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JP3508365B2 - 半導体レーザ - Google Patents

半導体レーザ

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Publication number
JP3508365B2
JP3508365B2 JP02227596A JP2227596A JP3508365B2 JP 3508365 B2 JP3508365 B2 JP 3508365B2 JP 02227596 A JP02227596 A JP 02227596A JP 2227596 A JP2227596 A JP 2227596A JP 3508365 B2 JP3508365 B2 JP 3508365B2
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JP
Japan
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layer
saturable
impurity concentration
semiconductor laser
saturable absorption
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JP02227596A
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勲 木戸口
秀人 足立
康仁 熊渕
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Panasonic Corp
Panasonic Holdings Corp
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Panasonic Corp
Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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Publication date
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光ディスクシステ
ムの光源などに用いられる低雑音自励発振型半導体レー
ザに関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年光通信、レーザプリンタ、光ディス
クなどの分野で半導体レーザの需要が高まり、GaAs
系、およびInP系を中心として活発に研究開発が進め
られてきた。光情報処理分野においては、特に波長が7
80nmのAlGaAs系半導体レーザの光による情報
の記録・再生を行う方式が実用化され、コンパクトディ
スク等で広く普及するに至っている。
【0003】しかし最近になってこれらの光ディスク装
置に益々記憶容量の増加が求められるようになり、それ
に伴い短波長のレーザの要望が強まってきている。Al
GaInP系半導体レーザは波長が630〜690nm
での赤色領域で発振が可能であり、現在実用レベルにあ
る半導体レーザの中で最も短波長の光が得られるもので
ある。したがって、従来のAlGaAs系半導体レーザ
に代わる次世代の大容量光情報記録用光源として有望で
ある。ところで、半導体レーザは光ディスクの再生時
に、ディスク面からの反射光の帰還や温度の変化により
強度雑音を発生し、信号の読取エラーを誘発する。した
がって光ディスクの光源用には強度雑音の少ないレーザ
が不可欠となる。
【0004】従来、再生専用・低出力のAlGaAs系
半導体レーザでは雑音を低減するためにリッジストライ
プの両側に意図的に可飽和吸収体が形成されるような構
造を採用することによって低雑音化を図ってきた。これ
によって縦モードをマルチ化することができる。レーザ
が縦単一モードで発振しているときに光の帰還や温度変
化等の外乱が入ると利得ピークの微少な変化によって近
接する縦モードが発振を開始し、元の発振モードとの間
