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JP3537487B2 - ムラサキイガイ接着蛋白質遺伝子 - Google Patents

ムラサキイガイ接着蛋白質遺伝子

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JP3537487B2
JP3537487B2 JP09026694A JP9026694A JP3537487B2 JP 3537487 B2 JP3537487 B2 JP 3537487B2 JP 09026694 A JP09026694 A JP 09026694A JP 9026694 A JP9026694 A JP 9026694A JP 3537487 B2 JP3537487 B2 JP 3537487B2
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adhesion protein
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広滋 井上
哲 王堂
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株式会社海洋バイオテクノロジー研究所
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  • Preparation Of Compounds By Using Micro-Organisms (AREA)
  • Adhesives Or Adhesive Processes (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は水中や湿潤な環境で使用
できる接着剤の原料となるペプチドを組換えDNA技術
を用いて製造するために用いる遺伝子DNAに関する。
接着蛋白質をコードするDNAを組み込んだ組換え体D
NAを含む微生物や培養細胞を培養液中で培養し、該培
養物中に蓄積される該ポリペプチドを採集することによ
り、得られる該ペプチドは、接着剤の原料として広い用
途で利用されることが期待される。
【0002】
【従来の技術】乾燥条件下で強い接着力を示す接着剤は
様々な種類のものが開発されている。そのうちの多くの
ものは一旦乾燥条件下で接着してしまえば湿潤環境にお
かれてもその強度を維持できる。しかし、湿潤な条件下
や水中で接着を開始した場合、有効な強度に達すること
ができる接着剤は存在しなかった。
【0003】ムラサキイガイは自己を良好な環境に固定
するために接着蛋白質を合成して自己を基物に接着させ
ることができる。この接着蛋白質には大まかには2種類
あり(Rzepecki, L.M., Hansen, K.M. and Waite, J.H.
Biological Bulletin 183:123-137, 1992)、両者の協
調作用により強固な接着が実現されることが想像され
る。一方の蛋白質(以降、第1蛋白質と称する)は主と
して数十個のAla-Lys-Pro-Ser-Tyr-Pro-Pro-Thr-Tyr-Ly
s という10アミノ酸の繰り返しにより構成される蛋白質
で、配列中のProおよびTyr残基はしばしば修飾されてそ
れぞれHydroxyprolineおよびDopa残基に変換されている
ことが知られており、Dopaのキノン架橋が接着に関与す
ることが推測されている(J.H.Wait, Int.J.Adhesion a
nd Adhesives, 7:9-14, 1987)。この蛋白質のcDNA
についてはすでに明らかにされ、その一部の配列を用い
て、微生物に作らせる方法がすでに報告されている(特
開平1-104180号公報)。もう一方の蛋白質(以降、第2
蛋白質と称する)はCys残基をその組成中に含む蛋白質
で、Cys残基のジスルフィド結合により、硬化する蛋白
質であると想像されるが、ムラサキイガイ足中に多量に
含まれることが知られているにもかかわらず、そのポリ
ペプチドの配列は一部の断片ペプチドのアミノ酸配列以
外は明らかにされていなかった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、遺伝子工学
の手法を用いてムラサキイガイ接着蛋白質の第2蛋白質
を生産すべく、その生産に係る遺伝子を提供することを
目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】ムラサキイガイ接着蛋白
質の第2蛋白質の配列を得るために、日本産のムラサキ
イガイより前記第2蛋白質をコードするcDNAを単離
した。日本産のムラサキイガイ(Mytilus galloprovinc
ialis)はチレニアイガイとも呼ばれる地中海系の種で
ある(Wilkins et al.Biol.J.Linnean Soc.,20:365-37
4,1983)。研究の結果、日本産ムラサキイガイの足から
