JP3554490B2 - 無段変速機用ベルト - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、無端状の金属リングを複数枚積層した金属リング集合体に多数の金属エレメントを支持してなる無段変速機用ベルトに関する。
【0002】
【従来の技術】
無段変速機の金属ベルトがドライブプーリおよびドリブンプーリのV面に挟圧されると該金属ベルトに張力が発生し、その張力は両プーリから受ける駆動力および制動力により変化するため、各金属リングの引張応力は金属ベルトの循環に伴って周期的に変化する。また循環する金属ベルトはプーリ巻付部で曲げられ、かつプーリ間の弦部で引き延ばされるため、各金属リングの曲げ応力も周期的に変化する。その結果、各金属リングに作用するトータルの応力(前記引張応力および前記曲げ応力の和)は金属ベルトの1回転を1周期として周期的に変化する。
【0003】
そこで、金属リング集合体の各金属リングの外周面に圧縮残留応力を付与し、内周面に引張残留応力を付与することにより、周期的に変化する各金属リングの応力振幅の中心値(応力中心値)を可能な限り0に近付けて疲労寿命の延長を図るものが特開昭57−57938号公報により提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、かかる金属リング集合体の最内層の金属リングは金属エレメントのサドル面に当接するのに対し、それ以外の金属リングの内周面は他の金属リングの外周面に当接するため、両者の当接部の摩擦係数は異なった値になる。具体的には、金属エレメントのサドル面に当接する最内層の金属リングの内周面の摩擦係数は、それ以外の金属リングの内周面の摩擦係数よりも大きいことが実測により判明している。その結果、後から実施例において詳述するように、最内層の金属リングの張力変化量(1周期における張力の最大値と最小値との差)は他の金属リングの張力変化量よりも大きくなってしまう。
【0005】
このことに関して、上記従来のものは最内層の金属リングと他の金属リングとを区別せずに、全ての金属リングの外周面に圧縮残留応力を付与し、内周面に引張残留応力を付与しているので、張力変化量の大きい厳しい条件で使用される最内層の金属リングの耐久性によって金属ベルト全体の耐久性が制限されてしまう問題がある。しかも各金属リングの外周面および内周面にそれぞれ圧縮残留応力および引張残留応力を付与するための加工がコストアップの要因になる問題がある。
【0006】
本発明は前述の事情に鑑みてなされたもので、最も破断し易い最内層の金属リングの疲労寿命を延長して金属リング集合体全体としての耐久性を向上させることを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1に記載された発明は、無端状の金属リングを複数枚積層した金属リング集合体に多数の金属エレメントを支持してなる無段変速機用ベルトであって、最内層の金属リングの板厚が最内層以外の金属リングの板厚と異なるものにおいて、T1を金属リングの張り側弦部の張力とし、T2を金属リングの弛み側弦部の張力とし、tを金属リングの板厚とし、wを金属リングの板幅とし、d 0 を金属リングのプーリへの巻き掛け径とし、Dを金属リングの自由状態での直径とし、Eをヤング率としたときに、各層の金属リングの応力振幅を次式により求め、最内層の金属リングの応力振幅が最内層以外の金属リングの応力振幅以下になるように、該最内層の金属リングの板厚を設定したことを特徴とする。
【0009】
また請求項2に記載された発明は、請求項1の構成に加えて、最大馬力運転状態で最内層の金属リングの応力振幅が最内層以外の金属リングの応力振幅に一致するように該最内層の金属リングの板厚を設定したことを特徴とする。
【0010】
【作用】
金属エレメント(32)のサドル面に接触する最内層の金属リング(331 )の内周面の摩擦係数が、相互に接触する金属リング(331 ,33n )間の摩擦係数よりも大きくなるため、最内層の金属リング(331 )の張力変化量(張り側の弦部の張力および弛み側の弦部の張力の差)はそれ以外の金属リング(33n )の張力変化量よりも大きくなり、張力変化に伴う最内層の金属リング(331 )の応力振幅が他の金属リング(33n )の応力振幅よりも大きくなる。その結果、最内層の金属リング(331 )の板厚(t1 )および他の金属リング(33n )の板厚(tn )を等しく設定すると、金属リング(331 ,33n )の引張応力に金属リング(331 ,33n )の曲げ応力を加えたトータルの応力について考えた場合に、最内層の金属リング(331 )のトータルの応力振幅(σa1 )が他の金属リング(33n )のトータルの応力振幅(σan )よりも大きくなり、最内層の金属リング(331 )の耐久性が制限されることになる。