で競合を起こす。これが雑音の原因となっており、縦モ
ードをマルチ化すると各モードの強度変化が平均化さ
れ、しかも外乱によって変化しないので安定な低雑音特
性を得ることができる。
【0005】特開平6−260716号公報では活性層
のバンドギャップと吸収層のバンドギャップをほぼ等し
くすることによって特性を改善したと報告がなされてい
る。ここでは赤色半導体レーザについて実施例が述べら
れている。図13は特開平6−260716号公報に開
示されている従来の自励発振型の半導体レーザを示す模
式断面図である。
【0006】1601はn型のGaAsからなる基板で
あり、この基板1601上にn型のGaInPからなる
バッファ層1602、n型のAlGaInPからなるク
ラッド層1603、GaInPからなる歪量子井戸活性
層1604が順次形成される。ここでクラッド層160
3中には歪量子井戸可飽和吸収層1605が形成され、
その上部にはリッジ状のクラッド層1606とp型のG
aInPからなるコンタクト層1607が形成されてい
る。このリッジ状のクラッド層1606およびコンタク
ト層1607の両側はn型のGaAs層からなる電流の
ブロック層1608によって埋め込まれている。さらに
コンタクト層1607とブロック層1608上にはp型
のGaAsからなるキャップ層1609が形成されてお
り、キャップ層1609上にはp型電極1610、基板
1601側にはn電極1611がそれぞれ形成されてい
る。
【0007】また、図10は歪量子井戸可飽和吸収層1
605のエネルギバンド図を示しており(Al0.7Ga
0.3)0.5In0.5Pからなるバリア層1701とGaxI
n1-xP(膜厚100Å、歪+0.5〜1.0%)からなる井戸
層1702とを交互に積層してあり、本従来例では井戸
層1702が3層形成されている。ここで、歪量子井戸
活性層1604のバンドギャップと歪量子井戸可飽和吸
収層1605のそれがほぼ等しくなっている。この構成
によって良好な自励発振特性を得ようとしている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】AlGaInP系半導
体レーザは、AlGaAs系に比べ、材料の利得特性が
大きく異なるため、自励発振特性を得ることが困難であ
ることが明らかとなった。それを図12に示す。図12
には、GaAsとGaInPの利得特性を示す。ここで
GaAsおよびGaInPは、それぞれAlGaAs系
半導体レーザおよびAlGaInP系半導体レーザの活
性層に主に用いられる材料である。
【0009】自励発振特性を得るためにはキャリア密度
に対する利得特性の傾きが大きいことが要求される。と
ころが、GaInPの場合GaAsに比べ傾きが小さい
ため相対的に自励発振特性を得ることが困難であること
が判明した。
【0010】本願発明者らの実験結果によると、赤色半
導体レーザの場合、上記の利得特性の違いにより、従来
例のように、活性層と可飽和吸収層とのバンドギャップ
を等しくしただけでは、安定した自励発振特性を得るこ
とは困難であることがわかった。つまり、自励発振現象
は、可飽和吸収層のキャリア寿命が小さいほど生じやす
く、活性層近傍の通常のドーピングレベルではキャリア
寿命が大きく自励発振が生じにくいのである。その理由
は、キャリア寿命が大きいと、可飽和吸収層のキャリア
密度の時間変化率に与える自然放出光の寄与が小さくな
り、キャリアの振動が生じにくくなるためである。
【0011】通常のドーピングレベルで自励発振を生ず
るためには、別のパラメータとして可飽和吸収層の体積
を十分に小さくし、キャリアの密度を相対的に増加させ
る方法が考えられる。しかし、可飽和吸収層を用いた構
造で体積を小さくするには厚さを薄くする必要があり、
それにともない可飽和吸収層への光の閉じ込めが減少し
てしまう。そのために、光の吸収効率が低下し、結果と
して所望の自励発振特性を有するような半導体レーザを
得ることが困難となる。
【0012】そこで本発明は、特に半導体レーザを構成
する可飽和吸収層、およびそれに隣接する層の不純物濃
度の程度を最適に設定することにより、安定な自励発振
特性を有する半導体レーザを提供することを目的とす
