12に穿設された二つの流通孔(流通路)21,22と、各流通孔21,22にそれぞれ筒部材13内で接続されて、該筒部材13の外部に導出された流体管路23,24(流通路)とを備え、これらの流体管路23,24の先端部(袋状部材19側と反対側の端部)は大気中に開放されている。そして、流体管路23には、これを通って空気が袋状部材内に流入するのを遮断する逆止弁25が設けられている。また、流体管路24には、これを通って袋状部材19内の空気が流出するの遮断する逆止弁26と、前記制御装置10により開閉制御可能な電磁弁27とが設けられている。ここで、図2では、便宜上、流体管路23,24及びこれらに設けられた逆止弁25,26、電磁弁27は足平機構6等から離間して設けられているように記載されているが、これらは、実際上は、足平機構6等、脚体3の適宜の箇所に取り付けられ、あるいは、前記筒部材13内に収容される。尚、本実施形態では、前記流通孔21,22は絞り通路となっており、流通孔21の開口面積は、流通孔22の開口面積よりも小さいものとされている。
【0041】
このように構成された流入・流出手段20では、袋状部材19が圧縮されると、流通孔21及び流体管路23を介して袋状部材19内の空気が大気中に流出する。また、電磁弁27を開弁した状態では、袋状部材19が圧縮状態から形状復元力により自然状態に膨張するに伴い、大気中の空気が流体管路24及び流通孔22を介して袋状部材19内に流入することとなる。そして、袋状部材19に対する空気の入出に際しては、絞り通路としての流通孔21,22によって、流体抵抗が生じることとなる。この場合、流通孔21の開口面積は小さいので、袋状部材19からの空気の流出抵抗は比較的大きい。逆に、流通孔22の開口面積は比較的大きいので、袋状部材19への空気の流入抵抗は比較的小さい。
【0042】
尚、前記電磁弁27は、これを開閉制御する制御装置10と併せて、本発明における圧縮状態維持手段及び膨張制御手段を構成するものである。
【0043】
次に、本実施形態で、ロボット1を移動させるための脚体3の基本的な動作制御について説明する。尚、この動作制御は、本願出願人による特開平10−277969号公報等にて詳細に説明されているので、ここでは概要を説明する。
【0044】
ロボット1の上体2に搭載されている前記制御装置10は、図4のフローチャートに示す処理を所定の制御サイクルで実行する。すなわち、制御装置10は、まず、ロボット1の歩容(脚体3の足運びの形態)の切替りタイミングであるか否かを判断する(STEP1)。ここで、歩容の切替りタイミングは、支持脚の切替りタイミングであり、例えば遊脚側の脚体3が着床した時(本実施形態では、該脚体3の足平機構6の袋状部材19が接地した時)のタイミングである。このタイミングの判断は、例えば前記6軸力センサ15の出力等に基づいてなされる。
【0045】
そして、STEP1で歩容の切替りタイミングである場合には、制御装置10は、制御処理用時刻tを「0」に初期化した後(STEP2)、外部から与えられるロボット1の動作指令や、ロボット1のあらかじめ定められた移動計画(どのようなタイミングでロボット1をどのように動かすか等を定めた計画)に基づいて、歩容パラメータを更新する(STEP3)。ここで、歩容パラメータは、ロボット1の1歩分の目標歩容を規定するパラメータであり、例えば、歩行、走行等のロボット1の移動モード、ロボット1の移動時の歩幅、移動速度(歩行周期)等のパラメータである。また、ロボット1の目標歩容は、上体2の目標位置及び姿勢の軌道、各脚体3の足平機構6の目標位置及び姿勢の軌道、目標全床反力(両脚体3,3にそれぞれ作用する床反力の合力の目標値)、目標ZMP(全床反力の作用点の目標位置)の軌道等から構成されるものである。尚、目標ZMPは、より詳しくは、上体2の目標位置及び姿勢の軌道、及び各脚体3の足平機構6の目標位置及び姿勢の軌道により定まるロボット1の目標運動パターンに応じてロボット1に作用する慣性力と重力との合力に動的に平衡するような全床反力(該合力と同一作用線上の全床反力)の作用点の目標位置であり、その全床反力の鉛直方向軸回りのモーメント以外のモーメント(水平方向の軸回りのモーメント)が「0」になるような床上の点(Zero Moment Point)の目標位置である。
【0046】
制御装置10は、上記のようにSTEP3で新たな歩容パラメータを設定した後、あるいは、前記STEP1で歩容の切替りタイミングでない場合には、STEP4の処理を実行し、現在の制御サイクルにおける目標歩容としての瞬時目標歩容を現在設定されている歩容パラメータに基づいて求める。すなわち、現在設定されている歩容パラメータにより規定されるロボット1の1歩分の目標歩容のうち、現在の制御サイクル(現在時刻t)における目標歩容(現在時刻tにおける上体2の目標位置及び姿勢、各足平機構6の目標位置及び姿勢、目標全床反力、目標ZMP)が瞬時目標歩容として求められる。
【0047】
次いで、制御装置10は、STEP5において、複合コンプライアンス動作の制御処理を実行し、STEP4で求めた瞬時目標歩容のうち、各足平機構6の目標位置及び姿勢を修正する。この複合コンプラインアンス動作の処理では、上体2の目標姿勢(目標傾斜角度)と、図示しないジャイロセンサや加速度センサ等の出力により検出される上体2の実傾斜角度との偏差に応じて、上体2をその目標姿勢に復元させるために目標ZMP(目標全床反力の作用点)回りに発生させるべき全床反力のモーメント成分(以下、補償全床反力モーメントという)が求められる。ここで、求められる補償全床反力モーメントは、水平方向の軸回りのモーメントであり、ロボット1の前後方向の軸回りのモーメント成分と、左右方向の軸回りのモーメント成分とからなる。そして、制御装置10は、各脚体3の6軸力センサ15によりそれぞれ検出される各脚体3毎の実床反力の合力(実全床反力)を、着床状態の足平機構6の接地性を確保することができる範囲内において、上記補償全床反力モーメントと目標全床反力との合力に追従させるように各足平機構6の目標位置及び姿勢を修正する。この場合、目標全床反力の作用点としての前記目標ZMPでは、目標全床反力の水平方向(前後方向及び左右方向)の軸回りのモーメント成分は「0」である。従って、各足平機構6の目標位置及び姿勢の修正は、実全床反力の水平方向の軸回りのモーメント成分を補償全床反力モーメントに追従させるように行われる。尚、このような各足平機構6の目標位置及び姿勢の修正に際しては、各足平機構6の接地時における前記弾性部材16及び接地部材17の弾性変形の影響を補償するように、各足平機構6の目標位置及び姿勢が修正される。
【0048】
次いで、制御装置10は、前記電磁弁27の制御処理を実行する(STEP6)。尚、この制御処理については後述する。
【0049】