【0011】
そこで、使用条件の最も厳しい最内層の金属リング(331 )の板厚(t1 )を他の金属リング(33n )の板厚(tn )と異ならせ、最内層の金属リング(331 )に作用する曲げ応力を他の金属リング(33n )に作用する曲げ応力と異ならせることにより、最内層の金属リング(331 )のトータルの応力振幅(σa1 )を他の金属リング(33n )のトータルの応力振幅(σan )以下にすることができる。すなわち、最内層の金属リング(33 1 )のトータルの応力振幅(σa 1 )を後記(11)式により算出するとともに、他の金属リング(33 n )のトータルの応力振幅(σa n )を後記(12)式により算出し、最内層の金属リング(331 )のトータルの応力振幅(σa1 )が他の金属リング(33n )のトータルの応力振幅(σan )以下になるように該最内層の金属リング(331 )の板厚(t1 )を設定すれば、使用条件の最も厳しい最内層の金属リング(331 )の耐久性を他の金属リング(33n )の耐久性よりも高くして金属リング集合体の全体としての寿命を延長することができる。
【0013】
また最大馬力運転状態で最内層の金属リング(331 )の応力振幅(σa1 )が最内層以外の金属リング(33n )の応力振幅(σan )に一致するように該最内層の金属リング(331 )の板厚(t1 )を設定すれば、使用条件の最も厳しい最大馬力運転状態を含む全ての運転状態において、最内層の金属リング(331 )の耐久性を最大限に高めることができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、添付図面に示した本発明の実施例に基づいて説明する。
【0015】
図1〜図17は本発明の一実施例を示すもので、図1はベルト式無段変速機を搭載した車両の動力伝達系のスケルトン図、図2は金属ベルト部分斜視図、図3は金属リングに作用する引張応力の説明図、図4は金属リングに作用する力の釣合いを示す図、図5は摩擦係数比ξに対するΔT1 /ΔTALL の変化を示すグラフ、図6は金属リングの応力変化特性を検出する実験用の金属ベルトの部分斜視図、図7は実験により求めた金属リングの応力変化を示すグラフ、図8は金属リング集合体の2つの弦部の張力差Ta(all) に対する最外層の金属リング2つの弦部の張力差Ta(n) の比Ta(n) /Ta(all) を示すグラフ、図9は金属リング集合体の2つの弦部の張力和Tm(all) に対する最外層の金属リング2つの弦部の張力和Tm(n) の比Tm(n) /Tm(all) を示すグラフ、図10は金属リングの自由状態および使用状態の形状の説明図、図11は最内層の金属リングおよび他の金属リングの引張応力の分布を示すグラフ、図12は最内層の金属リングおよび他の金属リングの曲げ応力の分布を示すグラフ、図13は最内層の金属リングおよび他の金属リングのトータルの応力の分布を示すグラフ、図14は最内層の金属リングの応力振幅σa1 の算出の説明図、図15は最内層の金属リングの板厚t1 に対する応力振幅σa1 の変化を示すグラフ、図16は応力振幅σa1 が応力振幅σan に一致する板厚t1 および応力振幅σa1 が最小になる板厚t1 を示すグラフ、図17は応力振幅σa1 が応力振幅σan に一致する板厚比t1 /tn および応力振幅σa1 が最小になる板厚比t1 /tn を示すグラフである。
【0016】
図1は自動車に搭載された金属ベルト式無段変速機Tの概略構造を示すもので、エンジンEのクランクシャフト1にダンパー2を介して接続されたインプットシャフト3は発進用クラッチ4を介して金属ベルト式無段変速機Tのドライブシャフト5に接続される。ドライブシャフト5に設けられたドライブプーリ6は、ドライブシャフト5に固着された固定側プーリ半体7と、この固定側プーリ半体7に対して接離可能な可動側プーリ半体8とを備えており、可動側プーリ半体8は油室9に作用する油圧で固定側プーリ半体7に向けて付勢される。
【0017】
ドライブシャフト5と平行に配置されたドリブンシャフト10に設けられたドリブンプーリ11は、ドリブンシャフト10に固着された固定側プーリ半体12と、この固定側プーリ半体12に対して接離可能な可動側プーリ半体13とを備えており、可動側プーリ半体13は油室14に作用する油圧で固定側プーリ半体12に向けて付勢される。ドライブプーリ6およびドリブンプーリ11間に、左右の一対の金属リング集合体31,31に多数の金属エレメント32…を支持してなる金属ベルト15が巻き掛けられる(図2参照)。それぞれの金属リング集合体31は、12枚の金属リング331 ,33n …を積層してなる。
【0018】
