JP3554460B2 - 金属部材内蔵セラミックス部材の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、静電チャック等の、金属電極等の金属部材を内蔵するセラミックス部材を製造する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
現在、半導体ウエハーの搬送、露光、化学的気相成長法、物理的気相成長法、スパッタリング等の成膜プロセス、微細加工、洗浄、プラズマエッチング、ダイシング等の工程において、半導体ウエハーを吸着し、保持するために、静電チャックが使用されている。こうした静電チャックの基材として、緻密質セラミックスが注目されており、特に急激な温度変化によって破壊しないような耐熱衝撃性を備えている材料として、緻密質の窒化アルミニウム、窒化珪素、アルミナ等が注目されている。
【0003】
また、ホットプレス法によるセラミックスの加圧焼成法は、窒化珪素、炭化珪素、窒化アルミニウム等の各種のセラミックスの焼結のために使用されてきている。本出願人は、特開平5−318427号公報において、スリーブの内側面と、パンチの成形体と接触する表面とを、グラファイトホイル等の耐熱性箔片によって被覆することを提案した。これは、高温、高圧下で、スリーブやパンチとセラミックスとの化学反応による生成物や、セラミックスが、スリーブやパンチに強固に付着するのを防止する上で、極めて有効な方法であった。
【0004】
また、本出願人は、特願平7−218158号明細書において、セラミックスヒーター、セラミックス静電チャック、セラミックス高周波電極装置、セラミックスサセプター等の半導体製造用装置の基材を製造するために、窒化アルミニウムセラミックスをホットプレスすることを開示している。この公報に記載の方法においては、型内に窒化アルミニウム粉末の成形体を収容するのに際して、成形体とスリーブとの間、成形体とスペーサーとの間に、グラファイトホイルを被覆し、この被覆によって成形体の周囲の雰囲気を制御し、かつ成形体とスリーブおよびスペーサーとの反応を防止している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、ホットプレス法で、静電チャック電極等の金属電極が埋設されたセラミックス部材を製造していく過程で、次の問題点が新たに発生してくることが判明した。即ち、セラミックス部材を製造し、その基材の内部に金属電極を埋設するためには、通常は、セラミックス粉末の予備成形体を一軸加圧成形法によって製造し、この際予備成形体の内部に予め金属電極を埋設しておく。そして、この予備成形体を、金属電極に対して実質的に垂直な方向に圧力が加わるようにホットプレスすることによって焼結体を得、この焼結体を研磨加工等している。
【0006】
しかし、例えば静電チャックにおいては、セラミックス部材中の静電チャック電極の平坦度を向上させることが必要である。なぜなら、静電チャック電極と絶縁性誘電層の吸着面との間隔にバラツキがあると、吸着面上の半導体ウエハーの吸着力にバラツキが生ずるからである。また、例えばセラミックス部材の内部のヒーター用電極が基材の表面に対して傾斜していると、ヒーターの表面温度にバラツキが発生する。このように、金属電極が埋設されている各種のセラミックス製品において、セラミックス部材内の金属電極の平坦度を確保することが極めて重要である。
【0007】
本発明者は、セラミックス部材の内部の金属電極と、セラミックス部材の表面との間隔を一定にするために、次の方法を実施した。即ち、図1に示す焼結体20の内部には、平板状の金属電極4が埋設されている。焼結体20は、金属電極4によって、相対的に厚さの小さい第一の部分22と、相対的に厚さの大きい第二の部分21とに区分されている。
【0008】
ここで、金属電極4と、加工後のセラミックス部材の表面との間隔を、金属電極4の全面にわたって一定にすることが要求されている。ここで、金属電極4と表面20aとの間隔に誤差を生じさせる要因は二つ考えられる。一つは、金属電極4の全体が表面20aに対して傾斜していることである。例えば、金属電極4の中心線Cを引いてみたとき、通常は中心線Cが、焼結体の表面20aに対して傾斜している。
【0009】