次いで、前記STEP4で求められた瞬時目標歩容のうちの上体2の目標位置及び姿勢と、STEP5で修正された各足平機構6の目標位置及び姿勢とから、ロボット1の幾何学モデル(剛体リンクモデル)に基づくキネマティスク演算処理によって、両脚体3,3の各関節7〜9の目標変位量(より詳しくは各関節7〜9の各軸回りの目標回転角)を求める(STEP7)。そして、制御装置10は、この求めた目標変位量に各関節7〜9の実変位量を追従させるように、各関節7〜9を駆動する電動モータ(図示しない)のトルクを制御する(STEP8)。尚、この場合、各関節7〜9の実変位量(各関節7〜9の各軸回りの実回転角)は、各関節7〜9に備えられるロータリエンコーダ等により検出される。さらに、制御装置10は、制御処理用時刻tを所定時間Δt(制御サイクルの周期に相当する時間)だけ増加させ(STEP9)、図4の処理を終了する。
【0050】
以上のような制御装置10の制御処理により、ロボット1は、その姿勢の安定性を自律的に確保しながら、目標歩容に追従するようにして移動することとなる。
【0051】
一方、前記STEP6では、制御装置10は、図5のフローチャートに示すように、各脚体3毎に、その脚体3に対応して備えられた前記電磁弁27を制御する。
【0052】
制御装置10は、まず、現在設定されている歩容パラメータ(ロボット1の移動モードや、歩幅、移動速度等)に応じて、脚体3が着床状態から離床状態に移行した直後に袋状部材19を圧縮状態に維持する時間(期間)を規定する圧縮状態保持時間Tholdと、その圧縮状態の維持の解除後に電磁弁27を開弁制御する時間(期間)を規定する開弁時間Topenとを設定する(STEP11)。この場合、基本的には、ロボット1の移動速度が速いほど、圧縮状態保持時間Tholdは短い時間に設定される。また、開弁時間Topenは、基本的には、ロボット1の移動速度が速いほど、長い時間に設定される。但し、これらの圧縮状態保持時間Thold及び開弁時間Topenの和は、脚体3が離床状態に維持される時間よりも短い時間である。
【0053】
さらに、制御装置10は、現在設定されている歩容パラメータに基づいて、脚体3が支持脚期となる時間Tsup(足平機構6が接地部材17もしくは袋状部材19を介して接地した状態に維持される時間。以下、支持脚時間Tsupという)を求める(STEP12)。
【0054】
次いで、制御装置10は、現在時刻t(歩容の切替り目からの経過時間)が、0≦t<Tsup+Tholdの期間内にあるか否か、すなわち、脚体3の足平機構6の袋状部材19がほぼ接地し始めた時(支持脚期の開始時)から、該脚体3の支持脚期の終了後、前記圧縮状態保持時間Tholdが経過するまでの期間内にあるか否かを判断する(STEP13)。このとき、0≦t<Tsup+Tholdである場合には、制御装置10は、電磁弁27を閉弁制御する(STEP14)。
【0055】
一方、STEP13で、0≦t<Tsup+Tholdでない場合、すなわち、脚体3の支持脚期の終了後、さらに圧縮状態保持時間Tholdが経過した後の状態である場合には、制御装置10は、現在時刻tが、Tsup+Thold≦t<Tsup+Thold+Topenであるかか否かを判断する(STEP15)。このとき、Tsup+Thold≦t<Tsup+Thold+Topenである場合には、制御装置10は、電磁弁27を開弁制御する(STEP16)。また、制御装置10は、Tsup+Th old≦t<Tsup+Thold+Topenでない場合(この場合は基本的には、離床状態の脚体3の着床動作により、該脚体3の袋状部材19が再び接地する少し前の状態である)には、電磁弁27を閉弁制御する(STEP17)。
【0056】
上述のような電磁弁27の制御によって、図6のタイミングチャートに示すように、電磁弁27は、脚体3の支持脚期の開始時から、支持脚期の終了後、前記圧縮状態保持時間Tholdが経過するまで、該支持脚期の全時間を含めて、閉弁保持される。従って、この状態では、前記袋状部材19内には大気中の空気は流入できない。また、電磁弁27は、脚体3の遊脚期(袋状部材19を含めて足平機構6の全体が床Aから離反した状態)において、開弁時間Topenだけ開弁保持され、この状態では、袋状部材19内には、流体管路24を通って大気中の空気が袋状部材19内に流入可能である。
【0057】
次に、前記着床衝撃緩衝装置18の作動及び効果を説明する。前述した制御装置10の制御処理によるロボット1の移動時に、遊脚側の脚体3(離床状態の脚体3)の着床動作の際には、まず、前記袋状部材19が接地する。そして、脚体3の着床動作の進行に伴い該袋状部材19に作用する床反力により、袋状部材19が圧縮される。
【0058】
このとき、袋状部材19が圧縮されるに伴い、該袋状部材19内の空気が圧縮・加圧され、前記流通孔21及び流体管路23を介して流出する。そして、このとき、空気の流出抵抗が流通孔21で発生する。これにより脚体3の運動エネルギーが減衰する。また、この場合、圧縮性流体である空気のばね性によって、脚体3の運動エネルギーの一部が該空気の弾性エネルギーに変換されて吸収され、さらにその弾性エネルギーが、袋状部材19からの空気の流出抵抗によって消散する。これにより、袋状部材19を介して脚体3に作用する床反力の瞬時的な急変を避けつつ、脚体3の着床動作時の衝撃荷重(着床衝撃)が軽減される。この場合、袋状部材19は変形自在で、床Aの形状に沿って変形して圧縮されるため、床Aの形状や着床直前の足平機構6の姿勢の影響をさほど受けることなく着床衝撃を軽減することができると共に、袋状部材19の破損等も生じ難い。
【0059】
尚、袋状部材19は、足平機構6がその前部及び後部の接地部材17を介して接地する状態(脚体3の着床動作が完了した状態)になるまで圧縮される。
【0060】
続いて、脚体3の離床動作によって、袋状部材19は、自身の形状復元力により膨張しようとするが、前述のように電磁弁27は、脚体3の支持脚期の終了後、前記圧縮状態保持時間Tholdが経過するまで閉弁保持されている。このため、脚体3の離床動作の開始直後に足平機構6が接地部材17を介して接地している状態はもちろん、足平機構6の接地部材17が床Aから離反してから、圧縮状態保持時間Tholdが経過するまでは、袋状部材19には、大気中の空気が流入できない。従って、該袋状部材19は、足平機構6が着床状態から離床状態に移行した後、前記圧縮状態保持時間Tholdが経過するまで膨張しない。
【0061】
そして、足平機構6が完全に床Aから離反して、前記圧縮状態保持時間Tholdが経過すると、前記電磁弁27が、前記開弁時間Topenだけ開弁保持される。このとき、袋状部材19は、自身の自然状態への復元力により膨張しつつ、その内部に大気中の空気が流体管路24を介して流入する。この場合、開弁時間Topenは、袋状部材19が自然状態に膨張するまでに要する時間以下の時間に設定されている。従って、開弁時間Topenの経過時における膨張状態の袋状部材19の高さは、開弁時間Topenに応じたものとなる。そして、このように袋状部材19が膨張した状態で、脚体3の着床動作が再び行われ、前述のようにその着床動作の際の着床衝撃が軽減される。
【0062】