ドリブンシャフト10には前進用ドライブギヤ16および後進用ドライブギヤ17が相対回転自在に支持されており、これら前進用ドライブギヤ16および後進用ドライブギヤ17はセレクタ18により選択的にドリブンシャフト10に結合可能である。ドリブンシャフト10と平行に配置されたアウトプットシャフト19には、前記前進用ドライブギヤ16に噛合する前進用ドリブンギヤ20と、前記後進用ドライブギヤ17に後進用アイドルギヤ21を介して噛合する後進用ドリブンギヤ22とが固着される。
【0019】
アウトプットシャフト19の回転はファイナルドライブギヤ23およびファイナルドリブンギヤ24を介してディファレンシャル25に入力され、そこから左右のアクスル26,26を介して駆動輪W,Wに伝達される。
【0020】
而して、エンジンEの駆動力はクランクシャフト1、ダンパー2、インプットシャフト3、発進用クラッチ4、ドライブシャフト5、ドライブプーリ6、金属ベルト15およびドリブンプーリ11を介してドリブンシャフト10に伝達される。前進走行レンジが選択されているとき、ドリブンシャフト10の駆動力は前進用ドライブギヤ16および前進用ドリブンギヤ20を介してアウトプットシャフト19に伝達され、車両を前進走行させる。また後進走行レンジが選択されているとき、ドリブンシャフト10の駆動力は後進用ドライブギヤ17、後進用アイドルギヤ21および後進用ドリブンギヤ22を介してアウトプットシャフト19に伝達され、車両を後進走行させる。
【0021】
このとき、金属ベルト式無段変速機Tのドライブプーリ6の油室9およびドリブンプーリ11の油室14に作用する油圧を、電子制御ユニットU1 からの指令で作動する油圧制御ユニットU2 で制御することにより、その変速比が無段階に調整される。すなわち、ドライブプーリ6の油室9に作用する油圧に対してドリブンプーリ11の油室14に作用する油圧を相対的に増加させれば、ドリブンプーリ11の溝幅が減少して有効半径が増加し、これに伴ってドライブプーリ6の溝幅が増加して有効半径が減少するため、金属ベルト式無段変速機Tの変速比はLOWに向かって無段階に変化する。逆にドリブンプーリ11の油室14に作用する油圧に対してドライブプーリ6の油室9に作用する油圧を相対的に増加させれば、ドライブプーリ6の溝幅が減少して有効半径が増加し、これに伴ってドリブンプーリ11の溝幅が増加して有効半径が減少するため、金属ベルト式無段変速機Tの変速比はTOPに向かって無段階に変化する。
【0022】
図3は、車両が最高速度走行状態(TOP状態)にあって、ドライブプーリ6の有効半径がドリブンプーリ11の有効半径よりも大きくなった状態を示しており、同図における金属ベルト15の厚さは該金属ベルト15の張力に起因する各金属リング集合体31の引張応力の大小を模式的に表している。金属ベルト15がドリブンプーリ11からドライブプーリ6に戻る弛み側の弦部(A領域)において前記応力は一定値σTLOW であり、金属ベルト15がドライブプーリ6からドリブンプーリ11に送り出される張り側の弦部(C領域)において前記応力は一定値σTHIGHである。A領域の応力σTLOW はC領域の応力σTHIGHよりも小さく、金属ベルト15がドライブプーリ6に巻き付く部分(B領域)において、その入口側から出口側にかけて応力はσTLOW からσTHIGHまで増加し、金属ベルト15がドリブンプーリ11に巻き付く部分(D領域)において、その入口側から出口側にかけて応力はσTHIGHからσTLOW まで減少する。
【0023】
金属ベルト15の張力は一対の金属リング集合体31,31によって均等に分担され、かつ各金属リング集合体31の張力は、その金属リング集合体31を構成する12枚の金属リング331 ,33n …により分担される。そのとき、金属エレメント32のサドル面321 に接触する最内層の金属リング331 (No.1リング)を除く内側から2層目〜12層目の11枚の金属リング33n …(No.2リング〜No.12リング)の応力は相互に等しくなるが、前記最内層の金属リング331 の応力は前記2層目〜12層目の金属リング33の応力と異なった値になる。以下、その理由を図4を参照しながら説明する。
【0024】
先ず、簡易モデルとして、金属リング集合体が3層の金属リングから構成される場合を考える。プーリ巻き付き部における最外層のNo.3リングおよびその内側のNo.2リング間に作用する垂直抗力をN3 とし、No.2リングおよびNo.1リング間に作用する垂直抗力をN2 とし、更にNo.1リングおよび金属エレメントのサドル面間に作用する垂直抗力をN1 とする。また相互に接触する金属リング間の摩擦係数(以下、リング−リング間摩擦係数という)をμrとし、金属リングおよび金属エレメント間の摩擦係数(以下、リング−エレメント間摩擦係数という)をμsとし、No.1リング、No.2リングおよびNo.3リングの荷重をそれぞれF1 ,F2 ,F3 とすると、各層の金属リングの張力変化量であるΔT1 ,ΔT2 ,ΔT3 は、以下の(1)〜(3)式で与えられる。