抽出したmRNAから作成したcDNAライブラリーか
ら、6個のCys残基を一定の規則に基づいて含む32〜
34のアミノ酸残基からなるモチーフを、4〜9アミノ
酸残基のスペーサー領域を挟んで繰り返す構造から主と
して構成され、すでに知られているムラサキイガイ接着
蛋白質の第2蛋白質の断片配列と相同性のある配列を持
つcDNAを単離することに成功し、さらにその塩基配
列を決定して本発明を完成した。
【0006】即ち、本発明の第一は、配列番号2で表さ
れるアミノ酸配列をコードするムラサキイガイ接着蛋白
質遺伝子である。この遺伝子のDNA配列としては、配
列番号1で表される塩基配列を例示することができる。
【0007】また、本発明の第二は、ミチルス・エドゥ
リス(Mytilus edulis)又はミチルス・ガロプロヴィンシ
アリス(Mytilus galloprovincialis) を起源とし、塩基
配列の長さが1.5Kbであり、配列番号3、4、又は5で
表されるアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする
ムラサキイガイ接着蛋白質遺伝子である。
【0008】以下、本発明を詳細に説明する。本発明の
遺伝子を取得するための材料としては、日本産のムラサ
キイガイ(Mytilus galloprovincialis)を用いるのが
好ましいが、その他のムラサキイガイ、例えば、ミチル
ス・エドゥリス(Mytilus edulis)等を用いることもでき
る。本発明遺伝子は以下の手順で得ることができる。ま
ずムラサキイガイの足をチオシアン酸グアニジン等によ
り可溶化し、フェノール/クロロホルムによる抽出を行
い、イソプロパノールにより沈殿させることにより全R
NAを得ることができる。全RNAを得る方法はこの方
法に限定されるものではなく、LiCl沈殿法や塩化セ
シウム溶液に重層して遠心することによっても得られ
る。全RNAから、オリゴdTセルロースカラムを用い
てポリアデニル酸鎖を有するRNA(ポリA−RNA)
を調製する。このポリA−RNAを鋳型として逆転写酵
素を用いて2本鎖DNAを調製する。この2本鎖DNA
の合成はS1ヌクレアーゼ法やオカヤマ−バーグ法によ
り行ない得るが、市販のcDNA合成キットを用いて合
成することも可能である。次いで、得られたcDNAを
適当なベクターに挿入し、このベクターを適当な宿主に
導入して増幅させるとともに目的のDNAを持つクロー
ンを選択する。ベクターはλファージ由来の各種ベクタ
ーたとえばλgt10やλZAPIIなど、あるいはp
BR322等のプラスミドベクターを用いることができ
る。目的クローンの選択にはすでに知られているムラサ
キイガイ接着蛋白質の第2蛋白質の部分配列の一部に相
当するオリゴヌクレオチドを合成してプローブとして用
い、これに強く結合するクローンを選択すればよい。配
列の決定はサンガー法やマキサム−ギルバート法等の一
般的な方法によって決定できる。以上の手順により翻訳
開始コドンから終止コドン、さらにポリアデニル酸鎖付
加シグナルを含む第2蛋白質cDNAの全長を単離する
ことができる。
【0009】単離した配列は適当を発現ベクターに挿入
し、微生物や培養細胞に導入して発現させることによ
り、当該ペプチドを大量調製することが可能である。こ
の際、当該DNAはシグナル部分を含むため、当該ペプ
チドを宿主細胞外に分泌させることができる。また、シ
グナル部分を除去して適当なベクターに組み込んで用い
ることにより細胞内で生産させることも可能である。
【0010】
【実施例】
〔実施例1〕 ムラサキイガイ足cDNAライブラリー
の作製 岩手県宮古市宮古湾で採集した殻長3−5cmのムラサ
キイガイ12個体の足をチオシアン酸グアニジン、クエ
ン酸ナトリウム、N−ラウリルザルコシン酸ナトリウ
ム、β−メルカプトエタノール等の溶液中で組織を機械
的に破砕し、フェノールおよびクロロホルムによる抽出
を行なって蛋白質等を除去したのち、イソプロパノール
を加えて沈殿させることにより全RNAを抽出し、オリ
ゴdTセルロースカラムに導通してポリアデニル酸鎖を
有するRNA(ポリA−RNA)を調製した。この操作
により約2μgのポリA−RNAが得られた。次にこの
ポリA−RNAを鋳型として逆転写酵素を用いて2本鎖
cDNAを調製した。この操作はアマシャム社のcDN
A合成キットを用いて添付のプロトコールにしたがって
行なった。ついで得られた2本鎖DNAにEcoRIア
ダプターを付加し、ファージベクターλgt10(アマ
シャム〔Amersham〕社製)に挿入した。この操作は、ア
マシャム社のcDNA合成システムを用いて添付のプロ
トコールにしたがって行なった。挿入の完了したファー
ジベクターは同キットに添付のインビトロパッケージン
グ溶液を用いて組換えDNAをファージ内に封入させ
た。封入の完了した組換えファージは、大腸菌NM51
4株(アマシャム〔Amersham〕社製)に感染させ、増幅
した。
【0011】〔実施例2〕 接着蛋白質cDNAを含む