る。
【0013】上記課題を解決するため、本発明の半導体
レーザは、GaInPからなる活性層と、AlGaIn
Pからなるスペーサ層と、GaInPからなる可飽和吸
収層と、AlGaInPからなるクラッド層と順に
え、可飽和吸収層の不純物濃度が、5×1017(c
-3)以上であり、スペーサ層のうち可飽和吸収層に隣
接する部分における不純物濃度が、5×1017(c
-3)より大きく、かつ可飽和吸収層の不純物濃度より
も大きいか、またはクラッド層のうち可飽和吸収層に隣
接する部分における不純物濃度が、5×10 17 (c
-3 )より大きく、かつ可飽和吸収層の不純物濃度より
も大きいことを特徴とする
【0014】また、本発明の半導体レーザは、単一もし
くは多重量子井戸層からなる活性層を有する構成、可飽
和吸収層が量子井戸層である構成、その他、光ガイド層
を備えた量子井戸層である構成としている。
【0015】以上の構成により、本発明の半導体レーザ
では、可飽和吸収層の不純物濃度を5×1017(c
-3)以上とし、可飽和吸収層の不純物濃度をそれより
大きくすることによって、可飽和吸収層への多数キャリ
アの数を大きくし、キャリアの寿命時間を低減してい
る。その結果、キャリアの時間変化率に対する自然放出
の寄与が増大し、自励発振を容易に生じることができ、
相対雑音を下げることができる。
【0016】また、本発明の半導体レーザでは、可飽和
吸収層を量子井戸とした場合に、光閉じ込め係数が低下
するのを補うため、量子井戸可飽和吸収層に光ガイド層
を設け、光吸収の効果を十分生じさせる。その結果とし
て、安定な自励発振特性を得ることが可能となる。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、この発明の実施の形態を図
面を参照しながら説明する。
【0018】まず図1に、p型にドープされた可飽和吸
収層の不純物濃度に対する電子の寿命時間の変化を示
す。これよりその不純物濃度によって寿命時間が大きく
影響されていることがわかる。
【0019】自励発振現象は、可飽和吸収層の寿命時間
が短いほど生じ易い。これは寿命時間が短いほど、自励
発振現象を生じさせるために必要な可飽和吸収層のキャ
リアの時間変化が大きくなるからである。発明者らの実
験によれば、その寿命時間は、約6ナノ秒以下が望まし
いことがわかった。寿命時間と不純物濃度との関係は、
不純物濃度が低い場合、寿命時間が長くなり、たとえば
1×1018(cm-3)以下で6ナノ秒を越えている。さ
らに、ドーピングレベルをあげて2×1018(cm-3
程度と高くすることによって3ナノ秒程度まで減少させ
ることが可能となる。
【0020】しかしながら、可飽和吸収層の不純物濃度
を大きくしすぎると、可飽和吸収層の結晶性の劣化が考
えられ、それにより、可飽和吸収層での光の飽和吸収特
性が悪くなり、レーザの自励発振特性に悪影響を及ぼす
ことが明らかとなった。
【0021】そこで、可飽和吸収層の不純物濃度を、結
晶性の劣化がほとんどない、3×1018(cm-3)以下
にし、かつ、可飽和吸収層に隣接する部分の不純物濃度
を可飽和吸収層の不純物濃度よりも大きくすることで、
安定した自励発振特性をもつ半導体レーザを実現する。
【0022】この効果を利用すべく、可飽和吸収層に隣
接する層の不純物濃度を増加した構造の半導体レーザを
作製した。第1の実施例の断面構造図を図2に示す。
【0023】(実施の形態1)201はn型のGaAs
基板であり、この基板201上にn型のGaInPバッ
ファ層202、AlGaInPからなるn型クラッド層
203、GaInPからなる活性層204、p型のAl
GaInPからなるスペーサ層205、p型のGaIn
Pからなる可飽和吸収層206、AlGaInPからな
る第1のp型クラッド層207、p型のGaInPから
なるエッチング停止層208が順次形成される。
【0024】その上部にはAlGaInPからなるリッ
ジ状の第2のp型クラッド層209とp型のGaInP
からなるコンタクト層210が形成される。このリッジ
状の第2のp型クラッド層209およびコンタクト層2
10の両側はn型のGaAs層からなる電流ブロック層