本出願人は、まず、金属電極4の焼結体表面20aに対する傾斜をなくするために、焼結体20の表面20aからの金属電極4の距離mを、超音波の照射によって測定してみた。この方法では、焼結体表面20aの各部分に超音波を照射し、焼結体の内部の金属電極4による超音波の反射を利用し、金属電極4と表面20aとの距離を測定する。
【0010】
この方法によって金属電極4の中心線Cの座標を算出できる。そして、平面研削加工ないし平面研磨加工によって、第一の部分22内に、中心線Cの平行線Aに沿って研磨面を形成し、かつ、第二の部分21内に、中心線Cの平行線Bに沿って研磨面を形成できる。これによって、セラミックス部材の表面(研磨面)と金属電極4の中心線Cとを平行にすることは可能になった。
【0011】
しかし、この方法によって加工できるのは、焼結体20の表面だけであり、焼結体20の内部に埋設された金属電極4の形状を変化させることはできない。しかし、現実には、金属電極4は中心線Cに沿っておらず、中心線Cに対して凹凸があるのが通常である。このため、セラミックス部材中に埋設されている金属電極4の中心線Cに対する平坦度を、向上させることが必要である。
【0012】
また、ホットプレス焼結後にセラミックス部材の中に空孔が生ずることがあり、この空孔は、セラミックス部材の研磨加工後にその表面に小穴として現れる。こうした小穴は、パーティクル発生の原因となることがわかってきた。更に、ホットプレス焼結後にセラミックス部材中に微細なクラックが発生することがあり、これが温度の均一性を乱したり、あるいは劣化の開始点となるおそれがある。
【0013】
本発明の課題は、金属電極等の金属部材が内蔵されているセラミックス部材をホットプレス法によって製造するのに際して、セラミックス部材中にある金属部材の平坦度を向上させ、セラミックス部材中の空孔やクラックの発生を防止できるようにすることである。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明は、金属部材が内蔵されているセラミックス部材を製造するのに際して、前記セラミックス部材の原料とバインダーとの混合物を噴霧造粒装置によって造粒して造粒顆粒を得、この造粒顆粒を成形することによって、前記金属部材が埋設されている成形密度1.4g/cm3以上、2.5g/cm3以下の予備成形体を得、この予備成形体をホットプレスすることによって、金属部材内蔵セラミックス部材を製造する方法であって、前記バインダーがアクリル系バインダーとブチラール系バインダーとの少なくとも一方からなり、前記予備成形体が前記バインダーを0.4重量%以上、5.0重量%以下含有しており、前記金属部材が平面状の金属バルク材からなることを特徴とする、金属部材内蔵セラミックス部材の製造方法に関する。
【0015】
本発明者は、ホットプレス用の予備成形体を作製する段階で、セラミックス部材の原料とバインダーとの混合物を噴霧造粒装置によって造粒して造粒顆粒を成形することを想到した。こうした造粒顆粒は、流動性が高く、成形密度の高い均一な成形体を作製し易い。従って、予備成形体中に金属部材を埋設したときに、金属部材に加わる圧力が均一になり、金属部材が変形しにくくなる。しかも、ホットプレス段階において、液相生成が均一に起こるので、ここでも金属部材に加わる応力が均一となり、金属部材が変形しにくい。また、予備成形体の成形段階で空気の巻き込みが起こりにくいので、ホットプレス後の焼結体中に空孔が残りにくく、かつ予備成形体中にクラックが発生しにくい。
【0016】
ただし、このような造粒顆粒を使用し、金属部材が埋設されたホットプレス用の予備成形体を作製する場合には、予備成形体の成形密度を1.4g/cm3 以上、2.5g/cm3 以下とすることが必要であった。これが1.4g/cm3 未満である場合には、金属部材を埋設した後の成形段階やホットプレス段階において、成形体の変形量が大きくなり、この変形に伴って金属部材が変形してしまった。更に、予備成形体中への空気の巻き込みが多く見られ、この空気によって、ホットプレス後の焼結体中に空孔が残留した。
【0017】
一方、予備成形体の成形密度が2.5g/cm3 を越える場合には、予備成形体中にクラック、ラミネーションが発生し、埋設した金属部材が局部的に変形し、ホットプレス後の焼結体中にもクラックが残留することが判った。
【0018】
本発明においては、予備成形体の成形密度を1.7g/cm3 以上、2.0g/cm3 以下とすることによって、より緻密で欠陥の少ない成形体を得ることができ、ホットプレス後のセラミックス部材中の金属部材の平坦度が、より一層向上し、焼成体の強度も向上する。