組換えファージの選択 実施例1で得られた組換えファージを増幅させ、得られ
た5万個のプラークをナイロンメンブレン ハイボンド
N上に固定した。ついでムラサキイガイ第2接着蛋白質
の断片ペプチド配列の一部の相補鎖に相当するオリゴヌ
クレオチドプロープTA(T,C)AA(C,T)GA
CGACGACおよびTA(T,C)AA(C,T)G
ATGATGATをミリジェンサイクロンDNA合成機
により合成し、それぞれα32P−ATPによる端末ラベ
ルにより標識して、プラークハイブリダイゼーションを
行なった。その結果、プローブTA(T,C)AA
(C,T)GACGACGACでスクリーニングした2
0000クローンより、100個以上のプローブと結合
するプラークが得られた。これらのうち10個のプラー
クを任意に選び、挿入されているcDNAの長さをアガ
ロース電気泳動により調べて、最も長い挿入断片をもつ
ものについてファージベクターから制限酵素EcoRI
を用いて挿入断片を切り出し、プラスミドベクターpBlu
escriptIISK(+)(ストラタジーン〔Stratagene〕社製)
に挿入した。このプラスミドベクターをE.coli-Mgfp2-2
-7に導入した。E.coli-Mgfp2-2-7は、工業技術院生命工
学工業技術研究所に寄託番号FERM P-14288として寄託さ
れている(寄託日:平成6年4月21日)。
【0012】〔実施例3〕 接着蛋白質遺伝子の配列決
定 実施例2で得られた挿入断片の配列をアプライドバイオ
システムズ社製373ADNAシーケンサーおよびシー
ケンシングキットを用いてDNA配列を決定した。その
結果、この挿入断片が接着蛋白質の全長を含むDNA配
列であることが判明した。得られた接着蛋白質遺伝子
は、配列番号1に示す通り、翻訳開始コドンから翻訳終
了コドンまで473アミノ酸配列をコードする全長15
15bpの配列であり、473アミノ酸のうち最上流か
ら17残基がシグナルペプチド、続く31残基が非繰り
返し領域であり、その下流に6個のCys残基を一定の規
則に基づいて含む32−34個のアミノ酸残基からなる
モチーフ、すなわち配列番号3、4又は5で表されるア
ミノ酸配列を4−9アミノ酸残基のスペーサー領域を挟
んで繰り返す繰り返し領域、さらに下流には13アミノ
酸残基の非繰り返し領域が存在した。翻訳終了コドンの
下流側の非翻訳領域にはポリアデニル酸鎖付加シグナル
ATTAAAが存在し、そのさらに下流にポリアデニル
酸鎖が存在した。
【0013】
【発明の効果】本発明はムラサキイガイ接着蛋白質遺伝
子を提供する。本発明の遺伝子から作られる蛋白質は、
接着剤の原料として極めて有用である。
【0014】
【配列表】
【0015】配列番号 1 配列の長さ:1515 配列の型 :核酸 鎖の数 :2本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:mRNA to cDNA 起源 生物名 :ムラサキイガイ(Mytilus galloprovincial
is) 配列
【0016】配列番号 2 配列の長さ:473 配列の型 :アミノ酸 トポロジー:不明 配列の種類:タンパク質 起源 生物名 :ムラサキイガイ(Mytilus galloprovincial
is) 配列
【0017】配列番号 3 配列の長さ:32 配列の型 :アミノ酸 トポロジー:不明 配列の種類:ペプチド 起源 生物名 :ムラサキイガイ(Mytilus galloprovincial
is) 配列
【0018】配列番号 4 配列の長さ:33 配列の型 :アミノ酸 トポロジー:不明 配列の種類:ペプチド 起源 生物名 :ムラサキイガイ(Mytilus galloprovincial
is) 配列
【0019】配列番号 5 配列の長さ:34 配列の型 :アミノ酸 トポロジー:不明 配列の種類:ペプチド 起源 生物名 :ムラサキイガイ(Mytilus galloprovincial
is) 配列
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C07K 1/00 - 19/00 SwissProt/PIR/GeneS eq GenBank/EMBL/DDBJ/G eneSeq

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 配列番号2で表されるアミノ酸配列をコ
    ードするムラサキイガイ接着蛋白質遺伝子。
  2. 【請求項2】 DNA配列が配列番号1で表される請求
    項1記載のムラサキイガイ接着蛋白質遺伝子。
  3. 【請求項3】 ミチルス・ガロプロヴィンシアリス( My
    tilus galloprovincialis )を起源とし、塩基配列の長
    さが1.5kbであり、配列番号4で表されるアミノ酸配列
    を含むポリペプチドをコードするムラサキイガイ接着蛋
    白質遺伝子。
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