【0025】
ΔT3 =F3 =μrN3 …(1)
ΔT2 =F2 −F3 =μrN2 −μrN3 …(2)
ΔT1 =F1 −F2 =μsN1 −μrN2 …(3)
各層の金属リングの張力変化量であるΔT1 ,ΔT2 ,ΔT3 の総和ΔTALL は、
で与えられ、前記(3)式および(4)式からΔT1 とΔTALL との比は、
で与えられる。ここで、金属リングの積層枚数がnの場合に拡張して考えても、ΔT1 とΔTALL との比は前記(5)式により同様にして与えられる。しかしながら、金属リングの積層枚数nが変化すると垂直抗力をN1 と垂直抗力をN2 との比が変化するため、計算結果は異なってくる。
【0026】
ここで、リング−エレメント間摩擦係数μsとリング−リング間摩擦係数μrとの比である摩擦係数比をξ(=μs/μr)とすると、前記(5)式は次のように書き換えられる。
【0027】
ΔT1 /ΔTALL =1−(N2 /N1 )/ξ …(6)
前記(6)式は、金属リング集合体に含まれる金属リングの積層枚数nにより変化するN2 /N1 が決まり、且つリング−エレメント間摩擦係数μsとリング−リング間摩擦係数μrとの比である摩擦係数比ξが決まれば、金属リング集合体全体の張力変化量ΔTALL に対する最内層金属リングの張力変化量ΔT1 の比率が決まることを示している。
【0028】
図5のグラフは、金属リング集合体が12枚の金属リングから構成される場合(すなわち、n=12)において、垂直抗力をN1 ,N2 の比を所定の関係、即ち、N2 /N1 =(n−1)/nを満たすように設定し、ΔT1 /ΔTALL の値を種々の摩擦係数比ξについて計算した結果を示すものである。過去の経験および実測した結果によれば、最内層の金属リングと、その他の金属リングとに同じものを採用すると、リング−エレメント間摩擦係数μsはリング−リング間摩擦係数μrよりも大きな値になるため、摩擦係数比ξ=μs/μrは1.0よりも大きくなる。
【0029】
仮に、図5のグラフにおいて、リング−リング間摩擦係数μrおよびリング−エレメント間摩擦係数μsを一致させたとすると、摩擦係数比ξ=1.0になってΔT1 /ΔTALL =0.08になり、最内層の金属リングは他の11枚の金属リングと同じ張力変化量、すなわち金属リング集合体全体の張力変化量の総和ΔTALL の12分の1の約8%を受け持つことになる。しかしながら、実際には摩擦係数比ξは1.0よりも大きな値を持つため、最内層の金属リングの張力変化量ΔT1 は、他の11枚の金属リングのそれぞれの張力変化量ΔTn よりも大きくなる。
【0030】
そこで、最内層の1枚の金属リングの張力変化量ΔT1 と他の11枚の金属リングの張力変化量ΔTn との関係を、以下に示す手法で確認した。図2に示すように実際の金属リング集合31は積層された12枚の金属リング331 ,33n …から構成されているが、先ず図6に示すように前記金属リング集合に代えて1枚の金属リング33だけを用いて金属ベルト式無段変速機Tを運転する。このとき、金属リング33の外周面に歪ゲージ34を取り付けておき、運転中の金属リング33の応力波形を測定する。続いて2枚の金属リング33を重ねて装着して最外層の金属リング33の外周面に歪ゲージ34を取り付けて該最外層の金属リング33の応力波形を測定する。上記作業を同じ板厚の金属リング33の枚数を1枚ずつ増やしながら5枚になるまで繰り返し実行する。
【0031】
図7は測定された応力波形を示すものであり、そのA領域、B領域、C領域およびD領域が、図3に示すA領域、B領域、C領域およびD領域にそれぞれ対応している。A領域およびC領域での応力は金属リング33の張力によるもので、その応力は弛み側の弦部に対応するA領域で小さく、張り側の弦部に対応するC領域で大きくなる。尚、金属リング33の弦部に対応するA領域およびC領域で引張応力だけが発生して曲げ応力が発生しないように、金属リング33の自由状態での曲率半径が無限大(すなわち、直線状態)になるように設定している。
【0032】
ここで、C領域での張力とA領域での張力と差に注目すると、1枚の金属リング33を用いた場合(すなわち、金属エレメント32のサドル面321 に当接する最内層の金属リング33の応力)と、2枚以上の金属リング33を用いた場合(すなわち、最内層以外の金属リング33の応力)との間に顕著な特徴が見られる。つまり、最内層の金属リング33の応力特性だけが最内層以外の金属リング33の応力特性と大きく異なっており、C領域およびA領域の張力差は、以下に説明するように、最内層の金属リング33のものが最内層以外の金属リング33のものの2倍に達していることが分かる。
【0033】