以上説明したような本実施形態の着床衝撃緩衝装置18の作動により、各脚体3の着床動作の際の着床衝撃を軽減することができる。この場合、本実施形態では、脚体3の着床状態では、袋状部材19に空気が流入することはなく、該袋状部材19が膨張することがない。このため、袋状部材19の箇所に床反力を作用させることなく、足平機構6の着床状態での姿勢制御によって、該足平機構6の所望の部位に集中的に床反力を作用させるようにすることができる。例えば、ロボット1が前のめりに転倒しそうになった時に、足平機構6の前端側に床反力を集中させるようにすることができる。この結果、ロボット1の姿勢の安定化を容易に図ることができる。尚、これに関して、補足説明をすると、仮に脚体3の着床状態で電磁弁27を開弁したままにしておくと、袋状部材19には、大気中の空気が流入しようとする(袋状部材19が常に膨らもうとする)ため、該袋状部材19の箇所には常に床反力が作用することとなる。このため、足平機構6の所望の部位に床反力を集中させることができず、足平機構6の着床状態における姿勢制御によるロボット1の姿勢の安定化に限界が生じやすくなる。これに対して、本実施形態の着床衝撃緩衝装置18では、上述のようにロボット1の姿勢の安定化の限界を高めることができる。
【0063】
さらに、袋状部材19は、脚体3が着床状態から離床状態に移行した直後まで、圧縮状態に維持されるため、脚体3の足平機構6が床Aから離反するときに、袋状部材19が膨張して、床Aに接地してしまうようなことがない。この結果、脚体3の離床動作の際につまづきを生じたりすることなく、円滑に脚体3の離床動作を行なうことができる。そして、この場合、脚体3が離床状態に移行した直後に袋状部材19を圧縮状態に維持する時間、すなわち、前記圧縮状態保持時間Tholdは、ロボット1の移動速度が速いほど、短いので、必要最低限の時間に留めることができる。そのため、その後に、袋状部材19を膨張させるための時間を十分に確保することができる。
【0064】
また、本実施形態では、脚体3の離床状態で袋状部材19が膨張するときの袋状部材19の高さの上限、すなわち、脚体3の着床動作直前における袋状部材19の高さ(これは袋状部材19の圧縮方向のサイズである)が、前記開弁時間Topen(袋状部材19に空気を流入させる時間)によって規定される。そして、この開弁時間Topenは、歩容パラメータに応じて設定され、基本的には、ロボット1の移動速度が速いほど、長い時間に設定される。このため、ロボット1の移動速度が速いほど、脚体3の着床動作の直前の袋状部材19の高さが高くなる。従って、ロボット1の移動速度が速いほど、脚体3の着床動作の際の袋状部材19の圧縮量が大きくなる。その結果、着床衝撃緩衝装置18による着床衝撃の軽減効果をロボット1の歩容形態に適したものにすることができ、ロボット1の歩容形態によらずに、円滑に着床衝撃を軽減することができる。
【0065】
また、本実施形態の着床衝撃緩衝装置18は、次のような効果も奏することができる。すなわち、袋状部材19内に対して入出する流体は圧縮性流体の空気であるため、着床衝撃緩衝装置18を軽量に構成することができる。さらに、脚体3の着床動作の際に、袋状部材19内の圧力が瞬時に増加することがなく、ある程度の時定数を有して立ち上がるため、床反力の急変を避けることができる。また、袋状部材19の圧縮時に該袋状部材19から流出する空気は大気中に放出されると共に、該袋状部材19の膨張時には大気中から新たな空気が該袋状部材19内に流入するため、袋状部材19からの空気の流出抵抗に伴う発熱が袋状部材19内に蓄積することがない。つまり、着床衝撃緩衝装置18の放熱性が良く放熱器等の発熱対策機器を備える必要がない。
【0066】
また、脚体3の着床動作の際にばねとして機能する袋状部材19内の空気のばね定数は、袋状部材19の接地直後の圧縮に伴い小さくなるため、前述の複合コンプライアンス動作の制御の効果を高めることができる。すなわち、ロボット1の複合コンプライアンスの動作の制御では、前述したように、実全床反力の水平方向の軸回りのモーメント成分(以下、ここでは、実全床反力モーメントという)を、そのモーメント成分の目標値としての補償全床反力モーメント(補償全床反力モーメントが「0」である場合も含む)に追従させるように各足平機構6の位置及び姿勢が修正される。そして、このような複合コンプライアンス動作制御は、床Aに傾きがあるような場合であっても、足平機構6の着床位置及び姿勢を床A面になじませ、ロボット1の姿勢の安定性を確保するためのものである。この場合、前記実全床反力モーメントの補償全床反力モーメントへの追従性を高めるためには、複合コンプライアンス動作制御におけるコンプライアンスゲイン、すなわち、実全床反力モーメントと補償全床反力モーメントとの間の偏差の変化に対する足平機構6の目標着床位置及び姿勢の変化量(足首関節9の回転角の変化量)を大きくすることが好ましい。但し、上記コンプライアンスゲインを大きく採ると、一般には、複合コンプラインス動作制御のループゲイン(これは、概ね、上記コンプライアンスゲインと、足平機構6が有するばね機構(前記接地部材17、弾性部材16、及び着床衝撃緩衝装置18)のトータル的なばね定数との積に比例する)が大きくなって、制御系が不安定になりやすい。
【0067】
しかるに、本実施形態の着床衝撃緩衝装置18の袋状部材19内の空気のばね定数は、袋状部材19の接地直後の圧縮に伴い小さくなるため、上記ループゲインが小さくなる。その結果、前記コンプライアンスゲインを高めても、複合コンプライアンス動作制御の安定性を確保することができる。従って、実全床反力モーメントの補償全床反力モーメントへの追従性を高めることができ、ひいては、ロボット1の姿勢の安定性の確保を高めることができる。
【0068】
次に、本発明の第2実施形態を図7を参照して説明する。図7は本実施形態の要部の作動を説明するためのフローチャートである。尚、本実施形態は、前記第1実施形態のものと、前記電磁弁27の制御処理の一部のみが相違するものであるので、前記第1実施形態と同一の参照符号を用いる。そして、第1実施形態と同一構成部分については説明を省略する。
【0069】
前記第1実施形態では、時刻情報のみに基づいて電磁弁27の開閉のタイミングを決めるようにしたが、ロボット1の脚体3の着床動作時の実際の接地タイミング(足平機構6の袋状部材19が接地するタイミング)が予定時刻よりも遅れた場合には、制御装置10は速やかに脚体3を着床させるために、足平機構6を積極的に下降させる。このため、該足平機構6の着床動作時に通常よりも大きな着床衝撃が発生しやすくなる。
【0070】
本実施形態は、このような事態に対処するものであり、制御装置10は、前記図4のSTEP6において、図7のフローチャートに示すように電磁弁27を制御する。すなわち、本実施形態では、制御装置10は、前記第1実施形態における図5のSTEP11,12の処理と同一の処理をSTEP21,22で実行した後、STEP23において、現在時刻tが0≦t<Tsupであるか否か、すなわち、現在時刻tが脚体3の支持脚期内にあるか否かを判断する。このとき、0≦t<Tsupである場合には、制御装置10は、さらに、脚体3の足平機構6がその接地部材17もしくは袋状部材19を介して実際に接地しているか否かを判断する(STEP24)。この判断は、例えば前記6軸力センサ15の出力に基づいてなされる。そして、このSTEP24で、足平機構6が接地している場合には、電磁弁27を閉弁制御する(STEP25)。また、STEP24で足平機構6が接地していない場合には、電磁弁27を開弁制御する(STEP26)。