【0019】
本発明においては、金属部材を予備成形体の内部に所定平面に沿って埋設させるために、所定平面に垂直な方向へと向かって一軸加圧成形する。
【0020】
また、予備成形体中に含有させるバインダーとしては、熱可塑性樹脂が特に好ましく、具体的にはアクリル系バインダー、ブチラール系バインダーとする。アクリル系バインダー、ブチラール系バインダーは、熱を加えても架橋が進行しないために、比較的に低温で焼失し、ホットプレス前の脱脂時またはホットプレス時に液相が生成され始める前に飛散するため、焼結体の内部に空孔が生成しにくい。また、造粒顆粒の外周に形成されるバインダーの被膜が特に柔らかく、成形時に造粒顆粒がつぶれやすいために、予備成形体の厚さが一定かつ均一になり易く、予備成形体中に埋設される金属部材も平坦になり易い。
【0021】
これに対して、フェノール等の熱硬化製樹脂は、熱を加えると架橋が進むため、低温では焼失しきれずに、高温まで未分解成分が残留し、ホットプレスの際に液相が生成されてから後で飛散するので、小穴の発生をもたらす。また、各造粒顆粒の外周に形成される樹脂被膜が硬く、成形時に造粒顆粒がつぶれにくいために、凹凸のある不均一な予備成形体ができ、予備成形体中に埋設される金属部材も平坦になりにくい。
【0022】
また、予備成形体がバインダーを0.4重量%以上含んでおり、1.0重量%以上含有していることが好ましい。これが0.4重量%未満である場合には、造粒顆粒の流動性が十分ではなくなり、予備成形体の厚さが不均一になりやすく、成形密度も不均一になりやすい。このため、予備成形体中に埋設される金属部材が平坦になりにくく、予備成形体にクラックやラミネーションが入りやすい。
【0023】
また、予備成形体がバインダーを5.0重量%以下含んでおり、3.0重量%以下含有していることが好ましい。これが5.0重量%を越えると、成形時に造粒顆粒間に介在するバインダーの層が厚くなり、予備成形体が柔らかくなり、保形性が悪くなると共に、ホットプレス時にバインダーが飛散しにくくなる傾向がある。このために、予備成形体中に埋設された金属部材が平坦になりにくくなり、空孔ないし小穴も生じ易くなる。
【0024】
以下、適宜図面を参照しつつ、本発明を更に詳細に説明する。
図2は、本発明を適用できるセラミックス部材を例示する断面図であり、図3(a)は、図2のセラミックス部材のうち一部を切り欠いて示す斜視図であり、図3(b)は、金属部材の一種である、金網からなる電極7を示す斜視図である。
【0025】
例えば略円盤形状のセラミックス部材1の基材6の内部に、金網7からなる金属電極4が埋設されている。半導体ウエハーの設置面1a側には、所定厚さの絶縁性誘電層(第一の部分)2が形成されている。基材6のうち支持部分(第二の部分)3側には、端子5が埋設されており、端子5が金属電極4に接続されている。端子5の端面が、基材6の裏面1bに露出している。第一の部分2の厚さt1 と第二の部分3の厚さt2 とが異なっている。
【0026】
本実施例における金属電極4は、図3(a)、(b)に示すような金網7によって形成されている。金網7は、円形の枠線7aと、枠線7aの内部に縦横に形成されている線7bとからなっており、これらの間に網目8が形成されている。
【0027】
予備成形体中に金属電極を埋設する工程においては、第一の部分の成形体を一軸加圧成形法によって成形し、第一の部分の成形体の表面に金属電極を設け、次いで第一の部分の上に第二の部分の原料を配置し、一軸加圧成形法によって第二の部分を成形して予備成形体を得ることが特に好ましい。
【0028】
好適な一軸加圧成形のプロセスについて、図4(a)〜(c)を参照しつつ説明する。図4(a)に示すように、型9、上パンチ11、下パンチ10の中に、本発明による造粒顆粒を充填し、加圧成形することによって、第一の部分の成形体12Aを得る。次いで、図4(b)に示すように、第一の部分の成形体12Aの上に金属電極4を設ける。成形体12Aおよび金属電極4上に、本発明による造粒顆粒13を充填する。
【0029】
次いで、図4(c)に示すように、再び一軸加圧成形を行い、成形体12および金属電極4上に第二の部分の成形体14を成形し、予備成形体17を得る。ただし、17a、17bは加圧面であり、17cは非加圧面である。
【0030】