図8のグラフは上記測定の結果から得られたもので、横軸に積層された金属リング33の枚数を示し、縦軸に最外層の金属リング33の張力差の分担率Ta(n) /Ta(all) を示すものである。ここで、金属リング33の張力差は張り側の弦部の張力と弛み側の弦部の張力との差であって、Ta(n) は最外層の金属リング33の張力差であり、Ta(all) は積層された全金属リング33の張力差の和である。積層された金属リング33の数が1枚であるとき、Ta(n) =Ta(all) であってTa(n) /Ta(all) =1.0になる。積層された金属リング33の数が2枚であるとき、Ta(all) は2枚の金属リング33の張力差の和であり、Ta(n) は最外層(2層目)の金属リング33の張力差であるため、仮に2枚の金属リング33の張力差が同じであればTa(n) /Ta(all) =0.5になるはずであるが、実際にはTa(n) /Ta(all) =0.33になっている。同様に、金属リング33の積層数が3枚、4枚、5枚のときには、それぞれTa(n) /Ta(all) =0.25、Ta(n) /Ta(all) =0.20、Ta(n) /Ta(all) =0.17になっている。
【0034】
以上のことから、最内層の金属リング33の張力差は他の金属リング33の張力差の2倍になっており、例えば金属リング33の積層数が5枚の場合には、最内層の金属リング33の張力差分担率は全体の2/6を占めており、他の4枚の金属リング33はそれぞれ全体の1/6を占めていることが分かる。
【0035】
従って、実施例の如く12枚の金属リング331 ,33n …を積層したものでは、最内層の金属リング331 が全体の張力変化量の2/13を負担し、残りの11枚の金属リング33n …がそれぞれ全体の張力変化量の1/13を負担するものと推定することができる。
【0036】
図9のグラフは上記測定の結果から得られたもので、横軸に積層された金属リング33の枚数を示し、縦軸に最外層の金属リング33の張力和の分担率Tm(n) /Tm(all) を示すものである。ここで、金属リング33の張力和は張り側の弦部の張力と弛み側の弦部の張力との和であって、Tm(n) は最外層の金属リング33の張力和であり、Tm(all) は積層された全金属リング33の張力和の和である。積層された金属リング33の数が1枚であるとき、Tm(n) =Tm(all) であってTm(n) /Tm(all) =1.0になる。金属リング33の積層数が2枚、3枚、4枚、5枚のときには、それぞれTm(n) /Tm(all) =0.50、Tm(n) /Tm(all) =0.33、Tm(n) /Tm(all) =0.25、Tm(n) /Tm(all) =0.20になっている。
【0037】
以上のことから、金属リング33の積層数が5枚の場合には、各金属リング33は金属リング集合体31の張力和の1/5ずつを均等に分担していることが分かり、金属リング331 ,33n …の積層数が12枚の場合には、各金属リング331 ,33n …は金属リング集合体31の張力和の1/12ずつを均等に分担すると推定することができる。つまり、金属リング集合体31の張力和の分布は、その半径方向(厚さ方向)に均一であると推定することができる。
【0038】
図11のグラフは、車両が図3で説明した最高速度走行状態にあるときの、本実施例における最内層の金属リング331 の引張応力の変化と、他の11枚の金属リング33n …の引張応力の変化とを示すものである。同図における実線および破線は、最内層の金属リング331 と他の金属リング33n …とが同じ板厚を持つ場合であって、実線は最内層の金属リング331 引張応力の変化を示し、破線は最内層以外の11枚の金属リング33n …の引張応力の変化を示している。上述したリング−エレメント間摩擦係数μsとリング−リング間摩擦係数μrとの不一致により、最内層の金属リング331 の張力変化量(つまり応力変化量)は他の金属リング33n …の張力変化量(つまり応力変化量)の2倍になっている。
【0039】
図11における一点鎖線および二点鎖線は、最内層の金属リング331 の板厚t1 を他の金属リング33n …の板厚tn と異ならせた場合(改善後)に対応し、一点鎖線は最内層の金属リング331 引張応力の変化を示し、二点鎖線は最内層以外の11枚の金属リング33n …の引張応力の変化を示している。この最内層の金属リング331 の板厚t1 を異ならせたことによる応力の変化特性は、図8および図9で説明した張力の分担特性に基づいている。
【0040】