【0071】
また、STEP23において、0≦t<Tsupでない場合には、制御装置10は、次に、前記第1実施形態における図5のSTEP15と同じ判断処理、すなわち、現在時刻tがTsup+Thold≦t<Tsup+Thold+Topenであるか否かの判断をSTEP27で実行する。そして、この判断結果に応じて、前記第1実施形態と同様に電磁弁27の開閉制御をSTEP28又はSTEP29で実行する。尚、この場合、本実施形態では、STEP27でTsup+Thold≦t<Tsup+Thold+To penでない状態は、Tsup≦t<Tsup+Tholdである状態が含まれる。従って、Tsup≦t<Tsup+Tholdである状態では、前記第1実施形態と同様に、電磁弁27がSTEP29で閉弁制御される。
【0072】
上述のような電磁弁27の開閉制御によって、脚体3の支持脚期において足平機構6が接地部材17もしくは袋状部材19を介して接地している場合、すなわち、目標歩容による予定通りに脚体3の離床・着床動作が行われている場合には、前記第1実施形態と全く同様に、電磁弁27の開閉制御がなされる。従って、この場合には、本実施形態の着床衝撃緩衝装置18による作動及び効果は、前記第1実施形態と同一である。
【0073】
一方、脚体3の支持脚期(0≦t<Tsup)において足平機構6が接地部材17もしくは袋状部材19を介して接地していない場合、すなわち、例えば脚体3の着床動作時に該脚体3の袋状部材19が接地すべき時刻にまだ該袋状部材19が接地していないような場合には、電磁弁27が開弁制御される。尚、この場合、電磁弁27は必ずしも全開状態にする必要はなく、例えば半開状態に制御するようにしてもよい。
【0074】
このように、電磁弁27が開弁制御されるため、脚体3の離床状態における前記開弁時間Topenの経過時に電磁弁27が閉じられることで膨張が中断された袋状部材19が再び膨張しつつ、該袋状部材19の内部に空気が流入し、該袋状部材19の高さが増加する。その結果、脚体3の足平機構6を速やかに接地させるべく該足平機構6を下降させても、脚体3の着床衝撃を確実に軽減することができる。
【0075】
次に、本発明の第3実施形態を図8及び図9を参照して説明する。図8は本実施形態の着床衝撃緩衝装置を備えた足平機構の要部を模式化して示した図、図9は本実施形態の要部の作動を説明するためのフローチャートである。尚、本実施形態では、足平機構は、着床衝撃緩衝装置に係わる構成を除いて前記第1実施形態のものと同一であり、図8では、足平機構の要部構成のみを記載している。また、本実施形態の説明では、前記第1実施形態と同一構成部分もしくは同一機能部分については、第1実施形態と同一の参照符号を用い、説明を省略する。
【0076】
図8を参照して、本実施形態では、足平プレート部材12の底面に取着された袋状部材19の内部の底面部には、プレート部材28が固設され、このプレート部材28から上方に向かって延設されたロッド部材29が足平プレート部材12を上下方向(袋状部材19の圧縮方向)に摺動自在に貫通して、該足平プレート部材12の上側に突出している。従って、該ロッド部材29の突出部分の長さ(以下、突出量という)は、袋状部材19が圧縮されるに伴い、大きくなり、袋状部材19の高さに応じたものとなる。そして、該ロッド部材29の突出部分には、その突出量、ひいては、袋状部材19の高さ(袋状部材19の圧縮方向のサイズ)を検出するためのセンサとして、リニアポテンショメータ30が装着されており、このリニアポテンショメータ30の出力信号は、前記第1実施形態のものと同一構成の流入・流出手段20の電磁弁27の開閉制御を前記制御装置10により行うために、該制御装置10に入力されるようになっている。以上説明した以外の構成(電磁弁27の開閉制御以外の制御装置10の制御処理を含む)は、前記第1実施形態と同一である。
【0077】
また、本実施形態では、前記制御装置10は、前記図4のSTEP6において、図9のフローチャートに示すように電磁弁27を制御する。すなわち、制御装置10は、まず、現在設定されている歩容パラメータ(ロボット1の移動モードや、歩幅、移動速度等)に応じて、前記第1実施形態で説明した前記圧縮状態保持時間Tholdと、脚体3の離床状態で袋状部材19を膨張させるときの該袋状部材19の上限の高さの目標値Hcmd(以下、目標膨張高さHcmdという)とを設定する(STEP31)。この場合、圧縮状態保持時間Tholdの設定の仕方は、前記第1実施形態と同一である。また、目標膨張高さHcmdは、基本的には、ロボット1の移動速度が速いほど、大きな高さに設定される。但し、本実施形態では目標膨張高さHcmdは袋状部材19の自然状態での高さ以下の高さである。
【0078】
さらに、制御装置10は、前記第1実施形態における図5のSTEP12と同様に、現在設定されている歩容パラメータに基づいて、脚体3が支持脚期となる支持脚時間Tsupを求める(STEP32)。
【0079】
次いで、制御装置10は、現在時刻t(歩容の切替り目からの経過時間)が、0≦t<Tsup+Tholdの期間内にあるか否かを判断し(STEP33)。このとき、0≦t<Tsup+Tholdである場合には、制御装置10は、電磁弁27を閉弁制御する(STEP34)。このSTEP33,34の処理は、前記第1実施形態の図5のSTEP13,14の処理と同一である。
【0080】
一方、STEP33で0≦t<Tsup+Tholdでない場合には、制御装置10は、さらに、前記リニアポテンショメータ30の出力により袋状部材19の現在の袋状部材19の実際の高さHactを検出し(STEP35)、この検出した高さHactを前記目標膨張高さHcmdと比較する(STEP36)。そして、制御装置10は、Hact<Hcmdである場合には、電磁弁27を開弁制御し(STEP37)、Hact≧Hcmdである場合には、電磁弁27を閉弁制御する(STEP38)。
【0081】
上述のような電磁弁27の開閉制御により、脚体3の着床状態と、その着床状態から離床状態への移行直後において袋状部材19が圧縮状態に維持されることは前記第1実施形態と全く同様である。
【0082】
一方、本実施形態では、脚体3の離床状態における電磁弁27の開弁後の袋状部材19の膨張時には、袋状部材19の実際の高さHactが歩容パラメータに応じて設定された目標膨張高さHcmdになったときに、電磁弁27が閉弁制御されて、袋状部材19への空気の流入が遮断される。その結果、ロボット1の着床前の袋状部材19の高さは目標膨張高さHcmdに制御される。従って、前記第1実施形態と同様に、着床衝撃緩衝装置18による着床衝撃の軽減効果をロボット1の歩容形態に適したものにすることができ、ロボット1の歩容形態によらずに、円滑に着床衝撃を軽減することができる。そして、この場合、袋状部材19の高さが確実にロボット1の歩容形態に応じた目標膨張高さHcmdに制御されるので、着床衝撃の軽減効果を良好に確保することができる。