このように、二段階に分けて造粒顆粒の成形を行う場合には、最初に成形される成形体12Aが、金属電極4を設けるための土台となる。ここで、土台となる成形体12Aには、後で成形される成形体14の成形圧力が金属電極4を介して加わったときに、変形することなく耐えうるだけの強度と密度とが要求される。
【0031】
従って、本発明の好適な態様においては、最初に厚さが相対的に小さい成形体12Aを成形しておく。これによって、成形体12Aは、後で成形される成形体14の成形圧力に耐えうるだけの強度と密度を、成形体12Aの全体にわたって備えやすいため、後の成形時に成形体12Aが変形しにくく、このために金属電極4が変形せず、金属電極の平坦度が向上するものと思われる。
【0032】
予備成形体中に埋設する金属部材は、平面状の金属バルク材であることが最も好ましい。しかし、印刷法によって製造された電極も含む。金属部材は、セラミックスの焼成温度で安定な高融点金属、例えばタンタル,タングステン,モリブデン,白金,レニウム、ハフニウム及びこれらの合金によって形成することが好ましい。
【0033】
セラミックス部材を構成するセラミックスとしては、窒化アルミニウム、窒化珪素、炭化珪素、窒化ホウ素、アルミナ等を例示できる。
【0034】
金属部材を構成する金属バルク材としては、例えば、次のものを例示できる。
(1)平板状の金属バルク材。
(2)平板状の金属バルク材の中に多数の小空間が形成されているもの。
これには、多数の小孔を有する板状体からなる金属バルク材や、網状の金属バルク材を含む。多数の小孔を有する板状体としては、エッチングメタル、パンチングメタルを例示できる。
【0035】
次いで、予備成形体をホットプレスする。この際には、予備成形体を1個ごとにホットプレスすることもできるが、例えば図5の概略断面図に示すように、ホットプレス装置の型内に複数の予備成形体を収容し、複数の予備成形体を同時にホットプレスすることが好ましい。
【0036】
図5においては、型27およびスリーブ28A、28Bの中に、下パンチ31(一方の加圧用部材)と上パンチ30(他方の加圧用部材)とが挿入されている。上パンチ30と下パンチ31との間に、例えば七枚のスペーサー24A、24B、24C、24D、24E、24F、24Gと、六個の予備成形体17A、17B、17C、17D、17E、17Fとが収容されている。上パンチ30の加圧面30a、下パンチ31の加圧面31aに対して、それぞれスペーサー24A、24Gが接触している。
【0037】
本実施形態においては、上パンチ30と下パンチ31との中央線Dが、ほぼ収縮の中心となる。上パンチ30に近い各予備成形体17A、17B、17Cは、矢印Eで示すように中心線Dの方へと向かって収縮する。下パンチ31に近い各予備成形体17D、17E、17Fは、矢印Fで示すように中心線Dの方へと向かって収縮する。
【0038】
従って、下パンチ31に近い予備成形体17D、17E、17Fを、下パンチ31側に第二の部分の成形体14が配向するように収容した。また、上パンチ30に近い予備成形体17A、17B、17Cを、上パンチ30側に第二の部分の成形体14が配向するように収容した。
【0039】
本発明のセラミックス部材は、特に半導体製造用装置として有用である。例えば、セラミックス基材中に抵抗発熱体を埋設したセラミックスヒーター、基材中に静電チャック用電極を埋設したセラミック静電チャック、基材中に抵抗発熱体と静電チャック用電極を埋設した静電チャック付きヒーター、基材中にプラズマ発生用電極を埋設した高周波発生用電極装置のような、能動型装置として有用である。
【0040】
【実施例】
以下、更に具体的な実験結果について述べる。
(実施例1〜12および比較例1〜4)
図4(a)〜(c)および図5を参照しつつ説明した前記方法に従って、各セラミックス部材を製造した。窒化アルミニウム粉末にアクリル系樹脂バインダーを0.6〜2.0%添加し、噴霧造粒装置(スプレードライヤー)によって造粒し、造粒顆粒を得た。この造粒顆粒を、図4(a)〜(c)に示すようにして成形し、直径215mm、厚さ30mmの円盤状予備成形体17を作製した。
【0041】
ただし、金属電極4としては、モリブデン製の網状電極を使用した。実施例3においては、金属電極4としてモリブデン製のエッチングメタルを使用し、実施例7においては、金属電極4としてモリブデンペーストの印刷層を使用した。第一の部分の厚さt1 と第二の部分の厚さt2 との比率は、1:4とした。
【0042】