211が形成されている。
【0025】さらにコンタクト層210と電流ブロック
層211上にはp型のGaAsからなるキャップ層21
2が形成されており、キャップ層212上にはp電極2
13、基板201側にはn電極214がそれぞれ形成さ
れている。不純物濃度および膜厚は以下の表の通りであ
る。
【0026】
【表1】
【0027】図3(a)に半導体レーザの活性層付近の
(AlxGa1-x)0.5In0.5PのAl組成xの分布を示
す。n型クラッド層301、スペーサ層302、第1の
p型クラッド層303、第2のp型クラッド層304は
Al組成を0.7としている。ここでは可飽和吸収層の膜
厚は150Åとしている。この層の膜厚が厚いと、可飽和
吸収層の体積が大きくなりすぎるため、キャリア密度が
小さくなり寿命が短くならず、自励発振が生じにくくな
るからである。また可飽和吸収層306はスペーサ層と
第1のp型クラッド層303との間に設けている。
【0028】ここでスペーサ層302の厚さは900Å
としており、またそのバンドギャップは、活性層および
可飽和吸収層よりも大きく、活性層からあふれでた少数
キャリアが可飽和吸収層に入り難いようにしている。可
飽和吸収層の閉じ込め係数は約4.5%となっている。可
飽和吸収層への閉じ込め係数は3%以上の場合、自励発
振特性が得られている。
【0029】図3(b)に、可飽和吸収層306、スペ
−サ層302、第1のp型クラッド層303の不純物濃
度を示す。この図からわかるように、可飽和吸収層は、
5×1017(cm-3)の濃度、そして、スペーサ層30
2およびp型クラッド層303はともに、5×1017
(cm-3)の不純物濃度であるが、可飽和吸収層側にだ
け、1×1018(cm-3)変調ドープされて不純物濃度
を高くしている。これは、可飽和吸収層の不純物濃度を
大きくし過ぎると結晶性が劣化し、自励発振特性を得る
ために重要な、光の吸収飽和特性が悪くなってしまうか
らである。可飽和吸収層の不純物濃度を大きくしない
分、可飽和吸収層に隣接する層、ここでは、スペーサ層
302、または、第1のp型クラッド層303の少なく
とも1つの層を可飽和吸収層よりも高い不純物濃度にし
て、可飽和吸収層中の多数キャリアの数をかせぎ、あた
かも可飽和吸収層に高い不純物濃度をドーピングしたの
と同じ効果を得ている。そうすれば、図1に示したのと
同じようにキャリアの寿命を短くでき、自励発振特性を
発揮できる。
【0030】可飽和吸収層に隣接するスペーサ層と第1
のp型クラッド層を、可飽和吸収層よりも高濃度に変調
ドーピングするのであるが、図3(b)に示したよう
に、多少、高濃度領域が可飽和吸収層へ拡散していても
かまわない。
【0031】可飽和吸収層に隣接する層の不純物濃度を
大きくすればよいが、それだけで、可飽和吸収層の多数
キャリアをかせぐことは十分ではなく、可飽和吸収層の
不純物濃度は、少なくとも5×1017(cm-3)以上が
よく、結晶性の観点からは、3×1018(cm-3)以下
が好ましい。
【0032】可飽和吸収層に隣接する層、ここでは、ス
ペーサ層、第1のp型クラッド層における、記可飽和吸
収層側の不純物濃度は、可飽和吸収層の不純物濃度より
も大きくしなくてはならない。それにより、ここでは、
スペーサ層および第1のp型クラッド層における、可飽
和吸収層側の高い不純物濃度領域から可飽和吸収層へホ
ールが移動し、可飽和吸収層中のホールの量を補償し、
光の吸収飽和特性をよいものとすることができる。可飽
和吸収層の不純物濃度との差は、2×1017(cm-3
以上であることが望ましい。
【0033】次にこの半導体レーザの電流−光出力特性
を図4に示す。閾値電流は、50mAとなっている。通常
の半導体レーザの特性と異なるのは、閾値電流近傍で急
激な立ち上がりが見られる点である。これは可飽和吸収
層が存在するために、ある程度のキャリアの注入量に達
するまでは光出力が外部へ放出されないことによる。あ
る値を越えるとレーザ発振が生じ、注入電流に比例して
光出力増加しはじめる。図中P1における時間に対する
光出力波形のシミュレーション結果を図5に示す。図5
では光出力の振動現象が継続していることが分かる。図