金属リング331 ,33n …には前記張力に基づく引張応力に加えて、金属リング331 ,33n …の曲げに基づく引張応力および圧縮応力が作用する。図10に示すように自由状態の金属リング331 ,33n …は円弧状であるが、使用状態の金属リング331 ,33n …は前記A領域〜D領域を有する形状に変形する。弛み側の弦部(A領域)および張り側の弦部(C領域)では自由状態でD/2であった曲率半径が∞に増加し、大径側のドライブプーリに巻き付くB領域では自由状態でD/2であった曲率半径がRDRに減少し、小径側のドリブンプーリに巻き付くD領域では自由状態でD/2であった曲率半径がRDNに減少する。
【0041】
このように、金属リング331 ,33n …の曲率半径が増加するA領域およびC領域では、該金属リング331 ,33n …の内周面に引張曲げ応力が作用し、外周面に圧縮曲げ応力が作用する。一方、金属リング331 ,33n …の曲率半径が減少するB領域およびD領域では、該金属リング331 ,33n …の内周面に圧縮曲げ応力が作用し、外周面に引張曲げ応力が作用する。これら圧縮曲げ応力および引張曲げ応力は、金属リング331 ,33n …の板厚t1 ,tn に応じて変化する。すなわち、金属リング331 ,33n …の板厚t1 ,tn が大きい場合に曲げ応力も大きくなり、金属リング331 ,33n …の板厚t1 ,tn が小さい場合に曲げ応力も小さくなる。
【0042】
図12のグラフは、車両が図3で説明した最高速度走行状態にあるときの、12枚の金属リング331 ,33n …のそれぞれの外周面に作用する曲げ応力を示すものである。実線は12枚の金属リング331 ,33n …の板厚t1 ,tn が等しい場合であって、各金属リング331 ,33n …の外周面には、その2つの弦部(A領域およびC領域)に一定の圧縮曲げ応力が作用し、曲率半径が大きい方のドライブプーリに巻き付くB領域では比較的に小さな引張曲げ応力が作用し、曲率半径が小さい方のドリブンプーリに巻き付くD領域では比較的に大きな引張曲げ応力が作用する。一点鎖線は最内層の金属リング331 の板厚t1 を他の金属リング33n …の板厚tn と異ならせた場合(改善後)の、該最内層の金属リング331 の外周面に作用する曲げ応力を示すものであり、その板厚t1 の変化に応じて曲げ応力の特性も変化している。
【0043】
図13のグラフは、図11に示す金属リング331 ,33n …の張力に基づいて作用する応力と、図12に示す金属リング331 ,33n …の曲げに基づいて該金属リング331 ,33n …の外周面に作用する応力とを加算したもので、実線および一点鎖線はそれぞれ改善前および改善後の最内層の金属リング331 の外周面に作用するトータルの応力の変化を示しており、破線および二点鎖線はそれぞれ改善前および改善後の他の金属リング33n …の外周面に作用するトータルの応力の変化を示している。
【0044】
同図から明らかなように、各金属リング331 ,33n …の板厚t1 ,tn を等しく設定した改善前(実線および破線)には、最内層の金属リング331 の応力振幅σa1 ′は他の金属リング33n …の応力振幅σan ′よりも大きくなっており、そのために最内層の金属リング331 が最初に破断して金属リング集合体31の寿命を低下させる要因となっていた。しかしながら最内層の金属リング331 の板厚t1 を他の金属リング33n …の板厚tn と異ならせた改善後(一点鎖線および二点鎖線)には、最内層の金属リング331 の応力振幅σa1 は他の金属リング33n …の応力振幅σan よりも小さくなっており、そのために最内層の金属リング331 の耐久性を高めて金属リング集合体31の寿命を延長することができる。
【0045】
以下、最内層の金属リング331 の板厚t1 を適切に設定する手法について説明する。以下の説明で使用する符号は表1に示されている。
【0046】
【表1】
【0047】
まず、最内層の金属リング331 の張力変化量ΔT1 が他の金属リング33n …の張力変化量ΔTn の2倍になるという仮定(図8参照)に基づいて、最内層の金属リング331 に作用する力の釣合いから、
(T1−T2)*(2/13)=T11 −T21 …(7)
が成立し、他の金属リング33n …に作用する力の釣合いから、
(T1−T2)*(1/13)=T1n −T2n …(8)
が成立する。また金属リング集合体31の張力の和の分布は、その半径方向(厚さ方向)に均一であるという仮定(図9参照)に基づいて、最内層の金属リング331 に作用する力の釣合いから、
(T1+T2)/{2w(t1 +11t)}=(T11 +T21 )/(2wt1 ) …(9)
が成立し、他の金属リング33n …に作用する力の釣合いから、
(T1+T2)/{2w(t1 +11t)}=(T1n +T2n )/(2wt) …(10)
が成立する。
【0048】