予備成形体の成形圧力を、第一の部分、第二の部分共に100:400kg/cm2 の範囲内で変更し、かつ、噴霧造粒装置による造粒顆粒の平均粒径を20〜200μmの範囲内で変更することによって、予備成形体の成形密度を、表1に示すように変更させた。
【0043】
六枚の予備成形体を、図5に示すように型内に収容した。各スペーサーの直径を214.8mmとし、厚さを14mmとした。各スペーサーと各予備成形体との間に、直径214.8mm、厚さを0.25mmの柔軟性黒鉛シートを介在させた。また、各スペーサーおよび各予備成形体の非加圧面を覆うように、縦180mm、横680mmの柔軟性黒鉛シートを設置した。
【0044】
ホットプレス段階においては、1850℃で2時間保持し、200kg/cm2 の圧力を加えた。
【0045】
ホットプレス焼成後の各焼結体について、第一の部分の表面から金属電極までの厚さを、それぞれ20〜30点で計測し、平均値を求め、平均値からのバラツキの大きさ(標準偏差)を算出した。六枚のセラミックス部材の各標準偏差の平均を、平坦度とした。
【0046】
第一の部分の表面から金属電極までの厚さは、次のようにして測定した。即ち、超音波発振子を第一の部分の表面に当て、金属電極で反射して第一の部分の表面に戻ってくる超音波を受信し、金属電極で反射してから表面に戻ってくるまでの時間と音速とから、第一の部分の厚さを算出した。また、各試料を切断し、光学顕微鏡によって第一の部分の厚さを直接に測定することによって、前記した超音波による計測の確からしさを確認した。
【0047】
また、ホットプレス後の焼結体の表面を研磨仕上げ加工し、この加工面を倍率20倍の光学顕微鏡によって観察し、肉眼で認められた長径0.1mm以上の小穴の数を数えた。また、ホットプレス後の焼結体の破壊強度を測定し、破壊面を観察することによって、焼結体の内部のクラックの有無を確認した。これらの結果を表1に示す。
【0048】
【表1】
【0049】
表1から判るように、金属電極が内蔵されているセラミックス部材を予備成形体のホットプレスによって製造するのに際して、本発明に従って造粒顆粒で予備成形体を成形し、かつ予備成形体の成形密度を1.4〜2.5g/cm3 に特定することによって、小穴が消失し、320MPa以上の強度を有し、破壊面にはクラックが観察されない上、焼結体中の金属電極の平坦度が著しく向上し、特に40μm以下の水準にまで急激に向上することを発見した。更に、予備成形体の成形密度を1.7〜2.0g/cm3 とすることによって、金属電極の平坦度が15μm以下の水準にまで向上し、焼結体の緻密化が進行し、強度が380MPa以上と急激に向上した。
【0050】
(実施例13〜15)
実施例1〜12と同様にして、本発明に従ってセラミックス部材を製造した。ただし、予備成形体に添加するバインダーを、表2に示すように変更した。また、予備成形体の成形密度を1.8g/cm2 とし、金属電極としてモリブデン製のメッシュを使用した。この結果を表2に示す。
【0051】
【表2】
【0052】
この結果から判るように、フェノール系のバインダーが添加されている造粒顆粒を使用した場合も、クラックがなく、小穴は僅かであり、かつ金属電極の平坦度も40μm以下の水準にできる。しかし、アクリル系バインダーまたはブチラール系バインダーが添加されている造粒顆粒を使用して、予備成形体を成形することによって、小穴がまったく見られなくなり、かつ金属電極の平坦度が15μm以下、特にアクリル系バインダーの場合には10μm以下の水準にまで著しく減少することがわかった。
【0053】
(参考例1、2、実施例16〜24)
実施例1〜12と同様にして、本発明に従ってセラミックス部材を製造した。ただし、予備成形体にアクリル系バインダーを添加し、予備成形体の成形密度を1.6〜2.1g/cm2とし、金属電極としてモリブデン製のメッシュを使用した。予備成形体中のバインダーの濃度を、表3に示すように変更した。この結果を表3に示す。
【0054】
【表3】
【0055】
参考例1においては、バインダーの濃度が0.3重量%であるが、小穴は確認されず、クラックはごく僅かであり、焼結体中の金属電極の平坦度は38μmであった。参考例2では、小穴は僅かに認められるが、クラックはなく、金属電極の平坦度は35μmと良好であった。
【0056】