【0083】
次に、本発明の第4実施形態を図10を参照して説明する。図10は本実施形態の要部の作動を説明するためのフローチャートである。尚、本実施形態は、前記第3実施形態のものと、前記電磁弁27の制御処理の一部のみが相違するものであるので、前記第1実施形態と同一の参照符号を用いる。そして、第3実施形態と同一構成部分については説明を省略する。
【0084】
本実施形態は、前記第2実施形態と同様に、脚体3の足平機構6が予定時刻よりも遅れて接地する場合を考慮したものである。そして、前記制御装置10は、前記図4のSTEP6において、図10のフローチャートに示すように電磁弁27を制御する。すなわち、制御装置10は、前記第3実施形態における図9のSTEP31,32の処理と同一の処理をSTEP41,42で実行した後、STEP43において、現在時刻tが0≦t<Tsupであるか否か、すなわち、現在時刻tが脚体3の支持脚期内にあるか否かを判断する。このとき、0≦t<Tsupである場合には、制御装置10は、さらに、脚体3の足平機構6がその接地部材17もしくは袋状部材19を介して実際に接地しているか否かを判断する(STEP44)。この判断は、例えば前記6軸力センサ15の出力に基づいてなされる。そして、このSTEP44で、足平機構6が接地している場合には、電磁弁27を閉弁制御する(STEP45)。
【0085】
また、STEP44で足平機構6が接地していない場合には、制御装置10は、現在設定されている目標膨張高さHcmdを増加させる(STEP46)。この場合、目標膨張高さHcmdの増加量は例えばあらかじめ定めた単位増加量とする。さらに、制御装置10は、前記リニアポテンショメータ30の出力により袋状部材19の現在の袋状部材19の実際の高さHactを検出し(STEP47)、この検出した高さHactを目標膨張高さHcmdと比較する(STEP48)。そして、制御装置10は、Hact<Hcmdである場合には、電磁弁27を開弁制御し(STEP49)、Hact≧Hcmdである場合には、電磁弁27を閉弁制御する(STEP45)。
【0086】
一方、前記STEP43において現在時刻tが0≦t<Tsupでない場合には、制御装置10は、次に、現在時刻tがTsup≦t<Tsup+Tholdであるか否かを判断する(STEP50)。このとき、Tsup≦t<Tsup+Tholdである場合には、制御装置10は、電磁弁27を閉弁制御する(STEP51)。また、Tsup≦t<Tsup+Tholdでない場合には、制御装置10は、前述したSTEP47からの処理を実行し、袋状部材19の実際の高さHactと目標膨張高さHcmdとの比較に基づいて電磁弁27を開閉制御する。
【0087】
以上説明した電磁弁27の開閉制御によって、脚体3の支持脚期において足平機構6が接地部材17もしくは袋状部材19を介して接地している場合、すなわち、目標歩容による予定通りに脚体3の離床・着床動作が行われている場合には、前記第3実施形態と全く同様に、電磁弁27の開閉制御がなされる。従って、この場合には、本実施形態の着床衝撃緩衝装置18による作動及び効果は、前記第3実施形態と同一である。
【0088】
一方、脚体3の支持脚期(0≦t<Tsup)において足平機構6が接地部材17もしくは袋状部材19を介して接地していない場合、すなわち、例えば脚体3の着床動作時に該脚体3の袋状部材19が接地すべき時刻にまだ該袋状部材19が接地していないような場合には、目標膨張高さHcmdが増加されて、電磁弁27が開弁制御される。そして、このとき、電磁弁27の開弁、すなわち、袋状部材19への空気の流入は、袋状部材19の実際の高さが増加された目標膨張高さHcmdになるまで実行される。これにより袋状部材19の高さが本来の歩容形態に応じた高さよりも大きくなるように該袋状部材19が膨張される。但し、本実施形態では、袋状部材19内に流入する空気は大気圧の空気であるため、袋状部材19の膨張時の高さの上限は、該袋状部材19の自然状態での高さである。
【0089】
このように、脚体3の着床動作時に該脚体3の袋状部材19が接地すべき時刻にまだ該袋状部材19が接地していないような場合には、袋状部材19の内部に空気を流入させて袋状部材19の高さを増加させるので、脚体3の足平機構6を速やかに接地させるべく該足平機構6を下降させても、脚体3の着床衝撃を確実に軽減することができる。
【0090】
尚、前記第3及び第4実施形態では、袋状部材19の高さHactをリニアポテンショメータ30により検出するようにしたが、レーザ光等を用いた測距センサにより検出するようにしてもよい。また、袋状部材19の膨張時の内部の圧力は、一般に、袋状態部材19の高さと相関性を有するので、袋状部材19内の圧力を圧力センサにより検出し、その検出圧力に基づいて電磁弁27の開閉制御を行うことで、袋状部材19の膨張時の高さを制御するようにしてもよい。
【0091】
また、以上説明した第1〜第4実施形態では、袋状部材19を圧縮状態に維持したり、あるいは、袋状部材19の膨張時の高さを制御するために、袋状部材19への空気の流入を電磁弁27を介して制御することで行うようにしたが、袋状部材19の膨縮の制御のために、例えば、図11に示すような機構的手段あるいは図12に示すような電磁的手段を用いるようにしてもよい。尚、これらの図11,12では、前記図8と同様、足平機構6の要部構成のみを記載している。
【0092】
図11に示す例では、前記第3実施形態のものと同様に、袋状部材19の内部の底面部にプレート部材31が固設され、このプレート部材31から上方に向かって延設されたロッド部材32が足平プレート部材12を上下方向(袋状部材19の圧縮方向)に摺動自在に貫通して、該足平プレート部材12の上側に突出している。そして、このロッド部材32にワンウェイクラッチ機構33が装着されており、該ワンウェクラッチ機構33は、袋状部材19の圧縮方向(ロッド部材32が上動する方向)ではロッド部材32を移動自在とすると共に、袋状部材19の膨張方向(ロッド部材32が下動する方向)では、前記制御装置10から与えられる指令等により、ロッド部材32を係止(ロック)可能としている。このような機構を備えた場合には、脚体3の着床動作により、袋状部材19が圧縮状態となった後(足平機構6がその前部及び後部の接地部材17を介して接地した後)、脚体3が着床状態から離床状態に移行した直後(前記第1〜第4実施形態でその離床状態への移行直後に電磁弁27を閉弁状態から開弁状態に切換えるタイミング)まで、ロッド部材32をワンウェイクラッチ機構33により係止することで、前記第1〜第4実施形態と同様に袋状部材19を圧縮状態に維持することができる。この場合、ロッド部材32を係止することで、袋状部材19をより確実に圧縮状態に維持することができる。さらに、脚体3の離床状態においては、前記第1〜第4実施形態で電磁弁27を開弁状態から閉弁状態に切換えるタイミングで、ワンウェイクラッチ機構33によりロッド部材32を係止することで、袋状部材19の高さをより確実に所望の高さに制御することができる。
【0093】