6に実際に作製した自励発振型半導体レーザの出力波形
を示す。時間に対して光出力が大きく振動しており、自
励発振していることが確認できた。
【0034】さらに図7に相対強度雑音(RIN)特性
を示す。(A)が可飽和吸収層がない半導体レーザの特
性、(B)が本発明の半導体レーザの特性である。この
ように広い温度範囲で安定した低雑音特性を示してい
る。特に−140dBの値が得られているので実用的に
も適してしることがわかる。
【0035】なお、本実施例では可飽和吸収層306は
スペーサ層と第1のp型クラッド層303との間に設け
ているが、活性層とn型クラッド層301との間に設け
てもよい。この場合の構成は、活性層側から、活性層、
スペーサ層、可飽和吸収層、n型クラッド層という順に
なり、不純物濃度も、可飽和吸収層が、5×1017(c
-3)以上、3×1018(cm-3)以下が好ましく、可
飽和吸収層に隣接するスペーサ層またはn型クラッド層
における、可飽和吸収層側の不純物濃度が、5可飽和吸
収層よりも高いことが好ましい。さらにその不純物濃度
の差は、2×1017(cm-3)以上であることが適して
いる。
【0036】このように可飽和吸収層の設ける位置をn
型クラッド側にしてやれば、p型クラッド層側に設けた
場合と同様、キャリアの寿命を短くでき、自励発振を起
こさせることができる。
【0037】(実施の形態2)本発明の第2の実施例に
ついて説明する。この実施例の半導体レーザは、活性層
に量子井戸構造を用いているため高効率となり、より高
い光出力を得ることができる。
【0038】断面構造図を図8に示す。1201はn型
のGaAsからなる基板であり、この基板1201上に
バッファ層1202、AlGaInPからなるn型クラ
ッド層1203、多重量子井戸活性層1204、p型の
AlGaInPからなるスペーサ層1205、p型のG
aInPからなる量子井戸可飽和吸収層1206、光ガ
イド層1207、AlGaInPからなる第1のp型ク
ラッド層1208、p型のGaInPからなるエッチン
グ停止層1209が順次形成される。
【0039】その上部にはAlGaInPからなるリッ
ジ状の第2のp型クラッド層1210とp型のGaIn
Pからなるコンタクト層1211が形成される。このリ
ッジ状の第2のp型クラッド層1210およびコンタク
ト層1211の両側はn型のGaAs層からなる電流ブ
ロック層1212によって埋め込まれている。
【0040】さらにコンタクト層1211と電流ブロッ
ク層1212上にはp型のGaAsからなるキャップ層
1213が形成されており、キャップ層1213上には
p電極1214、基板1201側にはn電極1215が
それぞれ形成されている。
【0041】半導体レーザの層構造の組成図を図9に示
す。ここで特徴的なことは可飽和吸収層には量子井戸可
飽和吸収層1301、活性層には多重量子井戸活性層1
302を採用し、可飽和吸収層に不純物をドープする事
はもちろんのこと、可飽和吸収層に隣接して光ガイド層
1303を設けたことである。
【0042】可飽和吸収層の不純物濃度は、5×1017
(cm-3)であり、可飽和吸収層1301に隣接するス
ペーサ層1305、および光ガイド層の可飽和吸収層側
には、変調ドープされており、その濃度は、ともに1×
1018(cm-3)である。
【0043】ここで、光ガイド層を設けたのは以下の理
由のためである。可飽和吸収層を量子井戸層とした場
合、膜厚が薄くなるため光の閉じ込め係数が極端に減少
する。その結果、このままでは自励発振を生じることは
できない。そこで光ガイド層1303を用いて閉じ込め
係数を増加させるのである。この構造を用いて可飽和吸
収層への閉じ込め係数を、少なくとも1.5%程度以上に
すると自励発振を生じることが可能となる。
【0044】可飽和吸収層を量子井戸にした場合、その
膜厚が薄いため、光ガイド層1303を設けず、単独で
は閉じこめ係数を自励発振に必要な大きさに設定するこ
とはできない。また、閉じこめ係数を増加させるため
に、可飽和吸収層の層数を増加すると、逆に可飽和吸収
層の体積が増加してキャリア密度が小さくなり、自励発
振は生じなくなる。したがって可飽和吸収層に光ガイド