しかし、バインダーの濃度を0.4〜5.0重量%の範囲内にすることによって、小穴、クラック共に消失し、ホットプレス焼結体中の金属電極の平坦度も約20μm以下の水準にまで急激に減少することがわかった。更に、バインダーの濃度を1.0〜3.0重量%の範囲内とすることによって、焼結体中の金属電極の平坦度が一層顕著に減少することがわかった。
【0057】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明によれば、金属部材が内蔵されているセラミックス部材をホットプレス法によって製造するのに際して、セラミックス部材中にある金属部材の平坦度を向上させ、セラミックス部材中の空孔やクラックの発生を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】焼結体20中の金属電極4の状態を説明するための模式図である。
【図2】本発明の一実施形態に係るセラミックス部材1を概略的に示す断面図である。
【図3】(a)は、図2のセラミックス部材のうち一部を切り欠いて示す斜視図であり、(b)は、金網7からなる電極を示す斜視図である。
【図4】(a)〜(c)は、本発明において予備成形体の成形に適用可能な一軸加圧成形法の各工程を説明するための断面図である。
【図5】ホットプレス工程を実施するために、ホットプレス装置内に複数の予備成形体を収容した状態を概略的に示す断面図である。
【符号の説明】
1 セラミックス部材 2 第一の部分 3 第二の部分
4 金属電極 12 第一の部分の成形体 12A 第一の部分の成形体(第二の部分の成形前) 14 第二の部分の成形体 17、17A、17B、17C、17D、17E、17F 予備成形体 24A、24B、24C、24D、24E、24F、24G スペーサー 30 上パンチ(他方の加圧用部材) 31 下パンチ(一方の加圧用部材) A、B Cの平行線
C 金属電極4の中心線 D 予備成形体の収縮の中心 E、F 予備成形体の収縮の方向 t1 第一の部分の厚さ t2 第二の部分の厚さ
Claims (5)
- 金属部材が内蔵されているセラミックス部材を製造するのに際して、前記セラミックス部材の原料とバインダーとの混合物を噴霧造粒装置によって造粒して造粒顆粒を得、この造粒顆粒を成形することによって、前記金属部材が埋設されている成形密度1.4g/cm3以上、2.5g/cm3以下の予備成形体を得、この予備成形体をホットプレスすることによって、金属部材内蔵セラミックス部材を製造する方法であって、前記バインダーがアクリル系バインダーとブチラール系バインダーとの少なくとも一方からなり、前記予備成形体が前記バインダーを0.4重量%以上、5.0重量%以下含有しており、前記金属部材が平面状の金属バルク材からなることを特徴とする、金属部材内蔵セラミックス部材の製造方法。
- 前記金属部材を前記予備成形体の内部に所定平面に沿って埋設させるために、前記所定平面に垂直な方向へと向かって一軸加圧成形することを特徴とする、請求項1記載の金属部材内蔵セラミックス部材の製造方法。
- 前記予備成形体の成形密度が1.7g/cm3以上、2.0g/cm3以下であることを特徴とする、請求項1または2記載の金属部材内蔵セラミックス部材の製造方法。
- 前記バインダーを、前記予備成形体をホットプレスする前またはホットプレスにおいてセラミックスの液相生成の開始前に飛散させることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一つの請求項に記載の金属部材内蔵セラミックス部材の製造方法。
- 前記予備成形体が前記バインダーを1.0重量%以上、3.0重量%以下含有していることを特徴とする、請求項1乃至4のいずれかに記載の金属部材内蔵セラミックス部材の製造方法。
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JP06314897A JP3554460B2 (ja) | 1997-03-17 | 1997-03-17 | 金属部材内蔵セラミックス部材の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
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Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
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