また、図12に示す例では、袋状部材19の内部の底面部には、プレート状の磁性体34が固設され、該袋状部材19の内部の上面部(足平プレート部材12の下面部)には、電磁石35が固設されている。このような電磁手段を備えた場合には、脚体3の着床動作により、袋状部材19が圧縮状態となった後(足平機構6がその前部及び後部の接地部材17を介して接地した後)、脚体3が着床状態から離床状態に移行した直後(前記第1〜第4実施形態でその離床状態への移行直後に電磁弁27を閉弁状態から開弁状態に切換えるタイミング)まで、電磁石35により磁性体34に対して吸着力を生ぜしめることにより、袋状部材19をより確実に圧縮状態に維持することができる。
【0094】
次に、本発明の第5実施形態を図13〜図15を参照して説明する。図13は本実施形態の着床衝撃緩衝装置を備えた足平機構の要部を模式化して示した図、図14は本実施形態の要部の作動を説明するためのフローチャート、図15は本実施形態の要部の作動を説明するためのタイミングチャートである。尚、本実施形態では、足平機構は、着床衝撃緩衝装置に係わる構成を除いて前記第1実施形態のものと同一であり、図13では、足平機構の要部構成のみを記載している。また、本実施形態の説明では、前記第1実施形態と同一構成部分もしくは同一機能部分については、第1実施形態と同一の参照符号を用い、説明を省略する。
【0095】
図13を参照して、本実施形態の着床衝撃緩衝装置18では、足平プレート部材12の底面に取着された袋状部材19の内部に連通して袋状部材19側から導出された流体管路35と、この流体管路35に設けられて前記制御装置10により開度を制御可能な電磁比例弁36とからなる流入・流出手段37を備えている。また、袋状部材19の内部には、圧力センサ38が備えられ、さらに、足平プレート部材12上には、袋状部材19の高さを検出する測距センサ39が備えられている。該測距センサ39は、例えば、レーザ光を用いて袋状部材19の高さを検出するものである。これらのセンサ38,39の出力(検出信号)は、制御装置10に入力される。以上説明した以外の構造は、前記第1実施形態のものと同一である。
【0096】
また、本実施形態では、前記制御装置10の制御処理は、図4のSTEP6の処理のみが前記第1実施形態のものと相違しており、このSTEP6では、各脚体3毎に、図14のフローチャートに示すように前記電磁比例弁36を制御するようにしている。
【0097】
すなわち、制御装置10は、まず、現在時刻tがt=0であるか否か、すなわち、脚体3の支持脚期の開始タイミングであるか否かを判断し(STEP61)、t=0である場合には、現在の歩容パラメータに応じて袋状部材19内の目標圧Pcmdと、該袋状部材19の目標高さHHcmdの経時変化のパターンを設定する(STEP62)。この場合、目標圧Pcmd及び目標高さHHcmdのパターンは、例えば、それぞれ図15(a),(b)に示すように設定される。
【0098】
より具体的には、目標高さHHcmdは、支持脚期の開始直後(足平機構6の袋状部材19の接地直後)の期間Ta(この期間は、基本的には、足平機構6がその前部及び後部の接地部材17を介して完全に接地するまでの期間である)では、初期値HHcmd0から「0」まで単調に減少していくように設定される。そして、上記期間Taの経過時から、脚体3の遊脚期の初期(脚体3が着床状態から離床状態に移行した直後)までの期間Tbにおいて、目標高さHHcmdは「0」に維持される。尚、HHcmd=0は、足平機構6がその前部及び後部の接地部材17を介して接地して袋状部材19が完全に圧縮された状態での袋状部材19の高さを意味する。さらに、該期間Tbの経過時から、遊脚期の終了時までは、目標高さHHcmdが所定値HHcmd1まで増加され、最終的に該所定値HHcmd1に維持される。ここで、該所定値HHcmd1は、前記第3及び第4実施形態における目標高さHcmdに相当するものである。さらに、支持脚期の開始時における目標高さHHcmdの初期値HHcmd0は、該支持脚期の前の遊脚期における最終的な目標高さHHcmd(HHcmd1)に相当するものである。この場合、遊脚期における最終的な目標高さHHcmd1や、期間Tbの長さ等が前記第1〜第4実施形態と同様に、ロボット1の移動速度等に応じたものに設定される。
【0099】
また、目標圧Pcmdは、基本的には、脚体3の支持脚期の初期の前記期間Taにおいて、「0」から一時的に増加した後、「0」まで減少するように設定される。そして、期間Taの経過後は、遊脚期の終了時まで、Pcmd=0に維持される。尚、Pcmd=0は、袋状部材19内の圧力が大気圧と同等であることを意味する。この場合、目標圧Pcmdの遊脚期における最大値等が歩容パラメータに応じたものに設定され、基本的には、ロボット1の移動速度が速いほど、目標圧Pcmdの最大値は大きくなるように設定される。
【0100】
上述のように目標圧Pcmd及び目標高さHHcmdの経時変化のパターンを設定した後、あるいは、STEP1でt=0でない場合には、制御装置10は、次に、上記パターンに基づいて、現在時刻tにおける瞬時目標圧Pcmd及び瞬時目標高さHHcmdを求める(STEP63)。
【0101】
次いで、制御装置10は、袋状部材19内の実圧力Pactを前記圧力センサ38により検出すると共に、袋状部材19の実際の高さHactを前記測距センサ39により検出した後(STEP64)、足平機構6が袋状部材19もしくは接地部材17を介して接地しているか否かを判断する(STEP65)。この判断は、例えば前記6軸力センサ15あるいは圧力センサ38による実圧力Pactの検出値に基づいて行われる。
【0102】
そして、足平機構6が接地している場合には、制御装置10は、前記STEP63で求めた瞬時目標圧Pcmd及び瞬時目標高さHHcmdと、STEP64で検出した袋状部材19内の実圧力Pact及び袋状部材19の実際の高さHactとに基づいて、前記電磁比例弁36の開度を制御する(STEP66)。この場合、制御装置10は例えば、次式(1)により、電磁比例弁36の開度(以下、弁開度という)を決定して、その弁開度に電磁比例弁36を制御する。
【0103】
弁開度=k1・(Pact−Pcmd)+k2・(Hact−HHcmd) ……(1)
【0104】
ここで、式(1)中のk1,k2はあらかじめ定めた正のゲイン係数である。また、式(1)の右辺の計算結果が負の値になったときには、強制的に弁開度=0(電磁比例弁36の閉弁状態)とする。
【0105】
また、STEP65において、足平機構6が接地していない場合には、制御装置10は、前記STEP63で求めた瞬時目標高さHHcmdと、STEP64で検出した袋状部材19の実際の高さHactとに基づいて、前記電磁比例弁36の開度を制御する(STEP67)。この場合、制御装置10は、例えば次式(2)により、弁開度を決定して、その弁開度に電磁比例弁36を制御する。
【0106】
弁開度=−k3・(Hac t−HHcmd) ……(2)
【0107】
ここで、式(2)中のk3はあらかじめ定めた正のゲイン係数である。また、式(2)の右辺の計算結果が負の値になったときには、強制的に弁開度=0(電磁比例弁36の閉弁状態)とする。