図14に示す最内層の金属リング331 の外周面の応力変化を参照すると明らかなように、最内層の金属リング331 の外周面の応力振幅σa1 は、以下の(11)式により与えられる。同様にして、他の金属リング33n …の外周面の応力振幅σan は以下の(12)式で与えられ、最内層の金属リング331 および他の金属リング33n …の外周面の平均応力σm1 ,σmn …はそれぞれ(13)式および(14)式で与えられる。尚、(11)式〜(14)式において、Eはヤング率、Dは金属リング331 ,33n …の自由状態での直径、d0 は金属リング331 ,33n …のプーリへの巻き掛け径である。
【0049】
【数1】
【0050】
【数2】
【0051】
【数3】
【0052】
【数4】
【0053】
図15のグラフは、高速耐久条件において、前記(7)式〜(12)式に基づいて、最内層の金属リング331 の板厚t1 (横軸)と、最内層の金属リング331 の応力振幅σa1 (縦軸)との関係を算出した結果を示すものである。このときの金属ベルト式無段変速機Tの運転条件の諸元は表2に示されており、この諸元を特開平10−89429号公報に開示されている数式に適用して金属リング集合体31の張り側の弦部の張力T1および弛み側の弦部の張力T2を算出し、その張力T1およびT2を前記(11)式および(12)式に適用することにより、最内層の金属リング331 の応力振幅σa1 および他の金属リング33n …の応力振幅σan を算出することができる。
【0054】
【表2】
【0055】
図15において、他の金属リング33n …の板厚tn =0.185mmに対して、最内層の金属リング331 の板厚が0.042mm≦t1 ≦0.161mmのときに、最内層の金属リング331 の応力振幅σa1 が他の金属リング33n …の応力振幅σan =25.56kgf/mm2 よりも小さくなり、最内層の金属リング331 の板厚t1 =0.082mmのときに、最内層の金属リング331 の応力振幅σa1 が最小値である20.72kgf/mm2 になる(表3参照)。つまり最内層の金属リング331 の板厚を0.042mm≦t1 ≦0.161mmを満たすように設定すれば、該最内層の金属リング331 の応力振幅σa1 を他の金属リング33n …の応力振幅σan よりも小さくすることができ、これにより最内層の金属リング331 が早期に破断して金属リング集合体31全体の寿命を低下させるのを防止することができる。
【0056】
【表3】
【0057】
また表3には、前記(13)式および(14)式に基づいて算出した最内層の金属リング331 の平均応力σm1 および他の金属リング33n …の平均応力σmn が併せて示される。表3から明らかなように、最内層の金属リング331 の平均応力σm1 の最大値は21.46kgf/mm2 に抑えられ、また他の金属リング33n …の平均応力σmn の最大値も23.00kgf/mm2 に抑えられている。従って、最内層の金属リング331 の板厚t1 を変化させたことにより両金属リング331 ,33n …の平均応力σm1 ,σmn が大幅に増加することは無い。
【0058】
図16は、金属ベルト式無段変速機Tの入力馬力を種々に変化させたときに、応力振幅σa1 が応力振幅σan に一致する最内層の金属リング331 の板厚t1 (△参照)と、応力振幅σa1 が最小になる最内層の金属リング331 の板厚t1 (□参照)とを示している。従って、最内層の金属リング331 の板厚t1 が斜線の領域にあるとき、応力振幅σa1 を応力振幅σan 以下にして金属リング集合体31の寿命を延長することができる。特に、最内層の金属リング331 の板厚t1 を0.113mmに設定すれば、入力馬力が最大値である312PS以下の全ての領域で金属リング集合体31の寿命を延長することができる。
【0059】
図17は、前記図16の縦軸を、他の金属リング33n …の板厚tn (=0.185mm)に対する最内層の金属リング331 の板厚t1 の比t1 /tn に変換したものである。
【0060】
以上、本発明の実施例を詳述したが、本発明はその要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更を行うことが可能である。
【0061】
例えば、実施例では金属リング331 ,33n …の外周面の応力振幅σa1 ,σan に基づいて最内層の金属リング331 の適切な板厚t1 を算出しているが、金属リングに作用する力は半径方向に均等に分布していることから、内周面の応力振幅に基づいて適切な板厚を算出することも可能である。
【0062】
【発明の効果】
以上のように請求項1に記載された発明によれば、金属リングの張り側弦部の張力T1と、金属リングの弛み側弦部の張力T2と、金属リングの板厚tと、金属リングの板幅wと、金属リングのプーリへの巻き掛け径d 0 と、金属リングの自由状態での直径Dと、ヤング率Eとを用いて金属リングのトータルの応力振幅を精度良く算出し、最内層の金属リングのトータルの応力振幅が他の金属リングのトータルの応力振幅以下になるように該最内層の金属リングの板厚を設定したので、使用条件の最も厳しい最内層の金属リングの耐久性を他の金属リングの耐久性よりも高くして金属リング集合体の全体としての寿命を延長することができる。