層を設けることによって新たに自励発振を実現すること
ができた。
【0045】また、可飽和吸収層は、スペーサ層130
5と光ガイド層1303との間に設けているが、それに
限らず、光ガイド層中でもよいし、光ガイド層と第1の
p型クラッド層中でもよいし、光ガイド層と第1のp型
クラッド層との間であってもよい。可飽和吸収層への光
閉じ込め量を勘案して、その位置を設定すればよい。
【0046】多重量子井戸活性層1302は、膜厚50
Åの量子井戸数は3ウエルからなる。量子井戸可飽和吸
収層1301の光ガイド層1303は、組成x=0.5
で膜厚1500Åとした。この厚さは200Å以上で有
効となることが分かっている。
【0047】また量子井戸可飽和吸収層1301の構造
は、図10のようになっており、少数キャリアの注入が
ない範囲で多重量子井戸活性層1302近傍に設けても
かまわない。この可飽和吸収層1301を活性層130
2にちかづけすぎると、活性層からあふれでた少数キャ
リアが可飽和吸収層に注入されてしまうので適当でな
い。したがって、可飽和吸収層は、活性層の近傍で、か
つできるだけ少数キャリアが注入されない位置に設ける
のが適当である。
【0048】本実施例では、多重量子井戸活性層130
2に量子井戸構造を導入することによって最高光出力が
2割程度増加できた。また、低しきい値電流化、高温動
作、高出力化が可能となった。本実施の形態の半導体レ
ーザは、自励発振現象が確認できており、−130dB
/Hz以下の相対雑音強度(RIN)も得られている。
【0049】以上説明したように、本実施例の半導体レ
ーザの特性は、量子井戸活性層、低濃度スペーサ層、可
飽和位吸収層、および光ガイド層という構造を採用し、
良好な自励発振特性を実現することができるものであ
る。
【0050】
【発明の効果】以上のように本発明の半導体レーザは、
可飽和吸収層の不純物濃度と、可飽和吸収層に隣接する
層の可飽和吸収層側に、可飽和吸収層よりも高濃度の不
純物を変調ドープすることにより、可飽和吸収層の結晶
性の劣化がなく、レーザ光の吸収飽和特性を悪くするこ
ともなく、キャリアの寿命時間を制御し、安定した自励
発振特性を実現する。
【0051】また、本発明の半導体レーザは、活性層に
量子井戸を適用し、さらに光ガイド層を備た量子井戸可
飽和吸収層を用いることによって、より高出力の自励発
振特性を実現するこができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に於ける可飽和吸収
層のドーピング濃度とキャリアの寿命時間の相関図
【図2】本発明の第1の実施の形態に於けるAlGaI
nP系半導体レーザの素子断面図
【図3】本発明の第1の実施の形態に於ける活性層近傍
の組成構造図
【図4】本発明の第1の実施の形態に於ける電流光出力
特性を示す図
【図5】本発明の第1の実施の形態に於ける光出力とキ
ャリア密度の時間波形の図
【図6】本発明の第1の実施の形態に於ける光出力とキ
ャリア密度の実測時間波形の図
【図7】本発明の第1の実施の形態と従来例との雑音特
性の比較図
【図8】本発明の第2の実施の形態に於けるAlGaI
nP系半導体レーザの素子断面図
【図9】本発明の第2の実施の形態に於ける活性層近傍
の組成構造図
【図10】従来の可飽和吸収層の組成構造図
【図11】本発明の第1の実施の形態に於けるエネルギ
バンド図と電子密度の分布図
【図12】GaAsとGaInPのキャリア密度に対す
る利得特性を示す図
【図13】従来の実施例に於ける素子断面図
【符号の説明】
201 基板 202 バッファ層 203 n型クラッド層 204 活性層 205 スペーサ層 206 可飽和吸収層 207 第1のp型クラッド層 208 エッチング停止層 209 第2のp型クラッド層 210 コンタクト層 211 電流ブロック層 212 キャップ層 213 p電極 214 n電極 301 n型クラッド層 302 スペーサ層 303 第1のp型クラッド層 304 第2のp型クラッド層 305 バルク活性層 306 可飽和吸収層 307 エッチング停止層 801 可飽和吸収層 802 活性層 803 スペーサ層 804 可飽和吸収層での電子密度 904 可飽和吸収層での電子密度 