【0108】
上述のような電磁比例弁36の弁開度の制御、換言すれば、袋状部材19への空気の流入制御により、足平機構6(袋状部材19を含む)の接地状態、すなわち、脚体3の支持脚期では、基本的には、袋状部材19内の実圧力Pactと袋状部材19の実際の高さHactとがそれぞれ、概ね目標圧Pcmd及び目標高さHHcmdのパターンに追従するように変化する。また、足平機構6の非接地状態、すなわち、脚体3の遊脚期では、袋状部材19の実際の高さHactが、目標高さHHcmdのパターンに追従するように変化する。そして、この場合、目標高さHHcmdのパターンは、前述のように設定されているので、袋状部材19は、脚体3の着床動作による圧縮後、該脚体3が着床状態から離床状態に移行した直後まで、基本的には圧縮状態に維持される。さらに、脚体3の遊脚期では、ロボット1の歩容形態を規定する歩容パラメータに応じた高さまで袋状部材19が膨張する。従って、前記第1実施形態と同様の作用効果を奏することができる。さらに、本実施形態では、足平機構6の接地状態において、袋状部材19内の実圧力Pactも歩容パラメータに応じた目標圧Pcmdに概ね追従するように制御されるため、着床衝撃緩衝装置18による着床衝撃の軽減効果を、ロボット1の歩容形態に適したものにすることができる。
【0109】
尚、本実施形態では、足平機構6の接地状態において、前記式(1)により電磁比例弁36の弁開度を決定するようにしたが、例えば、次式(3)あるいは式(4)により弁開度を決定するようにしてもよい。
【0110】
弁開度=k1・(Pact−Pcmd)−k2・HHcmd ……(3)
【0111】
弁開度=−k1・Pcmd+k2・(Hact−HHcmd) ……(4)
【0112】
これらの式(3)、(4)を用いた場合においても、脚体3の支持脚期では、基本的には、袋状部材19内の実圧力Pactと袋状部材19の実際の高さHactとを、それぞれ、概ね目標圧Pcmd及び目標高さHHcmdのパターンに追従するように変化させることができる。
【0113】
尚、本実施形態では、目標圧Pcmd及び目標高さHHcmdのパターンを設定するようにしたが、例えば目標高さHHcmdのパターンのみを設定し、これに袋状部材19の実際の高さHactを追従させるように電磁比例弁36を制御するようにしてもよい。この場合には、脚体3の支持脚期及び遊脚期のいずれにおいても、例えば前記式(2)により電磁比例弁36の弁開度を決定するようにすればよい。
【0114】
以上説明した第1〜第5実施形態では、袋状部材19を足平プレート部材12の底面側に備えたものを示したが、袋状部材19を例えば足平プレート部材12と足首関節9との間に設けるようにしてもよい。この場合の実施形態を第6実施形態として図16を参照して説明する。図16は本実施形態の着床衝撃緩衝装置を備えた足平機構の側面示の断面図である。尚、本実施形態は、前記第1実施形態のものと、足平機構の一部の構成と着床衝撃緩衝装置の一部の構成のみが相違するものであるので、前記第1実施形態と同一構成部分もしくは同一機能部分については、該第1実施形態と同一の参照符号を用い、説明を省略する。
【0115】
本実施形態では、足平機構6の上面部には、前記第1実施形態のものと同様に断面方形状の筒部材13が固設されており、筒部材13内に、前記第1実施形態の袋状部材と同様の樽型形状で上方に開口した袋状部材19(可変容積体)が収容されている。この場合、袋状部材19の底面部は、筒部材13内で足平プレート部材12に固着されている。また、筒部材13内には、袋状部材19の上側で、有底の可動筒部材40が収容され、この可動筒部材40は、筒部材13の内周面に沿って上下動自在に設けられている。そして、該可動筒部材40の底部に前記袋状部材19の開口端部が固設されている。従って、可動筒部材40は、袋状部材19を介して足平プレート部材12に連結されている。さらに、可動筒部材40の底部には、二つの流通孔41,42が袋状部材19の内部に連通して穿設されている。これらの流通孔41,42は絞り通路となっている。
【0116】
また、可動筒部材40の内部には、その内周面に沿ってほぼ上下方向に可動な可動プレート43が収容され、この可動プレート43は、その下面の周縁部がばね、ゴム等の弾性材からなる複数の弾性部材44(図ではばねとして記載している)を介して可動筒部材40の底部に連結されている。そして、この可動プレート43の上面部に6軸力センサ15を介して脚体3の足首関節9が連結されている。
【0117】
また、前記流通孔41,42を含む流体・流出手段20が設けられたいる。この流体・流出手段20は、その基本構成は、前記第1実施形態のものと同一であり、流通孔41に接続されて該流通孔41から導出された流体管路23と、この流体管路23に設けられた逆止弁25と、流通孔42に接続されて該流通孔42から導出された流体管路24と、この流体管路24に設けられた逆止弁26及び電磁弁27とを備えるものである。そして、流体管路23,24の先端部は大気側に開放されている。この流入・流出手段20と、前記袋状部材19とにより本実施形態の着床衝撃緩衝装置18が構成されている。
【0118】
尚、本実施形態では、袋状部材19は、脚体3の離床状態において、足平プレート部材12等の重量により袋状部材19が伸びて可動筒部材40が筒部材13から抜け落ちることがないように、図示の膨張状態(自然状態)以上には伸び難い弾性材により構成されている。もしくは、構造的に可動筒部材40が筒部材13から抜け落ちないようになっている。以上説明した以外の構成(前記制御装置10の制御処理を含む)は、前記第1実施形態のものと同一である。
【0119】
上述のように構成された本実施形態の着床衝撃緩衝装置18では、脚体3の着床動作の際に、該脚体3の足平機構6が接地部材17を介して接地すると、袋状部材19が圧縮されつつ、該袋状部材19内の空気が流通孔41を介して流出する。このとき、流通路41は絞り通路であるので、流出抵抗を生じる。このような本実施形態の着床衝撃緩衝装置18の作動により、脚体3の着床動作の際の着床衝撃が前記第1及び第2実施形態のものと同様に軽減される。また、前記第1実施形態と同様に電磁弁27を開閉制御することにより、袋状部材19の圧縮後、足平機構6が着床状態から離床状態に移行する直後まで、袋状部材19が圧縮状態に維持される。さらに、足平機構6の離床状態では、袋状部材19は、所望の高さまで膨張する。これにより、前記第1実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0120】
尚、本実施形態では、前記第1実施形態と同様に袋状部材19への空気の流入制御を行うものを示したが、前記第2〜第4実施形態と同様に袋状部材19への空気の流入を制御するようにすることも可能である。
【0121】
また、本実施形態では、可変容積体として袋状部材19を備えたが、例えば、前記筒部材13を円筒状(シリンダチューブ状)に形成すると共に、可動筒部材40をピストン状に形成し、筒部材13内における可動筒部材40の下側の空間の可変容積体として構成するようにすることも可能である。