【0064】
また請求項2に記載された発明によれば、最大馬力運転状態で最内層の金属リングの応力振幅が最内層以外の金属リングの応力振幅に一致するように該最内層の金属リングの板厚を設定すれば、使用条件の最も厳しい最大馬力運転状態を含む全ての運転状態において、最内層の金属リングの耐久性を最大限に高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ベルト式無段変速機を搭載した車両の動力伝達系のスケルトン図
【図2】金属ベルト部分斜視図
【図3】金属リングに作用する引張応力の説明図
【図4】金属リングに作用する力の釣合いを示す図
【図5】摩擦係数比ξに対するΔT1 /ΔTALL の変化を示すグラフ
【図6】金属リングの応力変化特性を検出する実験用の金属ベルトの部分斜視図
【図7】実験により求めた金属リングの応力変化を示すグラフ
【図8】金属リング集合体の2つの弦部の張力差Ta(all) に対する最外層の金属リング2つの弦部の張力差Ta(n) の比Ta(n) /Ta(all) を示すグラフ
【図9】金属リング集合体の2つの弦部の張力和Tm(all) に対する最外層の金属リング2つの弦部の張力和Tm(n) の比Tm(n) /Tm(all) を示すグラフ
【図10】金属リングの自由状態および使用状態の形状の説明図
【図11】最内層の金属リングおよび他の金属リングの引張応力の分布を示すグラフ
【図12】最内層の金属リングおよび他の金属リングの曲げ応力の分布を示すグラフ
【図13】最内層の金属リングおよび他の金属リングのトータルの応力の分布を示すグラフ
【図14】最内層の金属リングの応力振幅σa1 の算出の説明図
【図15】最内層の金属リングの板厚t1 に対する応力振幅σa1 の変化を示すグラフ
【図16】応力振幅σa1 が応力振幅σan に一致する板厚t1 および応力振幅σa1 が最小になる板厚t1 を示すグラフ
【図17】応力振幅σa1 が応力振幅σan に一致する板厚比t1 /tn および応力振幅σa1 が最小になる板厚比t1 /tn を示すグラフ
【符号の説明】
31 金属リング集合体
32 金属エレメント
331 最内層の金属リング
33n 最内層以外の金属リング
t1 最内層の金属リングの板厚
tn 最内層以外の金属リングの板厚
T1 金属リング集合体の張り側の弦部の張力
T2 金属リング集合体の弛み側の弦部の張力
T11 最内層の金属リングの張り側の弦部の張力
T21 最内層の金属リングの弛み側の弦部の張力
T1n 最内層以外の金属リングの張り側の弦部の張力
T2n 最内層以外の金属リングの弛み側の弦部の張力
ΔT1 最内層の金属リングの張り側の弦部の張力および弛み側の弦部の張力の差
ΔTn 最内層以外の金属リングの張り側の弦部の張力および弛み側の弦部の張力の差
σa1 最内層の金属リングの応力振幅
σan 最内層以外の金属リングの応力振幅
Claims (2)
- 無端状の金属リング(331 ,33n )を複数枚積層した金属リング集合体(31)に多数の金属エレメント(32)を支持してなる無段変速機用ベルトであって、最内層の金属リング(331 )の板厚(t1 )が最内層以外の金属リング(33n )の板厚(tn )と異なるものにおいて、
T1を金属リング(33 1 ,33 n )の張り側弦部の張力とし、T2を金属リング(33 1 ,33 n )の弛み側弦部の張力とし、tを金属リング(33 1 ,33 n )の板厚とし、wを金属リング(33 1 ,33 n )の板幅とし、d 0 を金属リング(33 1 ,33 n )のプーリへの巻き掛け径とし、Dを金属リング(33 1 ,33 n )の自由状態での直径とし、Eをヤング率としたときに、各層の金属リング(33 1 ,33 n )の応力振幅(σa 1 ,σa n )を次式により求め、最内層の金属リング(33 1 )の応力振幅(σa 1 )が最内層以外の金属リング(33 n )の応力振幅(σa n )以下になるように、該最内層の金属リング(331 )の板厚(t1 )を設定したことを特徴とする無段変速機用ベルト。
- 最大馬力運転状態で最内層の金属リング(331 )の応力振幅(σa1 )が最内層以外の金属リング(33n )の応力振幅(σan )に一致するように該最内層の金属リング(331 )の板厚(t1 )を設定したことを特徴とする、請求項1に記載の無段変速機用ベルト。
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