1201 基板 1202 バッファ層 1203 n型クラッド層 1204 多重量子井戸活性層 1205 スペーサ層 1206 量子井戸可飽和吸収層 1207 光ガイド層 1208 第1のp型クラッド層 1209 エッチング停止層 1210 第2のp型クラッド層 1211 コンタクト層 1212 電流ブロック層 1213 キャップ層 1214 p電極 1215 n電極 1301 量子井戸可飽和吸収層 1302 多重量子井戸活性層 1303 光ガイド層 1304 n型クラッド層 1305 スペーサ層 1306 第1のp型クラッド層 1307 エッチング停止層 1308 第2のp型クラッド層
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平6−196810(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01S 5/00 - 5/50

Claims (11)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 GaInPからなる活性層と、AlGaInPからなるスペーサ層と、 GaInPからなる 可飽和吸収層と AlGaInPからなるクラッド層と順に備え、 前記可飽和吸収層の不純物濃度が、5×1017(c
    -3)以上であり、前記スペーサ層のうち 前記可飽和吸収層に隣接する部分
    における不純物濃度が、5×1017(cm-3)より大き
    く、かつ前記可飽和吸収層の不純物濃度よりも大きい
    か、または前記クラッド層のうち前記可飽和吸収層に隣
    接する部分における不純物濃度が、5×10 17 (c
    -3 )より大きく、かつ前記可飽和吸収層の不純物濃度
    よりも大きいことを特徴とする半導体レーザ。
  2. 【請求項2】 前記可飽和吸収層がp型である請求項1
    に記載の半導体レーザ。
  3. 【請求項3】 前記スペーサ層の厚さが200Å以上で
    ある請求項に記載の半導体レーザ。
  4. 【請求項4】 前記スペーサ層のうち前記可飽和吸収層
    に隣接する部分における不純物濃度が、1×1018(c
    -3)より大きく、5×1018(cm-3)より小さい請
    求項1に記載の半導体レーザ。
  5. 【請求項5】 光ガイド層をさらに備え、 前記可飽和吸収層は、前記スペーサ層と前記光ガイド層
    との間に設けられているか、前記光ガイド層中に設けら
    れているか、または前記光ガイド層と前記クラッド層と
    の間に設けられている、請求項1に記載の 半導体レー
    ザ。
  6. 【請求項6】 前記活性層が量子井戸構造であり、前記
    可飽和吸収層が量子井戸層である請求項に記載の半導
    体レーザ。
  7. 【請求項7】 前記可飽和吸収層がp型であり、前記ク
    ラッド層はp型であり、前記可飽和吸収層は前記p型ク
    ラッド層中に配置されている請求項に記載の半導体レ
    ーザ。
  8. 【請求項8】 前記スペーサ層の厚さが200Å以上で
    る請求項に記載の半導体レーザ。
  9. 【請求項9】 前記スペーサ層の可飽和吸収層側の不純
    物濃度が、1×1018(cm-3)より大きく、5×10
    18(cm-3)より小さい請求項5に記載の半導体レー
    ザ。
  10. 【請求項10】記可飽和吸収層でのキャリアの寿命
    が、6ナノ秒以下であることを特徴とする請求項1に記
    載の半導体レーザ。
  11. 【請求項11】 前記スペーサ層のうち前記可飽和吸収
    層に隣接する部分における不純物濃度と前記可飽和吸収
    層の不純物濃度との間の差が2×1017(cm-3)以上
    であるか、または前記クラッド層のうち前記可飽和吸収
    層に隣接する部分における不純物濃度と前記可飽和吸収
    層の不純物濃度との間の差が2×10 17 (cm -3 )以上
    である、請求項1に記載の半導体レーザ。
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