【0122】
さらに、前記第1〜第6の各実施形態では、可変容積体に対して入出させる流体を空気としたものを示したが、本発明は、該流体は作動油等の液体であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態における脚式移動ロボットの基本構成を示す側面図。
【図2】本発明の第1実施形態の着床衝撃緩衝装置を備えた足平機構の側面示の断面図。
【図3】図2の足平機構の底面側から見た平面図。
【図4】図1の脚式移動ロボットの動作制御の処理を示すフローチャート。
【図5】図2の足平機構の着床衝撃緩衝装置の作動を説明するためのフローチャート。
【図6】図2の足平機構の着床衝撃緩衝装置の作動を説明するためのタイミングチャート。
【図7】本発明の第2実施形態の着床衝撃緩衝装置の作動を説明するためのフローチャート。
【図8】本発明の第3実施形態の着床衝撃緩衝装置を備えた足平機構の要部の模式図。
【図9】本発明の第3実施形態の着床衝撃緩衝装置の作動を説明するためのフローチャート。
【図10】本発明の第4実施形態の着床衝撃緩衝装置の作動を説明するためのフローチャート。
【図11】本発明の第1〜第4実施形態に係わる変形態様におえる足平機構の要部の模式図。
【図12】本発明の第1〜第4実施形態に係わる変形態様におえる足平機構の要部の模式図。
【図13】本発明の第5実施形態の着床衝撃緩衝装置を備えた足平機構の要部の模式図。
【図14】図13の足平機構の着床衝撃緩衝装置の作動を説明するためのフローチャート。
【図15】図13の足平機構の着床衝撃緩衝装置の作動を説明するためのタイミングチャート。
【図16】本発明の第6実施形態の着床衝撃緩衝装置を備えた足平機構の側面示の断面図。
【符号の説明】
1…脚式移動ロボット(二足移動ロボット)、3…脚体、6…足平機構、10…制御装置(圧縮状態維持手段、膨張制御手段)、18…着床衝撃緩衝装置、19…袋状部材(可変容積体)、20…流入・流出手段、27…電磁弁(圧縮状態維持手段、膨張制御手段)、36…電磁比例弁(圧縮状態維持手段、膨張制御手段)。

Claims (10)

  1. 足平機構の接地面部を介してそれぞれ接地可能な複数の脚体の離床・着床動作により移動する脚式移動ロボットにおいて、各脚体の着床動作の際に床反力を受けて圧縮されると共に少なくとも該脚体の離床動作により該床反力を受けなくなったときには膨張し得るように該脚体の足平機構に設けられ、その膨縮に伴い内部に流体を入出可能な可変容積体と、各脚体の離床状態で該可変容積体を膨張させつつ該可変容積体に流体を流入させると共に前記床反力による該可変容積体の圧縮に伴い該可変容積体から流体を流出させる流入・流出手段とを備え、該流入・流出手段による前記可変容積体内の流体の流出の際に流出抵抗を発生させるようにした着床衝撃緩衝装置であって、
    少なくとも各脚体の着床動作により前記可変容積体が圧縮された後、該脚体がその離床動作により離床状態となった直後までの期間内において該可変容積体を圧縮状態に維持する圧縮状態維持手段を備えたことを特徴とする脚式移動ロボットの着床衝撃緩衝装置。
  2. 前記流体は圧縮性流体であることを特徴とする請求項1記載の脚式移動ロボットの着床衝撃緩衝装置。
  3. 前記可変容積体は、前記各脚体の着床動作の際に該脚体の足平機構の接地面部に先行して接地するように該脚体の足平機構の底面側に設けられた変形自在な袋状部材により構成されていることを特徴とする請求項1又は2記載の脚式移動ロボットの着床衝撃緩衝装置。
  4. 前記圧縮状態維持手段は、少なくとも前記流入・流出手段による前記可変容積体への流体の流入を遮断せしめることにより該可変容積体を圧縮状態に維持することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の脚式移動ロボットの着床衝撃緩衝装置。
  5. 前記圧縮状態維持手段は、前記脚式移動ロボットの移動時の目標歩容に応じて定まる各脚体の離床・着床動作の時刻情報に基づき、前記可変容積体を圧縮状態に維持する時期を判断することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の脚式移動ロボットの着床衝撃緩衝装置。
  6. 前記各脚体の足平機構が前記接地面部を介して接地しているか否かを検知するためのセンサが備えられており、前記圧縮状態維持手段は、該センサの検知データに基づき、前記可変容積体を圧縮状態に維持する時期を判断することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の脚式移動ロボットの着床衝撃緩衝装置。
  7. 前記各脚体の離床状態での前記可変容積体の膨張時に、該可変容積体の圧縮方向のサイズが前記脚式移動ロボットの歩容形態に応じた所定のサイズになるように、前記流入・流出手段による可変容積体への前記流体の流入量を該歩容形態に応じて制御する膨張制御手段を備えたことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の脚式移動ロボットの着床衝撃緩衝装置。
  8. 前記膨張制御手段は、前記圧縮状態維持手段による前記可変容積体の圧縮状態の維持作動が解除された後における該可変容積体への前記流体の流入時間に基づき、該可変容積体の圧縮方向におけるサイズが前記所定のサイズに膨張したか否かを判断し、該可変容積体の圧縮方向のサイズが前記所定のサイズに膨張したと判断したとき、前記流入・流出手段による可変容積体への流体の流入を遮断せしめることを特徴とする請求項7記載の脚式移動ロボットの着床衝撃緩衝装置。
  9. 前記可変容積体の圧縮方向のサイズに応じて変化する物理量を検出するセンサを備えており、前記膨張制御手段は、前記圧縮状態維持手段による前記可変容積体の圧縮状態の維持作動が解除された後における該センサの検出データに基づき該可変容積体の圧縮方向のサイズが前記所定のサイズに膨張したか否かを判断し、該可変容積体の圧縮方向のサイズが前記所定のサイズに膨張したと判断したとき、前記流入・流出手段による可変容積体への流体の流入を遮断せしめることを特徴とする請求項8記載の脚式移動ロボットの着床衝撃緩衝装置。
  10. 前記可変容積体内の圧力を検出する第1センサと該可変容積体の圧縮方向におけるサイズを検出する第2センサとを備えており、前記圧縮状態維持手段及び膨張制御手段は、前記脚式移動ロボットの歩容形態に応じて前記可変容積体内の目標圧力の経時変化パターンと該可変容積体の膨張状態における該可変容積体の圧縮方向の目標サイズの経時変化パターンを設定し、前記第1センサ及び第2センサによりそれぞれ検出される圧力及びサイズがそれぞれ前記目標圧力及び目標サイズの経時変化パターンに沿って変化するように前記流入・流出手段による可変容積体の流体の流出・流入を制御することを特徴とする請求項8記載の脚式移動ロボットの着床衝撃緩衝装置。
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